「音楽を聴く」という行為は、スマートフォンとイヤホンがあればいつでも可能です。
しかし、部屋の空気を震わせ、体全体で「音楽を浴びる」ような没入感は、やはりスピーカーでしか味わえない特別な体験です。
市場には数えきれないほどのBluetoothスピーカーが溢れていますが、「音質は良いが無骨すぎる」「おしゃれだが音が軽い」といったジレンマを感じたことはないでしょうか。
そんな音質とデザイン、どちらも妥協したくない方にこそ手に取っていただきたいのが、Marshall(マーシャル)の「EMBERTON Ⅲ(エンバートン 3)」です。
半世紀以上にわたりロック界のレジェンドたちに愛され、ステージの象徴として君臨してきたMarshall。
その「ロックの魂」と、アンプをそのまま縮小したような「クラシックなデザイン」を、手のひらサイズに凝縮したのがこのEMBERTONシリーズです。
この記事では、前モデルから正統進化した「EMBERTON Ⅲ」を徹底レビューします。
単なるスペック比較にとどまらず、「このスピーカーがデスクにあるだけで、仕事のモチベーションがどう変わるのか」「リビングやバスルームでの時間がどれほど豊かになるのか」といった、実際の生活シーンに根ざした体験談を中心にお届けします。
もしあなたが、単なる再生機器ではなく、所有する喜びを感じられる「相棒」を探しているなら、このスピーカーは間違いなくその答えの一つです。
なぜ多くの音楽ファンがこの小さな箱に魅了されるのか、その理由を一緒に紐解いていきましょう。
- Marshall 「EMBERTON Ⅲ」の進化と基本スペック
- Marshall 「EMBERTON Ⅲ」の音質徹底レビュー:サイズを超越した「轟音」の正体
- Marshall 「EMBERTON Ⅲ」の機能性と操作性の深掘り解説
- Marshall 「EMBERTON Ⅲ」を使用した私の体験談・レビュー
- Marshall 「EMBERTON Ⅲ」に関するQ&A
- バッテリーは本当に32時間も持ちますか?
- お風呂で使っても本当に壊れませんか?
- 2台接続してステレオ再生(スタックモード)はできますか?
- 動画を見た時の音ズレ(遅延)は気になりますか?
- 有線接続(AUX)はできますか?
- 高音質コーデック(LDACやaptX)には対応していますか?
- マイクの通話品質は実用的ですか?
- スピーカーからスマホを充電する機能(モバイルバッテリー機能)はありますか?
- シリコンボディに埃(ホコリ)がついた時はどうすればいいですか?
- さらに小型の「Willen Ⅱ」と迷っています。どちらがおすすめですか?
- 音楽を止めたまま寝てしまっても大丈夫ですか?
- Bluetoothの接続距離はどのくらいですか?
- 車のドリンクホルダーに入りますか?車載スピーカーとして使えますか?
- バッテリー残量はどこで確認できますか?
- 並行輸入品や偽物が出回っていると聞きましたが、見分け方はありますか?
- Marshall 「EMBERTON Ⅲ」レビューのまとめ
Marshall 「EMBERTON Ⅲ」の進化と基本スペック

まずは、「EMBERTON Ⅲ」がハードウェアとしてどのような進化を遂げたのか、客観的なデータとデザイン、そしてその背景にあるブランドの思想から深く解説します。
前作「EMBERTON Ⅱ」も完成度の高い製品でしたが、Ⅲでは現代のテクノロジーとユーザーの声を反映した、極めて実用的なブラッシュアップが施されています。
EMBERTON Ⅱからの主な変更点と進化
新旧モデルの違いを詳細に把握することは、買い替えを検討しているユーザーにとっても、初めてMarshallを手にするユーザーにとっても重要です。
単なるスペック表の数値以上に、実際の使用感にどう影響するのかを解説します。
| 項目 | EMBERTON Ⅲ (最新) | EMBERTON Ⅱ (旧モデル) | 進化のポイントと恩恵 |
| 連続再生時間 | 最大約32時間 | 最大約30時間 | +2時間の余裕。数字以上の安心感があり、2泊3日のキャンプでも充電器不要。 |
| Bluetooth規格 | Ver 5.3 / LE Audio対応 | Ver 5.1 | 接続安定性の向上、低遅延化。人混みや電波干渉の多い場所でも途切れにくい。 |
| マイク搭載 | あり | なし | 待望の機能。音楽鑑賞用から「仕事道具」としても使えるデバイスへ進化。 |
| バッテリー保護 | あり (アプリ設定) | なし | 「いたわり充電」機能を搭載。数年単位での使用を見据えた寿命対策。 |
| サイズ | H68 x W160 x D76 mm | H68 x W160 x D76 mm | サイズ感はそのままに中身が進化。既存のキャリングケースなども流用可能。 |
| 重量 | 約670g | 約700g | 約30gの軽量化。スマホ1/5台分軽くなった計算。持ち運びの負担減。 |
| 防水防塵 | IP67 | IP67 | 最高水準を維持。砂浜でもお風呂でも完全対応。 |
特筆すべきはやはり「マイクの搭載」です。
これまでのEMBERTONシリーズは「音楽再生専用機」という硬派な立ち位置でしたが、マイクがついたことで、デスクワーク中のWeb会議や、料理中で手が離せない時の通話応答など、日常の「実用性」が飛躍的に向上しました。
所有欲を満たすクラシックデザインと質感
Marshall製品を選ぶ最大の理由と言っても過言ではないのが、その圧倒的なデザイン性とビルドクオリティです。
他のプラスチック筐体のスピーカーとは一線を画す、「楽器」としての風格があります。
- 象徴的なスクリプト・ロゴとメタルグリル:
フロントのメタルグリル中央に配された「Marshall」の白いロゴ。
これは単なるプリントではなく、しっかりと立体的に配置されています。
グリル部分はマイクなどのスタジオ機材を彷彿とさせる金属製メッシュで、堅牢さと高級感を両立しています。 - アンプを彷彿とさせるテクスチャ:
ボディ全体を覆うのは、ギターアンプのキャビネットを模したレザー調のシリコン素材です。
リサイクルプラスチックを使用しながらも、安っぽいテカリは皆無。
しっとりとした手触りと適度なグリップ感があり、片手で持った時に滑り落ちる不安がありません。
指紋がつきにくいのも日常使いには嬉しいポイントです。 - 真鍮色のコントロールノブ:
天面に配置されたマルチディレクショナル・コントロールノブは、真鍮(ブラス)のようなゴールドカラー。
黒いボディとのコントラストが美しく、同心円状のスピム加工が施されており、光の当たり方で輝きが変わります。
操作するたびに適度なクリック感があり、アナログオーディオを操作しているような悦びを味わえます。 - 起動音のギミック:
電源を入れると、Marshallおなじみのギターリフ音が鳴り響きます。
この一瞬の演出が、「これから音楽を聴くぞ」というスイッチを入れてくれます。
(※アプリで音のオンオフも可能です)
デスクの上にポンと置くだけで、空間が引き締まる。
「音楽を聴かない時でも眺めていたくなる」プロダクトデザインは、他メーカーの追随を許しません。
IP67防塵防水と最大32時間再生のタフネス性能
見た目はクラシックなアンプのようですが、中身はアウトドア仕様のタフネスさを備えています。
IP67等級の防塵・防水性能は、ポータブルスピーカーとして最高クラスです。
- 「6」の防塵性能:
粉塵が内部に侵入しない完全な防塵構造です。
砂埃が舞うキャンプ場や、DIY作業中の工房など、過酷な環境でも故障のリスクを最小限に抑えます。 - 「7」の防水性能:
規定の圧力、時間(水深1mに30分間)で水中に没しても水が浸入しない構造です。
雨の日のバルコニー、シャワーの水しぶきがかかるバスルーム、さらには万が一プールに落としてしまっても、すぐに拾い上げれば問題ありません。
泥汚れがついたら水道で丸洗いできるメンテナンス性の高さも魅力です。
さらに、最大32時間の連続再生という驚異的なバッテリー持ちも大きな武器です。
一般的なポータブルスピーカーが10〜15時間程度であることを考えると、その倍以上のスタミナを誇ります。毎日1〜2時間の使用なら、充電は月に2回程度で済みます。
また、急速充電にも対応しており、20分の充電で約6時間の再生が可能です。
「出かけようとしたら充電がない!」という絶望的な状況でも、身支度をしている間に半日分のバッテリーを確保できるのは、忙しい現代人にとって非常に大きなメリットです。
次世代規格「LE Audio」対応への期待
EMBERTON Ⅲは、Bluetoothの次世代規格である「LE Audio(Low Energy Audio)」への対応準備が整っています(※将来的なアップデートで対応予定)。
これは単に省電力になるだけでなく、「Auracast(オーラキャスト)」という新しい放送オーディオ機能への扉を開くものです。
Auracastに対応すれば、将来的には以下のような使い方が可能になると期待されています。
- 複数台の無制限接続:
友達が持っているEMBERTON Ⅲや、他のAuracast対応スピーカーと一緒に、同じ音楽を遅延なく一斉に流すパーティモード。 - 公共空間での受信:
空港やジムのテレビ音声を、自分のスピーカーやイヤホンで受信する。
現時点ではまだ普及途中の技術ですが、数年先まで見据えた「長く使えるハードウェア」として設計されている点は、消費者として非常に信頼がおけます。
Marshall 「EMBERTON Ⅲ」の音質徹底レビュー:サイズを超越した「轟音」の正体

デザインが良いのは分かりましたが、オーディオ機器である以上、肝心なのは「音」です。
結論から言うと、EMBERTON Ⅲは「サイズ詐欺」と言いたくなるほどの迫力と、小音量時の繊細さを兼ね備えたサウンドを鳴らします。
圧倒的な低音とクリアな中高域のバランス
このサイズ(500mlペットボトルより少し太いくらい)のスピーカーでは、物理的な制約から低音が不足し、音が軽く(シャカシャカ)なりがちです。
しかし、EMBERTON Ⅲはその常識を覆します。
- リッチで重厚な低音の秘密:
背面に搭載されたパッシブラジエーターの恩恵により、ベースラインやドラムのキック音が「ズンッ」と腹に響くような量感を持っています。
特に、筐体が振動するほどのパワーがあり、デスクに置くとその振動がキーボードを打つ手に伝わってくるほどです。
これはロックやEDMのグルーヴを感じる上で非常に重要です。 - 「ダイナミック・ラウドネス」機能:
Marshall製品の隠れた名機能がこの「ダイナミック・ラウドネス」です。
音量に合わせて音の帯域バランスを自動で調整してくれます。
通常、人間の耳は音量が小さいと低音や高音が聞こえにくくなりますが、この機能のおかげで、夜間に小音量で再生しても、低音の厚みやボーカルの輪郭が痩せません。
BGMとして小さく流す時でも「良い音」を維持できるのは、この機能のおかげです。
360°全方位サウンド「トゥルーステレオフォニック」の実力
EMBERTON Ⅲのアイデンティティとも言えるのが、Marshall独自の「トゥルーステレオフォニック(True Stereophonic)」技術です。
多くのポータブルスピーカーがモノラル、あるいは指向性の強いステレオであるのに対し、EMBERTON Ⅲは「全方位」に音を放ちます。
これは、スピーカーの前後左右から計算された音を出力することで、聴く位置に依存しないリスニング体験を提供するものです。
- リスニングポイントからの解放:
一般的なスピーカーは、正三角形の頂点(スイートスポット)で聴くのがベストとされます。
しかし、EMBERTON Ⅲはスピーカーの真後ろにいても、横にいても、ほぼ変わらない音質と音圧で音楽を楽しめます。 - 空間支配力:
部屋の中央(例えばダイニングテーブルの真ん中)に置くと、音が360度へ放射され、壁に反射し、空間全体が音楽で満たされるような没入感を得られます。
まるで部屋全体が巨大なヘッドホンになったかのような感覚です。
ジャンル別相性診断:ロック・EDM・ジャズでの聴こえ方
私が実際に様々なジャンルの音楽を長時間聴き比べた結果を、より詳細に分析しました。
| 音楽ジャンル | 相性 | 詳細レビュー |
| ロック / メタル | ◎ (至高) | さすがMarshall。歪んだギターのリフのエッジ感、スネアドラムの「パンッ」というアタック音が非常に気持ちいい。バスドラムの重さもサイズを超えており、ライブハウスの空気感を再現します。 |
| EDM / ヒップホップ | ◎ (最高) | 重低音のレスポンスが速く、打ち込み系のビートが団子にならずにキレ良く鳴ります。サブベースの帯域もしっかりと震えを感じさせ、パーティ気分を盛り上げます。 |
| ジャズ / ブルース | ○ (良) | ウッドベースの弦が弾ける音や、サックスのブレス音など、中低域の豊かさが活きます。古い録音のアナログ感とも相性が良く、温かみのあるサウンドになります。 |
| J-POP / アニソン | ○ (良) | ボーカルが埋もれず前面に出てきます。最近の複雑な構成の曲でも音数をごちゃつかせず、ボーカル・ベース・ドラムを分離して鳴らし切ります。 |
| クラシック | △ (普通) | 決して悪くはありませんが、Marshall特有の「元気な音」が、静寂や繊細なダイナミクスを重視するオーケストラとは少し合わない場合があります。弦楽器の艶やかさは綺麗ですが、ホールトーンの再現はやや苦手です。 |
| ポッドキャスト | △ (注意) | 男性の低い声のラジオなどは、低音が響きすぎて「モゴモゴ」して聞こえる場合があります。アプリのEQで「VOICE」モードにすれば劇的に改善します。 |
Marshall 「EMBERTON Ⅲ」の機能性と操作性の深掘り解説

EMBERTON Ⅲは、アナログな操作感とデジタルの利便性を高い次元で融合させています。
説明書を読まなくても使えるほど直感的ですが、知っておくと便利な機能も満載です。
直感的なコントロールノブと操作感
天面の中心にある金色のマルチディレクショナルコントロールノブ(ジョイスティック)は、デザインアクセントであると同時に、優れたUIデバイスです。
一つのボタンで以下の操作が完結します。
- 上下: 音量の調整(細かく刻めるので微調整が可能)
- 左右: 曲送り / 曲戻し
- 押し込み: 再生 / 一時停止
- 長押し: 電源オン / オフ
- Bluetoothペアリング: 電源オン状態でBluetoothボタン(別途あり)を長押し
これらが指一本、直感的に行えます。
タッチパネル式は見た目がスマートですが、水濡れ時に反応しなかったり、見ていないと操作ミスをしたりします。
物理ボタンならではの確かなクリック感は、お風呂場や暗い寝室での操作において圧倒的なアドバンテージとなります。
マルチポイント接続でスマホとPCをシームレスに
現代の必須機能とも言える「マルチポイント接続」に対応しています。
これは同時に2台のデバイスとBluetooth接続を維持できる機能です。これが具体的にどのようなシーンで便利かと言うと:
- シナリオ:
自分のiPhoneでSpotifyのプレイリストを流しながら作業中。
↓ 会社のiPadでWeb会議(Zoomなど)に参加する必要が出た。
↓ 操作: iPhoneの音楽を停止し、iPadで通話を開始するだけ。
↓ 結果: EMBERTON Ⅲが自動的にソースを切り替え、iPadの音声を出し始めます。
いちいちBluetooth設定画面を開いて「接続解除」→「再接続」をする必要がありません。
OSが異なるデバイス間(AndroidとMacなど)でもスムーズに切り替わるため、複数のガジェットを使いこなす現代人には必須の機能です。
専用アプリ「Marshall Bluetooth」とバッテリー保護機能
専用アプリ「Marshall Bluetooth」をインストールすることで、EMBERTON Ⅲの隠れた能力を引き出せます。
- イコライザー(EQ)プリセット:
- MARSHALL: Marshallが考える最適なバランス音(デフォルト)。最も迫力があります。
- PUSH: 低音と高音を強調したいわゆるドンシャリ設定。小音量時や、よりメリハリが欲しい時に。
- VOICE: 中音域(人の声)を強調し、低音を抑える設定。ラジオ、ポッドキャスト、Web会議、そしてお風呂場での反響対策に最適です。
- バッテリー保護機能(Battery Preservation): この機能はアプリからのみ設定可能です。
- 充電上限の制限: 常に100%まで充電せず、95%程度で止めることでバッテリーへの負荷を減らす。
- 充電速度の調整: 急がない時はゆっくり充電することで熱の発生を抑える。 これらの設定をオンにしておくことで、内蔵リチウムイオンバッテリーの寿命を延ばし、数年後も現役で使える状態を維持できます。
Marshall 「EMBERTON Ⅲ」を使用した私の体験談・レビュー

ここからは、実際に私がEMBERTON Ⅲを導入して、生活スタイルや空間の使い方がどう変わったのか、具体的なシーンを交えた体験談をお話しします。
デスク環境:PCスピーカーとして構築する没入空間
私は普段、デスクで執筆や編集作業をすることが多いのですが、モニターの下のデッドスペース(モニターアーム下の空き地)にEMBERTON Ⅲを設置してみました。
- ケーブルレスの解放感:
これまでは有線のPCスピーカーを使っていましたが、ケーブルがスパゲッティ状態になるのが悩みでした。
EMBERTON Ⅲは完全ワイヤレスなので、デスク周りが劇的にスッキリします。
充電も数週間に一度、USB-Cケーブルを挿すだけです。 - 「集中」と「休憩」のスイッチ:
作業中は小さめの音量でLo-Fi Hip Hopを。
これだけでカフェのような集中空間が生まれます。そして休憩時には、音量を上げて好きなロックを流し、ノブを操作して曲を飛ばす。
この物理的なアクションが、気分の切り替えスイッチになります。 - Web会議用スピーカーとして:
マイク性能もテストしてみました。
静かな部屋であれば、PC内蔵マイクよりもクリアに声を拾ってくれます。
相手の声も、スピーカーの豊かな中音域のおかげで、キンキンせずに非常に聞き取りやすいです。
長時間の会議でも耳が疲れないのは意外な発見でした。
リビング:部屋のどこにいても「特等席」になる感覚
リビングのコーヒーテーブルに置いて音楽を流した時、「トゥルーステレオフォニック」の真価を感じました。
- BGMとしての優秀さ:
掃除機をかけながら部屋を移動しても、キッチンで料理をしていても、ベランダで洗濯物を干していても、音が途切れることなく、常に音楽に包まれている感覚があります。
指向性の強いスピーカーだと「スピーカーの向き」を気にしなければなりませんが、EMBERTON Ⅲはその必要がありません。 - ホームパーティでの活躍:
友人を招いた際、センターテーブルにこれを置きました。
360度どこに座っている人にも均等に音が届くため、特定の席の人だけうるさいということがありません。
会話を邪魔しない絶妙な存在感で、その場の空気を温めてくれました。
「これ、どこのスピーカー?かっこいいね」と話題のきっかけになるのも、Marshallならではの魅力です。
バスルーム:反響する空間での低音の鳴り方と対策
防水性能(IP67)を試すべく、バスルームにも持ち込んでみました。
結果として、お風呂での音楽体験は格別なものになりましたが、一つだけ注意点と解決策があります。
- 課題:
低音の反響 ユニットバスのような狭くて壁が硬い空間では、EMBERTON Ⅲのパワフルな低音が反響しすぎて、「ブーミー(低音が膨らみすぎて音がぼやける)」になりがちです。
音がワンワンと唸るような状態です。 - 解決策:
EQ「VOICE」モード ここで役立ったのがアプリのEQ設定です。
スマホをお風呂に持ち込む(防水ケース推奨)か、脱衣所で事前に「VOICE」モードに切り替えます。
すると低音がスッと抑えられ、ボーカルや歌詞がクリアに聞き取れるようになります。
お風呂の電気を消して、キャンドルライトのような温かい光の中で、ゆったりとしたジャズやピアノ曲を聴く。
そんな非日常的なリラックスタイムを自宅で再現できるのは、このタフなスピーカーならではの贅沢です。
長時間リスニング:聴き疲れしない音作りとバッテリー持ち
休日に朝から晩までラジオや音楽を流しっぱなしにしてみましたが、バッテリーインジケーターは半分も減っていませんでした。
「充電しなきゃ」という強迫観念から解放されるのは素晴らしいです。
また、音質に関しても「聴き疲れ」が少ないと感じました。
安価なスピーカーにありがちな高音の刺さりや、人工的なブースト感がなく、角が取れたウォームな音色です。
長時間BGMとして流していても、耳への負担が少なく、自然と生活音に溶け込みます。
所有してわかった「音楽を浴びる」という新しい体験
EMBERTON Ⅲを手にして一番変わったのは、「音楽を聴く場所」の固定概念がなくなったことです。
これまでは「良い音で聴くなら書斎のコンポの前」と決まっていましたが、今は寝室のサイドテーブル、天気の良いベランダ、車の中(ドリンクホルダーには入りませんが、ダッシュボードやシートに置いて)、どこでも「Marshallのサウンド」を持ち運べます。
スマホのスピーカーで聴くYouTubeと、EMBERTON Ⅲで聴くそれは、同じコンテンツでも受ける感動の深さが違います。
単に音が大きくなるだけでなく、音の厚み、空気の振動が伝わることで、コンテンツへの没入感が段違いになるのです。
映画鑑賞時にタブレットの脇にこれを置くだけで、簡易的なホームシアターのような迫力が生まれます。
体験談の総括
デスクワークの相棒として、リラックスタイムの演出家として、そしてアウトドアの盛り上げ役として。
EMBERTON Ⅲは私の生活のあらゆるシーンに「良質な音」と「ロックな雰囲気」をプラスしてくれました。
多少の価格の高さはありましたが、毎日目にするインテリアとしての満足度、そして「音」に対するストレスのなさを考えれば、所有する喜びを感じさせてくれる稀有なガジェットだと断言できます。
「音を聴くための道具」を超えて、「生活を豊かにするための家具」に近い感覚。
それがEMBERTON Ⅲを使い続けて得た結論です。
Marshall 「EMBERTON Ⅲ」に関するQ&A

Marshall 「EMBERTON Ⅲ」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました
バッテリーは本当に32時間も持ちますか?
音量によりますが、一般的な使用ではスペックに近い時間を実感できます。
公称値の「最大32時間」は中程度の音量での測定値です。実際に私がBGMとして聞き流す程度の音量(30〜40%)で使用した際は、数日間充電しなくてもインジケーターがほとんど減りませんでした。ただし、屋外などで最大音量に近い状態で連続再生した場合は、消費電力が増えるため再生時間は短くなります。それでも、1日のキャンプやパーティでバッテリー切れになる心配はまずありません。
お風呂で使っても本当に壊れませんか?
はい、IP67規格なので問題ありません。
水深1mに30分沈めても内部に浸水しない設計になっています。シャワーの水がかかったり、誤って浴槽に落としてしまったりしても、すぐに拾い上げれば故障することはありません。ただし、充電ポート(USB-C端子)が濡れた状態で充電ケーブルを挿すのは厳禁です。お風呂で使用した後は、しっかりと水分を拭き取り、完全に乾燥させてから充電してください。
2台接続してステレオ再生(スタックモード)はできますか?
はい、「スタックモード(Stack Mode)」に対応しています。
EMBERTON Ⅲを複数台(またはEMBERTON Ⅱとも接続可能)用意し、Bluetoothボタンを3回押すだけで簡単にリンクできます。これにより、音場をさらに広げたり、大音量で迫力のある再生が可能になります。広いリビングや屋外パーティなどで、より強力なサウンドが必要な場合に便利です。
動画を見た時の音ズレ(遅延)は気になりますか?
YouTubeやNetflixなどの動画視聴ではほぼ気になりません。
Bluetooth 5.3に対応しており、接続安定性と低遅延性能は非常に高いです。さらにアプリで「オーディオ・ビデオ」の同期補正などの設定はありませんが、一般的な動画コンテンツであれば口の動きと音声のズレを感じることは少ないでしょう。ただし、音ゲー(リズムゲーム)やFPSなど、シビアなタイミングが求められるゲームにおいては、わずかな遅延を感じる可能性があります。
有線接続(AUX)はできますか?
いいえ、できません。
EMBERTON Ⅲはワイヤレス専用設計となっており、3.5mmステレオミニジャックなどの外部入力端子は搭載されていません。PCやレコードプレーヤーなどと有線で接続したい場合は注意が必要です。
高音質コーデック(LDACやaptX)には対応していますか?
現時点ではSBC、AACに対応しており、将来的には「LC3」に対応予定です。
SonyのLDACやQualcommのaptXといったハイレゾ相当のコーデックには対応していません。しかし、iPhone(AAC)やAndroidで聴く分には十分高音質です。また、今後アップデートで対応予定の次世代規格「LE Audio(コーデック:LC3)」は、SBCよりも低ビットレートで高音質かつ低遅延を実現するため、これからのスマホとの組み合わせでさらなる音質向上が期待できます。
マイクの通話品質は実用的ですか?
はい、静かな屋内であれば十分にクリアです。
今回から初搭載されたマイクは、PCやスマホの内蔵マイクよりも音声をしっかりと拾ってくれます。特にZoomやTeamsなどのWeb会議では、スピーカー自体の人の声の聞き取りやすさ(中音域のクリアさ)も相まって、快適に通話が可能です。ただし、風切り音対策などは専用のヘッドセットほど強力ではないため、風の強い屋外での通話にはあまり向きません。
スピーカーからスマホを充電する機能(モバイルバッテリー機能)はありますか?
いいえ、ありません。
上位モデルの「Middleton」には他のデバイスへ給電する機能がありますが、EMBERTON Ⅲには搭載されていません。USB-Cポートはあくまでスピーカー本体を充電するための入力用です。
シリコンボディに埃(ホコリ)がついた時はどうすればいいですか?
水洗いするか、ウェットティッシュで拭き取るのが一番早いです。
高級感のあるシリコン素材ですが、静電気で細かい埃やペットの毛が付着しやすいのが唯一の弱点です。しかし、IP67の防水性能があるため、汚れが気になったら水道でジャブジャブ洗ってしまうのが最も簡単で綺麗になります。乾いた布で擦ると逆に繊維が付いてしまうことがあるため、水洗い後の自然乾燥か、吸水性の高いタオルでポンポンと叩くように拭くのがおすすめです。
さらに小型の「Willen Ⅱ」と迷っています。どちらがおすすめですか?
「音の広がり」と「低音」を重視するならEMBERTON Ⅲが正解です。
Willen Ⅱはより軽量で、背面にストラップが付いているため「リュックに吊るす」「壁にかける」といった使い方ができますが、音質はモノラルで、音のスケール感はEMBERTON Ⅲに及びません。
- Willen Ⅱ: ソロキャンプや登山など、携帯性を最優先する場合。
- EMBERTON Ⅲ: 自宅でのリスニングや、複数人でのアウトドアなど、音質と空間表現を重視する場合。
音楽を止めたまま寝てしまっても大丈夫ですか?
はい、自動電源オフ機能があります。
Bluetooth接続が切れた状態、または音楽が再生されていない状態が一定時間(通常は約20分程度)続くと、自動的に電源がオフになります。これにより、うっかり電源を切り忘れてもバッテリーを無駄に消費する心配がありません。
Bluetoothの接続距離はどのくらいですか?
障害物がない状態で約10mまで届きます。
最新のBluetooth 5.3を採用しているため接続性は非常に良好です。自宅で使用する場合、スマホをリビングに置いたまま、壁を隔てた隣の部屋やトイレにEMBERTON Ⅲを持ち込んでも、音が途切れることはほとんどありませんでした(※建物の構造や壁の材質には依存します)。
車のドリンクホルダーに入りますか?車載スピーカーとして使えますか?
ドリンクホルダーには入りませんが、車載用としては優秀です。
形状が横長の直方体(幅160mm × 奥行き76mm)なので、一般的な円形のドリンクホルダーには入りません。しかし、ダッシュボードの上(滑り止めマット推奨)や、助手席などに置いて使う分には非常に優秀です。特に、カーオーディオがBluetoothに対応していない古い車や、社用車などで高音質な音楽を楽しみたい時に最適です。360°サウンドのおかげで、車内のどこに置いても音がよく回ります。
バッテリー残量はどこで確認できますか?
本体天面の赤いインジケーターで10段階確認できます。
スマホの画面を見なくても、スピーカー本体の右側にある赤いLEDゲージを見るだけで残量がわかります。1メモリあたり約10%と直感的に把握できるため、「あとどれくらい持つか」がひと目で判断でき、充電のタイミングを逃しません。
並行輸入品や偽物が出回っていると聞きましたが、見分け方はありますか?
外見での判別は難しいため、「国内正規品」を購入することを強く推奨します。
残念ながらMarshall製品は人気が高いため、精巧な偽物が市場(特にフリマアプリや一部のECサイト)に存在します。偽物は音質が劣悪だったり、アプリに接続できなかったりします。 トラブルを避けるため、必ず「完実電気株式会社(日本の正規代理店)」のステッカーが貼ってある国内正規品を、信頼できる家電量販店や公式ストアで購入してください。正規品であれば1年間のメーカー保証も受けられます。
Marshall 「EMBERTON Ⅲ」レビューのまとめ

Marshall 「EMBERTON Ⅲ」は、ポータブルスピーカー市場において、非常に優れた選択肢であることがはっきりとわかりました。
コンパクトながらもパワフルな音質、耐久性、そしてデザイン性に富んだこのスピーカーは、Marshallが培ってきたサウンド技術の集大成と言えます。
ここでは、これまで紹介した特徴を踏まえて、「EMBERTON Ⅲ」の総合的な評価をまとめます。
音質の総評:サイズからは想像できない迫力
手のひらサイズとは思えない重低音と、空間に広がる360°サウンドは圧巻です。
特にロック、ポップス、EDMなどのジャンルにおいて、そのポテンシャルを最大限に発揮します。
小音量でも痩せない「ダイナミック・ラウドネス」も優秀です。
デザインの総評:インテリアを格上げする存在感
MarshallアンプのDNAを受け継ぐクラシックなデザインは、置くだけで絵になります。
シリコンとメタル、ゴールドのコントラストは大人の所有欲を十分に満たしてくれます。
機能面の総評:現代のライフスタイルに合う利便性
IP67の防塵防水、32時間のロングバッテリー、マイク搭載、マルチポイント接続、そして将来のLE Audio対応。
現代のポータブルスピーカーに求められる機能はほぼ全て網羅しており、実用面での死角はありません。
価格と価値:高価だがそれ以上の満足度
実売価格は約2万円台後半〜3万円弱(記事執筆時点)と、同サイズのBluetoothスピーカーとしては高価格帯です。
JBL Flipシリーズなどと比較すると倍近い価格差があります。
しかし、音質・機能・デザイン・ブランド価値を総合的に見れば、コストパフォーマンスは決して悪くありません。
安物を買ってすぐに買い替えるより、愛着を持って長く使える「相棒」として考えれば適正価格、いや、それ以上の価値があると言えるでしょう。
EMBERTON Ⅲをおすすめできる人
- Marshallのデザインや世界観が好きな人: これは間違いありません。最高のインテリアになります。
- ロック、EDM、ヒップホップをよく聴く人: 迫力ある低音を楽しめます。
- デスク周りをすっきりさせつつ、音質も妥協したくない人: モニター下に収まるサイズでこの音質は貴重です。
- お風呂やアウトドアでガンガン使いたい人: タフな防水性能とバッテリーが頼りになります。
- スマホとPCなど、複数デバイスを行き来する人: マルチポイント接続がストレスを消してくれます。
EMBERTON Ⅲをおすすめできない人
- フラットで味付けのないモニターサウンドを求める人: Marshall特有のドンシャリ気味の元気な音作りです。
- 主にクラシックや静かな環境音楽を分析的に聴く人: 低音が強すぎると感じる場合があります。
- コストパフォーマンス(安さ)最優先の人: 音質だけで見れば、より安価な選択肢は存在します。
- 有線接続(AUX)が必要な人: Bluetooth専用機のため、有線接続端子はありません。
Marshall 「EMBERTON Ⅲ」レビューの総括
「Marshall EMBERTON Ⅲ」は、単なる音楽再生機器の枠を超え、所有者のライフスタイルそのものを「ロック」に、そして「豊か」にしてくれるアイテムです。
家の中のどこへでも連れて行ける高音質なライブステージ。
もしあなたが、日々の生活にもう少し「彩り」や「鼓動」を求めているのなら、EMBERTON Ⅲはその期待に、あの力強い低音と美しいデザインで応えてくれるはずです。
「たかがスピーカー、されどスピーカー」。 毎日使うものだからこそ、自分の心が躍るものを選んでみませんか?
ぜひ、あなたの日常にもMarshallのサウンドを取り入れてみてください。
きっと、いつもの音楽が、そしていつもの風景が、少し違って見えてくるはずです。


