【DUNU DN242レビュー】DaVinciと徹底比較!8ドライバートライブリッドの音質と実力を完全評価

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出典:DUNU公式
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オーディオファンの皆さん、こんにちは。

日々進化を続ける「中華イヤホン」の世界において、常にトップランナーとして走り続けているブランド「DUNU」
その圧倒的な技術力と、まるで宝箱のような豪華な付属品への拘りは、もはや「間違いのないブランド」としての地位を確立しています。

2024年から2025年にかけて、イヤホン市場、特に5万円前後(300〜400ドル帯)のミドルハイクラスは、まさに群雄割拠の戦国時代です。
各メーカーがフラッグシップ級の技術を惜しみなく投入し、「価格破壊」とも言える高性能機が次々と生まれています。
その中心にいたのが、DUNUの大ヒットモデル「DaVinci(ダヴィンチ)」でした。
アナログライクで太い低音と艶のあるボーカル表現は、多くのオーディオファンを虜にしました。

そんなDUNUから、市場に衝撃を与えるニューモデルが投入されました。

その名は、「DN242」

一見すると、あの「DaVinci」のカラーバリエーションのようにも見えますが、その中身は全くの別物へと変貌を遂げています。

「2DD + 4BA + 2Micro Planar」という驚異の8ドライバートライブリッド構成を引っ提げ、中国の大ヒットアニメ『哪吒之魔童降世(ナタ)』をモチーフにした、燃え盛る炎のようなフェイスプレートを纏って登場しました。

「DaVinci」で濃厚な音楽体験を提供したDUNUが、次に目指したのは何なのか?

巷で囁かれる「New Meta(新たな基準)」とはどういうことなのか?

本作「DUNU DN242」は、主人公・哪吒(ナタ)の持つ「反逆精神」と「純粋さ」を音で表現するかのように、「情熱的な低音」と「冷静かつ繊細な高音」を見事に融合させています。
スペック表を見ただけでは伝わらないその真価は、単なる「全部乗せ」のパワー系イヤホンではなく、計算し尽くされた大人のチューニングにありました。

今回は、この注目作「DN242」について、複雑なスペックを噛み砕きながら、実際の音質、装着感、そしてライバル機との違いまで徹底的にレビューしていきます。

「DaVinciの良さを継承しつつ、さらに現代的な解像度を手に入れたい」
「5万円クラスで、本当に長く愛せる一本を探している」

そんなあなたの為に、この赤い炎のようなイヤホンの全貌を解き明かしていきます。
ぜひ最後までお付き合いください。

  1. DUNU DN242の製品概要と特徴
    1. 驚異の8ドライバー・トライブリッド構成の正体
    2. 物理と電子の融合:5Wayクロスオーバーシステム
    3. アニメ『哪吒(ナタ)』を模した燃えるようなデザイン
  2. 音質徹底レビュー:DUNU DN242の情熱と理性の融合
    1. 2DDが叩き出す重厚で深みのある低音
    2. マイクロプラナーが生む繊細かつ伸びやかな高音
    3. 「New Meta」準拠のニュートラルなバランス
    4. ジャンル別・聴きどころ徹底解説:この曲で輝く!
  3. 所有欲を満たすDUNU DN242のビルドクオリティと付属品
    1. HeyGears製3Dプリントシェルの装着感
    2. 実用性抜群の「Q-Lock Mini」プラグ
    3. 豪華すぎるイヤーピースとアクセサリ
    4. ポテンシャルを引き出す!DAP・DAC組み合わせガイド
  4. DUNU DN242を使用した私の体験談・レビュー
    1. 開封時の高揚感とビルドクオリティ
    2. ファーストインプレッション:優等生への進化
    3. じっくり聴き込んで分かった「万能さ」
    4. 装着感と取り回しについての本音
    5. 番外編:ゲーミングイヤホンとしての実力は?
    6. 体験談の総括
  5. DUNU DN242に関するよくある質問(Q&A)
    1. スマホ直挿しでも良い音で鳴りますか?
    2. 「DaVinci」とどちらを買うべきか迷っています。
    3. FPSなどのゲーム用途(ゲーミングイヤホン)として使えますか?
    4. 付属ケーブルは交換(リケーブル)した方が良いですか?
    5. 音漏れや遮音性はどのくらいですか?
    6. エージング(鳴らし込み)は必要ですか?
    7. ノズル(軸)の太さはどのくらいですか?社外製イヤーピースは使えますか?
    8. ケーブルの接続規格は「MMCX」ですか?「2Pin」ですか?
    9. 高感度すぎて「サーッ」というホワイトノイズは乗りませんか?
    10. 女性ボーカルの「サ行(刺さり)」は気になりますか?
    11. ASMRやバイノーラル音源(立体音響)には向いていますか?
    12. フルレンジの平面駆動(Planar)イヤホンと比べて音はどう違いますか?
    13. 4.4mmバランス接続と3.5mmアンバランス接続で、音は変わりますか?
    14. 長時間つけていると、耳が詰まるような「閉塞感」はありますか?
    15. 高級な「シングルダイナミック型(1DD)」のイヤホンと迷っています。
  6. DUNU DN242レビューのまとめ
    1. DUNU DN242のメリット
    2. DUNU DN242のデメリット
    3. DaVinciから乗り換えるべきか?
    4. 低価格帯「コスパ機」との決定的な違い
    5. ライバル機種との比較と選び分け
    6. DUNU DN242レビューの最終的な結論

DUNU DN242の製品概要と特徴

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出典:DUNU公式

まずは、DUNU DN242がどのような技術的背景を持って生まれたイヤホンなのか、その深層部に迫ります。
単にドライバーを詰め込んだだけではない、DUNUの執念とも言える設計思想を紐解いていきましょう。

驚異の8ドライバー・トライブリッド構成の正体

このイヤホンの心臓部は、片側に合計8基ものドライバーを搭載した「トライブリッド構成」です。
しかし、重要なのは数ではありません。「なぜそのドライバーを選び、どう配置したか」です。

【低音域】「質の異なる」2基のダイナミックドライバー

低域には、10mmと8mmの2基のダイナミックドライバー(DD)が搭載されています。
これらは単に同じ音を鳴らしているわけではありません。

  • 10mmドライバー: 主にサブベース(超低域)を担当。地響きのような重低音や、空間の空気感を震わせる役割を担います。
  • 8mmドライバー: ミッドベース(中低域)を担当。ドラムのキック音やベースラインのアタック感など、スピードとパンチ力を生み出します。

この「異径デュアルDDシステム」により、深く沈み込みながらも、もたつかないキレのある低音を実現しています。
これは、名機「DaVinci」で培われた技術をさらにブラッシュアップしたものです。

【中音域】Knowles製カスタムBAドライバーによる「密度」

中音域から高音域にかけては、信頼性の高いKnowles製を含む4基のBA(バランスド・アーマチュア)ドライバーが配置されています。

ダイナミックドライバーのパワフルな低音に埋もれないよう、BA特有の「解像度」と「明瞭度」を活かし、ボーカルやギター、ピアノといった主役となる楽器を鮮明に描き出します。
特に4基使用することで音の厚みを確保し、線が細くなりすぎるのを防いでいます。

【超高音域】マイクロプラナーが描く「空気」

そして、DN242の最大のトピックが、超高音域を担当する2基のマイクロ平面駆動(Micro Planar)ドライバーです。

従来の静電型(EST)ドライバーと比較して、平面駆動型はよりエネルギッシュで、かつ歪みのない高音を再生できます。
これにより、シンバルの余韻やホールの残響音といった「空気感」までもが、驚くほどリアルに再現されます。

物理と電子の融合:5Wayクロスオーバーシステム

これだけ種類の異なるドライバーを合計8基も搭載すると、通常は音が混ざり合い、「位相のズレ」や「音の濁り」が発生しやすくなります。

これを解決するために採用されたのが、「5Wayクロスオーバーシステム」です。

  1. 物理クロスオーバー: 内部の音響ダクト(音の通り道)の長さや形状を計算し、物理的に周波数をコントロール。
  2. 電子クロスオーバー: 基板上の回路で電気的に周波数を分割。

この2つを高度に組み合わせることで、各ドライバーが担当する帯域を完璧に住み分けさせています。
結果として、まるで一つのドライバーが鳴っているかのような「滑らかな繋がり」を実現しているのです。

アニメ『哪吒(ナタ)』を模した燃えるようなデザイン

外観にも触れないわけにはいきません。
フェイスプレートのデザインは、中国の伝説的アニメ映画『哪吒之魔童降世(ナタ)』からインスピレーションを得ています。

「哪吒(ナタ)」というキャラクターは、運命に抗う反逆心と、純粋な心を持つ少年神です。

  • 炎のような赤: 情熱、パワー、反逆心
  • マーブル模様の深み: 複雑な感情、繊細さ
  • ゴールドの縁取り: 神性、高級感

このデザインは、DN242のサウンドキャラクターである「パワフルな低音(情熱)」と「繊細な高音(純粋)」を見事に視覚化しています。
実機を光にかざすと、レジンの奥深くまで赤い粒子が煌めき、所有欲を強烈に満たしてくれるでしょう。

 

音質徹底レビュー:DUNU DN242の情熱と理性の融合

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出典:DUNU公式

ここからは、オーディオファン視点でさらに深く音質を掘り下げます。
「DaVinci」との比較も交えつつ、DN242独自のサウンドスケープを言語化します。

2DDが叩き出す重厚で深みのある低音

DN242の低音は、一言で言えば「筋肉質でアスリートのような低音」です。

「DaVinci」の低音が、リラックスした状態で聴く「豊満で包み込むような低音」だとすれば、DN242は常に臨戦態勢にある「瞬発力のある低音」と言えます。

  • サブベースの挙動
    EDMや映画のサントラなどで使用される超低域は、恐怖を感じるほどの深さまで沈み込みます。
    しかし、余計な残響(ブーミーさ)を残さず、スパッと収束します。
    これにより、背景が静寂になり、次の音が際立ちます。
  • 質感の違い
    一部のレビューでは「暴力的な低音」とも表現されますが、それは「制御不能な暴れ方」ではなく、「プロボクサーの重いパンチ」のように、狙ったところに正確かつ強烈に着弾するイメージです。

マイクロプラナーが生む繊細かつ伸びやかな高音

トライブリッド構成の恩恵を最も感じるのが、この高音域です。

BAドライバーだけでは表現しきれない領域、例えば「バイオリンの倍音」や「ウィンドチャイムの微細な揺れ」を、マイクロプラナーが見事に拾い上げます。

  • 金属音の表現
    ハイハットやシンバルなどの金属音は、BAドライバーだと「チキチキ」と安っぽくなったり、耳に刺さったりしがちです。
    しかしDN242のプラナーは、金属の「硬さ」を保ちつつ、粒子が非常に細かいため、耳当たりが滑らかです。
  • 「煌めき」と「刺さり」の境界線
    非常に高い解像度を持っていますが、聴き疲れするギリギリのラインで絶妙にチューニングされています。
    「派手なのに痛くない」という、非常に高度なバランス調整がなされています。

「New Meta」準拠のニュートラルなバランス

「New Meta(ニュー・メタ)」とは、近年のオーディオ界(特に海外コミュニティ)で主流になりつつある、新しいターゲットカーブ(理想的な周波数特性)のことです。

従来の「ハーマンターゲット」よりも、「よりフラットで、ボーカルの存在感を自然に際立たせる」傾向があります。

DN242はこのトレンドを取り入れており、以下のような特徴があります。

  • ドライなボーカル表現
    ここが好みの分かれ目かもしれません。
    「DaVinci」はボーカルに艶(ウェット感)があり、色っぽく聴かせるタイプでした。
    対してDN242は、ボーカルがやや「ドライ(乾いた)」で、カチッとした輪郭を持っています。
    これは、「声の味付け」を楽しむのではなく、「声そのものの情報量」や「口元の動き」を分析的に楽しむモニターライクな側面を持っていると言えます。
  • 楽器ごとの距離感
    ニュートラルなチューニングのおかげで、特定の帯域が前に出すぎることがありません。
    オーケストラを聴けば、指揮者の位置から各楽器を見渡すような、整然とした定位感(イメージング)を感じることができます。

ジャンル別・聴きどころ徹底解説:この曲で輝く!

スペックや帯域バランスの話だけではイメージしづらい方のために、具体的な音楽ジャンルにおけるDN242の「鳴り方」をシミュレーションします。

① ハイスピードなロック・メタル(例:凛として時雨、Bring Me The Horizon)

  • ここが凄い:
    通常のイヤホンではドラムの連打とベースライン、そして歪んだギターが団子になってしまいがちなジャンルです。
    しかし、DN242はトライブリッド構成の分離能力が火を吹きます。
    2基のDDがバスドラムのアタックを鋭く刻み、その上をBAとプラナーがギターリフと金物の残響を綺麗に分離して描きます。
    「音の壁」が迫ってくるような迫力がありながら、その壁の中にレンガの一つひとつが見えるような解像度です。
  • 注意点:
    録音状態の悪い古いロック音源だと、解像度が高すぎてノイズや粗まで拾ってしまうことがあります。
    これは高性能ゆえの宿命と言えるでしょう。

② 女性ボーカルのアニソン・ポップス(例:YOASOBI、LiSA)

  • ここが凄い:
    「New Meta」準拠のチューニングにより、ボーカルは非常にクリアです。
    特筆すべきは「ブレス(息継ぎ)」のリアルさ。
    マイクロプラナーが超高域を担当しているため、声の輪郭に含まれる空気感が強調され、歌手が目の前で歌っているような実像感を味わえます。
    DaVinciのような「甘い艶」は控えめですが、その分、声の強弱やテクニックが手に取るように分かります。
  • 相性:
    打ち込み主体のバックトラックとも相性が良く、シンセサイザーのキラキラした音とボーカルが喧嘩しません。

③ 壮大なサントラ・クラシック(例:ハンス・ジマー、久石譲)

  • ここが凄い:
    ここで後述する「S&S Eartips」の出番です。
    このイヤーピースを組み合わせることで、音場が左右だけでなく奥行き方向にも拡張されます。
    コントラバスやティンパニの重低音が地面を震わせ、バイオリンやフルートの高音が天井高く抜けていく。
    このダイナミックレンジ(音の強弱の幅)の広さは、8ドライバー構成ならではの余裕を感じさせます。

 

所有欲を満たすDUNU DN242のビルドクオリティと付属品

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出典:DUNU公式

5万円クラスのイヤホンとして、音質以外の部分、つまり「モノとしての完成度」も非常に重要です。
DUNUはその点において、ユーザーを裏切りません。

HeyGears製3Dプリントシェルの装着感

筐体製造は、ハイエンドイヤホンや補聴器などの製造で世界的なシェアを持つHeyGears社との協業によるものです。

  • 医療用レジンの採用
    肌に触れる部分は医療用グレードのレジンで作られており、長時間装着しても痒みやかぶれが起きにくい素材です。
    また、透明度が高く、経年劣化による黄変にも強い特性があります。
  • エルゴノミクスデザイン
    8ドライバーを詰め込んでいるため、物理的な厚みはそれなりにあります。
    しかし、耳のコンチャ(くぼみ)に収まる部分の形状が絶妙にシェイプされており、装着した瞬間に「ピタッ」と吸い付くような安定感があります。
    ただし、耳の穴が極端に小さい方は、イヤーピースのサイズ選びを慎重に行う必要があるでしょう。

実用性抜群の「Q-Lock Mini」プラグ

DUNUが開発した特許技術「Q-Lock Mini」システムは、現在のイヤホン業界における「交換式プラグの正解」の一つと言えるでしょう。

  • メカニカルなギミック
    他社製品によくある「ねじ込み式」や「単純な差し込み式」とは異なり、独自のスライドロック機構を備えています。
    プラグを差し込んでロックを掛けると、「カチッ」という小気味よい感触と共に完全に固定されます。
  • 音質劣化の防止
    接点部分の精度が非常に高く、交換式プラグにありがちな「接触不良によるノイズ」や「音質の劣化」を感じさせません。
    付属する3.5mmと4.4mmプラグを使い分けることで、スマホ直挿しから本格的なDAP、据え置きアンプまで、ケーブル一本でシームレスに対応可能です。

豪華すぎるイヤーピースとアクセサリ

DUNU DN242には、単体販売されている高級イヤーピースが惜しげもなく同梱されています。
これらを使い分けるだけでも、音質の微調整(チューニング)が可能です。

イヤーピース名特徴推奨ジャンル
DUNU S&S Eartips円柱形の独特な形状。音の直進性が高く、音場が広がる。高域の抜けが良くなる。クラシック、ライブ音源、FPSゲーム
DUNU Candy Eartips柔らかいシリコン素材で密閉性が高い。低音が逃げにくく、ボーカルに厚みが出る。ポップス、ロック、アニソン
標準(Balanced)癖のない標準的なシリコンタイプ。まずはこれで基準の音を確認するのがおすすめ。オールジャンル

さらに、収納ケースもファブリック調のしっかりとしたハードケースが付属しており、内部にはメッシュポケットも装備。乾燥剤や予備のイヤピを入れておくのに便利です。

ポテンシャルを引き出す!DAP・DAC組み合わせガイド

「スマホ直挿しでもいいの?」それとも「高いDAPが必要?」という疑問にお答えします。
DN242は感度が比較的高く鳴らしやすい部類ですが、上流(再生機器)の質に敏感に反応するスケーラビリティも持っています。

【Lv.1】スマートフォン + 変換アダプタ

音量は十分に取れます。
DN242の基本的なバランスの良さは味わえますが、低音の締まりが少し緩くなり、高音のマイクロプラナーの伸びが8割程度に留まる印象です。
「とりあえず聴く」には十分ですが、真価を発揮しているとは言えません。

【Lv.2】スティック型DAC(ドングルDAC) ※推奨ライン

ここが狙い目です。
1万円〜3万円クラスのスティック型DAC(例:FiiO KAシリーズ、iBasso DCシリーズなど)を噛ませるだけで、世界が変わります。

特に4.4mmバランス接続を使用した時の「左右のセパレーション(分離感)」の向上は劇的です。
スマホ直挿しでは平面的だった音が、急に立体的になり、低音のアタック感も増します。
DN242を購入するなら、最低限この環境は整えたいところです。

【Lv.3】ミドルクラス以上のDAP

5万円〜10万円クラスのDAPで駆動すると、DN242は「化け」ます。

駆動力(パワー)に余裕ができるため、トライブリッドの各ドライバーが完全に制動され、無音時の「静寂感」が深まります。
背景が黒くなることで、微細な音が浮き上がり、モニターイヤホンとしての性能がさらに際立ちます。

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DUNU DN242を使用した私の体験談・レビュー

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ここでは、実際に私が「DUNU DN242」を様々なシチュエーションで使い倒した際の、生々しい体験談をお届けします。

開封時の高揚感とビルドクオリティ

パッケージは予想以上に大きく、ずっしりとした重みがありました。

アニメイラストのボックスを開けると、まるで宝飾品のように鎮座するイヤホン本体。
赤色のフェイスプレートは、照明の下で見ると内部のドライバーがうっすらと透けて見え、メカニカルな美しさと工芸品的な美しさが同居しています。

ケーブルを接続する際の2Pinコネクタの硬さも適切で、ガタつきは皆無。
「良いモノを買った」という満足感は、音を聴く前からすでに最高潮に達しました。

ファーストインプレッション:優等生への進化

最初の試聴曲は、低音の量感を確認するためにBillie Eilishの『Bad Guy』を選びました。

再生ボタンを押した瞬間、鼓膜を震わせるサブベースの風圧。

「あ、これはDaVinciの系譜だ」と直感しました。
しかし、ボーカルが入ってきた瞬間に印象が変わります。
DaVinciのような甘くとろけるような声ではなく、ウィスパーボイスの唇の動きまで見えるような、鮮明でクリスピーな声だったのです。

「暴れる低音を、理性的な中高音が手綱を握ってコントロールしている」

そんな第一印象を持ちました。

じっくり聴き込んで分かった「万能さ」

その後、100時間ほどエージング(鳴らし込み)を行い、改めて様々なジャンルでテストしました。

  • J-POP / アニソン:
    ボーカルが埋もれず、バックの演奏もしっかり分離して聴こえるため、情報量の多い現代的な曲との相性が最高です。
  • ジャズ / クラシック:
    マイクロプラナーのおかげで、ホールの残響感や弦楽器の倍音が綺麗に伸びます。
  • EDM / ヒップホップ:
    2DDのサブベースが火を噴きます。キレが良いので、速いBPMの曲でもモヤつきません。

正直、「苦手なジャンルがない」と言えるほどの万能選手です。

装着感と取り回しについての本音

私は平均的な耳の大きさですが、数時間の連続リスニングでも痛みを感じることはありませんでした。
ただ、8ドライバーを搭載しているため、ハウジングには多少の厚みがあります。
耳が極端に小さい方は、試聴機などで確認した方が良いかもしれません。

ケーブルについては、被膜がしっかりしており、タッチノイズも少なめ。
Q-Lock Miniプラグは本当に便利で、スマホ(ドングルDAC経由)で聴くときは3.5mm、DAPで聴くときは4.4mmと、シームレスに使い分けられました。

番外編:ゲーミングイヤホンとしての実力は?

最近はオーディオ用イヤホンをFPSなどのゲームに使用する方が増えていますが、結論から言うとDN242は「ガチ勢」にもおすすめできる性能を持っています。

  • 足音の定位
    「New Meta」チューニングの恩恵で、中高域の見通しが非常に良いため、敵の足音や銃声の方向がピンポイントで分かります。
    特に音場の広さがあるため、「壁の向こう」や「上下階」の距離感が掴みやすいのが驚きでした。
  • 迫力と没入感
    RPGやアクションゲームでは、2DDの低音が爆発音や環境音(雷鳴やエンジンの音)に重厚なリアリティを与えます。
    スカスカな音のゲーミングイヤホンでは味わえない、「映画の中に入り込んだような没入感」が得られるため、ソロプレイのゲームでも満足度は非常に高いです。

体験談の総括

DN242と過ごした時間は、私にとって「新しい発見」の連続でした。

聞き慣れたはずの曲から、「あ、ここのベースラインはこんな風に動いていたんだ」「コーラスの人がここで息を吸っていたんだ」という新しい音が次々と飛び出してくるのです。

単に音楽を消費するのではなく、「音楽を探索する」という楽しみを与えてくれる。
それがDN242というイヤホンの本質だと感じました。

 

DUNU DN242に関するよくある質問(Q&A)

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購入前に気になるポイントをQ&A形式でまとめました。

スマホ直挿しでも良い音で鳴りますか?

音量は十分に取れますが、本来の性能を発揮するにはDACの使用を強く推奨します。
DN242は比較的鳴らしやすい部類のイヤホンですので、スマートフォンやPCのイヤホンジャックに直接挿しても十分な音量は確保できます。しかし、片側8基(合計16基)ものドライバーを搭載しているため、それらを正確に制動し、深い低音や繊細な高音を引き出すには、ある程度の駆動力が必要です。 3,000円〜1万円程度の「スティック型DAC(ドングルDAC)」を挟むだけでも、音の霧が晴れたようにクリアになり、低音の締まりが劇的に向上します。

「DaVinci」とどちらを買うべきか迷っています。

「癒やしと迫力」ならDaVinci、「解像度とキレ」ならDN242です。

  • DUNU DaVinci: 濃厚で温かみのある低音、艶のあるボーカルで、ゆったりと音楽に浸りたい方向け。
  • DUNU DN242: 音の粒立ちがハッキリしており、スピード感のある現代的な曲や、細かい音まで聴き取りたい方向け。 すでにDaVinciを持っていて、「もう少しスッキリした音が欲しい」「モニターライクな使い方もしたい」と感じているなら、DN242は最高の買い替え(または買い足し)候補になります。

FPSなどのゲーム用途(ゲーミングイヤホン)として使えますか?

非常に高い適性があります。
DN242は「New Meta」準拠のチューニングにより、中高域の見通しが良く、音の分離能力に優れています。そのため、FPSにおける「足音の方向(定位)」や「銃声の距離感」が非常に掴みやすいです。 また、2基のダイナミックドライバーによるサブベースの振動が、爆発音などの迫力を演出してくれるため、映画鑑賞やRPGの没入感を高める用途にも向いています。

付属ケーブルは交換(リケーブル)した方が良いですか?

基本的には交換不要です。
付属ケーブルは高純度の単結晶銅銀メッキ線を使用しており、単体販売されているケーブルと比較しても遜色のない高品質なものです。また、プラグ部分を3.5mm/4.4mmに自由に交換できる「Q-Lock Mini」システムが非常に便利なため、無理にリケーブルする必要はありません。 もし音質を変えたい場合は、リケーブルよりも「付属のイヤーピース(S&S Eartipsなど)」を交換して好みの音を探る方が、変化を楽しみやすいでしょう。

音漏れや遮音性はどのくらいですか?

一般的なカナル型イヤホンと同等ですが、若干の音漏れがあります。
耳の奥までしっかりフィットするため遮音性は高いですが、ダイナミックドライバーの空気圧調整用のベント(穴)が開いているため、大音量で再生すると静かな場所(図書館など)では音が漏れる可能性があります。電車の中などでは、常識的な音量であれば問題ありません。

エージング(鳴らし込み)は必要ですか?

50〜100時間程度のエージングをおすすめします。
特に低域を担当する2基のダイナミックドライバーは、箱出し直後は少し動きが硬い場合があります。数十時間鳴らし込むことで、低音の角が取れてスムーズになり、マイクロプラナーとの繋がりもより滑らかになる傾向があります。

ノズル(軸)の太さはどのくらいですか?社外製イヤーピースは使えますか?

やや太めですが、一般的な社外製イヤーピースの多くが装着可能です。
8ドライバー構成のため、音導管を確保する必要がありノズル径は約6mm前後とやや太めです。しかし、一般的な「SpinFit CP100+」や「AZLA SednaEarfit」シリーズなどは問題なく装着できます。 耳の穴が小さい方は、軸が硬いイヤーピース(例:AZLA XELASTECなど)を使うと圧迫感を感じる可能性があるため、付属の「Candy Eartips」のような傘が柔らかいタイプや、軸が短めのタイプを選ぶとフィット感が向上します。

ケーブルの接続規格は「MMCX」ですか?「2Pin」ですか?

汎用性の高い「0.78mm 2Pin」コネクタを採用しています。
リケーブル(ケーブル交換)の選択肢が豊富な「0.78mm 2Pin」規格です。コネクタ部分はフラットなタイプ(埋め込み式ではない)なので、多くのサードパーティ製ケーブルに対応します。 ただし、DUNUの付属ケーブルと「Q-Lock Mini」システムの完成度が非常に高いため、音質向上目的以外でのリケーブルの必要性は低いでしょう。

高感度すぎて「サーッ」というホワイトノイズは乗りませんか?

一般的なDAPやDACでは気になりませんが、ノイズに弱い環境では注意が必要です。
DN242は感度が比較的高いため、PCのイヤホンジャックや、安価なBluetoothレシーバーなど、ノイズフロアが高い(S/N比が低い)機器に接続すると、無音時に微細なホワイトノイズを拾うことがあります。 これはイヤホンの不具合ではなく、高性能ゆえに上流の粗を拾ってしまうためです。ノイズ対策がされたDAPやUSB-DACを使用すれば、漆黒の背景(静寂)を楽しめます。

女性ボーカルの「サ行(刺さり)」は気になりますか?

非常に高いレベルで制御されていますが、音源によってはわずかに感じるかもしれません。
マイクロプラナー(平面駆動)ドライバーが高音域を担当しているため、解像度は高いものの、BAドライバー特有の「金属的な鋭い刺さり」はかなり抑えられています。 ただし、「New Meta」準拠で中高域が明瞭なチューニングのため、録音状態があまり良くない曲や、元々サ行が強く強調されたミックスの曲では、その鋭さを忠実に再生してしまいます。付属の「S&S Eartips」を使うと、高域が整理されて聴きやすくなる傾向があります。

ASMRやバイノーラル音源(立体音響)には向いていますか?

意外な適正があります。特におすすめです。
マイクロプラナーによる微細な音の拾い上げ能力と、歪みのない空間表現は、ASMRにおける「耳かきの音」や「吐息」のリアリティを驚くほど高めてくれます。 また、定位感(音の位置関係)が正確なため、バイノーラル録音されたドラマCDなどを聴くと、音像が頭内ではなく周囲に広がるような臨場感を味わえます。低音が強すぎないため、長時間聴いていても疲れにくいのもメリットです。

フルレンジの平面駆動(Planar)イヤホンと比べて音はどう違いますか?

「低音のアタック感」と「音の厚み」においてDN242が勝ります。
「S12 Pro」や「Timeless」のようなフルレンジ平面駆動イヤホンは、全帯域でスピード感がある反面、低音の「ドン!」という空気の押し出し感(ダイナミクス)が少し平坦になりがちです。 DN242は低音にダイナミックドライバーを使用しているため、平面駆動特有の繊細な高音を維持しつつ、ダイナミック型ならではのド迫力な低音を両立しているのが最大の強みです。「平面駆動の音は好きだけど、低音の迫力が物足りない」と感じていた人には理想的な回答になります。

4.4mmバランス接続と3.5mmアンバランス接続で、音は変わりますか?

明確に変わります。4.4mmの方が本機のポテンシャルを引き出せます。
DN242は回路構成が複雑なため、左右の信号が混ざらない(クロストークが少ない)バランス接続の恩恵を強く受けます。 3.5mmと比較して、4.4mm接続時は「音場の左右の広がり」が拡張され、センターに位置するボーカルと、左右に位置する楽器の分離感がより鮮明になります。DAPをお持ちなら、迷わず4.4mmプラグを装着することをおすすめします。

長時間つけていると、耳が詰まるような「閉塞感」はありますか?

ベント(通気孔)の効果により、圧迫感はかなり軽減されています。
密閉度の高いイヤホンですが、ダイナミックドライバーの動きをスムーズにするためのベント(空気穴)が適切に設計されています。これにより、鼓膜にかかる内圧(圧迫感)が逃げる構造になっており、長時間リスニングしても「耳が詰まる」「聴き疲れする」といった感覚が起きにくいです。

高級な「シングルダイナミック型(1DD)」のイヤホンと迷っています。

「音の繋がり(自然さ)」なら1DD、「圧倒的な情報量」ならDN242です。
「Sennheiser IEシリーズ」や「DUNU Falcon Ultra」のような高級1DD機は、音の継ぎ目がない自然なサウンドが魅力です。 対してDN242は、「ここでベースが鳴って、あそこでギターが鳴っている」という分析的な聴き方ができる圧倒的な情報量(解像度)が武器です。 「音楽全体を雰囲気で楽しみたい」なら1DD、「音の構成要素を隅々まで味わいたい」ならDN242を選ぶと幸せになれます。

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DUNU DN242レビューのまとめ

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※画像はイメージです

最後に、DN242の良い点、悪い点、そして競合機種との比較を詳細にまとめます。
購入の最終判断にお役立てください。

DUNU DN242のメリット

  • 圧倒的な解像度とバランス: 2DDの迫力とPlanarの繊細さが完璧に融合している。
  • ジャンルを選ばない万能性: 「New Meta」チューニングにより、どんな曲でも高得点を叩き出す。
  • 所有欲を満たすデザイン: 唯一無二の赤いフェイスプレートと高いビルドクオリティ。
  • 最強の付属品: Q-Lock Miniプラグと高品質イヤーピースにより、追加投資が不要。
  • 装着感の良さ: HeyGears製シェルによる優れたエルゴノミクス。

DUNU DN242のデメリット

  • 筐体の厚み: 多ドライバー機ゆえ、耳からの飛び出しが気になる場合がある。
  • デザインの好み: 赤色はインパクトが強いため、シックな黒などを好む人には派手すぎるかも(現時点ではカラーバリエーションは赤のみ)。
  • 「濃さ」の減少: 「DaVinci」のような濃厚でウェットな音を期待すると、少しアッサリ(ドライ)に感じる可能性がある。

DaVinciから乗り換えるべきか?

比較項目DUNU DaVinciDUNU DN242
音の傾向ウォーム、濃厚、リスニング寄りクール、鮮明、モニター×リスニング
低音包み込むような広がり、量感大タイトでキレのあるパンチ、深さ重視
ボーカル艶やか、ウェット、近め明瞭、ドライ、適度な距離感
高音丸みがあり聴きやすい伸びやか、粒子が細かい、煌めきあり
おすすめゆったり音楽を楽しみたい人音のディティールまで聴き込みたい人

結論として、DaVinciの音が「少し緩い」「もう少し解像度が欲しい」と感じていた人にとっては、DN242は間違いなく正当なアップグレードとなります。
逆に、DaVinciの濃厚な雰囲気が大好きな人は、無理に買い替える必要はありません。

低価格帯「コスパ機」との決定的な違い

最近は1万円以下でも「1DD+4BA」といった多ドライバー機(例:KZ製品など)が存在しますが、「価格差5倍」のDN242とは何が違うのでしょうか?

決定的な違いは、「クロスオーバー(音の繋がり)の完成度」と「音色の統一感」です。

安価な多ドライバー機は、ドライバーごとの音がバラバラに聞こえたり、特定の帯域で音が濁ったり(位相ズレ)することがあります。
また、BAドライバー特有の「金属的な響き」が目立ちすぎて、聴き疲れすることも多いです。

対してDN242は、8基ものドライバーを積んでいるにも関わらず、「まるで一つの高性能なドライバーが鳴っているかのような滑らかさ」があります。
この「自然さ」にこそ、コストと技術が投入されているのです。

ライバル機種との比較と選び分け

同価格帯(5万円台)には、強力なライバルたちがひしめいています。
それらとDN242はどう違うのでしょうか?

vs THIEAUDIO HYPE4

人気の「HYPE4」と比較すると、HYPE4はよりV字傾向が強く、重低音のパンチ力や高域の刺激、いわゆる「ドンシャリ的な楽しさ」を重視する傾向があります。

対してDN242は、よりニュートラルで整理されたサウンドです
。HYPE4の低音が「強すぎる」と感じる方や、ボーカル帯域をもっと丁寧かつフラットに聴きたい方にはDN242が最適解となるでしょう。

vs Moondrop DUSK

最新のサウンドトレンド(New Meta)の代表格である「Moondrop DUSK」と比較した場合、DUSKは非常に優秀なリファレンスですが、時に「淡白で無味無臭」と感じられることがあります(DSPケーブルでの使用が前提な部分もあります)。

DN242はそのDUSKに近いバランスを持ちながらも、アナログ接続だけで、リスニングイヤホンとしての「音楽的な楽しさ」や「鮮やかさ」が加味されています。

「分析的すぎず、かつ派手すぎない」。 この絶妙な立ち位置こそが、激戦区におけるDN242の最大の強みです。

DUNU DN242レビューの最終的な結論

「DUNU DN242」は買いか?

私の答えは、「間違いなく買い」です。

特に、「5万円前後で、ジャンルを選ばず、解像度が高く、付属品も完璧なイヤホンが欲しい」というわがままな要望に対し、これほど高いレベルで応えてくれる製品はそう多くありません。

「情熱」と「冷静」。

相反する要素を一つの筐体に閉じ込めたDN242は、あなたの音楽ライフをより鮮やかに、よりドラマチックに彩ってくれることでしょう。

もし迷っているなら、ぜひこの赤い炎を手に取ってみてください。その音を聴いた瞬間、きっとニヤリとしてしまうはずです。

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