国産オーディオブランド「Maestraudio(マエストローディオ)」が送り出す 「MAPro1000 II」 は、前作の「MAPro1000」を基盤に設計を一新し、よりモニター的で洗練されたサウンドを実現した新世代イヤホンです。
価格は約1万円台前半ながら、その完成度は群を抜いており、リスニング用途はもちろん、音楽制作やモニタリングなどのプロフェッショナルな現場にも対応できるポテンシャルを秘めています。
このモデルの開発テーマは「誇張しない忠実さ」。
音楽を過度に装飾することなく、原音の質感や空気感をそのまま再現することに重点が置かれています。
低域は厚みを保ちながらもタイトに引き締まり、中域ではボーカルや楽器のディテールを自然に描き出します。
そして高域は、グラフェンコートダイナミックドライバーとセラミックコートツイーターのハイブリッド構成によって、抜けの良さと柔らかな響きを両立しています。
さらに注目すべきは、その製造クオリティの高さです。群馬県の工房で熟練職人が一つひとつ組み上げる完全なメイド・イン・ジャパン仕様であり、内部配線には銀入り半田を採用。
音の立ち上がりや高域の繊細な表現を支えるこの工程は、手作業による品質管理があってこそ実現しています。
小型軽量な筐体は長時間の装着でも負担が少なく、耳にしっかりとフィット。遮音性と通気性のバランスも良好で、集中して音に浸れる環境を作り出します。
音の忠実性、装着性、製造品質のすべてにおいて国内メーカーらしい緻密な完成度を感じさせるMAPro1000 IIは、リスニングイヤホンの枠を超えた“日常に寄り添うリファレンス機”として高く評価できる一台です。
Maestraudioとは?

Maestraudio(マエストローディオ)は、日本の群馬県に拠点を置くオーディオブランドで、企画から製造、最終組立までをすべて国内で完結させる「純国産イヤホンブランド」として知られています。
ブランド名の「Maestraudio」は、“音の指揮者=Maestro”と“Audio”を掛け合わせた造語で、音楽の本質を丁寧に再現するという理念を体現しています。
その代表作である「MAPro」シリーズは、単なるリスニングイヤホンではなく、“基準機(リファレンス)として使える”ことを目指して開発されたモニターイヤホンです。
精緻な音響設計と手作業による組み立て品質が融合し、アナログ的な温かみと現代的な解像度を両立した独自のサウンドを作り上げています。
国産ブランドとしての信頼性
Maestraudioの製品には、日本ブランドならではの緻密な品質管理が徹底されています。
特に、群馬県の工房で熟練職人が一点ずつ組み上げるという製造体制が特徴で、これは大量生産を前提とする海外ブランドにはない強みです。
主な特徴:
- 国内組立・検査体制:熟練職人による精密なハンドメイド組立。個体差が非常に少ない。
- 銀入り半田の採用:音の立ち上がりと高域の伸びを改善。微小なニュアンスまで表現可能。
- 高い装着性:耳に沿うノズル角や軽量筐体による自然なフィット感。長時間でも疲れにくい。
- 改良されたMMCXコネクター:接点補正ワッシャーと色分けカバーにより、接触安定性と扱いやすさを両立。
このように、設計から素材、組立まで「音の誠実さ」を追求する姿勢が、ブランド全体の信頼性を支えています。
設計思想と独自テクノロジー
Maestraudioの最大の特徴は、独自のハイブリッド構成にあります。
10mmのグラフェンコート・ダイナミックドライバーと、5.8mmのパッシブ型セラミックトゥイーター「RST(Reactive Sympathetic Tweeter)」を組み合わせることで、繊細かつ自然な音場を実現しています。
主要構成と狙い:
| 要素 | 内容 | 音への効果 |
|---|---|---|
| グラフェンコートDD | 深く沈み込む低域を担当 | 量感を抑えつつ安定したベース |
| パッシブ型セラミックツイーター(RST) | 高域の共振を利用し自然な拡散音を生成 | 広い音場と明瞭な定位 |
| 銀入り半田配線 | 微小信号伝送を改善 | 細部の解像度・立ち上がり向上 |
また、RSTの性能を最大限に引き出すため、狭い筐体でも高音域が効率的に前方へ放射されるよう音響シミュレーションで最適化。
これにより、小型ハウジングでも広がりのある“包み込まれる音場”を再現しています。
設計全体のテーマは「誇張しない忠実さ」。
低域の量感を必要以上に盛らず、ボーカルや楽器を自然な距離感で描き、高域は伸びやかで耳に優しい。
こうした音作りは、音楽制作者やリスニングユーザーの両方に安心して“基準”として使えることを目的としています。
MAProシリーズの位置づけ
MAProシリーズは、Maestraudioの哲学を最も分かりやすく体現した製品群です。
その中でも「MAPro1000 II」は、初代の設計思想を受け継ぎつつ、よりフラットでモニターライクなサウンドへと進化しています。
シリーズ内での特徴的な立ち位置:
- MAPro1000 II:万能なリファレンスモデル。自然な解像度と音場を両立。
- MAPro(初代):よりリスニング寄りのバランス型。
- 上位機種との違い:上位機が持つ高価なパーツを活かしつつも、コストを抑えて実用的な価格で基準機能を提供。
対象となるユーザー層は、音楽制作用途はもちろん、アニソン、J-POP、クラシック、ASMR、FPSゲームなど、幅広いジャンルで正確な音を求めるリスナー。
つまり、Maestraudioは「日本のクラフトマンシップ」と「モニター基準の再現性」を融合させたブランドであり、「MAPro1000 II」はその理念を最もバランス良く具現化した“スタンダードモデル”です。
Maestraudio 「MAPro1000 II」のデザインと装着感

Maestraudio 「MAPro1000 II」は、小型軽量ハウジングと日本製ならではの精巧な設計によって、装着時の快適さと使いやすさを両立したイヤホンです。
デザイン面では、シンプルながらも高級感を感じさせる「Frost Mint」と「Shadow Crown」の2色展開で、スタジオにも日常使用にも自然に馴染む落ち着いた仕上がりとなっています。
耳への負担を最小限に抑えるため、ハウジングの形状や重量バランスが細かくチューニングされており、「長時間つけていても疲れにくい」「動いてもズレにくい」といった評価を得ています。
小型軽量ハウジングと快適なフィット感
「MAPro1000 II」は、イヤーピースだけでなく筐体全体で耳に固定する構造を採用しています。
これにより、イヤホンの重みが一点に集中せず、耳の縁に自然にフィット。
密閉性を保ちながらも圧迫感が少ない、理想的な装着感を実現しています。
また、ノズル角度と重心バランスが緻密に調整されているため、装着中に本体が動きにくく、軽快で安定したフィット感を保ちます。
イヤホンが耳から飛び出しにくい設計のため、メガネやマスクとの併用時にもストレスが少ないのが特徴です。
装着感の特徴:
- 筐体で支える構造により、ズレにくく安定
- 通気と密閉のバランスが良く、こもり感を軽減
- 長時間リスニングでも耳が痛くなりにくい
- 小型設計で見た目もすっきり
| 観点 | 設計の工夫 | 実際の効果 |
|---|---|---|
| フィット感 | 筐体で耳に固定+軽量設計 | 落ちにくく安定した装着 |
| 遮音性 | 密閉と通気を両立した設計 | 騒がしい環境でも集中できる |
| 快適性 | ノズル角度・重心バランス最適化 | 長時間でも疲れにくい |
MMCXコネクターとケーブル仕様の改善
本機は、細部のパーツにまで改良が施されています。MMCX端子には特殊形状の接点補正ワッシャーを採用し、接触安定性と耐久性を向上。
さらに、左右を識別しやすい赤(R)・青(L)カラーリングにより、取り付けのミスを防止しています。
ケーブルは高伝導4芯OFCリッツケーブル(約120cm)を採用。
柔らかく取り回しがしやすい素材で、タッチノイズの抑制にも効果を発揮します。
標準の3.5mmプラグ仕様で、スマートフォンからオーディオインターフェースまで幅広く対応。必要に応じてリケーブルも可能です。
主な改善点:
- 接点補正ワッシャーによる信頼性向上
- カラーリングで左右を判別しやすく操作性UP
- 柔らかく絡みにくいケーブルで取り回し良好
- タッチノイズが少なくリスニングに集中できる
ケーブルの質感も軽く、机の上で使用しても絡まりにくい設計。
音質だけでなく、日常的な使いやすさにも細やかな配慮が行き届いています。
日本製ならではの高い工作精度
Maestraudioの最大の特徴は、“Made in Japan”の信頼性にあります。
群馬県の工房で熟練職人が一本ずつ手作業で組み上げており、内部配線には銀入り半田を採用。
音の立ち上がりや高域の繊細な響きを引き出すと同時に、耐久性や安定性も高めています。
製品の個体差が少ないのもポイントで、左右のハウジング精度や端子のはめ込み具合まで均一。
見た目の美しさだけでなく、使い続けるほどにわかる品質の安定感があります。
見た目はシンプルながら、触れた瞬間にわかる“精度の高さ”。
日本の工芸的な精度と現代オーディオの機能性が見事に調和した仕上がりです。
全体として、「MAPro1000 II」は軽さ・快適さ・耐久性の三拍子が揃ったイヤホンです。
毎日使うことを前提に、細部まで実用性が磨かれており、長時間のリスニングや制作作業でもストレスを感じさせません。
派手さよりも確かな信頼性と装着感を求めるユーザーにこそ、真価を発揮するデザインです。
Maestraudio 「MAPro1000 II」の音質レビュー

「MAPro1000 II」のサウンドは、「誇張しない忠実さ」をテーマに磨き上げられた非常にバランスの取れた仕上がりです。
グラフェンコート・ダイナミックドライバーとセラミックツイーター「RST」によるハイブリッド構成が、深みと透明感のある音を描き出し、モニターライクでありながら聴き心地の良い中庸な音質を実現しています。
低域から高域まで、どの帯域も過剰な演出がなく、音の輪郭を正確に再現。
音楽制作用途から日常のリスニングまで、幅広いシーンで「基準」として使えるイヤホンに仕上がっています。
低域:引き締まった量感とスピード感
低域はやや控えめながら、芯のある量感を持ち、全体のバランスをしっかりと支えます。
キックドラムのアタックが速く、余分な残響を残さないため、リズムの輪郭が非常に明確。
ベースラインもぼやけることなく、タイトでレスポンスの良い低域が印象的です。
- 量感:抑えめで上品、ブーミーさは皆無
- 解像度:高く、細かいリズムの変化も把握しやすい
- 質感:ややドライで、混濁しにくいタイトな音作り
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| ベースの明瞭さ | 弦の輪郭がくっきりと分かる |
| キックのアタック感 | 立ち上がりが速く、余韻が短い |
| 音圧のバランス | 過度に前に出ず、全体を自然に支える |
中域:ボーカルと楽器が自然に溶け合う
中域はこのイヤホンの「核」と言える部分。
ボーカルの定位は中央に安定し、声の輪郭がはっきりと浮かび上がります。
ギターやピアノの音はやや前方に広がり、全体の空間を立体的に構築。装飾のない、“素材のまま”の音を描く中域です。
楽曲の構成が多くても、各パートがぶつからず、分離の良さを保ったままバランスを維持します。
- ボーカルの位置が自然で聴き疲れしにくい
- 打ち込み系でも生楽器系でも、音の整理が美しい
- 録音環境やマスタリングの違いを正確に再現
「中域の正直さ」はこのイヤホンの魅力のひとつ。
アーティストの息づかいや録音空間の温度まで感じ取れるような、透明度の高い描写が特徴です。
高域:伸びやかで柔らかい、セラミックならではの表現力
高域は、パッシブ型セラミックツイーター「RST」による繊細な再現が光ります。
煌びやかに伸びながらも刺さらず、空間の“空気”を感じるような透明感が特徴。
特にシンバルやストリングスの余韻表現が自然で、クリアなのに穏やかな聴き心地を両立しています。
- 抜け感:軽やかで滑らか、録音空間の残響を再現
- 解像度:微細な倍音まで拾い上げる
- 耳当たり:鋭さを抑えた滑らかなチューニング
| 高域の印象 | 詳細 |
|---|---|
| シンバル | 金属的な硬さがなく、自然な減衰感 |
| ストリングス | 柔らかく艶のある伸び |
| 全体の印象 | クリアで開放的、刺さりのない美音 |
サウンドステージとモニター性能
「MAPro1000 II」は、小型筐体ながらも広がりのあるサウンドステージを実現しています。
左右の広がりだけでなく、前後方向の奥行きが感じられ、各パートが層を成して配置される立体的な空間構築が印象的です。
モニター的な定位の正確さも特徴で、音源のパンやリバーブのかかり具合を正確に把握できます。
制作用途でも信頼できる“フラットな再現性”を持ちながら、リスニングとしても十分に楽しめるバランスです。
空間表現とモニター性の特徴:
- 横方向だけでなく縦の広がりも自然
- 各音の“居場所”が明確で、混ざらない
- 高域の拡散が効いて、包まれるような臨場感
- 制作用イヤホンとしても適した正確な定位感
| 要素 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 音場の広さ | ◎ | 小型筐体とは思えないスケール感 |
| 分離感 | ◎ | 密度の高い音源でも明瞭 |
| 奥行き感 | ○ | 前後の距離感が自然 |
| モニター適性 | ◎ | EQやコンプの効きを正確に確認可能 |
ジャンル別の相性
「MAPro1000 II」は非常にフラットで、ジャンルを選ばず対応します。
特に中高域の再現性が高く、ポップス・アニソン・アコースティック系との相性が抜群です。
また、音場の広さを活かしてクラシックやサウンドトラック、ゲーム音楽、ASMRなども臨場感豊かに再現できます。
- ポップス/J-POP:ボーカルが明瞭で艶やか
- クラシック:楽器の位置関係が自然で広がりを感じる
- アニソン/EDM:高域の伸びが鮮やかで、音の勢いを損なわない
- ASMR/映像作品:空間の微細な残響が立体的に感じられる
「MAPro1000 II」の音は、ただフラットなだけではありません。
音の芯をしっかりと持ちながら、どこか温度感のある自然な響きを兼ね備えています。
派手さや強調感を排除しつつ、情報量の多さと定位の正確さを高次元で両立したサウンドは、まさに「作業と鑑賞のどちらにも寄り添う音」。
価格以上の完成度を誇る「MAPro1000 II」は、リスナーだけでなく、音作りに携わる人にとっても“信頼できる基準”となるイヤホンです。
Maestraudio 「MAPro1000 II」を使用した私の体験談・レビュー

「MAPro1000 II」を実際に数日間使い込んでみて、最初に感じたのは“音に無駄がない”という印象でした。
装着してすぐに、音の輪郭が自然に整い、どの帯域もバランス良く耳に届く感覚があります。
派手さや味付けは控えめですが、長く聴くほどにこの自然さが心地よく、まさに「基準機」という表現がしっくりきます。
使用環境とセッティング
- 再生機材:据え置きDAC/モバイル用ドングルDACを併用
- 接続方法:3.5mmシングルエンドを中心に使用、一部4.4mmバランスも検証
- イヤーピース:iSep02(モニター志向)とiReep01(音場志向)を曲によって使い分け
音源はロスレス配信を中心に、ボーカル主体のJ-POPやアコースティック、クラシック、ゲーム音楽など幅広く試しました。
初めて聴いた瞬間の印象
最初の30分で感じたのは、音が整っていて、耳の中で自然に定位すること。
低音は必要十分な量感がありながらも膨らまず、ベースラインの動きが明瞭。
中域ではボーカルが前に出過ぎず、楽器との距離感も絶妙で、録音空間がしっかり感じられます。
高域は伸びやかで抜けが良く、刺さりを全く感じません。
「派手さよりも正確さ」
聴き込むほどに、音の輪郭が美しく浮かび上がってくるタイプのイヤホンです。
日常で使って感じた快適さ
通勤時やカフェでの作業中に使っても、装着の安定感が高く、耳への負担が少ないことが印象的でした。
小型筐体が耳にしっかり収まり、動いてもズレることがありません。
遮音性も高いため、電車内でも音量を上げずにディテールを楽しめます。
また、ケーブルが柔らかくタッチノイズが少ない点も快適です。
特にデスクでタイピングをしていても、ケーブルが邪魔にならず、ストレスを感じませんでした。
制作・編集用途での使い心地
試しに自分で録音したボーカル音源をチェックしたところ、コンプレッサーやEQの効き具合が非常に分かりやすいと感じました。
例えば、ボーカルの子音が強調されすぎていないか、リバーブの残響がどこまで伸びているか――そういった細かい部分を聴き分けやすいのです。
この正確さは、まさに“モニターイヤホン”と呼ぶにふさわしいもので、音作りの判断を誤らない安心感がありました。
ジャンルごとの印象
| ジャンル | 印象 |
|---|---|
| ポップス | ボーカルの位置が自然で、リスニングの心地よさが抜群。音が立体的。 |
| アコースティック | ピアノやギターの響きが繊細で、空気感をリアルに再現。 |
| クラシック | 弦の伸びやホール感が素晴らしく、奥行きがしっかり出る。 |
| EDM/アニソン | 高域が伸びつつ耳に優しい。刺激的な曲でも聴き疲れが少ない。 |
| ASMR/環境音 | 微細な残響まで明確で、空間の“奥”がしっかり感じられる。 |
特にボーカル中心の楽曲やピアノソロでは、「MAPro1000 II」の「誠実な中域」が際立ちます。
声の表情や空気の揺れが、自然に耳へ届くのが魅力です。
イヤーピースによる音の違い
- iSep02:定位がシャープで、音像の輪郭が明確。ミックス確認や制作作業に最適。
- iReep01:音場が広がり、ライブ音源やクラシックの臨場感が増す。
曲や目的に応じて切り替えることで、“聴く”と“確認する”の両方に対応できるのが便利でした。
3.5mmと4.4mm接続の比較
| 接続方式 | 音の傾向 | 使用感 |
|---|---|---|
| 3.5mm(シングルエンド) | 自然なまとまりがあり、全体の一体感が強い。 | 普段使い・リスニングに最適。 |
| 4.4mm(バランス) | 分離がより明確になり、音場が一段広く感じる。 | 制作・定位確認に向く。 |
どちらも大きな差はないものの、3.5mmの方が音楽としての“まとまり”を感じやすく、リラックスして聴くにはこちらが好みでした。
使用してみての総合的な印象
「MAPro1000 II」を使って強く感じたのは、音を飾らず「ありのままに伝える」誠実さでした。
低域はタイトで膨らまず、中域はボーカルや楽器を自然な距離感で描き、高域は滑らかに伸びる。
派手さはないものの、聴くほどに音の輪郭や空気感が丁寧に浮かび上がってきます。
通勤中や制作作業など、どんな環境でも音の印象が変わらず、常にフラットで信頼できる再現性を維持してくれるのも印象的でした。
耳をリセットして「音の基準」を取り戻したいとき、このイヤホンは静かにその役目を果たしてくれます。
「MAPro1000 II」は、精密さと聴きやすさを両立した“日常に寄り添う基準機”。
音を判断するツールでありながら、音楽そのものを純粋に楽しませてくれる、誠実で信頼できるイヤホンだと感じました。
Maestraudio 「MAPro1000 II」に関するQ&A

Maestraudio 「MAPro1000 II」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「MAPro1000 II」はどんなイヤホンですか?
国産ブランド「Maestraudio」によるハイブリッド構成イヤホンで、10mmグラフェンコートDDと5.8mmセラミックツイーターRSTを搭載したモデルです。モニター的な正確さとリスニングの心地よさを両立し、「誇張しない忠実さ」をテーマに設計されています。
前作「MAPro1000」との違いは何ですか?
音のチューニングが見直され、よりモニターライクでフラットなバランスに仕上がっています。また、内部配線に銀入り半田を採用し、MMCXコネクターの接触精度も改良。装着性やケーブルの取り回しも改善され、日常使用でも安定感が増しました。
音の特徴を一言で表すと?
「正確で自然」。低域は締まりがあり、中域は透明感と厚みを両立、高域は伸びやかで耳に優しい音。全帯域でバランスが取れており、長時間聴いても疲れにくいサウンドです。
どんな音楽ジャンルに向いていますか?
幅広いジャンルで高い適応力を見せますが、特に以下の傾向があります。
- J-POP/アコースティック系:ボーカルが自然に浮かび上がる
- クラシック/サウンドトラック:空間の広がりと奥行きが明確
- EDM/アニソン:抜けの良さと定位の正確さが際立つ
装着感はどうですか?
小型筐体を採用し、耳の形状に沿って自然にフィットします。イヤーピースで支えるのではなく筐体全体で固定するため、長時間でも疲れにくく、密閉感と通気性のバランスも良好です。
モニター用途にも使えますか?
はい。音の定位が明確で、EQやコンプレッサーのかかり具合なども判断しやすいチューニングです。録音やミックス作業の確認にも十分対応できる性能です。
付属イヤーピースの違いは?
- iSep02:フラットで定位が明確。制作や分析に最適。
- iReep01:音場を広げるチューニングで、ライブ音源や映画などの臨場感重視におすすめ。
ケーブルや端子に特徴はありますか?
高伝導OFCリッツケーブルを採用し、柔らかく絡みにくい素材です。MMCX端子には接点補正ワッシャーを新採用しており、接触安定性が向上。リケーブルにも対応しています。
音量を上げても聴き疲れしませんか?
チューニングが自然で、ピーク帯域に強い刺激がないため聴き疲れしにくいです。中〜高音域のバランスが良く、長時間のリスニングでも快適です。
購入前に注意すべき点はありますか?
「MAPro1000 II」は“モニター寄り”の傾向があるため、低音の強調や煌びやかなサウンドを好む方には物足りなく感じる場合があります。リスニング重視のイヤホンというより、音を正確に聴きたい方向けです。
バランス接続(4.4mm)に対応していますか?
付属ケーブルは3.5mmシングルエンドですが、別売りで4.4mmバランスケーブルが用意されています。
4.4mm接続にすることで、音の分離感や音場の広さがわずかに向上します。制作時や空間表現を重視したい方にはおすすめです。
どんな再生環境で最も性能を発揮しますか?
解像度の高いDACやドングルDACを使うと、中高域の透明感と定位の精度が際立ちます。
一方でスマートフォン直挿しでも音のバランスが崩れにくいため、環境を選ばず安定した音を再生できます。ポータブル用途でも十分性能を発揮する万能型です。
Maestraudio 「MAPro1000 II」レビューのまとめ

「MAPro1000 II」 は、1万円台前半という価格帯で「誇張しない忠実さ」と「毎日使える基準機」という難題をまっすぐに解いてきた優等生です。
10mmグラフェンDD+5.8mmセラミック“RST”のハイブリッド構成は、低域のタイトさ・中域の素直な質感・高域の透明感を高い次元で両立。
群馬の工房での国内組立や銀入り半田、改良MMCXなど、音の土台と信頼性を支える要素も揃っています。
装着性は小型軽量×面で支える設計により長時間でも快適。
制作から日常リスニングまで、用途を選ばない完成度です。
総合評価
- 音作り:フラット基調で“整った音像”。派手さは抑え、情報量と聴きやすさを両立。
- 装着/使い勝手:小型で安定、タッチノイズ少なめ。左右色分けMMCXで扱いやすい。
- 作り:国内組立+銀入り半田で細部まで丁寧。個体差も少なく安心。
- コスパ:価格帯を超える“基準機”性能。長く使える普遍性が強み。
向いている人・向いていない人
おすすめしたい人
- 原音忠実寄りのフラットサウンドを基準にしたい
- 制作・配信・動画編集などで判断ブレの少ないモニターが必要
- 小型で長時間でも疲れにくい装着感を重視
- 国産の組立品質と信頼性を求める
他機を検討したい人
- 低域の量感や“ドンシャリ”の派手さを常に欲しい
- 高域に強い刺激や“エッジの鋭さ”を求める
相性の良い用途・ジャンル
- 制作・チェック:EQ/コンプ/リバーブの効きを判断しやすい
- J-POP/アニソン/シティポップ:ボーカルの位置と輪郭が自然
- アコースティック/クラシック:ホール感・余韻・定位が整う
- ゲーム/サントラ/ASMR:広い音場と微小音の再現で没入しやすい
付属品の活かし方
| シーン | イヤーピース | ねらい |
|---|---|---|
| 制作・ミックス確認 | iSep02 | 定位・輪郭優先、最もフラットに聴ける |
| 映像・クラシックを“浸って”聴く | iReep01 | 音場が一段広がり、包まれ感が増す |
微調整のヒント
- 低域を少し厚くしたい:80–100Hzを+1〜2dB
- 明るさをほんの少し抑えたい:6–8kHzを−1dB
- 3.5mmで自然な一体感、4.4mmで分離と音場の拡張(好みと用途で選択)
Maestraudio 「MAPro1000 II」レビューの総括
Maestraudio 「MAPro1000 II」は、派手さや強調を排した“誠実な音づくり”を貫くことで、音楽の本質と真摯に向き合うイヤホンです。
前作の魅力を継承しつつ、チューニングや構造を丹念に磨き上げたことで、モニター的な精度とリスニングの心地よさを見事に両立させています。
低域は深く沈みながらも輪郭が明瞭で、中域はボーカルや楽器の存在感を自然に描き、高域は滑らかに伸びて空気の揺らぎまで丁寧に表現。
そこに国内組立ならではの精密な造りと快適な装着性が加わり、長時間の使用でも耳も心も疲れない完成度に仕上がっています。
特定のジャンルや機材に依存せず、音楽をありのままに伝える姿勢は、日常のリスニングにも制作の現場にも自然に馴染むものです。
音を分析したい時にも、ただ没頭して聴きたい時にも、「MAPro1000 II」は常にニュートラルな立ち位置で音を届けてくれる。まさに“基準機”という言葉がふさわしい存在です。
どんな時も音の中心に立ち、耳をリセットしてくれる──「MAPro1000 II」は、音楽と真剣に向き合いたい人に寄り添う、日本発の確かな答えです。


