ZiiGaat 「Lush」 レビュー|1DD+4BAの実力は?音質・装着感・おすすめポイントを徹底解説

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出典:ZiiGaat公式
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近年、ハイブリッド型イヤホン市場において個性的な存在感を放っているブランド「ZiiGaat(ジーガート)」。

その設計思想は、一般的な“バランス重視”とは一線を画し、ドライバの個性と音の楽しさを徹底的に追求するというユニークなスタンスにあります。

そんなZiiGaatから登場した新モデルが「Lush」。

この「Lush」は、10mmのPET振動板を搭載したダイナミックドライバ(DD)1基と、4基のBA(バランスド・アーマチュア)ドライバによる1DD+4BA構成を採用。

中華ハイブリッドの“王道構成”ながらも、価格は2万円台後半と比較的手に取りやすく、まさに“ZiiGaat入門機としての本気モデル”という位置づけになっています。

従来のZiiGaat製品(DoscincoやAreteなど)が4~5万円台に位置する中、Lushはコストパフォーマンスを最大限に高めつつ、同ブランドらしいパワフルで印象的な音作りをしっかりと継承しています。

また、スタジオエンジニアやミュージシャンなど、プロフェッショナル用途も意識した設計であることも特筆すべき点です。

私自身も、ZiiGaatの過去モデルに触れてきた経験がある中で、この「Lush」に対しては「お手本のように整っていながら、どこか濃厚で迫力ある“ZiiGaatらしさ”が滲み出ている」という印象を強く受けました。

この記事では、そんなZiiGaat 「Lush」の特徴を、「製品コンセプト」「外観・付属品」「音質のデティール」に分けて詳しく掘り下げ、実際に使用した際の体験談や他モデルとの比較も交えて、ZiiGaat 「Lush」というイヤホンの魅力を立体的に解説していきます。

 

  1. ZiiGaat 「Lush」の基本情報
    1. ブランドの方向性と製品ポジション
    2. ドライバ構成と設計思想
    3. 上位モデルとの違いと価格帯の特徴
  2. ZiiGaat 「Lush」の外観・装着感・付属品の実力
    1. シェルデザインとフェイスプレートの仕上がり
    2. 装着感とハウジングの快適性
    3. ケーブル・イヤーピースなどの付属品評価
  3. ZiiGaat 「Lush」の音質レビュー:低域・中域・高域の表現力
    1. 圧巻の低域とサブベースの存在感
    2. 中域のナチュラルな描写と音場バランス
    3. 高域の伸びとBAの分離感・チューニングの完成度
    4. 音傾向まとめ
  4. ZiiGaat 「Lush」を使用した私の体験談・レビュー
    1. ■ 購入のきっかけ:ZiiGaatの“スタンダードモデル”への期待
    2. ■ 開封直後の印象と外観の完成度
    3. ■ リスニング環境と楽曲ジャンルごとの検証
    4. ■ 接続方式とイヤーピースによる変化
    5. ■ 他モデルとの比較で感じたZiiGaat Lushの“独自性”
    6. ■ 結論としての感想:再評価したくなる“新しいZiiGaatの定番”
  5. ZiiGaat 「Lush」に関するQ&A
    1. 「Lush」は初心者にもおすすめできますか?
    2. どんな音楽ジャンルと相性が良いですか?
    3. 「Lush」の音質はモニター向き?それともリスニング向き?
    4. バランス接続はできますか?音は変わりますか?
    5. イヤーピースの交換で音質は変わりますか?
    6. 「Lush」の遮音性・音漏れ耐性はどうですか?
    7. 音の立体感(音場・定位)はどうですか?
    8. 音質の変化が分かりやすい音源やジャンルは?
    9. ZiiGaatの他のモデルと比較して、「Lush」はどう違う?
    10. ZiiGaat製品をすでに持っている人にとって、「Lush」を買う意味はありますか?
  6. ZiiGaat 「Lush」レビューのまとめ
    1. ■ 音質設計の観点から見た「Lush」の存在意義
    2. ■ 同価格帯との比較で見える「ZiiGaat Lushの強み」
    3. ■ 長期的に見たポテンシャルと活用シーン
    4. ■ Lushをおすすめできるユーザー像
    5. ■ 総括としての位置づけ

ZiiGaat 「Lush」の基本情報

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出典:ZiiGaat公式

ブランドの方向性と製品ポジション

ZiiGaatは、いわゆる“チューニングの整った優等生”的なサウンドではなく、ドライバ特性の個性と楽しさを強く押し出すことにこだわったブランドです。

中華イヤホン市場の中でも「音の主張がはっきりしていて、好き嫌いが分かれるが熱狂的なファンを生む」──そんな特徴を持っています。

「Lush」は、そのZiiGaatの哲学を踏襲しながらも、以下のようなポジションで登場しました。

製品名ドライバ構成価格帯(目安)特徴
Cinno1DD+4BA(LCP振動板)約1万円台後半モニター寄りで軽やかな音色
Lush1DD+4BA(PET振動板)約2万円台後半バランス型+厚みある低域
Arete1DD+4BA(Bio振動板)約4万円台鮮明な空間と強烈なサブベース

このように「Lush」はZiiGaatの1DD+4BAシリーズの中では中間価格帯に位置し、上位モデルの魅力を手頃に体験できる“スタンダード的立ち位置”のモデルです。

ドライバ構成と設計思想

ZiiGaat 「Lush」は以下のようなドライバ構成を採用しています。

  • 1基の10mm PET振動板ダイナミックドライバ(DD)
    • 完全にサブウーファー用途として設計
    • 20Hzで約9dBの出力を誇る強力なローエンドを担う
    • 低音の密度とインパクトを重視
  • 4基のバランスド・アーマチュアドライバ(BA)
    • Dual Custom Fullrange BA ×2基(200Hz~1kHz対応)
      • 中域の解像度と明瞭さを確保
    • Custom Dual Tweeter System ×2基
      • 高音域の微細なディテールを滑らかに再現

このドライバ構成の意図は明確で、モニター用途に通じるフラットなチューニングを実現しつつも、リスニング用途でも“楽しい”と感じさせる低音の押し出しを演出することにあります。

また、振動板に採用されたPET素材は、従来のトポロジーやバイオセルロースに比べればオーソドックスですが、低域専用として徹底チューニングされており、あえて“クセ”を封じたうえでZiiGaatらしさを引き出しています。

上位モデルとの違いと価格帯の特徴

ZiiGaat 「Lush」は、同社の上位モデル(Doscinco・Arete・Arcadiaなど)と比較すると、以下のような違いがあります。

比較ポイントZiiGaat Lush上位モデル(例:Arete)
ドライバ構成1DD + 4BA同構成だがBAはKnowlesやSonionを採用
BAドライバの種類非公開・オリジナル設計のBA使用ブランドBA使用でより精細かつ伸びやかな高域
振動板素材PETバイオセルロース、トポロジーなど
音の傾向フラット基調+濃密な低域刺激的なサブベース、広い空間再現
価格帯2万円台後半4~5万円台が主流

特に注目すべきは、音質のバランスや情報量はしっかり維持しつつ、価格を抑えている点です。

これにより、「ハイブリッド型の個性をしっかり楽しみたいが、いきなり高価格帯は不安」というユーザー層にもアプローチしやすいモデルとなっています。

 

ZiiGaat 「Lush」の外観・装着感・付属品の実力

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出典:ZiiGaat公式

シェルデザインとフェイスプレートの仕上がり

ZiiGaat 「Lush」の外観は、ZiiGaatシリーズ共通の大型ハウジングデザインをベースとしていますが、毎作個性が際立つフェイスプレートの装飾によって、視覚的な満足感をしっかり提供しています。

  • ボディ素材:医療グレードの3Dプリント樹脂製
    • 片側わずか4.5gの軽量設計
    • 長時間装着しても負担になりにくい設計
  • フェイスプレート:見た目以上に個性的な質感
    • 商品ページではシンプルに見えるが、実機は砂漠の地面のようなテクスチャ+繊細なラメ感あり
    • 光の当たり方で色の濃淡が変化し、所有欲をくすぐる仕上がり
  • カラーバリエーション
    • Silver、Silver Blueの2色展開

デザイン的には「シンプルな形状でありながら、光や質感で遊ぶ」というZiiGaatのセンスが感じられ、価格以上の高級感とアート性を楽しめる一台です。

装着感とハウジングの快適性

ZiiGaat 「Lush」は、ZiiGaat製品に共通するやや大型のハウジングを採用しています。

初心者には少し大きく感じるかもしれませんが、軽量素材やフィット感の工夫によって、快適な装着感を実現しています。

特徴的な装着感のポイント:

項目評価・内容
ハウジングの形状大型だが耳にフィットしやすい形状。ZiiGaatシリーズで共通化されたデザイン
重量バランス片側4.5gの軽量設計により、見た目の大きさに反して安定感が高い
エアフロー構造上部にベント(通気孔)あり。遮音性は高く、音漏れも少ない設計
長時間使用の快適性大きさに慣れれば、圧迫感なく快適。ハウジングの軽さが功を奏する

また、装着安定性に関しては、イヤーチップの選定によってさらに向上可能で、後述するイヤーピース選びが快適性のカギとなります。

ケーブル・イヤーピースなどの付属品評価

ZiiGaat 「Lush」の付属品は、全体的に「実用重視」ですが、一部ユーザーには物足りなさを感じる部分もあるかもしれません。

とはいえ、価格を抑えながらも基本は押さえた構成です。

主な付属品一覧と評価:

付属品内容・評価
ケーブル銀メッキケーブル(3.5mmアンバランス)
高品質だが4.4mmは非対応
イヤーピース複数サイズ同梱、質は標準的
交換を前提にカスタマイズする楽しみも
ケース簡易ケース付き(携帯用としては十分)

特にケーブルについては、アップグレード余地が大きく、バランス接続に切り替えることで音質向上(高域の余裕感、低域の厚み増加)が実感できるとの評価もあります。

また、ユーザーによっては他社製のイヤーピースへの交換で、装着感・音質の最適化を図るケースも見られます。


ZiiGaat 「Lush」は、エントリー価格帯ながらも「装着感・見た目・拡張性」を十分に意識した製品です。

初めてZiiGaat製品を触る方にも扱いやすく、かつカスタムによって楽しみが広がる設計になっています。

 

ZiiGaat 「Lush」の音質レビュー:低域・中域・高域の表現力

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出典:ZiiGaat公式

ZiiGaat 「Lush」の音質は、「ZiiGaatらしさを保ちつつ、フラット志向に落とし込んだバランス型ハイブリッド」と言えます。

低音の迫力・中域の自然さ・高域の分離感といった要素が高次元で調和されており、モニター用途にもリスニング用途にも応用できる懐の深さがあります。

圧巻の低域とサブベースの存在感

「Lush」の低域は、明確に「量感・押し出し重視」です。

しかしその一方で、他帯域を邪魔しない絶妙なコントロール感も備えています。

詳細解説:

  • サブウーファー的役割を担う10mm DD
    PET振動板を採用し、ドライバ単体の音色を前面に出さないようチューニングされたDD。20Hz帯で約9dBの強調があり、重厚なサブベースが沈み込むように響く
  • “囲まれる”ような低音体験
    空間が広がるというよりは、耳元に密着して押し込まれるような低域描写。これは「Arete」にも通じるZiiGaat独特の設計思想。
  • 2DD系との違い
    例えば「Doscinco」と比較すると、「Lush」の方が低域支配力は抑えめで、より“日常使い”しやすいチューニングになっています。音楽全体に厚みは出るが、やりすぎ感はない。

補足比較(低域に関して):

モデル低域の印象
Lush密度感高く、耳にまとわりつくような低音。適度な量感と沈み込み感あり。
Areteよりディープかつパワフル。人によっては過剰と感じる可能性も。
Doscinco押し込み力強め、スケール感も大。Lushより攻撃的な低音。

中域のナチュラルな描写と音場バランス

ZiiGaat 「Lush」の中域は、特定の帯域を持ち上げることなく、非常にフラットで整ったチューニング

そのため、モニターライクな印象を持つリスナーも多く、プロフェッショナル用途でも評価されています。

詳細解説:

  • 200Hz〜1kHzの完全フラットチューニング
    Dual Fullrange BAの恩恵で、ボーカル帯が過不足なく聞こえる。演出感のない“実直な中域”という表現が適切。
  • 質感:ややウォーム寄りでしっとり
    低域の密度と連動し、中域にも柔らかさが残る。硬さのない“滑らかさ”が耳に優しく、長時間聴いても疲れにくい。
  • 楽器の分離感・定位も良好
    音の重なりが多い楽曲でも、それぞれの楽器が明確に分かれ、解像度の高さが実感できる。

ボーカルに関する印象:

  • 男性ボーカル → 温かみがあり、厚みも十分
  • 女性ボーカル → スッと前に出てくるような抜け感は少なめだが、ナチュラルさと安定感が抜群

高域の伸びとBAの分離感・チューニングの完成度

ZiiGaat 「Lush」は高域にもこだわりが見え、2基のカスタムツイーターBAによって、微細な音の伸びと繊細なニュアンス表現が際立っています。

詳細解説:

  • 7kHz以上で緩やかに上昇 → 自然に減衰
    楽器の金属的な響き(ハイハットやシンバルなど)が非常にナチュラル。刺さらないがしっかり抜ける音
  • エッジが丸く、耳あたりが優しい
    チューニングが上品で、派手さではKZ系に劣るが、全体との調和感が抜群に良い
  • バランス接続時の変化
    高域の余裕が増し、やや狭さを感じたアンバランス接続時の“高域の詰まり感”が解消。空間の広がりも改善される

他モデルとの比較(高域):

モデル高域の印象
ZiiGaat Lush滑らかで自然、過剰な主張はなし。リスニングにもモニターにも最適。
KZ ZS10 PRO28kHz以降のピークが目立つ。派手でキラキラ、高解像だが耳に刺さる可能性あり。
AFUL Performer5全体的にウォームで、Lushよりは高域が穏やか。分離感はLushに軍配。

音傾向まとめ

帯域特徴備考
低域密度高く、耳に迫る。沈み込み感が強く濁りは少ないサブウーファー的。装着感と相性が出やすい。
中低域重厚で芯が太い音源によってはやや重たく感じることも
中域フラットチューニング、ボーカルがナチュラルモニター的。解像感は高いが、ややウォーム寄り
高域滑らかに伸びる。分離が良く聴き疲れしにくいアップグレードケーブルによる変化が顕著

「Lush」は、特定のジャンルに偏らず、幅広い音楽に対応可能な万能型ハイブリッドですが、その根底には「ZiiGaatらしさ=濃厚な低域と表現豊かな空間」がしっかりと息づいています。

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ZiiGaat 「Lush」を使用した私の体験談・レビュー

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■ 購入のきっかけ:ZiiGaatの“スタンダードモデル”への期待

私がZiiGaat 「Lush」を選んだ理由は、「ZiiGaatというブランドのエッセンスを、もっともわかりやすく、かつ手頃な価格帯で体感できるモデル」だと感じたからでした。

これまでに「Doscinco」や「Arete」を聴いてきて、ZiiGaatが持つ“暴れ馬のような低音”と“大胆なチューニングの妙”には何度も驚かされてきました。

ただ、日常的に使うには「少し濃すぎる」と感じる場面もあり、「ZiiGaatらしさを残しながらもフラットな方向性を持ったモデルがあれば…」と思っていたタイミングで、この「Lush」に出会いました。

■ 開封直後の印象と外観の完成度

開封して最初に感じたのは、“写真で見るより遥かに美しい”ということ。

レビューでは「砂漠のひび割れ」と表現されるフェイスプレートの質感は、実際には繊細な光の反射で表情を変えるラメ感と、ざらつきのある立体的な彫刻デザインが融合しており、工芸品的な魅力すら感じさせます。

また、本体は見た目に反して非常に軽く、触った瞬間に「あ、これは長時間使っても疲れないやつだ」と確信。

シェルはやや大きめですが、ZiiGaatシリーズを使い慣れている自分にはすぐに馴染み、密閉感の高さにも驚かされました。

■ リスニング環境と楽曲ジャンルごとの検証

ジャンル印象と評価
EDM / Trapサブベースの沈み込みが非常にリアル。キックのパンチが空間を押す感覚で、クラブ的没入感あり
アコースティック / 女性ボーカルボーカルのブレス、ギターのナチュラルな鳴りが明瞭。中域にぬくもりと柔らかさがあり、耳なじみが良い
ロック / バンド系ドラムが重心を支え、ボーカルが中央にしっかり定位。混雑した中でも音が潰れないセパレーション力が光る。
クラシック / オーケストラ音の広がりはそこまで広くないが、個々の楽器の輪郭が明確で定位が安定。バランス接続で音場が改善。

「Lush」は特定のジャンルに偏らず、どのジャンルでも幅広く対応してくれる安定感があります。

とくに低音の重厚さと中域の自然さの両立が素晴らしく、「EDM〜ジャズボーカル〜ロック」まで難なく対応できる守備範囲の広さに驚きました。

■ 接続方式とイヤーピースによる変化

アンバランス(3.5mm)接続:

  • 解像感やバランスは良いが、ややこじんまりとした印象
  • 高域にかけて抜け感が若干抑えられ、サウンドステージも狭め

バランス(4.4mm)接続+リケーブル後:

  • 明らかに音場が前後左右に広がり、空間の奥行きが増す
  • 高域が開放的になり、女性ボーカルやストリングスが映える
  • 低域もよりタイトに締まり、分離感も向上

また、イヤーピースも他社製のものを試してみましたが、7kHz帯の立ち上がりが自然で、より高域の艶やかさが増した印象です。

■ 他モデルとの比較で感じたZiiGaat Lushの“独自性”

モデル名比較ポイントLushの優位性 or 特徴
AFUL Performer5全体にウォームだがやや曇りがちLushは中高域にクリアさと分離感があり、より立体的
KZ ZS10 PRO2高域が派手で刺さる可能性もLushは高域が滑らかで、モニター的チューニング
SeeAudio Yume Ultra女性ボーカル向きで中域が繊細Lushは低域の迫力でジャンルの幅が広い

「Lush」の最大の魅力は「ZiiGaatらしさを保ちつつ、万人に勧めやすい音作り」だと感じました。

強烈な個性は薄めながら、必要なところで“らしさ”を残す控えめな職人芸が光ります。

■ 結論としての感想:再評価したくなる“新しいZiiGaatの定番”

「Lush」は、派手なレビューを狙ったモデルではなく、じわじわと愛着が湧いてくる“質実剛健なハイブリッドイヤホン”です。

特定の個性を前に出しすぎず、リスナーが自分の聴き方に応じて解釈を変えられる、懐の深さを持っています。

  • 普段使いに疲れないイヤホンを探している人
  • ZiiGaat入門機を求めている人
  • モニター用途でも使える1本を探している人

これらに当てはまるなら、間違いなく「選んでよかった」と思える製品だと断言できます。

 

ZiiGaat 「Lush」に関するQ&A

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ZiiGaat 「Lush」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。

「Lush」は初心者にもおすすめできますか?

はい、特に「音質にこだわりたい初心者」におすすめです。
Lushはモニター寄りのフラットなチューニングをベースにしつつ、ZiiGaatらしい密度感のある低域が楽しめるモデルです。バランスの取れた構成でジャンルを問わず活躍しますし、音の過度な脚色がないため、初めて高音質イヤホンを使う方でも“音の基準”を掴みやすいという利点があります。ただし、ハウジングがやや大きめなので、完全初心者の場合は装着感に慣れが必要かもしれません。

どんな音楽ジャンルと相性が良いですか?

幅広いジャンルに対応できますが、特に「低音が重要なジャンル」で真価を発揮します。

おすすめジャンル例:

  • EDM・HipHop・Lo-Fi:サブベースが沈み込む重低音が魅力
  • ロック・バンド系:タイトで厚みある中低域が心地よい
  • ジャズ・アコースティック:中域が滑らかで、楽器の質感も自然
  • ポップス・バラード:ボーカルの明瞭さが際立ち、リスニングに適した表現

ただし、空間の広がりを重視するオーケストラやアンビエント系では、やや包み込み型の低音が過剰に感じる場合もあるため、用途に応じたEQ調整やリケーブルをおすすめします。

「Lush」の音質はモニター向き?それともリスニング向き?

両方に対応可能ですが、ややモニター寄りの設計です。
ZiiGaat Lushは「中域のフラットさ」と「過不足のない分離感」が際立っており、ミックスチェックや編集時の“基準機”としての使用にも耐えうる精度があります。一方で、低域の密度や高域の艶感など、リスニング用途で“楽しく聴ける”要素もしっかり内包しています。EQ調整やリケーブルにより、どちらかの用途に特化させることも容易です。

バランス接続はできますか?音は変わりますか?

バランス接続対応の端子(4.4mmなど)を使えば、大きく音質が向上します。
「Lush」の付属ケーブルは3.5mm(アンバランス)のみですが、2pin仕様のため、市販のアップグレードケーブルに簡単に交換可能です。

バランス接続にすると:

  • 高域に“抜け”と“余裕”が生まれる
  • 音場(前後・左右)が広がり、立体感がアップ
  • 低域のタイトさと輪郭も強化される

これにより、「Lush」本来の潜在力がフルに引き出されると感じるユーザーも多く、可能であればバランス接続環境を整えることをおすすめします。

イヤーピースの交換で音質は変わりますか?

かなり変わります。イヤーピース選びはLushの音質をチューニングする重要なポイントです。
「Lush」は中域〜高域の表現力が繊細なため、イヤーピースの素材や形状によって音のバランスが変化しやすいという特徴を持ちます。自分のリスニングスタイルに合うものを選びましょう。

「Lush」の遮音性・音漏れ耐性はどうですか?

遮音性は高く、音漏れも最小限です。
「Lush」はシェルの密閉性が高く、ハウジング内のベント(通気孔)を上部に配置することで、外部への音漏れを大幅に抑えています。また、耳全体にしっかりとフィットする形状のため、外音が入りづらく、屋外でも使いやすい仕様です。ただし、音量を極端に上げた場合には僅かな音漏れは避けられないため、公共交通機関などでは適度な音量を心がけると良いでしょう。

音の立体感(音場・定位)はどうですか?

音場は“広大”というより“密度のある空間”で、定位は非常に正確です。
「Lush」の音場は、横方向の広がりよりも“耳に近く包み込む”ような密閉感が特徴です。音が奥へスーッと抜ける感じよりは、しっかりと耳の周囲で展開されるため、集中して音源を把握したいモニター用途にも適しています。また、定位は非常に正確で、ボーカルがセンターにピタッと収まり、楽器の配置も自然かつ明快。これにより、音楽の中に“立体的に入っていく”ような感覚が得られます。

音質の変化が分かりやすい音源やジャンルは?

EDM、Lo-Fi、ジャズ・女性ボーカル系などが変化を体感しやすいです。
「Lush」はチューニングが精密なため、音源の品質やジャンルによる差異を如実に描き出します。以下のようなジャンルで違いを確認しやすいです:

  • EDM・Lo-Fi:低域の質感や深さが再生環境によって劇的に変化
  • ジャズ・アコースティック:中域の空気感、倍音の厚みがイヤーピースで変化
  • 女性ボーカル(バラード系):高域の伸びや滑らかさがリケーブルで顕著に変わる

この“変化の出やすさ”は、「Lush」の解像度の高さとレスポンスの良さがあってこそ。音のチューニングを追い込みたいユーザーにも向いている1台です。

ZiiGaatの他のモデルと比較して、「Lush」はどう違う?

「Lush」は「ZiiGaatらしさの入門版」的立ち位置で、最もバランスに優れたモデルです。

比較表:

モデル名低域の強さ解像度価格帯向いている人
Lush強い(制御されている)高い約28,000円初心者〜中級者/ZiiGaat入門に最適
Arete非常に強いやや高い約40,000円低音重視派、派手なサウンド好き
Doscinco超強い中程度約45,000円パワー重視、個性重視派
Cinno控えめ高い約18,000円フラット志向、ナチュラル派

「Lush」は、この中で最も万人受けしやすい“完成されたスタンダード”であり、どこか一本クセの少ない万能さを持ちながら、ZiiGaatらしい音の魅力も忘れていません。

ZiiGaat製品をすでに持っている人にとって、「Lush」を買う意味はありますか?

十分にあります。「Lush」は“ZiiGaat再入門機”として最適です。
ZiiGaatの「Arete」や「Doscinco」などを既に所有している方にとって、「Lush」はより“落ち着きのあるサウンド”を求めたときのベースモデルになります。たとえば──

  • 「Arete」のようなド迫力な低音が“強すぎる”と感じた時の補完機に
  • 「Doscinco」の独特な音場や個性の強さに疲れた時の“日常機”に
  • フラット寄りの基準音を再確認したいときの“比較用モニター”として

特に多ドライバ・ハイブリッドの音作りにおいて、ZiiGaatらしさを薄めすぎず整理した1台という意味で、ZiiGaat経験者こそ“戻ってくる価値がある”モデルです。

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ZiiGaat 「Lush」レビューのまとめ

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ZiiGaat 「Lush」は、単なる“1DD+4BAハイブリッド機”というスペックを超えた、「ZiiGaatというブランドの進化と洗練を象徴する1本」と言っても過言ではありません。

ZiiGaatといえば、従来はややアグレッシブでピーキー、いわば“とがった音作り”が魅力のメーカーという印象を持たれがちでした。

たとえば「Doscinco」や「Arete」などは、強烈な低音インパクトと抜けのある高域、そしてどこか一癖あるチューニングで、多くのオーディオファンを虜にしてきましたが、同時に「刺さる」「聴き疲れする」と感じるユーザーもいたのも事実です。

その中で「Lush」は、ZiiGaatとして初めて「癖を抑え、基準に寄せてきた」と評価できるモデルです。

■ 音質設計の観点から見た「Lush」の存在意義

「Lush」のサウンドは、単に「フラット」なのではなく、“聴かせたい部分を丁寧に残しつつ、余計な主張を排除した音作り”です。

  • 低域は10mm PET DDによる「包み込まれるような厚みと沈み込み」
  • 中域はBAドライバによる「過不足ない自然さと密度感」
  • 高域はピーク感のない「上質な滑らかさと細やかさ」

この3つが、明確な住み分けと統合性をもって1本に集約されているため、特定のジャンルに偏らず、どんな音楽でも“音そのもの”を純粋に味わうことができます。

これはモニター用途での使いやすさにもつながりますし、同時にリスニング機としての余裕も保たれています。

■ 同価格帯との比較で見える「ZiiGaat Lushの強み」

現在、2万円台後半という価格帯には、実力派の中華ハイブリッド機がひしめき合っています。

その中で「Lush」が頭ひとつ抜けている理由は以下の点にあります:

比較軸ZiiGaat Lushの強み
音の厚みサブウーファー設計DDによる、密度のある低域が耳に“届く”
中域の安定性200Hz〜1kHzまでほぼフラットで、楽器もボーカルも破綻しない
チューニングの完成度全帯域が“控えめ”ではなく、“明確に意図を持って整えられている”
音場・定位包まれる感覚と空間分離のバランスが秀逸
カスタマイズ性リケーブル・イヤピ交換で音質の変化幅が大きく楽しめる

つまり「Lush」は、“何かを突き抜けたイヤホン”ではなく、“音楽を立体的に、破綻なく、かつ楽しく聴かせるためにバランス良くすべてを積み上げたモデル”であり、非常に理知的で多才な1本なのです。

■ 長期的に見たポテンシャルと活用シーン

私自身、この「Lush」を購入してから数週間、以下のようなシーンで活用してきました:

  • 通勤時のリスニング(遮音性が高く、電車内でも没入できる)
  • 自宅でのミックスチェック(中域〜高域のバランス確認に最適)
  • 就寝前のBGM用途(刺さらず、聴き疲れしない高域が安心)

結果として、「どのシーンでも一定のクオリティで応えてくれる信頼性の高いイヤホン」として定着しています。

これは“便利さ”の延長線ではなく、「ちゃんと良い音を鳴らせる」という自信に裏付けられた汎用性です。

■ Lushをおすすめできるユーザー像

このイヤホンは、以下のような方に自信を持っておすすめできます:

  • 中華イヤホン初心者だけど、失敗したくない人
  • 今使っている製品よりもう一段音質を引き上げたい中級者
  • ZiiGaatの強烈なモデルは聴いてみたが、少し落ち着いた音がほしい人
  • モニター用途+リスニングもカバーした“万能な1本”を探している人

逆に、音のキラキラ感、サウンドステージの広大さ、BAの鋭さだけを求める人には、やや落ち着きすぎて物足りないかもしれません。

■ 総括としての位置づけ

ZiiGaat 「Lush」は、ZiiGaatというブランドが築き上げてきた“音の個性”を継承しつつ、それを一段洗練されたかたちでまとめ上げた、まさに新たな基準となる1本です。

1DD+4BAという構成にありがちな音の破綻やドライバ同士のぶつかり合いは見られず、むしろ全帯域において自然な繋がりと明瞭な定位、そして何よりも“音楽を聴く楽しさ”がしっかりと備わっています。

低域にはZiiGaatらしい重厚さがあり、中域はモニター的な安定感と温かさを両立し、高域は必要以上に鋭くならず、あくまで滑らかに空間を彩ります。

このサウンドバランスの絶妙さは、ただスペックだけで語れない完成度の高さを物語っており、ジャンルを問わず、多くのリスナーが長く愛用できる懐の深さを持っています。

ケーブルやイヤーピースの交換による音質変化の幅も大きく、価格以上の拡張性とポテンシャルを備えている点も魅力のひとつです。

ZiiGaat製品の中では中間的な価格帯に位置する「Lush」ですが、その仕上がりはむしろ上位モデルと肩を並べるほど洗練されており、「はじめてのZiiGaat」にも「次なる1本を探している人」にも、自信を持って勧められる存在です。

こだわりの音を手の届く価格で、しかも“らしさ”を失わずに手に入れたい──そんなわがままな願いを、ZiiGaat 「Lush」は見事に叶えてくれるはずです。

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