オーディオ愛好家にとって、新しいデジタルオーディオプレイヤー(DAP)の登場は常に楽しみなイベントです。
今回は、ONIXというブランドから新しくリリースされた「Overture XM5」というDAPについてレビューします。
ONIXは、主に高級ステレオ機器を製造しているブランドで、最近ではポータブルデバイスにも力を入れ始めました。
この「Overture XM5」は、その初めてのポータブルDAPであり、非常に注目されています。
「Overture XM5」は、まずそのビルドクオリティとデザインで目を引きます。
フルCNC加工されたアルミニウムユニットは、高級感と堅牢性を兼ね備えており、大きなボリュームホイールやクリック感のある物理ボタンが特徴です。
オーディオ性能についても、「Overture XM5」は非常に優れています。
この記事では、ONIX 「Overture XM5」の詳細なレビューを通じて、その魅力と実力を探っていきます。
特に、オーディオ性能や使用感について深く掘り下げていきますので、興味のある方はぜひ最後までお読みください。
ONIX 「Overture XM5」とは?
基本情報と価格
ONIX 「Overture XM5」は、ONIXが初めてリリースしたポータブルデジタルオーディオプレイヤー(DAP)です。
このデバイスは、特に高音質と使いやすさを重視した設計が特徴です。
価格は約13万円で、ミドルレンジのオーディオ機器として位置づけられています。
デザインとビルドクオリティ
「Overture XM5」のデザインは、クラシカルなヴィンテージ感と最新のテクノロジーを融合させたものです。
フルCNC加工されたアルミニウムボディは堅牢で高級感があり、重量感も約275.6グラムとしっかりしています。
特に注目すべきは、大きなボリュームホイールやクリック感のある物理ボタンで、操作のしやすさとデザイン性を兼ね備えています。
本体のカラーリングは基本的にブラックで、ボリュームホイールなどの一部にゴールドのアクセントが施されています。
このブラックとゴールドの組み合わせは、非常に高級感があり、所有欲を満たすデザインです。
また、専用のレザーケースも別売りで提供されており、このケースを使用することでさらに重厚感が増します。
ディスプレイは3インチの高解像度LCDパネルを採用しており、視認性と色彩の美しさが際立っています。
解像度は720pで、クリアな映像を楽しむことができます。
ユーザインターフェースと操作性
「Overture XM5」は、シンプルで直感的なユーザインターフェース(UI)を備えています。
タッチパネル操作に加えて、物理ボタンやカスタマイズ可能なファンクションキーを利用することで、より迅速で快適な操作が可能です。
物理ボタンには、再生/停止、曲送り、曲戻しなどの基本操作が割り当てられており、これにより画面に触れることなく操作が可能です。
特に、手が汚れている場合や手袋をしている場合など、タッチ操作が難しい状況で非常に便利です。
ファンクションキーは、ユーザーの好みに合わせてカスタマイズすることができます。
例えば、画面の回転ロックや音量の調整、メインメニューへのアクセスなど、頻繁に使用する機能を割り当てることができます。
これにより、自分だけの使いやすいインターフェースを構築することができます。
UIは、シンプルながらも必要な機能が全て揃っており、直感的に操作できる設計になっています。
インターフェースはShanlingの「M5 Ultra」と似ており、操作感も非常にスムーズです。
ただし、Android OSを搭載していないため、サードパーティ製アプリのインストールはできません。
ONIX 「Overture XM5」のオーディオ性能
ダックセクション
ONIX 「Overture XM5」は、そのオーディオ性能で際立っています。
特にDAC(デジタル・アナログ・コンバーター)セクションが強力です。
ESS ES9039SPRO DACチップを採用しており、最新のExmosデジタルレシーバーと組み合わせて使用されています。
この組み合わせにより、非常に高い解像度とクリアな音質を実現しています。
ESS ES9039SPRO DACはフラッグシップクラスのDACであり、その性能は他のハイエンドDAPにも匹敵します。
音質評価
「Overture XM5」の音質は、非常に詳細でクリアです。
全体的に自然な音質でありながら、次のような特徴があります。
- 中音域:中音域は非常に豊かで、ボーカルや楽器の音が近く感じられます。このため、ロックやポップスなどのボーカル中心の楽曲に非常に適しています。中音域の表現は、アナログライクでクラシカルなサウンドを提供します。
- 低音域:低音域はタイトで締まりがあり、量感も十分です。特に、バランス出力での低音のパンチとインパクトは、ベースヘッドにも満足できるレベルです。低音域は、感触系のサウンドで、しっかりとした輪郭を持っています。
- 高音域:高音域は清晰で、シンバルやハイハットなどの音が鮮明に聞こえます。ただし、耳障りな鋭さはなく、非常にバランスの取れた音質です。
- サウンドステージ:音の広がりや奥行きも素晴らしく、音場が広いです。これにより、クラシックやライブ録音などの空間表現が求められる音楽にも適しています。
使用感と音楽体験
「Overture XM5」の使用感は、非常に快適です。
物理ボタンとタッチスクリーンの組み合わせにより、操作が直感的で迅速に行えます。
特に物理ボタンは、再生/停止、曲送り、曲戻しなどの基本操作が簡単にできるため、画面を見る必要がありません。
- バッテリー寿命:バッテリー寿命も優れており、シングルエンドで約14時間、バランス出力で約12時間の連続再生が可能です。これにより、長時間のリスニングセッションでも安心して使用できます。
- ワイヤレス接続:「Overture XM5」はBluetoothとWi-Fiに対応してますが、Android OSを搭載していないため、サードパーティ製アプリのインストールはできません。それでも、Wi-FiとBluetoothの接続は安定しており、ワイヤレスでの高音質再生が可能です。
- ノイズフロア:ノイズフロアは非常に低く、超高感度なIEMでもノイズがほとんど感じられません。これにより、音楽の細部までクリアに再生できます。
オーディオ性能まとめ
ONIX 「Overture XM5」は、その優れたオーディオ性能と使いやすさで、オーディオファンにとって非常に魅力的な選択肢となります。
特に、その高解像度DACにより、さまざまなヘッドホンやイヤホンで素晴らしい音質を提供します。
ONIX 「Overture XM5」と他社製品との比較
ONIX 「Overture XM5」は、多くの高性能DAPと競争しています。
このセクションでは、特に注目すべき3つの競合製品と比較します。
Shaning 「M5 Ultra」との比較
Shaning 「M5 Ultra」は、ONIX 「Overture XM5」の最も直接的な競合製品の一つです。
両者は多くの共通点を持ちながらも、いくつかの重要な違いがあります。
- デザインとビルドクオリティ:両者ともに高級感あふれるアルミニウムボディを採用していますが、「Overture XM5」はよりヴィンテージ感のあるデザインで、物理ボタンと大きなボリュームホイールが特徴です。一方、「M5 Ultra」はモダンなデザインで、タッチスクリーン操作が主体です。
- オーディオ性能:「Overture XM5」はESS ES9039SPROチップを搭載し、バランス出力で1.1ワットの出力を提供します。これに対し、「M5 Ultra」は同様の出力を提供しますが、音質はよりクリアで解像度が高いとされています。「Overture XM5」は温かみのある音質で、中音域が豊かでボーカルが近く感じられますが、「M5 Ultra」は全体的にバランスが取れており、よりフラットなサウンドプロファイルです。
- 機能と操作性:「M5 Ultra」はAndroid OSを搭載しており、サードパーティ製アプリのインストールが可能です。一方、「Overture XM5」はシンプルなインターフェースで、物理ボタンの操作が直感的です。また、「M5 Ultra」はスクリーン回転などのカスタマイズ可能なファンクションキーを備えており、操作性で優れています。
FiiO 「M23」との比較
FiiO 「M23」は、中価格帯の人気DAPであり、ONIX Overture XM5と比較すると以下の点で違いがあります。
- デザインとビルドクオリティ:「M23」は軽量でスリムなデザインを特徴としており、持ち運びやすさが強みです。一方、「Overture XM5」は重厚で高級感のあるデザインで、物理ボタンが操作しやすいです。
- オーディオ性能:「M23」は、「Overture XM5」に比べて出力が低く、特に高インピーダンスのヘッドホンを駆動する能力が劣ります。「Overture XM5」はESS ES9039SPROチップを搭載し、バランス出力で1.1ワットの出力を提供するため、より広範なヘッドホンで優れたパフォーマンスを発揮します。音質面では、「M23」はクリアでニュートラルなサウンドプロファイルを提供しますが、「Overture XM5」は温かみのあるリッチなサウンドです。
- 機能と操作性:「M23」はAndroid OSを搭載しており、サードパーティ製アプリのインストールが可能です。「Overture XM5」は、シンプルなインターフェースと物理ボタンの操作性に優れており、使いやすさが際立っています。
HiBy 「R6 Pro 2」との比較
HiBy 「R6 Pro 2」は、ONIX Overture XM5の競合製品として高評価を受けています。
- デザインとビルドクオリティ:「R6 Pro 2」は、モダンでスタイリッシュなデザインを採用しており、大きなタッチスクリーンが特徴です。「Overture XM5」はヴィンテージ感のあるデザインで、物理ボタンと大きなボリュームホイールが特徴です。ビルドクオリティはどちらも高く、好みによる選択になります。
- オーディオ性能:「R6 Pro 2」は、高性能DACチップを搭載しており、解像度の高いクリアな音質を提供します。「Overture XM5」はESS ES9039SPROチップを使用しており、バランス出力で1.1ワットの出力を提供するため、特に高インピーダンスのヘッドホンで優れたパフォーマンスを発揮します。音質面では、「R6 Pro 2」は非常にフラットでバランスの取れたサウンドプロファイルを提供しますが、「Overture XM5」はより温かみのあるリッチなサウンドです。
- 機能と操作性:「R6 Pro 2」もAndroid OSを搭載しており、サードパーティ製アプリのインストールが可能です。「Overture XM5」は、シンプルなインターフェースと物理ボタンの操作性に優れており、直感的な操作が可能です。
競合品との比較まとめ
ONIX 「Overture XM5」は、その優れたオーディオ性能と使いやすさで他社製品と比較しても非常に競争力があります。
特に、高出力アンプと高解像度DACにより、幅広いヘッドホンで優れた音質を提供します。
他の製品と比較しても、独自のデザインと操作性、そして高音質で際立っています。
ONIX 「Overture XM5」を使用した私の体験談・レビュー
初めての印象
初めてONIX 「Overture XM5」を手に取ったとき、その重量感とビルドクオリティに驚きました。
フルCNC加工されたアルミニウムボディは高級感があり、特に大きなボリュームホイールとクリック感のある物理ボタンが印象的でした。
このデザインは、どこか懐かしさを感じさせるヴィンテージ感と最新技術が融合しており、視覚的にも触覚的にも満足感を与えてくれます。
セットアップと初期設定
セットアップは非常に簡単で、直感的に操作できるUIのおかげで、すぐに音楽再生を始めることができました。
初めに、MicroSDカードにお気に入りの音楽を入れてセットし、USB-Cポートを使ってファイルを転送しました。
インターフェースはシンプルで、すぐに慣れることができました。
また、ファンクションキーのカスタマイズも行い、自分の使いやすいように設定しました。
音質の体験
実際に音楽を再生したとき、「Overture XM5」の音質に圧倒されました。以下は、私が感じた音質の特徴です:
- 中音域:ボーカルや楽器の音が非常に近く感じられ、まるでライブパフォーマンスを聴いているかのようでした。特にロックやポップスの楽曲でその違いが顕著で、アーティストの息づかいや細かなニュアンスが明瞭に伝わってきました。
- 低音域:低音はタイトで引き締まっており、量感も十分でした。特にバランス出力での再生時には、ベースのパンチとインパクトが非常に強く、エレクトロニカやヒップホップの楽曲でその威力を発揮しました。
- 高音域:高音はクリアで、シンバルやハイハットなどの音が鮮明に聞こえました。耳障りなシャープさはなく、長時間聴いても疲れないバランスの取れた音質です。
- サウンドステージ:音の広がりや奥行きが素晴らしく、クラシックやジャズなどの空間表現が求められる音楽でも、非常にリアルな音場を提供してくれました。
実際の使用感
日常的に使用してみて、「Overture XM5」の操作性の良さが特に際立ちました。
物理ボタンのおかげで、画面を見ずに操作が可能なため、ポケットに入れたままでも簡単に再生/停止や曲送りができました。
また、カスタマイズ可能なファンクションキーは、自分の好みに合わせて設定できるため、非常に便利でした。
バッテリー寿命も期待以上で、シングルエンドで約14時間、バランス出力で約12時間の連続再生が可能でした。
これにより、長時間の外出時でもバッテリー切れを心配することなく音楽を楽しむことができました。
外出先での使用
外出先でも「Overture XM5」は大活躍でした。
特に、Bluetooth接続を利用してワイヤレスで音楽を聴くことができるため、ケーブルの煩わしさがなく快適に音楽を楽しめました。
総合的な満足度
総じて、ONIX 「Overture XM5」はその音質、ビルドクオリティ、操作性のすべてにおいて非常に満足のいく製品でした。
特に、音質面でのパフォーマンスは期待を上回り、あらゆるジャンルの音楽を最高のクオリティで楽しむことができました。
また、ヴィンテージ感のあるデザインも非常に魅力的で、所有する喜びを感じさせてくれます。
「Overture XM5」は、音楽愛好家やオーディオファンにとって、ぜひ手に入れる価値のある一台だと感じました。
ONIX 「Overture XM5」に関するQ&A
バッテリー寿命はどのくらいですか?
「Overture XM5」のバッテリー寿命は、使用方法によって異なりますが、シングルエンド(3.5mmジャック)で約14時間、バランス出力(4.4mmジャック)で約12時間の連続再生が可能です。これは、通常の使用で一日中音楽を楽しむのに十分なバッテリー寿命です。
「Overture XM5」はどのようなオーディオフォーマットに対応していますか?
「Overture XM5」は、FLAC、ALAC、WAV、MP3、AAC、DSDなど、さまざまなオーディオフォーマットに対応しています。これにより、高解像度のオーディオファイルから一般的な音楽ファイルまで、幅広いフォーマットの音楽を楽しむことができます。
Bluetoothの接続はどの程度安定していますか?
「Overture XM5」はBluetoothに対応しており、接続は非常に安定しています。Bluetoothは高品質のコーデック(aptX、LDACなど)をサポートしており、ワイヤレスで高音質の音楽を楽しむことができます。
物理ボタンはどのようにカスタマイズできますか?
「Overture XM5」にはカスタマイズ可能なファンクションキーがあります。設定メニューから、スクリーンの回転ロック、音量調整、メインメニューへのアクセスなど、頻繁に使用する機能をファンクションキーに割り当てることができます。これにより、ユーザーの好みに合わせた操作が可能です。
「Overture XM5」はどのようなヘッドホンやイヤホンに適していますか?
「Overture XM5」は、高出力のESS ES9039SPROチップを搭載しており、バランス出力で1.1ワットの出力を提供します。これにより、低インピーダンスのIEM(インイヤーモニター)から高インピーダンスのデスクトップヘッドホンまで、幅広いヘッドホンに適しています。特に、クラシカルな中音域とタイトな低音域を求めるユーザーには最適です。
どのようなアクセサリーが付属していますか?
「Overture XM5」には、USB-Cケーブル、保護ケース、クイックスタートガイドなどの基本的なアクセサリーが付属しています。また、専用のレザーケースや追加のケーブルなど、別売りのアクセサリーも購入可能です。
サブスクリプションサービスに対応していますか?
「Overture XM5」はTidalに対応していますが、日本での利用はできません。Android OSを搭載していないため、サードパーティ製のアプリをインストールすることはできません。そのため、対応しているストリーミングサービスは実質的にはありません。
ONIX 「Overture XM5」レビューのまとめ
ONIX 「Overture XM5」は、ミドルクラスのオーディオプレイヤー市場において、非常に優れた選択肢として位置付けられます。
このデバイスは、その優れたビルドクオリティ、卓越したオーディオ性能、そしてユーザーフレンドリーなインターフェースで、オーディオファンにとって理想的なポータブルDAPです。
デザインとビルドクオリティ
「Overture XM5」のデザインは、ヴィンテージ感と最新テクノロジーの融合が特徴です。
フルCNC加工されたアルミニウムボディは、高級感があり、しっかりとした重量感を持っています。
大きなボリュームホイールやクリック感のある物理ボタンは、操作性とデザイン性を兼ね備えており、視覚的にも触覚的にも満足感を与えてくれます。
別売りの専用のレザーケースを使用することで、さらに高級感が増し、保護性能も向上します。
オーディオ性能
「Overture XM5」は、ESS ES9039SPRO DACチップが搭載されたオーディオセクションが特徴です。
これにより、非常に高い解像度とクリアな音質を実現しています。
特に、中音域の豊かさと低音域のパンチ、そして高音域のクリアさが際立ち、あらゆるジャンルの音楽を最高のクオリティで楽しむことができます。
また、バランス出力で1.1ワットの出力を提供するため、幅広いヘッドホンに対応し、特に高インピーダンスのデスクトップヘッドホンでも優れたパフォーマンスを発揮します。
ユーザインターフェースと操作性
「Overture XM5」のインターフェースはシンプルで直感的です。
タッチスクリーンと物理ボタンの組み合わせにより、迅速かつ快適に操作が可能です。
カスタマイズ可能なファンクションキーにより、自分好みの操作を設定できるため、非常に使いやすいです。
Wi-FiとBluetoothにも対応していますが、Android OSを搭載していないため、サードパーティ製アプリのインストールはできません。
バッテリー寿命
「Overture XM5」はバッテリー寿命も優れており、シングルエンドで約14時間、バランス出力で約12時間の連続再生が可能です。
これにより、長時間の外出や旅行中でもバッテリー切れを心配することなく音楽を楽しむことができます。
ONIX 「Overture XM5」レビューの総括
ONIX 「Overture XM5」は、音楽愛好家やオーディオファンにとって非常に魅力的なポータブルDAPです。
優れた音質、高級感のあるデザイン、使いやすいインターフェースを兼ね備えたこの製品は、その価格に見合った価値を提供します。
特に、ヴィンテージ感のあるデザインと最新テクノロジーの融合が特徴で、所有する喜びを感じさせてくれます。
ONIX 「Overture XM5」は、ハイエンドオーディオ市場において、確固たる地位を築くことでしょう。
もしあなたが高音質で使いやすいポータブルDAPを探しているなら、「Overture XM5」は間違いなく検討する価値のある一台です。