ポータブルオーディオの世界は年々進化を遂げています。
特に近年注目を集めているのが「ドングル型DAC/アンプ」です。
スマートフォンやPCに直接接続するだけで、据え置き型に迫るクオリティのサウンドを楽しめることから、多くのオーディオファンに支持されています。
しかし「出力不足」や「操作性の物足りなさ」といった課題もあり、ユーザーはどこかで妥協を強いられてきました。
こうした状況に新しい選択肢を提示したのが FIIO 「QX13」 です。
ESS製のフラッグシップDAC「ES9027PRO」やXMOS XU316を搭載し、最大900mW+900mWの高出力を実現。さらに21層カーボンを採用した筐体や、1.99インチの大型ディスプレイ、E-Stickやマグネットケースとの連携といった多機能性も備えています。
単なる「小型DAC」ではなく、デスクトップアンプ級の性能と利便性を兼ね備えた次世代型のドングルといえるでしょう。
この記事では、このFIIO 「QX13」のスペックやデザイン、機能性、そして音質面に至るまで徹底的にレビューします。
「KA17」など既存モデルとの違いにも触れながら、「なぜQX13が今これほど注目されているのか」を分かりやすく解説していきます。

FIIO 「QX13」とは?

FIIO 「QX13」は、ポータブルサイズでありながら据え置き型アンプに匹敵する性能を持つ最新のドングル型DAC/アンプです。
これまでの小型機では難しかった「高出力」「高解像度」「快適な操作性」を一台にまとめ上げており、モバイル環境でも本格的なリスニングを実現できる点が最大の特徴です。
特に注目すべきは、ESS製のハイエンドDAC「ES9027PRO」、XMOS XU316プロセッサ、TI製オペアンプ群を組み合わせた内部設計です。
これにより、32Ω負荷で最大900mW+900mWという驚異的な出力を実現。
さらに1.99インチの大画面やカーボン筐体といった外装面の工夫によって、単なるドングルの枠を超えた存在感を放っています。
「QX13」の基本スペックと特徴
「QX13」は「高出力と多機能性」を軸に設計されたモデルです。
- DACチップ:ESS ES9027PRO
- USBチップ:XMOS XU316
- アンプ構成:OPA1692×2、INA1620×4
- ディスプレイ:1.99インチIPS液晶(Corning製強化ガラス)
- 出力端子:3.5mmシングルエンド/4.4mmバランス(S/PDIF排他対応)
- 対応フォーマット:PCM 768kHz/32bit、DSD512(Native)、MQAフルデコード
- モード切替:通常モード/デスクトップモード
項目 | 内容 |
---|---|
サイズ | 約64.2 × 30.7 × 13mm |
重量 | カーボン:約33.7g/アルミ:約39.2g |
出力(通常モード・32Ω) | SE:250mW×2/BAL:570mW×2 |
出力(デスクトップモード・32Ω) | SE:310mW×2/BAL:900mW×2 |
S/N比 | 最大124dB |
ノイズフロア | SE:<2.0μV/BAL:<3.4μV |
この数値だけでも、ポータブルクラスを超える「据え置き並み」の実力が伝わります。
デザインと筐体のこだわり
見た目と質感も「QX13」の大きな魅力です。
- 21層カーボンファイバー筐体(ブラックモデル):軽量かつ高剛性、放熱性・耐干渉性に優れる
- アルミ合金筐体(チタニウムゴールドモデル):レーザー刻印を施したシックな仕上げ
- 大画面ディスプレイ:画面占有率67%超、複数のUIテーマを選択可能
- 付属マグネットケース:スマートフォンに固定可能で、モバイル時でも邪魔にならない
- デュアルType-C端子:下部はデータ転送、側面は専用給電ポート(デスクトップモード用)
このように外装とインターフェースの両面で、従来のドングルにはない高級感と利便性を備えています。
搭載チップと内部構成
内部には最新の高性能チップを惜しみなく投入。
- DAC:ES9027PRO
- 据え置きクラスにも使われるSABRE PROシリーズ
- デュアルLDO(ES9312)でノイズを抑制し、ジッターを最適化
- オペアンプ:OPA1692×2、INA1620×4
- 前段で低ノイズ電圧増幅、後段でクロストークを抑えた電流増幅
- 高出力時でも安定し、解像度とダイナミクスを両立
- USB処理:XMOS XU316
- 低レイテンシー、最大768kHz/32bit PCM&DSD512に対応
- フェムト秒級クロック搭載で正確なデータ処理
- 10バンドPEQ調整(アプリ/Web対応)
さらに「デスクトップモード」では、接続先のUSB電源を自動検知して出力を最適化。
E-Stickなどの外部バッテリーと連携すれば、外出先でも据え置き級の駆動力を楽しめます。
このようにFIIO 「QX13」は、単なる小型DACを超えた「ハイエンドポータブルシステム」として設計されています。
FIIO 「QX13」の機能と操作性

FIIO 「QX13」は、ポータブルサイズでありながら多彩な機能と高い操作性を備えている点が魅力です。
特に「見やすい大画面」「出力を最適化するデスクトップモード」「拡張性の高いエコシステム」の3点が大きなポイントとなります。
1.99インチ大画面UIの快適さ
ドングル型DACとしては異例の1.99インチIPSディスプレイを搭載。
音楽再生中の情報が視覚的に把握できるだけでなく、メニュー構造が分かりやすく、初めてのユーザーでも直感的に操作できます。
特長は以下の通りです。
- 消費電力・電圧の表示:内蔵パワーメーターにより給電状況が一目で分かる
- ボリューム調整の粒度選択:60段階/120段階を切り替え可能
- 複数のUIテーマ:気分や利用環境に合わせて画面表示をカスタマイズ
- 安全機能:最大音量制限、温度管理、出力制御などを実装
項目 | 内容 |
---|---|
表示機能 | 電圧・消費電力・サンプリング周波数など |
音量設定 | 60段階/120段階切替 |
UIカスタム | 複数テーマ、縦横表示対応 |
保護機能 | 温度制御/最大音量制限/出力DC制御 |
デスクトップモードの利便性
「QX13」の大きな特徴が、デスクトップモードによる高出力です。
側面の専用給電ポートから電力を供給すると、最大で900mW+900mW(32Ω・バランス)という据え置きアンプ級の出力を引き出せます。
このモードは単に出力を上げるだけでなく、内蔵パワーメーターが接続機器の給電能力を測定し、ゲインや出力を自動で最適化する仕組みを備えているのがユニークです。
シーン別に使い分けると以下のようになります。
使用シーン | 推奨接続 | メリット |
---|---|---|
外出先での軽装 | 底面Type-Cのみ(通常モード) | コンパクト&省電力 |
カフェやワーケーション | 底面Type-C+側面給電 | 出先でも安定した高出力 |
自宅デスク | PCを底面、USB電源を側面 | 据え置き級の駆動力 |
ゲーム機接続 | UAC1.0モード | 互換性と低遅延を確保 |
エコシステムと拡張性
「QX13」は単体でも高性能ですが、付属のアクセサリーやエコシステム連携によってさらに利便性が広がります。
- マグネットケース:スマートフォン背面に吸着でき、ケーブル取り回しが容易
- E-Stick対応:モバイルバッテリーと合体し、外でもデスクトップモードを活用可能
- 高品位ケーブル付属:8芯構成(単結晶銅+銀メッキ)で信号の純度を確保
- S/PDIF出力対応:外部DACやAV機器とも接続できる
- アプリ連携:FiiO ControlアプリやWeb経由で10バンドPEQ調整が可能
カーボンモデルは軽量・高剛性で干渉に強く、アルミモデルは高級感ある質感が魅力。
どちらもCorning製強化ガラスでディスプレイを保護しており、見た目と耐久性の両立が図られています。
機能と操作性まとめ
- 大画面による分かりやすい操作性
- 据え置き級の出力を引き出せるデスクトップモード
- マグネットケースやE-Stickなどの拡張性
これらの機能を通じて「携帯性と本格的な駆動力」を両立したモデルです。
FIIO 「QX13」の音質レビュー

FIIO 「QX13」は、ポータブルサイズながら据え置き級の駆動力を発揮するドングルDACです。
その特徴は「解像度の高さ」「低ノイズ設計」「バランス接続での音場の広がり」にあります。
ここでは帯域ごとの傾向、出力モード別の違い、そして他モデルとの比較を詳しく見ていきます。
高域・中域・低域の表現力
全体的な傾向はニュートラル寄りで、余計な色付けが少なく、楽曲本来のニュアンスをストレートに再現します。
- 高域
伸びは自然で透明感があり、シンバルや弦楽器の響きにきめ細かさが出ます。刺さりやピーク感が出にくく、長時間リスニングでも疲れにくい印象です。 - 中域
ボーカルの輪郭がくっきりと描かれ、子音や母音のニュアンスが明瞭。ギターやピアノのアタックと減衰も滑らかで、音像の厚みを感じやすいです。 - 低域
量感は控えめながら締まりが良く、キックやベースラインのリズムが正確に伝わります。沈み込みよりもタイトさを重視する傾向で、モニターライクな仕上がりです。
まとめると「解像度を高めつつも耳当たりは自然」で、分離感・定位感が際立つサウンドといえます。
駆動力と解像度のバランス
「QX13」は通常モードでも十分なパワーを持ちますが、デスクトップモードに切り替えると据え置きアンプ級の駆動力を発揮します。
- 通常モード(SE: 250mW / BAL: 570mW)
高感度IEMや一般的なポータブルヘッドホン向け。低ノイズで背景が静か。 - デスクトップモード(SE: 310mW / BAL: 900mW)
平面駆動型や高インピーダンスのヘッドホンをしっかり鳴らせます。音圧の余裕が増し、音場の奥行きがさらに広がります。
ヘッドホン/イヤホン | 推奨接続 | 得られる効果 |
---|---|---|
高感度IEM | SE・通常モード | 超低ノイズで微小音もクリア |
ダイナミック型IEM | SE/BAL・通常モード | タイトな低域、十分な解像度 |
平面駆動ヘッドホン | BAL・デスクトップ | 強力な駆動力、音場の見通し向上 |
300Ω級ダイナミック | BAL・デスクトップ | 厚みと伸びのある音、安定感 |
また、「QX13」は10バンドPEQに対応しているため、低域をわずかに増強したり、中高域を調整して自分好みに仕上げることも可能です。
他モデル(KA17など)との比較
「QX13」はFIIOのKAシリーズ上位に位置付けられるモデルです。
特に「KA17」と比較すると、出力・操作性・拡張性で一歩先を行く設計となっています。
項目 | QX13 | KA17 |
---|---|---|
最大出力(32Ω/BAL) | 900mW×2 | 約650mW×2 |
ディスプレイ | 1.99インチIPS大画面 | 小型表示 |
給電方式 | 底面Type-C+側面専用給電 | 単一Type-C中心 |
エコシステム | マグネットケース、E-Stick対応 | バンド固定中心 |
音の方向性 | ニュートラル&高解像 | 力強くクリア |
聴感としては、「QX13」は音の余裕と分離感で優位性があり、特に難駆動なヘッドホンでは差が出やすいと言えます。
音質レビューのまとめ
- 「QX13」は全帯域で解像度が高く、フラット寄りで自然なサウンド傾向。
- デスクトップモードでは据え置き級の駆動力を持ち、平面駆動型や高インピーダンス機でも安定して鳴らせる。
- 「KA17」など既存機と比べても、出力余裕・UI・拡張性の点で上位互換といえる完成度。
FIIO 「QX13」を使用した私の体験談・レビュー

FIIO 「QX13」を数日使ってみると、単なる「高出力のドングル」にとどまらない多面性を実感できました。
私は普段、外出先ではスマホ直結、自宅では据え置きアンプを使い分けていますが、「QX13」はその両方を1台でカバーしてくれる存在でした。
シーン別の体験
シーン | 接続方法 | 良かった点 | 気になった点 |
---|---|---|---|
通勤・移動 | スマホ直結 | コンパクトでケーブル取り回しも良い。マグネットケースで安定 | バッテリー消費はやや早め |
カフェ作業 | スマホ+E-Stick | 外部給電で長時間利用可能。音場の奥行きが広がる | 持ち運ぶアイテムが増える |
自宅リスニング | PC+外部給電(デスクトップモード) | 発熱が少なく安定。難駆動ヘッドホンもしっかり鳴らせる | ケーブル環境を整える必要あり |
音質の手応え
- 高域:透明感があり、弦楽器や女性ボーカルの伸びが自然。
- 中域:厚みがあり、ボーカルや楽器の輪郭がしっかり描かれる。
- 低域:タイトに沈み込み、過度に膨らまない。リズムが引き締まって聴こえる。
- 音場:バランス接続では左右だけでなく奥行きも広がり、立体感が増す。
さらに、EQを軽く触ることで以下のような調整が効果的でした。
- 150Hzを+1.5dB → 低域がより厚みを増す
- 3kHzを+1.0dB → ボーカルが前に出て存在感が増す
- 8kHzを−1.0dB → 高域の刺激感を和らげる
UIと操作性の印象
- ディスプレイ:出力や消費電力がリアルタイムに確認でき、安心感がある。
- 操作系:UIがシンプルで、初見でも直感的に扱える。
- 携帯性:マグネットケースでスマホ背面に固定でき、従来の「ぶら下げ式」の不安定さを解消。
- 発熱:デスクトップモードでもほんのり温かい程度で、長時間使用に十分耐えられる。
他機種との比較で感じたこと
- 「KA17」との比較
- 「QX13」の方が駆動力に余裕があり、平面駆動型ヘッドホンでも安定した音を出せる。
- 音場の広さと解像度の高さが一段上。
- 一般的なドングルDACとの比較
- 出力の余裕・UIの見やすさ・給電の柔軟性が突出している。
- モバイルでありながら据え置き級に迫れる点が大きな価値。
こんな人におすすめ
- 出先でも「据え置き級の駆動力」を求める人
- IEMから平面駆動型ヘッドホンまで幅広く鳴らしたい人
- 出力や給電状態をリアルタイムに確認したい人
- スマホと組み合わせてシンプルに高音質を楽しみたい人
体験談のまとめ
実際に「QX13」を使ってみて最も印象に残ったのは、常に余力を残した駆動力と、どの環境でも安定した音の再現性でした。
スマホ直結でも十分なパワーを感じられ、自宅で外部給電を用いると据え置き機に近い表現力が引き出せるため、シーンに応じて自然に使い分けられるのが大きな強みです。
音の傾向はニュートラルで、必要に応じてPEQで好みに合わせられる柔軟性もあり、IEMから平面駆動型ヘッドホンまで幅広く対応できました。
コンパクトながら機能性に優れ、ポータブルの枠を超えた使い心地を味わえる点が、体験を通じて感じた「QX13」の本質だと思います。
FIIO 「QX13」に関するQ&A

FIIO 「QX13」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「QX13」はどんなユーザーに向いていますか?
スマホ中心に音楽を楽しみたいけれど「出力不足を感じている人」や、「外出でも据え置き級のパワーを求める人」に最適です。IEMから平面駆動型ヘッドホンまで幅広く駆動できるので、ポータブル環境でも音質に妥協したくない方におすすめです。
デスクトップモードと通常モードの違いは?
通常モードではスマホ直結で十分な出力を得られますが、デスクトップモードを使うと最大900mW+900mWまでパワーを引き出せます。外部給電を利用することで駆動力が大幅に向上し、難駆動なヘッドホンでも安定して鳴らせるのが特徴です。
「KA17」など他のFIIO製品と比べてどうですか?
「KA17」も高性能ですが、「QX13」はより上位の設計です。具体的には、
- 最大出力が KA17:約650mW → QX13:約900mW
- ディスプレイ搭載で操作性や情報表示が向上
- カーボン筐体やマグネットケースなど携帯性が強化
パワー・UI・拡張性すべてにおいて一段上という印象です。
発熱やバッテリー消費は気になりますか?
長時間使用しても「ほんのり温かい」程度で、熱による不安は少なめです。ただしスマホ直結の場合は消費電力が大きく、バッテリーの減りが早いと感じることがあります。その場合はE-Stickや外部給電を併用すれば安心して使えます。
「QX13」の音質傾向は?
全体的にニュートラルでバランスが良いサウンドです。
- 高域:伸びやかで透明感がある
- 中域:ボーカルや楽器が自然にまとまる
- 低域:タイトで引き締まった低音
派手さよりも「解像度」「駆動力」「見通しの良さ」に重点が置かれています。
ゲーム機やPCでも使えますか?
はい。UAC1.0モードに対応しているため、SwitchやPS5などのゲーム機でも利用可能です。PC接続ではASIO/WASAPIで高音質再生ができ、作業用アンプとしても十分活躍します。
カーボンモデルとアルミモデルの違いは?
大きな違いは 外装素材と価格 です。
- ブラックカーボン:約39,600円(軽量・高剛性・高級感あり)
- チタニウムゴールド:約35,860円(やや重めだがコストを抑えられる)
音質の差はほとんどなく、デザインや持ち心地で選んで問題ありません。
「QX13」は初心者でも使いやすいですか?
はい。USB Type-Cで接続するだけで基本的にすぐ使用できます。ドライバレス対応なので、スマホやPCに繋ぐだけで認識します。UIもシンプルで、ディスプレイで状態が確認できるため初心者でも迷うことは少ないでしょう。
外出時に持ち歩いても壊れやすくないですか?
21層カーボンファイバー筐体やCorning製強化ガラスを採用しており、耐久性は十分です。さらにマグネットケースに収納すればスマホ背面に固定でき、ケーブルに負担がかからないので安心して持ち歩けます。
消費電力が多いとスマホの電池がすぐ切れませんか?
通常モードだと確かにバッテリー消費は増えます。しかし、側面の給電ポートを使いE-Stickやモバイルバッテリーを併用すれば解決できます。長時間リスニングする人は外部給電を前提にした方が安心です。
バランス接続とシングルエンド接続で違いは大きいですか?
大きいです。
- 3.5mmシングルエンド:コンパクトで気軽、IEMとの相性良し。
- 4.4mmバランス:出力が大きく音場の広がりも明確。難駆動ヘッドホンを使うならこちらが有利です。
音質は据え置きアンプと比べても遜色ないですか?
完全に同等とは言えませんが、デスクトップモードを利用すればかなり近づきます。特に駆動力と解像度の点では、ポータブル機の中ではトップクラス。日常的なリスニング用途なら「据え置きはいらない」と感じる人も多いでしょう。
価格に見合う価値はありますか?
約3.5〜4万円という価格帯はドングルDACの中では高めですが、出力・機能・UIすべての完成度を考えると十分価値があります。特に「スマホ環境でもヘッドホンをしっかり鳴らしたい」と考える人にはコストパフォーマンスが高いモデルです。
FIIO 「QX13」レビューのまとめ

FIIO 「QX13」は、ドングルDACの携帯性と据え置き級アンプのパワーを一体化させた意欲的なモデルです。
高出力・高解像度・大画面UIを備えながらも持ち歩きやすく、シーンに応じて柔軟に運用できるのが最大の魅力でした。
「QX13」の主な魅力
- 圧倒的な出力性能:デスクトップモードでは最大900mW+900mW(32Ω)
- 透明感あるサウンド:低ノイズ設計により、定位・分離感が明確
- 直感的な操作性:1.99インチの大画面で状態を一目で把握
- エコシステム対応:E-Stickやマグネットケースと連携可能
- 幅広い互換性:4.4mm BAL/3.5mm SE(S/PDIF兼用)、UAC2.0/1.0対応
気になる点(あらかじめ把握しておきたい部分)
- スマホ単体で使うとバッテリー消費が早い
- ドングルとしてはやや大きめで、存在感はある
- 真価を発揮するには外部給電やケースの併用が前提になる場合がある
- 価格は約3.5〜4万円とエントリー機からのステップアップには投資感あり
シーンごとの適性
シーン | おすすめ設定 | 特徴 |
---|---|---|
通勤・外出 | 通常モード/SE | 軽快でシンプル、IEMとの相性抜群 |
カフェ作業 | スマホ+E-Stick | バッテリーの心配がなく、低域の安定感アップ |
自宅リスニング | PC+外部給電(デスクトップモード) | 難駆動ヘッドホンも余裕で鳴らせ、音場の立体感が際立つ |
購入前チェックリスト
- IEMだけでなく平面駆動型ヘッドホンも鳴らしたい
- 出力状態や消費電力をディスプレイで確認したい
- 外出先でも据え置きに近い環境を構築したい
- ニュートラル傾向の音をベースに、自分好みにPEQで微調整したい
FIIO 「QX13」レビューの総括
FIIO 「QX13」は、これまでドングルDACに抱かれてきた「携帯性と引き換えにパワーや操作性を妥協しなければならない」という常識を覆す存在でした。
高出力でありながら低ノイズを実現し、ディスプレイによって安心して運用できる視認性を備え、さらにE-Stickやマグネットケースといった拡張性まで整えられているため、外でも自宅でも一台で十分に活躍します。
実際に使用してみると、その余裕のある駆動力と見通しの良いサウンドは、ポータブル機でありながら据え置き機に匹敵する力を感じさせ、日常のリスニング体験を確実に底上げしてくれました。
小さなサイズに多くの要素を詰め込みながらも破綻せず、むしろ完成度を高めている点がQX13最大の価値といえるでしょう。
ポータブルと据え置きの境界を越え、音楽を楽しむ自由度を広げたい人にとって、FIIO 「QX13」はまさに新しい標準となる一台です。
