オーディオファンの皆様、こんにちは。
近年、中華イヤホン市場(Chi-Fi)の進化は目覚ましく、かつては数十万円したような技術が、今や数万円、あるいは1万円台で楽しめる時代が到来しました。
その激流の中で、「デザインの美しさ」と「独自の音響哲学」で確固たる地位を築いているブランド、それが「QoA (Queen of Audio)」です。
そのQoAから、カクテルをモチーフにした最新モデル「Mimosa(ミモザ)」が登場しました。
15,000円前後という、エントリークラスからミドルクラスへのステップアップに最適な価格帯でありながら、「10mmダイナミックドライバー」+「6mmマイクロプラナードライバー」という、極めて野心的なハイブリッド構成を採用しています。
市場には数多くの「ボーカル重視」を謳うイヤホンが存在しますが、このMimosaは単に中音域を盛り上げただけの製品ではありません。
平面駆動ドライバー特有の繊細な高域と、ダイナミックドライバーの包容力ある低域を融合させ、「女性ボーカルの息遣いまで再現する」という明確な意図を持って設計されています。
今回は、このQoA Mimosaを長期間にわたり徹底的に使い込み、そのデザインの魅力から、ドライバー構成が生み出す音質の特徴、リケーブルやイヤーピース交換によるポテンシャルの変化、さらにはFPSゲームでの使用感まで、余すところなくレビューしていきます。
美しき「音の女王」が振る舞うカクテルは、果たしてどのような酔い心地を提供してくれるのか。
その全貌に迫ります。
- QoA Mimosaの概要と特徴:カクテルを模した世界観
- QoA 「Mimosa」の実機レビュー:付属品とビルドクオリティの検証
- QoA 「Mimosa」の音質徹底検証:女性ボーカル特化の真価
- QoA 「Mimosa」を使用した私の体験談・レビュー
- QoA 「Mimosa」に関するQ&A
- スマホ(iPhoneなど)に変換アダプタを噛ませて直挿ししても、十分な音質で楽しめますか?
- バランス接続(4.4mm)には対応していますか?
- FPSゲーム(ApexやVALORANT)などの用途には向いていますか?
- 「刺さる」というレビューを見かけますが、高音はキツいですか?
- 寝ホン(睡眠用)として使えますか?
- 「女性ボーカル特化」とのことですが、ロックやメタルは合わないのでしょうか?
- 市販のイヤーピース(SonyやAZLAなど)は使えますか?
- 最近流行りのASMR動画やボイスドラマには向いていますか?
- リケーブルの際、コネクタの形状に注意点はありますか?
- フェイスプレートの木目は、商品写真と全く同じものが届きますか?
- QoA 「Mimosa」レビューのまとめ
QoA Mimosaの概要と特徴:カクテルを模した世界観

QoAブランドのコンセプトとMimosaの立ち位置
QoA (Queen of Audio) は、中国の著名なオーディオブランド「Kinera」の姉妹ブランドとして2019年に設立されました。
Kineraが培ってきた高度な音響技術(ドライバー開発やシェル成形技術)をバックボーンに持ちつつ、より「女性的で柔らかなデザイン」や「物語性を感じさせるコンセプト」を重視しているのが特徴です。
QoAの製品名は、すべてカクテルの名前から取られています。
デビュー作の「Pink Lady」に始まり、「Mojito」「Vesper」「Adonis」など、そのどれもがカクテルの味や色味を音とデザインで表現するというユニークなアプローチをとっています。
そして今回の「Mimosa (ミモザ)」。
ミモザは、シャンパンとフレッシュなオレンジジュースを同量で割って作るカクテルで、「世界で最も贅沢なオレンジジュース」とも称されます。
その鮮やかな黄色は春の訪れを告げるミモザの花を連想させ、花言葉は「友情」「優雅」「秘密の恋」。
このカクテルのように、QoA Mimosaは「ダイナミックドライバーの温かみ」と「マイクロプラナードライバーの爽快なキレ」を絶妙なバランスで調合し、優雅で華やかなサウンドを目指して開発されました。
ブランドのラインナップの中では、エントリーからのアップグレード層、あるいは「ボーカル特化」という明確な役割を持たせたサブ機を求めるマニア層をターゲットとした、戦略的なモデルと言えます。
10mmDD+6mmマイクロプラナーのハイブリッド構成
Mimosaの最大の特徴であり、技術的なハイライトがこのドライバー構成です。
通常、この価格帯のハイブリッド機といえば「1DD + 1BA(バランスドアーマチュア)」が定石ですが、QoAはあえてコストのかかるマイクロプラナーを採用しました。
- 10mm ダイナミックドライバー (DD)
中低域を担当します。
QoA独自のチューニングが施されたこのドライバーは、カクテルにおける「オレンジジュース」のような役割。果実味あふれる豊かさと、全体を包み込むようなボディ感を提供します。
単に低音が出るだけでなく、ボーカルの基音となる中低域に厚みを持たせる重要な土台です。 - 6mm マイクロプラナードライバー (Micro Planar)
高域・超高域を担当します。これがカクテルの「シャンパン」にあたる部分です。- なぜBAではなくプラナーなのか?
- 従来のBAドライバーは高域の解像度が高い反面、特有の「金属的な響き(メタリックな質感)」が出やすく、聴き疲れの原因になることがありました。
- 対して平面駆動(プラナー)ドライバーは、極薄の振動板全体が均一に駆動するため、歪みが極めて少なく、応答速度(トランジェント)が高速です。これにより、「刺さらないのにどこまでも伸びる」という、空気のような高音を実現できるのです。6mmという極小サイズにこの技術を詰め込んだ点が、Mimosaの革新性です。
- なぜBAではなくプラナーなのか?
デザインとスペック:美しさと技術の融合
QoA製品のアイデンティティとも言えるのが、その芸術的な筐体デザインです。
量産品でありながら、まるで一点物のハンドメイドアクセサリーのような佇まいを持っています。
| 項目 | 詳細スペック | 解説 |
| 製品名 | QoA Mimosa (ミモザ) | |
| ドライバー構成 | 1DD (10mm) + 1Micro Planar (6mm) | 低域用DDと高域用平面駆動のハイブリッド |
| 再生周波数帯域 | 20Hz – 20kHz | 可聴域を十分にカバー |
| インピーダンス | 32Ω | スマホでも鳴らしやすい標準的な値 |
| 音圧感度 | 102dB | ノイズが乗りにくく、かつ音量も取りやすい |
| ケーブル | 5N 無酸素銅銀メッキケーブル | 2pin 0.78mmコネクタ採用でリケーブル容易 |
| プラグ | 3.5mm シングルエンド | 海外版には4.4mmバランス版も存在 |
| 実勢価格 | 約13,900円 – 15,500円 (税込) | コスパ激戦区の価格帯 |
インピーダンスは32Ω、感度は102dBというスペックは、スマートフォン直挿しでも十分に音量は取れる設計です。
しかし、プラナードライバーは駆動力のあるアンプを通すことで本領を発揮する傾向があるため、DAP(デジタルオーディオプレーヤー)やスティック型DACとの組み合わせで、さらなる音質向上が期待できます。
QoA 「Mimosa」の実機レビュー:付属品とビルドクオリティの検証

開封体験:所有欲を満たすパッケージと筐体デザイン
パッケージを手にした瞬間から、QoAが演出する「優雅な時間」が始まります。
白を基調とした清潔感のある化粧箱には、カクテルグラスを抽象化したようなエレガントなロゴデザインがあしらわれています。
箱を開けると、ジュエリーボックスのようにイヤホン本体が鎮座しており、その美しさに思わず息を呑みます。
今回レビューしているのは「ブラウン」モデルです。
フェイスプレートにはスタビライズドウッド(安定化木材)のような素材が使用されており、樹脂(レジン)で厚くコーティングされています。
木材の繊維に樹脂を染み込ませて着色した複雑な模様は、光の当たり方によって深みのあるブラウンや黄金色の輝きを放ちます。
これはプリント(印刷)ではなく実際の素材の風合いであるため、左右で微妙に木目が異なり、世界に一つだけの個体という愛着を感じさせます。
2種類のイヤーチップ(バランス・ボーカル)の違い
イヤホンにおいて「イヤーチップ」は音の出口であり、音質を左右する最重要パーツの一つです。
QoA Mimosaには、音質の方向性を変えられる2種類のイヤーチップが標準で各サイズ(S/M/L)付属しています。
- バランスド・イヤーチップ(ブラック)
- 形状: 開口部が標準的なサイズで、軸がしっかりとしています。
- 音質: 低域から高域までフラットに鳴らすタイプ。音場が適度に広く、特定の帯域を強調しないため、Mimosa本来のチューニングを素直に味わえます。まずはこのチップで基準の音を知ることをおすすめします。
- ボーカル・イヤーチップ(カラー軸/クリア傘)
- 形状: 傘の部分が少し柔らかく、耳奥までスッと入る形状。開口部はやや広めに設計されているように見えます。
- 音質: その名の通り、中高域の減衰を極限まで抑え、ボーカルをよりクリアに、前面に押し出す設計です。高音の抜けが良くなり、女性ボーカルの「サ行」の煌めきが増します。一方で、低域の量感は若干タイトになり、全体的にスッキリとした印象に変化します。
「Mimosaの本質」である女性ボーカルを堪能したい場合は、迷わずボーカル・イヤーチップを試すべきです。
付属品でここまで明確な使い分けができるのは、ユーザーにとって非常に嬉しい配慮であり、コストパフォーマンスを高める要因となっています。
ケーブルの質と3Dプリントシェルの装着感
付属ケーブルにも妥協はありません。
線材には5N(純度99.999%)の無酸素銅に銀メッキを施したものを採用。
銀メッキ線は高域の伝送特性に優れ、Mimosaの煌びやかさをサポートします。
被膜は非常にしなやかで、手触りはサラサラとしています。
安価なケーブルにありがちなゴムのようなベタつきや、強い巻き癖はありません。
タッチノイズ(衣擦れ音)もかなり抑えられており、移動中の使用でもストレスを感じませんでした。
装着感に関しては、「極上」の一言です。
Kinera/QoAグループは、長年のカスタムIEM製造で蓄積した膨大な耳型のデータを保有しています。
Mimosaのシェルは3Dプリンターで出力された樹脂製で、耳の凹凸に吸い付くようなエルゴノミクスデザイン(人間工学形状)を採用しています。
耳のくぼみ(コンチャ)にピタリとハマる感覚があり、イヤホン本体が耳から飛び出しにくい形状です。
これにより遮音性もパッシブ(耳栓効果)だけで非常に高く、ノイズキャンセリング機能がなくとも周囲の雑音をかなりカットしてくれます。
QoA 「Mimosa」の音質徹底検証:女性ボーカル特化の真価

ここでは、再生環境としてDAP「FiiO M11 Plus ESS」および、より一般的な環境としてiPhone 15 Pro + ドングルDAC「iBasso DC04PRO」を使用し、約50時間のエージング(慣らし運転)を行った状態での音質レビューを行います。
高音域:マイクロプラナードライバーが描く煌びやかな伸び
Mimosaのアイデンティティである高音域。マイクロプラナードライバーの効果は、一聴して明確に分かります。
その高音は「粒子が細かく、シルキーで煌びやか」です。
一般的なダイナミックドライバー単発機では表現しきれない「超高域の空気感(エアリー感)」や、シンバルの余韻、ウィンドチャイムの微細な響きが見事に再現されています。
特筆すべきは、BAドライバーのような「カチッとした硬質な音」とは異なり、平面駆動らしい「歪みがなく、素早く立ち上がり、スッと消える」レスポンスの良さがあることです。
これにより、高解像度でありながら耳に突き刺さるような不快なピーク感を巧みに回避しています。
ただし、音源の録音状態が悪い場合や、もともと高域が強調された楽曲では、わずかに刺激を感じる場面もあります。
しかし、この「ギリギリの刺激」こそが、楽曲に華やかさと鮮度を与え、リスニングの楽しさを倍増させているスパイスと言えるでしょう。
「女性ボーカル特化」と言われる中音域の艶と距離感
Mimosaの真骨頂は間違いなくここにあります。
中音域、特に女性ボーカルの表現力は、同価格帯では頭一つ抜けた存在です。
ボーカルの定位(位置)は非常に近く、「脳内、あるいは耳元で直接歌われている」ような錯覚を覚えるほどの距離感です。
声の質感は「ドライ(乾いた・分析的)」か「ウェット(湿った・感情的)」かで言えば、明らかにウェット寄り。
唇の動きや、声が発せられる瞬間の湿り気、艶やかさが感じられ、非常に色気があります。
特に相性が良いのは、ハイトーンの女性ボーカル、ウィスパーボイス、アニソン、アイドルソングです。
多くのイヤホンでは、楽器の音数が増えるとボーカルが奥に引っ込んでしまう(埋もれてしまう)ことがありますが、Mimosaは楽器隊よりもボーカルが常に半歩〜一歩前に出てくるチューニングになっています。
「推しの声を一番近くで、一番美しく聴きたい」というニーズに対して、これ以上ない回答を出してくれます。
意外なパンチ力?低音域の量感とサブベースの質
「女性ボーカル特化」「高域が綺麗」と聞くと、「低音がスカスカで迫力がないのでは?」と懸念される方も多いでしょう。
しかし、Mimosaは良い意味でその予想を裏切ります。
10mmダイナミックドライバーが担当する低域は、量感たっぷりでウォームな質感を持っています。
キレッキレの高速な低音というよりは、「包み込むような柔らかさと、地を這うような深さ」がある低音です。
サブベース(重低音)もしっかりと出ており、EDMやベースラインの太いK-POPなどを聴いても、迫力不足を感じることはまずありません。
この「温かみのある豊かな低域」が土台にあるおかげで、煌びやかな高域が神経質に響きすぎず、全体として「W字型(低音と高音が持ち上がりつつ、ボーカルもしっかり出ている)」の聴き心地の良いバランスにまとまっています。
QoA 「Mimosa」を使用した私の体験談・レビュー

ここからは、私が実際にQoA Mimosaを様々なシチュエーションや機材、ジャンルで徹底的に使い込んだ体験談をお伝えします。
スペック表からは読み取れない、リアルな使用感です。
ファーストインプレッション:見た目以上の実力
箱を開けた瞬間の「美しさ」への感動は前述の通りですが、実際に耳に装着し、最初の音を鳴らした瞬間のインパクトが強烈でした。
正直に告白すると、聴く前は「デザイン重視のブランドだから、音はそこそこで見た目勝負だろう」という偏見が少しありました。
しかし、その予想は良い意味で完全に裏切られました。
一聴して感じるのは「音の鮮度の高さ」です。
カクテルのミモザのように、フレッシュで炭酸が弾けるようなサウンド。特に高域の明瞭感と分離感は、2〜3万円クラスのイヤホンと比較しても遜色ありません。
「この美しい見た目で、こんなに本格的な音が出てくるのか」というギャップに、QoAの本気度を感じました。
楽曲別試聴レビュー:宇多田ヒカル・Ado・洋楽での相性
Mimosaの特徴をより具体的に伝えるため、いくつかの代表的な楽曲で詳細なレビューを行います。
- 宇多田ヒカル「One Last Kiss」
- 相性:最高(Sランク)
- イントロの太いシンセベースが、DDによって深く沈み込み、空間を支配します。そこに入ってくる宇多田ヒカルのボーカル。彼女特有のハスキーで揺らぎのある声質が、Mimosaの中音域の艶と完璧にマッチします。ブレス(息継ぎ)の音や、声の消え際のかすれ具合が生々しく再生され、まるで目の前で歌っているような没入感です。サビの高音部分も詰まることなく、プラナーのおかげで綺麗に伸びていきます。
- Ado「唱」
- 相性:非常に良い(A+ランク)
- 激しいビートと攻撃的な高音ボーカル、複雑な転調が特徴の難曲です。スピード感のある曲ですが、マイクロプラナーの応答速度の速さがここで活きます。音が団子にならず、Adoの変幻自在な歌声(がなり声からファルセットまで)がクリアに分離して聴こえます。高音が鋭い箇所で若干の刺さりを感じる瞬間もありますが、それが逆に楽曲のスリルと興奮を高めており、「聴いていて楽しい」サウンドになっています。
- YOASOBI「アイドル」
- 相性:良い(Aランク)
- 打ち込み系の電子音と相性が良く、ikuraの透明感あるハイトーンボーカルが際立ちます。ただ、この曲は音数が非常に多くコンプレッションも強いため、サビの爆発的なパートでは、低域のダイナミックドライバーが少し飽和気味になり、ごちゃつきを感じる場面もありました。それでもボーカルは埋もれずしっかりと主張してきます。
- Billie Eilish「Bad Guy」
- 相性:意外と良い(Aランク)
- 低音の量感があるので、洋楽ポップスの太いビートも楽しく聴けます。DDによる重低音の圧と、プラナーによるウィスパーボイスの繊細さの対比が明確で、Mimosaのダイナミックレンジの広さを感じました。
- 上原ひろみ「Spark」(ジャズ・ピアノトリオ)
- 相性:良好(B+ランク)
- ピアノの打鍵音の硬質感や、シンバルの響きは非常に美しいです。ただ、ウッドベースの胴鳴りが少し膨らみすぎる傾向があり、モニターライクに各楽器の定位を正確に把握したい場合は、もう少し低域が締まった機種の方が向いているかもしれません。リスニングとしては非常に気持ちの良い音です。
競合モデル(Adonis・Celest等)との比較・使い分け
同じQoAの過去の名機や、姉妹ブランドのモデルと比較してみました。
- vs QoA Adonis (初代 / 1DD+2BA)
Adonisもボーカル重視の美音系で人気を博しましたが、Mimosaの方が「音の繋がり」が自然です。
AdonisはBAドライバー特有の硬さが時折顔を出しましたが、MimosaはDDとプラナーの帯域分割が巧みで、より滑らかに繋がっています。
また、装着感は筐体が小型化したMimosaの方が万人に合いやすいと感じました。 - vs Kinera Celest Gumiho (1DD+1Planar)
同じく平面駆動を採用した姉妹ブランド機です。
Celestシリーズと比較すると、Mimosaの方が「リッチで大人っぽい」音作りです。
Gumihoはより元気で荒削りな楽しさがありますが、Mimosaは余韻や響きの美しさ、上品さを重視しています。
長時間聴いていて疲れにくいのはMimosaの方でしょう。
リケーブルとイヤーピース交換による音質変化の検証
Mimosaはリケーブル(ケーブル交換)による変化が分かりやすいイヤホンです。
- バランス接続(4.4mm)への変更
手持ちの純銀線ケーブル(4.4mmバランスプラグ)に変更し、DAPのバランス出力で駆動してみました。
結果、音場が一気に広がりました。 左右の分離感が向上し、ボーカルと楽器の間に明確な空間が生まれます。
また、駆動力が増したことで低域の制動力が上がり、少し緩く感じていた低音が「ドムッ」から「ダンッ」とタイトに引き締まりました。
Mimosaのポテンシャルを100%引き出すなら、バランス接続は強くおすすめしたいアップグレードです。 - サードパーティ製イヤーピースへの交換
- AZLA SednaEarfit Crystal: 素材のグリップ力が高く、高域の直進性が増し、よりクリアで現代的な音になります。Mimosaの美音系キャラクターを強化したい場合におすすめです。
- final Eタイプ: 低域を少し強めつつ、高域の刺激(刺さり)を抑えたい場合に最適です。まろやかな音になり、聴き疲れがさらに低減します。
長時間使用して感じた快適性と注意点(ゲーミング用途含む)
【装着感と疲労度】
3〜4時間ほどの連続使用を行いましたが、耳への物理的な痛みは皆無でした。
筐体が軽量であることと、優れたシェル形状が寄与しています。
ただし、音質面では高域の情報量が非常に多いため、人によっては長時間の使用で脳が疲れる「聴き疲れ」を感じる可能性があります。
BGMとして小さめの音量で流し聴きするよりは、しっかりと音楽に向き合って楽しむタイプの音だと感じました。
【ゲーミング(FPS)での使用感】
試しに「Apex Legends」や「VALORANT」で使用してみました。 結論から言うと、「意外と使えるが、最適解ではない」という印象です。
高域の解像度が高いため、足音(高音成分の床鳴り)やリロード音は非常にクリアに聞こえます。
しかし、低域の残響が少し多いため、爆発音が重なると足音がかき消される瞬間がありました。
定位感(方向のわかりやすさ)は良好ですが、ガチのFPSプレイヤーであれば、もう少し低域がタイトなモニター系イヤホンの方が有利かもしれません。
逆に、RPGやアクションゲーム(モンハンや原神など)では、BGMの壮大さとSEの迫力が素晴らしく、世界観に没入できるため非常に推奨できます。
体験談の総括:1.5万円クラスでの満足度
総じて、15,000円という価格を考えると、満足度は極めて高いです。
「なんとなくバランスの良い音」を目指した器用貧乏なイヤホンではなく、明確に「女性ボーカルを美しく聴かせる」「高域を煌びやかに彩る」という意思が感じられるチューニングであるため、ハマる人にはとことんハマる機種です。
初めての1万円越えイヤホンとしても、マニアの「ボーカル鑑賞用」サブ機としても、十分にその役割を果たしてくれる確信を得ました。
QoA 「Mimosa」に関するQ&A

QoA 「Mimosa」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
スマホ(iPhoneなど)に変換アダプタを噛ませて直挿ししても、十分な音質で楽しめますか?
はい、楽しめます。
インピーダンス32Ω、感度102dBというスペックは、スマートフォンでも十分に音量が取れる設計です。Mimosa特有の女性ボーカルの近さや煌びやかさは、スマホ直挿しでも十分に体感できます。 ただし、マイクロプラナードライバーは駆動力のあるアンプを通すことで、高音の伸びや低音の締まりが格段に向上します。より高音質を目指すなら、数千円〜1万円程度のスティック型DAC(ドングルDAC)の併用を強くおすすめします。
バランス接続(4.4mm)には対応していますか?
標準付属ケーブルは3.5mmプラグです。
日本国内で流通している標準パッケージは3.5mmシングルエンドプラグのケーブルが付属します(海外版には4.4mm選択肢がある場合もあります)。 ただし、コネクタは汎用性の高い「0.78mm 2pin」規格を採用しているため、市販の4.4mmバランスケーブルにリケーブル(交換)することで、簡単にバランス接続化が可能です。バランス接続にすると音場が広がり、分離感がさらに向上します。
FPSゲーム(ApexやVALORANT)などの用途には向いていますか?
カジュアルに楽しむ分には「アリ」ですが、ガチ勢には不向きかもしれません。
高音域の解像度が高いため、足音や銃声の方向(定位)は比較的掴みやすいです。しかし、音楽鑑賞用に低音の響き(残響)がリッチに作られているため、激しい交戦時には爆発音などが足音をマスクしてしまう可能性があります。 「勝ち」にこだわる競技用としてはモニターイヤホンの方が有利ですが、RPGやアクションゲームなど、BGMや世界観の没入感を重視するゲームには非常に相性が良いです。
「刺さる」というレビューを見かけますが、高音はキツいですか?
録音環境や人によっては刺激を感じる場合があります。
マイクロプラナードライバー特有の「非常に解像度の高い、煌びやかな高音」が出るため、シンバル音などが強調された楽曲では刺激(刺さり)を感じることがあります。 もし高音がキツく感じる場合は、付属の「バランスド・イヤーチップ(黒)」を使用するか、サードパーティ製の「final Eタイプ」など、高域をマイルドにするイヤーピースに交換することで、快適に聴けるようになります。
寝ホン(睡眠用)として使えますか?
筐体が少し厚みがあるため、横向き寝には不向きです。
装着感は非常に良いですが、カスタムIEMのような形状で耳をしっかり塞ぐため、枕に耳を押し付けると圧迫感を感じやすいです。就寝用よりは、通勤・通学やカフェでのリスニングなど、起きて活動している時の使用に最適です。
「女性ボーカル特化」とのことですが、ロックやメタルは合わないのでしょうか?
決して合わないわけではありませんが、好みが分かれます。
マイクロプラナードライバーのおかげで、ギターの速弾きやドラムのシンバル音のキレは素晴らしく、スピード感のある楽曲もこなせます。 ただし、重厚なベースラインや地を這うようなデスボイスの迫力を最優先するメタラーの方には、少し低音が上品(柔らかい)と感じるかもしれません。「ボーカルが埋もれないクリアなロック」を好む方には適しています。
市販のイヤーピース(SonyやAZLAなど)は使えますか?
はい、問題なく使用できます。
Mimosaのノズル(音が出る筒の部分)の太さは一般的な約5.5mm〜6mm径ですので、市販されている多くのイヤーピース(Sony ハイブリッドイヤーピース、AZLA SednaEarfit、SpinFitなど)が装着可能です。 特に軸が太めのイヤーピースを選ぶと、高域がよりダイレクトに届くようになり、Mimosaの個性を伸ばすことができます。
最近流行りのASMR動画やボイスドラマには向いていますか?
実はかなり向いています。
Mimosaの特徴である「ウェットで艶のある中音域」と「微細な音を拾う高解像度」は、ASMR作品と非常に相性が良いです。 特に耳元での囁き声(ウィスパーボイス)や吐息、咀嚼音などの生々しい音は、ダイナミックドライバー単発機よりもリアルに感じられます。ただし、炭酸の音やハサミの音などの高周波成分は、刺激的に聞こえすぎる場合があるので音量注意です。
リケーブルの際、コネクタの形状に注意点はありますか?
フラットな2pin」または「中華2pin」と呼ばれるタイプを選んでください。
規格は「0.78mm 2pin」ですが、イヤホン側の差込口が深く埋め込まれているタイプ(埋め込み2pin)ではなく、浅めの仕様です。 いわゆる「QDCタイプ(カバー付き)」のコネクタは物理的に刺さらないか、浮いてしまう可能性があるため推奨しません。一般的な「CIEM 2pin」や「フラット2pin」であれば問題なく装着できます。
フェイスプレートの木目は、商品写真と全く同じものが届きますか?
いいえ、全て「一点もの」です。
フェイスプレートに使用されているウッド素材やレジンの混ざり具合は、個体ごとに異なります。 「写真より明るい色が届いた」「木目の入り方が複雑だった」といった個体差を楽しむのが、この製品の醍醐味の一つです。世界に一つだけのデザインとして愛着を持っていただければと思います。
QoA 「Mimosa」レビューのまとめ

「Mimosa」は、美しいデザイン、豊かな音質、そして手頃な価格帯で多くのリスナーに満足を提供できる有線イヤホンです。
この記事を通じて、「Mimosa」の特長や実際の使用感を詳しくお伝えしましたが、ここで総合的な評価をまとめます。
メリット:価格を超えたデザインと中高音の質
- 圧倒的なデザイン美: ウッド&レジンの筐体は芸術品レベル。所有する喜びがあり、ギフトにも最適。
- 女性ボーカルの艶: 近距離で鳴る、湿度を含んだボーカル表現は絶品。特にJ-POPやアニソンとの相性が抜群。
- マイクロプラナーの高解像度: 1万円台とは思えない高域の伸びと空気感を実現。
- 極上の装着感: 多くの人の耳にフィットする3Dプリントシェルにより、長時間でも快適。
- 豪華な付属品: 音質の異なる2種類のイヤーチップや、高品質な銀メッキケーブルが標準付属。
デメリット:人を選ぶ高音の刺激と低音の重み
- 高域の刺激: 楽曲や録音状態によってはシンバルなどが刺さる手前まで主張するため、高音過敏な人は注意が必要。
- 低域の解像度: 量感はあるが、モニター機のようなカリッとした解像感を低域に求めると、少し緩く(ブーミーに)感じる場合がある。
- 男性ボーカル: 高めの男性ボーカルは合うが、太く低い男性ボーカル(ダンディな声)は少しあっさり聴こえることがある。
QoA Mimosaをおすすめしたい人
- 女性ボーカルのアニソン、ポップス、バラードをメインに聴く人。
- イヤホンの見た目やデザインにもこだわりたい、おしゃれなアイテムとして使いたい人。
- 初めてのリケーブル対応イヤホン(IEM)を探していて、失敗したくない人。
- ドンシャリ傾向が好きだが、ボーカルが埋もれるのは嫌だという人。
- 「平面駆動ドライバー」の音を低コストで体験してみたい人。
他のモデルを検討すべき人
- 重低音重視のクラブミュージックやヒップホップを、脳を揺らすようなソリッドな迫力で聴きたい人(低音特化モデルの方がおすすめ)。
- 完全にフラットなモニターサウンドを求めており、楽曲の粗探しやミキシングに使いたい人。
- 高音のシャリつきや刺激に極端に敏感で、とにかくマイルドな音が好きな人。
同価格帯におけるMimosaの独自の立ち位置とコスパ
15,000円前後の価格帯(A10000〜U20000)は、MOONDROPの「Aria 2」やTruthearの「NOVA」、SIMGOT製品など、強力なライバルがひしめく激戦区です。
その中でMimosaは、「マイクロプラナードライバー搭載」という技術的優位性と、「カクテルを模した明確なコンセプトとデザイン」で差別化に成功しています。
優等生的なバランス型の機種が多い中で、Mimosaはあえて「美音」「ボーカル特化」に振った個性派です。
しかし、その個性は決して奇抜すぎず、多くの人が「良い音」と感じるスイートスポットを突いています。
このバランス感覚こそが、ミモザというカクテルの名を冠した理由なのでしょう。
コストパフォーマンスは非常に高いと断言できます。
レビューの総括:購入する価値はあるか
結論として、QoA Mimosaは間違いなく「買い」です。
特に、「今までスマホ付属や5,000円以下のイヤホンを使っていたが、もっとボーカルを綺麗に、生々しく聴きたい」というステップアップ層には、感動的な体験を提供してくれるでしょう。
また、すでに何本もイヤホンを持っているマニアにとっても、この美しいデザインとプラナー特有の高音は、コレクションに加える価値が十分にあります。
カクテル「ミモザ」が朝食のシャンパンとして世界中で愛されるように、QoA Mimosaもあなたの音楽生活を爽やかで、そして少し贅沢なものに変えてくれるはずです。
ぜひ一度、その美音に酔いしれてみてください。


