LETSHUOER(レットシュオア)は、ここ数年で一気に注目度を高めた中国のイヤホンブランドです。
高コスパな中華イヤホンが数多く存在する中でも、LETSHUOERはその緻密な音作りと独自のデザインセンスによって、オーディオファンから確かな信頼を獲得してきました。
そんな同社が新たに送り出したのが、4基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載した最新モデル「Cadenza4」です。
「Cadenza4」は、上位機種で培われたチューニング技術を継承しながらも、より明瞭で解像度の高いモニターライクなサウンドを追求しています。
価格帯は3万円前後と、エントリークラスとハイエンドの中間に位置する実力派。
しかしそのサウンドは、同価格帯の競合モデルを凌ぐ完成度を誇り、多くのリスナーから「価格以上のクオリティ」と評価されています。
この記事では、そんな「Cadenza4」の魅力を徹底的に掘り下げます。
デザインや装着感の快適性、音質のバランス、音場の広がり、そして実際に使ってみた際のリアルな印象までを詳しく紹介し、どのようなリスナーに最もフィットするのかを明らかにしていきます。
音楽のジャンルや使用環境を問わず、「Cadenza4」が“長く付き合えるイヤホン”としてどこまでの完成度を持つのか。
その答えを、この記事を通して紐解いていきましょう。

LETSHUOER 「Cadenza4」のデザインと装着感

外観とビルドクオリティ
「Cadenza4」 のデザインは、アルミ合金フェイスプレートと樹脂シェルの組み合わせによって、高級感と軽量性を両立しています。
フェイスプレートはCNC加工による滑らかな曲線を描き、中央には控えめなブランドロゴが配置され、派手すぎない落ち着いた印象を与えます。
表面はマットな質感で指紋が付きにくく、使用を重ねても傷が目立ちにくいのが特徴です。
樹脂シェルは耳の形状に合わせた自然なカーブを描いており、透明度が高いため内部のドライバー構成が見える点もデザイン上のアクセントになっています。
- CNC加工のアルミ合金フェイスプレートで堅牢かつ高精度な仕上がり
- 半透明の樹脂シェルが内部構造を美しく見せる
- マットコーティングにより指紋や小傷がつきにくい
- 接続部は0.78mm 2pinで汎用性が高い
全体的な仕上がりは価格帯以上の完成度で、見た目の印象からして“中華イヤホン”という枠を超えた高級感があります。
手に取ったときのひんやりとした金属の感触と、樹脂の柔らかい質感のコントラストが心地よく、所有欲を満たしてくれるデザインです。
フィット感と装着安定性
シェル形状は中型サイズで、耳のくぼみに自然に収まる設計。
エッジ部分の処理が丁寧で、長時間の装着でも耳への圧迫感がほとんどありません。
耳道に向かって適度な角度が付けられており、ノズルの長さも標準的。耳の形に合わせやすく、安定した密閉感を確保できます。
遮音性はカナル型として高い部類で、外音をしっかりカットしてくれます。
そのため、通勤中や作業時などの環境でも音楽に集中でき、低音の沈み込みも自然に感じられます。
また、ケーブルにはメモリチューブが付いており、耳掛けの形状をしっかりキープできるため、軽い運動程度なら外れにくい設計です。
- 耳の形状に沿う自然なカーブで高い安定性
- 長時間でも疲れにくい軽量シェル(約7g)
- 遮音性が高く、外出先でも音のディテールを損なわない
- メモリチューブ付きケーブルで耳掛けが安定
フィット感の最適化にはイヤーピース選びも重要です。
付属のシリコンタイプに加え、フォームタイプや楕円形イヤーピースを試すことで、密閉感や高音域の抜けを自分好みに調整できます。
ケーブル・付属品・携帯性
付属ケーブルは銀メッキ単結晶銅線で、柔軟性に優れ、取り回しやすい仕上がりになっています。
特筆すべきは、モジュラープラグ構造(2.5mm/3.5mm/4.4mm対応)を採用している点。
これにより、DAP・スマートフォン・アンプなど接続機器を選ばず使用でき、ユーザーの再生環境に合わせた柔軟な運用が可能です。プラグの交換もスムーズで、固定感もしっかりしています。
また、キャリングケースが付属しており、持ち運び時の保護性も十分。
外出先でも安心して使用できるほか、付属品の質感や統一感も高く、パッケージ全体での完成度が感じられます。
付属品 | 内容・特徴 |
---|---|
ケーブル | 銀メッキ単結晶銅(柔らかく取り回しやすい) |
プラグ構成 | 2.5mm/3.5mm/4.4mmモジュラープラグ対応 |
ケース | コンパクトなハードケース(内側はクッション加工) |
イヤーピース | シリコンタイプ3サイズ(S/M/L) |
その他 | 取扱説明書・保証カード |
「Cadenza4」 は、価格帯を感じさせない高級感あるデザインと快適な装着性を兼ね備えたモデルです。
金属と樹脂の質感バランスが見事で、耳への当たりも柔らかく、長時間のリスニングでも疲れを感じません。
さらにモジュラープラグ対応ケーブルの利便性が高く、据え置きからポータブルまで幅広い環境で活躍します。
「見た目」「装着感」「携帯性」すべての面で完成度が高く、初めての中価格帯IEMとしても、セカンド機としても満足度の高い仕上がりです。
LETSHUOER 「Cadenza4」のサウンドクオリティ(音質)

低音域の表現力と量感
「Cadenza4」 の低音は、量感よりも制御性とレスポンスの速さを重視した設計です。
サブベースの沈み込みはしっかりしており、キックの立ち上がりはシャープ。
膨らみの少ないタイトな低域で、リズムのテンポ感を崩さず、ボーカルや中域を邪魔しません。
ベースラインの動きがくっきり聴き取れるため、モニター的な正確さを求めるユーザーには理想的です。
一方で、重低音の迫力や厚みを好むリスナーにとっては、やや控えめに感じるかもしれません。
項目 | 特徴 |
---|---|
質感 | タイトでスピード感のある低音 |
量感 | 過剰ではなく自然なバランス |
伸び | サブベースの沈み込みが深い |
傾向 | 正確性重視、モニターライク |
イヤーピースをフォームタイプに変えると、密閉感が高まり低域の量感がわずかに増す傾向があります。
EDMやヒップホップなどのジャンルを多く聴く場合は、4.4mmバランス接続や高出力DAPとの組み合わせで厚みを補うのも有効です。
中音域の透明感とボーカル再現
「Cadenza4」の中音域は、解像度と透明感に優れています。
ボーカルは前に出すぎず自然な位置で定位し、楽器との分離が明確。男性ボーカルは力強く、女性ボーカルは滑らかで艶があります。
特にアコースティック系の楽曲では、ギターやピアノの倍音が美しく響き、繊細なタッチまで感じ取れる仕上がりです。
音の厚みを過剰に出さず、空間の抜けを重視しているため、長時間のリスニングでも聴き疲れしません。
上中域(3〜5kHz付近)のチューニングが的確で、サ行の刺さりも少なく、明瞭さと柔らかさを両立しています。
- ボーカルが自然に定位し、輪郭がくっきり
- 楽器同士の分離が優秀で、混雑感が少ない
- 中高域のエネルギー感が程よく、聴きやすい
- ジャンル問わずバランス良く鳴らせる万能型
中域のトーンは非常に整っており、録音の良し悪しが素直に反映されます。
音楽制作やミキシングのリファレンス用途にも活用できるほどの解像感を備えています。
高音域の伸びと解像度
高域は、「Cadenza4」 の中でも最も印象的な要素のひとつです。
解像度が高く、シンバルやハイハットの余韻がきれいに残ります。金属音の表現はシャープすぎず、適度に滑らかで自然。
音の粒立ちが良く、クラシックやジャズなどの細かい表現を重視するジャンルで特に真価を発揮します。
全体のチューニングはやや中高域寄りで、音場の奥行きと空気感が広く感じられます。
ただし、録音が強調された音源ではやや明るく聴こえる場合があり、ウォーム系のアンプと組み合わせるとバランスが取れます。
要素 | 評価 |
---|---|
解像度 | ★★★★★(価格帯トップクラス) |
伸び | 滑らかで自然なハイエンド |
刺さり | ほぼ無し(バランス良好) |
空気感 | 広く開放的で奥行きがある |
ジャンル別の相性
ジャンル | 相性 | 特徴 |
---|---|---|
ポップス | ◎ | ボーカルが自然で艶やか、全体のまとまりが良い |
ジャズ | ◎ | ブラシ音やシンバルの余韻が美しく、空気感が豊か |
ロック | ○ | ギターリフがシャープに立ち上がるが、ややクールな印象 |
EDM | ○ | 低音は締まりが良いが、迫力を求める人には控えめ |
クラシック | ◎ | 音場の広がりと分離感が優秀で、楽器の配置が明確 |
「Cadenza4」 のサウンドは、「正確さ」と「聴きやすさ」を両立させたバランス型。
低域は締まりがあり、中域は透明感が高く、高域は滑らかに伸びるという三拍子が揃っています。
派手な味付けはなく、音楽そのものをクリアに描き出すナチュラルチューニング。長時間のリスニングや制作用途にも適した、完成度の高いハイブリッドIEMです。す。
LETSHUOER 「Cadenza4」の音場・バランス・使い勝手

音場の広がりと定位感
「Cadenza4」 の音場は、左右の広がりよりも“前後の奥行きと層の重なり”を丁寧に描くタイプです。
ボーカルはセンターにピタッと固定され、ドラムやベースは一歩奥、ギター/鍵盤は左右に展開。誇張されたワイド感ではなく、ステージの手前から奥へ順を追って見通せる立体配置が魅力です。
小音量でも定位が崩れにくく、音数の多いアレンジでも各パートの居場所が保たれます。
聴こえ方の傾向(要点)
- センター像が安定し、輪郭がぼやけない
- 楽器間の距離感が適切で、“被り”が少ない
- アンビエンスや残響が自然に後方へ抜ける
- 音量を上げても音場が平板化しにくい
要素 | 体感 | 補足 |
---|---|---|
横方向の広がり | 良好(過度にワイドではない) | ミキシングの意図が崩れない自然さ |
奥行き | とても良好 | リバーブの減衰と位置関係が分かりやすい |
分離 | 高い | 多重コーラスやストリングスで強み |
定位の安定 | 高い | センターの“芯”がぶれない |
音場をもう一歩広げる小ワザ
- フォーム系イヤピ → 密閉強化で奥行きと低域の基音が安定
- 4.4mmバランス出力 → 電流供給の余裕で音場の張りと定位が向上
- 角度の合うイヤピに替える → ノズル角と耳道の一致で前後感がクリアに
全体バランスとジャンル適性
トーンバランスはニュートラル寄りで、わずかにクリーン&ブライト。
低域はタイトに制動、中域は透明で抜けが良く、高域は伸びを保ちながら刺激を抑えています。
“情報量と聴きやすさの両立”が特徴で、録音の良し悪しを正直に映しつつ、尖りすぎない落としどころに収まっています。
この音の強み
- ボーカルの質感が瑞々しく、コーラスでも分離が保たれる
- リズム隊の輪郭が明瞭で、テンポの推進力が損なわれない
- 小音量でも情報が潰れにくく、長時間でも疲れにくい
向いている/やや合わない傾向
- 向いている:ポップス、シティポップ、ジャズ小編成、クラシック室内楽
- 合わない可能性:重低音を誇張して楽しみたいEDM/ヒップホップ(→イヤピやEQで補強が有効)
ジャンル | 相性 | 聴こえ方のポイント |
---|---|---|
ポップス | ◎ | ボーカル前後の奥行き、伴奏の整理が巧み |
ジャズ | ◎ | ブラシ・ライドの余韻、ウッドベースの芯が自然 |
ロック | ○ | リフは切れ味良好。荒い録音は音量を上げすぎないと吉 |
EDM/ヒップホップ | ○ | タイトなキック。量感は控えめ→フォーム系やEQで底上げ |
クラシック | ◎ | パート間のレイヤーが見えやすく、ステージの奥行きが出る |
使い勝手(駆動・拡張性・日常運用)
駆動性は良好で、一般的なドングルDACやエントリーDAPでも鳴らしやすい部類。
出力に余裕のある環境へ繋ぐと、低域の制動・音場の張り・微小ダイナミクスが一段引き上がります。
高感度BA特有のホワイトノイズは気になりにくい傾向ですが、機器のノイズフロア次第なので、気になる場合は低ゲイン+音量上げの運用が効果的です。
日常の取り回しは、軽量シェルと耳掛け形状でタッチノイズが小さく安定。
ケーブルは柔らかく、モジュラープラグ(2.5/3.5/4.4mm)対応なら環境を選ばずに使い回せます。
付属ケースに収めれば通勤・通学での持ち出しも安心です。
運用で効くTIPS
- 4.4mmバランス接続:音場の張りとS/Nが改善しやすい
- イヤピの口径を一段小さく:上中域の張りを少し和らげる
- フォーム系や厚めフランジ:遮音と低域の“底”を補強
- 低ゲイン運用:微小音の解像が保たれやすい
環境別おすすめ接続 | ねらい | 期待できる変化 |
---|---|---|
スマホ+小型ドングル(3.5mm) | 手軽さ重視 | 取り回し◎、中高域の透明感を活かせる |
ドングル(4.4mmバランス) | 解像&音場の底上げ | 低域の制動、前後の立体感が向上 |
据え置きDAP/AMP | 余裕と密度 | マクロダイナミクスが太り、スケール感アップ |
軽快な取り回しと拡張性の高さにより、自宅〜外出まで一台で完結しやすいモデルです。
鳴らしやすさと“伸びしろ”が両立しているため、最初は手元のドングルで十分楽しめ、アップグレードしても確実に応えてくれます。
音場は誇張せず整然、バランスはニュートラル寄り、運用はストレスフリー。
実用性と音質の接点がよく練られた IEMだと感じます。
LETSHUOER 「Cadenza4」を使用した私の体験談・レビュー

「Cadenza4」を選んだ理由
これまでいくつものイヤホンを試してきましたが、「自然で解像度の高い音」を重視してきました。
「Cadenza4」に惹かれたのは、“バランスの良さ”と“正確な音場再現”が高く評価されていたからです。
価格帯的にも中堅クラスであり、コストパフォーマンスに優れているという声が多かったため、試す価値があると感じて購入を決めました。
実際に箱を開けた瞬間から、その完成度に驚きました。
アルミと樹脂を組み合わせたデザインはシンプルながら高級感があり、透明シェルから見える内部構造が所有欲をくすぐります。
見た目の質感からも「丁寧に作られた製品」という印象を受けました。
初めて聴いたときの印象
最初に再生したのは、ボーカルとアコースティックギターが中心の楽曲でした。
音を出した瞬間、中域の透明感と定位の明確さに思わず息をのみました。
ボーカルの距離感が絶妙で、近すぎず遠すぎず、まるで目の前で歌っているような臨場感があります。
低域は量感控えめながらも深く沈み込み、高域は滑らかに伸びる。
全体的にフラットながらも音楽的な温かみを感じさせるチューニングです。
数曲聴くだけで「長時間聴いても疲れにくいイヤホンだ」と確信しました。
使用環境と接続による違い
「Cadenza4」はどんな再生環境でも安定したパフォーマンスを発揮します。
スマートフォン+ドングルDACでも十分高音質ですが、DAPの4.4mmバランス接続にすると、音の立体感とスピードが明らかに向上しました。
特に低域の制動と音場の広がりが変わり、「このイヤホンはまだ本気を出していなかったのか」と感じるほどの変化です。
環境 | 音の傾向 | 特徴 |
---|---|---|
スマホ+3.5mm | ナチュラルで聴きやすい | 軽快で扱いやすい |
DAP+4.4mm | 広がりと奥行きが増す | 音像が立体的で臨場感が高い |
PC+オーディオIF | 解像度と分離感が最も高い | 音楽制作にも対応できる精度 |
また、フォームタイプのイヤーピースを使うと低音の沈み込みが強まり、ボーカルの温かみが増します。
一方、シリコンタイプでは抜けの良さが際立ち、よりスピーディな印象に変わりました。
音楽ジャンル別の感想
ジャンルによる相性の違いを確かめるため、さまざまな音源を聴いてみました。
結果として、万能性の高さが光るイヤホンだと実感しました。
ジャンル | 相性 | 印象 |
---|---|---|
ポップス | ◎ | ボーカルの輪郭が美しく、伴奏が整理されて聴きやすい |
ジャズ | ◎ | ウッドベースの芯とブラシの粒立ちが見事 |
ロック | ○ | ギターリフがシャープで、エネルギッシュに響く |
EDM | ○ | 低音は速くタイト。量感を求めるならEQで調整 |
クラシック | ◎ | 音場が広く、オーケストラの定位が明確 |
どのジャンルでも音の分離が良く、特にボーカルものでは透明感が際立ちました。
個人的にはジャズやクラシックとの相性が抜群で、楽器同士の空間の距離がしっかり感じられる点が気に入っています。
日常使用での快適さ
「Cadenza4」は見た目の高級感だけでなく、使い勝手の良さも印象的でした。
ケーブルが柔らかく取り回しがしやすいほか、耳掛け部の形状が自然で、装着中にズレにくい構造。
通勤時の電車内でも外れにくく、遮音性が高いため小音量でも音のディテールを損なわず楽しめました。
使って感じた良い点
- 長時間でも耳が痛くならない軽量設計
- 小音量でも解像感が保たれる
- モジュラープラグ対応でどんな機器にも繋ぎやすい
- ケーブルが絡みにくく、外出時も快適
改善点・注意点
- 重低音の迫力は控えめ(EQやフォームイヤピで補正可能)
- 録音の粗い音源では高域が少し強く感じることがある
体験談のまとめ
「Cadenza4」を使って感じたのは、派手さよりも“音楽を正確に、美しく描く”ことに徹した誠実なイヤホンだということです。
低域はタイトで輪郭が明確、中域は透明感が高くボーカルの表情が自然に伝わり、高域は滑らかに伸びながら耳に刺さらない。
全体のバランスが整っていて、長時間聴いても疲れを感じにくい仕上がりでした。
また、使用する環境によって音の表情が変化する柔軟さも印象的で、3.5mmでも十分高音質ながら、4.4mmバランス接続では音場が広がり立体感が増します。
軽量なボディと安定した装着感のおかげで、通勤や在宅ワークなど、どんなシーンでも快適に使える点も魅力でした。
総じて「Cadenza4」は、派手さよりも音楽そのものを丁寧に再現する“静かな実力派”。
聴くたびに新しい発見があり、長く付き合うほどに愛着が増すイヤホンです。
LETSHUOER 「Cadenza4」に関するQ&A

LETSHUOER 「Cadenza4」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「Cadenza4」の音質はどんな傾向ですか?
「Cadenza4」はフラット寄りで自然なバランスが特徴です。低域はタイトで輪郭がはっきり、中域は透明感が高くボーカルを自然に再現します。高域は滑らかで伸びがあり、解像度も高いため、ジャンルを問わず正確な音像を描きます。派手さよりも、情報量と聴きやすさの両立を重視したチューニングです。
重低音はしっかり出ますか?
重低音は控えめで、量感よりも締まりやスピード感を重視しています。ベースラインの輪郭やキックの立ち上がりが正確なので、音楽全体のリズムが明瞭になります。もし迫力をもう少し増やしたい場合は、フォームタイプのイヤーピースやバランス接続(4.4mm)を使用すると低域の沈み込みが増し、厚みが感じやすくなります。
長時間の使用でも疲れませんか?
はい。「Cadenza4」は軽量なシェルと滑らかな曲面設計により、長時間でも耳への負担が少ないのが特徴です。装着の安定性も高く、2〜3時間のリスニングでも痛みや圧迫感が出にくい設計です。加えて、音のバランスが自然で聴き疲れしにくいため、通勤・在宅作業・夜のリラックス時など、どのシーンでも快適に使えます。
どんな音楽ジャンルと相性がいいですか?
「Cadenza4」は非常に汎用性が高く、ポップス・ジャズ・クラシック・アコースティックなど幅広いジャンルに対応します。特に、ボーカル中心の楽曲では声の表情を丁寧に描き出し、アコースティックでは楽器の質感や空気感がリアルに伝わります。一方で、EDMやヒップホップなど重低音主体のジャンルでは、若干控えめに感じることがあるため、イヤーピースやEQで調整すると良いでしょう。
駆動力は必要ですか?
「Cadenza4」は感度が高く、スマートフォン+ドングルDAC程度でも十分駆動できます。ただし、出力に余裕のあるDAPやアンプに接続すると、低域の制動と音場の広がりが明確に向上します。つまり「手軽に鳴らせて、機器を変えるとさらに良くなる」タイプです。
初めて中価格帯イヤホンを買う人にもおすすめですか?
はい、非常におすすめできます。「Cadenza4」はチューニングが自然で癖が少なく、初めて高音質IEMに触れる人でも違和感なく楽しめます。加えて、装着感が良く、音質も機器のレベルアップにしっかり応えるため、“最初の1本”としても、“長く使える2本目”としても優秀です。
音漏れや外音遮断性能はどうですか?
カナル型構造と密閉性の高いシェルにより、遮音性は非常に高いです。電車やカフェなどの環境でも音量を上げずに音楽を楽しめます。音漏れも最小限で、周囲を気にせず使える設計です。
ケーブルを交換すると音質は変わりますか?
はい、「Cadenza4」は0.78mm 2pin規格を採用しており、リケーブルによる音質変化が比較的わかりやすいモデルです。純正ケーブルは銀メッキ単結晶銅で明瞭感に優れていますが、銅線ケーブルに替えると中低域の厚みが増し、音がややウォームになります。反対に、銀線系やハイブリッド構成のケーブルに替えると高域の抜けが一層良くなり、情報量が増す傾向があります。音の方向性を調整したい場合に有効です。
バランス接続(4.4mm)はどれくらい効果がありますか?
「Cadenza4」は4.4mmバランス接続で音場・定位が明確に改善するタイプです。3.5mmでも十分高音質ですが、4.4mmでは音の厚みと立体感が一段上がり、特に低域の制動が向上します。出力に余裕のあるDAPやドングルを使うと、微細なディテールまで再現され、全体的な「静けさ(S/N)」も向上します。音の透明度を重視するリスナーには、バランス接続を強くおすすめします。
リスニング用途だけでなく、モニター用にも使えますか?
はい。「Cadenza4」はチューニングがニュートラルで、定位と分離感が優れているためモニター用途にも適しています。楽器やボーカルの定位が明確に分かるので、音源のバランス確認や自宅ミックス用途でも十分活躍します。モニターライクでありながら音楽的な表現力を損なわない点が大きな魅力です。
総評として、どんな人におすすめ?
「Cadenza4」は、音の正確さと自然な聴き心地を両立したバランス型イヤホンです。派手な低音や煌びやかな高音よりも、音楽全体のまとまりや定位を重視する人に最適。長く聴いても疲れにくく、さまざまな音源で安定して高い再現力を発揮します。仕事中のBGMから本格リスニングまで、幅広いシーンで信頼できる一本です。
LETSHUOER 「Cadenza4」のレビューまとめ

「Cadenza4」 は、派手な演出よりも“楽曲の構造を整然と見せる”ことに長けたバランス型 IEMです。
低域はタイトでスピード感があり、中域は透明でボーカルの質感が自然、高域は滑らかに伸びて空気感を美しく描きます。
横方向に誇張しない代わりに前後の奥行きやレイヤー表現が巧みで、小音量でも情報量を保つため長時間聴取でも疲れにくいのが美点。
モジュラープラグや取り回しの良いケーブル、安定した装着感など、日常使いの実用性も高水準です。
良かった点
- タイトで正確な低域/見通しのよい中域/滑らかに伸びる高域の三拍子
- 小音量でも輪郭が崩れにくく、長時間でも聴き疲れしにくい
- 前後方向の奥行きと定位の安定が優秀で、混んだアレンジでも分離が保たれる
- 4.4mm 接続や機器のグレードで“伸びしろ”が出やすい
- 柔らかいケーブル、遮音性と安定装着で通勤〜在宅まで快適
気になりやすい点(対策)
- 重低音の量感は節度的 → フォーム系イヤピや軽い EQ(100Hz +1.5dB 程度)で補正しやすい
- 録音が強い音源で上中域が目立つことがある → 口径小さめイヤピ/音量控えめで緩和
おすすめできる人・用途
- 解像度と分離を重視し、ボーカルやアコースティックの質感を丁寧に聴きたい
- モニター寄りの見通しの良さを保ちつつ、日常使いでも快適さを求める
- まずは手持ちのドングルで、のちに DAP やバランス接続で段階的にグレードアップしたい
おすすめしにくい人
- 量感で押す重低音や“ドンシャリ”の派手さを最優先する
- 録音の荒さを丸めるウォーム寄りのキャラクターを求める
ベストセッティング例早見表
目的/悩み | 推奨イヤピ | 推奨接続 | 期待できる効果 |
---|---|---|---|
低域に厚みを足したい | フォーム系 | 4.4mm/高出力DAP | 沈み込みとスケール感が増す |
上中域の張りを少し和らげたい | 口径小さめシリコン | 3.5mm(低ゲイン) | ボーカルの刺さりを抑え聴きやすく |
分離・立体感を底上げしたい | 密閉しやすいシリコン | 4.4mm | 奥行き・定位の輪郭が明瞭に |
外出で快適に使いたい | フォーム系 | 3.5mm | 遮音性向上、小音量でも情報量維持 |
購入前チェックリスト
- 手持ち機器に合わせて 3.5/4.4mm を活用する計画があるか
- イヤーピースを複数試して密閉とトーンを追い込む意欲があるか
- 重低音の“量”よりも“締まり”とスピードを重視できるか
- 小音量で長時間聴くシーン(通勤・作業)が多いか
- デザインや装着安定性など、日常の使い勝手も重視するか
簡易総合評価
項目 | 評価 |
---|---|
デザイン/質感 | ★★★★☆ |
装着快適性/遮音 | ★★★★★ |
低域(量感/制動) | ★★★★☆(量は節度的/制動は高い) |
中域(ボーカル/透明感) | ★★★★★ |
高域(伸び/聴きやすさ) | ★★★★☆ |
音場/定位 | ★★★★☆(奥行きに強み) |
解像度/分離 | ★★★★★ |
付属品/拡張性 | ★★★★☆ |
コストパフォーマンス | ★★★★☆ |
LETSHUOER 「Cadenza4」レビューの総括
「Cadenza4」は、LETSHUOERが培ってきた音作りの成熟を感じさせる一本です。
4基のBAドライバーによる緻密な描写力と、全帯域のバランスを重視したチューニングが見事に調和し、音楽を構成する細部を自然に、そして正確に再現します。
派手な演出や強調感はありませんが、聴くたびに音の奥行きや空気感の豊かさに気づかされるような、静かで力強い完成度を持っています。
また、装着感や使い勝手の良さ、モジュラープラグによる柔軟な接続性など、日常的に使う上での快適さも高水準です。
スマホからDAPまで、どんな環境でもそのクオリティを発揮し、機器のグレードアップにも確実に応えてくれる懐の深さがあります。
リスニングからモニター用途まで幅広く対応し、長く使い続けられる安定感こそがこのモデルの本質でしょう。
総じて「Cadenza4」は、誇張のない“素直な美音”を追求したイヤホンであり、音楽そのものの魅力を真っ直ぐに伝えてくれる存在です。
派手なサウンドではなく、本当に良い音を長く楽しみたい人にこそ相応しい、信頼できるパートナーのような一本だと言えます。
