昨今のポータブルオーディオ市場では、低価格ながら驚くべき性能を持つ「中華イヤホン」の台頭が著しいですが、その中でもNF AUDIOは一線を画す存在です。
多くのイヤホンが「楽しさ」を重視したドンシャリ傾向(低音と高音を強調した音)に振る中、NF AUDIOはレコーディング現場やステージモニターとしても通用する「実直な音作り」に定評があります。
今回レビューする「RA15」は、同社の人気シリーズ「MUSICシリーズ」の最新作。
一見するとクールで無機質なインダストリアルデザインですが、その内部には熱いこだわりが詰め込まれています。
- 気分やジャンルに合わせて音を変えたい
- 1万円台で長く使える高品質なイヤホンが欲しい
- 装着感が良く、寝転がりながらでも使えるイヤホンを探している
もしあなたがこれらに当てはまるなら、RA15は間違いなく有力な選択肢となるでしょう。
NF AUDIO 「RA15」の基本スペックと製品概要

ここではカタログスペックの表面的な数値だけでなく、なぜその仕様が選ばれたのか、その技術的背景と設計思想について、さらに一歩踏み込んで解説します。
プロ用IEMの系譜:MUSICシリーズとNF AUDIOのこだわり
NF AUDIO(エヌエフオーディオ)は、2014年に設立された中国のオーディオブランドです。
彼らのルーツは、過酷なステージ現場で使用されるカスタムIEM(インイヤーモニター)の製作にあります。
一般的なコンシューマー向けブランドが「聴いていて楽しい音(リスニングライク)」を目指すのに対し、NF AUDIOは創業以来、「音を正確にモニタリングする」というプロフェッショナルの視点を貫いています。
今回レビューする「RA15」は、同社のコンシューマー向けライン「MUSICシリーズ」に属します。
しかし、その設計思想は完全にプロ機寄りです。
例えば、多くの低価格イヤホンがコストダウンのためにプラスチック筐体を採用したり、派手な着色で音をごまかしたりする中で、RA15は「制振性」と「過渡特性(トランジェント)」に徹底的にこだわっています。
過去の名機「NM2+」や「NA2+」は、その価格破壊的な解像度で日本のオーディオマニアを唸らせました。
「RA15」は、それらの技術的遺産を受け継ぎつつ、より現代的なトレンドである「可変チューニング」を取り入れた、ブランドの進化を象徴するモデルと言えます。
上位機種譲りのMC2L-10Mドライバーとフルメタル筐体
RA15の核心部分は、「MC2L-10M」という10mmダイナミックドライバーです。
このドライバーは、単なる汎用品ではありません。
NF AUDIOが長年のIEM開発で培ったノウハウが凝縮されています。
| 項目 | 詳細スペックと技術的意義 |
| ドライバー | MC2L-10M ダイナミックドライバー (10mm) |
| 振動板 | 5μ高分子複合ダイヤフラム 通常の振動板よりも薄く、かつ軽量で剛性が高い素材です。これにより、微細な信号に対する反応速度が向上し、音の歪みを極限まで低減します。 |
| 磁気回路 | テスラ級デュアル磁気回路 1テスラに近い強力な磁束密度を持つ磁気回路を搭載。ボイスコイルを強力にグリップし、駆動力を高めることで、タイトでキレのある低域と伸びやかな高域を実現します。 |
| 再生周波数 | 10Hz – 40,000Hz ハイレゾ音源の帯域を十分にカバーしています。特に可聴域外の超高域までの伸びが、空気感の表現に寄与します。 |
| インピーダンス | 32Ω スマートフォンでも鳴らしやすい数値ですが、駆動力のあるアンプに繋ぐとさらに化けるポテンシャルを持っています。 |
| 筐体素材 | 高強度メタル合金(フルメタル・ダイキャスト) 鋳造された金属筐体は、プラスチックに比べて内部損失が高く、不要な共振(鳴き)を抑制します。これが「クリアな音」の土台となっています。 |
なぜ「NA2+」と同じドライバーを、より安価なRA15に搭載できたのか。
これは推測ですが、NF AUDIOの生産技術が向上し、金型(筐体)の設計プロセスが効率化されたことが要因と考えられます。
つまり、RA15は「コストダウン版」ではなく、「技術の成熟によって生まれたハイコスパモデル」なのです。
所有欲を満たすパッケージと豪華な付属品
開封体験は、製品への愛着を深める重要な儀式です。
RA15はこの点でも抜かりありません。
パッケージは黒を基調とし、オレンジのブランドロゴが映えるスタイリッシュなデザイン。
CDジャケットをオマージュした正方形のボックスは、横からスライドして内箱を引き出すギミックが採用されており、開ける瞬間からワクワクさせてくれます。
【詳細な付属品リスト】
- イヤホン本体: アルマイト処理のようなサラサラとした手触りの金属筐体。
- 銀メッキ5N OFCケーブル: 5N(99.999%)の高純度無酸素銅に銀メッキを施したケーブル。高域の伝達ロスを防ぐ仕様です。
- 交換用サウンドノズル:
Bright(ステンレス製・銀色): フィルター密度が低く、高域を通しやすい。
Warm(真鍮製・金色): フィルター密度が高く、特定の高域を減衰させ低域を相対的に持ち上げる。 - イヤーピース「MS42」: XS / S / M / L の4サイズ。軸が白、傘がグレーのシリコン製。
- 収納ポーチ: ナイロン製の巾着タイプ。必要最低限ですが、ロゴ入りで質感は悪くありません。
- ユーザーマニュアル: 多言語対応。
特筆すべきは、ノズルを収納するための台座がパッケージ内に綺麗にレイアウトされている点です。
小さなパーツですが、「大切な機材を扱っている」という感覚をユーザーに与えてくれます。
NF AUDIO 「RA15」の音質徹底レビュー:2つのノズルで描く異なるサウンドスケープ

ここでは、RA15のサウンドについて、帯域ごとにさらに詳細な分析を行います。
試聴環境は、DAP(iBasso DX180)およびUSB-DAC(FiiO KA17)を使用し、ハイレゾ音源とストリーミング音源(Apple Music)を併用して検証しました。
RA15の基本サウンド傾向:明瞭なV字寄りの弱ドンシャリ
まず、どのノズルを使っていても共通する「RA15の素性」についてです。
基本的には「ハイスピード・高解像度・寒色系」のサウンドです。
- 音の立ち上がり:
非常に速いです。
ドラムのスネアや、ギターのカッティングが「スパッ」と決まります。
余韻をダラダラと残さないため、全体的にタイトな印象を受けます。 - 分離感:
複数の楽器が重なるパートでも、各楽器のフレーズが混濁せずに聞き取れます。
これはプロ用モニターを作ってきたNF AUDIOの真骨頂でしょう。 - 音場表現:
左右への広がりは平均以上ですが、奥行き感はそこまで深くありません。
音が近くで鳴る傾向があり、ボーカルやリード楽器が目前に迫るようなプレゼンテーションです。
Brightノズル(ステンレス):煌びやかな高音と高い解像度
標準装着のステンレスノズルです。
RA15の本質的なポテンシャル(ドライバー性能)を最もストレートに味わえる設定です。
【帯域別詳細】
- 高音域(Treble):
突き抜けるような爽快感があります。
特に8kHz〜10kHzあたりの「きらめき」成分が強調されており、シンバルの残響やアコースティックギターの倍音が美しく響きます。
ただし、録音状態の悪い音源や、元々高域が強いアニソンなどでは、サ行の刺さり(歯擦音)が気になるギリギリのラインを攻めています。 - 中音域(Mids):
ボーカルはクリアで、ブレス(息継ぎ)まで生々しく聞こえます。
女性ボーカルとの相性は抜群ですが、男性ボーカルは少し線が細く感じるかもしれません。
ギターやピアノのアタック感が強調されるため、ロックやポップスでは非常にエネルギッシュに聞こえます。 - 低音域(Bass):
量感は控えめですが、質は非常に高いです。
「ドーン」という響きではなく、「ダンッ」というタイトな低音です。
ボワつきが一切ないため、ベースラインのピッチ(音程)が正確に聞き取れます。
【こんな楽曲に最適】
- YOASOBI: 複雑なトラック構成とハイトーンボイスを完璧に分離して再生します。
- TK from 凛として時雨: 歪んだギターと透き通る高音ボーカルの対比が鮮烈に浮かび上がります。
- クラシック(小編成): バイオリンの弦の擦れる音や、ホールの空気感を繊細に描写します。
Warmノズル(真鍮):厚みを増す低域とマイルドな聴き心地
真鍮製ノズルに交換すると、音のキャラクターが明確にシフトします。
真鍮という素材自体が持つ響きの柔らかさと、内部フィルターによる高域減衰の効果が相まって、「音楽的な響き」が強化されます。
【帯域別詳細】
- 高音域(Treble):
Brightノズルにあった鋭角なピークが抑えられ、丸みを帯びます。
「高音が消える」わけではなく、「刺激成分だけを取り除いた」ような絶妙なチューニングです。
長時間のリスニングでも耳への負担が激減します。 - 中音域(Mids):
中低域に厚みが出ることで、ボーカルに艶(つや)が乗ります。
特に男性ボーカルの深みや、女性ボーカルのボディ感(実体感)が増し、より感情的に聞こえるようになります。 - 低音域(Bass):
明らかに量感が増します。サブベース(重低音)の沈み込みも深くなり、EDMやヒップホップのキックが腹に響くような感覚が出てきます。
それでも音が緩くならないのは、元々のドライバー性能が高いためでしょう。
【こんな楽曲に最適】
- Official髭男dism: ベースとドラムのグルーヴ感が増し、藤原聡のボーカルがよりリッチに響きます。
- Billie Eilish: 囁くようなボーカルと、深く沈み込む重低音の世界観に没入できます。
- ジャズ・フュージョン: ウッドベースの胴鳴りや、サックスの温かみのある音色が心地よく再現されます。
NF AUDIO 「RA15」の装着感とカスタマイズ性:実用性を深掘り

ここでは、「使いやすさ」や「さらなる音質追求」のために必要な、よりマニアックな視点での情報を盛り込みます。
小型軽量なフルメタル筐体がもたらす「寝ホン」級の快適さ
RA15の筐体デザインは、人間工学(エルゴノミクス)に基づきつつ、極限まで小型化されています。
多くの多ドラ(マルチドライバー)イヤホンが、複数のドライバーを詰め込むために肥大化し、耳からはみ出す形状になりがちですが、RA15はシングルドライバー構成の利点を活かし、耳の穴周辺のくぼみ(耳甲介腔)に完全に収まります。
- 横寝への対応:実際に枕に耳を押し付けて寝転がってみましたが、耳への圧迫感は皆無とは言えませんが、他のイヤホンに比べれば圧倒的に少ないです。ASMR作品を楽しむ際や、寝る前のBGM再生用としても「寝ホン」として十分に機能します。
- タッチノイズの少なさ:耳掛け式(シュア掛け)を採用しているため、ケーブルが服に擦れる「ガサゴソ」というノイズは最小限に抑えられています。
リケーブルの可能性:qdcコネクタの仕様と推奨ケーブル
リケーブル(ケーブル交換)は、有線イヤホンの大きな楽しみの一つです。
RA15のコネクタは「qdcタイプ(2pin 0.78mm)」です。
これは端子部分がプラスチックのカバーで覆われているタイプで、一般的なフラット2pinよりも耐久性が高く、ピン折れのリスクが低いです。
【リケーブルによる音質変化の傾向】
- 純銀線(4N/5N純銀):
「Brightノズル」の特性を極限まで伸ばします。
高域のきらめきがさらに増し、解像度が一段階上がります。
ただし、音源によっては刺激が強すぎる可能性があります。 - 高純度銅線(6N/7N OCC):
「Warmノズル」との相性が良いです。
中低域の厚みをさらに強化し、アナログレコードのような濃厚なサウンドになります。 - バランス接続(4.4mmプラグ)への変更:
もしDAPやDACが4.4mmバランス出力に対応しているなら、ぜひ試してください。
左右のセパレーション(分離)が向上し、音場が明確に広がります。
RA15はポテンシャルが高いので、バランス接続による恩恵をしっかりと受け取れるイヤホンです。
独自イヤーピース「MS42」のフィット感と遮音性評価
付属の「MS42」は、NF AUDIOが「音質への影響を考慮して開発した」という自信作です。
一般的なペラペラの付属イヤーピースとは異なり、軸(ノズルにハマる部分)が肉厚で硬めに作られています。
これにより、耳の中でイヤーピースが潰れて音の通り道を塞ぐことを防いでいます。
【他社製イヤーピースとの相性検証】
RA15のノズル径は標準的な太さ(約5.5mm〜6mm)なので、多くのサードパーティ製イヤーピースが使用可能です。
| イヤーピース名 | 相性と音質変化 |
| SpinFit CP100+ | ◎ 装着感がさらに向上。高域がわずかに伸び、ボーカルが聴きやすくなる。 |
| AZLA SednaEarfit XELASTEC II | ○ 体温で変形して密着。遮音性が劇的に向上し、低域が逃げなくなるため、低音の迫力が増す。 |
| Final Eタイプ | ◎ 定番の組み合わせ。高域の刺さりをマイルドにし、低域をタイトに締める。Warmノズルとの組み合わせで極上の心地よさに。 |
| Comply(フォームタイプ) | △ 遮音性は最強だが、RA15の持ち味である高域の輝きが減衰しすぎてしまうため、あまりおすすめしない。 |
NF AUDIO 「RA15」を使用した私の体験談・レビュー

スペックや理論だけでは見えてこない、実際の生活の中で感じた「生の声」をお届けします。
エイジング(慣らし運転)による変化や、特定の機器との組み合わせについても言及します。
開封から装着まで:ビルドクオリティへの第一印象と手触り
箱を開けた瞬間、RA15の金属光沢が目に飛び込んできます。
手に取ると、中身が詰まったような程よい重量感があり、工作精度の高さが指先から伝わってきます。
L側とR側の表記が筐体に大きく刻印されているわけではありませんが、ケーブルのコネクタ部分で判別可能です。
装着してみると、金属特有の「ヒヤッ」とした感触が一瞬ありますが、すぐに体温と馴染みます。
私の耳の形との相性は完璧で、首を激しく振ってもズレる気配すらありませんでした。
これはライブステージでの激しい動きを想定したIEM設計の賜物でしょう。
エイジング(慣らし運転)による音の変化
ダイナミックドライバーは、振動板が馴染むまで音が硬い場合があります。
RA15を開封直後に聴いたときは、「少し高音が荒っぽいかな?」と感じましたが、約50時間ほどピンクノイズと通常の音楽を流し続けてエイジングを行いました。
結果として、高域の角が取れて滑らかになり、低域の深みが増しました。
劇的な変化というわけではありませんが、ドライバーの動きがスムーズになった印象を受けます。
もし購入直後に「刺さる」と感じても、すぐに手放さず、1週間ほど使い込んでみることを強くおすすめします。
DAPやアンプでのスケーラビリティ(拡張性)
スマホ直挿しでも十分に良い音ですが、RA15は上流(プレイヤー)の質を反映するモニター的な性格も持っています。
- iPhone + 純正変換アダプタ: 必要十分な音量は取れますが、音場が少し平面的になります。
- iBasso DX180(ミドルクラスDAP): 音が一気に立体的になります。特に低域の制動力が上がり、「ボワッ」としていた部分が「ダンッ」と締まります。
- 据え置きヘッドホンアンプ: ここまでくると、1万円台のイヤホンとは思えないほどの解像度を発揮します。RA15は、「良いアンプを使えば使うほど、良い音で応えてくれる」という、高いスケーラビリティを持っています。
ゲームや映画での使用感:定位感と臨場感のチェック
【FPSゲーム(APEX / VALORANT)】
「Brightノズル」で使用すると、足音や銃声の高域成分が強調されるため、索敵能力は非常に高いです。
定位感も正確で、壁の向こうの敵の位置がイメージできるレベルです。
ゲーミングイヤホンとしても一級品です。
【映画鑑賞・アクションRPG】
「Warmノズル」が最適です。爆発音の迫力、セリフの厚み、BGMの壮大さがバランスよく再生されます。
特にオープンワールドゲームなどで、環境音(風の音、川のせせらぎ)への没入感が高まりました。
通勤・通学時の運用:遮音性と取り回しの良さ
通勤電車(地下鉄)で使用してみました。
パッシブな遮音性は高いですが、アクティブノイズキャンセリング(ANC)搭載の完全ワイヤレスイヤホンには及びません。
走行音は入ってきますが、音楽を流せば気にならないレベルです。
むしろ特筆すべきは、「接続の安定性」と「充電不要」という有線ならではの強みです。
Bluetoothの混線による音切れに悩まされることもなく、バッテリー切れの心配もありません。
また、RA15のケーブルはしなやかで絡まりにくいため、ポケットから出してサッと使えるストレスフリーな運用が可能でした。
体験談の総括
数週間使い倒して感じたのは、RA15が「非常に懐(ふところ)の深いイヤホン」だということです。
- スマホで手軽に聴きたい時
- DAPでじっくり高音質に浸りたい時
- ゲームで勝ちに行きたい時
- 寝る前にリラックスしたい時
これら全てのシチュエーションに対し、ノズル交換やリケーブル、あるいはそのままで、高いレベルで対応してくれます。
1台持っておけば、オーディオライフの質が確実に向上すると確信しました。
NF AUDIO 「RA15」に関するQ&A

NF AUDIO 「RA15」に関してよく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
スマホに直挿しでも十分な音量が出ますか?
はい、出ます。 鳴らしやすい設計(インピーダンス32Ω)なので、iPhoneやAndroidなどの変換アダプタ経由でも十分な音量と高音質を楽しめます。
マイクはついていますか?
ついていません。 通話に使用したい場合は、別途マイク付きのケーブル(qdc 2pinタイプ)にリケーブルする必要があります。
FPSなどのゲーム用途に使えますか?
非常に向いています。 特に「Brightノズル」は足音などの高域が聞き取りやすく、音の方向(定位)も正確なので、ゲーミングイヤホンとしても優秀です。
寝ながら使う「寝ホン」として使えますか?
かなり快適に使えます。 筐体が非常に小さく耳のくぼみにすっぽり収まるため、横になっても枕への干渉が少なく、耳が痛くなりにくいです。
リケーブルしたいのですが、規格は何ですか?
「2pin 0.78mm」の「qdcタイプ(カバー付き)」です。 一般的な2pinも刺さりますが、強度の面からqdcタイプと記載されたものを選ぶのがおすすめです。
音漏れは気になりますか?
常識的な音量なら問題ありません。 密閉型ですが、ダイナミックドライバー用の空気穴(ベント)があるため、静かな図書館などで大音量で流すとわずかに漏れる可能性があります。電車内などではまず大丈夫です。
以前のモデル(NM2+やNA2+)から買い替える価値はありますか?
「装着感」と「音変え」に魅力を感じるならアリです。 音の解像度自体は同クラスですが、RA15は筐体が圧倒的に小さくなっているため、装着感が劇的に向上しています。また、1台で2種類の音を楽しめる点は旧モデルにはない強みです。
耳の穴が小さいのですが、装着できますか?
はい、装着しやすいです。 本体が非常に小ぶりで、さらに付属品に「XSサイズ」のイヤーピースが含まれているため、耳の穴が小さい方や女性でもフィットしやすい設計になっています。
ケーブルのタッチノイズ(服に擦れる音)はありますか?
ほとんど気になりません。 耳掛け式(シュア掛け)を採用しているため、ケーブルが耳の後ろで固定され、歩行時などのガサゴソ音(タッチノイズ)は最小限に抑えられています。
金属筐体ですが、塗装剥げや傷はつきやすいですか?
比較的頑丈ですが、落下には注意してください。 表面はマットな仕上げで指紋や小傷は目立ちにくいですが、コンクリートなどに落とすと金属特有の凹みや塗装剥げが起きる可能性があります。使わない時はポーチに入れることを推奨します。
NF AUDIO 「RA15」レビューのまとめ

最後に、NF AUDIO RA15の総評として、メリット・デメリット、そして競合比較をまとめます。
RA15のメリット:圧倒的なビルド品質と可変サウンド
- 変幻自在のサウンド: ノズル交換により、「高解像度モニター」と「芳醇なリスニング機」の2つの顔を楽しめる。
- 価格破壊のビルド品質: フルメタル筐体の質感、CDジャケット風のパッケージ、独自イヤーピースなど、所有欲を満たす要素が満載。
- 装着感の勝利: 耳の小さな人にもフィットする小型設計は、長時間の使用において最強の武器となる。
- 高い基本性能: プロ用機材のノウハウが生きたドライバーにより、同価格帯では頭一つ抜けた分離感とスピード感を実現。
RA15のデメリット:人を選ぶ高音域の刺激
- Brightノズルの鋭さ: 解像度が高い反面、聴覚過敏な方や、サ行の刺さりが苦手な方には「キツい」と感じられる可能性がある(Warmノズルで解消可能)。
- 低音の量感: 「低音お化け」のような重低音重視モデルではないため、脳を揺らすような低音を求める人には物足りないかもしれない。
- 寒色系の音作り: 全体的にクールでドライな傾向があるため、ウォームでアナログライクな音(真空管のような音)を好む人には、少し分析的すぎると感じるかもしれない。
競合製品との比較と優位性
1万円〜1万5千円前後の激戦区におけるライバルとの比較表です。
| 機種名 | RA15の特徴 | 競合機の特徴 | 比較結果・選び方 |
| FiiO FH3 | 1DD、フルメタル、小型 | 2BA+1DDハイブリッド、大型 | 【RA15】 音の繋がりが自然で、装着感が良い。 【FH3】 低音の圧が強く、ハイブリッド特有の派手さがある。 |
| SIMGOT EA500 LM | 1DD、交換ノズル、モニター寄り | 1DD、交換ノズル、女性ボーカル特化 | 【RA15】 より硬派でスピード感のある音。装着感はこちらが上。 【EA500 LM】 より華やかで艶のある高音。女性ボーカル重視ならこちら。 |
| Moondrop ARIA 2 | 1DD、交換ノズル、弱ドンシャリ | 1DD、セラミック筐体、フラット寄り | 【RA15】 音の輪郭がクッキリしている。 【ARIA 2】 音が柔らかく、広がりがある。癒やし系ならARIA。 |
RA15が他機種より優れている最大のポイントは、「プロ譲りのモニター性能(音の正確さ)」と「極上の装着感」の両立です。
特に、装着感の悪さはどれだけ音が良くても使う頻度を下げる要因になるため、RA15のコンパクトさは大きなアドバンテージです。
このイヤホンをおすすめできる人・できない人
【心からおすすめできる人】
- 「初めての1万円台イヤホン」を探している人: 基準となる音を知るのに最適です。
- カスタマイズを楽しみたい人: ノズル交換やリケーブルの効果が分かりやすいため、オーディオの楽しさを学べます。
- 装着感を最優先する人: 耳が痛くなりにくい金属イヤホンを探しているなら、これが正解です。
- ロック、アニソン、FPSゲームが好きな人: スピード感と定位感の良さがマッチします。
【あまりおすすめできない人】
- 極度の低音重視(Basshead)の人: 他の低音特化モデルを選んだ方が幸せになれます。
- ゆったりとした癒やしの音だけを求めている人: RA15は少しカチッとした音なので、リラックス用としてはWarmノズル必須です。
NF AUDIO 「RA15」レビューの総評:1万円台で手に入る「リスニングの楽しさ」の最適解
今回レビューしたNF AUDIO RA15は、単なるコストパフォーマンスの高さだけに留まらない、オーディオの楽しさが凝縮された一台でした。
特筆すべきはやはりノズル交換機能で、繊細で分析的な音と、厚みのあるリラックスできる音を気分に合わせて使い分ける体験は、この価格帯では得難い満足感を与えてくれます。
加えて、プロ機譲りの小型フルメタル筐体がもたらす快適な装着感は、長時間の使用でもストレスを感じさせず、日常生活の良きパートナーとなってくれるはずです。
初めての1万円台イヤホンとしても、玄人のサブ機としても、RA15は「音を聴く喜び」と「道具としての使いやすさ」を高い次元で両立した間違いのない選択肢です。
ぜひあなたのその耳で、この小さな金属の塊が奏でる変幻自在のサウンドを体感してみてください。


