SONYが新たに投入した「ULT WEAR(WH-ULT900N)」は、これまでのWHシリーズとは一線を画すアプローチで開発されたヘッドホンです。
従来の「WH-1000XM5」などが繊細でバランスの取れた音を追求していたのに対し、「ULT WEAR」は“究極の重低音”をテーマに掲げ、音楽の熱量そのものを体感できるサウンドを実現しています。
モデル名の“ULT”は“Ultimate”を意味し、シリーズの象徴でもある「ULTボタン」をワンタッチで押すだけで、低音を瞬時にブーストさせることができます。
その効果は非常にわかりやすく、EDMやヒップホップ、ロックといったジャンルではライブハウスのような臨場感を再現。
単なる“低音が強い”ヘッドホンではなく、音楽を空気ごと震わせるような迫力が魅力です。
もちろん、SONYの代名詞でもあるノイズキャンセリング機能も健在です。
周囲の雑音をしっかりと抑えつつ、重低音の豊かさを失わないチューニングが施されており、外出先でも静寂と迫力が両立しています。
さらに、装着感の良さや操作のしやすさ、長時間再生に耐えるバッテリー性能など、日常使いの快適性も抜かりありません。
この記事では、筆者が実際に「ULT WEAR」をじっくりと使い込んだ上で感じた印象をもとに、デザインや装着感、音質、ノイズキャンセリング性能、機能面の使い勝手などを徹底的にレビューしていきます。
また、人気モデルである「WH-1000XM5」や「MOMENTUM 4」との比較を交えながら、「ULT WEAR」の立ち位置や魅力を客観的に分析し、「どんな人におすすめできるのか」を明確にしていきます。

- SONY 「ULT WEAR」のデザインと装着感
- SONY 「ULT WEAR」の音質レビュー
- SONY 「ULT WEAR」の機能性とノイズキャンセリング性能
- SONY 「ULT WEAR」を使用した私の体験談・レビュー
- SONY 「ULT WEAR」に関するQ&A
- 「ULTボタン」を押すと、具体的にどんな音の変化がありますか?
- 「WH-1000XM5」との違いは何ですか?
- ノイズキャンセリング性能はどれくらい強いですか?
- 外音取り込みは自然に聞こえますか?
- 長時間つけても疲れませんか?
- 有線接続やマルチポイント接続には対応していますか?
- バッテリー持ちはどのくらいですか?
- 防水性能はありますか?
- ゲームや動画視聴時の遅延(音ズレ)はありますか?
- 「ULT WEAR」は折りたたんで持ち運べますか?
- 音漏れはしますか? 電車や静かな空間で気になりますか?
- 音楽を聴かない時でもANCだけ使えますか?
- 重低音が苦手な人にもおすすめできますか?
- 旅行や出張に向いていますか?
- 音楽以外の使い方でおすすめのシーンは?
- SONY 「ULT WEAR」レビューのまとめ
SONY 「ULT WEAR」のデザインと装着感

外観デザインと質感の印象
「ULT WEAR」(WH-ULT900N)は、ソニーらしい洗練されたデザインと落ち着いた質感が特徴です。
丸みを帯びたフォルムとマットな仕上げが高級感を演出し、カジュアルにもビジネスにも馴染む外観に仕上がっています。
イヤーカップ部分はやや大ぶりながらもシンプルで、主張しすぎないデザインが好印象です。
カラーバリエーションは以下の3色展開で、どれも落ち着いたトーンで構成されています。
カラー | 印象 |
---|---|
ブラック | 最もスタンダードで引き締まった印象。重低音モデルらしい力強さを演出。 |
オフホワイト | 柔らかく上品な雰囲気。ファッションとの親和性が高い。 |
フォレストグレー | グリーンがかった独特の色味で個性を出せる中間的なカラー。 |
全体的にデザインの完成度は高く、「WH-1000XM」シリーズに比べても「よりストリート寄りで若々しい印象」に仕上がっています。
装着感・フィット感・長時間使用時の快適性
装着した瞬間に感じるのは、適度なホールド感と快適なフィットバランスです。
重量は約255gと中程度で、軽量ではないものの、頭頂部への圧力が均等に分散されるため長時間装着しても疲れにくい構造になっています。
イヤーパッドは柔らかく、耳をしっかり包み込みながらも蒸れにくい素材を採用。
メガネをかけたままでも干渉が少なく、側圧が強すぎない点も好印象です。
以下のポイントからも、長時間使用時の快適性がよく考えられていることがわかります。
- 密閉性:しっかりと外音を遮断しつつも、圧迫感が少ない
- 側圧バランス:安定性重視でズレにくい設計
- パッド形状:やや浅めで耳全体を自然にホールド
- 疲労感:2~3時間のリスニングでも頭部や首への負担が少ない
ソニーが得意とする「長時間リスニングへの配慮」が随所に見られ、通勤や作業中の使用でも快適に使える設計です。
折りたたみ構造・携帯性・操作性の使いやすさ
「ULT WEAR」は折りたたみ機構を備えており、付属のキャリングケースにすっきり収納できます。
ヘッドホンとしては比較的コンパクトで、バッグへの収まりも良好です。
持ち運びやすさという観点では、「WH-1000XM5」よりもやや優秀といえるでしょう。
操作性についても非常に洗練されています。
左側のイヤーカップには電源ボタン/ANC・外音切り替えボタン/ULTボタンを配置し、右側はタッチジェスチャー対応。再生・停止・スキップ・音量調整など、指先の動きだけで直感的に操作できます。
加えて、マルチポイント接続に対応しているため、スマホとPCを同時に接続してシームレスに切り替え可能。
さらに有線接続(付属ケーブル)にも対応しており、バッテリーが切れても安心して使えます。
項目 | 内容 |
---|---|
折りたたみ | 可能。キャリングケース付属で携帯性良好。 |
操作系統 | 左:物理ボタン、右:タッチ操作のハイブリッド構成。 |
接続性 | Bluetoothマルチポイント対応。 |
有線対応 | 3.5mmケーブル付属で有線接続可能。 |
デザイン・装着感・操作性のいずれを取っても、「ULT WEAR」は「日常使いの快適さ」を重視した作りです。
派手さや奇抜さよりも、長く使い続けられる実用性と洗練された質感を兼ね備えており、外出・作業・リラックスタイムなど、どんなシーンにも自然に溶け込む万能モデルといえるでしょう。
SONY 「ULT WEAR」の音質レビュー

低音域の迫力と「ULTボタン」の効果
「ULT WEAR」最大の特徴は、名前の由来にもなっている「ULT POWER SOUND」です。
通常モード(ULTオフ)でも十分に厚みのある低音が再生されますが、ULTボタンを押すことで重低音がさらに増強され、空気を震わせるような迫力あるサウンドに切り替わります。
この変化は単なる“低音ブースト”ではなく、ベースラインの深みとキックのアタック感が両立しており、EDMやヒップホップ、ロックなどのジャンルで特に効果を発揮します。
項目 | ULTオフ時 | ULTオン時 |
---|---|---|
低音量感 | 適度にタイトで汎用的 | 明確に増強され、空間全体を包み込む |
音圧・迫力 | 標準的で落ち着いた印象 | ライブ会場のような厚みのある重低音 |
音場 | 自然な広がり | 若干タイトになるが臨場感が強化 |
推奨ジャンル | ポップス、アコースティック、ジャズ | EDM、ヒップホップ、ロック、映画鑑賞 |
筆者の印象としては、「ULTオン」は低音が支配的になる反面、中域がやや奥に引っ込む傾向があります。
ただし、アプリのEQ設定で125Hz〜250Hzを少し下げることで、より自然な聴き心地に調整可能です。
また、ドライバーには専用設計の40mmユニットを採用しており、低音域の量感とスピード感のバランスを保ちながら、厚みの中にしっかりと芯を感じる再現力を備えています。
高音域のクリアさと全体バランス
低音に注目されがちなモデルですが、実際には中高音域の表現力も優れています。
ボーカルの輪郭は明瞭で、ULTオフ時には声の抜け感と自然な距離感が心地よく、ピアノやアコースティックギターの響きにも温かみがあります。
ULTオンにすると低音が前に出るため、ボーカルは一歩下がったように感じられますが、全体のまとまりは良好です。
中高域の特徴を整理すると次の通りです。
- ボーカル帯域(1kHz〜4kHz):明瞭で滑らか。男性・女性ボーカル問わず聴きやすい
- 高域(8kHz〜12kHz):刺さりがなく、聴き疲れしにくい柔らかなチューニング
- 分離感:楽器やコーラスが重なっても混濁しにくく、音場の整理が巧み
- 音の傾向:全体的に“濃密”でリスニング向け。情報量よりも“感触”を重視した仕上がり
さらに、BluetoothコーデックはLDAC/AAC/SBCに対応。LDAC接続時はハイハットの余韻やボーカルの空気感が一段と増し、音の透明度が高まります。
ソニー独自の統合プロセッサーV1も搭載されており、低域強調モードでも音の輪郭が崩れず、ノイズの少ないクリーンな再生が可能です。
他機種との音質比較(WH-1000XM5・MOMENTUM 4との違い)
同価格帯の代表機種である「WH-1000XM5」や「Sennheiser MOMENTUM 4」と比較すると、「ULT WEAR」の立ち位置がより明確に見えてきます。
以下の表は筆者の試聴印象をもとにした比較です。
モデル名 | 音の傾向 | 低音の迫力 | 中高音の明瞭度 | 向いているリスナー |
---|---|---|---|---|
SONY WH-1000XM5 | フラットで繊細。全体のバランスが非常に整っている | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | バランス重視派、モニター的リスニングを好む人 |
Sennheiser MOMENTUM 4 | 透明感があり、やや高音寄り。解像度が高い | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ボーカルや楽器の鮮明さを重視する人 |
SONY ULT WEAR | 低音重視で迫力のあるリスニングサウンド | ★★★★★ | ★★★☆☆ | 低音の厚みと没入感を求めるリスナー |
このように、「ULT WEAR」は「迫力」「体感」「エネルギー感」を重視するユーザーに最も適したモデルです。
音の解像度や繊細さでは「WH-1000XM5」や「MOMENTUM 4」に譲る部分もありますが、その代わりに音楽の“熱量”をダイレクトに感じられる臨場感が強みです。
「ULT WEAR」の音作りは、分析的に聴くためのものではなく、“音楽を体感する”ためのチューニングです。
ULTボタンを押すだけで表情が大きく変わり、リスニングモードを切り替える楽しさもあります。
特に、映画鑑賞やスポーツ観戦、ベースの効いた楽曲を聴くときは、ULTモードの存在感が圧倒的。
一方で、静かな環境でボーカル中心の曲をじっくり聴く場合には、ULTオフ+EQ微調整で自然なバランスを得られます。
この柔軟さこそが、「ULT WEAR」の音質面における最大の魅力と言えるでしょう。
SONY 「ULT WEAR」の機能性とノイズキャンセリング性能

ノイズキャンセリングの実力と環境別の効果
「ULT WEAR」のノイズキャンセリング(ANC)は、ソニー独自の統合プロセッサーV1とデュアルノイズセンサー技術を組み合わせたもの。
この仕組みにより、電車やカフェ、オフィスといった日常的な環境下でも、高い静寂性能を発揮します。
実際に使用してみると、低周波の轟音だけでなく、人の話し声や空調音まで自然に抑えられ、耳が“すっと静まる”感覚を得られます。
環境 | ノイズ低減の効果 | 補足 |
---|---|---|
電車内 | モーター音や走行音を大幅カット。アナウンスはかすかに残る程度 | 通勤時でも集中できる静けさ |
カフェ・オフィス | 空調音やBGMがほとんど消える。人の声は半減程度 | 作業・読書用途に最適 |
屋外(風あり) | 風ノイズ低減構造で風切り音を軽減 | 屋外使用時のストレスが少ない |
飛行機内 | エンジン音を効果的に遮断 | 長時間フライトでも耳疲れが軽減 |
特筆すべきは、ANCをオンにしても低音の厚みや音質が損なわれない点です。
他社モデルではANC動作中に音がこもることもありますが、「ULT WEAR」では重低音の迫力と静けさが両立しています。
また、右ハウジングに手をかざすだけで外音を瞬時に取り込む「クイックアテンション」機能も便利で、会話時や駅のアナウンス確認に重宝します。
外音取り込み・通話品質・風ノイズ対策
外音取り込み機能(Ambient Sound)は、環境音を自然に聞き取れるチューニングです。
アプリを使えばレベル調整も可能で、外の音を“どの程度取り込みたいか”をシーンに合わせて細かく設定できます。
外音機能の特長
- 段階調整式(最大20段階)で好みの開放感を調整可能
- クイックアテンションにより、手のひらをかざすだけで一時的に外音モードに切替
- アダプティブサウンドコントロールがユーザーの行動パターンを学習し、自動的にANC/外音モードを切替
さらに、通話品質にも抜かりはありません。
内蔵のビームフォーミングマイクとAIノイズリダクションにより、騒がしい環境でも自分の声がクリアに届きます。
屋外や駅構内などでも「こもらない・途切れない・風に強い」という安定感があり、テレワークやオンライン会議でも十分に実用的です。
項目 | 内容 |
---|---|
通話性能 | ビームフォーミング+AIノイズ抑制により声を明瞭化 |
風ノイズ対策 | 物理構造+AI処理で風切り音を軽減 |
外音取り込み | クイックアテンション/段階調整/自動切替対応 |
アプリ操作・マルチポイント・バッテリー性能
「ULT WEAR」は、最新アプリ「Sony | Sound Connect」で細かいカスタマイズが可能です。
EQ設定、ANCレベル、ボタン割り当て、スピークトゥチャット機能のON/OFFなど、自分のスタイルに合わせて自由に調整できます。
UIも見やすく、初心者でも直感的に操作できる点は好印象です。
接続・操作性
- Bluetooth 5.2対応で安定した接続
- マルチポイント接続に対応(スマホ+PCなど2台同時)
- LDACコーデック対応で高音質再生も可能
※LDACとマルチポイントは同時利用不可のため、用途に応じた切り替えが必要
バッテリー性能
バッテリーの持続時間は、業界トップクラスです。
ANCをオンにしても長時間使用でき、充電忘れのストレスが少ないのが魅力です。
状況 | 再生時間 | 補足 |
---|---|---|
ANCオン | 約30時間 | 通勤+作業用途で3〜4日間持続 |
ANCオフ | 約50時間 | 長距離移動・出張にも対応 |
急速充電 | 10分充電で約5時間再生 | 短時間の補充でも安心 |
充電端子はUSB-Cで、わずか3分の充電でも約90分再生可能。
長時間リスニング派や出張の多いユーザーにとっても頼れる仕様です。
「ULT WEAR」は、高いノイズキャンセリング性能と柔軟な機能設計を両立したヘッドホンです。
ANCを軸に、外音取り込み・通話・マルチポイント接続・長時間再生と、現代のライフスタイルに必要な要素がほぼすべて揃っています。
とくに「静けさの中で迫力ある低音を楽しめる」という点が、このモデルの唯一無二の魅力。
移動・作業・休息などあらゆるシーンに自然に溶け込み、音楽体験をワンランク上へ引き上げてくれる一台です。
SONY 「ULT WEAR」を使用した私の体験談・レビュー

初日の印象と音のキャラクター
「ULT WEAR」を初めて装着した瞬間、「あ、これは低音を“感じる”タイプのヘッドホンだ」と直感しました。
ULTボタンを押すと、空間全体が一段深く沈み込み、まるでライブハウスのスピーカーの前に立っているような迫力が広がります。
それでいて、ボーカルが完全に埋もれるわけではなく、低音の下支えとして存在しているバランス感が絶妙でした。
一方で、通常モード(ULTオフ)では音の広がりと透明感が際立ち、どんなジャンルでも聴きやすい。
この“切り替えで印象がガラッと変わる二面性”が、使っていて一番楽しい部分でした。
シーン別の使用感
「ULT WEAR」を1週間ほど使ってみると、場面ごとに使い方が自然と決まってきました。
シーン | 設定と使い方 | 感じたこと |
---|---|---|
通勤電車 | ANCオン+ULTオン | モーター音が消え、低音のグルーヴだけが心地よく響く。音量を上げなくても“迫力”が出る。 |
オフィス作業 | ANCオン+ULTオフ | 周囲の話し声が遠のき、ボーカルが自然に浮かび上がる。長時間でも疲れにくい。 |
カフェ作業 | ANC+外音取り込みレベル5 | 外界の音が程よく入り、BGM感覚で音楽を楽しめる。呼び出しにもすぐ対応できる。 |
夜の散歩 | 外音取り込み+ULTオン | 周囲の安全を確保しながらリズム感ある低音で気分が上がる。 |
映画鑑賞/旅行 | 有線接続+ULTオフ | 音の解像度が上がり、セリフや効果音の位置関係が明瞭。長時間でも耳が痛くならない。 |
こうしてみると、ULTボタンの使い分けが日常のテンポを変えるスイッチのようで、“通勤でテンションを上げ、作業中はフラットに戻す”というサイクルが自然にできました。
装着感と疲労感のバランス
ヘッドバンドのクッション性が高く、側圧も適度に抑えられているため、2〜3時間程度の装着ならまったく疲れを感じません。
イヤーパッドはやや浅めですが、耳全体を包み込む柔らかさがあり、メガネをかけた状態でも干渉しにくいのが好印象です。
ただし、夏場の屋外では多少蒸れを感じることがありました。
その場合、外音取り込みをオンにして換気するように使うと快適に保てました。
装着感のポイントまとめ
- 頭頂部への圧力分散が優秀で、長時間リスニングでも痛くならない
- 側圧はやや強めだが、安定感が高くずれにくい
- メガネとの相性が良く、耳への負担が少ない
- 夏場の屋外では一時的に蒸れを感じることもあり
操作・接続・アプリの使いやすさ
物理ボタンとタッチ操作が共存しているため、慣れるまでのストレスがほとんどありません。
左側のボタンでANCやULTを素早く切り替え、右側で音量やスキップをタップで操作。
指先の感覚で完結するので、外を歩いていても迷わず扱えました。
さらに、マルチポイント接続が非常に便利です。
仕事中はPCで会議、休憩中にスマホで音楽——という切り替えが瞬時に行えます。
一方で、LDAC使用時はマルチポイントが併用できないため、平日はマルチポイント優先、休日は高音質優先という切り替え運用に落ち着きました。
バッテリーと通話品質の印象
バッテリーは本当にタフで、ANCをオンにしても4〜5日間は充電不要でした。
出勤時や帰宅時に毎日2時間ほど使用しても、残量を気にすることがほとんどありません。
さらに10分の充電で約5時間使える急速充電機能も便利で、「あ、バッテリー切れそう」と思ってもすぐ復活します。
通話品質についても好印象でした。
駅のホームや風の強い屋外でも、相手から「聞き取りづらい」と言われることはほぼなし。
AIノイズリダクションと風切り音対策の効果がしっかり出ており、外でも安心して打ち合わせや通話ができるレベルでした。
実際に使って感じたメリットと気になる点
最後に、使い続けて感じた長所と改善点を整理します。
評価項目 | 良かった点 | 気になった点 |
---|---|---|
音質 | ULTオンの重低音が圧巻。ジャンルによって使い分けが楽しい | 低音強調時に中域が少し後退する |
ANC性能 | 騒音を自然に抑えつつ音質の変化が少ない | 風の強い屋外では軽いノイズが残ることも |
装着感 | 安定感抜群で疲れにくい。メガネとの干渉も少ない | 夏場はやや蒸れやすい |
機能性 | クイックアテンション・マルチポイントが便利 | LDACと併用できない点は注意 |
バッテリー | 充電の心配がほぼ不要。急速充電が実用的 | USB-Cポート位置がやや奥まっていて挿しにくい |
体験談の総評:日常を“低音で彩る”万能ヘッドホン
「ULT WEAR」を使い始めてから、音楽の聴き方そのものが変わったと感じました。
通勤ではテンションを上げ、作業時には集中を促し、帰宅後にはリラックスできる。
そのすべてを1台で完結できるのは、低音の心地よさだけでなく、使い勝手の良さが支えているからです。
特に“ULTオンで気分を変える”感覚はクセになるもので、まるで自分の生活に「音のスイッチ」が増えたような感覚を味わえます。
静けさと迫力、どちらも求める人にとって、「ULT WEAR」はまさに日常を演出するパートナーです。
SONY 「ULT WEAR」に関するQ&A

このセクションでは、SONY 「ULT WEAR」に関連してよく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「ULTボタン」を押すと、具体的にどんな音の変化がありますか?
ULTボタンを押すと、低音域が大きく強調され、音圧と臨場感が一気に高まります。ベースやドラムの存在感が増し、クラブやライブ会場のような“空気の振動”を感じるサウンドになります。一方で、ボーカルや高音がやや後ろに下がるため、静かな曲やボーカル中心の楽曲ではOFFにするのがおすすめです。
「WH-1000XM5」との違いは何ですか?
どちらもSONYの高性能ANCモデルですが、方向性が明確に異なります。
比較項目 | ULT WEAR(WH-ULT900N) | WH-1000XM5 |
---|---|---|
音質傾向 | 低音重視でパワフル | バランス重視で繊細 |
位置づけ | エンタメ・リスニング向け | 高解像・モニター寄り |
ULTボタン | あり(低音ブースト機能) | なし |
デザイン | 丸みがありカジュアル | スリムでビジネス寄り |
「迫力で楽しみたいならULT WEAR」「正確さで聴きたいならXM5」と選び分けるとわかりやすいです。
ノイズキャンセリング性能はどれくらい強いですか?
SONYの上位プロセッサー「V1」を採用しており、「WH-1000XM5」に匹敵するレベルです。電車やカフェなど日常ノイズはしっかりカットしながら、低音の厚みを損なわない点が優秀。風の強い屋外では多少ノイズが残るものの、実用上のストレスはほぼありません。
外音取り込みは自然に聞こえますか?
非常に自然です。マイク処理が優秀で、自分の声がこもらず、周囲の音が自然に溶け込む感覚があります。また、クイックアテンション機能を使えば、右ハウジングを手で覆うだけで外音を即座に取り込めます。会話やアナウンス確認がスムーズで、街中でも安心して使えます。
長時間つけても疲れませんか?
約255gと中量級ですが、ヘッドバンドのクッション性と側圧バランスが絶妙です。耳を優しく包み込みながらもしっかりホールドするため、3時間程度の装着でも違和感がほとんどありません。ただし、真夏などは多少蒸れを感じる場合があるため、外音取り込みを適度に使うのがおすすめです。
有線接続やマルチポイント接続には対応していますか?
どちらにも対応しています。付属の3.5mmケーブルを使えば有線での再生が可能で、飛行機内などBluetoothが使えない環境でも安心です。また、マルチポイント接続により、スマホとPCを同時接続でき、再生機器を自動で切り替えられます。
※ただし、LDAC使用時はマルチポイントと併用不可のため、用途に応じて切り替えましょう。
バッテリー持ちはどのくらいですか?
ANCオンで約30時間、ANCオフで約50時間の再生が可能です。また、10分の急速充電で約5時間再生できるため、出先でも困りません。出勤時や通勤中に短時間充電するだけで、数日間はバッテリーを意識せずに使えます。
防水性能はありますか?
防水・防滴には対応していません。雨の日や汗をかく環境では、できるだけ屋内使用を推奨します。どうしても屋外で使う場合は、フードや帽子などで水滴を避ける工夫をしましょう。
ゲームや動画視聴時の遅延(音ズレ)はありますか?
Bluetooth接続では多少の遅延はありますが、映像と音のズレはほとんど気にならないレベルです。特にLDACやAAC接続時は映像同期が安定しており、映画やYouTube視聴で違和感は感じにくいでしょう。ただし、音ゲーやFPSのようなタイミング精度が重要なゲームでは、有線接続を使うのがおすすめです。
「ULT WEAR」は折りたたんで持ち運べますか?
はい、折りたたみ可能です。イヤーカップを内側に回転させ、コンパクトに収納できる設計になっています。
同梱されている専用ハードケースは耐久性があり、バッグに入れても潰れにくいため、旅行や出張などでも安心して持ち歩けます。
音漏れはしますか? 電車や静かな空間で気になりますか?
「ULT WEAR」は密閉型デザインで、音漏れはかなり少なめです。ただし、ULTボタンをオンにして高音量で再生すると、低音の一部が外に響くことがあります。
静かなカフェやオフィスで使う場合は、
- ULTオフ
- 音量60〜70%程度
を目安にすると、周囲への音漏れをほぼ防げます。
音楽を聴かない時でもANCだけ使えますか?
はい、可能です。アプリまたは物理ボタンでANCをオンにすれば、無音状態でも静かな空間を作れます。集中したい時や飛行機・カフェでの読書時など、「静けさだけを使う」用途にも向いています。
重低音が苦手な人にもおすすめできますか?
実は、ULTオフ状態ではバランスの良いサウンドチューニングになっており、“低音特化モデル”というイメージ以上に幅広いジャンルに対応します。ポップスやアコースティック、クラシックも自然に再生でき、低音の厚みが“音楽の土台”として心地よく感じられます。低音を控えめにしたい場合は、EQでClear Bassを−1〜−2に設定すれば快適です。
旅行や出張に向いていますか?
非常に向いています。
- 折りたたみ+専用ケース付属
- ANC+外音取り込みでどんな環境でも使える
- バッテリー50時間(ANCオフ時)で長旅でも安心
加えて、機内では有線接続モードが便利。映画鑑賞やゲームにも対応できる万能ヘッドホンです。
音楽以外の使い方でおすすめのシーンは?
- 作業・勉強時:ANCで雑音を遮断し、集中力アップ
- 睡眠前のリラックス:ULTオフ+低音控えめ設定で心地よいBGM再生
- ポッドキャスト・英語学習:中域が明瞭で、声が聞き取りやすい
- 動画編集・視聴:LDACで映像音声のリアリティが向上
「音楽を聴くだけのヘッドホン」ではなく、生活リズムを整えるためのツールとしても活躍します。
SONY 「ULT WEAR」レビューのまとめ

「ULT WEAR」(WH-ULT900N)は、“低音を楽しむ”という価値を、日常使いに必要な快適性・操作性・バッテリーでしっかり下支えした一台です。
ULTボタンでリスニングの雰囲気を即切替でき、ANCをオンにしても音が痩せにくいのが強み。
作業ではフラットに、通勤や散歩では重低音で没入—という二面性の運用が自然にハマります。
一方で、ULTオン時は曲や録音によって中域が厚着して聴こえる場面があり、125〜250Hzの微調整や“ULTオフ+軽いEQ”の定番化で解決すると、完成度が一段上がります。
「ULT WEARの要点」
観点 | 良かった点 | 気になった点 |
---|---|---|
サウンド | 迫力の重低音/ULTボタンで即“会場感”/LDACで情報量アップ | ULTオンで中域が一歩後退する場面あり(EQで緩和) |
ANC/外音 | ANC強力でも音がこもりにくい/クイックアテンションが実用的 | 風の強い屋外では外音レベル設定に工夫が要る |
装着/携帯 | 255g前後でも荷重分散が良く長時間OK/折りたたみ&ケース付属 | 夏場はやや蒸れやすい |
操作/接続 | 物理+タッチのハイブリッドで迷わない/マルチポイントが便利 | LDACとマルチポイントの同時利用不可 |
電池/充電 | ANCオンでも長持ち/短時間の急速充電が実用的 | USB-Cポート位置がやや奥で挿しにくいことがある |
こういう人におすすめ/見送るべき
おすすめ
- EDM・HIPHOP・映画BGMなど低音の体感を主役にしたい
- 通勤・作業・外出を1台で回したい(ANC・外音・クイックアテンション重視)
- 平日:マルチポイント、休日:LDAC のように用途で切り替える運用が苦にならない
見送るべき
- 常時LDAC+マルチポイントの両取りを求める
- いつでもボーカル最優先で、低域の存在感は極力控えめにしたい
迷ったらこの設定(即効プリセット)
- 作業用(ULTオフ):Clear Bass 0/62Hz +1/1kHz +1/4kHz +1
→ 声の抜けを保ち、長時間でも聴き疲れしにくい - 会場感(ULTオン):Clear Bass −1/125Hz −1/250Hz −1/8kHz +1
→ 低域の厚みは残しつつ、中域の“もこり”を抑える
SONY 「ULT WEAR」レビューの総括
「ULT WEAR」は、ソニーが掲げる“究極の重低音体験”を日常に落とし込んだ、完成度の高いワイヤレスヘッドホンです。
重低音を主軸にしながらも、ただ派手な音に終わらず、音の厚みとクリアさのバランスを丁寧に整えたチューニングが光ります。
ULTボタンによる音の変化はわかりやすく、気分やシーンに合わせてサウンドを切り替えられる楽しさがあります。
また、ノイズキャンセリングの実力も非常に高く、外出先でも静寂と迫力を両立できる点は、まさにソニーらしい完成度です。
さらに、折りたたみ設計による携帯性、長時間使用でも疲れにくい装着感、マルチポイントやクイックアテンションなどの使い勝手の良さも総じて優秀で、音楽を聴くための“機器”というより、生活に溶け込む“道具”としての完成度を感じさせます。
強力な重低音がありながら、静寂の中でもその存在感を保ち続ける——そんな矛盾を見事に成立させた「ULT WEAR」は、まさに「音を楽しむ時間をデザインする」ヘッドホンと言えるでしょう。
迫力と静けさ、エネルギーと安らぎ。
そのすべてを自在に切り替えながら、自分のリズムで音楽を楽しみたい人にとって、「ULT WEAR」は最高の相棒になるはずです。
