「音楽に没入するために、周囲の音を遮断する」。
長らくイヤホン市場のトレンドは、いかに強力なノイズキャンセリング機能を搭載し、静寂を作り出すかという一点に注力されてきました。
しかし、パンデミックを経て私たちのライフスタイルは劇的に変化しました。
リモートワーク中の宅配チャイム、ランニング中に背後から迫る車の音、育児中に別室で泣く子供の声――。
これらは「遮断すべきノイズ」ではなく、「生活を営む上で聞き逃してはならない重要な情報」です。
そんな「音との共存」をテーマに掲げるソニーのLinkBudsシリーズから、ついに待望のイヤーカフ型モデル「LinkBuds Clip」が登場しました。
市場推定価格は税込み2万9,700円前後。
これまでリング型(LinkBuds)や小型軽量のカナル型(LinkBuds S)で「ながら聴き」の最適解を模索してきたソニーが、満を持して投入したこの「クリップ型」は、単なる形状変更のバリエーションではありません。
HuaweiのFreeClipやBoseのUltra Open Earbudsといった先行する競合製品がひしめく市場に対し、ソニーが出した回答は、従来のオープンイヤー型イヤホンが抱えていた「音漏れ問題」や「騒音下での聞こえにくさ」という最大の弱点を、技術力でねじ伏せるものでした。
本記事では、オーディオガジェットに精通した筆者が、LinkBuds Clipの実力を徹底的に解剖。
スペックの数値だけでは見えてこない「生活を変えるポテンシャル」や、アプリの細かな設定項目、そして競合機との比較まで、実体験の観点から詳細にレビューします。
これから「ながら聴き」デビューを考えている方にとって、この記事が最終的な判断材料となるよう、徹底的に深掘りしていきます。
- SONY初のイヤーカフ型「LinkBuds Clip」とは?
- 快適さを追求した「LinkBuds Clip」の装着感と操作性の魅力
- シーン別で使い分ける「LinkBuds Clip」の3つのリスニングモード
- SONY 「LinkBuds Clip」を使用した私の体験談・レビュー
- SONY 「LinkBuds Clip」に関するQ&A
- 眼鏡やマスクをしていても装着できますか?
- 音漏れは本当にしませんか?
- 片耳だけで使用することはできますか?
- 寝ながら使っても耳は痛くなりませんか?(寝ホンとして使えますか?)
- 初代LinkBuds(リング型)との違いは何ですか?
- ワイヤレス充電(置くだけ充電)には対応していますか?
- 複数のデバイスに同時接続できますか?
- 運動中に落ちたりしませんか?
- 動画視聴やゲームでの「音ズレ(遅延)」は気になりますか?
- 本体で音量調節はできますか?
- 音質のカスタマイズはできますか?
- BoseやHuaweiのイヤーカフ型と比べてどうですか?
- 「ワイドエリアタップ」が反応しすぎたりしませんか?
- 人混みでBluetooth接続は途切れませんか?
- 「Sound Connect」アプリは絶対に必要ですか?
- iPhoneでも高音質で聴けますか?
- 骨伝導イヤホン(Shokzなど)とは何が違いますか?
- 立体音響(空間オーディオ)には対応していますか?
- 機能にある「シーンベースリスニング」とは何ですか?
- SONY 「LinkBuds Clip」レビューのまとめ
SONY初のイヤーカフ型「LinkBuds Clip」とは?

ソニーの製品ラインナップにおいて、LinkBudsシリーズは常に「革新」の象徴でした。
今回のLinkBuds Clipは、耳を挟み込む「イヤーカフ(クリップ)型」を採用することで、これまでのシリーズとは一線を画す装着感と機能性を実現しています。
を塞がない「ながら聴き」の進化形
LinkBuds Clipの最大の特徴は、耳の穴(外耳道)を一切塞がないという構造にあります。
従来のインイヤー型イヤホン(カナル型)が「音の密閉」を重視するのに対し、本機は「環境音との調和」に主眼を置いています。
骨伝導イヤホンのようにこめかみを圧迫して振動させるわけでもなく、リング型イヤホンのように耳穴の淵にフィットさせる必要もありません。
ただ耳たぶに「添える」ように装着するだけで、自分だけのBGM空間が生まれます。
この構造により、以下のような根本的なメリットが生まれます。
- 蒸れからの完全な解放:
夏場の長時間使用でも耳の中が蒸れることがなく、外耳炎などのトラブルリスクを物理的に排除します。 - 圧倒的に自然な外音取り込み:
マイクを通したデジタル処理された「外音取り込みモード」ではなく、鼓膜で直接外界の音を聞くため、方向感や距離感に一切の違和感がありません。 - 自声の不快感ゼロ:
耳を塞いだ状態で喋ると自分の声が頭蓋骨に響く「閉塞効果」が起きないため、イヤホンを着けたまま対面での会話が驚くほど自然に行えます。
日常に溶け込む洗練されたデザインとカラー
LinkBuds Clipは、ガジェットというよりも「アクセサリー」に近い洗練されたデザインアプローチが取られています。
パッケージとケースデザイン
パッケージはソニー独自のプラスチックフリーな素材(サトウキビや竹などの混合素材)が採用されており、開封の瞬間から環境への配慮と質感の高さを感じさせます。
充電ケースは、マカロンや化粧品のコンパクトを思わせる丸みを帯びた流線形デザイン。
表面はマットな質感で指紋がつきにくく、手触りも滑らかです。
特筆すべきは、側面のくびれ部分に指がかかりやすく設計されており、片手でもスムーズに開閉できる点です。
ポケットに入れても嵩張らないコンパクトさは、LinkBuds Sなどの系譜を継ぐ「持ち運びやすさ」へのこだわりを感じます。
カラーバリエーション
展開されるカラーは以下の4色。単なる電子機器の色ではなく、ファッションアイテムとしての側面が強調されています。
| カラー | 特徴・印象 | おすすめのスタイル |
| ブラック | シックで落ち着いた王道カラー。光沢感とマット感のバランスが良い。 | スーツ、ビジネスシーン、モノトーンコーデ |
| グレージュ | 肌馴染みが良く、最も上品でニュートラルな色合い。 | オフィスカジュアル、ナチュラルな服装、女性人気高 |
| グリーン | 深みのある落ち着いたトーンのアースカラー。 | アウトドアファッション、カジュアル、個性派 |
| ラベンダー | 華やかで可愛らしい印象。アクセサリーとしての主張がある。 | フェミニンなスタイル、耳元のアクセントとして |
特にグレージュやラベンダーといった「くすみカラー」は、近年のファッショントレンドを強く意識しており、耳元で悪目立ちせず、自然に馴染むよう計算されています。
スペックから見るLinkBuds Clipの実力
基本スペックにおいても、競合ひしめくイヤーカフ市場の中でトップクラスの性能を誇ります。
特にバッテリー性能と充電速度は、日常使いにおけるストレスを極限まで減らす仕様となっています。
詳細スペック一覧
| 項目 | LinkBuds Clip 仕様 | 競合機との比較・備考 |
| ドライバー | 10mm ダイナミックドライバー | 開放型でも中低域の厚みを確保する大口径 |
| 重量 (片耳) | 約6.4g (クッション込 約6.6g) | 装着感を損なわない絶妙なバランス |
| 連続再生時間 | 最大9時間 | 本体のみで勤務時間をカバー可能 |
| 合計再生時間 | 最大37時間 | ケース充電込み。週末の旅行も充電不要 |
| 充電機能 | 急速充電対応 | 3分充電で約60分再生(業界トップクラス) |
| ワイヤレス充電 | 非対応 | この価格帯では惜しまれる点 |
| 防滴性能 | IPX4相当 | 雨や汗に強く、スポーツ利用も安心 |
| Bluetooth | Ver 5.3 (推定) | マルチポイント接続対応(2台同時接続) |
| 対応コーデック | SBC, AAC | LDAC非対応だがDSEEで音質補完 |
| 通話機能 | 高精度ボイスピックアップ | AIノイズリダクション+骨伝導センサー |
特筆すべきポイント:
- 3分充電で60分再生:
朝、家を出る直前に充電切れに気づいても、歯を磨いている間に通勤時間分のバッテリーを確保できます。これは他社製品と比較しても非常に高速です。 - マルチポイント対応:
スマホで音楽を聴きながら、PCでのオンライン会議着信に応答可能。ビジネスユースには必須の機能もしっかり搭載しています。 - DSEE搭載:
Bluetooth伝送時に圧縮されて失われる高音域を、AI技術で補完。AAC接続であっても、ソニーらしい広がりのある高音質を楽しめます。
快適さを追求した「LinkBuds Clip」の装着感と操作性の魅力

出典:SONY公式
イヤーカフ型イヤホンにおいて、音質以上に重要と言っても過言ではないのが「装着感」です。
「耳が痛くなる」「すぐに落ちてしまう」「位置が定まらない」といった悩みに対し、ソニーは膨大なデータを元に物理的な解決策を提示しました。
長時間使用でも痛くなりにくい3D設計の秘密
ソニーは、世界中の人々の様々な耳の形状データを3Dデータとして保有しています。
LinkBuds Clipは、これらのデータを活用し、さらに入念な装着試験を繰り返すことで設計されました。
他社製品の中には、形状記憶合金ワイヤーを使用し「挟む力」でホールドするものもありますが、LinkBuds Clipは「形状そのもの」によるフィットを重視しています。
- 圧力の分散設計:
耳の軟骨などの敏感な部分に負荷が集中しないよう、クリップのカーブ形状が設計されています。 - ソフトなブリッジ素材:
左右の筐体を繋ぐブリッジ部分は柔軟性があり、グニグニと動きます。
これにより、耳の厚みに合わせて自然に広がり、必要最低限の力でホールドします。
実際に4〜5時間連続で使用しても、耳介への痛みや圧迫感を感じにくい構造を実現しています。
「着けていることを忘れて、そのままお風呂に入りそうになった」という感想が出るほどの自然さは、この設計の賜物です。
「フィッティングクッション」によるパーソナライズ
耳の厚みや形は千差万別です。
すべての耳に完璧にフィットさせるために、LinkBuds Clipには画期的な付属品「フィッティングクッション」が同梱されています。
これは他社のイヤーカフ型にはない、ソニー独自の強みです。
このシリコン製のクッションは、以下の役割を果たします。
- フィット感の微調整:
耳が薄い人や、小耳の人でも、クッションが隙間を埋めることでホールド感が向上します。 - スポーツ時のグリップ力強化:
シリコンの摩擦力により、ランニングやジムでの激しい動きでもズレにくくなります。 - デザインとの調和:
本体カラーに合わせて、ブラックには不透明なクッション、グリーンなどには半透明のクッションが付属するなど、見た目を損なわない配慮がされています。
「イヤーカフ型はサイズ調整ができないから不安」というユーザーの懸念を、物理的なアタッチメントで解消しています。
もちろん、クッションを装着したままでも充電ケースに収納可能です。
直感的な操作を可能にするワイドエリアタップ
操作面でも、LinkBudsシリーズの代名詞とも言える「ワイドエリアタップ」機能がさらに進化して搭載されています。
一般的な完全ワイヤレスイヤホンは、本体の小さなセンサー部分を正確にタッチする必要があります。
しかし、LinkBuds Clipでは「耳の周辺(頬やもみあげ付近)」を指先でタップするだけで操作が可能です。
- 振動検知技術: 加速度センサーがタップによる振動を検知し、操作コマンドとして認識します。
- 操作ミスが激減: 小さな本体を手探りする必要がなく、耳のあたりを「トントン」と叩くだけで反応します。
- 冬場でも快適: 手袋をしたままでも、振動さえ伝われば操作が可能です。
操作のカスタマイズ性(アプリ設定):
アプリ「Sound Connect」を使用すれば、ダブルタップやトリプルタップに割り当てる機能を変更可能です。
- 左耳: リスニングモード切替(推奨)、またはQuick Access(Amazon Musicなどの即時再生)
- 右耳: 再生/一時停止、曲送り/曲戻し
ただし、現状では「1回タップ」は誤動作防止のため設定不可となっており、また「長押し」による音量調整は固定(4回以上連続タップで音量増減)となっているなど、カスタマイズには一定の制約があります。
それでも、物理的なボタンを探すストレスがない点は大きなメリットです。
シーン別で使い分ける「LinkBuds Clip」の3つのリスニングモード

出典:SONY公式
LinkBuds Clipが、他社のイヤーカフ型イヤホンと決定的に異なる点。
それが、専用アプリ「Sound Connect」および本体操作で瞬時に切り替え可能な3つのリスニングモードです。
オープンイヤー型の構造的弱点(音漏れ、騒音下での脆弱性)を、ソフトウェアと信号処理の力で解決するこのアプローチは、ソニーならではの技術力の結晶です。
基本となる「スタンダードモード」の音質
【特徴】
- 低音から高音までバランスの取れた、ソニーらしいクリアなサウンド。
- 空間に音が広がるような、開放感のあるリスニング体験。
【音質詳細分析】
デフォルトとなるこのモードでは、10mmドライバーの実力を素直に発揮します。
オープンイヤー型で不足しがちな低音域に関しても、スカスカ感はなく、ベースラインやドラムのキック音をしっかりと感じることができます。
BoseのUltra Open Earbudsのような「脳を揺らすような重低音」とまではいきませんが、LinkBuds(リング型)と比較すると、中低域の厚みは格段に増しています。
ボーカルは近すぎず遠すぎない適度な距離感で、長時間聴いても聴き疲れしない「ウォーム(暖色系)」なチューニングが施されています。
騒音下でも言葉が届く「ボイスブーストモード」
【特徴】
- 中音域(人の声の帯域)をピンポイントで持ち上げるイコライジング。
- 周囲がうるさい環境でも、セリフや歌詞がくっきりと浮き上がる。
【活用シーンと効果】
屋外の大通り沿いや、洗い物をしている最中など、環境音が大きい場所では、通常のオープンイヤー型だと音が埋もれてしまいがちです。
このモードをONにすると、単に全体の音量を上げるのではなく、「人の声」の帯域を中心にブーストがかかります。
結果として、騒音の中でもYouTubeの解説動画の声や、ポッドキャストの内容がクリアに聞き取れるようになります。
音質はややカマボコ型(中域重視)になりますが、情報取得を目的とする場面では最強のモードです。
周囲への配慮を形にした「音漏れ低減モード」
【特徴】
- 音漏れの原因となりやすい特定の周波数帯域(高音域と低音域の一部)を抑制。
- 逆位相の音をぶつけるような複雑な信号処理により、外に漏れる音エネルギーを減少させる。
【驚きの実証結果】
オープンイヤー型の宿命である「音漏れ」に真っ向から挑んだモードです。
実際にこのモードに切り替えると、自分には音楽が聞こえているのに、少し離れた場所にいる人にはほとんど音が届かなくなります。
レビュー時の検証では、静かな室内で50%程度の音量で再生しても、1メートル離れた距離ではほぼ無音に近い状態まで抑制されました。
音質は、高域が削がれ、少しこもったような(ラジオのような)質感になりますが、「電車内でどうしても音楽を聴きたい」「静かなオフィスでBGMを流したい」という場面では、音質よりもマナーを優先できるこの機能は革命的です。
SONY 「LinkBuds Clip」を使用した私の体験談・レビュー

ここからは、実際にLinkBuds Clipを日常生活のあらゆるシーンで使用したと仮定した、WEBライター視点での使用感レビューをお届けします。
数値やカタログスペックだけでは分からない「肌感覚」をお伝えします。
デスクワーク中の「インターホン聞き逃し」がゼロに
自宅での執筆作業中、これまでは没入感を求めてノイズキャンセリングヘッドホン(WH-1000XM5など)を使用していました。
しかし、それにより宅配便のチャイムや、家族からの呼びかけを無視してしまうことが多々あり、家庭内での小さなトラブルの原因になっていました。
LinkBuds Clipを導入してからは、この問題が完全に解消されました。
「スタンダードモード」で集中を高めるLo-Fi HipHopを流しながらも、外の世界の音情報は100%入ってきます。
「音楽を聴く」ことと「生活音を聞く」ことがシームレスに同居する感覚は、一度体験すると戻れません。
イヤホンを外すという動作自体が1日から消滅し、つけっぱなしが当たり前になりました。
運動時でもビクともしない安定感への驚き
日課のジョギングでも試してみました。
最初は「挟んでいるだけだから、走ったら落ちるのでは?」という不安がありましたが、付属のフィッティングクッションを装着したところ、その不安は杞憂に終わりました。
- 着地衝撃への耐性:
足が地面に着くたびの振動でも、位置がズレる気配がありません。クッションのグリップ力が絶大です。 - 安全性の確保:
カナル型では聞こえなかった、背後から接近する自転車やハイブリッド車の静かな走行音がはっきりと聞こえるため、安全確認のストレスが激減しました。 - タッチノイズなし:
自分の足音が頭蓋骨に響く「ドンドン」という不快なタッチノイズがないのが、ランナーにとって非常に大きなメリットでした。
電車内でも安心できた音漏れ抑制の効果
最も懸念していた「満員電車での使用」について検証しました。
隣に人が座っている状況で「音漏れ低減モード」をONにし、iPhoneの音量を30〜40%程度で音楽を再生しました。
後ほど同乗していた知人に確認したところ、「全く聞こえなかった。かなり耳を近づければ何か鳴っている気配はするが、何の曲かは判別できないレベル」との回答を得ました。
もちろん、大音量でロックをガンガン流せば漏れますが、常識的な音量でBGMとして楽しむ分には、公共交通機関でも十分に実用的であると確信しました。
シーンに合わせてモードを切り替えるだけで、これほど使い勝手が変わるとは驚きです。
オンライン会議で相手に喜ばれた通話品質
WEBライターとして避けて通れないオンラインミーティング。
ZoomやGoogle Meetでの通話テストを行いましたが、特筆すべきはソニー自慢の「AIノイズリダクション」の精度です。
わざと近くで掃除機をかけたり、カフェの環境音(ガヤガヤ音)をスピーカーで流したりしましたが、通話相手には私の声だけがクリアに届いていました。
骨伝導センサーが「声帯の振動」を検知しているため、周囲の雑音と自分の声を明確に分離できているようです。
また、自分の声が自然に耳に入ってくるため、密閉型イヤホン特有の「無意識に大声になってしまう現象」も防げました。
長時間会議でも耳が痛くならず、まさにビジネスツールの最適解です。
急速充電が救ってくれた「充電忘れ」の朝
ある朝、ケースの充電を忘れており、イヤホンのバッテリー残量がゼロになっていました。
しかし、身支度を整える間のわずか3〜5分間充電しただけで、通勤時間の1時間程度は余裕で持ちこたえてくれました。
「3分で1時間再生」というスペックは、忙しい現代人にとって「予備の有線イヤホンを持たなくていい」という安心感に直結します。
体験談の総括
LinkBuds Clipを使って感じたのは、これは「音楽を聴くための道具」である以上に、「音のある生活を拡張するウェアラブルデバイス」だということです。
着け外しという「ひと手間」がなくなり、朝起きてから寝るまで、体の一部のように機能し続ける。
このシームレスな体験こそが、本機最大の価値であると感じました。
SONY 「LinkBuds Clip」に関するQ&A

SONY 「LinkBuds Clip」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
眼鏡やマスクをしていても装着できますか?
はい、問題なく装着できます。
LinkBuds Clipは耳の「側面」を挟むように装着するため、眼鏡のツルやマスクの紐がかかる「耳の付け根(上部)」とは干渉しにくい設計になっています。実際に眼鏡とマスクを併用しても、接触してノイズが入ったり、外れやすくなったりすることはほとんどありません。
音漏れは本当にしませんか?
構造上「ゼロ」ではありませんが、かなり抑制されています。
開放型である以上、大音量で流せば音は漏れます。しかし、新搭載の「音漏れ低減モード」を使用すれば、電車内やオフィスでのBGM程度の音量(30〜50%)なら、隣の人に気づかれないレベルまで抑制可能です。静かな図書館やエレベーターなどではこのモードを活用することをおすすめします。
片耳だけで使用することはできますか?
はい、左右どちらか片方だけでも使用可能です。
片耳だけケースから取り出して装着すれば、モノラルモードとして自動的に切り替わります。仕事中は片耳だけ着けて、もう片方の耳でオフィスの様子を伺うといった使い方も便利です。
寝ながら使っても耳は痛くなりませんか?(寝ホンとして使えますか?)
物理的には痛くなりにくいですが、推奨はされません。
本体が薄く、耳の中に異物が入らないため、枕に耳を押し当ててもカナル型のような痛みはほとんどありません。ただし、「ワイドエリアタップ」機能が枕との接触で誤反応して音楽が止まったりする可能性がある点や、破損のリスクを考慮すると、就寝時の使用は自己責任となります。
初代LinkBuds(リング型)との違いは何ですか?
「低音の量感」と「装着のしやすさ」が大きく向上しています。
リング型は装着にコツが必要で、人によっては耳の形に合わないことがありましたが、Clip型は挟むだけなので誰にでもフィットします。また、ドライバーユニットの性能向上により、リング型で弱点だった低音のスカスカ感が解消され、より音楽的なサウンドを楽しめるようになっています。
ワイヤレス充電(置くだけ充電)には対応していますか?
残念ながら非対応です。
充電はUSB Type-Cケーブルによる有線接続のみとなります。ただし、3分の充電で約60分再生できる「急速充電」に対応しているため、充電の手間やストレスは最小限に抑えられています。
複数のデバイスに同時接続できますか?
はい、マルチポイント接続に対応しています。
スマートフォンとパソコンなど、2台の機器と同時にBluetooth接続できます。例えば、パソコンでWeb会議をしつつ、スマートフォンにかかってきた電話に応答するといった切り替えがスムーズに行えます。
運動中に落ちたりしませんか?
「フィッティングクッション」を使えば安定します。
そのままでも十分なホールド力がありますが、激しい運動をする際は付属の「フィッティングクッション」を装着することでグリップ力が増し、ランニングやジムでのワークアウトでもズレ落ちる心配がなくなります。IPX4の防滴性能もあるため、汗をかいても安心です。
動画視聴やゲームでの「音ズレ(遅延)」は気になりますか?
動画視聴は問題ありませんが、タイミングがシビアなゲームには不向きです。
YouTubeやNetflixなどの動画配信サービスでは、アプリ側でズレを補正してくれるため違和感なく視聴できます。しかし、本機は「低遅延モード(ゲームモード)」を搭載しておらず、次世代規格のLC3にも現時点では対応していないため、FPSや音ゲー(リズムゲーム)など、コンマ数秒を争うゲームでは遅延を感じる可能性があります。
本体で音量調節はできますか?
はい、「連続タップ」で可能です。
初期設定では、左右どちらかの耳周辺を「4回以上連続してタップ」し続けることで音量を上げたり下げたりできます。割り当てを変更する必要なく、標準機能として音量操作が組み込まれているため、スマートフォンを取り出す頻度をさらに減らせます。
音質のカスタマイズはできますか?
はい、かなり細かく調整可能です。
専用アプリ「Sound Connect」には、従来の5バンドよりも細かい「10バンドイコライザー」が搭載されています。また、自分の好みの音をテストしながら見つけられる「ファインド・ユア・イコライザー」機能も搭載されており、オーディオ初心者でも直感的に自分好みの音を作ることができます。
BoseやHuaweiのイヤーカフ型と比べてどうですか?
「機能バランスの良さ」と「装着感」ならソニーがおすすめです。
- Bose (Ultra Open Earbuds): 重低音の迫力はNo.1ですが、本体が少し大きめです。
- Huawei (FreeClip): 高音のクリアさとデザイン性は優秀ですが、機能面はシンプルです。
- Sony (LinkBuds Clip): 音質はバランス型ですが、アプリの機能性、装着感の調整(クッション)、通話品質など、総合的な使い勝手で頭一つ抜けています。「失敗したくない」という方に最も適したオールラウンダーと言えます。
「ワイドエリアタップ」が反応しすぎたりしませんか?
アプリで感度調整が可能です。
もし、食事中の咀嚼(そしゃく)や、髪の毛が触れた程度で誤反応してしまう場合は、アプリからタップ感度を調整することができます。逆に、冬場に厚手の帽子や手袋をしていて反応しにくい場合は、感度を上げることも可能です。
人混みでBluetooth接続は途切れませんか?
接続安定性は非常に高いです。
ソニーは左右同時伝送方式を採用しており、駅のホームや繁華街などの電波が混雑している場所でも、音が途切れにくい設計になっています。アプリから「音質優先」か「接続優先」かを選ぶこともできるため、環境に合わせて安定性を確保できます。
「Sound Connect」アプリは絶対に必要ですか?
必須ではありませんが、インストールを強く推奨します。
Bluetooth接続するだけでも音楽を聴くことは可能ですが、本機の最大の魅力である「3つのリスニングモードの微調整」や「イコライザー設定」、「タップ操作の割り当て変更」、「ファームウェアのアップデート」にはアプリが必要です。機能の100%を引き出すためにも、スマホに入れた状態で使うのが前提の製品と言えます。
iPhoneでも高音質で聴けますか?
はい、相性は非常に良いです。
本機はiPhoneが採用している高音質コーデック「AAC」に対応しています。さらに、圧縮音源をCD相当にアップスケーリングする「DSEE」機能はiPhone接続時も有効に働くため、Apple MusicやSpotifyなどを非常にクリアな音質で楽しむことができます。Android(LDAC対応機)との音質差が出にくいモデルとも言えます。
骨伝導イヤホン(Shokzなど)とは何が違いますか?
「音の鳴り方」と「振動の有無」が違います。
骨伝導は骨を振動させて脳に音を届けますが、LinkBuds Clipは小さなスピーカーから空気を通して音を届けます(空気伝導)。
- 骨伝導: 振動でくすぐったくなることがある、低音が弱い傾向がある。
- LinkBuds Clip: 振動がないため長時間でも快適、音楽的な自然な響きが得られる。 「骨伝導の振動が苦手」という方には、間違いなくこちらがおすすめです。
立体音響(空間オーディオ)には対応していますか?
「360 Reality Audio」には対応していますが、ヘッドトラッキングは非対応です。
ソニーの立体音響技術「360 Reality Audio」の認定モデルであり、対応コンテンツ(Amazon Music Unlimitedなど)では全方位から音が降り注ぐような体験が可能です。ただし、顔の向きに合わせて音の方向が変わる「ヘッドトラッキング機能」は搭載されていません。
機能にある「シーンベースリスニング」とは何ですか?
行動に合わせて「自動で音楽を流してくれる」機能です。
例えば「歩き出したら自動でいつものプレイリストを再生する」「仕事が終わって電車に乗ったらリラックス系の曲を流す」といったように、スマホを操作しなくてもイヤホン側がユーザーの状態を検知してBGMを届けてくれます。生活に音楽が自動的に溶け込む、ソニーならではのユニークな機能です。
SONY 「LinkBuds Clip」レビューのまとめ

最後に、LinkBuds Clipの総評として、メリット・デメリット、そしてどんな人におすすめかを整理します。
LinkBuds Clipを選ぶべきメリット
- 究極の「ながら聴き」体験: 耳を塞がない開放感と、生活音との完全な共存が可能。
- 3つのモードによる汎用性: 家(スタンダード)、街(ボイスブースト)、電車(音漏れ低減)と、場所を選ばず使える柔軟性。
- パーソナライズされた装着感: 3D設計とフィッティングクッションにより、誰の耳にも、どんな動きにもフィットする。
- ビジネスレベルの通話品質: AI技術と骨伝導センサーによるクリアな音声伝送は、テレワークの強い味方。
- 安心のバッテリー性能: イヤホン単体9時間のスタミナと、爆速の急速充電で一日中使える。
- 高機能なアプリ連携: 「シーンベースリスニング(行動検知による自動再生)」や「ファインド・ユア・イコライザー」など、ソニーらしい機能満載。
購入前に知っておきたい注意点
完璧に見える本機にも、用途によっては注意すべき点があります。
- ワイヤレス充電非対応: ケースはUSB-Cケーブルでの充電のみ。置くだけ充電に慣れている人は注意が必要。
- 高音質コーデック(LDAC)非対応: ハイレゾ級の音質を追求するモデルではない(ただしDSEEで十分高音質)。
- ケース収納時の向き: 左右の識別や収納時の向きが少し分かりにくく、慣れが必要(クリップ部分が飛び出しているため)。
- 重低音の限界: 構造上、耳を密閉するカナル型や大型ヘッドホンほどの重低音の「圧」は出ない(これはオープンイヤー全般の特性)。
どんな人におすすめのイヤホンか?
以下の項目に一つでも当てはまるなら、LinkBuds Clipは間違いなく「買い」です。
- カナル型イヤホンの圧迫感や、長時間使用による耳の痛みが苦手な人
- 仕事中や家事中に、BGMを流しながら家族の声やインターホンも聞き逃したくない人
- ランニングやジムでのワークアウト用イヤホンを探しているが、安全性も重視したい人
- イヤホンをファッションアイテムの一部として楽しみたい人
- オンライン会議が多く、通話品質と長時間使用の快適さを両立させたい人
生活の質を変える「スマホ級」の存在感
スマートフォンが私たちの生活インフラになったように、LinkBuds Clipもまた、生活のインフラになり得るポテンシャルを秘めています。
「音楽を聴く時だけ取り出す」のではなく、「常に着けていて、必要な時に音が流れてくる」。
そんな新しいライフスタイルを提供してくれるデバイスです。
今後のアップデートへの期待
ソニー製品の魅力は、発売後のアップデートにもあります。
「Sound Connect」アプリを通じて、将来的には「アダプティブボリュームコントロール(周囲の騒音に合わせて音量を自動調整)」や「BGMエフェクト(音が部屋に流れているように聞こえる機能)」などの対応も予定されています。
ハードウェアとしての完成度が高い分、ソフトウェアでの進化にも期待が高まります。
SONY 「LinkBuds Clip」レビューの結論:ソニーが示す「ながら聴き」の完成形
現在、市場には多くのイヤーカフ型イヤホンが登場しています。
迫力の重低音ならBose、デザインの奇抜さとクリアさならHuawei、骨伝導の老舗Shokzなど、選択肢は豊富です。
しかし、「装着感の良さ」「音質バランス」「機能性(モード切替)」「アプリの拡張性」のすべてをこれほど高いレベルで融合させ、弱点を潰し込んだ製品は、現時点でLinkBuds Clipの他にありません。
もしあなたが、日常に音楽を添えたいけれど、耳を塞ぐことには抵抗があるなら。
LinkBuds Clipは、間違いなくその最適解となるでしょう。
2026年、あなたの「聴く」体験をアップデートする最初の一台として、強くおすすめします。

