「振動するイヤホン」と聞いて、あなたはどんな音を想像しますか?
Kiwi Earsの「Etude(エチュード)」は、そんな想像を軽々と超えてくる強烈な個性と完成度を誇るイヤホンです。
Kiwi Earsは2021年に登場して以来、音質とコストパフォーマンスを両立したモデルを次々とリリースし、注目を集めてきた中国発の新興ブランドです。
中でも「Etude」は、他機種とは一線を画すユニークなドライバー構成が最大の特徴。
1基のベリリウムメッキ・ダイナミックドライバー(DD)、3基のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバー、そしてKiwi独自の振動トランスデューサー「KVT(Kiwi Vibration Transducer)」を搭載した、5ドライバー構成のハイブリッドイヤホンです。
このKVTは、従来の骨伝導技術とは異なり、Bluetoothスピーカーの構造を応用したもので、筐体そのものを物理的に振動させ、低域と中域に臨場感のある「触れるような音場表現」をもたらします。
「強烈な低音」と「空間を震わせるような音圧」、そして「しっかり調和した中高域」。
「Etude」は一聴しただけで耳だけでなく頭全体が震えるような音体験をもたらしてくれる、まさに“攻めた”イヤホン。
今回の記事では、そんな「Etude」の魅力と注意点を、実際の使用感を交えながら徹底的にレビューしていきます。
これまで振動ユニットに懐疑的だった方、そして重低音に飢えたリスナーにとっても、この「Etude」は間違いなく試す価値のある1本です。
音の常識を塗り替える体験を、ぜひご覧ください。

Kiwi Ears 「Etude」とは?

ブランド「Kiwi Ears」の特徴
Kiwi Earsは、2021年に登場した中国の新鋭オーディオブランドです。
登場以来、以下のような特徴で注目を集めてきました。
Kiwi Earsの特徴
- 美しいフェイスプレートデザイン(カラフルな樹脂やグラデーション仕上げ)
- マルチドライバ構成や独自機構など、構成のバリエーションが豊富
- エントリーモデルから高価格帯まで広く展開
- 「音質×コスパ」を両立した設計思想
- 新技術の積極導入(例:プラナー、ピエゾ、KVTなど)
特に2024〜2025年にかけては、「Quintet」、「Septet」、「Astral」、そして「Etude」といった個性的なモデルを連続リリースし、その革新性と挑戦姿勢が際立っています。
「Etude」のドライバー構成と注目ポイント
Kiwi Ears 「Etude」は、価格帯約18,000円というミドルレンジながら、上位モデルに匹敵する豪華なドライバー構成を採用しています。
ドライバー構成 | 役割と特徴 |
---|---|
1DD(10mmベリリウムメッキ) | 主に低域を担当。俊敏なレスポンスと芯のある音圧を生む |
3BA(中域×1、高域×2) | 中高域の分解能と明瞭さを確保。ボーカルや楽器に強い表現力を発揮 |
1KVT(Kiwi Vibration Transducer) | 物理的な振動によって低中域に迫力と立体感を加える |
注目ポイント:
- KVTの存在感が「Etude」最大の個性。物理振動によって“音を感じる”体験ができる。
- ベリリウムメッキDDはKiwi Earsでも久々の採用。過去に人気を博したCadenzaを彷彿とさせる。
- BAとDD、そしてKVTのバランス設計により、低域から高域まで立体的かつ明瞭なサウンドを実現。
振動トランスデューサー「KVT」の仕組みと効果
「Etude」を唯一無二の存在にしているのが、**KVT(Kiwi Vibration Transducer)**という独自の振動機構です。
KVTの概要
- Bluetooth振動スピーカーの技術をベースに、イヤホンサイズに最適化
- 強力なN52ネオジム磁石とスプリングシステムにより、伝導プレートを振動させる
- 電流に反応して物理的にイヤホンを震わせることで、空気の揺れ=音圧を増幅
KVTによるサウンド効果
- 通常のドライバーでは得られない「触覚的な低音体験」
- 音場の立体感・奥行き・没入感を大幅に強化
- 音楽ジャンルによってはライブハウスの中で音を浴びているかのような錯覚すら生まれる
「Etude」ではこのKVTを、耳に直接伝わりすぎないよう筐体の「外周・背面寄り」に配置。
これにより過度な共振を避けつつ、臨場感を最大化する絶妙な設計となっています。
Kiwi Ears 「Etude」の音質レビュー

低音域:物理的振動による重厚なベース
「Etude」最大の個性は、間違いなくKVT(振動トランスデューサー)による低音表現です。
特徴まとめ
- 物理的な振動を伴ったアタック感のある低音
- サブベース帯はやや控えめだが、量感・圧力は十分
- 一部楽曲では“頭を揺さぶられる”ような迫力のある鳴り方
- 音場の奥行きに大きく寄与し、空間の立体感を生む
リスニング体験の例
- バスドラムが「音」ではなく「衝撃」として感じられる場面あり
- EDMやロックでは、まるでライブハウスの前列にいるような臨場感
- イコライザを過度にかけると低音が崩壊するため注意
💡 ベリリウムメッキDDとの連携により、ブーミーではなく“押しのある低音”に仕上がっているのが強み。
中音域:男性ボーカルの厚みと明瞭さ
「Etude」の中音域は、3BAのうち中域専用のBAドライバーが1基を担っています。
特徴まとめ
- 男性ボーカルに厚みがあり力強い
- 低音に負けず埋もれない明瞭なチューニング
- 女性ボーカルは曲によって若干引っ込む傾向がある
- 楽器の質感は細やかで、ライブ録音のような質感を再現
特記事項
- 曲によっては中域と他帯域のつながりに違和感が出る場合もある
- 分離が強く、各音が“バラバラに聞こえる”と感じることも
🎤 ボーカルに迫力と厚みを求める人にとって、「Etude」は非常に魅力的。反面、センシティブなバランスを求めるリスナーには多少のクセを感じるかもしれません。
高音域:伸びやかで刺激的なハイトーン
高音域は、2基のBAツイーターが高域・超高域を担当しています。
特徴まとめ
- 明るく抜けの良いハイトーン
- シンバルやシンセ音が気持ちよく響く
- ハイトーンボーカルでも伸びやかに再現
- 「刺さる」ような痛さは抑えられており、聴き疲れしにくい設計
リスニング体験
- ストリングスや電子音楽の細かいニュアンスも再現可能
- リケーブルすることで、煌めきや空間の見通しがさらに向上
🎶 Etudeの高音域は「派手すぎず、しかししっかりと主張する」。KVTによる低中域の存在感に負けないよう、バランスを保つ役割を果たしています。
総評(音質バランスまとめ)
帯域 | 特徴 | 印象・補足 |
---|---|---|
低音 | 振動と連動した物理的ベース | 圧力・音場・臨場感が圧倒的 |
中音 | 明瞭かつ厚みあり | 男性ボーカル◎、一部曲で分離強め |
高音 | 明るく伸びやか | 音場の奥行きに寄与し、聴き疲れしにくい |
「Etude」のサウンドは、単なるイヤホンを超えた「体感型オーディオ」といえるレベルに仕上がっています。
Kiwi Ears 「Etude」の装着感・筐体・付属品

フィット感と筐体サイズの注意点
Kiwi Ears 「Etude」は、振動トランスデューサー(KVT)を搭載している影響で、筐体サイズがかなり大きめに設計されています。
特徴とポイント
- 厚みのあるボディ:振動ユニット搭載のため、通常のイヤホンよりもボリューム感がある
- 軽量な樹脂製ハウジング:見た目の大きさに反して装着時の重さはそれほど感じない
- フィット感には個人差あり:耳の形が小さい人や、筐体の厚みが苦手な人は注意が必要
- ノズルが短め・太め:しっかり奥まで挿入しないと、振動ユニットの効果を感じにくい可能性あり
👂 特にKVTの恩恵を最大限に体感するためには「密着性の高い装着」が必須。イヤピースの変更が大きく効果を発揮します。
ケーブルとイヤーピースの仕様
「Etude」の付属品は必要最低限の構成で、コストをドライバー構成に集中させている印象があります。
付属ケーブル
- 3.5mmシングルエンド仕様
- 細めで軽量、取り回しは良好
- 端子はフラットな2pin接続(奥まっておらず互換性高い)
イヤーピース
- シリコン製イヤピース(3種類×3サイズ)
- 色違いで複数の装着感を試せる
- 黒色タイプのイヤピースが密着感と振動伝達に優れると好評
キャリングケース
- 一般的なナイロンポーチ型の収納ケース
- 高級感はないが、携帯性は十分
🎒 付属品全体としては“必要最低限”。本体のコストを抑えつつも、音質には妥協しない戦略が見えます。
リケーブルと相性の変化
「Etude」はリケーブルによって音の表現が大きく変化するモデルでもあります。
リケーブル例
ケーブル | 特徴 | 音質変化の傾向 |
---|---|---|
OCC+単結晶銅銀メッキ | 解像度と空間表現に優れた高品位ケーブル | 音場が横に広がる/女性ボーカルが前に出る/高域の煌めきUP |
5N銀メッキ単結晶銅 | 音の透明感が向上 | 特に中高域の表現力に寄与 |
リケーブルによる変化
- 音場の拡張
- 音の分離感の向上
- ボーカルの前後感の調整
- 振動ユニットの影響を和らげる or より際立たせる効果
🎧 「Etude」は“カスタマイズしがいのあるイヤホン”でもあり、リケーブルやイヤピース交換で自分好みのサウンドに調整可能です。
装着感・仕様まとめ表
項目 | 内容 |
---|---|
筐体素材 | 樹脂(軽量)+金属フェイスプレート |
サイズ感 | 大型・厚みあり |
接続端子 | 2Pin(フラットタイプ) |
付属ケーブル | 細め/3.5mm端子/リケーブル前提の質感 |
付属イヤピ | シリコン製/3種×3サイズ/黒タイプ推奨 |
付属ケース | ソフトポーチ型(簡易的) |
「Etude」は万人にフィットするイヤホンではありませんが、装着感とチューニングの工夫次第で化ける1本とも言えるでしょう。
Kiwi Ears 「Etude」を使用した私の体験談・レビュー

第一印象:異質な存在感に戸惑い
「Etude」を開封してまず驚いたのが、そのサイズ感と見た目の存在感でした。
最近のイヤホンにしてはかなりボディが分厚く、耳に当てた瞬間「これはちゃんとフィットするのか?」と不安になったほどです。
装着してみると、見た目に反して本体は非常に軽く、耳への負担は少ないのですが、フィット感が非常にシビア。
ノズルが短く、浅く装着するとKVTの“振動感”がまったく感じられませんでした。
装着トライアンドエラー:KVTを感じるまでの道のり
そこで、以下のような対策を試しました。
- イヤーピースをコンプライフォームに変更 → 密閉性は上がるが振動が吸収される
- 少し硬めのシリコンに交換 → 劇的に変化、KVTの振動がしっかり感じられる
- 耳の奥にしっかりねじ込む装着法を採用 → 音場の広がりと低域の体感が向上
このように、「Etude」は「装着が正しくないと本来の実力が発揮されないイヤホン」という点でかなりクセの強い機種です。
音楽ジャンル別の印象
◎EDM・HIPHOP・ロック
- ベースやキックが物理的に“当たってくる”
- KVTの振動によって、リズムのノリが抜群に良くなる
- ライブ感・クラブ感を室内でも再現できるような感覚
◯ポップス・バラード(特に男性ボーカル)
- ボーカルに厚みがあり、リスニングが心地良い
- ピアノやアコースティックギターの空間表現が映える
- 曲によっては中域と低域の“継ぎ目”にクセを感じることも
△女性ボーカル・クラシック・ジャズ
- ボーカルがやや埋もれがち、定位も引き気味に感じる曲がある
- 弦楽器の繊細な表現やニュアンスはやや平面的に聴こえる
- とはいえ、ケーブル変更で大きく改善する可能性あり
ケーブル変更による音の変化
項目 | 付属ケーブル(3.5mm) | 銀メッキOCC |
---|---|---|
音場 | やや狭い/前寄り中心 | 横にも広がり開放感UP |
ボーカル | 男性◎ 女性△ | 女性ボーカルが前に出る |
高域 | 落ち着いている | キラッとした煌めきが加わる |
音の一体感 | 分離が強い場面あり | 滑らかで見通しの良い音像に |
🔧 個人的にはリケーブルで「ようやくEtudeが完成した」と感じました。筐体設計の振動効果と音の一体感が、ようやく手を取り合った印象です。
使用シーンと適正
ベストな使い方
- 自宅でじっくり音楽を楽しむとき(特に夜のリラックスタイム)
- 爆発的なエネルギーを感じたい時のテンション上げ用
- イヤホンサイズで「ライブの臨場感」を求める時
不向きな使い方
- 通勤通学など、静寂が求められる場面(振動が気になる)
- ポッドキャストやYouTubeのトーク系(不自然な響きが発生)
- 長時間のBGM用途(疲れる可能性あり)
総合的な感想
「Etude」は「刺激的で楽しいイヤホン」であると同時に、「手間と理解を求められる玄人向けイヤホン」でもあります。
KVTという新技術を中途半端に使うのではなく、設計の工夫によってドライバー群としっかり融合させてきた姿勢は評価に値します。
「Etude」はイヤホンの音に“触れる”感覚を初めて味わった機種と言っても過言ではありません。
音楽に没頭したいとき、頭ごと音に包まれたいとき。
そんな「音を浴びる快感」を求めるリスナーには、「Etude」は確実に心に刺さるはずです。
Kiwi Ears 「Etude」に関するQ&A

Kiwi Ears 「Etude」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「Etude」の「KVT」って他の骨伝導と何が違うの?
KVT(Kiwi Vibration Transducer)は、従来の骨伝導とは異なり、Bluetooth振動スピーカー技術を応用した“物理振動型”のユニットです。骨を通じて音を伝えるのではなく、筐体を震わせることで耳に空気振動を直接伝える構造になっています。これにより、耳全体が音に包まれるような立体感と迫力ある低音を実現しています。
振動ユニットってうるさいだけ?本当に音質にメリットがあるの?
振動ユニットは「うまくチューニングされていないと音が破綻しやすい」と言われますが、「Etude」ではしっかり音に融合されています。サブベースの厚みや臨場感、空間の奥行きを強化する方向で作用しており、単なる“派手さ”ではなく音楽への没入感を高める要素として働いています。
普段使いにも向いていますか?
結論から言うと、音楽鑑賞専用としての使用をおすすめします。トーク主体の動画やポッドキャストなどでは、KVTの振動が不自然に感じられる場合があります。また、密閉度の高い装着が求められるため、カジュアルな使い方にはやや不向きです。
ケーブルやイヤーピースの交換で音は変わる?
大きく変わります。「Etude」は元々カスタマイズ性が高く、イヤーピースで振動の伝わり方が、ケーブルで高域の表現や音場の広がりが大きく変化します。特に高品質なリケーブルと組み合わせることで、音の分離感や透明度が向上します。
女性ボーカルが引っ込みがちって本当?
一部の曲でその傾向はあります。「Etude」は男性ボーカルや厚みのある中低域に力を入れている設計のため、ハイトーンで繊細な女性ボーカルは曲によってやや後ろに引っ込んで聞こえる場合があります。ただし、これもケーブルやイヤーピース次第で改善が見込めます。
初めてのKiwiears製品として「Etude」はアリ?
音楽ジャンルや好みによりますが、「低音が好き」「臨場感を重視」「他にはない音を体感したい」人にはおすすめです。逆に、「フラット志向」「自然なバランス」を重視する方には、CadenzaやAirosoなどの他モデルの方が合うかもしれません。
「Etude」はどんな音量で聴くのがベスト?
小音量でも振動ユニットの存在感があるため、中〜やや小さめの音量でのリスニングが快適です。大音量ではKVTの振動が過剰になり、音のバランスが崩れる可能性があるため注意が必要です。
長時間使用しても疲れない?
音の迫力が強く、音圧も高めなため、連続使用は1〜2時間程度がちょうど良い印象です。長時間聴く場合は、やや抑えた音量+密着しすぎないイヤーピース選びで疲労を軽減できます。
屋外でもKVTの効果は感じられる?
KVTの振動効果は“接触感”に依存するため、周囲の騒音よりは影響を受けにくいですが、密閉度が下がると効果も減ります。屋外でも十分楽しめますが、風切り音や移動時の遮音性にはやや注意が必要です。
アニメ・映画の視聴には向いていますか?
アクションや効果音の多いシーンでは迫力を感じられる一方で、セリフ主体のシーンでは響きが過剰に感じられることがあります。映画全体の視聴には合いますが、トーク重視のアニメには不向きかもしれません。
スマホ直挿しでも聴ける?
「Etude」はやや鳴らしにくい部類のイヤホンなので、出力のしっかりしたポータブルDACやDAPと組み合わせるのがおすすめです。スマホ直挿しでは、やや出力不足を感じる場合があります。
イコライザーでの音調整は効果的?
過度な低音ブーストは逆効果です。「Etude」はKVTの働きで既に低域が強調されているため、イコライザーでさらにブーストすると低音が崩壊してしまいます。調整する場合は高域や中域の微調整にとどめるのが安全です。
「Etude」は今後も注目され続けるモデルですか?
「Etude」は振動ユニットを“音として完成させた”数少ないモデルであり、一過性のギミックではなく、実用的な音質設計として評価されています。その意味で、独自路線を極めた機種として長く語られる存在になる可能性は高いです。
Kiwi Ears 「Etude」レビューのまとめ

◆ 「Etude」は“オーディオの変革者”になれるイヤホンだ
イヤホンに求められるものは、時代と共に変化してきました。
高解像度、原音忠実、広い音場、自然なトーン──これらは「良い音の条件」として語られてきた常識です。
しかし、Kiwi Ears 「Etude」はその常識を意図的に逸脱し、別次元のアプローチを提示してきました。
「Etude」は、ただの音響機器ではありません。
“音を感じさせるデバイス”です。
その核心にあるのが、独自開発の振動トランスデューサー「KVT(Kiwi Vibration Transducer)」。
これはBluetoothスピーカーや骨伝導とは異なり、物理的に振動を伝えることで、耳だけでなく“身体”で音楽を体感させる仕組みです。
しかも、ただのギミックにとどまらず、10mmベリリウムDDや3BAとの高度な組み合わせにより、音響としての完成度を犠牲にせず調和を図っている。
この設計思想こそが「Etude」を唯一無二の存在にしています。
◆ 「Etude」でしか味わえない「音の現象」
他のイヤホンでは得られない、「Etude」特有の“音の現象”を言語化すると、以下のようになります。
現象 | 体験の内容 |
---|---|
① 音圧の実体化 | 低音が「聞こえる」だけでなく「押し寄せてくる」。キックが腹に響く |
② 空間への没入 | ステレオ感以上に、奥行き・高さ・広がりを含んだ立体的音場 |
③ 音の肉体感 | 男性ボーカルが“空間に浮かんでいる”のではなく“そこに居る”感 |
④ リズムとの一体化 | EDMやロックで感じる、テンポと身体のシンクロ感 |
⑤ 音に“質量”を感じる | 弦の震えやベースのうねりに、物理的な重みが付加される感覚 |
このような体験は、たとえ高級IEMであってもなかなか得られるものではありません。
「Etude」は単なるイヤホンではなく、「音の存在感」を再定義するプロダクトです。
◆ 「Etude」は“万人受けしない”が、強烈に刺さる人には最適解
「Etude」の音は万人向けとは言えません。
その理由は以下のように整理できます:
- 構造が大きく、装着感に慣れが必要
- 中高域の自然さよりも“演出感”を優先したサウンド
- トーク系・環境音には振動が邪魔になることもある
- セッティング(イヤピ・ケーブル)次第で印象が変わる
つまり「Etude」は、「音を正しく再現したい人」よりも、「音で遊びたい人」「音に圧倒されたい人」に向いているイヤホンです。
こういった“尖ったコンセプト”の製品は失敗しがちですが、「Etude」は振動と音響の設計をバランスよく融合させたことで、ニッチでありながら、極めて完成度の高いプロダクトに仕上がっています。
◆ Kiwi Earsというブランドの挑戦
「Etude」の背景にあるのは、Kiwi Earsというブランドの“挑戦する姿勢”です。
- Cadenzaでコスパの極地を示し
- QuintetやSeptetでマルチドライバの新境地を探り
- Astralで超低音路線を突き詰め
- Etudeで「振動を使いこなす」という未知の領域に踏み込んだ
このブランドの進化は、単なるスペック競争ではなく、“音体験の新規開拓”に本気で取り組んでいる姿勢の証です。
「Etude」は、そのひとつの到達点であり、聴き手に強烈な問いを投げかけてくるプロダクトでもあります。
◆ こんな人におすすめ
「Etude」がとくにフィットするユーザー像を以下にまとめます:
✅ イヤホンに“面白さ”や“刺激”を求めている人
✅ EDM/ロック/クラブ系音楽の没入感を重視する人
✅ ボーカルの厚みや存在感を“近距離”で味わいたい人
✅ 低音が強くても「ただモコモコするだけ」では満足できない人
✅ ケーブル・イヤピースのカスタムで音を追い込みたい人
✅ 試聴や装着にひと手間をかけるのが苦ではない人
逆に以下のような方には、やや合わない可能性もあります:
⚠️ フラット傾向の音が好みな人
⚠️ トーク中心のコンテンツをよく聴く人
⚠️ 小型・軽量で目立たないイヤホンを好む人
⚠️ 耳へのフィット感がシビアな製品が苦手な人
◆ Kiwi Ears 「Etude」レビューの総括
Kiwi Ears 「Etude」は、あくまで音楽リスナーの感性と好奇心に訴えかけてくるイヤホンです。
KVTの導入によって、聴覚だけでなく触覚や身体感覚をも巻き込み、まるで音楽に“浸かっている”ような体験を提供してくれます。
- 振動があるのに耳障りではない
- 重低音が強いのに、曲全体が破綻しない
- 筐体が大きいのに、意外なほど軽く、長時間使える
- 一見変わり種なのに、音響として極めてロジカルに成立している
この相反する要素をまとめあげた「Etude」は、もはや“変わり種”ではなく、“新しい主流”と呼ぶべきかもしれません。
Kiwi Ears 「Etude」は、「音楽を聴く」という体験に“もうひとつの感覚”を加えてくれる唯一無二のイヤホンです。
“耳で聴く音”から、“身体で感じる音”へ。
あなたがまだ知らない音楽の深層を、「Etude」が案内してくれるはずです。
