近年、平面駆動(プラナー)ドライバーを採用したイヤホンが再び注目を集める中で、Kiwi Earsから登場したのが「Aether」です。
本モデルは、同ブランドがこれまでに培ってきた音響設計技術に加えて、15.3mmという大口径の平面駆動ドライバーを搭載しており、インイヤー型イヤホンとしては異例のスケール感を実現しています。
「Aether」は、他の一般的なIEM(インイヤーモニター)とは異なり、“開放感あるサウンド”と“明瞭な中高域”の両立を目指してチューニングされており、実際に試聴した多くのレビューアーからも「空間の広さ」「立体的な定位」「刺さりのない高音」といった好印象の声が寄せられています。
また、価格帯も比較的手に取りやすい2万円台に設定されており、平面駆動モデルとしてはコストパフォーマンスにも優れていると言えるでしょう。
この記事では、そんな「Aether」の魅力について、パッケージ・外観・音質・使い心地などを多角的にレビューしていきます。
はじめての平面駆動イヤホンを探している方、音場の広さにこだわりたい方、長時間のリスニングを快適に楽しみたい方にとって、「Aether」は非常に興味深い選択肢になるはずです。

Kiwi Ears 「Aether」の基本情報

パッケージ内容と外観の印象
開封時の印象は、「しっかり作り込まれている」「価格以上に満足感がある」という声が多く、パッケージの丁寧さや付属品の充実度が好印象を与えます。
▶パッケージ内容一覧:
内容物 | 説明 |
---|---|
イヤホン本体(Aether) | 美しいフェイスプレートが特徴。片側6.6gと軽量。 |
ケーブル | 3.5mmアンバランス接続。やや絡まりやすいが質感は良好。 |
イヤーピース3種類 | 各サイズの3ペア付属。個人の耳に合わせて選べる。 |
キャリングポーチ | シンプルながら実用的。イヤホンの保護に便利。 |
マニュアル・保証書類 | 一般的な書類類。保証カードも同封。 |
▶外観の特徴:
- フェイスプレートは透明感のある光沢仕上げで、高級感あり。
- ハウジングのエッジは金属製、ボディ部は樹脂製のハイブリッド構造。
- 若干の厚みがあるが、耳に装着すると意外にもフィット感良好。
15.3mm平面駆動ドライバーの特徴
「Aether」最大の魅力は、イヤホンとしては最大級クラスの15.3mm平面駆動ドライバーを搭載している点です。
▶平面駆動(Planar Magnetic)とは?
- ダイナミック型と異なり、薄い振動板全体を均一に駆動する構造。
- 特徴は歪みの少ない繊細な表現力と、優れた解像度・定位感。
- サブベースから高域まで、スムーズでナチュラルな音のつながりを実現。
▶「Aether」におけるメリット:
- 広い音場感と立体的な定位を生む。
- サブベースの響きが豊かで、量感と深みを両立。
- 中~高域は滑らかで、長時間リスニングでも疲れにくい。
装着感とフィット感
ドライバーサイズが大きいため、ハウジングにはやや厚みがありますが、装着してみると意外なほど快適という声が多くあります。
▶装着に関するポイント:
- ノズル径:約6.4mm
→普段使っているイヤーピースではややキツく感じる可能性あり。
→バンドルのイヤーピースは対応済み。 - 片側重量:約6.6g
→軽量で長時間装着でも負担が少ない。 - 遮音性・音漏れ耐性:◎
→密閉型で音漏れの心配は少ない。外出先でも安心。
スペックまとめ
項目 | スペック |
---|---|
ドライバー構成 | 単一15.3mm平面駆動ドライバー |
インピーダンス | 14Ω |
感度 | 105dB |
接続端子 | 3.5mmアンバランス(リケーブル可) |
ケーブル着脱 | 可能(2pin) |
再生周波数帯域 | 未公開(実測では7.5~8kHz付近にピーク) |
Kiwi Ears 「Aether」のサウンドレビュー

Kiwi Ears 「Aether」は、15.3mmという大型平面駆動ドライバーを搭載していることもあり、音の空間表現や解像感に非常に優れたイヤホンです。
実際の試聴から得られた印象を、高音域・中音域・低音域に分けてレビューしていきます。
高音域の表現とバランス
「Aether」の高音域は、繊細で伸びやか、かつ耳に刺さらないのが大きな魅力です。
▶特徴:
- 7.5〜8kHzにピークがあり、シンバルやハイハットの鳴り方が非常にクリア。
- 10kHz以降はやや控えめだが、なだらかな減衰で破綻感がない。
- エージングが進んだような落ち着いた高音域という声も多い。
▶実際の試聴での印象:
- 「刺さらない高音」として非常に好評。
- 高域特有の“シャリつき”が少なく、長時間でも聴き疲れしない。
- ボーカルのサ行も滑らかに処理されており、ストリングスやピアノの響きも美しく再現。
中音域の存在感とボーカルの距離感
中音域は、ナチュラルで埋もれず、ボーカルが適度な距離感で浮かび上がるという印象です。
▶特徴:
- 300〜800Hzあたりがフラットで、モニターライクな見通しの良さ。
- 2kHz前後でじわっと立ち上がり、2.5kHz付近に小さなピークがあり、ボーカルが沈まず自然に前に出る。
- 3〜5kHzは若干控えめにされており、歪み系ギターやサ行の角が丸くなる。
▶実際の試聴での印象:
- ボーカルが前に出すぎず、音楽全体との調和が取れている。
- ハモリやコーラスも自然に分離され、音像定位がしっかり感じられる。
- 男性・女性どちらのボーカルも得意で、リバーブやエコーのニュアンスもしっかり伝わる。
低音域の厚みと空間表現
「Aether」の低音は、量感よりも質感・キレに重きを置いたチューニングですが、決して物足りないわけではありません。
▶特徴:
- サブベースがしっかり伸びる印象で、深さのある低域が楽しめる。
- 中低域が膨らまず、曖昧さがなく引き締まった印象。
- タム、キック、ベースラインなどのアタック感・余韻のバランスが良い。
▶実際の試聴での印象:
- EDMやロックでも「物足りない」とは感じない程度の量感。
- 音場の広がりに貢献する低域の空気感が心地よい。
- ベースがブーミーにならず、定位が安定しているため、音楽全体の解像度が高く保たれる。
総評(サウンド全体のバランス)
項目 | 評価 |
---|---|
高音域 | ◎:伸びやかで痛くない。繊細な表現力。 |
中音域 | ◎:ボーカルが自然に浮かび上がる。分離も良好。 |
低音域 | ◯:タイトで深みあり。派手さはないが質が高い。 |
音場の広さ | ◎:開放感があり、定位も立体的。 |
解像感 | ◎:情報量が多く、1音1音が明瞭に聞こえる。 |
「Aether」は、派手に鳴るタイプではなく、丁寧で誠実な音作りがされており、長時間のリスニングにも適しています。
音楽の細部をしっかり味わいたいリスナーにとって、非常に好相性なモデルです。
Kiwi Ears 「Aether」の使用感と音質の印象

Kiwi Ears 「Aether」は、スペックや構造面からだけでなく、「使いやすさ」や「聴きやすさ」に配慮された丁寧な設計が感じられるモデルです。
ここでは、実際に日常で使ってみた感覚や、音楽ジャンルとの相性、さらにリケーブルによる音質変化の可能性についてレビューしていきます。
日常使いでの快適性
「Aether」は、大口径ドライバーを搭載しながらも、装着性と取り回しの良さに優れたイヤホンです。
▶装着感のポイント:
- イヤホン本体は片側6.6gと軽量設計。見た目よりも装着時の負担が少ない。
- ノズル径がやや大きく、使用するイヤーピースによっては装着感に違いあり。純正イヤーピースか、柔らかめのサードパーティ製が相性◎。
- 耳に対してのフィット感がよく、外れにくく長時間でも疲れにくい。
- 密閉性も高く、遮音性は良好。通勤・通学や作業中のリスニングにも適している。
▶ケーブルの扱いやすさ:
- 標準ケーブルはややゴム質で、若干絡まりやすいという声あり。
- ケーブル着脱が可能(2pin)なため、取り回しが気になる人はリケーブル推奨。
ジャンル別での相性
「Aether」のチューニングは比較的ニュートラルで、ジャンルを問わず広く対応可能です。
ただし、音のキャラクターから特に相性が良いジャンル、そこまで得意でないジャンルもあります。
▶相性が良いジャンル:
ジャンル | 相性 | 備考 |
---|---|---|
ボーカル系(J-POP、アニソン、バラード) | ◎ | 中高域のバランスが良く、声が浮かび上がる。リバーブも自然。 |
アコースティック/クラシック | ◎ | 解像感・空間表現・定位が良く、余韻まで美しい。 |
ロック/ポップス | ◯〜◎ | ギターのエッジ感が強すぎず自然。音場の広さで立体感も出る。 |
EDM/エレクトロ | ◯ | サブベースは十分。超ドンシャリ系と比べると「上品な鳴り方」。 |
ヒップホップ/R&B | △〜◯ | 低域は十分あるが、重低音マシマシなサウンドを求める層には少し物足りないかも。 |
リケーブルによる音の変化の可能性
「Aether」はリケーブル可能な2pin端子を採用しており、ケーブル変更によって音質傾向を微調整する楽しみもあります。
▶標準ケーブルの傾向:
- ゴム系のシースで、音の立ち上がりが少し丸められた印象。
- 音質としては「ややウォーム傾向」「ソフトな表現」に寄る。
▶リケーブルで期待できる効果:
- 銀メッキ線やOFC(高純度銅)ケーブルに換装することで、より解像感がアップする可能性。
- 高域の輪郭や、低域のスピード感に変化が見られることが多い。
- 4.4mmバランスケーブルに対応させることで、より広い音場や立体感を感じられることも。
▶おすすめリケーブル活用シーン:
- より“締まった音像”がほしい方。
- バランス接続環境がある方(DAPやDACが対応している場合)。
- 見た目や取り回しにこだわりたい方。
総合評価(使用感+音質)
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
装着感 | ◎ | 重量バランスが良く、長時間でも快適。 |
遮音性 | ◎ | 密閉性が高く、外音をしっかり遮断。 |
汎用性 | ◎ | 多くの音楽ジャンルに対応可能。 |
音質チューニング | ◎ | バランスが良く、聴き疲れしにくい。 |
拡張性(リケーブル) | ◯〜◎ | カスタマイズでさらなる音質向上が狙える。 |
「Aether」は、単なる「平面駆動のイヤホン」ではなく、リスナーのライフスタイルに溶け込む柔軟性と完成度を兼ね備えた製品です。
「高音質」「快適性」「拡張性」をすべて求めたい方にとって、非常にバランスの良い選択肢といえるでしょう。
Kiwi Ears 「Aether」を使用した私の体験談・レビュー

▶ 静かな夜に鳴らした「初Aether体験」
最初にKiwi Ears 「Aether」をじっくり聴いたのは、深夜0時過ぎ。
家族が寝静まったタイミングで、部屋の照明を落として間接照明だけにして、静寂の中で音にだけ集中できる空間を作った。
なんとなく聴きたくなったのが、坂本龍一さんの「Energy Flow」。
再生ボタンを押して1分も経たないうちに、「あ、このイヤホン、空間の鳴らし方がうまいな」と思いました。
ピアノの左手の和音がスッと部屋に広がって、右手の旋律は頭の中のど真ん中をすっと抜けていく。
音が“耳元”じゃなく、“空間に存在している”ように感じたんです。
そのとき、ふと思いました。
「これ、スピーカーで鳴らしてるわけじゃないのに、どうしてこんな自然に響くんだろう…?」
大げさではなく、「Aether」の音場表現は、それくらいナチュラルでした。
▶ 予想外に「低域が気持ちよかった」エピソード
「Aether」を手に入れる前、私は「平面駆動は高域と解像感が売りで、低音はちょっと控えめかな」というイメージを持っていました。
ところが、実際に試聴してみて印象がガラリと変わりました。
ある日、ノリの良い曲が聴きたくなって再生したのが、Jamiroquaiの「Virtual Insanity」。
ファンク系のこの曲では、ベースとキックのリズムが命なんですが、「Aether」はそのリズムの芯を見事に表現してくれました。
- サブベースの沈み込みがしっかりしていて、
- バスドラムのアタックも明確で、
- グルーヴの「ノリ」を感じられる。
「これは“迫力ある”というより“質感がいい”って感じの低音だな」と思いました。
中域を邪魔しないように絶妙な距離感で鳴ってくれる低域。派手じゃないけど、音楽全体を気持ちよく支えてくれるんです。
▶ リスニングスタイルが“変わった”と感じた瞬間
「Aether」を使い始めてから、音楽の聴き方がちょっと変わったと感じています。
以前は、曲の展開やサビの盛り上がりに集中することが多い印象でした。
けれど「Aether」で聴くと、曲のイントロの空気感や、間奏に仕込まれた小さな効果音にまで意識が向くようになったんです。
ある日、たまたま再生されたAimerの「Brave Shine」を聴いていたとき、イントロのストリングスに重なる微細なコーラスの“ざわめき”に気づきました。
「えっ、こんな音、入ってたっけ…?」
これが「Aether」のすごさ。
派手に主張することなく、音のひだの部分まで浮かび上がらせてくれる。
結果的に、リスニングという行為自体が“情報収集”から“体験”に変わったように感じます。
▶ 1週間使ってみて気づいた、「Aether」の「生活とのなじみ方」
「Aether」を1週間ほど、通勤・作業・就寝前などに使い込んで感じたのは“生活に溶け込むイヤホン”だということです。
以下は、日常で使って感じた使い勝手のポイント:
シーン | 使用感 |
---|---|
通勤時(地下鉄・駅) | 遮音性がしっかりしており、外音をほどよくシャットアウト。音量を上げすぎなくてOK。 |
デスクワーク中 | 長時間でも耳が疲れない。集中力の妨げにならない柔らかな高域。 |
就寝前のリスニング | 音場が広いので、小さな音量でも没入感あり。眠気を誘うようなナチュラルさ。 |
家でゆったり | スピーカー代わりのように音楽を“流して聴く”のにも向いている。 |
そして何より、「今日は何で聴こうかな?」というときに自然と「Aether」に手が伸びる。
そんな不思議な存在感があります。
▶ 個人的に嬉しかった“静寂と音楽の共存”
特に印象的だった体験として、外が雨の日に、部屋で読書をしながら「Aether」を使ったときのことがあります。
静かなピアノソロをかけていたのですが、雨音の奥にふわっと重なるように音楽が溶けて、まるで一つの風景を描いているようでした。
そのときに、「このイヤホンは“音”というより“空気”を鳴らしてくれてる」と本気で思いました。
高級スピーカーに囲まれてリスニングしているような、そんな贅沢な時間が、イヤホンひとつで味わえる――この体験は、「Aether」ならではのものです。
総括:「Aether」は、生活に「音楽という贅沢」を持ち込んでくれる
どこかのタイミングで「これって、もう自分の音になってるな」と感じる瞬間がありました。
「Aether」は、そうやって徐々にリスナーに寄り添い、気づかないうちに“手放せない存在”になっている、そんなイヤホンです。
派手な音ではなく、確かな音で、心を満たしてくれる。
これが、私が「Aether」を通じて得た最も大きな実感です。
Kiwi Ears 「Aether」に関するQ&A

Kiwi Ears 「Aether」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「Aether」はどんなイヤホンですか?
「Aether」はKiwi Earsが開発した15.3mmの平面駆動(プラナー)ドライバーを搭載した有線イヤホンです。解像感に優れたサウンド、自然な音場の広がり、刺さりのない高音などが特徴で、長時間のリスニングにも向いています。
平面駆動ドライバーって何が特別なんですか?
一般的なダイナミック型とは異なり、平面駆動ドライバーは薄い膜全体を均一に振動させる構造で、歪みが少なく、細かな音までクリアに再現できます。結果として解像感と定位が非常に良いのが特徴です。
高音は刺さりませんか?キツくないですか?
「Aether」は高音域のチューニングが非常に穏やかで、耳に刺さらず、自然な伸びが感じられます。特に7.5kHzあたりにややピークがあるものの、痛さはなく空気感のある高音として好評です。
低音はしっかり出ますか?迫力はありますか?
「Aether」の低音はタイトで解像感のあるタイプ。サブベースの伸びがあり、沈み込みは十分ですが、過剰に盛られているわけではありません。迫力よりも質感や自然さを重視した低音です。
通勤・通学に使っても大丈夫?
片側6.6gと軽量で、密閉型構造のため遮音性も高め。外音を程よく遮断し、通勤・通学中でも快適に使用できます。
ただし有線イヤホンなのでノイズキャンセリング機能は非搭載です。
リケーブルは可能ですか?対応端子は?
可能です。「Aether」は0.78mm 2pin端子に対応しており、市販のリケーブル製品と交換ができます。4.4mmバランス接続のケーブルに替えることでさらなる音質向上や音場の広がりが期待できます。
どんなジャンルの音楽に合いますか?
「Aether」はチューニングがナチュラルで、幅広いジャンルに対応します。特に相性が良いのは以下の通り:
ジャンル | 相性 |
---|---|
ボーカル系(J-POP、アニソン、バラード) | ◎ |
アコースティック、クラシック | ◎ |
ロック、ポップス | ◯〜◎ |
EDM、ヒップホップ | ◯(重低音系よりもニュアンス重視) |
イヤーピースは交換できますか?ノズルサイズは?
交換可能です。ノズル径は約6.4mmでやや太めなので、装着感がきつい場合は柔らかめのイヤーピースをおすすめします。
鳴らすのにアンプは必要ですか?
インピーダンスは14Ω、感度は105dBと比較的鳴らしやすい設計です。スマホ直挿しやドングルDACでも十分駆動しますが、余裕を持たせたいならポータブルDACや小型アンプを併用するとより豊かに鳴ります。
イヤホン本体は大きいですか?耳が小さくても大丈夫?
「Aether」は15.3mmの大口径ドライバーを搭載しているため、本体サイズはやや大きめです。ただし、形状は耳にフィットするように設計されており、耳の小さな方でも意外と安定して装着できるという声もあります。不安な場合は、イヤーピースのサイズ調整で対応可能です。
筐体は金属製?それともプラスチック?
「Aether」は金属製フレーム+樹脂製ボディのハイブリッド構造です。金属のエッジ部分が高級感を演出しつつ、樹脂部分が軽さと装着感をサポートしており、見た目と機能性のバランスが取れています。
「Aether」はゲーム用途にも使えますか?
音の定位が明確で、音場も広いため、FPSやアドベンチャーゲームなどに向いています。足音や環境音の方向性がわかりやすい一方で、マイクは非搭載のため、ボイスチャットが必要な場面では別途マイク付きデバイスが必要になります。
Kiwi Earsの他モデルとの違いは?
「Aether」は同ブランドの中でも珍しい単一の平面駆動ドライバー機です。たとえば「Melody」はマルチBA機で、「Aether」よりもややウォーム寄りのサウンド。「Aether」はモニター的でクリーン、より自然な音場が楽しめます。
初めての“平面駆動イヤホン”として「Aether」はアリ?
大いに“アリ”です。平面駆動イヤホンの中では価格が手ごろで、かつ扱いやすく、“プラナーの魅力”を無理なく体験できる優秀なモデルです。初めての1本としては間違いなくおすすめできます。
Kiwi Ears 「Aether」レビューのまとめ

▶ Kiwi Ears 「Aether」は「一聴して感動」ではなく、「じわじわ好きになる」名機
派手さでインパクトを与えるタイプのイヤホンではありません。
けれど、使えば使うほど、“良い意味でクセがなく、ずっと使いたくなる”。そんな、リスナーに寄り添うようなサウンドを持つ平面駆動イヤホンが「Aether」です。
初めての印象は「ナチュラル」「心地いい」。
でも数時間、数日使い込むうちに「これ、めちゃくちゃバランス良くないか?」という気づきが何度もやってきました。
▶ サウンドのまとめ:チューニングは「精密」かつ「優しさ重視」
「Aether」の音作りは、非常に丁寧です。
高域:
- 7.5kHz〜8kHzあたりに程よいピーク。
- 刺さらないのにしっかり伸びる。
- ハイハット、ストリングス、女性ボーカルの艶感が自然。
中域:
- 300〜800Hzはフラット傾向。
- ボーカルが沈まず、かといって押し出しすぎない。
- 楽器との分離感が良く、定位もしっかり感じられる。
低域:
- サブベースの沈み込みが気持ちいい。
- 過剰な盛り上げはないが、必要十分な量感と締まり。
- バスドラムやベースラインが明瞭に聴こえる。
音場・定位:
- 密閉型にも関わらず、空気感のある広い音場。
- 音の位置関係がはっきりしており、立体感がある。
- ASMRやライブ録音との相性も◎。
▶ 実用性と使用感のまとめ
項目 | 内容 |
---|---|
装着感 | 本体はやや大きいが軽量(片側約6.6g)。安定感があり、長時間でも快適。 |
遮音性 | 密閉型なので遮音性は高め。通勤や作業中にも最適。 |
ケーブル | デフォルトは3.5mmアンバランス。やや絡みやすいが実用範囲。2pinでリケーブル可能。 |
イヤーピース | ノズルが太め(6.4mm程度)なので、フィット感の合うチップを選ぶと快適。 |
再生環境 | 感度105dB、インピーダンス14Ωで比較的鳴らしやすい。ドングルDACやスマホでも十分駆動。 |
リケーブル効果 | 4.4mmバランス対応にすると音場拡張・解像感の向上が体感できる。 |
▶ こんな人におすすめ!
🎧 音楽を“深く味わいたい”人
「Aether」は、一音一音の輪郭が丁寧。ボーカルや楽器のニュアンスを細かく聴き取りたい人に最適。
🎶 長時間でも疲れないイヤホンを探している人
高域が刺さらず、全体的に柔らかいサウンドなので、作業用BGMにも向いています。
🎵 イヤホンを“聴き込む楽しみ”として選びたい人
最初は「控えめ」に感じるかもしれませんが、日を追うごとに“手放せなくなる”魅力があります。
🧘♂️ 派手な音が苦手、でも解像感はほしい人
ドンシャリ系に疲れてしまった人、モニターライクな音を好む人にもマッチします。
▶ 他製品と比較した時の“価値”
価格帯で見れば、「Aether」は2万円台。
同価格帯で平面駆動ドライバーを搭載しているイヤホンは少なく、「技術の面白さ+音の完成度+価格のバランス」で考えると、抜きん出た存在と言えます。
ポイント:
- 平面駆動の広がり・明瞭さを実感できる「入り口」として最適。
- 上位機種にありがちな“高音の鋭さ”や“低音の暴力感”がなく、万人受けしやすい。
- シンプルで完成されたチューニングだからこそ、リケーブルやイヤピース交換での変化も楽しめる。
▶ 総合評価
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
サウンドバランス | ★★★★★ | 中庸で万能。疲れない音。 |
解像度 | ★★★★★ | 特に中高域の分離感・ディテールに優れる。 |
音場・定位 | ★★★★☆ | 開放型並みとは言わないが、密閉型としては広め。 |
装着感 | ★★★★☆ | 軽量&安定。ただし耳が小さい人は注意。 |
使い勝手 | ★★★★☆ | ケーブルの質感だけが惜しい。 |
コスパ | ★★★★★ | 平面駆動×この音質でこの価格は驚異的。 |
Kiwi Ears 「Aether」レビューの総括
Kiwi Ears 「Aether」は、今のイヤホン市場の中で特別目立つ存在ではないかもしれません。
けれど、実際に手に取って聴いてみると、その「派手さのなさ」こそが最大の魅力だと気づかされます。
15.3mmの大口径平面駆動ドライバーは、ただスペックを誇るだけでなく、一音一音に明確な輪郭と温度感を与えてくれる。
ボーカルがふわっと浮かび上がる瞬間、空間に溶けるようなストリングスの余韻、サブベースの自然な沈み込み——それらがすべて、聴き手の意識を音楽の中に優しく引き込んでくれるのです。
装着感や使い勝手の面でもよく練られており、毎日の生活の中にすっと溶け込むような気軽さがあります。
何気ない時間、何気ない一曲が、ふと心に残る瞬間に変わる。「Aether」はそんな“気取らない感動”を届けてくれるイヤホンでした。
価格、音質、快適さ、そのすべてにおいてバランスが取れていて、「これが初めての平面駆動でも間違いない」と言えるモデルです。
だからこそ、リスニングにこだわりたい人にも、ただ心地よく音楽を楽しみたい人にも、迷わず勧められます。
目立たないけれど確かな存在感。
「Aether」は、あなたの“音楽の時間”に静かに寄り添い続けてくれるはずです。
