Kiwi Ears 「Ellipse」 レビュー!1万円以下で味わう「極厚低音」と「雲の上の装着感」

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出典:Kiwi Ears公式
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「開放型ヘッドホンは音が良いけれど、低音がスカスカで迫力がない」
「長時間聴いていると、高音が刺さって耳が疲れる」
「良いヘッドホンは欲しいけれど、アンプまで揃える予算はない」

もしあなたがそんな悩みや不満を抱えているなら、Kiwi Earsから登場した新作ヘッドホン「Ellipse(エリプス)」は、まさに救世主となるかもしれません。

Kiwi Ears(キウィ・イヤーズ)といえば、ここ数年、イヤホン(IEM)界隈でその美しいフェイスプレートデザインと、価格を超えた確かなチューニング技術で急速にファンを増やしている新鋭ブランドです。
オーディオ愛好家の間では「見た目だけで買っても損しない」と言われるほどの美的センスを持つ彼らが、満を持してヘッドホン市場に投入した第一弾モデル(※日本国内流通において)、それがこのEllipseです。

昨今の1万円以下のヘッドホン市場は、ゲーミングヘッドセットか、プラスチッキーな密閉型ヘッドホンが溢れています。
その中で、本格的な50mmドライバーを搭載し、金属パーツを多用した堅牢な作り、そして「開放型」というオーディオマニア好みな仕様を引っさげて登場したEllipseは、明らかに異彩を放っています。

結論から申し上げます。
このヘッドホンは、「モニターライクな見た目」を裏切る、極めてリスニングライクでウォームなサウンドを持っています。

  • 開放型とは思えない、驚くほど厚みのある低音
  • いつまでも聴いていられるマイルドで優雅な高音
  • まるで雲に包まれるような、極上の装着感

これらを1万円以下というエントリー価格で実現しているのは、驚異的と言わざるを得ません。
多くのレビュアーが「価格設定を間違えているのではないか?」と口を揃えるのも納得の完成度です。

この記事では、オーディオガジェットを多数レビューし、普段から数十万円クラスの機材にも触れている筆者が、Kiwi Ears Ellipseを徹底的に使い込みました。
その音質の真価から、競合機種との詳細な比較、そして実際に生活の中で使い続けた体験談まで、余すところなくレビューしていきます。

 

  1. Kiwi Ears 「Ellipse」の外観・装着感とスペック
    1. 開放型と密閉型のいいとこ取り?「セミオープン」構造の秘密
    2. 質感は価格以上か?金属パーツとレトロデザインの検証
    3. 長時間でも快適?「雲のような」極厚イヤーパッドの装着感
  2. Kiwi Ears 「Ellipse」の音質レビュー:暖かみのあるウォームサウンドの全貌
    1. 低音域:開放型の弱点を克服したリッチな量感と響き
    2. 中音域:男性ボーカルの色気とアコースティック楽器の表現力
    3. 高音域:刺さりを徹底的に排除した「聞き疲れしない」チューニング
  3. Kiwi Ears 「Ellipse」の競合比較と用途別適性チェック
    1. 音楽鑑賞:最新のストリーミングやLo-Fi HipHopとの相性
    2. ゲーム・動画編集:没入感と作業用モニターとしての実力
    3. 他社の定番モニターヘッドホンと異なる「リスニング寄り」の個性
  4. Kiwi Ears 「Ellipse」を使用した私の体験談レビュー
    1. 開封レポート:付属品の品質とケーブルの取り回し
    2. 装着テスト:メガネユーザーが長時間使用した結果
    3. 変化はあった?エージング(鳴らし込み)前後の音質比較
    4. リケーブル検証:バランス接続で化ける可能性を探る
    5. 実際の作業環境で感じた「疲れにくさ」と「集中力」
    6. 体験談の総括:スペック表にはない魅力
  5. Kiwi Ears 「Ellipse」に関するQ&A
    1. 開放型(オープンエアー)とのことですが、音漏れはしますか?
    2. スマートフォンやパソコンに直接挿しても十分な音量が出ますか?
    3. FPSなどの対戦ゲーム(ApexやValorant)に使えますか?
    4. メガネをかけたまま長時間使用しても痛くなりませんか?
    5. ケーブルの着脱(リケーブル)は可能ですか?
    6. エージング(鳴らし込み)は必要ですか?
    7. どんなジャンルの音楽に一番合いますか?
    8. 頭が大きいのですが、サイズ調整の幅は十分ですか?
    9. バランス接続をするには、具体的にどんなケーブルを買えばいいですか?
    10. 高価な据え置きアンプを使えば、音はさらに良くなりますか?
  6. Kiwi Ears 「Ellipse」レビューのまとめ
    1. 導入して良かったと感じる「3つのメリット」
    2. 購入前に知っておくべき「2つのデメリット」
    3. このヘッドホンが「刺さる人」と「向かない人」
    4. 性能を最大限に引き出すための「再生環境」と「使いこなし術」
    5. 1万円以下クラスにおけるコストパフォーマンス判定
    6. Kiwi Ears 「Ellipse」レビューの総合評価と結論

Kiwi Ears 「Ellipse」の外観・装着感とスペック

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出典:Kiwi Ears公式

まずは、Ellipseの基本的なスペックと、手にとって初めて分かる外観の質感、そして内部に秘められた技術について深掘りしていきます。

開放型と密閉型のいいとこ取り?「セミオープン」構造の秘密

Ellipseはカタログスペック上「開放型(オープンエアー)」に分類されますが、実機を確認すると、完全な開放型とは異なるアプローチが取られていることが分かります。

通常の開放型(例えばSennheiser HD600シリーズやAKG K700シリーズ)は、ハウジング全体がメッシュで覆われており、外気が自由に出入りします。
これによって「抜けの良さ」を実現しますが、代償として低音が逃げやすくなります。

対してEllipseは、「特定のベント(通気孔)を設けたセミオープンに近い独自構造」を採用しています。
ハウジングのグリル部分をよく見ると、全てが開口しているわけではなく、計算されたスリットから空気を逃がす仕組みになっています。

【構造比較表】

特徴一般的な開放型Kiwi Ears Ellipse (セミオープン志向)一般的な密閉型
音の抜け非常に良い(突き抜ける感覚)適度に抜ける(自然な広がり)こもる場合がある
低音の量感控えめ・軽快豊か・厚みがある非常に強い・圧迫感あり
遮音性ほぼ無い(会話可能)低い(環境音は聞こえるが減衰する)高い
音場広大・コンサートホール的適度な広さと密度のライブハウス的狭め・脳内定位

この独自のハウジング設計こそが、後述する「開放型らしからぬ濃厚な低音」を生み出す秘密です。
音が外に抜けすぎず、適度な空気抵抗(ダンピング)を持たせることで、ドライバーのパワーを逃さず耳に届けています。
「開放型の開放感」と「密閉型の力強さ」のハイブリッドを狙った設計と言えるでしょう。

質感は価格以上か?金属パーツとレトロデザインの検証

デザインは往年のスタジオモニターヘッドホンを彷彿とさせる、武骨でレトロモダンな雰囲気です。
1万円以下というコスト制約の中で、Kiwi Earsは非常に巧みな素材選びをしています。

  • 金属製アームフレーム:
    ヘッドバンドとハウジングを繋ぐアーム部分には、剛性の高い金属パーツが採用されています。
    プラスチックだけの安価な製品によくある「ギシギシ」というきしみ音が皆無で、スライダーの調整もカチッとした節度感があります。
  • マットな樹脂ハウジング:
    ハウジング本体は樹脂製ですが、安っぽい光沢を抑えたマット加工が施されています。
    指紋がつきにくく、道具としての実用性を感じさせます。
  • デザインの方向性:
    BeyerdynamicやAKGといった欧州の老舗メーカーのモニターヘッドホンをリスペクトしつつ、現代的なシンプルさを融合させたデザインです。

「高級感があるか?」と問われれば、数万円クラスの工芸品のような繊細な美しさはありません。
しかし、「プロの現場にある道具」のような信頼感のある佇まいは、所有欲を十分に満たしてくれるでしょう。
デスクの上に無造作に置いても絵になるデザインです。

長時間でも快適?「雲のような」極厚イヤーパッドの装着感

ヘッドホンの評価を左右する最大の要因は、実は音質以上に「装着感」です。
どんなに良い音でも、耳が痛くなれば30分と使っていられないからです。
その点において、Ellipseはクラス最高レベルの快適性を提供しています。

イヤーパッドの仕様

  • 厚み: 実測で約2.5cm〜3cm近い厚みがあります。ドライバーユニットが耳軟骨に接触することはまずありません。
  • 素材: 肌触りの良いヴィーガンレザー(高品質な合皮)を採用しています。本革のような吸い付く感覚と、メンテナンスのしやすさを両立しています。
  • クッション性: 低反発ウレタンを採用しており、「フワフワ」というよりは「モチモチ」とした感触です。耳の周りの凹凸に合わせて変形し、隙間なくフィットします。

側圧と重量バランス

本体重量は約280gと、50mmドライバー搭載機としては平均的ですが、装着してみると数字以上に軽く感じます。
これは、分厚いヘッドバンドクッションとイヤーパッドが重量を分散させているためです。

側圧(締め付け)は適切にコントロールされており、頭を振ってもズレないホールド感がありながら、耳周りへの圧迫感は驚くほど少ないです。
まさに「雲のような」装着感と言っても過言ではありません。

Kiwi Ears Ellipse スペック概要

  • ドライバー: 50mm LCP+PU複合ダイナミックドライバー(独自開発)
  • 形式: 開放型(セミオープン構造)
  • インピーダンス: 32Ω(スマホでも駆動可能)
  • 感度: 98dB
  • 重量: 約280g(ケーブル含まず)
  • ケーブル: 3.5mm 着脱式(両出し仕様)
  • 再生周波数帯域: 20Hz – 20,000Hz

 

Kiwi Ears 「Ellipse」の音質レビュー:暖かみのあるウォームサウンドの全貌

Ellipseイメージ画像
出典:Kiwi Ears公式

ここからは肝心の音質について詳細にレビューします。
検証にあたっては、PC(DAC: FiiO K7)およびDAP(iBasso DX180)を使用し、ハイレゾ音源からSpotifyの圧縮音源まで幅広く試聴しました。
また、箱出し直後とエージング(50時間以上)後の変化も加味して評価しています。

音質傾向を一言で表すなら:「ウォームで芳醇。長時間聴いても疲れない癒やしのサウンド」

低音域:開放型の弱点を克服したリッチな量感と響き

通常、開放型ヘッドホンは構造上、低音が外に逃げてしまい、「軽やかでスピード感はあるが、迫力や重みに欠ける」という評価になりがちです。
しかし、Ellipseはその常識を覆します。

  • サブベース(重低音):
    地を這うような重低音がしっかりと出ます。
    映画の爆発音や、EDMのシンセベースが空気を震わせる「振動」として鼓膜に届きます。
  • ミッドベース(中低音):
    ベースラインやバスドラムのアタック部分は、非常に太く、温かみがあります。
  • 質感:
    キレッキレのタイトでドライな低音というよりは、「広がり」と「余韻」を持った、ウェットで包み込むような低音です。

これは前述した「セミオープン構造」と、新開発の「50mm LCP+PU複合振動板」の恩恵でしょう。
軽量かつ剛性の高い振動板が空気を大きく動かし、それをハウジング内で適度にコントロールすることで、密閉型のような圧迫感を感じさせずに、量感だけを見事に確保しています。

中音域:男性ボーカルの色気とアコースティック楽器の表現力

Ellipseの中音域は、このヘッドホンの最大の魅力と言えるかもしれません。
少し前に出てくる(前方定位する)チューニングが施されています。

  • 男性ボーカル:
    非常に相性が良いです。
    喉の震えや、声の厚みが強調され、色気たっぷりに聴こえます。
    Official髭男dismやKing Gnu、洋楽ならEd Sheeranのようなアーティストの声が、すぐ耳元で歌っているかのような生々しさで再生されます。
  • 女性ボーカル:
    サ行の刺さりがなく、滑らかです。
    ただし、突き抜けるようなハイトーンボイスに関しては、少し丸みを帯びて聞こえるため、刺激を求める人には物足りないかもしれません。
  • 楽器の表現:
    アコースティックギターの箱鳴りやチェロの響きなど、「木の温もり」を感じる音が得意です。
    解像度をカリカリに上げて細部を分析するような鳴り方ではなく、音の角を少し丸めて、音楽全体を一つの絵画として見せてくれるような、滑らかな繋がりがあります。

高音域:刺さりを徹底的に排除した「聞き疲れしない」チューニング

高音域に関しては、Kiwi Earsの明確な意図を感じるチューニングが施されています。

  • 刺激の少なさ:
    「サ行」の刺さりや、シンバルの耳障りな金属音(シャリつき)が徹底的に抑えられています。
    ボリュームを上げても耳が痛くなりません。
  • ロールオフ(減衰):
    超高域(10kHz以上)の伸びはあえて控えめにされており、キラキラとした華やかさは抑えめです。
  • 空気感:
    開放型特有の「風通しの良さ」は残しつつも、音の輪郭はソフトです。

これを「曇っている」「こもっている」と感じるか、「マイルドで聴きやすい」「耳に優しい」と感じるかで評価が分かれるポイントですが、現代のデジタル録音された音源は高域がきつい傾向にあるため、長時間のリスニングやBGMとして流す用途においては、最強の武器となります。
耳へのダメージが極めて少ないのです。

 

Kiwi Ears 「Ellipse」の競合比較と用途別適性チェック

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出典:Kiwi Ears公式

「良い音」といっても、適材適所があります。
競合製品や他の用途と比較して、Ellipseの立ち位置を明確にします。

音楽鑑賞:最新のストリーミングやLo-Fi HipHopとの相性

Ellipseの音作りは、解像度重視のハイレゾ音源よりも、SpotifyやYouTube Musicなどのストリーミング音源、あるいは現代の音楽トレンドに非常にマッチしています。

ジャンル別相性表

ジャンル相性理由
Lo-Fi HipHop / ChillSウォームな音色が最高の癒やし空間を演出。
EDM / Club MusicA開放型らしからぬ低音の量感でノリよく聴ける。
Rock / PopsAボーカルの厚みと、ギターのリフが心地よい。
JazzAウッドベースの響きやサックスの艶が素晴らしい。
Classic (Full Orchestra)Bホールの広大な響きや楽器の分離感は少し苦手。
Heavy Metal (Speed)C音の立ち上がりがゆったりなので、高速な曲はモタつく。

特に「作業用BGM」としてLo-Fi HipHopを流した時の没入感は特筆すべきものがあります。

ゲーム・動画編集:没入感と作業用モニターとしての実力

意外な適性として強く推したいのが、「クリエイターやゲーマーの長時間使用」です。

動画編集(YouTube・Vlog)

人の声(中音域)が聞き取りやすく、かつ長時間作業しても耳が痛くならないため、テロップ入れやカット編集作業には最適です。
高音が刺さらないため、SEの音量調整などもしやすく、長時間の編集作業でも「聴き疲れによる集中力低下」を防げます。
※ただし、最終的なマスタリング(音の仕上げ)をする際は、よりフラットなモニターヘッドホンで確認することをお勧めします。

ゲーミング(RPG / MMO / アドベンチャー)

没入感が非常に高いです。
BGMの壮大さや、環境音(風の音、足音、街の喧騒)の雰囲気が増し、世界観にどっぷりと浸れます。
「ファイナルファンタジー」や「ゼルダの伝説」のような作品にはベストマッチです。

ゲーミング(FPS / TPS)

足音の方向(定位)は分かりますが、銃声の高音がマイルドになるため、刺激は少なめです。
競技用として「敵の位置をコンマ1秒で特定する」ような用途(Apex LegendsやValorantのランクマッチなど)には、もっと高域が鋭く、音の輪郭がクッキリしたヘッドホンの方が有利かもしれません。
Ellipseは「勝ちに行く」よりも「楽しむ」ためのヘッドホンです。

他社の定番モニターヘッドホンと異なる「リスニング寄り」の個性

同価格帯〜少し上の価格帯には、AKG K240 StudioやK701、Philips SHP9500などの名機が存在します。
これらとの違いを比較します。

比較項目AKG K240 / K701系Philips SHP9500Kiwi Ears Ellipse
音の傾向フラット・中高音寄り・繊細ブライト・高音寄り・軽快ウォーム・中低音寄り・濃厚
低音の量控えめ(必要十分)控えめ(スカスカに感じることも)たっぷり・厚みがある
装着感軽量だがパッドは薄め軽量・メッシュ素材で蒸れない少し重いがパッドは極厚モチモチ
リケーブルミニXLR(独自規格)3.5mm片出し3.5mm両出し(汎用性高)
おすすめ分析的に音を聴きたい人安価に開放型の抜けを楽しみたい人リラックスして音楽を浴びたい人

「モニターヘッドホン」というカテゴリで探している場合でも、「音の粗(ノイズなど)を探すためのモニター」ならAKG「完成した音のバランスを確認したり、長時間作業するためのモニター」ならEllipse、という明確な使い分けができます。

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Kiwi Ears 「Ellipse」を使用した私の体験談レビュー

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※画像はイメージです

ここからは、実際に私が1週間、寝る間も惜しんでEllipseを使い倒した体験談をお伝えします。
カタログスペックには載っていない、生活の中で使って初めて分かる「生の声」です。

開封レポート:付属品の品質とケーブルの取り回し

パッケージを開けてまず好感を持ったのが、付属ケーブルの質です。
コストカットされがちな部分ですが、Ellipseには3mの布巻き(ファブリック素材)ケーブルが付属しています。

  • タッチノイズ対策: 服に擦れたときの「ガサガサ」というノイズが非常に少なく、快適です。
  • 取り回し: 非常にしなやかで、変な巻き癖がつきにくいです。
  • 長さの利点: 3mあるので、デスクの下にあるPCの背面に繋いだり、リビングのソファでくつろぎながらテレビを見たりするのに十分な長さです。

逆に、スマホやDAPでポータブル運用するには長すぎて邪魔になります。
その場合は、別途1.2m程度の短いケーブルを用意する必要がありますが、汎用的な3.5mmジャックなのでAmazonなどで安価に入手可能です。

装着テスト:メガネユーザーが長時間使用した結果

私は普段メガネをかけて生活していますが、ヘッドホン選びで最も重要なのが「メガネのツルが痛くならないか」です。
多くのヘッドホンが、側圧でメガネを押し付け、こめかみに激痛をもたらしてきました。

Ellipseでの検証結果は……完全合格です!

イヤーパッドがあまりにも分厚く柔らかいため、メガネのツルの形状に合わせてパッド側が変形し、優しく包み込んでくれます。
3時間ぶっ通しで映画(『トップガン マーヴェリック』)を見ましたが、こめかみが痛くなることは一度もありませんでした。
これはメガネユーザーにとって、音質以上に強力な購入動機になるはずです。

変化はあった?エージング(鳴らし込み)前後の音質比較

「エージングで音が変わる」というのはオカルトと言われることもありますが、ダイナミックドライバーを搭載したこのEllipseに関しては、明確な変化を感じました。

  • 開封直後(0時間):
    少し音が硬く、低音がボワついている(膨らみすぎている)印象。
    全体的にモヤがかかった感じで、「失敗したかな?」と一瞬不安になりました。
  • 50時間使用後:
    劇的にクリアになりました。特に低音のボワつきが収まり、適度な締まりが出てきました。
    中音域のボーカルも、ベールを一枚剥いだように前に出てくるようになります。

もし購入直後に「あれ?思ったより音がこもってる?」と感じても、手放さずに少なくとも50時間(2〜3日程度)は普段遣いしてみてください。
ドライバーの動きが馴染み、本来のポテンシャルを発揮し始めます。

リケーブル検証:バランス接続で化ける可能性を探る

Ellipseの入力端子は、左右両出しの3.5mmジャックです。
これはHifimanやFocalなど多くのハイエンドヘッドホンと同じ仕様で、リケーブルの選択肢が無限にあります。

手持ちの4.4mmバランスケーブル(銀メッキ銅線)に交換して、バランス接続対応のDAPで聴いてみたところ、以下の驚くべき変化がありました。

  1. 分離感の向上: 左右の音が混ざらず、より立体的に聞こえるようになります。
  2. 駆動力アップによる低音の制動: バランス接続によるパワーアップで、低音の「止まり」が良くなり、キレが増します。ボワつきがさらに解消されました。
  3. 高域の明瞭化: 銀メッキ線特有の効果で、少しマイルド過ぎた高域にキラッとしたエッジが加わりました。

もともとインピーダンスが32Ωと低く鳴らしやすい機種ですが、バランス接続にすることで、ワンランク上の「オーディオ機器」としての顔を覗かせます。
この「育てがいのある拡張性の高さ」も、オーディオファンにはたまらない魅力です。

実際の作業環境で感じた「疲れにくさ」と「集中力」

この1週間、この原稿を書く作業中もずっとEllipseを着けていました。
BGMとして、雨の音やカフェの雑音などの環境音、そしてLo-Fi Beatsを流していましたが、高音が刺さらないため、思考を妨げません。

「音に集中しようと思えばリッチな低音を楽しめるし、作業に集中したいときは決して邪魔にならない」

この「BGM再生機としての優秀さ」は、在宅ワーカーにとって最強のパートナーになり得ます。
密閉型のように蒸れることも少なく、適度に外の音が聞こえるため、インターホンや家族の呼びかけに気づけるのも実用的なメリットでした。

体験談の総括:スペック表にはない魅力

  • 所有感: レトロな見た目はデスクに置いているだけで様になります。
  • 実用性: 頑丈な作りと交換可能なケーブル、そして極上の装着感。
  • 発見: 聞き慣れた曲から「こんなにベースラインが動いていたのか」という新しい発見がありました。

「音質」だけでなく、「道具としての使い勝手」も非常に高いレベルでまとまっていると感じました。

 

Kiwi Ears 「Ellipse」に関するQ&A

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Kiwi Ears 「Ellipse」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。

開放型(オープンエアー)とのことですが、音漏れはしますか?

はい、構造上、音漏れは確実にします。
Ellipseはハウジングの外側がメッシュ状になっており、音が外に逃げる設計です。そのため、静かな図書館や、電車・バスなどの公共交通機関での使用には向きません。あくまで「自宅(屋内)用」として割り切って使用することをおすすめします。ただし、自宅で家族が同じ部屋にいる程度であれば、テレビの音量よりは小さいレベルですので、過度に気にする必要はありません。

スマートフォンやパソコンに直接挿しても十分な音量が出ますか?

はい、問題なく鳴らせます。
インピーダンスが32Ω、感度が98dBと、一般的なヘッドホンと同等のスペックです。iPhone(変換アダプタ経由)やPCのイヤホンジャックに直接挿しても、十分な音量を確保できます。 ただし、Ellipseのポテンシャル(特に低音の締まりや音場の広さ)を最大限に引き出したい場合は、数千円クラスのエントリーモデルで構いませんので、USB-DAC(ドングルDAC)の使用を推奨します。

FPSなどの対戦ゲーム(ApexやValorant)に使えますか?

プレイは可能ですが、「勝ち」にこだわるガチ勢には不向きかもしれません。
音の定位(方向感覚)はしっかりしていますが、高音域がマイルドに調整されているため、足音や銃声の「鋭い音」を聞き分ける能力は、FPS専用のゲーミングヘッドセットやモニターヘッドホンに比べるとやや劣ります。 一方で、RPGやアクションゲーム、MMOなど「世界観への没入感」を楽しむゲームには、その豊かな低音と広がりにより、最高の相性を発揮します。

メガネをかけたまま長時間使用しても痛くなりませんか?

非常に痛くなりにくいです。
イヤーパッドが非常に分厚く、かつモチモチとした低反発素材を採用しているため、メガネのツル(テンプル)を優しく包み込んでくれます。筆者もメガネユーザーですが、3時間以上の映画鑑賞でも痛みを感じることはありませんでした。

ケーブルの着脱(リケーブル)は可能ですか?

はい、可能です。
ヘッドホン側は左右両出しの3.5mmジャックを採用しています。これは非常に汎用性が高い規格ですので、Amazonや専門店で販売されている多くの市販ケーブルを使用できます。断線時の交換はもちろん、4.4mmバランス接続ケーブルへのアップグレードも容易に楽しめます。

エージング(鳴らし込み)は必要ですか?

必須ではありませんが、強くおすすめします。
開封直後は低音が少しボワついたり、全体的に音が硬く感じられる場合があります。50時間ほど音楽を流し続けることで、振動板が馴染み、低音の締まりと中高音のクリアさが向上します。評価を下す前に、数日間使い込んでみることをおすすめします。

どんなジャンルの音楽に一番合いますか?

ロック、ポップス、EDM、そしてLo-Fi HipHopです。
特に男性ボーカルの温かみや、ベースラインの厚みを楽しむジャンルに適しています。逆に、繊細なバイオリンの高音や、スピード感重視のメタルなどを分析的に聴きたい場合は、他のモニターヘッドホンの方が好みに合うかもしれません。

頭が大きいのですが、サイズ調整の幅は十分ですか?

はい、調整幅は広めです。
スライダーの伸び幅がしっかり確保されており、金属製ヘッドバンドも柔軟性があるため、頭のサイズが大きめの方でも問題なく装着できる設計です。逆に、頭が非常に小さい方の場合、イヤーカップが少し下がりすぎてしまう可能性はありますが、厚みのあるヘッドクッションが支えになるため、ズレ落ちることは少ないでしょう。

バランス接続をするには、具体的にどんなケーブルを買えばいいですか?

「ヘッドホン側が3.5mm(2極または3極)×2、プラグ側が4.4mm」のケーブルを選んでください。
Ellipseのヘッドホン側の端子は、左右それぞれのカップに3.5mmプラグを挿す「両出し」タイプです。Hifiman(Sundaraなど)やFocal、Denonなどのヘッドホンで使われている一般的な規格のケーブルがそのまま流用できます。「3.5mm x2 to 4.4mm」などで検索すると多くの製品が見つかります。

高価な据え置きアンプを使えば、音はさらに良くなりますか?

良くなりますが、「コスパの良い機材」で十分実力を発揮できます。
Ellipseは「鳴らしやすさ」も特徴の一つです。数十万円するようなハイエンドアンプに繋いでも、もちろん音の密度は上がりますが、ヘッドホン自体の限界性能(スケーリング性能)はそこまで高くありません。 逆に言えば、1〜2万円程度のDACやアンプでも「ほぼ100%の実力」を引き出せるのが最大のメリットです。機材への追加投資を抑えて良い音を楽しみたい方に最適です。

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Kiwi Ears 「Ellipse」レビューのまとめ

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Kiwi Ears 「Ellipse」は、ウォームで厚みのある低音、快適な装着感、シンプルで頑丈なデザインを備えた、コストパフォーマンスの高い開放型ヘッドホンです。

価格帯としてはエントリーモデルに位置しますが、しっかりとした個性を持ち、リスニング用途を中心に幅広く活用できるヘッドホンだと感じました。

この記事で詳しくレビューしてきた内容を踏まえ、「Ellipse」の特徴を整理しながら、どんな人におすすめできるのかを総評していきます

導入して良かったと感じる「3つのメリット」

  1. 圧倒的な「低音の包容力」と「聴き疲れのなさ」
    開放型とは思えない豊かな低音と、マイルドな高音は、現代のデジタルサウンドで疲れた耳を癒やしてくれます。
  2. 1万円以下とは思えない「ビルドクオリティ」と「装着感」
    50mmドライバー、金属パーツ、極厚パッド。価格破壊と言える構成です。特にメガネユーザーには福音です。
  3. リケーブルによる「拡張性」
    ケーブルを変えることで音質の変化を楽しめるため、オーディオ沼の入り口としても最適です。断線してもケーブルだけ買い替えれば良いので長く使えます。

購入前に知っておくべき「2つのデメリット」

  1. 高音のキラキラ感は控えめ
    クリスタルのような透き通った高音や、突き抜けるような解像度、粒立ちを最優先する人には物足りない可能性があります。
  2. 本体サイズがやや大きい
    装着感は良いですが、ハウジング自体は大きいです。
    また、開放型なので当然音漏れします。電車や図書館などでの使用は厳禁です。あくまで室内用パートナーです。

このヘッドホンが「刺さる人」と「向かない人」

  • 【ぜひおすすめしたい人】
    • ロック、ポップス、EDM、HipHopを楽しく聴きたい人。
    • 長時間作業やゲーム、映画鑑賞で使える、耳が痛くならないヘッドホンを探している人。
    • 初めての「ちょっといいヘッドホン」を探しているが、予算は1万円前後に抑えたい人。
    • 男性ボーカルの曲をよく聴く人。
    • リケーブルやバランス接続に興味がある初心者。
  • 【あまりおすすめできない人】
    • クラシック音楽のホールの空気感や、女性ボーカルの突き抜けるようなハイトーンを最重視する人。
    • FPSゲームで敵の足音をミリ単位で把握したい「ガチ勢」(競技用としては音が柔らかすぎます)。
    • 通勤・通学中に使いたい人(音漏れします)。

性能を最大限に引き出すための「再生環境」と「使いこなし術」

  • エージングは必須:
    最初はこもって聞こえるかもしれませんが、評価を下す前に50時間は我慢して鳴らし込んでください。
  • DAC/アンプ推奨:
    スマホ直挿しでも十分鳴りますが、数千円クラスの安価なドングルDAC(USB-DAC)を挟むだけで、低音の締まりと音場の広さが格段に向上します。
    Ellipseは上流(再生機器)の質に素直に反応します。
  • リケーブルへの挑戦:
    将来的には4.4mmバランス接続に挑戦することで、このヘッドホンのポテンシャルを骨の髄までしゃぶり尽くせます。
    AliExpressなどで売られている安価なケーブルでも効果は体感できます。

1万円以下クラスにおけるコストパフォーマンス判定

判定:価格破壊級

この価格帯で、これほどビルドクオリティが高く、コンセプト(ウォーム&リスニング)が明確なヘッドホンは稀有です。
モニターライクな見た目に反して、中身は極上のエンターテイナーでした。
「とりあえず買っておいて損はない」と言い切れる一台です。

Kiwi Ears 「Ellipse」レビューの総合評価と結論

Kiwi Ears Ellipseは、単なる「音が出る装置」ではありません。
あなたの音楽ライフ、そしてデスクワーク環境を「快適」で「豊か」なものに変えてくれるパートナーです。

もしあなたが、カリカリの分析的な音で音楽を「検品」するのではなく、「音楽に浸る幸せ」を求めているなら、Ellipseは間違いなく最良の選択肢の一つになるでしょう。
1万円札でお釣りが来る投資で、毎日のPC作業やリラックスタイムがこれほど豊かになるなら、安いものです。

ぜひ、この「雲のような装着感」と「包み込まれる重低音」を体験してみてください。
きっと、いつものプレイリストが、全く違った表情であなたに語りかけてくるはずです。

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