「1万円以下のワイヤレスヘッドホンで、音質も機能も妥協したくない」
「通勤時の騒音を消したいけれど、3万円もする高級機には手が出ない」
そんな贅沢かつ切実な悩みを抱えるオーディオファンやガジェット好きにとって、昨年登場した「QCY H3」は、まさに価格破壊とも言える衝撃的な存在でした。
SNSやYouTubeでも「コスパ最強」の名をほしいままにしたあの名機から、早くも正統進化モデルとなる「QCY H3 Pro」が登場しました。
これまでのポータブルオーディオ市場の常識では、ハイレゾ相当の高音質コーデック「LDAC」や、-50dBクラスの高性能なノイズキャンセリング(ANC)を搭載したヘッドホンといえば、2万円〜3万円クラス(SONYやSennheiserのエントリー〜ミドルライン)が当たり前でした。
しかし、QCY H3 Proはその常識を軽々と打ち破り、実売7,000円台という驚異的な価格設定で市場に投入されています。
「Pro」の名を冠したことで、一体何が変わったのか?
単なるデザイン変更や小手先のマイナーチェンジなのか、それとも全く別次元の体験が得られるのか?
この記事では、オーディオ機器を数多くレビューし、普段から数万円クラスのヘッドホンも愛用している筆者が、QCY H3 Proを徹底的に使い倒し、その実力を検証します。
前作H3との詳細なスペック比較はもちろん、競合ひしめく1万円以下のヘッドホン市場(AnkerやEarFunなど)において、H3 Proが「最適解」となり得るのか。
そして、カタログスペックには現れない「実際の使い心地」はどうなのか。
忖度なしでレビューしていきます。
- 【外観・装着感】QCY 「H3 Pro」のデザインと進化したフィット感
- 【QCY 「H3 Pro」の音質検レビュー】LDAC対応でハイレゾワイヤレスの実力を解放
- 【QCY 「H3 Pro」の機能性能】最大-50dBのノイズキャンセリングと使い勝手
- QCY 「H3 Pro」を使用した私の体験談・レビュー
- QCY 「H3 Pro」に関するQ&A
- 「H3 Pro」はiPhoneユーザーでも楽しめますか?
- ゲームや動画視聴時の「遅延」は気になりますか?
- 「LDAC」って本当に音質が変わりますか?
- 防水機能はありますか?ランニングに使えますか?
- マイク性能はどうですか?Web会議に使えますか?
- 側圧(締め付け)は強いですか?メガネをしていても痛くなりませんか?
- 音漏れはしますか?満員電車で使っても平気ですか?
- 専用アプリ「QCY」を入れなくても使えますか?
- 充電が切れても、有線なら音楽を聴けますか?
- 急速充電には対応していますか?
- アプリで設定したイコライザー(EQ)は、PCに接続しても反映されますか?
- 風が強い日の「ボボボ」という風切り音対策はありますか?
- Bluetooth 5.4対応ですが、接続は途切れにくいですか?
- QCY 「H3 Pro」レビューのまとめ
【外観・装着感】QCY 「H3 Pro」のデザインと進化したフィット感

まずは、所有欲を満たす上で欠かせない「デザイン」と、長時間使用の快適性を左右する「装着感」から見ていきましょう。
前作H3はコストパフォーマンスに優れていましたが、コストカットを感じるプラスチッキーな質感が唯一の弱点とも言われていました。
Pro版ではその点がどのように改善されたのか、細部までチェックします。
前作H3から質感が大幅向上!金属パーツとビルドクオリティ
箱を開けて本体を手にした瞬間、前作H3を知るユーザーなら誰もが「おっ、明らかに良くなっている」「クラスが一つ上がった」**と感じるはずです。
最大の変化はビルドクオリティ(造りの良さ)の向上です。
H3では全体的に樹脂感が強く、手で持った時にギシギシとした音が鳴るような価格相応のチープさがありましたが、H3 Proでは以下の点が大きくアップデートされています。
- 金属装飾の採用とマット仕上げ:
ヘッドバンドのスライダー部分(伸縮箇所)やヒンジ周り、ロゴプレートに金属パーツが使用されています。
さらに、本体表面は指紋が目立ちにくいマットな塗装が施されており、さらさらとした手触りが高級感を演出しています。 - ロゴデザインの洗練:
アーム部分の「QCY」ロゴが、分割されたスタイリッシュなデザインに変更されました。
以前のような主張の強いプリントではなく、デザインの一部として溶け込んでおり、街中で装着していてもガジェットとしてのカッコよさを感じさせます。 - ヒンジの精度と剛性:
折りたたみ部分のヒンジの動きが非常にスムーズになり、開閉時の「カチャカチャ」とした安っぽい音が低減されています。
剛性感も増しており、可動部の耐久性に対する不安も軽減されました。
7,000円台の製品としては、頭一つ抜けた質感に仕上がっており、3万円クラスの高級機と並べても、パッと見では見劣りしないレベルのデザイン性を持っています。
側圧とイヤーパッドの改良で長時間のリスニングも快適に
ヘッドホン選びで音質以上に重要なのが「装着感」です。
そして重量バランスが見直されています。
【QCY H3 Pro vs H3 装着感比較】
| 項目 | 前作 QCY H3 | QCY H3 Pro | 進化のポイント |
| イヤーパッド | やや硬めで厚みがある | モチモチとした感触、薄型化 | 密着度が上がり、遮音性が向上 |
| 側圧 | 強め(締め付け感あり) | 最適化され、マイルドに | 長時間でもこめかみが痛くなりにくい |
| 重量 | 約260g | 約230g | 約30gの軽量化で首への負担激減 |
| ヘッドバンド | クッション少なめ | クッション増量 | 頭頂部への当たりがソフトに |
特筆すべきは約30gの軽量化です。
ヘッドホンにおける30gの差は非常に大きく、これは単三電池1本分以上の重さに相当します。
2時間ほど映画を見た後の首や肩の疲れ方が全く異なります。
イヤーパッドには、高級ヘッドホンでも採用される「シンセティック・プロテインレザー」を採用しており、肌触りは非常に滑らかです。
前作よりも少し薄くなりましたが、低反発ウレタンの質が良く、吸い付くようなフィット感があります。
これにより、メガネをかけていてもツルが食い込みにくく、痛くなりにくいのが嬉しいポイントです。
操作ボタンの配置と折りたたみ機構の実用性をチェック
操作系は右側のイヤーカップ下部に集約されています。
最近のトレンドであるタッチセンサー式ではなく、あえて物理ボタン式を採用している点は、実用性を重視するユーザーから高く評価されるでしょう。
タッチ式はフードを被ったり髪が触れたりした際の誤作動が多いですが、物理ボタンならその心配がありません。
- ANCボタン: ノイズキャンセリング / 外音取り込み / OFF の順次切り替え
- 音量ボタン(+/-): 音量調整、長押しで曲送り/曲戻し
- 電源ボタン: 再生/停止、電源ON/OFF、通話応答、長押しで音声アシスタント起動
ボタンの配置には適度な距離感があり、指先の感触だけで「これは音量ボタン」「これは電源ボタン」と判別しやすくなっています。
クリック感もしっかりしており、「カチッ」というフィードバックがあるため操作ミスを防げます。
また、ハウジングを内側に折りたたむことでコンパクトに収納可能です。
専用のキャリングケースは付属しませんが、非常にコンパクトになるため、カバンの隙間やコートのポケットにスッと入るサイズ感は、毎日持ち歩く通勤・通学ユーザーにとって大きなメリットと言えるでしょう。
【QCY 「H3 Pro」の音質検レビュー】LDAC対応でハイレゾワイヤレスの実力を解放

QCY H3 Pro最大のトピックであり、多くのユーザーが購入の決め手とするのが高音質コーデック「LDAC」への対応です。
これにより、ワイヤレスでもハイレゾ相当(最大96kHz/24bit)の情報量を伝送できるようになりました。
無線接続時のサウンド:解像度重視の明瞭な音作りへ変化
実際にLDAC接続(Android端末 / Xperiaを使用)で、Amazon Music Unlimitedのハイレゾ音源を試聴してみました。
結論から言うと、前作H3とは音の傾向がガラリと変わっていることに驚かされます。
音質の傾向まとめ
- 低音域: 量感よりも「質」と「スピード」を重視。ボワつきがなくタイトに引き締まっている。
- 中音域: ボーカルが非常にクリアで前に出る。以前のような「膜が張った感じ」が一掃された。
- 高音域: LDACの恩恵を最も感じる帯域。シンバルの余韻、ピアノの倍音成分が美しく伸びる。
前作H3は、どちらかと言えば「低音ドッカン系」で、迫力はあるものの全体的に暖色寄りで、高域の抜け感に物足りなさを感じる場面がありました。
対してH3 Proは、いわゆる「弱ドンシャリ〜フラット」に近いバランスにチューニングされています。
例えば、YOASOBIの「アイドル」のような情報量の多いポップスを聴くと、イントロのシンセサイザーの粒立ちや、ikuraさんのブレス(息継ぎ)の生々しさが格段に向上しています。
ベースラインも「ドムッ」と膨らむのではなく、「ドッ」とタイトに鳴るため、テンポの速い曲でも音が団子にならず、リズミカルに聴くことができます。
「低音の量感」だけで言えば前作の方がありましたが、H3 Proは「低音の解像度」が高まっています。
こもり感という低価格ヘッドホン特有のネガティブ要素が見事に解消されており、現代的な音楽トレンドに最適化されたサウンドと言えます。
有線接続時の進化:DSP補正有効による音質劣化の解消
ここは多くのレビュアーが見落としがちですが、H3 Proの隠れた「最強のメリット」とも言えるのがこのポイントです。
通常、1万円以下のワイヤレスヘッドホンは、付属の3.5mmケーブルを挿すと電源が強制的にOFFになり、内蔵アンプを通さない「パッシブ駆動(アナログ駆動)」になるものが大半です。
その結果、ヘッドホン本来の音響設計(DSPによるチューニング)が機能せず、音がスカスカになったり、逆にこもったりして、聴くに耐えない音質になってしまうことが多々あります(前作H3もそうでした)。
しかし、H3 Proは有線接続時でも電源をONにでき、DSP(デジタル信号処理)補正を効かせることができます。
- 前作 H3: 有線接続 = 強制電源OFF。音質劣化が著しく、あくまで緊急用。
- H3 Pro: 有線接続 = 電源ONが可能。 無線時と同等の高音質チューニング&ノイキャンが使える。
これにより、「バッテリーが切れた時の緊急用」としてだけでなく、「遅延ゼロで高音質を楽しむためのメインの接続方法」として有線が使えます。
PCに繋いでFPSゲームをする、動画編集をする、あるいはDAP(デジタルオーディオプレーヤー)に繋いでロスレス音源を楽しむといった用途において、この仕様変更は革命的です。
7,000円台で「アクティブ有線接続」ができる機種は極めて稀です。
空間オーディオとイコライザー活用で好みの音に調整可能
専用アプリ「QCY」を使用することで、さらに自分好みにカスタマイズが可能です。
- 10バンド・イコライザー(EQ):
プリセット(ポップ、ベース、ロックなど)だけでなく、周波数ごとに細かく調整できるカスタムEQを搭載しています。
「低音が足りない」と感じる場合は、EQで低域(60Hz〜125Hzあたり)を少し持ち上げるだけで、40mmドライバーのポテンシャルを引き出し、十分に迫力ある音になります。
逆に、ボーカルをもっと聴きたい場合は中域を持ち上げるなど、自由自在です。 - 360°空間オーディオ:
音場を擬似的に広げ、映画館のような響きを与える機能です。
アクション映画鑑賞時には臨場感が増して非常に楽しいですが、音楽鑑賞(特にステレオ感を重視するピュアオーディオ的な聴き方)では、音が遠くなり、位相が少し不自然になる感覚があります。
「映画やライブ映像を見る時はON」「普段の音楽鑑賞はOFF」と、コンテンツによって使い分けるのが正解です。
【QCY 「H3 Pro」の機能性能】最大-50dBのノイズキャンセリングと使い勝手

カタログスペックで「最大-50dB」を謳うノイズキャンセリング性能。
この数値は、3万円クラスのハイエンド機に匹敵するものですが、実際の効果はどうでしょうか。
過大広告ではないか、実地検証しました。
実用レベルに達したANC性能と外音取り込みの自然さ
結論から言えば、「7,000円台でここまで消えれば文句なし。期待以上」です。
- 低音ノイズへの効果:
電車の走行音、車のロードノイズ、エアコンの室外機、換気扇の音などの「ゴーッ」「ブォーッ」という低い音は、驚くほどカットされます。
音楽を流していれば、ほぼ気にならないレベルまで静寂が作れます。 - 中高音ノイズへの効果:
人の話し声や食器の当たる音、キーボードを叩く音などは完全には消えませんが、遠くで鳴っているような感覚まで減衰します。
耳障りな角が取れる印象です。
前作H3(最大-43dB)と比較しても、その差は体感できるレベルです。
特に便利なのが、4つのモード切り替えです。
- 屋内モード: オフィスやカフェ向け。人の声をマイルドにする。
- 通勤モード: 電車やバス向け。重低音ノイズを強力にカット。
- 騒音モード: 最も強力なANC。
- 風切り音低減モード: 風がマイクに当たる「ボボボ」という音をカット。
さらに「AI環境適応モード」にしておけば、周囲の騒音レベルに合わせて自動で強度を調整してくれるため、静かな場所でANC特有の圧迫感(ツーンとする感じ)を感じることが少なく、長時間の使用でも疲れにくいのが特徴です。
一方、外音取り込み機能については、「自然さ」という点ではAirPods Maxなどの超高級機には及びません。
全体的に音量が少し下がり、マイクで拾ったような「サーッ」というホワイトノイズが若干乗ります。
とはいえ、ヘッドホンを外さずにレジで会計をしたり、駅のアナウンスを聞いたりする分には全く問題ない実用レベルです。
マルチポイント接続の利便性とLDAC併用時の注意点
スマホとPC、スマホとタブレットなど、2台のデバイスに同時接続できる「マルチポイント機能」も搭載しています。
この機能の挙動は非常にスムーズで、PCで動画を見ている最中にスマホに着信があれば、自動で切り替わります。
また、割り込み再生(片方を再生中に、もう片方を再生すると自動でソースが切り替わる)にも対応しており、接続の手間から開放されます。
【⚠️ 重要:ここだけは注意!】
H3 Proの仕様として、「LDAC(高音質コーデック)」と「マルチポイント」は併用できません。
アプリ内でLDACをONにすると、システム上の制限によりマルチポイントは自動的にOFFになります。
| 設定パターン | 接続コーデック | マルチポイント | おすすめユーザー・シーン |
| 音質優先 | LDAC | 不可 | じっくり音楽を楽しみたい時、移動中 |
| 利便性優先 | AAC / SBC | 可能 | 仕事中(PC+スマホ)、家事中(タブレット+スマホ) |
このトレードオフがあることは、購入前に必ず理解しておく必要があります。
普段はマルチポイント(AAC)で使用し、ここぞという音楽鑑賞時のみLDACに切り替える、といった運用もアプリから簡単に可能です。
低遅延ゲームモードと通話マイク品質のチェック
- ゲームモード(低遅延):
アプリやボタン操作(機能ボタンをダブルクリックなど)でONにすることで、遅延を大幅に低減(公称0.068秒=68ms)できます。
実際に「原神」や「動画視聴」で試しましたが、攻撃ボタンを押した時の効果音のズレや、口の動きと声のズレ(リップシンク)はほぼ気になりません。
さすがに判定のシビアな音ゲー(プロセカなど)の最高難易度は厳しいですが、RPGやアクションゲーム、YouTubeなどの動画視聴であれば、無線であることを忘れるレベルです。 - 通話マイク品質:
3つのマイクとVDCNN(ニューラルネットワーク)技術により、周囲の雑音をカットしつつ声を届けます。
実際にZoom会議やLINE通話で使用してみましたが、こちらの声はクリアに相手に伝わっていました。
ただし、強風時や騒がしいカフェでは、ノイズ抑制処理が強く働きすぎて声が少し機械的(ロボットボイス気味)になったり、語尾が途切れたりする傾向があります。
静かな室内でのテレワークなら十分実用的ですが、騒音下での重要なビジネス通話には注意が必要です。
QCY 「H3 Pro」を使用した私の体験談・レビュー

ここからは、スペック表やカタログだけでは分からない、筆者が実際にQCY H3 Proを日常生活で1週間使い倒して感じたリアルな体験談をお届けします。
通勤電車での使用感:走行音やアナウンスはどう聞こえるか
毎朝の通勤電車(地下鉄を含む片道1時間)で使用しました。
ノイズキャンセリングを「アダプティブ(環境適応)」に設定して乗車。
地下鉄特有の「ゴーッ」「キキーッ」という金属音と風切り音が混ざった轟音が、スッと遠ざかり、まるで一枚壁を隔てたかのような感覚になります。
音楽のボリュームを普段より2〜3段階下げても、歌詞やポッドキャストの話し声がはっきりと聞き取れるため、耳への負担も減りました。
また、車内アナウンスを聞きたい時は、右手のボタンをカチッと1回押すだけで「外音取り込み」に切り替わるレスポンスの良さが光りました。
タッチパネル式のように「長押しして待つ」ストレスがないのは、混雑した車内では大きなメリットです。
自宅での作業用BGMとしての使用感:集中力への寄与
自宅での執筆作業中、集中力を高めるために装着。
側圧がマイルドになったおかげで、2〜3時間つけっぱなしでも耳や頭頂部が痛くなりません。
前作H3は1時間ほどでこめかみに圧迫感を感じましたが、Proではイヤーパッドのモチモチ感と軽量化の恩恵で、装着していることを忘れそうになるほどでした。
音楽を流さず、ANCだけをONにして「デジタル耳栓」として使うのも非常に効果的でした。
家族の生活音(テレビの音やドアの開閉音)や遠くの工事音が消え、作業への没入感が格段に上がります。
映画・アニメ鑑賞時の没入感:遅延と迫力のバランス
iPadと接続し、Netflixでアクション映画を視聴。「動画モード(低遅延)」をONにすれば、爆発音やセリフの遅延は全く感じません。
ここで「空間オーディオ」をONにしてみました。
すると、銃弾が飛び交うシーンや雨の音に包まれるような広がりが生まれ、迫力が倍増しました。
低音がタイトになった分、爆発音の「ドカーン!」という重みは前作H3に軍配が上がりますが、セリフの聞き取りやすさはH3 Proの方が圧倒的に上です。
BGMとセリフが混ざらず、分離して聞こえるため、ストーリーに入り込みやすいと感じました。
動画視聴における空間オーディオは「当たり」機能です。
カフェでのリモートワーク:マイク性能と周囲の視線
スターバックスでPC作業をしながらWeb会議に参加。
周囲のザワザワとした話し声は、マイクのノイズキャンセリング機能がある程度カットしてくれたようで、通話相手からは「静かな場所にいるかと思った」と言われました。
ただ、隣の席の人が大きな声で笑った時や、店員さんが食器を片付ける高い音は拾ってしまうようです。
デザインがマットで洗練されているため、MacBookと一緒に使っていても違和感がなく、ガジェットとしての見栄えが良いのも個人的に気に入ったポイントです。
安っぽいプラスチック感がないので、「良い道具を使っている」という満足感があります。
前作H3から乗り換えて感じた「確かな進化」と「惜しい点」
H3から乗り換えて一番感動したのは、やはり「音の解像度」と「軽さ」です。
H3を使っていた時は「安いから音がこもっていても仕方ない」と割り切っていた部分が、Proでは「え、これで十分じゃないか?これ以上何が必要なんだ?」という満足感に変わりました。
一方で、惜しい点としては、やはりLDACとマルチポイントの排他仕様です。
いちいちアプリを開いて切り替えるのが少し手間に感じました。
ここが両立できていれば、間違いなく「神機」認定でした。
また、バッテリー持ちについては、LDAC+ANCオンで使用していましたが、公称値(約40時間)に近い35時間以上は持ちました。
1日3時間の使用なら2週間近く充電不要なのは驚異的です。
体験談の総括:価格破壊と言われる理由を肌で感じた瞬間
1週間使い続けて感じたのは、「数年前なら3万円出した機能が、今は7,000円で手に入る」という技術の進歩への驚きと、少しの恐ろしさです。
もちろん、数万円の機種と比べれば、プラスチックパーツの合わせ目や外音取り込みの自然さなど、粗を探そうと思えば探せます。
しかし、この価格を考えれば全てが許容範囲内どころか、期待値を大きく超えてきます。
「とりあえずこれ買っとけば間違いない」と友人に勧めたくなる、そんな信頼感のある一台でした。
QCY 「H3 Pro」に関するQ&A

QCY 「H3 Pro」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「H3 Pro」はiPhoneユーザーでも楽しめますか?
はい、十分楽しめますが、LDACは使用できません。
iPhoneは「LDAC」コーデックに対応していないため、接続は「AAC」となります。ただし、H3 Proは元の音作りが良くなっているため、AAC接続でも十分に高音質です。 また、iPhoneユーザーの場合はLDACを使わない分、「マルチポイント接続(2台同時接続)」の制限を受けないため、iPhoneとiPad、iPhoneとMacといった組み合わせで便利に使い回せるというメリットがあります。
ゲームや動画視聴時の「遅延」は気になりますか?
「ゲームモード」をONにすれば、ほぼ気になりません。
アプリや本体操作でゲームモード(低遅延モード)をONにすると、遅延を0.068秒まで抑えられます。YouTubeやNetflix、RPGなどのゲームであれば違和感なく楽しめます。 FPSや音ゲーなど、シビアなタイミングが求められるゲームをする場合は、付属のケーブルを使った「有線接続」がおすすめです。H3 Proは有線でも電源をONにできるため、遅延ゼロかつ高音質でプレイ可能です。
「LDAC」って本当に音質が変わりますか?
対応するAndroidスマホやDAPを使えば、明確に変わります。
特に高音域の「粒立ち」や「空気感」が変わります。シンバルの余韻やボーカルの息遣いがよりリアルに聞こえるようになります。ただし、ストリーミングサービスの「低画質設定」などで聴く場合は差が出にくいので、Amazon Music Unlimitedなどのハイレゾ対応サービスでの利用をおすすめします。 ※注意:LDAC使用時はマルチポイント機能が使えなくなります。
防水機能はありますか?ランニングに使えますか?
公式に防水等級(IPXなど)は公表されていないため、水濡れには注意が必要です。
軽い運動での汗程度なら問題ないことが多いですが、雨の中での使用や、大量の汗をかく激しいスポーツでの使用は故障の原因になる可能性があるためおすすめしません。
マイク性能はどうですか?Web会議に使えますか?
静かな室内であれば非常にクリアで、実用性は高いです。
3つのマイクとAIノイズキャンセリングにより、自分の声をクリアに届けてくれます。ただし、強風が吹いている屋外や、騒音が激しい場所では、ノイズ処理が強くかかりすぎて声が少し不自然(ロボットボイス気味)になることがあります。テレワークや自宅からのZoom会議には最適です。
側圧(締め付け)は強いですか?メガネをしていても痛くなりませんか?
前作H3よりもマイルドになり、痛みが出にくくなっています。
イヤーパッドがモチモチとした柔らかい素材に変更され、側圧のバランスも見直されました。筆者もメガネユーザーですが、2〜3時間の映画鑑賞でもツルが食い込んで痛くなることはありませんでした。
音漏れはしますか?満員電車で使っても平気ですか?
密閉型なので音漏れは少ないですが、大音量には注意が必要です。
H3 Proはイヤーパッドが耳を覆う「オーバーイヤー型」かつ「密閉型」の構造をしているため、一般的なカナル型イヤホンと同等か、それ以上に音漏れはしにくい設計です。 ただし、静かな図書館やエレベーターの中で最大音量に近いボリュームで流すと、シャカシャカとした音が漏れる可能性があります。常識的な音量(50〜60%程度)であれば、満員電車やオフィスで隣の人に聞こえることはまずありません。
専用アプリ「QCY」を入れなくても使えますか?
使えますが、アプリの導入を強くおすすめします。
アプリがなくても、スマホとBluetooth接続するだけで音楽再生やノイズキャンセリングの切り替えは可能です。 しかし、H3 Proの真価である「イコライザー調整(好みの音に変える)」や「ファームウェアアップデート(不具合修正や機能向上)」、「ボタン配置のカスタマイズ」はアプリからしか行えません。購入したらまずはアプリを入れて、最新の状態にアップデートすることをおすすめします。
充電が切れても、有線なら音楽を聴けますか?
はい、聴けます(電源OFFでも使用可能です)。
H3 Proは、バッテリーが完全に切れた状態でも、付属のケーブルで有線接続すれば普通のヘッドホンとして音を鳴らすことができます。 ただし、電源OFFの状態(パッシブモード)だと、H3 Proの特徴である「DSP補正(高音質化)」や「ノイズキャンセリング」は機能せず、音質も少し軽くなります。最高の音質で楽しむには、有線接続時も電源をONにして使うのがベストです。
急速充電には対応していますか?
はい、対応しています。
時間がない朝でも安心な急速充電に対応しており、約10分の充電で約5時間の再生が可能です。 フル充電にかかる時間も約2時間程度と短めです。なお、充電端子は汎用性の高い「USB Type-C」なので、AndroidスマホやiPadなどの充電ケーブルをそのまま使い回せます。
アプリで設定したイコライザー(EQ)は、PCに接続しても反映されますか?
はい、反映されます(本体保存されます)。
これはQCY製品の大きな強みです。スマホアプリで設定したイコライザー設定はヘッドホン本体に保存される仕様になっています。 そのため、一度スマホで好みの音(例えば低音強化など)に設定してしまえば、その後アプリのないPCやNintendo Switch、テレビなどに接続しても、その好みの音質のまま楽しむことができます。
風が強い日の「ボボボ」という風切り音対策はありますか?
はい、専用の「風切り音低減モード」が搭載されています。
屋外で使用する際、ノイズキャンセリングONだと風がマイクに当たって不快な音がすることがありますが、アプリから「風切り音カット(低減)モード」に切り替えることで、これを劇的に抑えることができます。ランニングや風の強い日の徒歩移動では、このモードが必須級に便利です。
Bluetooth 5.4対応ですが、接続は途切れにくいですか?
非常に安定していますが、LDAC使用時の人混みには注意が必要です。
最新規格のBluetooth 5.4に対応しているため、基本的な接続安定性は非常に高いです。自宅内で壁を隔ててトイレに行っても途切れることはほぼありませんでした。 ただし、情報量の多い「LDACコーデック」で接続している状態で、満員電車や渋谷の交差点などの電波が飛び交う場所に行くと、稀に音がプツプツと途切れることがあります。その場合はアプリの設定で「接続優先モード」にするか、スマホ側でAAC接続に切り替えることで安定します。
QCY 「H3 Pro」レビューのまとめ

最後に、QCY H3 Proの良い点・気になる点を整理し、どんな人におすすめなのか、そしてライバル機と比較してどうなのかをまとめます。
メリット:圧倒的なコスパと全方位に隙のない機能性
- LDAC対応: この価格帯でハイレゾワイヤレス対応は非常に貴重。
- 音質の進化: こもり感が解消され、解像度の高いクリアな現代的サウンドに。
- 強力なANC: 最大-50dBは伊達じゃない。実用性十分で低音ノイズを抹殺。
- ビルドクオリティ: 金属パーツ使用とマット仕上げで高級感UP。
- 装着感の向上: 30gの軽量化とモチモチのイヤーパッドで長時間でも快適。
- 有線時の挙動: 電源ONでDSPが使えるため、有線でも高音質&ノイキャンが使える(これはゲーマー必見)。
デメリット:低音の量感不足や機能の排他仕様について
- 重低音派には物足りない: H3のようなドスドスした低音ではない(EQでBassを持ち上げれば解決可能)。
- 排他仕様: LDACとマルチポイントが同時に使えない(どちらかを選択)。
- 外音取り込み: 少しホワイトノイズが乗り、音量が下がるため、会話には十分だが「着けていないような自然さ」ではない。
- 専用ケースなし: 持ち運び用のポーチなどは自分で用意する必要がある。
前作「QCY H3」と比較してどちらを選ぶべきか
| 判断基準 | QCY H3 Pro を選ぶべき | 前作 QCY H3 で十分 |
| 予算 | +1,000〜2,000円出せる | とにかく安く済ませたい |
| スマホ | Android (LDAC対応) | iPhone (AACのみ) |
| 音の好み | クリア、ボーカル、詳細重視 | 低音重視、迫力重視、暖色系が好き |
| 重視する点 | 質感、装着感、軽さ、有線利用 | コスパの限界突破 |
基本的には、価格差(約1,000円〜2,000円)以上の価値がProにはあるため、今から買うなら間違いなく「H3 Pro」をおすすめします。
ビルドクオリティと有線接続の仕様だけでも、差額を払う価値は十分にあります。
同価格帯のライバル機と比較した際の立ち位置
1万円以下のヘッドホン市場には、Anker Soundcore Life Q30/Q20i や EarFun Wave Pro などの強力なライバルが存在します。
- vs Anker: バッテリー持ちやアプリの使いやすさではAnkerも優秀ですが、音質の解像度とANCの強度はH3 Proが上回っている印象です。
- vs EarFun: EarFun Wave ProもLDAC対応の強敵ですが、H3 Proの方が実売価格が安く、コストパフォーマンスで勝っています。
「ANC -50dB」「LDAC対応」「有線DSP有効」のすべてを7,000円台で満たしているのは、現時点でQCY H3 Proだけと言っても過言ではありません。
他社製品だと1万円近く、あるいはそれ以上出さないと手に入らないスペックを、この価格で実現している点が最大の強みです。
QCY H3 Proがおすすめな人・おすすめできない人
【おすすめな人 ✅】
- Androidユーザー: LDACの高音質をフルに活かせるため、満足度が非常に高い。
- コスパ重視派: 1万円以下で「全部入り」の高機能ヘッドホンが欲しい。
- 長時間リスニング派: 軽さと装着感の良さを求める人。
- 有線でも使いたい: PCゲームや動画編集作業で、遅延なく高音質で聴きたい人。
【おすすめできない人 ❌】
- iPhoneユーザーかつマルチポイント重視: LDACが使えず、マルチポイントの恩恵のみになる(それでもAAC接続の音質は良いが、Proの真価は発揮しきれない)。
- 重低音中毒の人: Skullcandyのような脳を揺らす低音が好きな人には上品すぎる。
- ブランド志向の人: ロゴやブランドステータスを気にする人。
レビュー総評:1万円以下の新定番となり得る完成度
QCY H3 Proは、前作の弱点(質感、こもり気味の音、有線時の音質劣化)を丁寧かつ徹底的に潰してきた、まさに「優等生な進化」を遂げたモデルです。
「安かろう悪かろう」の時代は完全に終わりました。
このヘッドホンは、エントリーモデルの価格帯でありながら、ミドルクラス(1.5万〜2万円)の製品に匹敵する体験を提供してくれます。
もしあなたが、「初めてのノイズキャンセリングヘッドホン」を探しているなら、あるいは「高価なヘッドホンを外に持ち出すのは怖いから、ガシガシ使える高機能なサブ機が欲しい」と考えているなら、QCY H3 Proは現時点で最強の選択肢の一つです。
迷っているなら、Amazonのセール時期やクーポンのタイミングを狙って、ぜひ手にとってみてください。
その進化とコストパフォーマンスに、きっと驚くはずです。


