オーディオ愛好家や楽曲制作者の間で、長らく「コストパフォーマンス最強のモニターイヤホン」として君臨していた『NF AUDIO NM2』。
その伝説的なモデルが、ブランドのリブランディングと共に正統進化を遂げました。
その名は、NF ACOUS「NM20」。
これまでのファンが愛した「実直で嘘のないモニターサウンド」を継承しつつ、最新のドライバー技術と音響工学を投入することで、リスニングイヤホンとしての「楽しさ」までも手に入れた意欲作です。
私はこれまで数多くのイヤホンをレビューし、自身のブログでもオーディオ製品の真価を問い続けてきましたが、このNM20には一聴して「あ、これはズルい」と感じさせるほどの完成度がありました。
単に音が良いだけでなく、「道具としての信頼性」と「鑑賞者としての喜び」が高い次元で握手しているのです。
- なぜ、今「NM20」が注目されているのか?
- 「モニター」と「リスニング」の境界線をどう越えたのか?
- 競合ひしめく1万円台後半の価格帯で、選ぶべき理由はどこにあるのか?
この記事では、NF ACOUS NM20の実機を徹底的に使い込み、その音質、装着感、そして技術的な背景までを余すことなくレビューします。
単なるスペックの羅列ではなく、実際の楽曲制作やゲーミング、そして日々の音楽鑑賞で感じた「リアルな体験」をお届けします。
もしあなたが、「分析的に音楽を聴きたいけれど、つまらない音は嫌だ」「長く付き合える確かな一本が欲しい」と考えているなら、この記事はあなたのためのものです。
- NF ACOUSの進化と技術的背景
- NF ACOUS 「NM20」の外観・デザインとプロ仕様のビルドクオリティ
- NF ACOUS 「NM20」の音質徹底レビュー:鮮度感あるモニターサウンド
- NF ACOUS 「NM20」を使用した私の体験談・レビュー
- NF ACOUS 「NM20」に関するQ&A
- 「NM20」と前作「NM2」の決定的な違いは何ですか?
- FPSゲーム(ApexやVALORANT)で使用できますか?
- スマートフォンに直挿ししても良い音で聴けますか?
- リケーブル(ケーブル交換)をする際の注意点はありますか?
- 重低音重視のイヤホンが好きですが、NM20は満足できますか?
- 兄弟機の「NF ACOUS RA15」とはどちらがおすすめですか?
- SHURE SE215のような定番モニターイヤホンと比べてどうですか?
- 電車内やカフェで使う際、音漏れは気になりますか?
- 電子ピアノやギター練習のモニター用として使えますか?
- ホワイトノイズ(サーッという音)は気になりますか?
- 普段はワイヤレスイヤホンを使っていますが、あえて有線を選ぶメリットは?
- NF ACOUS 「NM20」レビューのまとめ
NF ACOUSの進化と技術的背景

まずは、NM20が単なる「マイナーチェンジ」ではないことを理解するために、その背景にある技術的な進化とブランドの変遷について掘り下げていきましょう。
10年以上のキャリアを持つ同社の音響哲学が、どのように現代的なアプローチで再構築されたのかを紐解きます。
NF AUDIOからNF ACOUSへ:ブランド刷新と「NM2」のレガシー
長年「NF AUDIO」として親しまれてきたブランドが、「NF ACOUS(エヌエフ・アコース)」へと名称を変更しました。
これは単なる名前の変更ではなく、これまでのプロフェッショナルな音響機器開発のノウハウを、より広いユーザー層、そして新しい時代のアコースティック体験へと昇華させるという意思表示でもあります。
前作にあたる「NM2」は、グローバル累計販売数10万台以上という異例のヒットを記録しました。
その圧倒的な解像度と定位感の良さから、以下の層から絶大な支持を得ていました。
- DTM(デスクトップミュージック)クリエイター:自宅録音環境での標準機として。
- ミキシングエンジニア:出先でのラフミックス確認用として。
- FPSゲーマー:足音の方向や距離感を正確に把握するためのデバイスとして。
「NM20」は、このNM2が築き上げた「現場での信頼」を土台にしつつ、現代のハイレゾ音源やストリーミング環境の普及、そして多様化するリスニング環境に対応するためにゼロから再設計された、いわば「新生NF ACOUSの象徴」とも言えるモデルです。
単に解像度が高いだけでなく、「音楽の熱量」を伝えるためのチューニングが施されている点が、新ブランドのアイデンティティを物語っています。
第2世代ドライバー「MC2L-100P」とベリリウムメッキ振動板
音質の核となるドライバーユニットには、新たに開発された第2世代ダイナミックドライバー「MC2L-100P」が搭載されています。
前作の「MC2L-10」から型番が大きく飛躍していることからも、その進化の度合いが伺えます。
このドライバーの特筆すべき点は、素材と磁気回路の刷新にあります。
| 技術要素 | 詳細・メリット |
| 振動板素材 | ベリリウムメッキ振動板を採用。ベリリウムは非常に軽量かつ剛性が高いため、音声信号に対するレスポンス(過渡特性)が劇的に向上します。これにより、立ち上がりの鋭い音や、消え入るような余韻の表現力が格段に増しています。 |
| 磁気回路 | 1テスラ(Tesla)を超える強力な磁束密度を持つデュアル磁気回路を搭載。ボイスコイルを強力かつ正確にピストン運動させることで、駆動力不足による音の「緩み」を排除し、微細なダイナミクスも逃さず再現します。 |
| 音の傾向 | 従来の樹脂系振動板に比べ、よりクリアで輪郭のくっきりしたサウンドを実現。「モニターらしい正確さ」に「金属特有のきらめき」が加わり、現代的なポップスやエレクトロニックミュージックとの親和性が高まりました。 |
この「ベリリウムメッキ」の恩恵は非常に大きく、特にシンバルやハイハットの「シャリッ」とした質感や、アコースティックギターの弦が弾ける瞬間のキレにおいて、前作を凌駕する鮮度感を生み出しています。
「音が速い」と感じる体験は、このドライバー性能によるものです。
特許技術「Clutter Trap」による音響制御とスペック詳細
NM20の筐体内部には、NF ACOUSが特許を取得している独自技術「Clutter Trap(クラッタートラップ)」が採用されています。
これは、ヘルムホルツ共鳴の原理を応用した空気圧制御システムです。
イヤホンの筐体内部では、ドライバーの背面から出る音が反射し、不要な定在波やノイズとなって音を濁らせる原因となります。
Clutter Trapでは、5つのダンピングネットと2つのチューニングスポンジを用いてこれを物理的にコントロールします。
これにより、以下の具体的な効果が得られます。
- 音の濁り(マスキング)の解消:特定の低音域が膨らんで中高音を邪魔する現象を防ぎます。
- 聴き疲れの軽減:耳への空気圧が適切に調整されるため、長時間のモニタリングでも鼓膜への圧迫感が少なく、快適性が持続します。
- 正確なリファレンス:入力された信号に対し、色付けの少ないピュアな出力を可能にし、エンジニアが意図した通りの音を再生します。
【NF ACOUS NM20 基本スペック詳細】
| 項目 | スペック詳細 | 解説 |
| ドライバー構成 | 1 Dynamic Driver (MC2L-100P) | 第2世代ベリリウムメッキ振動板搭載 |
| インピーダンス | 32Ω | 前作よりインピーダンスが増加し、ノイズ耐性が向上。プロ機材との接続安定性も確保。 |
| 感度 | 108dB/mW | スマホや小型DAPでも十分に音量が取れる高感度設計。 |
| 再生周波数帯域 | 9Hz – 40kHz | 可聴域を超えるハイレゾ帯域までカバーし、空気感の再現に貢献。 |
| コネクタ | 0.78mm 2pin (QDCタイプ) | 耐久性の高いカバー付き仕様。 |
| プラグ | 3.5mm ステレオミニ | 汎用性の高い標準プラグ。変換アダプタで6.35mmに対応。 |
| 最大入力 | 125mW | 突発的な過大入力にも耐えうる余裕のある設計。 |
| 遮音性 | Passive Noise Reduction up to 25dB | ステージ上でも使用可能なレベルの高い遮音性能。 |
NF ACOUS 「NM20」の外観・デザインとプロ仕様のビルドクオリティ

モニターイヤホンにおいて、「見た目」と「耐久性」はトレードオフになりがちですが、NM20はその両方を高いレベルでまとめています。
カラーバリエーションには「クリアグレー」「クリアブルー」「クリアピンク」が用意されており、プロ機材ながらポップな選択肢がある点も現代的です。
高強度ポリカーボネートとアルミパーツの融合デザイン
筐体には、透明度の高い高強度ポリカーボネートが採用されています。
「プラスチック」と聞くと安っぽいイメージを持つかもしれませんが、実物は非常に肉厚で、ガラスのような透明感と硬質感があります。
一般的なABS樹脂と比較して耐衝撃性が高く、落下や持ち運び時のストレスにも強い設計です。
- 耐久性: プロの現場でのラフな使用にも耐えうる強度を確保。
- 軽量性: 金属筐体に比べて圧倒的に軽く、長時間の装着でも耳が重くなりません。これは数時間に及ぶミキシング作業において極めて重要です。
- デザイン: フェイスプレート部分にはCNC加工されたアルミニウム製のリングパーツが埋め込まれており、マットな質感の中にキラリと光る金属の輝きが高級感を演出しています。
また、前作NM2では全体がクリア仕上げでしたが、NM20では表面にマット加工(フロスト加工)が施されています。
これにより、指紋や皮脂汚れが目立ちにくくなっており、常に清潔感を保てる点は実用面で大きな進化と言えるでしょう。
QDC 2pinコネクタの採用とリケーブルの互換性
ケーブル着脱部には、端子部分がカバーで覆われたQDCタイプの2pinコネクタ(0.78mm)が採用されています。
- プロ仕様のメリット:
ピンが折れにくく、汗やホコリの侵入を防げるため、ステージパフォーマンスなどの過酷な環境でも接触不良のリスクを低減できます。
また、接続部の剛性が高く、ケーブルがぐらつきません。 - リケーブル時の注意点:
一般的な「フラット2pin」のケーブルも物理的には接続可能ですが、コネクタ部分が露出して強度が落ちたり、見た目の収まりが悪くなったりします。
リケーブルを楽しむ際は、QDCタイプ(カバー付き2pin)のものを選ぶのが無難です。
付属のケーブルは、5NシルバーコートOFC(銀メッキ無酸素銅)ケーブルです。
銀メッキ線は高音域の伝達特性に優れており、NM20の持ち味であるクリアな高音を損なうことなく伝送します。
被膜はしなやかで取り回しが良く、タッチノイズ(服に擦れた時のガサガサ音)もかなり抑えられています。
独自イヤーピース「MS42」と高品質な付属品の全貌
付属品の豪華さと品質の高さも、所有欲を満たしてくれる重要なポイントです。
1. 独自開発イヤーピース「MS42」
NF ACOUSこだわりのイヤーピースが4サイズ(XS/S/M/L)付属します。
「MS42」は、音導管(軸)がしっかりとしており、高音の減衰を防ぐストレートな形状です。
一方で、耳に触れる傘の部分は非常に柔らかい高品質シリコンでできています。
これにより、「耳の奥までしっかりとフィットし、低音を逃さない」ことと、「高音の通り道を確保する」ことを両立しています。
特にXSサイズが含まれているのは、耳の穴が小さいユーザーにとって非常にありがたい配慮です。
2. 6.3mm変換プラグ
ここが「プロ仕様」たる所以です。
一般的な安価な変換プラグではなく、デザインが統一された高品質なプラグが付属します。
分解可能な構造になっており、接点には金メッキが施されています。
スタジオのミキサーやオーディオインターフェースに接続する際、この変換プラグの信頼性は音質に直結します。
3. 専用キャリングケース
丸形のセミハードケースが付属。
NF ACOUSのロゴが入っており、ファブリック調の手触りが心地よいです。
内側にはケーブルを収納しやすいメッシュポケットはありませんが、十分な保護性能を持っています。
デザインのアクセントとして入っている「赤」の差し色が非常にお洒落で、カバンの中でも見つけやすいでしょう。
NF ACOUS 「NM20」の音質徹底レビュー:鮮度感あるモニターサウンド

ここからは、実際にNM20を試聴して感じた音質について詳述します。
一言で表すなら、「圧倒的な鮮度感とスピード感を持つ、現代的モニターサウンド」です。
同じNF ACOUSの「RA15」が少しウォームでリスニング寄りなのと比較すると、NM20はより「分析的」かつ「寒色系」のキャラクターを持っています。
高音域:刺さりを抑えつつ煌めきを描く金属音の表現力
ベリリウムメッキ振動板の恩恵を最も如実に感じるのが、この高音域です。
- 金属音のリアルさ:
シンバルの減衰音(ディケイ)、ハイハットの刻み、アコースティックギターの金属弦が擦れる音が、驚くほどリアルに聴こえます。
「シャキッ」とした質感が好きな人にはたまらない響きです。 - 抜けの良さ:
天井を感じさせない開放感があります。
音が詰まる感覚がなく、スッと空間に消えていく様は、密閉型とは思えないほどです。 - 刺さりの制御:
これだけ解像度が高いと「耳に刺さるのでは?」と懸念されますが、絶妙なチューニングで「痛くなる一歩手前」で制御されています。
このエッジの効かせ方が、楽曲にスリリングな興奮を与えています。
高音過多なソースでは多少主張が強いと感じる場面もありますが、それこそがモニターとして「高域のノイズ」を発見できる能力の裏返しでもあります。
中音域:ボーカルの生々しさと楽器の分離感
モニターイヤホンらしく、中音域は非常にフラットで、特定の帯域が不自然に凹むことがありません。
- ボーカル位置:
決して遠くなく、かといって暑苦しいほど近くもない、適度な距離感を保っています。
ドライでクールな質感があり、歌手の口元の動きが見えるような分析的な聴き方が可能です。
女性ボーカルのハイトーンも伸びやかですが、艶やかさよりも「透明感」が勝る印象です。 - 分離感:
ピアノ、ギター、ストリングスが重なるパートでも、それぞれの音が団子にならず、綺麗にレイヤー分けされて聴こえます。
「ここでこの楽器が鳴っていたのか」「コーラスのハモリはこうなっていたのか」という新たな発見(ディスカバリー)を与えてくれます。
低音域:スピード感のあるタイトなレスポンスと深み
NM20の低音は、「量」よりも「質」重視です。
ズシズシと響く重低音を求める人には物足りないかもしれませんが、リズムの正確さを求める人には最適です。
- タイト&スピーディー:
ドラムのキック音は「ドスン」という重さよりも、「バシッ」というアタック感の強さが特徴です。
スピードメタルや高速なEDMでも、低音がもたつくことなく追従します。 - 深みのあるサブベース:
ミッドベース(中低音)の量感自体は控えめですが、可聴域ギリギリの低い帯域(サブベース)もしっかりと鳴らしており、音楽の土台を支えています。 - 篭もりのなさ:
低音が中高音を邪魔しない(ブリードしない)ため、全体の見通しが非常にクリアです。
ベースラインの動きが見えるため、ベース奏者の耳コピ用としても優秀です。
【音質傾向まとめ】
| 帯域 | 評価 | 特徴 |
| 高音 | ★★★★★ | 鮮明、煌びやか、高解像度。金属音が美しい。 |
| 中音 | ★★★★☆ | フラット、分離が良い、ドライで透明なボーカル。 |
| 低音 | ★★★★☆ | タイト、高速レスポンス、必要十分な量感と深み。 |
| 音場 | ★★★★☆ | 左右に広い。前後の定位が明確で立体的。 |
| 解像度 | ★★★★★ | 価格帯を超えた情報量。微細な音も拾う。 |
NF ACOUS 「NM20」を使用した私の体験談・レビュー

スペックや音質の傾向だけでなく、実際の生活の中で使ってみてどうだったのか?
WEBライターであり、オーディオブログを運営する私が、NM20を徹底的に使い倒した体験談をお伝えします。
開封からセットアップ:変換プラグに見るプロへの配慮
パッケージを開けた瞬間、CDジャケットを模したようなデザイン性の高さにニヤリとしました。
NF ACOUS(旧NF AUDIO)は、こういう「音楽好きの心をくすぐる演出」が本当に上手いブランドです。
特に感心したのは、先述した6.3mm変換プラグの質感です。
私は自宅でオーディオインターフェースを使って音声編集をすることがあるのですが、安物の変換プラグだと接触不良を起こしたり、ガリノイズが入ったりすることがあります。
しかし、NM20に付属しているプラグは「カチッ」と強固に噛み合い、ノイズも皆無。
「これは単なるオマケではない、本気で機材として使ってくれ」というメーカーの強いメッセージを受け取った気がしました。
装着感の検証:長時間作業でも快適な軽量ボディ
私の耳は標準的なサイズですが、NM20のシェル形状は驚くほどフィットしました。
内側の突起(コンチャ部分へのひっかかり)がうまく耳の窪みに収まり、オーダーメイドのカスタムIEMに近い装着感を得られます。
ある日、記事の執筆作業中に4時間ほど連続で使用しましたが、耳の痛みはほとんどありませんでした。
これは、筐体がポリカーボネート製で軽量であることと、付属の「MS42」イヤーピースのシリコンが柔らかく、耳道への圧迫感が少ないことが要因だと感じます。
重たい金属筐体のイヤホンだと、1時間で耳が痛くなることもある私にとって、この「軽さ」は正義です。
また、遮音性が高いため、カフェなどで作業する際も周囲の雑音を効果的にカットしてくれました。
リスニングテスト:ジャンルを選ばない万能感の正体
実際にいくつかの楽曲でテストし、その相性を確認しました。
- 女性ボーカル(J-POP/アニソン):宇多田ヒカル / YOASOBI
息継ぎのブレス音や、サ行の刺さり具合を確認。
NM20はこれらを強調しすぎず、かつ鮮明に描写します。
ボーカルが楽器に埋もれず、スッキリと抜けてくるので、歌詞が頭に入ってきやすいです。
宇多田ヒカルのハスキーな倍音成分も潰れずに再現されました。 - ロック/メタル:Bring Me The Horizon / 凛として時雨
このジャンルとの相性は抜群です。
ツーバスの連打や速弾きギターのリフが、ダンゴにならず一音一音粒立って聴こえます。
「スピード感」という言葉がこれほど似合うイヤホンも珍しいでしょう。
凛として時雨のような、高域の情報量が多いバンドサウンドでも破綻せずに鳴らし切ります。 - ジャズ/クラシック:ピアノトリオ
ウッドベースの響きはやや淡白に感じるかもしれませんが、ピアノのタッチやシンバルのレガートの煌めきは美しいです。
ホール全体の空気感よりは、楽器そのものの音色を楽しむ「近距離」での聴き方に適しています。
ゲーミング・ASMR適性:優れた定位感がもたらす没入感
意外な才能を発揮したのが、FPSゲームでの使用です。
『VALORANT』や『APEX LEGENDS』をプレイしてみましたが、「定位感(音がどこから鳴っているか)」が恐ろしく正確です。
足音が右斜め後ろから聞こえ、壁の向こうのどのあたりにいるかが手に取るようにわかります。
低音が強すぎないため、爆発音で足音がかき消される(マスキングされる)ことがありません。
これはClutter Trapによる音響制御が効いている証拠でしょう。
「ゲーミングイヤホン」として売られている製品よりも、よほど実戦向きだと感じました。
また、ASMRなどの音声コンテンツとも相性が良いです。
マイクとの距離感や、耳元で囁かれるような微細な音の再現性が高く、ゾクゾクするようなリアリティを味わえました。
ホワイトノイズも少なく、背景の静寂が感じられます。
気になった点:3.5mmプラグ仕様とリケーブルの必要性
正直に言うと、不満点が全くないわけではありません。
現代のポータブルオーディオ環境では、4.4mmバランス接続が主流になりつつあります。
しかし、NM20の標準ケーブルは3.5mmアンバランスのみです。
もちろん、3.5mmでも十分に高音質ですが、「バランス接続でもっと分離感を高めたい」「さらにクロストークを減らしたい」と思うのがオーディオファンの性。
リケーブルしようにも、コネクタがQDCタイプであるため、手持ちのフラット2pinケーブルを使うには少し見栄えを気にする必要があります。
(※音質的にはフラット2pinでも問題なく聴けますが、コネクタが露出するのが精神衛生上よくありません)
ただ、逆に言えば「リケーブルで好みの音に追い込む楽しさ」が残されているとも言えます。
銅線のケーブルで低音を厚くしたり、純銀線でさらに高域を伸ばしたりと、カスタムの余地があるのはマニア心をくすぐります。
個人的には、低音の厚みを補完するために高純度銅線のケーブルへのリケーブルをおすすめしたいと感じました。
体験談の総括:実用性と楽しさを兼ね備えた相棒
NM20を使い込んで感じたのは、「常に手元に置いておきたい安心感」です。
高級すぎるイヤホンは傷つくのが怖くて持ち出しにくいですが、NM20は頑丈で軽く、扱いやすい。
それでいて音質はハイエンド機に迫る解像度を持っています。
ブログ執筆時のBGM用、動画編集時のモニター用、そして純粋なリスニング用として、私のデスク上で最も稼働率の高いイヤホンの一つになりました。
NF ACOUS 「NM20」に関するQ&A

NF ACOUS 「NM20」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「NM20」と前作「NM2」の決定的な違いは何ですか?
最大の違いは「高音域の伸び」と「装着感の改善」です。
「NM20」はベリリウムメッキ振動板を採用したことで、NM2よりも高音が滑らかで伸びやかになり、金属的な響きのリアリティが増しています。また、筐体の内側(耳に触れる部分)の形状が見直され、突起が減ったことで長時間装着していても耳が痛くなりにくくなりました。さらに、表面がマット加工になり指紋が目立たなくなった点も実用上の大きな改善点です。
FPSゲーム(ApexやVALORANT)で使用できますか?
はい、非常に適しています。
NM20は定位感(音が鳴っている方向や距離の把握)に優れており、足音や銃声の位置を正確に特定するのに役立ちます。また、低音が過剰にブーストされていないため、爆発音などで重要な足音がかき消されることが少なく、競技性の高いゲームでも「勝てるイヤホン」として活躍します。
スマートフォンに直挿ししても良い音で聴けますか?
はい、十分に楽しめます。
インピーダンスは32Ω、感度は108dB/mWと、スマートフォンやPCのイヤホンジャックでも音量が取りやすい設計になっています。ただし、最近のスマホはイヤホンジャックがない機種が多いため、その場合は純正の変換アダプタや、安価なドングルDAC(USB-DAC)を使用することで、NM20のポテンシャルをさらに引き出すことができます。
リケーブル(ケーブル交換)をする際の注意点はありますか?
コネクタの形状にご注意ください。
NM20のコネクタは「0.78mm 2pin(QDCタイプ/カバー付き)」です。一般的な「フラット2pin」のケーブルも物理的には挿さりますが、接続部が露出して強度が下がったり、見た目が悪くなったりする可能性があります。リケーブルを購入する際は「QDC 2pin」または「Cタイプ」と記載されたものを選ぶと安心です。
重低音重視のイヤホンが好きですが、NM20は満足できますか?
物足りなさを感じる可能性があります。
NM20はモニターイヤホンであり、「原音忠実」や「解像度」を重視したバランス型のチューニングです。低音はタイトでスピード感がありますが、脳を揺らすような量感たっぷりの重低音(ドンシャリ傾向)を求める方には、少しあっさりして聴こえるかもしれません。その場合は、イヤーピースを密閉度の高いものに変更するか、イコライザーで低域を持ち上げて調整することをおすすめします。
兄弟機の「NF ACOUS RA15」とはどちらがおすすめですか?
好みの音質傾向で選ぶのが正解です。
「RA15」はノズル交換ギミックがあり、音質は全体的に少しウォームで、音楽を楽しく聴くための「リスニングライク」な調整がされています。 対して「NM20」はノズル固定式で、より「分析的」かつ「高解像度」なモニターサウンドです。
- 音楽の余韻や温かみを楽しみたい → RA15
- 音の分離や細かいディテールを聴き取りたい → NM20 をおすすめします。
SHURE SE215のような定番モニターイヤホンと比べてどうですか?
「現代的な音のクリアさ」ではNM20が勝ります。
SE215は長年の定番ですが、音質は低音寄りで少し篭もって聴こえる(ウォームな)傾向があります。NM20は最新のドライバー技術を使っているため、高音の伸び、解像度、音場の広さにおいて、現代のハイレゾ音源にマッチした性能を持っています。 一方で、遮音性に関してはSE215(高遮音性イヤホン)の方がわずかに高いですが、NM20も最大-25dBの遮音性があり、実用上は十分な静寂を得られます。
電車内やカフェで使う際、音漏れは気になりますか?
常識的な音量であれば、ほとんど気になりません。
NM20は密閉性が高く、耳の奥までフィットする形状のため、音漏れはかなり少なめです。また、「Clutter Trap」技術により空気の流れが制御されているため、開放型のような盛大な音漏れはありません。通勤・通学中でも安心して使用できます。
電子ピアノやギター練習のモニター用として使えますか?
はい、非常に適しています。
3.5mmプラグに加えて6.35mm変換プラグが付属しているため、電子ピアノやギターアンプのヘッドホン端子にそのまま接続できます。 音の遅延がない有線接続であることに加え、特定の帯域が強調されすぎないフラットな特性なので、自分の演奏のニュアンスを正確にモニタリングする練習用デバイスとしても優秀です。
ホワイトノイズ(サーッという音)は気になりますか?
ほとんど気になりません。
感度が高いイヤホンですが、インピーダンスが32Ωあるため、極端にノイズの多い再生環境でない限り、無音時の「サーッ」というホワイトノイズは拾いにくい設計になっています。静かなバラードやクラシック、ASMRなどを聴く際も、背景の静寂(S/N比の良さ)を損なうことなく楽しめます。
普段はワイヤレスイヤホンを使っていますが、あえて有線を選ぶメリットは?
「充電不要」「遅延ゼロ」「圧倒的なコスパ」の3点です。
まず、バッテリー切れの心配がありません。そして、Bluetooth特有の音声遅延がないため、音ゲーやFPSなどのタイミングがシビアなゲームで有利です。 何より音質面でのコストパフォーマンスが圧倒的です。同価格帯(1万円台後半)のワイヤレスイヤホンと比較しても、NM20の情報量や音の密度はクラスが数段上です。「良い音を手頃に手に入れたい」なら、有線イヤホンへの回帰は賢い選択です。
NF ACOUS 「NM20」レビューのまとめ

NF ACOUS NM20は、モニターイヤホンの枠を超え、音楽を愛するすべての人に向けた「新基準」となるモデルです。
NF ACOUS NM20のメリット・デメリットまとめ
| メリット(Good) | デメリット(Bad) |
| 圧倒的な解像度と鮮度感(ベリリウムメッキ振動板の効果) | 標準ケーブルが3.5mmのみ(4.4mmはリケーブルが必要) |
| モニターとリスニングの絶妙なバランス | 低音重視派にはアッサリ感じる可能性がある |
| 軽量で快適な装着感(長時間使用でも疲れにくい) | QDCコネクタのため、リケーブルの選択肢に注意が必要 |
| 頑丈なビルドクオリティ(ポリカーボネート&アルミ) | デザインがシンプル過ぎると感じる人もいるかもしれない |
| FPSゲームにも使える正確な定位感 | |
| 付属品が豪華(高品質変換プラグ、独自イヤーピース) |
音楽制作・モニター用途で検討している方へ
迷わず買いです。
特に、自宅でのミキシングやトラックメイキングにおいて、これほど信頼できるリファレンス機は同価格帯では稀有です。
自分の作った音が「正しく」聴こえるため、作業効率が上がること間違いありません。
Clutter Trapによるノイズ低減効果で、長時間の作業でも耳が疲れにくいのも大きな利点です。
リスニング・普段使いで高音質を求める方へ
「ドンシャリ」や「重低音」だけのイヤホンに飽きた方にこそ、おすすめです。
今まで聴こえなかったコーラスの声や、楽器の細かなニュアンスが聴こえてくる感動を味わってください。
インピーダンスや感度のバランスが良く、スマホ直挿しでも十分に良い音が鳴ります。
ゲーマーや配信者におすすめできる理由
長時間つけていても耳が痛くならず、かつ足音や環境音を正確に把握できる性能は、ゲーミングデバイスとしても一級品です。
マイク付きケーブルにリケーブルすれば、最強のボイスチャット環境も構築可能です。
競合モデルと比較した「NM20」のコストパフォーマンス
1万円台後半〜2万円クラスには多くの強豪機(例えばSENNHEISER IE100 PROやSHURE SE215など)が存在しますが、NM20は「ビルドクオリティ」「付属品の質」「音の現代的な正確さ」という点で頭一つ抜けています。
特に、ベリリウムメッキ振動板を採用したイヤホンは高価になりがちですが、この価格で実現しているのはNF ACOUSの企業努力の賜物でしょう。
NF ACOUS NM20 レビューの総括
NF ACOUS NM20は、名機NM2の正統進化にとどまらず、2万円以下のモニターイヤホンにおける新たな基準を打ち立てました。
刷新されたベリリウムメッキ振動板は、プロが求める厳格な原音忠実性と、リスナーが渇望する音楽的な躍動感を奇跡的なバランスで両立させています。
頑丈なビルドクオリティや長時間使用でも疲れない装着感など、道具としての信頼性も極めて高く、ケーブル仕様の保守さを補って余りある基礎体力の高さを見せつけました。
クリエイターからゲーマー、そして純粋な音楽ファンまで、あらゆるユーザーの期待に応えるこのイヤホンは、間違いなく価格以上の体験を提供してくれる「正解」の一本です。
このイヤホンを耳にした瞬間、あなたのプレイリストにあるすべての楽曲が、かつてない鮮度と輝きを持って鳴り響く感動を、ぜひ味わってみてください。


