「1万円以下のワイヤレスヘッドホンで、本当に満足できる音質は手に入るのか?」
これは多くのガジェット好き、そしてオーディオファンが抱く共通の疑問であり、ある種の「永遠のテーマ」でもあります。
近年、AnkerのSoundcoreシリーズやEdifierなど、中華系オーディオメーカーがこの価格帯に高品質な製品を投入し、市場はまさに群雄割拠の「戦国時代」を迎えています。
そんな激戦区に、コストパフォーマンスの帝王として名高いEarFunが、満を持して新たな刺客を送り込みました。
それが、「EarFun Tune Pro」です。
前作「Wave Pro」が「1万円以下でLDAC対応・全部入り」として高い評価を得た中で登場したこの兄弟機は、単なるマイナーチェンジや廉価版ではありません。
「40mm+10mmのデュアルドライバー」という、このクラスでは異例中の異例とも言える構成を採用し、さらには「最大120時間再生」という、他社を周回遅れにするほどのモンスター級のスタミナを誇ります。
VGP 2025でも金賞を受賞し、発売直後からガジェット界隈を賑わせている本機。
しかし、カタログスペックが優れているからといって、実際の使用感が良いとは限りません。
「LDAC非対応」という仕様は音質にどう影響するのか? 前作「Wave Pro」との住み分けはどうなっているのか?
そして何より、肝心の音質は本当に「Pro」の名に恥じないものなのか?
この記事では、数々のオーディオ製品をレビューし、自らも沼にどっぷりと浸かっている筆者が、EarFun Tune Proを実際に2週間使い倒し、その実力を徹底的に解剖します。
メリットだけでなく、気になったデメリットも包み隠さずお伝えしますので、購入を迷っている方はぜひ最後までお付き合いください。
- EarFun 「Tune Pro」のスペックと特徴:デュアルドライバーの実力
- EarFun 「Tune Pro」の音質・ノイズキャンセリング性能の徹底検証
- EarFun 「Tune Pro」の機能性と使い勝手:アプリ連携と操作感
- EarFun 「Tune Pro」を使用した私の体験談・レビュー
- EarFun 「Tune Pro」に関するQ&A
- バッテリー持ちは本当に最大120時間ですか?
- LDAC(ハイレゾワイヤレス)には対応していますか?
- ノイズキャンセリング(ANC)はどれくらい効果がありますか?
- 有線接続時もノイズキャンセリングは使えますか?
- アプリを使わなくても使用できますか?
- マルチポイント接続はどうやって切り替えますか?
- 装着感はきついですか?メガネをしていても痛くないですか?
- ゲームモードの効果は実感できますか?
- 防水・防滴性能はありますか?
- ライバル機のAnker「Soundcore Q20i」や「Q30」と比べてどうですか?
- 「シアターモード(ビデオモード)」は音楽鑑賞にも使えますか?
- マイクを使わず「聴く専用」としてPCに接続できますか?
- EarFun 「Tune Pro」レビューのまとめ
EarFun 「Tune Pro」のスペックと特徴:デュアルドライバーの実力

まずは、EarFun Tune Proがなぜこれほど注目されているのか、そのスペックと核心となる特徴を整理しましょう。
表面的な数字だけでなく、その裏にある技術的な意図を読み解いていきます。
構成:40mm+10mmデュアルドライバーがもたらす音響効果
本機の最大の特徴にして最大の武器、それが「デュアルドライバーシステム」です。
これを1万円以下の価格帯で実装してきたこと自体が、業界にとっては一つの事件と言えます。
一般的なワイヤレスヘッドホン、特にこの価格帯の製品は、左右それぞれに1つずつの「フルレンジダイナミックドライバー(通常40mm程度)」を搭載し、低音から高音までの全ての帯域を1つのスピーカーで鳴らします。
しかし、1つの振動板ですべての音を鳴らそうとすると、物理的な限界が生じます。
「迫力ある低音を出そうと振動板を大きく重くすると、高音の繊細な動きに追従できず音が曇る」「高音を綺麗に出そうと軽くすると、低音の厚みが失われる」というトレードオフが必ず発生するのです。
Tune Proは、この問題を解決するために、役割の異なる2つのドライバーを搭載しました。
- 40mm PET(ポリエチレンテレフタレート)ドライバー
- 役割: 中低音域(Bass / Mid)を担当
- 解説: PET素材は適度な柔軟性と耐久性を持ち、空気を大きく振動させるのに適しています。これにより、ベースラインのうねりやバスドラムのキック感など、身体に響くような深みのある低音と、温かみのあるボーカルラインを再生します。
- 10mm LCP(液晶ポリマー)ドライバー
- 役割: 高音域(Treble)を担当
- 解説: LCPは非常に剛性が高く、かつ軽量な素材です。高音域の微細な信号に対しても瞬時に反応し、歪みのないクリアな音を再生します。金属的な響きや、ボーカルのブレス(息遣い)、空間の広がり表現に寄与します。
これは、高級スピーカーオーディオでいうところの「ウーファー(低音用)」と「ツイーター(高音用)」をヘッドホンのハウジング内に詰め込んだようなものです。
それぞれの帯域を得意なドライバーに任せる(クロスオーバーさせる)ことで、「沈み込むような重厚な低音」と「突き抜けるような繊細な高音」の両立を可能にしました。
この構成こそが、Tune Proの音質の根幹を支えています。
スタミナ:驚異の最大120時間再生と急速充電
次に、ユーザーの利便性を劇的に変えるのが、その圧倒的なバッテリー性能です。
| 機能 | 再生時間 | 備考 |
| ANC OFF | 最大 120時間 | 業界トップクラスのスタミナ。他社ハイエンドでも60時間程度が一般的。 |
| ANC ON | 最大 80時間 | ノイキャン常時ONでも、前作Wave ProのANC OFF時と同等。 |
「120時間」という数字の凄さを、具体的な生活シーンに当てはめてみましょう。
例えば、「毎日、通勤・通学で往復2時間音楽を聴く」というヘビーユーザーの場合を想定します。
- 120時間 ÷ 2時間/日 = 60日
なんと、計算上は約2ヶ月間、一度も充電せずに使い続けられることになります。
週末に映画を数本見たり、長時間のWeb会議に使ったりして使用頻度が上がったとしても、月に1回の充電で十分お釣りが来るレベルです。
これはもはや「充電の習慣」そのものを忘れさせる革命的なスペックです。
2泊3日の旅行や出張程度であれば、充電ケーブルを持っていく必要すらありません。
荷物を少しでも減らしたいミニマリストにとっても大きな魅力です。
万が一、「使おうと思ったらバッテリー切れだった」という緊急事態が発生しても焦る必要はありません。
急速充電に対応しており、わずか10分間の充電で最大15時間の再生が可能です。
朝、顔を洗って着替えている間に充電ケーブルを挿しておけば、それだけで向こう1週間分のバッテリーが確保できる計算になります。
外観:デザインの質感と付属品(ケース有無について)
所有欲を満たすためには、音質だけでなく外観の質感も重要です。
Tune Proのデザインは「マットブラック」を基調とし、ハウジング部分にはガンメタリックのアクセントが施されています。
全体的に落ち着いたトーンでまとめられており、ロゴの主張も控えめ。
プラスチック感丸出しのチープさはなく、スーツスタイルのビジネスマンが装着していても違和感のない、シックでモダンな仕上がりです。
特筆すべきは、ハウジングの外装にアルミ素材が採用されている点です。
指で触れるとひんやりとした金属特有の質感があり、見た目の高級感を高めると同時に、ハウジングの剛性を高めて不要な共振を抑える効果も期待できます。
付属品とキャリングケースについて
ここで一つ、購入前に知っておくべき重要な注意点があります。
前作「Wave Pro」には、しっかりとしたファブリック地のハードケースが付属していましたが、Tune Proにはキャリングケースが付属しません。
- 同梱物一覧
- ヘッドホン本体
- USB-C to USB-A 充電ケーブル
- 3.5mm オーディオケーブル(オス-オス)
- ユーザーマニュアル
コストダウンの影響かと思われますが、持ち運び頻度が高く、カバンの中で他の荷物とぶつかって傷つくのを防ぎたい方は、別途汎用のヘッドホンケースを用意するか、柔らかい巾着袋などを用意する必要があるでしょう。
ただし、本体の可動域は広く、イヤーカップを90度回転させてフラットにする「スイーベル機構」と、内側に折りたたむ「フォールディング機構」の両方を備えています。
非常にコンパクトにまとまるため、そのままバックパックの隙間に放り込むようなラフな使い方も可能です。
EarFun 「Tune Pro」の音質・ノイズキャンセリング性能の徹底検証

ここからは、オーディオレビューにおいて最も核心となる部分、「音」と「静寂」について、忖度なしで深掘りしていきます。
音質レビュー:迫力の低音と伸びる高音のバランス
実際にiPhone(AAC接続)およびAndroid DAP(SBC/AAC接続)を使用し、ロック、ポップス、クラシック、EDMなど様々なジャンルの楽曲を聴き込んでみました。
第一印象は、「非常にエネルギッシュで、音の輪郭がくっきりとしたメリハリのあるサウンド」です。
いわゆる「ドンシャリ(低音と高音が強調された音)」傾向ではありますが、安っぽいドンシャリではなく、各帯域の質が高い「リッチなドンシャリ」と言えます。
- 低音域:
40mmドライバーの恩恵を最も強く感じる帯域です。
EDMやヒップホップにおけるバスドラムのキック音や、ベースラインの唸りが、単なる「音」としてだけでなく「空気の振動」として耳周りに伝わってくるような迫力があります。
ボワボワと膨らむ締まりのない低音ではなく、タイトでグルーヴ感のある、聴いていて非常に気持ちの良い低音です。 - 中音域:
ドンシャリ傾向のヘッドホンで犠牲になりがちなのが中音域(ボーカル)ですが、Tune Proはここも健闘しています。
ボーカルは埋もれることなく、クリアに前に出てきます。
特に男性ボーカルの厚みと、女性ボーカルの艶やかさがしっかりと表現されています。
楽器隊が多いロックバンドの曲でも、ギターやドラムにボーカルがかき消されることはありません。 - 高音域:
ここが10mm LCPドライバーの独壇場です。
ハイハットの刻み、シンバルの余韻、アコースティックギターの弦を弾く鋭い音が、煌びやかに伸びます。
高解像度で「キラキラ」とした成分を感じられ、音場に爽快感を与えています。
音量を上げすぎると若干刺さりを感じる瞬間もありますが、イコライザーで微調整可能な範囲です。 - 音場:
密閉型ヘッドホンとしては標準的ですが、デュアルドライバーのおかげか、音の定位感(どこでどの楽器が鳴っているか)は非常に優秀です。
音が団子にならず、左右の分離もしっかりと感じられます。
総評として、「楽しく音楽を聴かせる」ことに特化したチューニングです。
原音忠実なモニターヘッドホンのような平坦な音ではなく、リスニング用途として最適化された、躍動感のある音作りと言えます。
ANC性能:-45dBの静寂性と外音取り込みの自然さ
EarFun製品の代名詞とも言える強力なANC(アクティブノイズキャンセリング)技術「QuietSmart 2.0」。
本機も最大-45dBのノイズ低減効果を謳っています。
この数値は、2〜3万円台のミドルクラスヘッドホンに匹敵します。
- 低周波ノイズ(電車の走行音、飛行機のエンジン音):
効果は絶大です。 スイッチを入れた瞬間、世界から「ゴォー」という轟音がフッと消え去り、静寂が訪れます。
音楽を再生してしまえば、周囲の騒音はほぼ意識の外に追いやられます。
通勤電車の中が、まるで静かな書斎に変わる感覚です。 - 中高周波ノイズ(人の話し声、カフェの食器音、空調の音):
効果は中程度です。 物理的な遮音性(パッシブノイズキャンセリング)と合わせて軽減されますが、近くで話している人の声はうっすらと聞こえます。
とはいえ、音楽を流せば気にならないレベルまで低減されます。
特筆すべきは「風切り音低減モード」の優秀さです。
屋外で使用した際、ヘッドホン特有のマイクが風を拾ってしまう「ボボボボ」という不快な音が、驚くほどカットされます。
風の強い日の散歩でも、ストレスなく音楽を楽しめるのは大きなメリットです。
また、外音取り込み(アンビエント)モードも非常に実用的です。
マイクで拾った音が機械的になりすぎず、ホワイトノイズも抑えられており、比較的自然に周囲の音が聞こえます。
コンビニのレジでの会話や、電車のアナウンスを聞く際も、ヘッドホンを外す必要はありません。
比較検証:Wave Pro(LDAC対応)とTune Proの違い
多くの読者が最も迷うポイントである、兄貴分「Wave Pro」との比較を詳細に行います。
| 項目 | Tune Pro (本機) | Wave Pro (前作) |
| ドライバー構成 | 40mm + 10mm (デュアル) | 40mm DLC複合 (シングル) |
| 対応コーデック | SBC, AAC | SBC, AAC, LDAC |
| バッテリー | 最大 120時間 | 最大 80時間 |
| Bluetooth | Ver 5.4 | Ver 5.3 / 5.0 |
| 音の傾向 | メリハリのある元気なドンシャリ | バランス重視の繊細なフラット寄り |
| 重量 | 約285g | 約268g |
| 付属品 | ケースなし | ハードケースあり |
| ターゲット | iPhoneユーザー / 迫力重視 | Androidユーザー / ハイレゾ重視 |
結論としての選び方:
- iPhoneユーザーの方:
iPhoneはそもそもLDACコーデックに対応していません(AAC接続になります)。
そのため、Wave Proを選んでもLDACの恩恵は受けられません。
iPhoneユーザーにとっては、デュアルドライバーによる物理的な音質向上と、最新のBluetooth 5.4による接続安定性を享受できるTune Pro一択と言っても過言ではありません。 - AndroidユーザーでLDAC必須の方:
Amazon Music Unlimitedなどのハイレゾストリーミングサービスを契約しており、「できるだけ高ビットレートで伝送したい」というこだわりがある方は、LDAC対応のWave Proが良いでしょう。
シングルドライバーながらDLC(ダイヤモンドライクカーボン)振動板を採用しており、解像度の高い繊細な音を鳴らします。 - ロック、EDM、映画を楽しみたい方:
コーデックの違い以上に、ドライバー構成の違いによる音質の差は大きいです。
音の厚み、迫力、臨場感を求めるなら、デュアルドライバー搭載のTune Proに軍配が上がります。
EarFun 「Tune Pro」の機能性と使い勝手:アプリ連携と操作感

スペック上の数値だけでなく、毎日の使い勝手を左右する「機能性」についても見ていきましょう。
EarFunはアプリの完成度が非常に高く、これがユーザー体験を大きく引き上げています。
専用アプリ「EarFun Audio」でできるカスタマイズ
EarFun Tune Proは、専用アプリ「EarFun Audio」にフル対応しています。
接続もスムーズで、UIも直感的です。主な機能は以下の通りです。
- 高度なイコライザー(EQ)設定
- 「ロック」「ポップ」「ジャズ」「低音ブースト」などのプリセットが豊富に用意されています。
- さらに、10バンドのカスタムEQを使って、自分好みの周波数特性を細かく調整し、保存することができます。
- 特筆すべきは、海外の著名なオーディオレビュアー「Oluv氏」が監修したプロチューニング・プリセットも選択可能な点です。これを適用すると、よりバランスの取れた玄人好みの音質に変化します。
- キーカスタマイズ
- 物理ボタンの割り当てを変更できます。例えば、「ANCボタンを長押しでゲームモード起動」「2回押しで音声アシスタント」といったショートカットを自分好みに作成できます。
- ゲームモード(低遅延モード)
- Bluetooth通信のレイテンシー(遅延)を55ms(0.055秒)以下に抑えます。これをONにすることで、FPSゲームの足音や銃声、音ゲーのタップ音、YouTubeでのリップシンク(口の動きと声のズレ)がほぼ気にならなくなります。
マルチポイント接続の切り替え速度と安定性
現代のワイヤレスヘッドホンにおける必須機能とも言える「マルチポイント」にも完全対応しています。
スマホとPC、タブレットとスマホなど、異なる2台のデバイスに同時にBluetooth接続を維持できます。
実際に「PCでYouTubeを見ている最中に、スマホに着信があった」というシチュエーションでテストしました。
- PCで動画再生中(音声はヘッドホンから聞こえる)。
- スマホに着信。
- PCの動画を一時停止し、ヘッドホンのボタンで電話に出る。
- 自動的にスマホの通話音声に切り替わる。
この切り替えにかかる時間は約1〜2秒。
非常にスムーズで、接続が迷子になったり、再接続の手間が発生したりすることはありませんでした。
最新のBluetooth 5.4チップの恩恵か、人混みの中での接続安定性も極めて高いです。
いちいち設定画面を開いてペアリングし直すストレスから解放されるのは、想像以上に快適です。
物理ボタン操作のメリットと有線接続の活用法
最近はハウジングをタッチする「タッチセンサー式」のヘッドホンも増えていますが、Tune Proはあえてオーソドックスな物理ボタンを採用しています。
これには明確なメリットがあります。
- 確実な操作感: 「カチッ」というクリック感があるため、操作できたかどうかが指先で確実に分かります。
- 誤操作防止: タッチ式でありがちな「ヘッドホンの位置を直そうとしたら曲が止まった」「髪の毛が触れて反応した」というイライラがありません。
- 手袋対応: 冬場、手袋をしたままでも問題なく操作できます。
ボタン配置も右側後方に集中しており、親指だけで音量アップ/ダウン、再生/停止が直感的に行えます。
慣れれば見なくても操作可能です。
また、付属の3.5mmケーブルを使えば有線ヘッドホンとしても使用可能です。
有線接続の利点は、バッテリー残量を気にせず使えることだけではありません。
Tune Proは有線接続時でも電源を入れればANC機能が使えます。
さらに、内蔵のアンプとDSP(デジタル信号処理)を通すことで、有線でもワイヤレス時と同じ迫力ある音質補正がかかります。
PCで高音質なハイレゾ音源を再生し、有線でロスなく伝送しつつ、Tune Proの強力なドライバーで鳴らす。
この使い方もまた乙なものです。
EarFun 「Tune Pro」を使用した私の体験談・レビュー

ここからは、スペック表の数字やカタログには現れない、私が実際に生活の中で2週間使い続けて感じた、肌感覚の「生の声」をお届けします。
【音楽鑑賞】ロック・EDMジャンルでの没入感が別格
普段のレビューでは、音のバランスを確認するためにジャズやクラシックも聴きますが、Tune Proの本領が発揮されるのはやはりロックやEDMだと感じました。
特に、お気に入りのロックバンドのライブ音源を聴いた時の体験は強烈でした。
デュアルドライバーの恩恵で、「ベースの重低音」と「シンバルの高音」が混ざらずに完全に分離して聞こえるため、サビで全楽器が一斉に鳴るような激しいパートでも、音が団子にならずクリアさを保ってくれます。
バスドラムの風圧を感じながら、ギターのカッティングが耳元で弾ける感覚。
ついつい音量を上げてしまい、気付けば頭を振ってノリノリになっている自分がいました。
ライブ会場の「熱気」を再現する能力に長けています。
【装着感】メガネユーザーが3時間連続使用した感想
私は普段、作業中にブルーライトカットメガネをかけています。
ヘッドホン選びで最も懸念するのが「側圧(締め付け)で耳の裏が痛くなる問題」です。
Tune Proを装着して、この記事の執筆作業をノンストップで3時間ほど行いましたが、結論から言うと耳が痛くなることはありませんでした。
イヤーパッドには適度な厚みの低反発ウレタンが採用されており、肌触りの良いプロテインレザーで覆われています。
これがメガネのツルを優しく包み込むようにフィットするため、圧力が一点に集中しません。
側圧自体は、前作「Wave Pro」に比べるとやや強めに感じましたが、これは遮音性を高めるための適度なホールド感と捉えられます。
頭を振ってもズレないので、掃除機をかけたり、軽い運動をしたりする際も安心でした。
ただし、密閉性が高いため、夏場の長時間使用では多少の蒸れを感じるかもしれません。
【通勤】満員電車でのノイキャン効果と音漏れチェック
朝のラッシュ時の満員電車で使用してみました。
ANCを「オン」にすると、ガタンゴトンという走行音や、レールの継ぎ目を通る音が「スンッ」と遠ざかります。
完全無音とはいきませんが、音楽を小音量でも流せば、周囲のサラリーマンの会話や雑音は完全にシャットアウトされ、自分だけのプライベート空間が完成します。
読書やスマホでの動画視聴への集中力が格段に上がりました。
また、気になる音漏れについても検証しました。
静かな部屋で妻に隣に座ってもらい確認したところ、「iPhoneの音量60%くらいまでは全く聞こえない。70%を超えるとシャカシャカ音が漏れ始める」とのこと。
通常の使用音量(50〜60%)であれば、満員電車や図書館でも周囲に迷惑をかける心配はなさそうです。
【エンタメ】シアターモードで映画を見た時の臨場感
アプリにある「ビデオモード(シアターモード)」をオンにして、iPadでNetflixのアクション映画(『トップガン』など)を鑑賞しました。
これ、控えめに言っても最高です。
通常モードよりも音の広がり(サウンドステージ)がグッと拡張され、左右の広がりだけでなく、奥行き感が出ます。
戦闘機のジェット音が左後ろから右前へ通り抜ける移動感や、爆発音の響きが増し、映画館にいるような臨場感を味わえました。
それでいて、セリフ(中音域)が効果音に埋もれず聞き取りやすいチューニングになっているのが素晴らしい。
スマホやタブレットで映画やアニメを見る習慣がある人には、ぜひ試してほしい機能です。
【テレワーク】Web会議でのマイク品質と通話テスト
仕事のZoom会議やGoogle Meetでもメイン機として使用しました。
Tune Proは5つのマイクとAIノイズキャンセリング技術を搭載しています。
会議相手の同僚に音声の聞こえ方を確認したところ、「声は非常にクリアで、まるで有線マイクを使っているようだ。こちらのキーボードを叩く音や、背後の生活音はほとんど聞こえない」という高評価でした。
マイクブーム(口元に伸びる棒)のないヘッドホンタイプとしては、通話品質はかなり上位の部類に入ると感じました。
バッテリー持ちも良いため、一日中会議が続く日でも充電切れの不安なく使い続けられるのは、ビジネスツールとしても優秀です。
体験談の総括:日常のエンタメレベルを底上げする一台
一週間、あらゆるシーンで使い続けて感じたのは、「とにかく使い勝手が良く、生活の質を上げてくれる」ということ。
充電の心配がいらず、接続は爆速、音は楽しく、ノイキャンも強力。
家でも外でも、とりあえずこれを首にかけておけば、音楽も動画も会議も全て高クオリティでこなしてくれます。
「音質にはこだわりたいけど、繊細な扱いや頻繁な充電は面倒だ」という、私のような少しズボラな性格の方には、最高のパートナーになると確信しました。
EarFun 「Tune Pro」に関するQ&A

EarFun「Tune Pro」に関して、よく聞かれそうな質問やその回答をまとめました。
バッテリー持ちは本当に最大120時間ですか?
はい、ノイズキャンセリング(ANC)がOFFの状態であれば最大120時間の再生が可能です。
ANCをONにした場合でも最大80時間持続します。ただし、再生する音量や通信環境(コーデックなど)によって多少前後します。一般的な使用(音量50〜60%程度)であれば、スペック値に近い時間を実感できるはずです。
LDAC(ハイレゾワイヤレス)には対応していますか?
いいえ、EarFun Tune ProはLDACに対応していません。
対応コーデックはSBCとAACのみです。iPhoneユーザー(AAC接続)には影響ありませんが、Androidユーザーでハイレゾ伝送を重視する場合は、兄弟機の「EarFun Wave Pro」がおすすめです。ただし、Tune Proは有線接続時にはハイレゾ再生に対応しています。
ノイズキャンセリング(ANC)はどれくらい効果がありますか?
価格帯としては非常に強力な「-45dB」の低減効果があります。
特に電車やバスのエンジン音、走行音などの低周波ノイズには絶大な効果を発揮します。人の話し声や高音域の突発的な音は完全に消えるわけではありませんが、音楽を流せば気にならないレベルまで軽減されます。
有線接続時もノイズキャンセリングは使えますか?
はい、電源をオンにすれば有線接続時でもANC機能を使用可能です。
バッテリーが切れた状態でも有線ヘッドホンとして音は出せますが、その場合はANCやマイク機能は使えず、音質補正(DSP)も効かないため、本来の音質とは異なります。可能な限り充電して電源オンで使用することをおすすめします。
アプリを使わなくても使用できますか?
基本的な使用は可能ですが、アプリの導入を強くおすすめします。
ペアリングや音楽再生はアプリなしでも可能ですが、ファームウェアのアップデート、イコライザー調整(音質変更)、ボタン配置のカスタマイズなどは専用アプリ「EarFun Audio」が必要です。
マルチポイント接続はどうやって切り替えますか?
自動で切り替わります。
2台のデバイス(例:iPhoneとPC)に接続している状態で、片方の再生を止め、もう片方で再生を始めると自動的に音声が切り替わります。着信時も自動でヘッドホンに音声が入ります。特別な操作は必要ありません。
装着感はきついですか?メガネをしていても痛くないですか?
側圧は標準〜やや強めですが、イヤーパッドが柔らかいため痛みは出にくいです。
遮音性を高めるために適度なホールド感がありますが、低反発ウレタンクッションが優秀なため、メガネのツルが圧迫されて痛くなる現象は起きにくい設計です。長時間の使用でも快適です。
ゲームモードの効果は実感できますか?
はい、FPSやリズムゲームをする際は必須です。
通常モードではコンマ数秒のズレを感じることがありますが、ゲームモード(低遅延モード)をONにすると遅延が55ms以下になり、ほぼ違和感なくプレイできます。動画視聴時のリップシンク(口の動きとのズレ)も改善されます。
防水・防滴性能はありますか?
公式に防水規格(IPX等級)の表記はありません。
小雨程度なら耐えられる可能性がありますが、基本的には水濡れ厳禁と考えてください。ジムでの激しい運動による汗や、豪雨の中での使用は避けたほうが無難です。
ライバル機のAnker「Soundcore Q20i」や「Q30」と比べてどうですか?
「音質の迫力」と「バッテリー持ち」を重視するならTune Proが上です。
AnkerのSoundcore Qシリーズも優秀ですが、Tune Proは「デュアルドライバー」による低音と高音の分離感、そして「最大120時間」という圧倒的なスタミナで頭一つ抜けています。一方で、専用ケースが欲しい場合や、Ankerブランドへの信頼感を最優先する場合はSoundcoreシリーズも選択肢に入ります。
「シアターモード(ビデオモード)」は音楽鑑賞にも使えますか?
あまりおすすめしません。
シアターモードはセリフを聞き取りやすくし、効果音の響きを拡張するチューニングになっているため、音楽で使用するとボーカルのエコーが強くなったり、全体のバランスが不自然になったりすることがあります。音楽は「音楽モード(通常)」、映画やアニメは「シアターモード」と使い分けるのがベストです。
マイクを使わず「聴く専用」としてPCに接続できますか?
はい、可能です。
PCのサウンド設定で、入力デバイス(マイク)をPC内蔵マイクや別のマイクに指定し、出力デバイス(スピーカー)としてTune Proを指定すれば、高音質なリスニング専用として使用できます。これにより、Bluetoothの帯域を音声出力に集中させることができ、音質低下を防げます。
EarFun 「Tune Pro」レビューのまとめ

最後に、これまでの詳細なレビューを総括し、このヘッドホンが本当に「買い」なのかどうか、最終的な判定を下します。
メリット:圧倒的なコスパとバッテリー持ち
- 唯一無二の音響構成: 1万円以下で「40mm+10mmデュアルドライバー」を搭載し、価格帯を超えた分離感と迫力を実現。
- 最強のスタミナ: 「最大120時間再生」は、充電器を過去の遺物にするレベルの利便性。
- ビルドクオリティ: アルミ素材を使用した高級感あるデザインと、快適な装着感。
- 実用的なANC: -45dBのノイズキャンセリングと、自然な外音取り込み機能。
- アプリの完成度: 自分好みに細かくカスタマイズでき、機能も豊富。
- 安定した接続: 最新Bluetooth 5.4とマルチポイント接続でストレスフリー。
デメリット:LDAC非対応とケースの不在
- LDAC非対応: ハイレゾワイヤレス伝送を重視するAndroidユーザーには唯一にして最大の惜しい点。
- キャリングケースなし: 前作にはあったハードケースが省略されているため、持ち運びには別途ポーチなどが必要。
「Tune Pro」と「Wave Pro」どちらを選ぶべき?
迷っている方は、以下の基準で選べば間違いありません。
- 【Tune Pro】を選ぶべき人:
- iPhoneユーザー全般(LDAC不要なため)。
- ロック、EDM、映画など、迫力と臨場感を重視する人。
- 充電の手間を極限まで減らしたい人。
- 少しでも安く購入したい人。
- 【Wave Pro】を選ぶべき人:
- Androidユーザーで、LDACによるハイレゾ再生環境がある人。
- クラシックやアコースティックなど、フラットで繊細な音を好む人。
- 持ち運び用のハードケースが絶対に欲しい人。
このヘッドホンがおすすめな人
- 予算1万円以内で、音質・機能・バッテリー全てにおいて妥協したくない欲張りな人。
- 通勤・通学の時間が長く、移動中はずっと音楽や動画を楽しみたい人。
- 初めてのノイズキャンセリングヘッドホンデビューを考えており、失敗したくない人。
- 家事や作業中の「ながら聴き」用として、タフに使えるサブ機を探しているオーディオファン。
結論:1万円以下ヘッドホンの新たな最適解
結論として、EarFun Tune Proは間違いなく「買い」です。
これだけの機能を詰め込み、デュアルドライバーという挑戦的な音質構成を実現し、それでいて実売価格をここまでに抑えたEarFunの企業努力には脱帽するしかありません。
特に、低音の迫力と高音の伸びを両立させたサウンドは、一度聴くと同価格帯のシングルドライバー機には戻れない魅力があります。
もしあなたが今、新しい相棒となるヘッドホンを探しているなら、Tune Proはあなたの期待を裏切らない、むしろ期待以上の体験をもたらしてくれるはずです。
ぜひ、その耳でこの衝撃を体感し、日々の音楽生活をアップグレードさせてください。


