【実機検証】Nothing Ear (Open) レビュー|音漏れ・音質・装着感をメリット・デメリット含め徹底解説

Ear (Open)トップ画像 オープンイヤー型
出典:Nothing公式
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2024年、ロンドン発のテクノロジーブランド「Nothing」から、ブランド初となるオープンイヤー型ワイヤレスイヤホン「Nothing Ear (Open)」が登場しました。

これまで「Ear (a)」や「Ear (2)」といったカナル型(密閉型)イヤホンで、その透明感あふれるデザインとコストパフォーマンスの高さを見せつけてきたNothing。
今回彼らが挑んだのは、「耳を塞がずに環境音を聞きながら音楽を楽しむ」という、近年急速に需要が高まっているオープンイヤー市場です。

しかし、オープンイヤー型と聞くと、多くのユーザーが次のような不安を抱くのではないでしょうか?

  • 「低音がスカスカで、軽い音質なのではないか?」
  • 「電車やオフィスで盛大に音漏れするのではないか?」
  • 「独特な形状は、本当に耳にフィットするのか?」

価格は24,800円(税込)
決して安い買い物ではありません。デザインだけで選んでしまって良いのか、それとも実用性も伴っているのか、購入を迷っている方も多いはずです。

この記事では、オーディオガジェットに精通した筆者が、Nothing Ear (Open)を実際に使用し、その実力を徹底的にレビューします。
競合製品と比較しながら、デザインの美しさだけでなく、音質の特性、装着感の真偽、そして日常生活でのリアルな使い勝手を、メリットもデメリットも包み隠さずお伝えします。

「ながら聴き」の質を一段階上げたいあなたにとって、この記事が最適なガイドとなることを約束します。

 

  1. Nothing 「Ear (Open)」のデザインとスペック
    1. 透明感を活かしたNothingらしい外観
    2. 耳への負担を軽減する軽量設計
    3. バッテリー性能と充電ケースの仕様
  2. Nothing 「Ear (Open)」の音質と機能性の徹底レビュー
    1. 14.2mmドライバーが奏でるクリアな中高音
    2. 低音再生の限界と実際の聴こえ方
    3. 音漏れを防ぐサウンドシールシステムの実力
  3. Nothing 「Ear (Open)」のアプリ機能と操作性の評価
    1. Nothing XアプリでのEQカスタマイズ
    2. ピンチ操作の使い勝手と反応精度
    3. マルチポイント接続と低遅延モード
  4. Nothing 「Ear (Open)」を使用した私の体験談・レビュー
    1. テレワークでの通話品質と長時間使用
    2. 通勤電車での音量確保と音漏れチェック
    3. ランニング中の装着安定性と汗への耐性
    4. メガネ・マスク着用時の干渉具合
    5. 自宅での「ながら聴き」BGMとしての活用
    6. 体験談の総括
  5. Nothing 「Ear (Open)」に関するQ&A
    1. 音漏れは本当に気になりませんか?
    2. iPhoneでも全ての機能を使えますか?
    3. メガネやマスクをしていても痛くなりませんか?
    4. ランニング中に落ちる心配はありませんか?
    5. ワイヤレス充電には対応していますか?
    6. ノイズキャンセリング機能はありますか?
    7. ゲームの音ズレ(遅延)はありますか?
    8. これは「骨伝導イヤホン」とは違うのですか?
    9. 片耳だけでも使用できますか?
    10. Nothing Phoneを持っていなくても「ChatGPT連携」は使えますか?
    11. 寝ながら(寝ホンとして)使えますか?
    12. カナル型の「Nothing Ear (a)」と迷っています。どちらが良いですか?
    13. ハイレゾ音源(LDACやLHDC)には対応していますか?
  6. Nothing 「Ear (Open)」レビューのまとめ
    1. 開放感あふれる装着感のメリット
    2. 音質面での満足度と留意点
    3. 通話や操作性に関する総評
    4. どんなユーザーにおすすめできるか
    5. 競合製品と比較した際の優位性
    6. Nothing Ear (Open) レビューの最終結論

Nothing 「Ear (Open)」のデザインとスペック

Ear (Open)イメージ画像
出典:Nothing公式

Nothing製品を選ぶユーザーにとって、スペック表の数値以上に重要なのが「デザイン哲学」と「ビルドクオリティ」です。
Ear (Open) は、単なるガジェットを超えたプロダクトデザインの妙を感じさせます。

透明感を活かしたNothingらしい外観

Nothingの代名詞とも言えるトランスルーセント(半透明)デザインは、Ear (Open) においてさらなる進化を遂げています。

通常、イヤホンの内部構造は接着剤や粗雑な配線が見えてしまうため、メーカーは不透明なプラスチックで隠したがります。
しかし、Nothingは「隠すものなど何もない」と言わんばかりに、内部のエンジニアリングをデザインの一部として昇華させています。

  • 機能美の視覚化
    ステム(軸)部分から透けて見える基盤、マイクモジュール、そしてマグネットの配置は、精密時計の裏蓋を覗き込んでいるような高揚感を与えます。
  • ドットマトリクスフォント
    充電ケースや本体に印字された独特のドットフォントは、レトロフューチャーな世界観を演出し、一目で「Nothingの製品だ」と分からせます。
  • カラーリングの妙
    現在はホワイトモデルのみの展開ですが、純白のシリコン部分と、メカニカルな透明部分、そしてアクセントとなるシルバーの金属パーツのコントラストが絶妙です。

また、ユーザビリティの観点からもデザインが機能しています。
左右のイヤホンには、それぞれ赤(右耳用)と白(左耳用)のドットマーカーが配置されています。
多くのイヤホンが小さな「L/R」の刻印を目を凝らして探さなければならないのに対し、Ear (Open) は色で直感的に左右を識別できるため、薄暗い機内や寝室でもストレスなく装着可能です。

耳への負担を軽減する軽量設計

「オープンイヤー型は耳に掛けるため、長時間着けると耳の裏が痛くなる」という懸念を持つ方も多いでしょう。
しかし、Ear (Open) の設計はその常識を覆します。

【人間工学に基づいた3点バランスシステム】

Nothingは開発にあたり、42種類以上の試作モデルを作成し、数千人の耳のデータを解析しました。
その結果辿り着いたのが、以下の3点で重量を分散させる構造です。

  1. 耳の頂点(フックの上部)
  2. 耳の後ろ(バッテリー部)
  3. 耳の穴の手前(スピーカー部)

このバランス設計により、片耳約8.1gという重量数値以上に軽く感じられます。
実際に筆者は、朝の9時から夕方の18時まで、昼食時を除いてほぼ着けっぱなしで過ごしましたが、耳裏の痛みや軟骨への圧迫感は皆無でした。

【素材へのこだわり】

フックの芯材にはニッケルチタン形状記憶合金が採用されています。これは高級メガネのフレームにも使われる素材で、以下の特性があります。

  • 高い柔軟性:耳が厚い人、薄い人、大きい人、小さい人、どんな形状にも吸い付くようにフィットします。
  • 復元力:着脱を何千回繰り返しても、初期の形状を維持し、ホールド力が低下しません。
  • リキッドシリコン被膜:肌に触れる部分は、医療グレードに近い滑らかなリキッドシリコンで覆われています。さらさらとした触感で、汗をかいてもベタつきにくく、不快な摩擦を防ぎます。

また、スピーカー部分は耳に対して50度の角度で傾斜しています。
これは、外耳道(耳の穴)へ音をダイレクトに届けるための最適な角度であり、音漏れを防ぎつつクリアな音質を確保するための物理的な工夫です。

バッテリー性能と充電ケースの仕様

オープンイヤー型イヤホンは「生活の一部」として長時間装着することが前提となるため、バッテリー性能は極めて重要です。

項目スペック詳細実用上の感覚
イヤホン単体再生最大8時間Web会議が連続しても午前中は余裕で持つ。昼休みにケースに戻せば一日中使える。
ケース込み再生最大30時間毎日4時間使っても、週に1回の充電で済むレベル。
通話時間最大6時間音楽再生よりも消費は激しいが、それでも長時間のオンライン飲み会や会議に耐えうる。
急速充電10分充電で2時間再生「充電し忘れた!」という朝でも、歯を磨いて着替えている間に通勤分の電力は確保できる。

【業界最薄クラスの充電ケース】

特筆すべきは充電ケースの形状です。
オープンイヤー型のケースは、フック部分の厚みのせいで「おにぎり型」や「分厚い箱型」になりがちで、ポケットに入れると不格好に膨らむのが通例でした。

しかし、Nothing Ear (Open) のケースは厚さわずか19mm。
これは一般的なカナル型イヤホンのケースと変わらない、あるいはそれ以上に薄いサイズ感です。

細身のジーンズのポケットや、サコッシュのような薄いバッグに入れてもシルエットを崩しません。
「常に持ち歩く」というウェアラブルデバイスの本質を、ケースの設計段階から深く理解していると感じさせます。

ただし、ワイヤレス充電(Qi)には非対応です。Ear (a) や Ear (2) では対応していた機能だけに、デスク上の充電マットに置くだけで充電できない点は、一部のユーザーにとっては惜しいポイントかもしれません。

 

Nothing 「Ear (Open)」の音質と機能性の徹底レビュー

Ear (Open)イメージ画像
出典:Nothing公式

「デザインは良いけれど、音はスカスカなんでしょ?」
そんな先入観を持って試聴した筆者は、良い意味で裏切られました。
ここでは、オーディオ的な観点からその実力を深掘りします。

14.2mmドライバーが奏でるクリアな中高音

Ear (Open) に搭載されているのは、このモデルのために新規開発された14.2mmの大型ダイナミックドライバーです。
一般的なカナル型イヤホンが6mm〜10mm程度であることを考えると、非常に巨大なドライバーを積んでいることが分かります。

振動板にはチタンコーティングが施されたポリエチレンテレフタラート(PET)を採用。
チタンの剛性が分割振動(音の歪み)を抑え、高域の伸びやかさを実現しています。

【各帯域の音質特性】

  • 高音域
    非常に煌びやかで、突き抜けるような爽快感があります。
    ハイハットの刻みや、ヴァイオリンの倍音成分がきれいに伸び、オープン型特有の「音が空気に溶けていく感覚」と相まって、閉塞感のない美しい高音を楽しめます。
  • 中音域
    このイヤホンの真骨頂です。
    ボーカルが一歩前に出てくるようなチューニングが施されており、歌詞の一言一句が明瞭に聞き取れます。
    男性ボーカルの厚みもしっかり表現されますが、特に女性ボーカルやピアノの弾き語りなどとの相性は抜群です。
  • 音場感
    「頭内定位(頭の中で音が鳴る感覚)」が少なく、少し離れたスピーカーから音が鳴っているような自然な広がりを感じます。
    ライブ音源などを聴くと、観客の拍手やホールの残響がリアルに再現され、高い没入感を得られます。

低音再生の限界と実際の聴こえ方

オープンイヤー型の宿命的弱点である「低音」。
耳を密閉しないため、物理的に低周波の圧力を鼓膜に伝えるのが難しいためです。
Nothingはこの課題に対し、ハードとソフトの両面からアプローチしています。

【Bass Enhance アルゴリズムの効果】

自動的に楽曲の低音成分を検出し、リアルタイムで最適化する機能です。
実際にON/OFFを切り替えてみると、OFFの状態では「パサパサ」していたドラムの音が、ONにすると「トントン」という芯のある音に変化するのが分かります。

【段付きドライバー構造】

スピーカーの振動板を耳に近づけるために、ドライバーユニット自体を階段状に設計し、音の出口を可能な限り鼓膜へ寄せています。

【ジャンル別・低音の評価】

  • ポップス・ジャズ
    必要十分です。
    ウッドベースの響きやバスドラムのアタック感は心地よく、軽快に音楽を楽しめます。
  • EDM・ヒップホップ・映画
    やはり「重低音」は不足します。
    サブベース(身体に響くような超低音)は抜け落ちてしまうため、ド迫力を求める映画鑑賞や、低音重視のクラブミュージックには不向きです。
    「迫力」よりも「リズムの正確さ」を楽しむ音作りと言えます。

音漏れを防ぐサウンドシールシステムの実力

「電車で隣の人に迷惑をかけないか?」

この不安を解消するために搭載されたのが「サウンドシールシステム」です。

【技術的な仕組み】

イヤホンの前面(耳穴側)からは音楽を再生し、背面(外側)からはそれと逆位相の音波(アンチノイズ)を出力します。
これにより、外に漏れ出ようとする音を物理的に打ち消し、音漏れを最小限に抑えます。

【詳細な音漏れ検証レポート】

筆者が家族の協力を得て、距離と環境を変えて検証しました。

環境音量設定距離 30cm (満員電車)距離 1m (オフィス隣席)距離 2m (カフェ対面)
静寂な部屋50%かすかに聞こえるほぼ聞こえない聞こえない
静寂な部屋70%歌詞が判別できるシャカシャカ音が聞こえる気にならない
TVがついている居間60%ほぼ聞こえない聞こえない聞こえない
走行中の電車内80%何を聴いているか分かる雑音に紛れて気付かない聞こえない

結論
「完全に音漏れしない」わけではありません。
特に静かな図書館やエレベーターの中では、音量を30〜40%程度に抑える配慮が必要です。
しかし、一般的なオフィスやカフェ、屋外であれば、常識的な音量(50〜60%)で使用する分には、周囲に迷惑をかける心配はほとんどありません。

 

Nothing 「Ear (Open)」のアプリ機能と操作性の評価

Ear (Open)イメージ画像
出典:Nothing公式

ハードウェアの美しさに目を奪われがちですが、Nothingのエコシステムを支える専用アプリ「Nothing X」の完成度も見逃せません。

Nothing XアプリでのEQカスタマイズ

多くのイヤホンアプリのイコライザー(EQ)は「低音ブースト」「ボーカル強調」といったプリセットを選ぶだけの簡易的なものが多いですが、Nothing Xは「アドバンスドイコライザー」というプロ仕様の機能を搭載しています。

  • 8バンドの周波数調整:特定の音域を細かく指定して調整可能。
  • Q値(帯域幅)の変更:ピンポイントで特定の周波数を上げるか、広範囲を持ち上げるかを設定可能。
  • 周波数ごとのプレビュー:調整中にその帯域の音だけをリアルタイムで確認できる機能。

これにより、「ボーカルのサ行の刺さりを抑えたい」「ベースのアタック感だけを強めたい」といったマニアックな要望に応えられます。
さらに、QRコードによるEQ共有機能がユニークです。
SNS上でオーディオマニアが公開している「Ear (Open) 最強設定」を読み込むだけで、プロがチューニングした音質を自分のイヤホンに適用できます。
これはコミュニティを大切にするNothingらしい機能と言えます。

ピンチ操作の使い勝手と反応精度

操作系には、タッチセンサーではなく「ピンチコントロール(感圧センサー)」を採用しています。
AirPods Proなどで採用されている方式同様、イヤホンのステム(軸)部分を指で「カチッ」とつまむことで操作します。

【タッチ式に対する優位性】
オープンイヤー型は、装着位置を微調整したり、汗を拭いたりするためにイヤホンに触れる機会が多いです。
タッチセンサーの場合、そのたびに音楽が止まったり音量が変わったりする「誤操作」がストレスになります。
しかし、ピンチ操作であれば、意図的に力を入れてつままない限り反応しないため、誤操作ストレスから完全に解放されます。

  • カスタマイズ性: 「ダブルピンチ」「トリプルピンチ」「ピンチ&ホールド(長押し)」の動作に対し、左右それぞれ個別に機能を割り当て可能です。
    • 例)左の長押し:音量ダウン、右の長押し:音量アップ
    • 例)左のダブルピンチ:音声アシスタント起動、右のダブルピンチ:曲送り

反応速度も良好で、つまむと同時に「ポッ」という電子音がフィードバックされるため、操作した感覚が指と耳の両方で確認できます。

マルチポイント接続と低遅延モード

【マルチポイント接続】
PCとスマートフォンの2台に同時接続し、音源をシームレスに切り替えられます。
例えば、PCでYouTubeを見ていて、スマホに着信があった場合、PCの動画を止めれば自動的にスマホの着信音がヘッドホンから流れます。
手動でBluetooth設定を開き直す必要はありません。
Nothing Ear (Open) のマルチポイント切り替え速度は非常に高速で、ストレスを感じさせません。

【低遅延モード(ゲームモード)】
アプリからONにすることで、遅延を120ms未満に抑えられます。
実際に『PUBG MOBILE』や『原神』などのゲームで試してみました。

  • RPG/パズル:全く違和感なし。
  • FPS/音ゲー:ガチ勢には厳しいかもしれませんが、エンジョイ勢なら十分にプレイ可能なレベルです。特に銃声と着弾のズレは、意識しなければ気にならない程度まで短縮されます。
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Nothing 「Ear (Open)」を使用した私の体験談・レビュー

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※画像はイメージです

スペックや機能の解説だけでは伝わりきらない、実際に生活の中で使ってみて初めて分かった「Nothing Ear (Open) のある生活」を、具体的なシーンを交えてレポートします。

テレワークでの通話品質と長時間使用

私は普段、ZoomやMicrosoft Teamsを使って1日に3〜4時間のWeb会議を行っています。
これまではカナル型のイヤホンを使っていましたが、会議が終わるたびに耳から外して「耳抜き」をしたくなるような疲労感がありました。

Ear (Open) を導入してからは、その疲労感が劇的に軽減されました。
自分の声が骨伝導で頭蓋骨に響く不快感(閉塞効果)がないため、まるで相手と同じ部屋で会話しているかのような自然な感覚で話せます。

【マイク性能の実体験】
ある日、カフェで急なオンラインミーティングに参加することになりました。
店内はBGMが流れ、周囲の客の話し声もそこそこある環境でした。
不安を感じながら通話しましたが、会議終了後、相手に「周りの音、うるさくなかったですか?」と尋ねると、「え? 静かな部屋にいるのかと思いました」と驚かれました。
搭載されているAI Clear Voiceテクノロジーが、2,800万通り以上のサウンドシーン学習に基づき、私の声だけを抽出して環境音を強力にカットしてくれていたようです。
このマイク性能だけでも、ビジネスマンには買う価値があります。

通勤電車での音量確保と音漏れチェック

毎朝の通勤電車(地下鉄含む)での使用感です。
結論から言うと、騒音レベルの高い地下鉄では厳しい場面があります。

走行音が「ゴーーー」と響く環境下では、ポッドキャストの話し声を聞き取るために音量を80%近くまで上げる必要がありました。
ここまで上げると、隣に座っている人に音が漏れていないか気が気ではありません。
一方で、地上を走る私鉄やバスの中であれば、60%程度の音量で十分に音楽やラジオを楽しめます。
車内アナウンスもしっかり聞こえるため、「乗り過ごし防止」には最強のツールです。

「音楽に没入して現実逃避する」ためのイヤホンではなく、「移動時間をBGMで彩りながら、情報も逃さない」ためのツールだと割り切る必要があります。

ランニング中の装着安定性と汗への耐性

週末のランニング(5km〜10km)で使用しました。
これまでのオープンイヤー型は、走っている最中にフックが浮いてきたり、汗で滑ったりすることがありましたが、Ear (Open) の安定感は抜群です。

  • 揺れへの強さ
    ダッシュをしても、階段を駆け下りても、イヤホン位置がズレることがありません。
    重心バランスの設計が優れている証拠です。
  • 汗への強さ
    IP54の防塵防水性能があるため、汗だくになっても問題ありません。
    使用後は水で濡らして固く絞ったタオルでサッと拭けば清潔を保てます。

何より、背後から近づく自転車やプリウス(静音車)の接近に気づける「安全性」は何物にも代えがたいメリットです。

メガネ・マスク着用時の干渉具合

私は視力が悪く、常にメガネをかけています。
さらに冬場や花粉症シーズンはマスクも必須です。
「メガネのツル + マスクの紐 + イヤホンのフック」。
耳の上は常に大渋滞です。

他社製のフックが太いイヤホンでは、メガネが浮いてしまったり、耳の付け根が痛くなったりしましたが、Ear (Open) のフックは極細かつ柔軟なため、メガネと喧嘩しません。
先にイヤホンを着けてからメガネをかける、あるいはその逆でも、違和感なく共存できます。
ただし、マスクを外す時だけは注意が必要です。
勢いよくマスク紐を引っ張ると、イヤホンごと飛んでいくリスクがあります。
これだけは慣れが必要です。

自宅での「ながら聴き」BGMとしての活用

意外だったのが、自宅での利用頻度が最も高くなったことです。

  • 家事中
    換気扇の下で料理をしていても、食洗機を回していても、耳元でポッドキャストがクリアに聞こえます。
  • 育児中
    子供が寝静まった後、スピーカーで音を出せないけれど、子供の泣き声には即座に反応したい。そんなシチュエーションで、Ear (Open) は最適解でした。
  • リラックスタイム
    ソファで読書をする際、環境音(雨の音や焚き火の音など)を流すと、カナル型よりも圧倒的にリアルな環境音体験ができます。

装着していることを忘れるほどの軽さゆえ、音楽を止めたまま着けっぱなしにして、そのままお風呂に入ろうとしてしまったことが数回あります(※防水ですが入浴は推奨されません)。
それほど自然に身体の一部になります。

体験談の総括

約1ヶ月間、徹底的に使い倒して分かったのは、Nothing Ear (Open) は「ONとOFFの境界線をなくすイヤホン」だということです。

集中して作業する時も、移動中も、リラックスタイムも、イヤホンを外す必要がありません。
外音取り込みモードに切り替える操作すら不要です。
ただ音楽を再生し、止めればいいだけ。 この「シームレスな体験」こそが、24,800円という価格に対する最大の価値だと感じました。

 

Nothing 「Ear (Open)」に関するQ&A

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Nothing 「Ear (Open)」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。

音漏れは本当に気になりませんか?

完全にゼロではありませんが、常識的な音量なら問題ありません。
「サウンドシールシステム」により音漏れはかなり抑制されています。静かなオフィスやカフェで音量50%程度で使用する分には、隣の人に聞こえる心配はほぼありません。 ただし、図書館などの「完全な静寂」が必要な場所や、満員電車で人と密着する状況では、音量を下げるか使用を控える配慮が必要です。

iPhoneでも全ての機能を使えますか?

はい、問題なく使用できます。
iOS版の「Nothing X」アプリが提供されており、イコライザー設定やボタン配置の変更など、Androidと同等の機能が利用できます。 対応コーデックはAACとSBCのみですが、これはiPhoneの標準コーデック(AAC)と一致しているため、iPhoneユーザーにとってデメリットにはなりません。

メガネやマスクをしていても痛くなりませんか?

ほとんど干渉せず、痛みも出にくいです。
耳に掛けるフック部分が非常に細いニッケルチタン製であるため、メガネのテンプル(つる)と重なっても厚みが出ません。マスクの紐と合わせても問題なく装着可能です。ただし、マスクを外す際は紐がイヤホンに引っかかりやすいため、落下に注意してください。

ランニング中に落ちる心配はありませんか?

安定性は非常に高く、激しい運動でも落ちません。
人間工学に基づいた3点バランス設計により、耳を挟み込むのではなく「吸い付く」ようにフィットします。キロ4〜5分ペースのランニングや、軽いジャンプ動作でもズレることはありませんでした。IP54の防水防塵性能もあるため、汗や突然の雨でも安心です。

ワイヤレス充電には対応していますか?

いいえ、ワイヤレス充電には非対応です。
充電ケースの薄型化(約19mm)を優先したためか、Qi(ワイヤレス充電)機能は省かれています。充電は付属のUSB Type-Cケーブルで行う必要があります。Nothing Ear (2) や Ear (a) は対応していたため、この点は数少ないデメリットと言えます。

ノイズキャンセリング機能はありますか?

いいえ、搭載されていません。
Ear (Open) は「周囲の音を聞くこと」を目的としたオープンイヤー型であるため、周囲の騒音を消すアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能はありません。 ただし、通話用マイクには「AI Clear Voiceテクノロジー」が搭載されており、通話相手には周囲の雑音をカットしたクリアな声を届けることができます。

ゲームの音ズレ(遅延)はありますか?

「低遅延モード」を使えば気にならないレベルです。
アプリから低遅延モードをONにすることで、遅延を120ms未満に抑えられます。RPGやパズルゲーム、動画視聴では違和感はありません。ただし、FPSや音ゲー(リズムゲーム)のガチ勢にとっては、わずかな遅延を感じる可能性があるため、有線イヤホンの使用を推奨します。

これは「骨伝導イヤホン」とは違うのですか?

はい、骨伝導ではなく「空気伝導」方式です。
骨を振動させるのではなく、耳の近くに配置したスピーカーから音を出す仕組みです。 骨伝導イヤホンのような「くすぐったい振動」がなく、一般的なイヤホンに近い自然な音質で音楽を楽しめるのがメリットです。一方で、骨伝導ほど鼓膜への負担がゼロというわけではないため、大音量の長時間再生には注意が必要です。

片耳だけでも使用できますか?

はい、左右どちらか片方だけでも使用可能です。
片方をケースに入れたまま、もう片方だけを耳に装着して音楽再生や通話ができます。仕事中や運転中など、片耳を完全に空けておきたいシチュエーションでも便利に使えます。

Nothing Phoneを持っていなくても「ChatGPT連携」は使えますか?

いいえ、ChatGPT連携機能には「Nothing Phone」が必要です。
イヤホンのピンチ操作でChatGPTと直接会話できる機能は、ペアリングしている親機が「Nothing OS」を搭載したスマートフォン(Phone (1), Phone (2), Phone (2a)など)である必要があります。iPhoneや他のAndroidスマホではこのショートカット機能は利用できません。

寝ながら(寝ホンとして)使えますか?

仰向けなら快適ですが、横向きは推奨しません。
耳穴を圧迫しないため、仰向けで寝る分には非常に快適です。しかし、耳の後ろにバッテリー部分のフックがある構造上、横向きに寝るとイヤホンが枕と頭に挟まれて圧迫され、痛みが出たり破損の原因になったりする可能性があります。

カナル型の「Nothing Ear (a)」と迷っています。どちらが良いですか?

「没入感」か「ながら聴き」かで選んでください。

  • Nothing Ear (a):ノイズキャンセリングで周囲の音を消し、音楽の世界にどっぷり浸りたい人向け。電車通勤メインならこちらがおすすめ。
  • Nothing Ear (Open):BGMとして音楽を流しつつ、会話や環境音も聞きたい人向け。オフィスワークや家事、ランニングメインならこちらがおすすめ。

ハイレゾ音源(LDACやLHDC)には対応していますか?

いいえ、対応コーデックはAACとSBCのみです。
Nothingの上位モデル(Nothing Ear)はLDACやLHDCに対応していますが、Ear (Open) は非対応です。 理由は、オープンイヤー型という構造上、超高音質のデータを伝送しても空気中で微細な音が減衰してしまい、ハイレゾの恩恵を感じにくいからです。その分、接続の安定性とバッテリー持ちを優先した設計になっています。

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Nothing 「Ear (Open)」レビューのまとめ

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※画像はイメージです

開放感あふれる装着感のメリット

  • 耳を塞がないことによる、圧倒的な通気性と解放感。
  • 片耳8.1gの軽量設計と3点バランス構造により、一日中着けても痛くならない。
  • 外の音が自然に聞こえるため、会話や環境確認がスムーズで安心感がある。

音質面での満足度と留意点

  • 満足点:14.2mmドライバーによる中高域の解像度はオープン型最高峰。ボーカルやアコースティック楽器の美しさは特筆もの。
  • 留意点:重低音の「圧」は構造上弱くなる。EDMやアクション映画での迫力を最優先するならカナル型を選ぶべき。
  • コーデック:対応はAAC/SBCのみ。LDAC等のハイレゾコーデックには非対応だが、オープン型の特性上、そこまでのスペックは過剰とも言えるため、実用上のデメリットは少ない。

通話や操作性に関する総評

  • 通話品質:AIノイズリダクションが極めて優秀。Web会議や通話メインのユーザーには強力な武器になる。
  • 操作性:ピンチコントロールは誤操作がなく、確実な操作が可能。
  • アプリ:EQの自由度が高く、自分好みの音に育てられる楽しさがある。

どんなユーザーにおすすめできるか

  • テレワーク中心のビジネスパーソン:長時間の会議でも耳が疲れず、通話品質も譲れない人。
  • ランナー・ジムトレーニー:安全性とフィット感、そして汗への耐久性を求める人。
  • カナル型イヤホン難民:耳の形が合わず、すぐに耳が痛くなったり痒くなったりする人。
  • ガジェットに美学を求める人:Nothing独自のスケルトンデザインや世界観に共感できる人。

競合製品と比較した際の優位性

購入を迷うライバル機種との比較をまとめました。

比較モデルNothing Ear (Open) の優位点Nothing Ear (Open) の劣位点
Shokz OpenFitケースの携帯性(圧倒的に薄い)。アプリのEQカスタマイズ性。デザインの高級感。音質の低音の量感ではShokzがわずかに勝る印象。
Bose Ultra Open Earbudsコストパフォーマンス(Boseは約4万円)。装着の手軽さ(Boseは挟み込むタイプで慣れが必要)。重低音の迫力はBoseが圧倒的。ファッション性(イヤーカフ型)は好みが分かれる。
Huawei FreeClip音の厚み。ドライバー径が大きいため、音楽的な豊かさはNothingが上。装着感の軽さ(Huaweiはさらに軽い)。見た目のアクセサリー感。
Sony LinkBuds (初代)低音の存在感。LinkBudsは低音がほぼ出ないが、Nothingはしっかり聞かせるチューニング。本体のコンパクトさではSonyに分がある。

Nothing Ear (Open) レビューの最終結論

Nothing Ear (Open) は、Nothingにとって初めてのオープンイヤー型製品でありながら、すでに市場のトップランナーたちと対等、あるいはそれ以上に渡り合える完成度を誇っています。

単に「耳を塞がないイヤホン」を作ったのではなく、「着けていることを忘れさせ、日常に音楽をBシールレスに重ね合わせる体験」をデザインしたと言えます。

音質、装着感、機能性、そして所有欲を満たすデザイン。
これらが高い次元でバランスされており、24,800円という投資に見合う価値は十分にあります。

「音楽に没入して世界を遮断する」のではなく、「世界とつながったまま、自分だけのサントラを流す」。

そんな新しいライフスタイルを手に入れたいなら、Nothing Ear (Open) は間違いなくあなたの最高のパートナーになるでしょう。

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