【「DX260」 レビュー】iBasso最新DAPの実力を検証|音質・使い勝手・出力をDX240/320と徹底比較

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出典:MUSIN公式
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iBassoの新世代DAP「DX260」は、「DX240」や「DX320」といった人気モデルの系譜を受け継ぎつつも、音質・操作性・安定性を総合的に磨き上げた“完成形に近い”一台です。
これまでのiBassoが得意としてきた高解像かつ自然なサウンドをさらにブラッシュアップし、最新のROHM製DACチップ「BD34301EKV」をデュアル構成で搭載。
音楽体験をもう一段階上のステージへと引き上げています。

私自身、「DX240」・「DX320」の両方を長く使ってきましたが、「DX260」を初めて手にした瞬間に「これは中間機ではなく“主役”だ」と感じました。
外観の洗練さ、UIの軽快さ、そして音の抜けの良さ――そのすべてが、一歩先の完成度を物語っています。

この記事では、実際に数週間使用して得た体験をもとに、「DX260」の魅力と課題を徹底的にレビューします。
「DX260」に興味を持っている方に向けて、単なるスペック紹介ではなく“使う喜び”を伝えるレビューをお届けします。

 

  1. iBasso Audio 「DX260」のデザインと操作性の進化
    1. 本体デザインと質感 — 直線的で握りやすい高級筐体
    2. UIと操作レスポンス — AndroidとMango OSの両立
    3. 端子構成・拡張性 — “全部入り”の万能設計
  2. 音質レビュー:「DX260」が描く“iBassoサウンド”の新基準
    1. 音の全体傾向 ― 透明感と立ち上がりの速さが際立つ
    2. 使用イヤホン・ヘッドホン別インプレッション
    3. 「DX240」・「DX320」との比較
    4. 使いこなしのコツ
  3. iBasso Audio 「DX260」の機能面の充実度とユーザー体験
    1. 音を支える中核設計 ― FPGA-Master × Octa DAC
    2. Android × Mango OS ― 使い方を選べる二刀流設計
    3. バッテリー・発熱・携帯性 ― パワーと実用性のバランス
    4. 拡張性と接続性 ― 現代DAPとしての“全部入り”
  4. iBasso Audio 「DX260」を使用した私の体験談・レビュー
    1. 通勤中 ― 「騒がしい朝でも音がぶれない安定感」
    2. 仕事中 ― 「静かな集中空間を作るツール」
    3. 自宅での夜リスニング ― 「静寂の中に広がる余韻」
    4. 外出先 ― 「どこでも使える安心感と快適さ」
    5. 使用シーン別の印象まとめ
    6. 体験談の総括:生活の中に自然に溶け込む“主役級DAP”
  5. iBasso Audio 「DX260」についてのQ&A
    1. 「DX260」は「DX240」や「DX320」と比べてどんな音の違いがありますか?
    2. 「DX260」はどんなイヤホン・ヘッドホンと相性がいいですか?
    3. ストリーミングアプリは使えますか?
    4. Mango OSモードは何が違うのですか?
    5. 「DX260」のバッテリー持ちはどのくらいですか?
    6. USB-DACとして使えますか?
    7. Bluetooth音質はどうですか?
    8. DX260は発熱しますか?
    9. microSDカードはどの容量まで使えますか?
    10. 充電は急速充電に対応していますか?
    11. Bluetooth接続時の遅延はありますか?
    12. 「DX260」はバランス接続とアンバランス接続で音質が変わりますか?
  6. iBasso Audio 「DX260」のレビューまとめ
    1. 「DX260」の要点
    2. どんな人にベスト?どんな人には向かない?
    3. 旧モデルとの立ち位置
    4. 購入後すぐ使える「推奨セットアップ」
    5. 長所と留意点
    6. iBasso Audio 「DX260」レビューの総括:中核DAPの“完成度”で選ぶならコレ

iBasso Audio 「DX260」のデザインと操作性の進化

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出典:MUSIN公式

本体デザインと質感 — 直線的で握りやすい高級筐体

「DX260」は、アルミ削り出しのボディとシャープなエッジを持つ直線的なデザインが特徴です。
全体の剛性感が高く、見た目だけでなく実際の使用感も上質。

  • サイズ:123×74.5×17.5mm
  • 重量:229g
  • ディスプレイ:5.0インチ FHD(1080×1920)オンセル液晶

この液晶は反射が少なく、アルバムジャケットの色味も自然。
特に、ジャズやアナログ盤系の配色がしっかり再現される印象です。
側面には切削ラインがあり、グリップの目印として機能。片手で操作しても落としにくく、滑りにくい絶妙な形状です。

メリット

  • 金属ボディによる高剛性と安定感
  • 適度な重さで手に収まるバランス
  • ガラス面の映り込みが少ないため視認性が高い

デメリット

  • 厚みが17.5mmとやや厚く、薄型スマホに慣れた人には重厚に感じるかも

UIと操作レスポンス — AndroidとMango OSの両立

「DX260」は、Android 11Mango OS(専用オーディオモード)の二刀流。
アプリの自由度と純オーディオ体験の両方を楽しめます。

主な仕様

  • SoC:Snapdragon 660
  • RAM:4GB
  • 内蔵ストレージ:64GB
  • 非SRC(サンプリング変換回避)対応

起動から再生までの動作が非常に軽快で、アプリ間の切り替えやスクロールも滑らか
Mango OSに切り替えると、通知やWi-Fiの干渉が排除され、音楽に集中できる“純オーディオプレイヤー”として機能します。

操作感のポイント

  • スワイプ操作の追従性が高い
  • ホーム画面のUIがシンプルで迷いが少ない
  • 100段階ボリューム/3段階ゲインで細やかな音量調整が可能

さらに、AndroidモードではSpotifyやApple Musicも快適に利用でき、スマホと同じ感覚でストリーミング再生が可能。
つまり、音楽再生機としての信頼性と利便性の両立が大きな進化点です。

端子構成・拡張性 — “全部入り”の万能設計

「DX260」の下部と上部には、ユーザーの使い方を想定した合理的な端子レイアウトが施されています。

項目内容
バランス出力4.4mm Pentaconn(最大6Vrms/32Ω時 約1,000mW+1,000mW)
シングル出力3.5mmステレオ
デジタル出力USB-C(3.1 Gen1)、ミニ同軸(S/PDIF)
ワイヤレスBluetooth 5.0(送信:LDAC/aptX HD/AAC 対応)、Wi-Fi
拡張性microSDスロット(最大2TB)
その他USB DAC機能搭載(PCM 32bit/384kHz、DSD256 Native対応)

この構成により、

  • 自宅ではUSB DACモードで据え置き環境に接続
  • 外出先ではLDACワイヤレス再生
  • スタジオやイベントでは同軸出力で外部DACに接続

といった多様なスタイルに対応できます。

実使用の印象

  • 出力パワーに余裕があり、平面駆動型ヘッドホンも十分駆動
  • ノイズフロアが低く、IEM使用時も静寂
  • USB DAC機能が安定しており、PC接続でもドライバトラブルが少ない

携帯性についても、重厚ながらポケットに入る実用サイズで、外出時の携行も問題なし。
microSDでライブラリを拡張しながら、ローカル音源とサブスクを柔軟に切り替えられる点も高く評価できます。


「DX260」は、単なる見た目の刷新にとどまらず、音楽をストレスなく再生するための設計思想が貫かれたDAPです。
操作の快適さが音体験の没入感に直結し、UIの軽さやハードの安定性が「純粋に音を楽しむ環境」を支えています。

デザインの完成度、UIの快適さ、入出力の柔軟性――この三拍子が揃ったことで、「DX260」は「中核DAPの理想形」に一歩近づいたといえるでしょう。

 

音質レビュー:「DX260」が描く“iBassoサウンド”の新基準

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音の全体傾向 ― 透明感と立ち上がりの速さが際立つ

「DX260」のサウンドは、iBassoらしい高解像度とスピード感を軸にしつつ、同ブランドの中でも最も自然で整理されたトーンバランスに仕上がっています。
音のすべてがクリーンに配置され、どんなジャンルでも“見通しの良い音場”を描くのが特徴です。

■ 全体的なトーンと雰囲気

  • 全体の印象はニュートラルで澄んだ音色
  • 「DX240」の「明るさ」と、「DX320」の「厚み・滑らかさ」をちょうど中間で融合。
  • 無理に存在感を出さず、音源の持つ空気感を忠実に再現します。

■ 帯域ごとの傾向

帯域特徴聴こえ方の印象
低域引き締まりつつも沈み込みが深い量感よりも「制動力」重視。ベースの音程が明確に聴こえる。
中域ボーカルが自然に浮かび上がる厚すぎず薄すぎず、音の輪郭がすっきり。歌声の息遣いが伝わる。
高域伸びやかで滑らか、刺激が少ないシンバルや弦の高音がキラつかず、長時間聴いても疲れにくい。

特に中域〜高域の透明感は秀逸で、アコースティックや女性ボーカル曲でDX260の実力が際立ちます。

■ 音場と立体感

「DX260」は横方向の広がりだけでなく、前後の奥行きもきちんと描き分けます。
音が前に飛び出すタイプではなく、空間の中で自然に定位するタイプ。

  • ボーカルは中央にしっかり定位し、伴奏と分離しても違和感がない
  • ドラムやベースは低層に落ち着き、全体のステージ感を支えるように展開
  • ステレオ感が過剰にならず、“自然な広がり”の中に音が整理されている印象。

■ 透明感とスピード感の両立

「DX260」の魅力は、音の「速さ」と「静けさ」のバランス。
アタックの反応が俊敏で、リズムが引き締まって聴こえますが、背景ノイズは極めて低いため、静寂とのコントラストで音が際立ちます。

聴感的な特徴

  • アタックが速く、キレの良いリズム表現。
  • 余韻がスッと消えるため、全体の見通しがクリア
  • ピアノや弦楽器の立ち上がりと減衰のバランスが自然。

■ ジャンル別の相性

ジャンル相性理由
ジャズ・アコースティック各楽器の分離と空間の奥行きが明確。
女性ボーカル声の透明感と柔らかさが際立つ。
EDM・ポップスリズムの立ち上がりが速く、キレが良い。
ロックギターリフが引き締まり、音の塊が整理される。
クラシック広い音場と静寂の描写でホール感が自然。

使用イヤホン・ヘッドホン別インプレッション

複数の機種で比較試聴を行い、「DX260」のキャラクターがどのように現れるかを検証しました。

■ Sennheiser 「HD 620S」(開放型ヘッドホン)

  • 音の見通しが非常に良く、定位の明瞭さが際立つ
  • ベースラインの階調が細かく、低域のコントロール性が抜群
  • 女性ボーカルは一歩前に出るが、決して刺さらず自然。

■ qdc 「SUPERIOR」(シングルDD IEM)

  • 背景が非常に静かで、微細音の描写が美しい
  • 中高域のきらめきが増し、アコースティック楽曲との相性◎。
  • ややクールな傾向なので、銅線ケーブルで温かみを加えるのもおすすめ。

■ Kiwi Ears 「Orchestra Lite」(8BA IEM)

  • 各帯域の分離が際立ち、オーケストラや劇伴系の空間再現が秀逸
  • 高域の伸びが自然で、ホールの空気感まで再現できる。
  • 音の厚みがもう少し欲しい場合は、ミドルゲイン設定が効果的。

■ Sennheiser 「HD 490 PRO」(開放型)

  • 精密な定位とバランスでモニター的な聴取に最適
  • リバーブやパンの動きが明確に掴めるため、制作用途にも使える精度
  • 音楽鑑賞では少し硬質に感じるため、軽めのイコライジングで調整可。

「DX240」・「DX320」との比較

項目DX240DX320DX260
音の傾向明るくシャープ滑らかで厚みがある透明で中立的、整理された音
スピード感非常に速いやや穏やか速くて制動力も高い
音場表現横方向に広い奥行きが深い横+奥の両立が自然
解像度高いがやや硬い滑らかで聴きやすい高解像+自然な聴き心地
駆動力標準的余裕あり十分なパワー+統制感

「DX260」は、「DX240」の「スピード」と「DX320」の「厚み」を両立。
音の情報量を整理して聴かせる“完成度の高さ”が際立ちます。

高解像なのに冷たくない。
精密なのに機械的でない。
「DX260」は、そんな絶妙なバランスを持つDAPです。

使いこなしのコツ

より良い音を引き出すための設定や組み合わせをまとめました。

おすすめ設定

  • ゲイン:IEMはLOW、ヘッドホンはMIDがバランス良好
  • 再生モード:Mango OSを使うとノイズ源が減り、背景の静けさが際立つ
  • フィルター設定:シャープ→輪郭重視、スロー→余韻重視(好みで切替)
  • ケーブル選び:
     ・明るめIEM → 銅線で温かみをプラス
     ・暗めIEM → 銀メッキ線でエッジを補強

再生ソースの違い

  • ローカル音源(FLAC/DSD)は音場の奥行きと密度が上昇
  • ストリーミング(LDAC)でも遜色なく、外出時も十分楽しめる

「DX260」は、単に“解像度の高いDAP”ではありません。
それぞれの音を丁寧に配置し、情報量を音楽性として表現する力を備えています。

  • 音数が多くても聴き疲れしにくい
  • 細部まで聴き取れるのに自然
  • iBassoらしいスピード感を保ちながら、温度感のある音

これこそが、「DX260」が築いた“新しいiBassoサウンドの基準”です。

 

iBasso Audio 「DX260」の機能面の充実度とユーザー体験

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出典:MUSIN公式

音を支える中核設計 ― FPGA-Master × Octa DAC

「DX260」の心臓部は、CS43198×8基のOcta DAC構成と、iBasso独自のFPGA-Master 2.0
DACを並列動作させ、FPGAがすべての信号処理を統括することで、ノイズを極限まで抑えた静寂感と、スピード感ある再生を両立しています。

主なスペック

項目内容
DAC構成Cirrus Logic CS43198 × 8基(Octa DAC)
クロック制御FPGA-Master 2.0による高精度同期
出力(4.4mm)最大6Vrms/約1,000mW+1,000mW(32Ω)
出力(3.5mm)最大3Vrms/約280mW+280mW(32Ω)
S/N比約133dB、THD+N:−123dB(公称値)

これにより、小音量でも解像度を維持しながら背景が静まり返るような空気感を実現。
音楽が“浮かび上がる”ような印象を受けるのは、このFPGA制御がもたらす高精度な処理によるものです。

体感として感じたポイント

  • 楽曲全体のノイズフロアが低く、黒背景が深い
  • 小さな音や余韻の“始まりと終わり”が明確
  • 出力に余裕があり、平面駆動ヘッドホンもしっかり鳴らし切るパワー感

Android × Mango OS ― 使い方を選べる二刀流設計

「DX260」の大きな魅力は、Android 11とMango OSのデュアルブート構成
用途に合わせて「スマートさ」と「純オーディオ志向」を使い分けられるのが特徴です。

  • Androidモード:Spotify、Apple Music、Amazon Musicなどのサブスク再生に最適。
  • Mango OSモード:ネット機能を遮断し、再生に集中できる「音楽専用環境」。

操作面の印象

  • Snapdragon 660/RAM 4GBによる快適な動作。
  • タップやスクロールに遅延がなく、スマホ同様のレスポンス。
  • Mango OSはUIが簡潔で、曲選び→再生まで最短2タップ
  • 切り替えは電源メニューからワンタッチで可能。

使い分けの例

シーンおすすめモード理由
通勤中にSpotifyを聴くAndroidモードストリーミングアプリを自由に利用できる
自宅でじっくり聴くMango OS通知なし・無線オフでノイズ源を排除
PC接続で据え置きDACとしてUSB DACモード専用ドライバ対応、ASIO/WASAPIでも安定

この柔軟性のおかげで、「DX260」は「音を楽しむツール」でありながら、「日常でも使える端末」として成立しています。

バッテリー・発熱・携帯性 ― パワーと実用性のバランス

「DX260」は4400mAhバッテリーを搭載し、約14時間の連続再生に対応。
据え置き級の出力を備えながらも、携帯機として現実的なバッテリー持ちを実現しています。

実際の使用感

  • ローカル再生では一日フル稼働しても安心できるスタミナ
  • ストリーミング+高出力時は10時間前後が目安。
  • 発熱は控えめで、連続再生しても「ほんのり温かい」程度。

基本スペック

項目内容
バッテリー容量4400mAh
再生時間約14時間(条件により変動)
充電時間約2.5時間
サイズ/重量123×74.5×17.5mm / 約229g
充電端子USB-C(Quick Charge対応)

携帯時の重心バランスも良く、229gという重量ながら手に馴染む安定感があります。
金属シャーシによる剛性の高さと、エッジの滑らかな処理が組み合わさり、持ち歩いても疲れにくい仕上がりです。

拡張性と接続性 ― 現代DAPとしての“全部入り”

「DX260」は、出力端子から無線機能まで、ユーザーが求める接続手段をすべて備えています。

入出力・通信対応一覧

項目対応内容
ヘッドホン出力4.4mmバランス/3.5mmシングル
デジタル出力USB-DAC、同軸(S/PDIF)
BluetoothVer.5.0(LDAC/aptX HD/AAC対応)
Wi-Fi2.4GHz/5GHz デュアルバンド
microSD最大2TB対応
USB-CUSB 3.1 Gen1、OTG対応

これにより、

  • 外部DACへのデジタル出力
  • スマホとのBluetooth連携
  • microSDでの大容量ライブラリ運用

といった、シーンを選ばない万能な使い方が可能です。


「DX260」は、単なる高音質プレイヤーではなく、
操作性・拡張性・安定性のすべてが整った「日常使いできるハイエンドDAP」です。

  • 音質面:FPGA×Octa DACによる圧倒的な静寂とスピード
  • 機能面:Android/Mango OSの二刀流で柔軟に対応
  • 実用面:十分なバッテリーと快適な操作レスポンス

これらが絶妙なバランスで噛み合い、
「据え置き級の音を、ストレスなく持ち歩ける」という理想を現実にしています。

一言で表すなら、“ハイエンドらしさと日常性が共存するDAP”
音の世界を広げながら、使う楽しさまで感じさせてくれる一台です。

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iBasso Audio 「DX260」を使用した私の体験談・レビュー

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※画像はイメージです

「DX260」を使い始めてから、通勤・仕事・自宅・外出とあらゆる場面で使ってみました。
どのシーンでも一貫して感じたのは、「静寂と力強さの両立」
ここでは、実際に2週間使ってわかった使用感を、場面ごとにわかりやすく紹介します。

通勤中 ― 「騒がしい朝でも音がぶれない安定感」

朝の通勤電車では、Androidモード+LDAC接続でSpotifyを使用。
使い始めてすぐに感じたのは、起動の速さと音の安定感でした。

  • 曲の切り替えがスムーズで、ストリーミングでも遅延がほとんどない
  • 駅構内のアナウンス中でも、音のバランスが崩れにくい
  • IEM使用時、ノイズのない黒背景が心地よく、音の粒がくっきり

特に印象的だったのは、ボーカルの“抜け”の良さ。
人混みの中でも声の輪郭が崩れず、まるでスタジオで聴いているような透明感でした。

仕事中 ― 「静かな集中空間を作るツール」

職場では、PCとUSB-DAC接続して使用。
Excel作業やメール対応の合間にBGMを流すような使い方でも、「DX260」は静かに存在感を発揮します。

使用環境

  • モード:USB-DACモード(Windows接続)
  • ヘッドホン:SENNHEISER HD 490 PRO
  • 再生アプリ:Mango Player

感じたこと

  • どのアプリを開いても音切れがなく安定
  • 打鍵音と音楽が干渉せず、静けさの中に芯のあるサウンド
  • 長時間聴いても疲れにくく、集中力が持続する

作業の合間に音を止めたとき、「あれ、こんなに静かだった?」と感じるほどのノイズの少なさに驚きました。

自宅での夜リスニング ― 「静寂の中に広がる余韻」

夜、自宅ではMango OSモード+ローカル再生でじっくり聴くのが定番。
お気に入りのハイレゾ音源を流すと、部屋の空気が一気に変わるほどの臨場感がありました。

使用条件

  • 出力:4.4mmバランス
  • ヘッドホン:HD 620S(開放型)
  • 再生モード:Mango OS(オフライン)

印象

  • 小音量でも音が崩れず、音像がしっかりと浮かぶ
  • ピアノの余韻や弦の響きが静けさの中で溶けていくよう
  • 「スロー」フィルターに切り替えると、音の余裕がさらに増す

寝る前に再生を止めると、残響が消えた後の“無音”さえ美しく感じるほど。
DX260」の静寂性能は、夜のリスニングでこそ真価を発揮します。

外出先 ― 「どこでも使える安心感と快適さ」

カフェでレビュー用の比較試聴を行う際にも「DX260」を持ち出しました。
サイズ感はやや厚めですが、手に馴染む形状と重心のバランスが良く、片手操作でも安定します。

良かったポイント

  • Wi-Fi接続でのストリーミングも途切れず安定
  • 4.4mm出力でのパワー感がしっかりあり、開放型でも十分駆動
  • UIがシンプルで、曲を切り替える操作がスムーズ

気になった点

  • 長時間手持ちだと、229gの重量が少しずっしり感じる
  • ケース装着時はポケットへの出し入れがタイト

とはいえ、外でも“妥協しない音”を出せる安心感があり、
「このDAPを持っていれば間違いない」という信頼感が生まれました。

使用シーン別の印象まとめ

シーン使用モード主な機材音の印象特に感じた魅力
通勤Android+LDACqdc SUPERIOR透明感・安定感騒がしい環境でも音の軸がブレない
仕事USB-DACHD 490 PRO静寂と集中力ノイズレスで作業に集中できる
自宅Mango OSHD 620S深みと余韻小音量でも音が生きている
外出AndroidOrchestra Liteバランスと駆動力どこでも同じ音を保てる安定感

体験談の総括:生活の中に自然に溶け込む“主役級DAP”

「DX260」を2週間使って感じたのは、「いつでもどこでも同じ音が楽しめる安心感」です。
高解像度ながら神経質さがなく、長時間のリスニングにも向いています。

  • 外ではスピード感と安定性
  • 仕事中は静寂と集中力
  • 自宅では空間の深みと余韻

どの環境でも自然に“その場の最適解”を提示してくれるのが「DX260」の魅力。
使い込むほどに“手放せない相棒”へと変わっていく、そんな存在でした。

「音楽のある生活」を日常レベルで底上げしてくれるDAP。
「DX260」は、聴く人の暮らしのリズムに寄り添うハイエンド機です。

 

iBasso Audio 「DX260」についてのQ&A

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iBasso Audio 「DX260」に関して、よくありそうな質問をまとめました。

「DX260」は「DX240」や「DX320」と比べてどんな音の違いがありますか?

「DX240」はキレと明るさ、「DX320」は厚みと滑らかさが特徴ですが、「DX260」はその中間に位置します。
透明感を維持しつつ、情報量が整理されていて「速くて疲れにくい音」に仕上がっています。

「DX260」はどんなイヤホン・ヘッドホンと相性がいいですか?

解像度の高いIEMやモニター系ヘッドホンと好相性です。
特に中高域の見通しやボーカルの定位を重視する人に向いています。
ウォーム系のイヤホンを組み合わせると、厚みを補えてバランスが取れます。

ストリーミングアプリは使えますか?

はい。Android 11搭載のため、Spotify・Apple Music・Amazon Music・YouTube Musicなどがすべて利用可能です。
また、再生はNon-SRC(サンプリング変換なし)に対応しており、音質劣化を抑えて聴けます。

Mango OSモードは何が違うのですか?

Mango OSは、Android機能を停止して音楽再生に特化した専用モードです。
通知やバックグラウンド動作を切ることでノイズを最小限に抑え、よりピュアな音を楽しめます。

「DX260」のバッテリー持ちはどのくらいですか?

約14時間の連続再生が可能です(音量や使用環境により変動)。
高出力DAPとしては優秀なスタミナで、通勤〜帰宅まで充電なしでも安心です。

USB-DACとして使えますか?

はい。Windows・Mac・Linuxすべてに対応し、ASIO/WASAPI再生も可能です。
据え置きDACと比べても遜色のない透明感と反応速度を実現しています。

Bluetooth音質はどうですか?

送信はLDAC/aptX HD/AACなどに対応しており、
ハイレゾクラスのワイヤレス再生も十分可能です。
ただし、有線接続に比べるとわずかに情報量が減る印象です。

DX260は発熱しますか?

高出力DAPとしては比較的安定しています。
ローカル再生ではほんのり温かくなる程度で、発熱によるパフォーマンス低下はほとんどありません。
ただし、高負荷アプリを同時に動かす場合や充電中再生では、背面がやや温まることがあります。

microSDカードはどの容量まで使えますか?

最大2TBまで対応しています。
内蔵ストレージ(64GB)に加えてライブラリを拡張できるため、
ハイレゾ音源を大量に持ち歩くユーザーにも十分です。
実際に512GBカードでの使用も安定しており、読み込み速度も速い印象です。

充電は急速充電に対応していますか?

はい。USB-C(Quick Charge対応)で約2.5時間ほどでフル充電可能です。
充電中でも再生できますが、音質重視なら満充電後にケーブルを外して使用
するのがおすすめです。

Bluetooth接続時の遅延はありますか?

aptX HDやLDAC使用時は遅延が最小限で、動画視聴でも違和感は少なめ。
ただし、ゲーム用途のようなリアルタイム性を求める場合は、有線接続がベストです。

「DX260」はバランス接続とアンバランス接続で音質が変わりますか?

明確に違いがあります。
4.4mmバランス接続では出力が増し、音場の広さや低域の制動力が向上。
3.5mmでも十分高音質ですが、音の密度と立体感を求めるなら4.4mm推奨です。

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iBasso Audio 「DX260」のレビューまとめ

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「DX260」は、黒い背景の静寂俊敏な立ち上がり、そして日常運用のしやすさを一台で両立しました。
iBassoらしい解像感はそのままに、過度な味付けを避けた“整ったバランス”で、長時間でも聴き疲れしにくいのが最大の魅力です。

「DX260」の要点

  • 音質:ニュートラル寄りで透明、速いトランジェントでも音場が崩れない
  • 駆動力:4.4mmの余力で開放型・平面駆動も現実的に鳴らせる
  • 静寂性能:ノイズフロアが低く、IEMで“黒い背景”を体感
  • 操作性:Android 11とMango OSの二刀流で、用途に応じた最適化が簡単
  • 携帯性:229g・5.0インチの実用サイズ。“据え置き級の余裕”を持ち出せる

どんな人にベスト?どんな人には向かない?

おすすめしたい人

  • 情報量は欲しいが神経質な硬さは避けたい
  • IEM中心で静寂と分離を重視する
  • サブスクもローカルも一台で完結させたい
  • ヘッドホンも使い、出力の余裕が欲しい

別の選択肢も検討したい人

  • 超軽量・極薄の携帯性を最優先
  • 低域の量感を標準で強く求める(EQで足す手もあり)
  • 完全な“濃厚ウォーム系”の音色が好み

旧モデルとの立ち位置

比較軸DX240DX320DX260
音の印象先鋭で明るい厚み・しなやか透明で整理、速いが冷たくない
ステージ横広め奥行き深め横+奥のバランス良好
使い勝手俊敏だが尖りあり余裕ある鳴り俊敏×安定×日常性

結論:「DX240」の“速さ”と「DX320」の“厚み”の良い部分を抽出した“今の中心値”。

購入後すぐ使える「推奨セットアップ」

  • ゲイン:IEM=LOW/開放型=MID
  • 再生モード:通勤・作業=Android、集中試聴=Mango OS
  • フィルター
    • シャープ系 → エッジと分離を強調
    • スロー系 → 余韻と空間の豊かさ
  • ひと工夫
    • 低域の量感が欲しい日は60〜120Hzを+1〜2dB
    • 明るいIEMは銅系ケーブルで厚みを微調整

長所と留意点

長所

  • 情報量の多さを音楽性として提示できる整理力
  • IEM〜ヘッドホンまで守備範囲が広い出力
  • 二刀流OSで“日常から没入”まで一台完結

留意点

  • 厚み17.5mm・229gはスマホ比で重厚(携帯は現実的だが存在感はある)
  • 低域量を“最初から盛る”タイプではない(質重視。必要ならEQで)

iBasso Audio 「DX260」レビューの総括:中核DAPの“完成度”で選ぶならコレ

「DX260」は、単なる「次世代モデル」ではなく、iBassoが長年培ってきた技術と音作りの集大成といえるDAPでした。
音の解像度、レスポンス、そして静寂の描き方——そのすべてが洗練され、まるで音楽の空気そのものを整えるような存在感を放っています。
聴き込むほどに感じるのは、情報量の多さではなく“情報の整い方”の美しさ。どんなジャンルでも、音が押し寄せるのではなく自然に流れ込み、聴き手の集中を乱さない。
まさに「聴くほどに疲れず、音楽に没入できるDAP」という表現がふさわしい仕上がりです。

加えて、AndroidとMango OSの二刀流による使い勝手の良さ、安定した操作性、持ち運びやすさも、単なるオーディオ機器を超えた実用性を備えています。
外ではストリーミング、自宅ではローカル再生と、どんな場面でも最適な音を引き出してくれる頼もしさがあり、まさに“日常で使えるハイエンド”を体現していると言えるでしょう。

静寂の深さ、スピードの鋭さ、そして音の滑らかさ——その三つが見事に融合した「DX260」は、音楽を聴くという行為そのものを静かに、しかし確実にアップデートしてくれる一台です。
あなたのいつもの一曲を、もう一段上の解像で再発見させてくれるDAP、それがiBasso 「DX260」です。

 

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