Bowers & Wilkins 「Px8 S2」徹底レビュー|Px8/Px7 S3との比較で分かる実力を検証

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出典:Bowers & Wilkins公式
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2025年9月25日、Bowers & Wilkins(バウワーズ&ウィルキンス)が新たに送り出したフラッグシップワイヤレスヘッドホン「Px8 S2」。

公式価格は116,820円(税込)と決して安価ではありませんが、同社が誇る高級スピーカー開発で培った技術とデザイン性を凝縮したモデルとして、大きな注目を集めています。

Bowers & Wilkinsといえば、1966年にイギリスで設立され、世界中の著名スタジオでモニタースピーカーとして採用されてきたオーディオブランド。

数百万円単位のハイエンドスピーカーを手がけてきた経験をもとに、近年はワイヤレスヘッドホンの分野でも存在感を強めてきました。

その中でもPxシリーズは、同ブランドの「音質と高級感を両立させたヘッドホン」の象徴とも言える存在です。

今回の「Px8 S2」は、前作「Px8」の完成度をさらに高めたモデル。

デザイン面ではハウジングを薄型化し、ケーブルを露出させたアルミニウム製アームを採用するなど、細部までこだわり抜かれています。

音質面でもaptX Adaptive(最大96kHz/24bit)やaptX Losslessに対応し、有線接続ではUSB-DACとして高解像度再生が可能になるなど、フラッグシップにふさわしい進化を遂げています。

「高級感あふれるデザインを持ち歩きたい」「ワイヤレスでも妥協のない音質を体験したい」という方にとって、「Px8 S2」はまさに最終到達点となり得るヘッドホンです。

この記事では、その特徴をデザイン・音質・機能に分けてレビューし、最後に実際の使用感やまとめもお伝えしていきます。

 

  1. Bowers & Wilkins 「Px8 S2」とは?
    1. ブランドの背景と位置づけ
    2. 価格・発売日・競合との比較
    3. 前作からの進化ポイント
    4. Bowers & Wilkins 「Px8 S2」の概要まとめ
  2. Bowers & Wilkins 「Px8 S2」のデザインと装着感
    1. 高級感ある素材と仕上げ
    2. ハウジングやアームの改良点
    3. 快適性と長時間使用
  3. Bowers & Wilkins 「Px8 S2」の音質と主な機能
    1. 全体のチューニングと音場
    2. 帯域ごとの特徴とジャンル相性
    3. ノイズ制御・外音取り込み・通話
    4. 接続性・コーデック・アプリなど
  4. Bowers & Wilkins 「Px8 S2」を使用した私の体験談・レビュー
    1. シーン別の使い心地
    2. 聴こえ方
    3. よかった点 / 気になった点
    4. ジャンル別に感じた強み
    5. 小ワザ(すぐ効く3点)
    6. こういう人に向く
    7. 体験談のまとめ
  5. Bowers & Wilkins 「Px8 S2」に関するQ&A
    1. 前作「Px8」との一番の違いは?
    2. LDACには対応していますか?
    3. iPhoneでも恩恵はありますか?
    4. 重さや装着感は?
    5. どんな接続方法がありますか?
    6. マルチポイントの使い勝手は?
    7. ゲーム用途の低遅延は?
    8. アプリでできることは?
    9. 音の傾向は?
    10. ANCはどのくらい効きますか?
    11. 外音取り込み(トランスペアレンシー)は自然?
    12. バッテリーはどれくらい?急速充電は?
    13. 眼鏡との相性は?
    14. 防水・防滴は?
    15. どんなジャンルに合いますか?
    16. 「Px7 S3」と迷っています。違いは?
  6. Bowers & Wilkins 「Px8 S2」レビューのまとめ
    1. 一言でいうと
    2. 強み/注意点/ひと工夫
    3. どんな人に刺さる?
    4. 使い始めのチェックリスト
    5. Bowers & Wilkins 「Px8 S2」レビューの総括

Bowers & Wilkins 「Px8 S2」とは?

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出典:Bowers & Wilkins公式

ブランドの背景と位置づけ

Bowers & Wilkins(通称B&W)は1966年創業のイギリス発オーディオブランド。

数百万~数千万円クラスのハイエンドスピーカーで培った技術を背景に、世界中のレコーディングスタジオでも採用されています。

そのノウハウを応用したワイヤレスヘッドホンの最上位がPxシリーズです。

  • Px8 S2 … フラッグシップ(最上位モデル)
  • Px8 … 前世代のハイエンド
  • Px7 S3 … 中上位モデル(同世代デザインを共有)

B&Wが掲げる音作りの理念は「True Sound(原音忠実再生)」。

単に迫力を強調するのではなく、音場の広がりや楽器の質感を繊細に再現することを目指しています。

価格・発売日・競合との比較

  • 発売日:2025年9月25日
  • 公式価格:116,820円(税込)

同価格帯のライバルとしては、Focal Bathys、Sennheiser MOMENTUMシリーズ上位機などが挙げられます。

その中でも「Px8 S2」は、高級素材+B&Wらしい音質を強みに独自のポジションを築いています。

項目Px8 S2Px8(前作)Px7 S3
ドライバー40mm カーボンコーン(最適化)40mm カーボンコーン40mm バイオセルロース
BluetoothコーデックaptX Adaptive(最大96kHz/24bit)、aptX Lossless対応aptX Adaptive(最大48kHz/24bit)aptX Adaptive
USBオーディオ最大96kHz/24bit対応最大48kHz/24bit同等
ANCマイク数8基(左右各4)6基同世代構成
バッテリー最大30時間、急速充電15分=7時間再生最大30時間最大30時間
重量約310〜320g約315g約299g
素材ナッパレザー+アルミニウムナッパレザー+アルミ合成レザー+ファブリック

前作からの進化ポイント

「Px8 S2」は単なるマイナーチェンジではなく、細部まで刷新された改良版です。

デザイン面

  • ハウジングを約20%薄型化 → 装着時のシルエットがよりスマートに
  • 露出ケーブルのアルミアーム → 高級感と可動域を両立
  • ヘッドバンドのクッション強化 → 長時間使用でも快適
  • 素材は高級ナッパレザーを全面採用

音質・回路

  • ドライバーのシャーシと回路を見直し、微小歪をさらに低減
  • aptX Adaptive 96kHz/24bit対応 → 前作の48kHzから倍増
  • aptX Lossless対応 → CD相当のロスレス再生が可能
  • USB-DAC機能も96kHz/24bitに進化

機能・操作性

  • ANCマイク8基でノイズキャンセリング性能を強化
  • 外音取り込みが自然になり、会話やレジでの使用が快適に
  • ボタン配置をリファインし、操作性が向上
  • アプリに**EQプリセット保存機能(最大10個)**が追加

Bowers & Wilkins 「Px8 S2」の概要まとめ

  • B&Wのワイヤレスヘッドホンの頂点に位置するフラッグシップ
  • デザイン・素材・快適性すべてが高級仕様
  • 音質面ではaptX LosslessやUSB-DAC 96/24対応で有線級の体験が可能
  • ANCや外音取り込み、マルチポイント接続も進化し、日常使いでも実用性が向上

 

Bowers & Wilkins 「Px8 S2」のデザインと装着感

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出典:Bowers & Wilkins公式

見た目の品格と“着け心地の理屈”が噛み合うのが「Px8 S2」。

薄型ハウジング×アルミアーム×ナッパレザーという三本柱で、所有満足と実用性を同時に引き上げています。

高級感ある素材と仕上げ

まずは全体像を一覧で。

観点仕様・特徴ねらい
素材ナッパレザー/アルミニウム/メモリーフォーム触感と耐久、面圧分散を両立
造形薄型ハウジング、角を落としたフォルム横顔の“出っ張り感”を抑制
アーム露出ケーブルのアルミアーム(多軸追従)頬〜耳下の隙間を作りにくく密閉安定
仕上げロゴプレートのヘアライン、エッジの精緻な切削近距離でも映える質感
カラーOnyx Black / Warm Stone服装を選ばない落ち着き
携行フラット回転(折りたたみロックなし)+専用ケース収納性と取り出しやすさ
付属USB-C↔C、USB-C↔3.5mmケーブル充電/有線再生の双方に即応
  • レザーは“見た目要員”に留まらず、肌あたりと圧分散に実益。
  • 金属パーツの加工精度が高く、近くで見ても安っぽさが出ない

ハウジングやアームの改良点

外観の刷新は、単なる意匠変更ではなく密閉性と装着安定の底上げに直結しています。

薄型ハウジング

  • 立体感を抑えた分、首掛け時も収まりが良い
  • 内部のレイアウト最適化で、薄さと音響の両立を図る。

露出ケーブルのアルミアーム

  • 多軸で追従し、耳下の“浮き”を出しにくい低音の逃げ/ANC効率低下を抑制
  • 意匠面でもアイコニックで所有感を高める。

操作系のレイアウト最適化

  • 左:電源(スライド)+環境コントロール(ANC/外音/オフ)
  • 右:再生・音量の物理キー → 手探りでも誤操作が少ない

小さな形状差の積み上げで、“装着=音の土台”が安定。

結果として音質とノイキャンの体感が揃いやすくなります。

快適性と長時間使用

快適性を支える仕掛け

  • ヘッドバンドのクッション増:接触面を広げて頭頂の圧を分散。安定感重視の設計。
  • メモリーフォーム・イヤーパッド:形状追従で側頭部に均一密着。メガネ併用でも圧点が出にくい。
  • 重量バランス(約310–320g):数値は軽量級ではないが、薄型筐体+面圧分散で体感負担を抑制。
  • 密閉の安定=音質の安定:隙間が出にくい設計により、低域の量感・解像/ANC効率がブレにくい。

使用シーン別・良さが出るポイント

  • 通勤・移動:薄型で見た目すっきり、外して首掛けしても邪魔になりにくい
  • デスクワーク:長時間でも頭頂・こめかみの違和感が出にくい
  • 会議・接客:外観の上質さがTPOを選ばない

向いている人/留意点

  • 向いている人
    • 見た目と触感まで高級志向で揃えたい
    • 装着の安定と密閉を優先し、音質・ANCの土台を固めたい
  • 留意点
    • クランプは中〜やや強めの印象(個人差あり)
    • 超軽量級のフワッと感を最優先する人は試着推奨
    • レザーは汗・湿気に弱め → 使用後は乾拭き&ケース保管が安心

「Px8 S2」は、薄いのに“鳴る”形を突き詰めたデザイン。

素材・造形・機構が連動し、見た目の格と、長時間の快適・安定した密閉を同時に成立させています。

デザインが“良い音の前提条件”を支える—そんな完成度です。

 

Bowers & Wilkins 「Px8 S2」の音質と主な機能

Px8 S2イメージ画像
出典:Bowers & Wilkins公式

「Px8 S2」は「原音忠実(True Sound)」を軸に、現行トレンドの解像度・スピード・コントラストを丁寧にプラス。

筐体の薄型化で密閉が安定し、最適化された40mmカーボンコーンと回路設計が情報量の多い再生を支えます。

全体のチューニングと音場

  • トーン傾向:ニュートラル寄り。過度に派手にせず、輪郭はシャープ。
  • 解像度:微細な余韻やテクスチャーが拾える“繊密系”。
  • 音場:左右だけでなく前方にも自然に展開。定位の見通しが良い。
  • ダイナミクス:立ち上がりが速く、アタック〜減衰の描写が明瞭。
  • 聴き疲れ:刺激は抑えつつ情報量は多め。BGM〜没入まで幅広く使える。

帯域ごとの特徴とジャンル相性

「Px8 S2」は“過度に盛らないフラット基調”に、現代的なキレを少量加えたチューニング。

以下は帯域を細かく分けたときの傾向聴きどころです。

帯域別の聴こえ方

帯域(目安)主な役割Px8 S2の傾向聴きどころ/コツ
サブベース(20–60Hz)最低域の空気感・量感過多にしないが深さは出る。密閉が決まると床揺れ感が伸びるイヤーパッド位置で密閉を最優先。シンセ/オルガンの最下層の伸びを確認
ミッドベース(60–200Hz)キック/ベースの厚み輪郭がタイトで滲みにくい。過度な膨らみを抑制ロック/EDMでキックの立ち上がりと減衰の速さをチェック
下位中域(200–600Hz)ボディ感、楽器の胴鳴り量感は必要最小限。混濁が少なくクリアアコギ/ピアノの胴鳴りが膨らみすぎないかを聴く
中域(基音帯)(600Hz–1.5kHz)ボーカル・多くの楽器の芯見通しが良く定位が安定。声質の個性が出やすい複数ボーカルや厚い編成での分離を確認
プレゼンス(1.5–4kHz)子音・アタック・明瞭度適度に前へ。過度に刺さらず明瞭子音やピックのアタックが強すぎないか
ブリリアンス/空気感(6–12kHz+)伸び・きらめき・空間の空気スムーズに伸びる。粗さが出にくいシンバルの減衰がザラつかず“スッ”と消えるか

低域=締まり、 中域=見通し、 高域=伸び

どの帯域も“押し付けない品の良さ”があるため、長時間でも聴き疲れしにくい設計です。

ジャンル相性

  • ジャズ / アコースティック / 室内楽
    • 金管や弦の艶、ピアノの打鍵から残響までの階調表現が得意。
    • ベースは量より輪郭と深さで表現され、ウォーキングラインも追いやすい。
    • 小編成での**楽器間の空白(間)**が潰れにくい。
  • クラシック(オーケストラ)
    • ステージの前方展開とセクション分離が明快。
    • 強奏でも中域が濁りづらく、金管のブリリアンスが気持ちよく伸びる。
    • 大太鼓や低弦は“量より深度”で、全帯域のバランスを崩さない。
  • ポップ / ロック○〜◎
    • ボーカルは一歩前に出るが、伴奏と喧嘩しにくい。
    • ドラムのアタックが俊敏で、ギターの分離も良好。
    • 厚めのアレンジでも中低域が膨らみにくいので歌が埋もれにくい
  • EDM / ヒップホップ / トラップ
    • キックはタイトなアタック、サブは深く沈むタイプ。
    • “暴れる低域”を期待する人には穏当だが、輪郭重視・スピード志向なら好相性。
    • 長時間でも低域の過多で疲れにくいのが利点。
  • メタル / コア系
    • 速いキックの粒立ちとギター壁の層の見通しが良い。
    • ただし“ドンシャリ強調”で派手に聴かせたい人はEQで低域+1〜2dB/超高域+1dBが有効。

ノイズ制御・外音取り込み・通話

アクティブノイズキャンセリング(ANC)

  • 8マイク構成で低域ノイズに強い遮音。
  • “極端な遮断感”よりも静けさと音質のバランスを優先。
  • 純度最優先ならANCオフが最もピュア。

外音取り込み

  • 自然で聞き取りやすい量感。店頭や会話でヘッドホンを外す頻度が減る。
  • 自声にはわずかなマイク感が残るが実用上は十分。

通話/マイク

  • ビームフォーミング+最新処理で声の抜けが良好。
  • 騒がしい場所でもビデオ会議や通話に使いやすい。

接続性・コーデック・アプリなど

項目内容
BluetoothコーデックaptX Adaptive(最大96kHz/24bit), aptX Lossless 対応/AAC・SBCも搭載(※LDACは非対応)
USBオーディオUSB-C直結で最大96kHz/24bit再生(付属C↔C / C↔3.5mmケーブル)
マルチポイント2台同時接続に対応。再接続挙動が洗練されスムーズ
バッテリー最大約30時間15分充電→約7時間の急速充電
アプリ(B&W Music)5バンドEQプリセット保存(最大10)、環境コントロール、装着センサー/自動スタンバイ設定 ほか
そのほか空間オーディオ機能はアップデート対応予定の案内あり
  • ワイヤレス高音質:対応端末ならaptX Losslessを優先。
  • さらに詰める:USB有線で分解能・定位・微小表現が一段向上。
  • 作業中:ANCオフで最もピュア/移動中はANCオンで静けさを確保。
  • EQ:基本はフラットで良好。長時間BGM用途では低域−1〜2dB高域−1dBの微調整が有効。

精密さ×上質さが同居するサウンドに、Lossless/USB-DAC・8マイクANC・使いやすい操作系が合流。

前作の美点を保ちつつ、現代的な切れ味と実用機能を要所で強化した“聴かせるフラッグシップ”です。

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Bowers & Wilkins 「Px8 S2」を使用した私の体験談・レビュー

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シーン別の使い心地

シーン推奨設定体感メモひと工夫
通勤(電車)ANCオン+aptX系低域ノイズが薄れ、音量を上げずに聴けるイヤーカップ位置を微調整すると低音の芯が安定
デスクワークANCオフ+USB有線音場の奥行きと微小音が最も自然ヘッドバンドを少し前後させて頭頂の圧を分散
カフェ作業ANCオン+マルチポイントBGMの干渉が減り集中しやすい。通話の声も明瞭PC通知が多い時は集中モードで割込みを抑制
出張(機内)ANCオン+USB有線低域の揺れが和らぎ、映画のセリフが聴き取りやすい付属C↔3.5mmケーブルが座席機器で便利

聴こえ方

  • 低域:量よりも締まり。密閉が決まると“沈み込み+輪郭”が両立。
  • 中域:ボーカルと主要楽器が前後に暴れず、混んだ編成でも見通し良好。
  • 高域:金物の尾を引く感じが滑らかで、刺激が出にくい。
  • 音場:左右に広いだけでなく前方にふわりと開く。USB有線時が最も精密。

よかった点 / 気になった点

よかった点

  • 薄型筐体とレザー/アルミの質感が所有満足に直結
  • aptX Lossless / USB-DACで“無線の壁”を感じにくい解像
  • 8マイクANCと自然な外音取り込みで切替がスムーズ
  • 物理ボタン中心でブラインド操作が快適
  • マルチポイントの挙動が素直で、PC+スマホ併用が実用的

気になった点(人によりけり)

  • クランプは安定寄り(長時間はバンド位置の小移動で緩和)
  • LDACは非対応 → AndroidでもLossless対応機 or USB有線が活きる
  • 折り畳みヒンジは非搭載(フラット回転収納で十分だが極小バッグ派は要確認)

ジャンル別に感じた強み

  • ジャズ/室内楽:楽器の距離感とホールの残響の層がきれい
  • ポップ/ロック:歌が埋もれにくく、ドラムのアタックが俊敏
  • EDM/ヒップホップ:タイトなキックに深いサブが添う。量感は誇張せず長時間でも疲れにくい

小ワザ(すぐ効く3点)

  1. 耳下の隙間ゼロを目標に、アームを1クリック短く→カップ位置を1–2mm調整
  2. 移動=ANCオン/鑑賞=ANCオフ(最もピュア)
  3. EQは±1〜2dBの小幅調整(長時間BGMは高中域−1dB、EDMは低域+1〜2dBが無難)

こういう人に向く

  • 見た目・触感・実用の三拍子を求める
  • 低音の“量”より締まりとレンジを重視する
  • 無線の手軽さとUSB有線での追い込みを両立したい
  • 在宅と外出を行き来し、ANC/外音/通話を日常的に使う

体験談のまとめ

結論、「整っていて毎日使いたくなる」一台でした。

通勤はANCで静けさを確保し、音量を上げずに細部まで届く。

デスクではANCを切ってUSB-C直結にすると、前方に開く音場と残響の階調が一段深まり、同じ曲でも“観察する楽しさ”が増します。

無線はaptX Losslessで十分な情報量でした。

音はフラット基調で、低域は締まり、中域は見通し、高域は滑らかに伸びる。

ジャズや室内楽では奥行き、ポップ/ロックは自然なボーカル、EDMはタイトなキックに深いサブが気持ちいい——誇張に頼らず長時間でも疲れにくい鳴り方です。

使い勝手は物理ボタンのブラインド操作と素直なマルチポイントが快適。

装着は安定寄りのクランプだが、ナッパレザーとメモリーフォームで負担は小さめ。

薄型シルエットは首掛けも様になる。

日常の手軽さと“ご褒美の音”を一台で往復できる——価格に見合う価値は十分だと感じました。

 

Bowers & Wilkins 「Px8 S2」に関するQ&A

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Bowers & Wilkins 「Px8 S2」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。

前作「Px8」との一番の違いは?

薄型化した筐体と露出ケーブルのアルミアーム96kHz/24bitのaptX Adaptive対応aptX Lossless対応USB-DAC 96/24化ANCマイク6→8基EQプリセット保存マルチポイント挙動の改善など総合的にアップデート。

LDACには対応していますか?

非対応です。高音質はaptX Adaptive/aptX LosslessとUSB有線を軸にしています。

iPhoneでも恩恵はありますか?

あります。ワイヤレスはAACで高品位、さらにUSB-C直結の有線(96/24)を使えば一段上の情報量で聴けます。

重さや装着感は?

実測で約310–320g。クランプは安定寄りで、ナッパレザー+メモリーフォームが面圧分散に寄与。長時間はバンド位置の微調整が効きます。

どんな接続方法がありますか?

用途ケーブル/方式何が良いか
ワイヤレス日常Bluetooth(aptX Adaptive/aptX Lossless/AAC)手軽で高音質、Lossless対応端末ならCD相当
高音質鑑賞/制作下見USB-C↔USB-C(デジタル)96kHz/24bitで最も情報量が多い
アナログ機器や機内IFEUSB-C↔3.5mm(付属)3.5mm出力と接続可(航空機二股は別途アダプタ)

マルチポイントの使い勝手は?

2台同時接続に対応。S2では再接続の挙動が素直で、PCとスマホの往来がスムーズです(通知の割込みが気になる場合は端末側の集中モード活用が有効)。

ゲーム用途の低遅延は?

専用の低遅延モードはありません。シビアな遅延が気になる用途はUSB有線が堅実です。

アプリでできることは?

5バンドEQプリセット保存(最大10)、環境コントロール(ANC/外音/オフ)、装着センサー/自動スタンバイ設定、デバイス管理など。空間オーディオは今後の対応予定の案内あり。

音の傾向は?

フラット基調に現代的なキレを少量加えた音。低域はタイトで深く、中域は見通し良く、高域は滑らかに伸びます。前方にふわっと広がる音場が特徴。

ANCはどのくらい効きますか?

8マイク構成で低域ノイズに強く、電車・機内で効果的。過度な圧迫感ではなく、静けさと音質のバランス重視のタイプです。

外音取り込み(トランスペアレンシー)は自然?

自然寄りで会話もスムーズ。自声にはわずかなマイク感が残りますが、実用十分です。

バッテリーはどれくらい?急速充電は?

最大約30時間再生、15分の充電で約7時間使えます。

眼鏡との相性は?

メモリーフォームがフレームを受け止めやすく、圧点が出にくい傾向。フレームが太い場合はパッド当たり角を微調整。

防水・防滴は?

耐水規格の明記はありません。汗や雨は避け、使用後は乾拭き&ケース保管がおすすめ。

どんなジャンルに合いますか?

ジャズ/クラシック/アコースティックは◎ポップ/ロックも歌が埋もれにくく好相性。EDM/ヒップホップは量感誇張よりタイト&深さで聴かせるタイプ。

「Px7 S3」と迷っています。違いは?

「Px7 S3」は軽快で元気な傾向、素材は合成レザー主体。「Px8 S2」はナッパレザー×アルミの質感と、より精密・レンジ広めの音が強み。長く所有する満足感重視なら「Px8 S2」が本命。

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Bowers & Wilkins 「Px8 S2」レビューのまとめ

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「Px8 S2」は、薄型ハウジング×ナッパレザー×アルミアームの上質設計に、aptX Lossless/USB-DAC(96/24)/8マイクANCを組み合わせた完成度重視のフラッグシップ。

音はフラット基調にわずかなキレを添え、低域=締まり/中域=見通し/高域=滑らかな伸びを実現します。

一言でいうと

  • 音質:情報量が多く、前方に自然に開く音場。ジャンルを選ばず“整っているのに退屈しない”。
  • 使い勝手:自然寄りのANC・外音取り込み、物理ボタンで誤操作少。マルチポイント挙動も良好。
  • 所有満足:素材・仕上げ・シルエットがハイエンド相当。

強み/注意点/ひと工夫

観点強み注意点ひと工夫
True Sound基調、Lossless/USBで有線級に迫る重低音“量感至上”ではないEQで低域+1〜2dB
音場前方展開&定位の安定密閉が甘いと奥行きが痩せる耳下の隙間ゼロを意識
機能8マイクANC/自然な外音/改良マルチポイント低遅延モードなしゲームはUSB有線
接続aptX Lossless/Adaptive/AACLDAC非対応AndroidはLossless端末 or USB
造形薄型・ナッパ・アルミの高級感クランプ安定寄り/折り畳みヒンジなしバンド位置の小移動/フラット収納
電源30時間+15分充電で約7時間長時間連投は充電計画週末15分チャージ運用

どんな人に刺さる?

  • 見た目・触感・音の三拍子を重視する
  • 低音の“量”より締まり・レンジ・音場を評価する
  • 外はワイヤレス、家/職場はUSB有線で詰めたい
  • ANC/外音/通話を日常的に切り替える

別モデルが合いそうなケース

  • 超軽量・ふんわり装着最優先 → 軽量機を検討
  • 派手なドンシャリが好み → EQで補正、合わなければドンシャリ志向機へ

使い始めのチェックリスト

  1. フィット追い込み:アーム長&カップ位置を1–2mm単位で調整(耳下の隙間ゼロ)
  2. モード使い分け:移動=ANCオン/鑑賞=ANCオフ
  3. 高音質経路:対応端末はaptX Lossless、さらに詰める日はUSB-C(96/24)
  4. EQは小幅:±1〜2dBで味付け(長時間BGMは高中域−1dBが無難)
  5. 電源計画:週末15分の急速充電で翌週をカバー

Bowers & Wilkins 「Px8 S2」レビューの総括

この記事の結論は明快です。

Bowers & Wilkins 「Px8 S2」は、設計と仕立ての丁寧さを音と体験のすみずみにまで行き渡らせた、「完成度で選ぶ」フラッグシップだと評価します。

薄型ハウジングと上質素材がもたらす所有感、aptX LosslessやUSB-DACによる有線級の見通し、8マイクANCと物理ボタン中心の扱いやすさ——いずれも過剰に主張せず、日常の使用シーンで静かに効いてきます。

サウンドはフラット基調にわずかなキレを添え、低域の締まり・中域の見通し・高域の滑らかな伸びを高い次元で両立します。

派手な演出に頼らず、曲の骨格と空間をきちんと立ち上げるため、長時間でも満足度が落ちにくい点も印象的です。

もちろん、超軽量や“量で押す低音”を最優先される方にとっては最適解ではないかもしれません。

しかし、見た目・触感・音質・機能の総合点で日常を底上げしたい方には、「Px8 S2」は価格に見合うだけの説得力を備えています。

無線の手軽さで幅広く使え、USB有線で“ご褒美の一歩先”へ踏み込める可変性も心強い要素です。

総じて、所有の歓びと聴く合理性を同じ天秤にかけて成立させた稀有な一台だといえます。

耳と暮らしの基準を少しだけ引き上げたい——その気持ちに、「Px8 S2」は静かに、そして確実に応えてくれます。

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