有線イヤホンの2万円台は、コストパフォーマンスが最も厳しく問われる激戦区です。
数千円の入門機とは一線を画す音質が求められる一方、ハイエンド機のような妥協も許されない、ユーザーの目が最も肥えたカテゴリーと言えるでしょう。
そんな市場に、LETSHUOER(レットシュオアー)が満を持して投入したのが「DX1」です。
近年のトレンドである多ドライバ化とは対照的に、本機は「1DD(シングルダイナミックドライバー)の限界」に挑んだ意欲作です。
2年の歳月をかけて自社開発された「トポロジー振動板」を搭載し、素材から設計まで徹底的に磨き上げられました。
単なるスペックの追求ではなく、音楽の芯を捉える「解像度と自然な響き」を両立したこのモデルは、発売前からオーディオファンの間で大きな注目を集めてきました。
本記事では、この注目の1DD機を多角的にレビューします。
独自のトポロジー技術が音にどう作用しているのか、ステンレス筐体の質感が所有欲をどう満たすのか、そして標準付属する高級イヤーピース「TRI 角笛(Clarion)」の実力まで、実際に使い込んだ本音を凝縮しました。
カタログスペックを超えた「真の価値」を余すことなく解説します。
- LETSHUOER 「DX1」の基本スペックと注目すべき独自技術
- LETSHUOER 「DX1」の所有欲を満たす贅沢な筐体デザインと豪華な付属品
- LETSHUOER 「DX1」の音質を徹底レビュー:1DDの限界に挑む解像度と音色
- LETSHUOER 「DX1」を使用した私の体験談・レビュー
- LETSHUOER 「DX1」に関するQ&A
- 2万円台のイヤホンは初めてですが、初心者でも違いがわかりますか?
- 付属ケーブルの質が良いとのことですが、リケーブルは必要ですか?
- 片側11gという重さは、耳への負担になりませんか?
- iPhoneやAndroidスマホの直挿しでも十分に鳴らせますか?
- 音漏れは気になりますか? 電車内などで使用しても大丈夫でしょうか。
- DX1はどのような音楽ジャンルに最適ですか?
- 重い金属筐体ですが、冬場は冷たくないですか?
- 寝ながら使う「寝ホン」として使うことはできますか?
- 4.4mmバランス接続モデルを選ぶメリットは何ですか?
- 最近流行りの「ハイブリッド型(複数のドライバ搭載)」と比べてどうですか?
- ゲームや映画鑑賞(動画視聴)にも向いていますか?
- エージング(慣らし運転)は必要ですか?
- 同ブランドの人気モデル「S12(平面駆動型)」と迷っています。
- 他社製のイヤーピースに交換する場合のノズル径(太さ)は?
- LETSHUOER 「DX1」レビューのまとめ
LETSHUOER 「DX1」の基本スペックと注目すべき独自技術

LETSHUOER DX1は、カタログスペックを見るだけでもその「本気度」が伝わってくるイヤホンですが、その真価は目に見えない細かな技術の積み重ねにあります。
2万円台という、マニアも初心者も納得させなければならない絶妙なラインで、彼らがどのような技術的アプローチをとったのかを詳解します。
LETSHUOERブランドの哲学とDX1が目指した「音」
LETSHUOERは、2016年の創業以来、常に「音の誠実さ」を追求してきたブランドです。
特に平面駆動型ドライバーを搭載した「S12」シリーズの成功により、世界中のオーディオファンから「技術力の高い実力派」としての地位を確立しました。
そんな彼らがDX1で目指したのは、奇をてらったサウンドではなく、「1DD(シングルダイナミックドライバー)という伝統的な構成の限界突破」です。
多ドライバ化が進む現代において、あえて1つのドライバに拘泥したのは、位相の乱れがない自然な音の繋がりを最優先したからに他なりません。
DX1は、ブランドのフラッグシップ機である「Cadenza 12」などで培ったチューニングのノウハウを、2万円台という手の届きやすい価格帯へ贅沢に落とし込んだ、「ミニ・フラッグシップ」とも呼べる存在なのです。
独自開発「トポロジー・ダイナミックドライバー」の革新性
DX1の心臓部には、約2年の開発期間を経て完成した11mmアルミニウム・マグネシウム合金製トポロジー・ダイナミックドライバーが鎮座しています。
ここで注目すべきは、単なる素材の良さだけではありません。
「トポロジー構造(位相幾何学構造)」とは、振動板の表面にナノ素材を用いて特定の幾何学模様をコーティングする技術です。
これにより、以下の劇的な効果をもたらします。
- 分割振動の徹底制御:
振動板が動く際に発生する不要な「たわみ」を抑え、音の濁りを極限まで排除します。 - 音波伝播の最適化:
模様のパターンによって音の進む方向を精密にコントロールし、極めて正確な位相特性を実現します。 - 歪みの低減:
通常の1DDでは避けられない微細な歪みを、構造レベルで解決しています。
この技術により、DX1は1DD特有の「太く力強い音」を維持しながら、マルチドライバ機に匹敵する「緻密な解像度」を手に入れたのです。
アルミニウム・マグネシウム合金振動板と5kHzノッチフィルターの役割
振動板の素材に選ばれた「アルミニウム・マグネシウム合金(Al-Mg)」は、非常に軽量でありながら高い剛性を持ち、音の立ち上がりが速い(レスポンスが良い)のが特徴です。
これにより、現代的なハイレゾ音源のスピード感にも余裕を持って対応します。
さらに、設計者のこだわりが光るのが「5kHzノッチフィルター」の存在です。
| 技術名称 | 詳細な役割とメリット |
| Al-Mg合金振動板 | 立ち上がりの鋭い、高解像度なサウンドを実現。金属特有の艶やかな響きを付加。 |
| トポロジー構造 | ナノコーティングにより振動板の動きを最適化。歪みを抑えたクリアな音像を作る。 |
| 5kHzノッチフィルター | 人の耳が敏感に反応する5kHz付近の共振をカット。不快な刺さりを抑え、滑らかさを向上。 |
| ダブルキャビティ設計 | 筐体内部の空気圧を二段階で制御。深く沈み込みつつ、もたつかない低域を支える。 |
このフィルターは、外耳道で発生しやすい特定の周波数の共振をピンポイントで抑制します。
その結果、「解像度は高いのに、長時間聴いても耳が疲れにくい」という、相反する要素を高次元で両立させています。
LETSHUOER 「DX1」の所有欲を満たす贅沢な筐体デザインと豪華な付属品

2万円台のイヤホンを選ぶユーザーにとって、「モノとしての良さ」は音質と同じくらい重要です。
DX1は、パッケージを開けた瞬間から「これは良いものだ」と確信させる圧倒的なオーラを放っています。
高剛性ステンレス製シェルの質感と音響的なメリット
DX1を手に取って最初に驚くのは、そのズシリとした重厚感でしょう。
筐体には高剛性なステンレススチールを採用し、電解メッキ仕上げが施されています。
フェイスプレートには、ドライバのダイヤモンドパターンと呼応するような、シャンパンゴールドの意匠が施されています。
このデザインは、光の角度によってキラキラと表情を変え、まるでジュエリーのような高級感を演出します。
しかし、この「重さ(片側約11g)」は単なる演出ではありません。
- 不要振動の抑制:
ステンレスの質量がドライバの反動をしっかりと受け止め、音の土台を安定させます。 - クリアな低域:
筐体が共振しにくいため、低音のボヤつきが抑えられ、非常にタイトで輪郭のハッキリしたサウンドを生み出します。
単体購入級の価値がある「TRI 角笛(Clarion)」イヤーピースの同梱
DX1の「コスパの良さ」を語る上で外せないのが、付属イヤーピースの豪華さです。
なんと、オーディオファンの間で「魔法のイヤーピース」と称されることもある「TRI 角笛(Clarion)」が全サイズ標準装備されています。
- なぜ「角笛」なのか?:
開口部が広く、シリコンの硬度が最適化されているため、高域の減衰を抑えつつ、装着時の圧迫感を軽減します。 - 相乗効果:
DX1の金属筐体の重さをしっかり支え、かつトポロジー振動板の緻密な高域をストレートに鼓膜へ届けるため、これ以上ない組み合わせと言えます。
その他、低域を強調するタイプやバランス重視のタイプなど、計3種類(各3サイズ)のイヤーピースが付属。
これだけで数千円分の価値があり、購入後に別途イヤーピースを買い足す必要がほとんどありません。
256芯単結晶銅銀メッキケーブルとハイブリッド収納ケースの利便性
付属ケーブルも、妥協のない「本気仕様」です。 256芯の高純度単結晶銅に銀メッキを施したリッツ線を採用。
見た目は細身でしなやかですが、伝送ロスを最小限に抑え、音の透明感を支えています。
- 取り回しの良さ:
被膜が柔らかく、不快なタッチノイズ(服と擦れる音)が極めて少ない設計です。 - 端子選択:
購入時に3.5mmアンバランス、または4.4mmバランスを選択可能。自分の再生環境に合わせたベストな選択ができます。
また、付属の収納ケースも秀逸です。
ボディは堅牢な金属製、蓋は手触りの良いシリコン製というハイブリッド構造を採用。
内部にはシリコンのライニングが施されており、持ち運び中にイヤホン同士がぶつかって傷がつくのを防ぎます。
デスクに置いた際も底面のシリコンが滑り止めの役割を果たし、実用性とデザイン性が高いレベルで融合しています。
LETSHUOER 「DX1」の音質を徹底レビュー:1DDの限界に挑む解像度と音色

「LETSHUOER DX1」に興味がある方が最も気になるのは、やはりその音質でしょう。
DX1のサウンドを一言で定義するなら、「1DDの滑らかさと、マルチドライバ機を彷彿とさせる高解像度のハイブリッド」です。
ここでは、各音域の特性から、金属筐体がもたらす独特の響きまで、その音響性能を徹底的に解剖します。
高域・中域・低域のバランス:ニュートラルかつ濃密なサウンド
DX1のチューニングは、特定の帯域を過度に強調する「ドンシャリ」ではなく、全帯域において高い情報量を維持する「ニュートラル・リスニング」なバランスに整えられています。
しかし、決して平坦で退屈な音ではありません。トポロジー振動板による「音の立ち上がりの速さ」が、全帯域に瑞々しいエネルギーを与えています。
- 高域:
Al-Mg合金振動板の恩恵を最も受けている帯域です。金属振動板らしい「カチッ」とした硬度のある音ですが、5kHzノッチフィルターの効果により、耳を刺すような不快感は極限まで抑えられています。
シンバルのクラッシュやハイハットの刻みが、粒立ち良く空間に散っていく描写力は、2万円台の1DD機としては驚異的です。 - 中域):
DX1が最も得意とし、かつ「濃密」と評されるエリアです。
ヴォーカルやピアノの基音となる帯域が非常にクリアで、音が団子にならずに一本一本独立して聴こえるような分離能を誇ります。 - 低域:
量感よりも「質」と「スピード」を重視した設計です。
重低音が地響きのように鳴るタイプではありませんが、バスドラムのアタックの瞬間や、ベースの弦が弾ける際のテンション感が正確に再現されます。
ダブルキャビティ設計による空気圧制御が、もたつかないタイトな低域を支えています。
各音域の特性をまとめると、以下のようになります。
| 音域 | 印象・特徴 | 解像感 |
| 高域 | 透明感が高く、繊細。フィルターにより刺さりを抑制。 | ★★★★☆ |
| 中域 | 非常に濃密でヴォーカルが際立つ。立体的な描写。 | ★★★★★ |
| 低域 | タイトでスピード感重視。輪郭がハッキリしている。 | ★★★★☆ |
| 全体 | ニュートラルかつ、金属筐体由来の艶やかさがある。 | ★★★★☆(クラス最高峰) |
ヴォーカルの臨場感と金属筐体特有の美しい共鳴
DX1で音楽を聴き始めてすぐに気づくのは、「ヴォーカルの生々しさ」です。
中域が僅かに持ち上げられたチューニングに加え、トポロジー構造による歪みの少なさが、歌い手の息遣いや喉の震えといった「微細なニュアンス」を浮き彫りにします。
また、ステンレス製筐体がこのヴォーカル表現に「魔法」をかけています。
- 適度なリバーブ感:
樹脂筐体では吸収されてしまうような微細な振動が、金属筐体内で適度に共鳴し、音に艶やかな「余韻」を与えます。 - 音像の定位:
筐体が不要な共振を抑え込むため、ヴォーカルが頭内の正確な位置にビシッと定位します。 - 楽器の質感:
アコースティックギターの金属弦の響きや、バイオリンの倍音成分が、非常にリアルかつドラマチックに再現されます。
特に女性ヴォーカルや弦楽四重奏などを聴くと、演奏者が目の前にいるかのような「実在感」に驚かされるはずです。
リケーブルや再生環境(DAP・アンプ)によるポテンシャルの変化
DX1はインピーダンス32Ω、感度108dB/mWと、スペック上はスマートフォン直挿しでも十分に鳴らせる「鳴らしやすさ」を備えています。
しかし、実際に様々な環境で検証すると、「上流の質に敏感に反応するポテンシャルの高さ」が見えてきました。
- DAP・アンプの強化:
パワーのあるアンプに繋ぐと、低域の沈み込みがさらに深くなり、音場(空間の広がり)が左右だけでなく上下方向にも拡張されます。
特に4.4mmバランス接続での運用は、DX1の分離能を最大限に引き出すため、強く推奨したい組み合わせです。 - リケーブルの効果:
付属ケーブルでも十分なクオリティですが、例えば「純銅線」に変えれば低域に厚みと温かみが加わり、「純銀線」に変えれば高域の伸びと透明感がさらに研ぎ澄まされます。
DX1自体がニュートラルな性格のため、ケーブルによる味付けの変化を楽しみやすい、いわば「マニア好みの素性の良さ」を持っています。 - 音源の質への感度:
解像度が高いため、音源の良し悪しも顕著に描き出します。
ハイレゾ音源やロスレス配信であれば、DX1はそのポテンシャルを遺憾なく発揮し、録音現場の空気感まで届けてくれるでしょう。
総じて、DX1の音質は「2万円台で手に入る最高クラスの1DD体験」を提供してくれます。
多ドライバ機のような派手な分離感とは異なる、「一つの点から全ての音が自然に、かつ緻密に放射される快感」は、1DDを極めようとするLETSHUOERの執念の結晶と言えます。
LETSHUOER 「DX1」を使用した私の体験談・レビュー

ここからは、一人のオーディオファンとして、そして日々ガジェットの海に身を投じるWEBライターとして、LETSHUOER DX1と過ごした数週間の「密な時間」を振り返ります。
美しい外観に惹かれて手にした私が、最終的にその「音の誠実さ」にどう心動かされたのか。
綺麗事だけではない、本音のインプレッションをお届けします。
開封から装着まで:11gの重量を感じさせない設計の妙
DX1が手元に届き、まず驚いたのはそのパッケージングの美しさです。
まるで高級時計やジュエリーの箱を開けるかのような高揚感があり、「2万円という投資」が正解だったことを瞬時に確信させてくれます。
実際に手に取ると、ステンレス筐体の「重み」が指先に伝わります。
片側約11gという数字は、一般的なイヤホン(約5〜6g)と比較すれば倍近い重量です。
「これは長時間のリスニングは厳しいか?」と一瞬身構えましたが、耳に差し込んだ瞬間にその不安は霧散しました。
- 絶妙な重心設計:
重量が耳の奥に集中せず、耳の対珠(たいじゅ)付近でうまく支えられるように設計されています。 - ノズル角度の正確さ:
私の耳には驚くほどピタリと吸い付き、重さによる「垂れ下がり」や「外れやすさ」を感じることはありませんでした。
ガジェットライターとして連日10000文字以上の執筆作業に没頭する際、3時間ほど連続装着していましたが、耳が痛くなることもなく、むしろその適度な重量感が「良い音を聴いている」という心地よいフィードバックに変わっていくのを実感しました。
試聴体験:女性ヴォーカルと弦楽器で震えるようなリアリティを体感
試聴のメインに据えたのは、ハイレゾ音源のJ-POPとクラシックです。
まず驚かされたのは、女性ヴォーカルの「距離感」と「潤い」です。
例えば、YOASOBIの「アイドル」を聴くと、ikuraさんの声がバックの強烈なビートに埋もれることなく、脳内に直接語りかけてくるような鮮明さで浮かび上がります。
ブレス(息継ぎ)の音や、語尾の微細な消え際までが、これほどまでに艶やかに表現される1DD機は、この価格帯では稀有な存在でしょう。
次に、弦楽器の表現力。
バッハの「無伴奏チェロ組曲」では、トポロジー振動板の本領を目の当たりにしました。
チェロの弦が弓と擦れる瞬間の「ザラッ」とした摩擦音、そして木製のボディが共鳴して広がる深い余韻。
それらが一つの点から放射される1DD特有の自然な繋がりは、マルチドライバ機ではどうしても作り出せない「有機的な響き」を私に届けてくれました。
スマートフォン直挿し検証:駆動のしやすさと音質変化の有無
「本格的なDAP(デジタルオーディオプレーヤー)がないと本領を発揮できないのではないか?」という懸念についても検証しました。
iPhone 15 Proに小型のUSB-C DAC(いわゆる「ドングルDAC」)を介して接続し、Apple Musicのロスレス音源を再生。
結果として、DX1は非常に「素直」に鳴ってくれました。
出力の低い環境でも解像感が大きく損なわれることはなく、スマホ直挿し派のユーザーにとっても十分に「音が良くなった!」と感動できるだけの変化をもたらしてくれます。
ただし、上流をより高品位なDAPや据え置きアンプに変えると、音の「彫りの深さ」や低域の締まりが明確に改善されます。
DX1は、「とりあえずスマホで楽しみたい」というカジュアルな要求に応えつつ、「もっと良い音で」と願うマニアのステップアップにも応えてくれる、非常に懐の深いイヤホンだと感じました。
長時間リスニングで気になった「装着の安定性」と「気密性」
長く使い込む中で、いくつか注意すべき点も見えてきました。
その一つが、「イヤーピース選びの重要性」です。
DX1は筐体が重いため、イヤーピースのサイズが合っていないと、歩行時の振動で少しずつ密閉が解けてしまうことがあります。
付属の「TRI 角笛(Clarion)」は非常に優秀ですが、もし低域が逃げてしまうと感じる場合は、普段より1サイズ大きいものを選ぶか、フォームチップ(低反発素材)への交換を試すべきかもしれません。
また、密閉性が高いため、装着時に「ペコッ」というドライバーの気圧変化音(ドライバーフレックス)が発生することがあります。
これは故障ではありませんが、鼓膜への負担を避けるため、耳の横に手を添えてゆっくりと装着する「大人の嗜み」を覚える必要があります。
こうした「少し手間がかかる」部分も、使い込むうちに愛着へと変わっていくから不思議なものです。
DX1のポテンシャルを最大限に引き出すおすすめの楽曲ジャンル
数週間の試行錯誤を経て、私がDX1に「最高に合う」と感じたジャンルを整理しました。
- アニソン・女性ヴォーカル: 声の「艶」と「解像度」が最大化されます。
- アコースティック・ジャズ: ウッドベースの弦の震えや、シンバルの繊細な響きが絶品です。
- 室内楽・器楽曲: 1DDらしい楽器間の繋がりの良さが、演奏の説得力を増してくれます。
逆に、地響きのような重低音や、全帯域を圧倒的な音圧で鳴らすようなハードなEDMやヘヴィメタルをメインに聴く方には、少し「上品すぎる」と感じられるかもしれません。
DX1は、音楽を暴力的に浴びるための道具ではなく、「音楽のディテールを優雅に愛でるための道具」なのです。
体験談の総括:音楽を「聴く」から「対峙する」へ変わる瞬間
結局のところ、DX1との時間は「発見」の連続でした。
これまで何度も聴いてきたお気に入りのプレイリストから、「あ、ここでこんなコーラスが入っていたんだ」「このギターの余韻はこんなに美しかったのか」という新しい気づきが、次から次へと溢れ出してきたからです。
2万円という価格は、決して安くはありません。
しかし、手持ちの音源すべてが「新譜」のように蘇る体験を考えれば、これほど費用対効果の高い投資はないでしょう。
DX1は、音楽を単なる「背景音(BGM)」から、真剣に向き合うべき「作品」へと昇華させてくれる、そんな特別な力を持ったイヤホンでした。
LETSHUOER 「DX1」に関するQ&A

LETSHUOER 「DX1」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
2万円台のイヤホンは初めてですが、初心者でも違いがわかりますか?
はい、一聴して「解像度の違い」に驚かれるはずです。
数千円のイヤホンが「音の塊」を届けてくれるのに対し、DX1は「楽器一つひとつの音の粒」を分離して届けてくれます。特にヴォーカルの生々しさや、今まで聴こえなかった背景の細かな音がクリアに聴こえるようになるため、音楽体験が劇的に変わる「最初の一歩」として最適なモデルです。
付属ケーブルの質が良いとのことですが、リケーブルは必要ですか?
最初は「必要ありません」。標準の状態で完成された音が鳴ります。
DX1に付属する「256芯単結晶銅銀メッキケーブル」は非常に高品質で、市販の5,000円〜8,000円クラスのケーブルに匹敵する性能を持っています。まずは標準のまま使い込み、数ヶ月後に「もっと低域を太くしたい」「さらに高域を伸ばしたい」という欲求が出てきた時に、初めてリケーブルを検討するのが賢い楽しみ方です。
片側11gという重さは、耳への負担になりませんか?
正直なところ、軽い樹脂製イヤホンに比べれば重さは感じますが、「痛み」にはなりにくい設計です。
シェルの形状が人間工学に基づいており、重さが一点に集中せず耳全体に分散されるよう工夫されています。ただし、ジョギングなどの激しい運動には向きません。デスクでの作業や移動中のリスニングなど、落ち着いた環境で使う分には全く問題ないレベルです。
iPhoneやAndroidスマホの直挿しでも十分に鳴らせますか?
十分に鳴らせます。ただし、本来のポテンシャルを引き出すなら「ドングルDAC」の併用がおすすめです。
DX1は比較的鳴らしやすい設計ですが、スマホ直挿しだとノイズの影響を受けやすく、せっかくの高解像度が活かしきれない場合があります。数千円の小型DAC(Apple純正アダプタ等)を通すだけでも、音の透明感がグッと向上し、DX1の「本気」がより伝わりやすくなります。
音漏れは気になりますか? 電車内などで使用しても大丈夫でしょうか。
カナル型(耳栓型)としては標準的ですが、音漏れは非常に少ないです。
ステンレス製の厚みのある筐体が音を閉じ込めてくれるため、通常の音量であれば隣の人に聴こえる心配はまずありません。ただし、耳の気密性を高めるためにベント(空気穴)が設けられているので、図書館のような極端に静かな場所で爆音で聴くのは控えましょう。
DX1はどのような音楽ジャンルに最適ですか?
女性ヴォーカル、アコースティック、クラシック、ジャズとの相性が抜群です。
トポロジー振動板による繊細な表現力が活きるジャンルで最も輝きます。一方で、地響きのような重低音が主役のEDMや、激しすぎるハードコア・パンクなどは、DX1の「上品さ」が逆に大人しく感じられてしまうかもしれません。
重い金属筐体ですが、冬場は冷たくないですか?
装着した瞬間はヒヤッとしますが、すぐに体温に馴染みます。
ステンレス製のため、冬場の出し抜けは確かに冷たいです。ただし、金属は熱伝導率が高いため、数十秒装着していれば体温で温まり、違和感はなくなります。気になる方は、装着前に手の中で数秒温めてから耳に入れるのがおすすめです。
寝ながら使う「寝ホン」として使うことはできますか?
正直なところ、あまりおすすめしません。
DX1は筐体に厚みと重量(11g)があるため、横を向いて枕に耳を押し当てると、耳への圧迫感が強くなります。また、前述の「ドライバフレックス(ペコペコ音)」も起きやすいため、基本的には椅子に座ったり、リラックスした姿勢でじっくり音楽と向き合うためのイヤホンだとお考えください。
4.4mmバランス接続モデルを選ぶメリットは何ですか?
音の「分離感」と「立体感」が明確に向上します。
もし4.4mm出力に対応したDAP(プレーヤー)やポータブルアンプをお持ちであれば、迷わず4.4mmモデルをおすすめします。左右の信号の混ざり(クロストーク)が減ることで、DX1の強みである「濃密な中域」がより立体的に、整理された状態で聴こえるようになります。
最近流行りの「ハイブリッド型(複数のドライバ搭載)」と比べてどうですか?
「音の繋がり(滑らかさ)」において、DX1の方が圧倒的に自然です。
複数のドライバを積むハイブリッド型は派手で情報量が多く感じますが、どうしても音色にバラつきが出ることがあります。DX1は1つの高品質なドライバですべてを鳴らすため、低域から高域までが一本の線で繋がったような、極めてナチュラルで違和感のないリスニング体験を提供してくれます。
ゲームや映画鑑賞(動画視聴)にも向いていますか?
はい、特に「定位(音の位置関係)」と「声の聞き取りやすさ」において非常に優秀です。
DX1は解像度が高く、音の分離が良いため、FPSゲームなどでの足音の方向や距離感を掴むのに役立ちます。また、映画においてもセリフ(中域)が明瞭に聴こえるため、ストーリーに没入しやすいのが特徴です。ただし、低域が過剰に響くタイプではないため、爆発音などの迫力を最優先する方には、少し物足りないと感じるかもしれません。
エージング(慣らし運転)は必要ですか?
アルミニウム・マグネシウム合金振動板を採用しているため、一定の効果が期待できます。
金属系の振動板は、最初は少し音が硬く感じられることがありますが、50時間ほど使い込む(音を流し続ける)ことで、エッジの動きがスムーズになり、中高域の滑らかさや低域の深みが増す傾向があります。もちろん、最初から十分に高いクオリティを楽しめますが、じっくりと「音の変化」を育てる楽しみがあるイヤホンです。
同ブランドの人気モデル「S12(平面駆動型)」と迷っています。
「スピードと分析」のS12か、「自然さと艶」のDX1か、という選択になります。
S12は平面駆動らしい超高速なレスポンスと解像度が魅力ですが、やや音がドライ(硬め)に感じられることがあります。一方のDX1は、1DDらしい温かみと自然な余韻があり、特にヴォーカルの質感を重視するならDX1の方が満足度が高いでしょう。リスニングとしての心地よさを求めるなら、本機が有力な候補になります。
他社製のイヤーピースに交換する場合のノズル径(太さ)は?
ノズル径は約5.5mm〜6mm程度で、標準的なサイズです。
多くの社外製イヤーピース(SpinFit、Final Eタイプ、SednaEarfitなど)と互換性があります。ただし、ノズルにしっかりとした「返し」がついているため、あまりに軸が柔らかすぎるイヤーピースだと、耳の中に残ってしまう可能性があります。基本的には、同梱されている「TRI 角笛」がベストマッチするように設計されています。
LETSHUOER 「DX1」レビューのまとめ

最後に、LETSHUOER DX1の全体像を整理し、購入を検討されている方へのメッセージをまとめます。
実際に使って分かったDX1のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
| 圧倒的な中域の解像度 | 11gの本体はやや重め |
| 高級感あふれるステンレス筐体 | 低音の量感(ドスドス感)は控えめ |
| TRI 角笛を含む豪華な付属品 | イヤーピースのフィッティングがシビア |
| 一貫性のある自然な音色 |
競合機種や上位モデルと比較した際の圧倒的な強み
同価格帯の競合と比べても、DX1の「質感」と「解像度」のバランスは突出しています。
上位モデル「Cadenza 12」のチューニング思想が色濃く反映されており、「2万円でハイエンドのエッセンスを味わえる」という点は、他の追随を許さない大きなアドバンテージです。
このイヤホンを特におすすめしたい人の特徴
- ヴォーカル曲をメインに聴く方
- 「解像感」や「分離感」という言葉に弱い方
- 所有欲を満たす、美しいガジェットが好きな方
- 付属品を買い足さず、最初から最高の状態で使いたい方
6-4. オーディオ初心者からマニアまで納得できる理由の再確認
初心者の方には「良い音とは何か」を教えてくれる教科書的な一台として。
マニアの方には「1DDの完成形」として、あるいは「リケーブルで化けるポテンシャル機」として。
あらゆる層が納得できるだけの、揺るぎない「基礎体力」がDX1には備わっています。
購入前に知っておきたい「端子選択」と「ケア」のアドバイス
購入時には「3.5mm」または「4.4mm」のプラグを選択できます。
- 汎用性重視なら 3.5mm
- 音質を追求するDAPユーザーなら 4.4mmをおすすめします。また、ステンレス筐体は指紋が目立ちやすいため、付属のクロスやセーム革でこまめに磨いてあげることで、その輝きを長く保つことができます。
LETSHUOER DX1レビューの最終結論
LETSHUOER DX1は、2万円台という激戦区において「1DDの完成形」を提示する極めて野心的なモデルです。
多ドライバ化が加速する現代で、あえて独自開発のトポロジー技術を投入したシングルドライバ構成にこだわったことで、全帯域における圧倒的な解像度と、1DDならではの自然な繋がりを高次元で両立させました。
高級感あふれるステンレス筐体や豪華な付属品を含め、その作り込みはまさに「ミニ・フラッグシップ」と呼ぶにふさわしく、手持ちの音源をこれまでにない鮮やかさで蘇らせる力を持っています。
単なるリスニングの道具を超え、音楽の魂をダイレクトに届けてくれるこの一台は、妥協を許さないオーディオファンにとって間違いなく最良の選択肢となるでしょう。
あなたの日常に流れる音楽を、ただのBGMから心を震わせる感動の体験へと変えるために、この至高のサウンドを今すぐその耳で体感してみてください。


