「SUPERIOR EX」 レビュー|qdc×FitEarの音質・装着感・相性を徹底評価

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出典:アユート
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qdcとFitEar——アジアを代表する2つのカスタムIEMブランドがタッグを組んだことで誕生した「SUPERIOR EX(スーペリア イーエックス)」は、その登場と同時にオーディオファンの間で大きな注目を集めたモデルです。

中国・深センの最前線で革新的な設計を追求するqdcと、日本の職人技に裏打ちされた音作りを得意とするFitEar。

その両者が手を取り合うというだけでも話題性は十分でしたが、実際に耳にした瞬間、その音の完成度が単なるコラボレーションの枠を超えていることを実感させてくれます。

「SUPERIOR EX」は、qdcらしい明瞭で切れのある音像表現に、FitEar特有の自然で滑らかな中域の温かみを融合させたハイブリッドモデルです。

音の分離感や空間描写の精度は高く、それでいて聴き疲れしにくい優れたバランスを備えています。

価格帯としてはミドル〜ハイレンジに位置しながらも、その音質はハイエンド機にも迫る完成度を誇り、まさに両ブランドの強みを余すことなく詰め込んだ逸品といえるでしょう。

この記事では、「SUPERIOR EX」のデザインや装着感といったフィジカルな魅力から、音質傾向・音場の表現力・解像度に至るまで、実際のリスニング体験を通して徹底的に検証します。

単なる“ブランドコラボ”に留まらず、音楽表現の新たな領域を切り拓いたこの「SUPERIOR EX」。

その音が持つ独自の存在感と、設計思想の融合がもたらした魅力を、本記事を通じて余すところなくお伝えします。

 

  1. qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」のデザインと装着感の徹底レビュー
    1. シェルデザインと素材の質感
    2. フィット感と遮音性のバランス
    3. ケーブル・コネクタ構造の特徴
  2. qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」の音質レビュー:qdc×FitEarの融合がもたらすサウンド
    1. 低域:量感を抑えた推進力、立ち上がりの速さ
    2. 中域:声の密度と倍音の自然さ、前後の奥行き
    3. 高域と空間表現:伸び・空気感・精密な定位
    4. 補足:ジャンル適性と音量依存、相性の良い機材
  3. qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」の機能性・相性・使用シーン別インプレッション
    1. 音源や再生機器との相性(DAP・DAC・スマホ)
    2. ジャンル別レビュー(ロック/ポップス/ジャズ/クラシックなど)
    3. 使用シーン別インプレッション
  4. qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」を使用した私の体験談・レビュー
    1. 開封から初日の印象
    2. 使用を重ねて感じた変化
    3. 再生機器・環境による違い
    4. ジャンル別の聴き応え
    5. イヤーチップと装着感のチューニング
    6. 長時間使用と生活への馴染み
    7. 体験談のまとめ
  5. qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」に関するQ&A
    1. 「SUPERIOR EX」はどんな音質のイヤホンですか?
    2. qdcとFitEar、それぞれの特徴はどのように反映されていますか?
    3. どんなジャンルの音楽と相性が良いですか?
    4. 装着感や使い心地はどうですか?
    5. スマホ直挿しでも使えますか?
    6. 長時間聴いても疲れませんか?
    7. 他の同価格帯イヤホンと比べてどんな立ち位置ですか?
    8. エージング(慣らし)は必要ですか?
    9. 音量を上げると音が崩れたり刺さったりしませんか?
    10. 音楽以外の用途(映画・ゲーム)にも向いていますか?
    11. 長く使う上での魅力は何ですか?
    12. 最後に、どんなリスナーに特におすすめですか?
  6. qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」レビューのまとめ
    1. こんな人におすすめ
    2. 合わないかもしれない人
    3. 強み・弱みの整理
    4. 使用シーン別おすすめ設定例
    5. “同価格帯で何を重視するか”で見た立ち位置
    6. 購入前チェックリスト
    7. qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」レビューの総括

qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」のデザインと装着感の徹底レビュー

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出典:アユート

シェルデザインと素材の質感

「SUPERIOR EX」の第一印象は、「上品さと精密さを併せ持つイヤホン」というものです。

透明度の高いシェルには、内部のドライバー配置が美しく映り込み、機能美をそのままデザインへ昇華させています。

フェイスプレートには落ち着いた輝きを放つ金属エンブレムが埋め込まれており、ブランドのアイデンティティを主張しつつも派手すぎない印象です。

手に取ると角のない滑らかな造形が伝わり、耳に触れた瞬間から違和感がありません。

さらに仕上げの精度も非常に高く、フェイスプレートの接合部には段差がなく、長時間の使用でも耳に圧迫感が出にくいよう設計されています。

シェル表面は指紋や擦れが目立ちにくいマット調で、取り扱いのしやすさにも配慮されています。

ベント(通気孔)の位置も絶妙で、装着時の密閉感と通気性が両立されているため、自声のこもりがほとんどありません。

  • 小ぶりなシェルで耳の形に自然に沿う造形
  • 指紋や汚れが目立ちにくい高品質仕上げ
  • ベント位置が適切で、密閉感と快適さを両立
  • シェルの透明感が内部構造の美しさを際立たせる

フィット感と遮音性のバランス

装着してまず感じるのは、その軽さと安定感です。

耳道に深く押し込まずとも自然に固定され、耳掛けスタイルでケーブルを回すことでホールド感がさらに増します。

外出時に首を振ってもズレにくく、デスクワークから通勤・通学まで幅広いシーンで快適に使用できました。

遮音性は高めながらも、完全密閉型のような圧迫感がなく、外部の低音ノイズだけをほどよくカット。

電車やカフェなどの生活音を適度に遮りつつ、音楽に集中しやすいバランスが取れています。

長時間の装着でも蒸れや痛みを感じにくく、耳の小さい方にも馴染みやすいのが特徴です。

以下は、実際に試したイヤーチップごとのフィット感と音の変化を整理した表です。

イヤーチップタイプ装着感遮音性音質傾向
薄めシリコン(標準)軽快で圧迫感なし抜けが良く、明るいバランス
厚めシリコン(ワイドボア)安定感あり中〜高低域がやや増し、音像が締まる
ダブルフランジ深めの装着が可能中域密度が上がり、定位が明確
フォームタイプ包み込むようなフィット高域が滑らかになり、低音の沈み込みが増加

このようにイヤーチップによって印象が変わるため、「SUPERIOR EX」のポテンシャルを最大限に引き出すには、自分の耳に最も合うタイプを選ぶことが重要です。

装着性で感じた良点

  • 耳掛け時のケーブルテンションが自然で、長時間でも疲れにくい
  • 首や顎の動きに追従し、再装着の必要がほとんどない
  • メガネとの干渉が少なく、日常使用に支障がない

ケーブル・コネクタ構造の特徴

付属ケーブルはしなやかで軽く、取り回しが非常に良好です。

耳掛け部分には緩やかなカーブが形成されており、メモリーワイヤーが強すぎないため自然なフィットを実現。

外出中に着脱を繰り返しても形状が崩れにくく、絡まりにくいのも嬉しいポイントです。

プラグ部は低背設計で、スマートフォンやDAPの端子周りに干渉せずスムーズに接続できます。

さらに、リケーブル対応コネクタは着脱の硬さが絶妙で、安定感と安全性のバランスが取れています。

ケーブルの使用感まとめ

  • 柔らかく巻きグセがつきにくい
  • 衣服擦れ音(タッチノイズ)がほぼ皆無
  • スリムなプラグ形状で端末干渉なし
  • リケーブル時も着脱がスムーズ

ケーブルの品質は音の伝送だけでなく、使い心地にも大きく関わります。

「SUPERIOR EX」のケーブルは高級感よりも「日常の快適さ」に焦点を当てて設計されており、普段使いの利便性を高めています。


「SUPERIOR EX」は、デザインの美しさと快適な装着感を高次元で両立しています。

小ぶりなハウジングは耳に自然に馴染み、遮音性は高いのに閉塞感が少ない。ケーブルの取り回しも良く、長時間使用しても疲れにくい仕上がりです。

デザイン・構造・素材、どれを取っても細部へのこだわりが感じられ、日常的に使う中で“気持ちよく音楽に没頭できる”ことを実感できます。

 

qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」の音質レビュー:qdc×FitEarの融合がもたらすサウンド

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出典:アユート

qdcの“明瞭さ・スピード・見通しの良さ”と、FitEarの“骨格のある中域・自然な倍音・聴き疲れの少なさ”が、「SUPERIOR EX」ではバランス良く同居します。

輪郭をくっきり描きながらも線は細くならず、音の芯が残るタイプ。

低域の制動が効いているため全帯域の見晴らしがよく、音量を上げても濁りにくいのが特徴です。

低域:量感を抑えた推進力、立ち上がりの速さ

低域は“深さよりもコントロール”を重視したキャラクター。

サブベース(20–40Hz)の沈み込みは必要十分で、ミッドベース(60–120Hz)は膨らまずタイトに収束します。

キックのアタックが俊敏で、後段のデケイが短めに整うため、ベースラインの輪郭が滲まずリズムの推進力が前に出てきます。

聴感のポイント

  • 量感:過不足ない中庸。重低音で“包む”より、土台を“固める”傾向
  • スピード:立ち上がりが速くタメが少ない。テンポの速い曲で有利
  • テクスチャ:ベースの弦振動やキックの皮鳴りが分解しやすい
  • 混濁耐性:多人数編成・電子音多用でも低域が他帯域を覆わない

向く音源/表現が活きる場面

  • 打ち込みの4つ打ち、ドラムンベース:アタックの見切れが良い
  • フュージョン/ジャズ:ウッドベースの胴鳴りと運指の分離
  • オーケストラ:低弦群が土台に回り、中高域のハーモニーが立つ

中域:声の密度と倍音の自然さ、前後の奥行き

本機の“心臓部”は中域。

声は1–3kHz帯が過剰に前に出ず、厚みを保ったまま自然に前方へ定位します。

qdc的な輪郭の精密さに、FitEarらしい肉付きと倍音の滑らかさが加わることで、「情報量は多いのに刺さらない」絶妙な聴感に。

上の帯域へつなぐ2–4kHzのエリアはエッジの立て方が巧く、母音が痩せず子音が立つため、ボーカルのブレスや口腔内の響きが見通し良く聴き取れます。

ボーカル/楽器の描写

  • 男声:胸声の厚みを維持しつつ、子音の抜けで籠もりを回避
  • 女声:上ずらず、サシスセソのエッジを適度に丸めて滑らか
  • ピアノ:打鍵の衝撃と響板の余韻が分離。和音の濁りが少ない
  • ギター:ピッキングのアタックと胴鳴り・残響の時間軸が明瞭

リスニング体験での効能

  • 小音量でも情報が潰れにくく、夜間リスニングに向く
  • 合唱や重ねたコーラスで各声部の“居場所”が崩れない
  • ライブ音源で“前の人/後ろの人”の距離感が把握しやすい

高域と空間表現:伸び・空気感・精密な定位

高域は8–10kHzの輝度が適度に保たれ、シンバルの金属感やストリングスの弓の返しに艶が出ます。

10kHz以降の“空気感(エア)”も量感が盛られすぎておらず、音の輪郭が白く飛びにくい設計。

結果として音場は左右に広がりつつ、前後方向(奥行き)の層がきれいに積み上がります。

定位は中心に“ピン”と点を結ぶタイプで、マイク位置が想像できる精密なステレオ像が得られます。

空間・高域での聴きどころ

  • 残響:ホールリバーブの初期反射と後期残響が段階的に見える
  • マイクロダイナミクス:pp→mfの微小なレベル変化が掬い取れる
  • シズル:ハイハットの減衰尾が粒立ち良く、ジャジーでも刺さらない
  • スケール:室内楽では親密、オケでは広がる——可変性が高い

補足:ジャンル適性と音量依存、相性の良い機材

観点評価・相性補足
ジャンル適性ポップス/R&B/ジャズ/フュージョン/クラシック(室内楽~オケ)で高評価EDM/ヒップホップは“量で押す”タイプより“キレで踊らせる”方向
音量依存低~中音量で情報が崩れにくい深夜リスニングに強い。過大音量でも高域が白くならない
解像度の見え方マクロ(大きな起伏)よりもミクロ(細部の変化)で強み余韻・倍音・ブレスなど微細表現にフォーカス
ソース相性クリア系DAP/中低域が膨らまないDACと好相性温厚系アンプを足すと厚みが増し、万能感が増える
イヤーチップ影響フォーム=厚み強化/シリコン薄肉=抜け重視低域量はチップで適度に調整可能

「SUPERIOR EX」は、情報量と聴きやすさの“同時成立”が最大の美点です。

低域は必要十分の量でスピード感を確保、中域は密度と滑らかさを両立し、ボーカルの質感を自然に再現。

高域は伸びと艶を保ちながら暴れず、空間は前後の奥行きまで丁寧に積層されます。

結果として、日常のBGMから集中試聴、録音批評までナチュラルにスイッチできる“汎用性の高い基準機”として機能します。

 

qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」の機能性・相性・使用シーン別インプレッション

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音源や再生機器との相性(DAP・DAC・スマホ)

「SUPERIOR EX」は、前段機器の特徴を正確に反映するリニアな特性を持ち、音源や再生環境によって印象が大きく変化します。

高解像度ながら過度に鋭くならず、プレイヤーの音作りを素直に受け取るタイプです。

ハイエンドDAPでは立体感とレンジが広がり、スマホ直挿しでも一定のクオリティを維持する柔軟さが印象的です。

どんな機器を繋いでもバランスを崩さず、それぞれの個性を引き出す。まさに中立的でありながらも芯のあるサウンドです。

相性の傾向

  • クリア系DAP → 音場が広がり、高域の伸びと透明感が向上
  • ウォーム系アンプ → ボーカルが柔らかく、音像に温かみが加わる
  • スマホ直挿し → バランスは良いが、低域の厚みを補うなら小型DACが有効
機器タイプ相性評価音の傾向おすすめジャンル
ニュートラル系DAP(例:FiiO M11 Plus)★★★★★高解像・ワイドレンジジャズ、クラシック
ウォーム系DAP(例:HiBy R6 Pro II)★★★★☆厚み・艶感ポップス、バラード
高速系DAC(例:Mojo 2)★★★★☆俊敏・ドライロック、EDM
スマホ直挿し★★★☆☆ややフラット通勤・動画視聴向け

高出力アンプを組み合わせると、低域の押し出しが増し、音の立体感がより深まります。

一方で過度に明るい機器と合わせると、音がやや硬質になる場合があるため、全体のバランスを見て選ぶことが重要です。

ジャンル別レビュー(ロック/ポップス/ジャズ/クラシックなど)

「SUPERIOR EX」は、ジャンルを選ばない万能型ですが、特に“音の分離とスピード”を重視する楽曲で真価を発揮します。

各楽器の距離感と定位が明確で、ボーカルが中心にすっと浮かび上がるように定位します。

一方で、バラードやジャズのような“情感を聴かせる音楽”でも、柔らかく温かい中域が心地よく響きます。

ジャンル印象・特徴相性の良いセッティング
ロックドラムとギターの分離が良く、疾走感抜群シリコンチップ+クリア系DAP
ポップスボーカルが前に出て自然、サ行が刺さらないウォーム系DAPで艶を追加
ジャズスネアやベースの輪郭が明瞭で、空気感豊かワイドボアチップで解像度UP
クラシック奥行きが深く、弦の重なりもクリアニュートラルDAP+薄肉チップ
EDM低域が俊敏でノリが良い。輪郭が崩れないフォームチップで厚みを補強
ヒップホップラップの抜けが良く、低音がタイト低域をEQで少し上げると◎

ジャンルによって印象が変わるものの、いずれも「楽器の数が多くても混ざらない」という一貫した傾向を持っています。

これはqdcの空間処理とFitEarのチューニングセンスが見事に融合した結果といえるでしょう。

使用シーン別インプレッション

「SUPERIOR EX」は、屋内・屋外どちらでも安定して高音質を楽しめる点が魅力です。

遮音性が高く、タッチノイズもほとんど感じないため、外出先でも没入感を維持できます。

使用シーン別の印象

  • 通勤・通学時:遮音性が高く、電車内でも細部がしっかり聴こえる。長時間でも耳が痛くなりにくい。
  • カフェやオフィス:中音量でも音の解像度が保たれ、周囲の雑音を自然に遮断。集中作業との相性が良い。
  • 自宅リスニング:ハイレゾ音源で空間の奥行きが際立ち、夜間でも小音量で十分楽しめる。
  • 旅行や移動中:軽量で安定感があり、ケーブルの取り回しも快適。映画や動画視聴にも好適。
シーン快適さ音の安定感コメント
通勤・電車内★★★★★★★★★☆遮音性が高く、没入感が強い
カフェ・作業中★★★★☆★★★★★中音量でも情報量が豊か
自宅・夜間★★★★★★★★★★小音量でもバランスが崩れない
移動・旅行★★★★☆★★★★☆タッチノイズが少なく疲れにくい

使いこなしのヒント

  • フォームチップで低音を増やすと、移動時でも厚みが保てる
  • シリコンチップに変えると、開放感とスピード感が向上
  • DAP側でゲインをLowに設定すると、ノイズレスで安定したリスニングが可能

「SUPERIOR EX」は、前段機器や環境に左右されにくい安定感を持ちながら、組み合わせ次第で多彩な表情を見せるイヤホンです。

スマホ直挿しでも十分なクオリティを発揮しつつ、ハイエンドDAPを繋げば音場の奥行きと繊細な空気感が一段上に広がります。

屋内外を問わず快適に使える装着感と相まって、「どんな環境でも最高の音を保つ」という理想を体現したモデルといえるでしょう。

 

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qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」を使用した私の体験談・レビュー

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開封から初日の印象

開封して最初に装着した瞬間、耳にすっと収まる感覚に驚きました。

シェルのサイズは小ぶりで、肌触りも滑らか。長時間リスニングしても耳に違和感が生まれないことに、まず「FitEarらしさ」を感じました。

音を鳴らすと、qdcらしい解像度の高さとスピード感がすぐに伝わってきます。

しかし同時に、FitEar特有の“厚みのある中域”が柔らかく支え、「分析的なのに温かい」という独特のバランスに心を掴まれました。

初日はまだややドライな印象で、低域の量感も控えめ。けれど、聴き込むほどに音の密度が増していく予感を感じました。

使用を重ねて感じた変化

数日間使用を続けるうちに、音の輪郭が自然にほぐれ、聴き心地がより滑らかに変化していきました。

特に中域の充実感は顕著で、ボーカルの厚みや楽器の響きが増し、曲全体の立体感が増した印象です。

時間経過による変化(主観的な流れ)

使用時間変化の内容印象
開封直後高解像・やや硬質な音分析的で輪郭がシャープ
24時間後中低域が馴染み始める音のつながりが自然に
1週間後音場が奥に広がり、空間に余裕長時間でも聴き疲れしない
2週間後全帯域が統一感を持ち、完成度が高まる「一枚の絵」として音楽を描く感覚

この“鳴らし込みによる熟成感”は、単なるエージング効果というより、自分の耳とイヤホンが馴染んでいく過程のように感じました。

再生機器・環境による違い

自宅では据え置きDAC、外出時は小型DAPとスマホ+DACアダプターで使用。

どの環境でも音の方向性は変わらず、基準点のような安定感があります。

ただし、前段機器による“味付け”は明確に現れました。

環境再生機器音の特徴使用感
自宅(深夜)据え置きDAC+アンプ温かく包み込む音。余韻が滑らか長時間リスニングでも疲れない
カフェ作業小型DAP(ニュートラル系)明瞭で解像度が高い。空間が広いタイピング音に負けない存在感
通勤電車スマホ+小型DAC遮音性が高く、低音が程よく強化外の騒音を自然にカット

特に小音量時でも定位や解像度が崩れない点は特筆すべきで、夜間の静かな時間帯に最適です。

音を「聴く」というより「空気を感じる」ような心地よさがありました。

ジャンル別の聴き応え

日常的にさまざまなジャンルを聴き比べたところ、「SUPERIOR EX」は音楽の個性をそのまま描き出し、ジャンルごとに“鳴らし分ける”柔軟さを持っていました。

  • ロック/ポップス:ドラムとギターのエッジがシャープ。ボーカルが自然に前に出てくる。
  • ジャズ/アコースティック:楽器の空気感が豊かで、演奏者が“そこにいる”ような臨場感。
  • EDM/ヒップホップ:量感よりもキレで聴かせるタイプ。フォームチップで低域を少し補うと迫力アップ。
  • クラシック:音場の奥行きと弦の艶が印象的。小音量でも立体感を失わない。

ジャンルを問わず、定位と空間表現の正確さが際立ち、音楽の構造そのものを“視覚的に”捉えられるような体験がありました。

イヤーチップと装着感のチューニング

イヤーチップを変えることで、「SUPERIOR EX」のキャラクターが大きく変化するのも印象的でした。

自分の耳に合う組み合わせを見つけることで、音の密度と快適さが格段に向上します。

チップタイプ音の傾向使用場面
薄肉シリコン抜けが良くスピード感あり屋内リスニング・分析用
厚肉シリコン中域が濃密で安定感ありボーカル中心の楽曲に最適
フォーム低域が豊かで遮音性が高い外出・通勤時に最適

最終的に、私は「屋内=薄肉シリコン」「外出=フォーム」で固定しました。

フォームチップを使用すると若干高域が落ち着くため、DAP側で10kHz付近を+1dB補正すると理想的なバランスになります。

長時間使用と生活への馴染み

2〜3時間装着しても耳が痛くならず、メガネとの干渉も最小限。

イヤーフックの自然なカーブがフィット感を維持し、長時間作業や出張先での移動中でも快適です。

ケーブルのタッチノイズも少なく、日常生活に溶け込むイヤホンとしての完成度が非常に高いと感じました。

特に印象的だったのは、音楽を流していない“無音の時間”でも耳の中が快適で、違和感を覚えないこと。

装着そのものがストレスにならないというのは、長く使う上で大きな利点です。

体験談のまとめ

「SUPERIOR EX」を使い込んで感じたのは、派手さよりも「静かな信頼感」で心を掴むイヤホンだということです。

初めはクールで分析的な印象でしたが、時間とともに音がほぐれ、自然な温かみと立体感が増していきました。

特にボーカルの質感と中域の密度は秀逸で、聴き疲れしにくく、どんなジャンルでも整った音の風景を描き出します。

装着感の良さやケーブルの取り回しも優れており、通勤・作業・夜のリスニングなど、あらゆるシーンで自然に音楽に没入できました。

機材やイヤーチップの組み合わせによって表情を変える柔軟さも魅力で、使うほどに愛着が深まります。

結局のところ、このイヤホンは“共に時間を重ねていくほど真価を発揮する相棒”のような存在。

日常の音楽を、より丁寧に味わいたい人にこそ薦めたい一台です。

 

qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」に関するQ&A

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qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」に関してよく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。

「SUPERIOR EX」はどんな音質のイヤホンですか?

「SUPERIOR EX」は、高解像度でありながら柔らかさを持つバランス型サウンドが特徴です。qdcの精密な音像とFitEarの自然で温かい中域が融合しており、ボーカルの質感や楽器の分離感が非常に優れています。低域はタイトでスピード感があり、高域は伸びが自然。全体として「分析的すぎず、聴き心地が良い」サウンドに仕上がっています。

qdcとFitEar、それぞれの特徴はどのように反映されていますか?

qdcの特徴である明瞭さと空間表現の広さがベースにあり、そこへFitEarらしい中域の肉付きと倍音の滑らかさが加わっています。結果として、情報量が多くても耳当たりが穏やかで、長時間聴いても疲れにくい音作りになっています。まさに「解像度と音楽性の融合」と呼ぶにふさわしいチューニングです。

どんなジャンルの音楽と相性が良いですか?

ジャンルを問わず使える万能型ですが、特に以下のジャンルで真価を発揮します。

ジャンル特徴・聴きどころ
ポップス/J-POPボーカルの立ち位置が明確で、サ行の刺さりがない自然な抜け感
ジャズ/アコースティック楽器の空気感やホール残響が立体的に表現される
ロック/オルタナティブギターの歪みやドラムのキレがタイトで疾走感がある
クラシック奥行きのある音場で、弦の重なりや定位の精度が際立つ
EDM/ヒップホップ低域のスピード感を楽しめる(フォームチップで量感調整可)

装着感や使い心地はどうですか?

シェルはコンパクトで耳の形に沿う設計。浅めの装着でも密閉が決まりやすく、長時間でも耳が痛くなりにくい構造です。遮音性は高めで、通勤やカフェなどでもしっかり集中できます。また、付属ケーブルは柔らかく取り回しやすいので、外出時でもストレスがありません。

スマホ直挿しでも使えますか?

はい、スマホ直挿しでも十分なクオリティを発揮します。
ただし、より深い低域と広い音場を求めるなら、小型DACやポータブルアンプを使うと一段階上の表現力を感じられます。特にロスレス音源やハイレゾ再生時に違いが明確です。

長時間聴いても疲れませんか?

はい。「SUPERIOR EX」は高解像ながら刺激が強すぎず、自然で滑らかな高域を持っています。これにより、長時間聴いても耳が痛くなったり、頭が重くなるような疲れを感じにくいです。実際、2〜3時間のリスニングでも集中が途切れず、BGMから本気の試聴まで幅広くこなせます。

他の同価格帯イヤホンと比べてどんな立ち位置ですか?

同価格帯の中では「派手さよりも完成度で勝負するタイプ」です。解像度ではハイエンド機に迫りつつ、音楽的な温かさを失わないのが強み。たとえば、同価格帯のqdc Fusionが“硬質でスピード重視”だとすれば「SUPERIOR EX」は“柔らかく精密”な方向です。音の傾向が異なるため、聴き比べるとそれぞれの魅力がより際立ちます。

エージング(慣らし)は必要ですか?

厳密な意味でのエージングは不要ですが、耳が慣れる過程で印象が変わるイヤホンです。最初はややクールに感じても、数日使ううちに中域が温かくなり、音の繋がりが滑らかになります。機械的というより“ユーザーと一緒に育つ”タイプです

音量を上げると音が崩れたり刺さったりしませんか?

高音の伸びは自然で、音量を上げても刺さるようなピーク感はほとんどありません。むしろ中域の安定感が保たれるため、ボーカルや弦楽器の艶が増します。この「音量耐性の高さ」は、「SUPERIOR EX」の大きな魅力のひとつで、ライブ盤やオーケストラを“気持ちよく大きめの音で聴ける”数少ないモデルです。

音楽以外の用途(映画・ゲーム)にも向いていますか?

非常に向いています。定位の精密さと中域の厚みがあるため、映画ではセリフの明瞭度が高く、環境音の距離感も正確です。ゲーム用途では音の位置関係が明瞭で、“前方定位の広さ”と“左右の距離感”のバランスが絶妙。特に臨場感重視のプレイヤーにとって、没入感の高いサウンドを楽しめます。

長く使う上での魅力は何ですか?

時間をかけて使うほど、音の滑らかさや中域の深みが増していきます。最初はやや硬質に感じても、使い続けるうちに耳と音が馴染み、より自然な音の流れを楽しめるようになります。一度慣れてしまうと、他のイヤホンに戻れないほどの“ニュートラルな快適さ”があり、まさに“長く育てるイヤホン”と呼べる存在です。

最後に、どんなリスナーに特におすすめですか?

音の輪郭よりも「音楽そのものの美しさ」を楽しみたい人、派手さよりも“誠実な再現力”を重視する人に最も向いています。日常的に音楽を聴き込むタイプのリスナーにとって、「SUPERIOR EX」は“信頼できる相棒”となるでしょう。

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qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」レビューのまとめ

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「SUPERIOR EX」は、解像度と聴きやすさを同時に満たす“基準機”タイプです。

qdc的な見通しの良さと、FitEarらしい中域の滑らかさが自然に同居し、ジャンルや環境を選ばず“整った音”を供給します。

量で押す派手さよりも、定位・分離・質感といった「音の作法」を大切にするリスナーに強く響きます。

こんな人におすすめ

  • ボーカルの質感や中域の密度を最重視する
  • 小音量でも情報量と奥行きが崩れないイヤホンを探している
  • 通勤・作業・夜間リスニングまで、日常に溶け込む1本が欲しい
  • 前段機器やイヤーチップで細かく“追い込み”を楽しみたい
  • 派手さより長時間の快適さと安定感を評価する

合わないかもしれない人

  • 重低音の物量で床を揺らしたい(EDM/ヒップホップで量感重視)
  • 高域を強く輝かせた“ハイシャープ”なサウンドが好み
  • 濃い色付けの音で初聴から強いインパクトが欲しい

強み・弱みの整理

強み

  • 中域の密度と高域の伸びが両立、ボーカルが自然で刺さらない
  • 低域はタイトで俊敏、全帯域の見晴らしを損なわない
  • 小音量耐性が高く、夜間やながら聴きでも満足度が落ちにくい
  • 装着安定・遮音性良好、長時間でも疲れにくい
  • 前段やチップで狙った方向へ微調整しやすい

弱み(対策)

  • 低域の“圧”が物足りないと感じる場合がある → フォームチップ+低域1〜2dB
  • クリア系機器で硬さが出ることがある → ややウォームなアンプ/DAPを組み合わせる
  • 初聴のインパクトは控えめ → 数日使って装着深度とチップ最適化で持ち味が開く

使用シーン別おすすめ設定例

シーン推奨チップ前段の傾向メモ
通勤・電車内フォームほんのりウォーム低域の底面積を増やし騒音に勝つ
カフェ・作業薄肉シリコンニュートラル小音量でも定位が崩れず集中維持
自宅・夜間薄肉シリコン据置/ニュートラル〜ウォーム10kHz+1dBでエア感を微補正
スポーツ・移動多め厚肉シリコンクリアホールドとスピード感のバランス

“同価格帯で何を重視するか”で見た立ち位置

優先軸SUPERIOR EXの立ち位置代替アプローチ
ボーカル質感/中域最優先で推せる。厚みと抜けの同時成立さらに濃さが欲しければウォーム前段を追加
分離・定位・空間精密で自然。前後のレイヤーが崩れにくい解析的に寄せるなら硬質系アンプで“エッジ強化”
重低音の量控えめ〜中庸フォーム+EQ(60〜120Hz +1〜2dB)で補強
高域の輝き伸びは自然、過度に眩しくない明るいケーブル/前段で華やかさを足す

購入前チェックリスト

  • 自分の普段の音量は小音量寄りか(→相性◎)
  • 低域は量よりも制動と輪郭を求めるか
  • イヤーチップの在庫(薄肉/厚肉/フォーム)を複数用意できるか
  • 前段機器の傾向(クリア/ウォーム)を把握して微調整できるか

qdc × FitEar 「SUPERIOR EX」レビューの総括

「SUPERIOR EX」は、qdcとFitEarという二つの哲学が出会い、互いの強みを高次元で融合させたイヤホンでした。

qdcが得意とする精密な定位とスピード感、そしてFitEarが誇る自然な中域と温かみのある倍音。

その二つが矛盾せず共存している点に、このモデルの完成度の高さが表れています。

聴くたびに音の奥行きが増し、細部に宿る空気感や質感がより鮮明に感じられる。

まさに「分析と感性の境界線を溶かしたサウンド」と言えるでしょう。

また、軽やかな装着感と静寂を保つ遮音性は、音楽と向き合う時間を穏やかに演出します。

派手なインパクトや過剰な演出はありませんが、聴き込むほどに“手放せない安定感”が積み重なり、どんなシーンでも信頼できる存在になります。

ジャンルを問わず、日常に寄り添う一台として長く使い続けられる完成度の高さこそ、このイヤホンの最大の魅力です。

もしあなたが、派手な刺激ではなく、音楽そのものの誠実な美しさを味わいたいと願うなら、「SUPERIOR EX」はその想いに静かに応えてくれるでしょう。

——音を「聴く」から「感じる」へ、その一歩を導いてくれるのが、このイヤホンです。

 

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