NICEHCK EBX25Ti レビュー!チタン×ベリリウムが奏でる「最強の開放感」と音質を徹底検証

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出典:NICEHCK公式
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オーディオ技術が進化し、ノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンや、耳の奥まで密閉するカナル型(耳栓型)イヤホンが市場の9割を占めるようになった現代。
しかし、その一方で「カナル型の圧迫感がどうしても苦手だ」「スピーカーのような自然な音の広がりを楽しみたい」というオーディオファンは決して少なくありません。
そんな彼らにとって、インナーイヤー型(イントラコンカ型)イヤホンは、まさに砂漠のオアシスのような存在です。

そのインナーイヤー界隈において、常にコストパフォーマンスとビルドクオリティの高さで話題をさらい続けているブランドが、中国のNICEHCK(ナイスエイチシーケー)です。
彼らは低価格帯の「EB2S」シリーズでインナーイヤー型の復権に貢献してきましたが、熱心なファンたちが待ち望んでいたのは、さらにその上を行くハイエンドモデルの登場でした。

長らく「フラッグシップ」の座が空席となっていた伝説のEBXシリーズ。
そこに満を持して投入された最新モデル、それが今回レビューする「NICEHCK EBX25Ti」です。

モデル名にある「Ti」が示す通り、ハウジングには加工が難しく航空機グレードの強度を誇るチタン合金を贅沢に採用。
さらにサウンドの心臓部であるドライバーには、ピュアオーディオ界で「理想の振動板素材」の一つと称されるベリリウムメッキ振動板を搭載しています。

実売価格は約5万円。
インナーイヤー型イヤホンとしては、間違いなく高額な部類に入ります。
「たかがインナーイヤーに5万円?」と訝しむ声もあるかもしれません。
しかし、これは単なる高級素材の羅列や、ブランド料による価格設定ではありません。
前作EBX21から数年の沈黙を破り、物理的な素材特性と最新の音響チューニング技術をすべて注ぎ込んで作られた、まさに「現代インナーイヤー型の到達点」とも言える意欲作なのです。

  • チタン合金が奏でる響きは、どれほど美しいのか?
  • ベリリウムメッキの圧倒的なスピード感は、音楽だけでなくゲームにも通用するのか?
  • そして、5万円という投資に見合う価値は本当にあるのか?

この記事では、数多くのイヤホンを聴き込んできたオーディオマニアとしての厳格な視点だけでなく、音の定位を頼りに戦うFPSゲーマーとしての実用的な視点も交えながら、EBX25Tiの実力を忖度なしで徹底的に解剖していきます。

 

  1. NICEHCK 「EBX25Ti」のスペック・特徴
    1. 「チタン合金」×「ベリリウムメッキ」がもたらす革新
    2. こだわり抜かれたドライバー構成と技術仕様
    3. 歴代EBXシリーズ(EBX21)からの進化点
  2. NICEHCK 「EBX25Ti」の開封とデザイン・装着感の徹底レビュー
    1. フラッグシップに相応しい豪華なパッケージと付属品
    2. チタン合金ハウジングの質感と耐久性チェック
    3. 【検証】装着感は本当に良いのか?イヤーパッド有無でのフィット感比較
  3. NICEHCK 「EBX25Ti」の音質レビュー:圧倒的な解像度とスピード感
    1. 高音域:チタン特有の煌びやかさと突き抜ける明瞭感
    2. 中音域:分離感に優れた艶のあるボーカル表現
    3. 低音域:量感よりも「キレ」と「アタック感」重視の低音
    4. 音場・定位感:開放型ならではの広大なサウンドステージ
  4. NICEHCK 「EBX25Ti」を使用した私の体験談・レビュー
    1. イヤーパッドの種類による劇的な音質変化を検証
    2. 付属ケーブルの実力とリケーブルによる変化(4.4mmバランス接続)
    3. FPSゲーマー視点での定位感テスト:足音は聞こえるか?
    4. 動画・映画鑑賞での没入感:セリフの聞き取りやすさと臨場感
    5. 長時間リスニングでの疲労度と遮音性について
    6. 体験談の総括:”物理で殴る”ような基礎性能の高さに感動
  5. NICEHCK 「EBX25Ti」に関するQ&A
    1. インナーイヤー型は低音が弱いイメージですが、スカスカしませんか?
    2. FPSなどのゲーム用途に使えますか?
    3. スマホ直挿しでも十分な音量が出ますか?
    4. 音漏れはどのくらいしますか?電車で使えますか?
    5. 金属筐体(チタン)だと、装着時に重かったり冷たかったりしませんか?
    6. 装着中にイヤホンが耳から落ちませんか?
    7. 付属のMMCXリムーバーはどう使うものですか?
    8. エージング(慣らし運転)は必要ですか?
    9. 低価格帯で人気の「EB2S / EB2S Pro」とはどう違いますか?
    10. ASMR動画の視聴には向いていますか?
    11. リケーブル端子の「MMCX」は外れやすくなりませんか?
    12. バランス接続(4.4mm)とアンバランス接続(3.5mm)どちらを買うべきですか?
    13. 布巻きケーブルはタッチノイズ(ガサゴソ音)が気になりませんか?
    14. 最近流行りの「耳をふさがないワイヤレスイヤホン(OWS)」と比べて音質はどうですか?
  6. NICEHCK 「EBX25Ti」レビューのまとめ
    1. EBX25Tiのメリット・デメリットまとめ
    2. 他社フラッグシップやカナル型との比較
    3. このイヤホンがおすすめな人・おすすめできない人
    4. EBX25Tiが最も輝く「音楽ジャンル」について
    5. 長く愛用するためのエージング効果とメンテナンス
    6. NICEHCK 「EBX25Ti」レビューの総評

NICEHCK 「EBX25Ti」のスペック・特徴

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まずは、このイヤホンがなぜ「フラッグシップ」として君臨できるのか、その背後にある技術的な背景とスペックの詳細を整理します。

「チタン合金」×「ベリリウムメッキ」がもたらす革新

EBX25Tiの最大のトピックであり、存在意義とも言えるのが、筐体とドライバー素材の「究極的な組み合わせ」にあります。
これはオーディオにおける物理学の挑戦でもあります。

  • チタン合金ハウジングの優位性
    一般的なイヤホンに使用されるアルミニウムや樹脂素材とは異なり、チタンは極めて高い剛性(硬さ)を持ちながら、比重が軽く、腐食にも強いという特性を持ちます。
    音響的なメリットとしては、ドライバーが激しく振動した際に発生する「筐体の不要な共振(鳴き)」を、その高い剛性で徹底的に抑制できる点にあります。
    筐体が余計な振動をしないということは、ドライバーから発せられた音が濁ることなく、純度を保ったまま耳に届くことを意味します。
    これにより、金属特有の冷たくも美しい、氷のような透明感を持つ響きが生み出されるのです。
  • ベリリウムメッキ振動板の採用
    振動板素材としてのベリリウムは、「軽くて硬い」という、相反する理想的な特性を極めて高い次元で両立しています。
    音が伝わる速度(音速)が非常に速いため、音の立ち上がり(トランジェント)が鋭く、微細な信号の変化にも瞬時に追従します。
    これにより、ハイスピードな楽曲でも音が団子にならず、一音一音がくっきりと分離して聴こえます。
    従来のPET素材やバイオセルロース素材では表現しきれなかった「音の輪郭」を克明に描く力を持っています。

この2つが組み合わさることで、「付帯音のないクリアな音」と「圧倒的なレスポンス」が両立されています。
小手先のEQ処理ではなく、素材の力(物理特性)で音質をねじ伏せるような設計思想こそが、EBX25Tiの真髄です。

こだわり抜かれたドライバー構成と技術仕様

詳細なスペックを以下の表にまとめました。

項目スペック詳細解説
モデル名NICEHCK EBX25Ti2025年モデルとしてのナンバリング
ドライバー14.2mm ベリリウムメッキ振動板 ダイナミックドライバーインナーイヤー型としては大型の部類。余裕のある鳴り方を実現。
ハウジング素材チタン合金(5軸CNC加工)高精度な切削加工により、つなぎ目のない滑らかな曲面を実現。
インピーダンス32Ω一般的なスマホでも鳴らせるが、DAPやアンプ推奨の数値。
感度121dB/mW非常に高感度。ノイズの少ないプレーヤーでの再生が望ましい。
再生周波数帯域20Hz – 40kHzハイレゾ音源の情報を余すことなく再生可能な広帯域設計。
ケーブルコネクタMMCX(着脱式)汎用性が高く、多くのリケーブル製品が使用可能。
付属ケーブル6N単結晶銅 + 銀メッキ銅のミックス線材(布巻き)導電効率の良い高純度素材をハイブリッドで使用。
プラグ3.5mm または 4.4mmバランス(選択式)購入時に環境に合わせて選択可能。

特筆すべきは14.2mmという大口径ドライバーです。カナル型では耳に入らないため不可能なこのサイズ感が、振動板の面積を稼ぎ、余裕のある低音再生と広大なダイナミックレンジを支えています。

また、感度が121dBと非常に高いため、音量は取りやすい設計です。
しかし、高感度ゆえに再生機器のホワイトノイズ(サーっという音)も拾いやすいため、DAP(デジタルオーディオプレーヤー)や高品質なUSB-DACを通すことで、その真価である「静寂性」を発揮します。

歴代EBXシリーズ(EBX21)からの進化点

前作のフラッグシップであり名機と名高い「EBX21」と比較すると、NICEHCKが目指した進化の方向性がより明確になります。

  • EBX21(前作)
    • 構成:アルミニウム合金筐体 + LCP(液晶ポリマー)振動板
    • 音質傾向:ソリッドでモニターライク。ドライで分析的な音が特徴でした。
  • EBX25Ti(本作)
    • 構成:チタン合金筐体 + ベリリウムメッキ振動板
    • 音質傾向:より硬質でスピード感が向上しつつ、金属的な美しい余韻(響き)が付加されました。

EBX21が「精密機械」のような正確さを求めたモデルだとすれば、EBX25Tiはそこに「芸術的な響き」と「圧倒的な瞬発力」を加えたモデルです。

価格の上昇は、加工の難しいチタンと高価なベリリウムという素材コストに直結していますが、それに見合うだけの「音の純度」の向上が確実に感じられます。
単なるマイナーチェンジではなく、「より速く、より美しく」という明確なコンセプトのもとでフルモデルチェンジされたと言えるでしょう。

 

NICEHCK 「EBX25Ti」の開封とデザイン・装着感の徹底レビュー

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出典:NICEHCK公式

スペックがいかに優れていても、実際に手に取り、耳に装着して心地よくなければ、イヤホンとしての価値は半減します。
ここでは実機を開封し、そのデザインの質感や装着感について深掘りします。

フラッグシップに相応しい豪華なパッケージと付属品

パッケージは、フラッグシップモデルとしての威厳を感じさせる重厚な作りです。
箱を開けた瞬間、鎮座するチタンの輝きに所有欲が満たされます。

付属品の充実度は素晴らしく、追加で何かを買い足す必要はほぼありません。

主な付属品一覧と詳細:

  • 高品質リケーブル:
    黒を基調とした布巻きケーブルが付属します。
    布巻き特有のサラサラとした手触りで高級感があり、衣服と擦れた時のタッチノイズを軽減する工夫がされています。
    線材には6N(純度99.9999%)単結晶銅と銀メッキ銅をミックスしており、音質面でも妥協がありません。
  • レザー調収納ケース:
    マグネット開閉式のハードケースで、質感・実用性ともに高いレベルです。
    内部は起毛素材でイヤホンを傷から守ります。
  • MMCXリムーバー:
    これは地味ながら非常にありがたいツールです。
    MMCX端子は個体差によって非常に固くて外しにくいことがあり、無理に外そうとして爪を割ったり端子を破損したりする事故を防げます。
  • イヤーパッド類:
    ドーナツ型スポンジ、フルカバースポンジ、シリコンリングなど、フィット感調整用のアクセサリーが豊富に同梱されています。
  • クリーニングロッド:
    メッシュ部分の清掃に使用するメンテナンスツールです。

チタン合金ハウジングの質感と耐久性チェック

実機を手に取ると、チタン特有の「渋い輝き」に目を奪われます。

アルミニウムのような白っぽく明るいシルバーではなく、少しダークでグレーがかった、深みのある金属光沢です。
光の当たり方によって鈍く光る様は、まるで高級時計のケースのような重厚感があります。

  • 耐久性と設計思想:
    多くのインナーイヤー型イヤホンは、耳に当たるドライバーの縁にゴムやシリコンのリングパーツが付いていますが、これらは経年劣化で加水分解し、ベタついたり割れたりしがちです。
    しかし、EBX25Tiはドライバー前面のグリル部分まで一体成型のチタンカバーで覆われています。
    劣化する可能性のある樹脂・ゴムパーツが極限まで排除されており、物理的に壊れる要素がほとんどありません。
    「一生モノ」として長く愛用できる耐久性を強く感じさせます。
  • 重量バランス:
    チタンは「軽い金属」と言われますが、樹脂製イヤホンに比べれば当然重量感はあります。
    しかし、重心が内側(耳側)に来るように適切に設計されているため、耳に載せたときに重さで外側に引っ張られるような感覚はありません。
    むしろ、適度な重みが安定感を生んでいます。
    冬場に装着する際は、チタン特有の「ヒヤッ」とした冷たさを感じますが、それもまた金属筐体を持つ喜びの一つと言えるでしょう。

【検証】装着感は本当に良いのか?イヤーパッド有無でのフィット感比較

インナーイヤー型イヤホン選びで最もハードルが高く、意見が分かれるのが「装着感」です。
特にEBX25Tiは表面が滑らかな金属筐体であるため、摩擦係数が低く滑りやすいという懸念があります。

実際にいくつかのパターンで装着感を検証しました。

装着パターンフィット感・安定性音質への影響おすすめ度
パッドなし(裸)△(人による)最高。高音が最もクリアで抜けが良く、音場が広い。しかし、金属表面が滑りやすく、少し動くとズレやすい。音質至上主義者向け
ドーナツ型スポンジ中心に穴が空いているため、高音の減衰を最小限に抑えつつ、スポンジの摩擦で滑り止め効果が得られる。バランス最強
フルカバースポンジ安定性は抜群。低音の量感が増し、音が太くなるが、高音の煌びやかさと空気感が少しマイルドになる。安定感・低音重視派
シリコンリンググリップ力は最強。スポーツ時でも落ちないが、シリコンの厚みで耳穴への圧迫感が強くなる場合がある。落下防止重視

私の結論と推奨セッティング:

私の耳の形状では、「パッドなし」だと首を振っただけでズレる感覚があり、常に位置を直すストレスがありました。
チタン表面がサラサラしすぎているためです。

最もバランスが良いと感じたのは「付属のドーナツ型スポンジ」の使用です。
これならば、EBX25Tiの最大の持ち味である高音の抜けを損なわず、しっかりと耳珠(耳の突起)に固定できます。

ネット上の口コミで「装着感が悪い」「すぐ落ちる」という意見も見かけますが、これは付属のパッド等を駆使することで9割の人は解決できるレベルだと感じました。
また、サードパーティ製の「高域透過型スポンジ」などを試すのも楽しみの一つです。

 

NICEHCK 「EBX25Ti」の音質レビュー:圧倒的な解像度とスピード感

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出典:NICEHCK公式

ここからは肝心の音質について詳しくレビューします。
試聴環境は、DAPに「iBasso DX340」や「FiiO M17」を使用し、ゲインをミドル設定、エージングを50時間ほど行った状態での感想です。
一言でこのイヤホンの音を表すなら、「寒色系ハイスピードサウンドの極致」です。

高音域:チタン特有の煌びやかさと突き抜ける明瞭感

このイヤホンの最大の魅力であり、アイデンティティは、間違いなく高音域(トレブル)にあります。
チタンハウジングの影響か、シンバル、ハイハット、トライアングルといった金物楽器の音に、独特の「金属的な響き」が乗ります。
これは耳障りなノイズや不快な刺さりではなく、音に輪郭と輝きを与える高級なスパイスのようなものです。

  • 透明感
    まるで冬の朝の空気のように澄み渡っています。
    天井を感じさせない抜けの良さがあり、音が空に吸い込まれていくような感覚を覚えます。
  • 解像度
    微細な電子音の粒子や、バイオリンの倍音成分まで克明に描き出します。
    カナル型では聴き取れなかった「無音時の静寂」さえも表現するような緻密さがあります。

ウォームで柔らかい音が好きな人には「少し硬すぎる」「分析的すぎる」と感じるかもしれませんが、解像度重視の方や、モニターサウンドを好む方にはたまらない刺激でしょう。

中音域:分離感に優れた艶のあるボーカル表現

中音域は、決して他の帯域に埋もれることなく、しかし前に出しゃばりすぎることもない、絶妙な距離感で定位します。
特筆すべきは「分離感」です。

ボーカルとバックバンド(ギター、ピアノなど)の音が混ざり合うことなく、それぞれの音が独立してレイヤー状に聴こえます。
特に女性ボーカルのハイトーンは非常に美しく、息遣い(ブレス)やリップノイズまで生々しく伝わってきます。 音の厚みはそれほど「肉厚」ではなく、すっきりとした細身でシャープな描写ですが、それが逆に楽曲全体のスピード感を損なわず、疾走感を生み出す要因になっています。
バラードでの感情表現よりも、アップテンポな曲での滑舌の良さが際立ちます。

低音域:量感よりも「キレ」と「アタック感」重視の低音

構造的に密閉できないインナーイヤー型が最も苦手とする低音域ですが、EBX25Tiは「量」ではなく「質」で勝負しています。

  • スピードと制動
    バスドラムのキック音が「ドーーーン」と広がるのではなく、「ドッ!」と瞬間的に立ち上がり、瞬間的に鳴り止みます。
    ベリリウムメッキ振動板の高い剛性が効いており、低音が膨らんでボワつく(ブーミーになる)ことが一切ありません。
  • 深さと質感
    カナル型のような、脳を揺らすような重低音(サブベース)の物理的な振動を得るのは難しいです。
    しかし、ベースラインの輪郭を追う能力(ミッドベース)のアタック感は十分すぎるほどあり、ロックやメタル、EDMでもリズム隊のグルーヴをしっかり感じ取れます。
    「低音が足りない」というよりは、「低音が引き締まっている」と表現するのが適切です。

音場・定位感:開放型ならではの広大なサウンドステージ

これぞインナーイヤー型の醍醐味です。
カナル型のように頭の中で音が鳴る(頭内定位)感覚が薄く、音が耳の外側まで広がり、まるで自分の周囲にスピーカーが配置されているような開放感があります。
音の配置(定位)も非常に正確で、「右斜め後ろ30度、距離2メートルからギターが鳴っている」といった空間情報が手に取るようにわかります。
この精緻な定位感は、後述するゲーミング用途でも大きな武器になります。

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NICEHCK 「EBX25Ti」を使用した私の体験談・レビュー

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ここからは、スペックシートには載っていない、実際に私が日常生活のあらゆるシーンで使い倒して感じたリアルな体験談をお届けします。

イヤーパッドの種類による劇的な音質変化を検証

前述の通り、このイヤホンはイヤーパッドで音が激変します。
個人的に最も感動し、常用しているセッティングは、「社外品の低密度スポンジ(薄いスポンジ)」の使用です。

付属のスポンジは耐久性重視で少し密度が高く、低音が増強される反面、少し高音がマスクされる傾向がありました。
そこであえて、100円ショップやAmazonで売られているような「スカスカの薄いスポンジ」を使うことで、チタン特有の高音の伸びを殺さずに、最低限のグリップ力を確保することに成功しました。
EBX25Tiを購入された方は、ぜひ数百円で楽しめる「パッド沼」にもハマって、自分だけのベストバランスを見つけてほしいと思います。

付属ケーブルの実力とリケーブルによる変化(4.4mmバランス接続)

付属ケーブル(布巻き)は取り回しが良く、タッチノイズも布製にしては抑えられており、標準ケーブルとしては非常に優秀です。
しかし、このクラスのイヤホンならリケーブルは必須と言っても過言ではありません。

実際に手持ちの「純銀線ケーブル(4.4mm)」に交換し、バランス接続で聴いてみたところ、「化けました」
ただでさえ高い解像度がさらに一段階引き上げられ、音の輪郭がレーザービームのように鋭くなりました。
高域の天井がさらに高くなり、微細なリバーブ(残響音)の消え際まで見えるようです。
付属ケーブルは「聴きやすさとのバランス」を重視していますが、リケーブルによって「性能の限界」を引き出せる楽しさがあります。
ポテンシャルの底が見えません。

FPSゲーマー視点での定位感テスト:足音は聞こえるか?

私は普段、レビューのために多くのゲーミングヘッドセットやデバイスも扱いますが、EBX25Tiは「ゲーミングイヤホン」としても一級品だと断言できます。
『Apex Legends』や『VALORANT』で実際に数時間プレイして検証しました。

  • 足音の聞こえ方
    低音がボワつかないため、足音のような低周波音が他の環境音(銃声や爆発音)にマスクされず、クリアに聞こえます。
  • 定位(方向知覚)
    これが凄まじいです。
    開放型特有の音場の広さのおかげで、敵との距離感が非常に掴みやすい。
    「壁のすぐ向こうにいる」のか「もう一つ奥の部屋にいる」のかの判別が容易です。
  • 上下の定位
    インナーイヤー型は構造上、上下の定位が苦手なことが多いですが、EBX25Tiは高域の特性が良いせいか、上階の足音もしっかり拾えました。
    何より、閉塞感がないため、長時間プレイしても「耳が詰まる感じ」や「蒸れ」がありません。
    遮音性がほぼゼロなので、オフライン大会や騒がしい環境には不向きですが、静かな自室でのプレイなら、密閉型ヘッドセットを超える最強クラスのデバイスになり得ます。

動画・映画鑑賞での没入感:セリフの聞き取りやすさと臨場感

YouTubeでの動画視聴や、Netflixでの映画鑑賞にも最適です。
特に人の声(中高域)が極めて明瞭なので、ニュースやトーク番組のセリフが非常に聞き取りやすいのが特徴です。
アクション映画では、爆発音の「ドッカーン!」という迫力こそサブウーファー的な重低音には劣りますが、ガラスが割れる「パリーン!」という音や、弾丸が風を切る音、薬莢が地面に落ちる「チャリン」という金属音のリアリティが凄まじく、別の方向からの没入感があります。

長時間リスニングでの疲労度と遮音性について

  • 疲労度
    装着圧がほぼないため、物理的な耳の痛みは皆無です。
    3時間つけっぱなしでも忘れてしまうレベルです。
    ただし、音が「情報量の多い硬い音」なので、聴き疲れ(耳の神経的な疲れ)は多少あります。
    BGMとして流し聴きするよりも、集中して音楽の世界に入り込みたい時に向いています。
  • 遮音性と音漏れ
    ここは割り切りが必要です。
    遮音性はゼロです。
    外の音は丸聞こえです。
    そして音漏れも盛大にします
    電車やバス、図書館での使用はマナー違反になるレベルなので、基本的には屋内用、あるいは人のいない場所での散歩用と割り切るべきです。

体験談の総括:”物理で殴る”ような基礎性能の高さに感動

EBX25Tiを使って強く感じたのは、小手先のデジタル処理や複雑なフィルターによるチューニングではなく、「良い素材(チタン・ベリリウム)を使えば、良い音が鳴る」という物理法則をそのまま体現したような説得力です。

一聴して「あ、これは高い音がする」と本能で分かる質感。 インナーイヤー型にありがちな「ナローレンジ(帯域が狭い)で古臭い音」という偏見を完全に払拭する、現代的なハイレゾサウンド。
所有する喜びを含め、個人的な満足度は極めて高いものでした。

 

NICEHCK 「EBX25Ti」に関するQ&A

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※画像はイメージです

NICEHCK 「EBX25Ti」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。

インナーイヤー型は低音が弱いイメージですが、スカスカしませんか?

「量」は控えめですが、決してスカスカではありません。
カナル型のような頭を振るわせる重低音(サブベース)は物理的に出にくいですが、EBX25Tiは14.2mmの大口径ドライバーとベリリウムメッキ振動板の効果により、ベースラインやドラムのキック音(ミッドベース)は非常にタイトで力強く鳴ります。ボワつきのない、引き締まった質の高い低音を楽しめます。

FPSなどのゲーム用途に使えますか?

はい、非常に適しています。
開放型ならではの広い音場のおかげで、敵の位置(定位)が掴みやすいです。また、低音が過剰に響かないため、足音や銃声といった重要な音が他の音に埋もれず、クリアに聞き取ることができます。遮音性がないため、静かな部屋でのプレイが前提となりますが、性能はゲーミングヘッドセットに匹敵、あるいは凌駕します。

スマホ直挿しでも十分な音量が出ますか?

音量は十分に出ますが、DACの併用を推奨します。
感度が121dBと非常に高いため、スマートフォンやPCのイヤホンジャック直挿しでも爆音が出せるほど鳴ります。しかし、イヤホンの基本性能が高いため、スマホ直挿し特有のノイズ(サーッという音)を拾ってしまうことがあります。本機のポテンシャルを最大限引き出すには、スティック型DACなどの外部機器を通すことを強くおすすめします。

音漏れはどのくらいしますか?電車で使えますか?

かなり音漏れするため、電車での使用は推奨しません。
背面が開放されているオープン型構造のため、スピーカーを耳元で鳴らしているのと同レベルで音漏れします。静かな図書館や、混雑した電車・バス内での使用は周囲の迷惑になる可能性が高いため、屋内や散歩時など、周囲に人がいない環境での使用をおすすめします。

金属筐体(チタン)だと、装着時に重かったり冷たかったりしませんか?

重さは気になりませんが、冬場は冷たく感じることがあります。
チタン合金は軽量なため、装着して重みで耳が痛くなることは稀です。ただし、金属製ゆえに熱伝導率が高く、冬場やエアコンの効いた部屋では装着した瞬間に「ヒヤッ」と冷たく感じることがあります。気になる場合は、付属のイヤーパッド(スポンジ)を装着することで緩和できます。

装着中にイヤホンが耳から落ちませんか?

パッドなしだと滑りやすいため、付属のスポンジ等の使用を推奨します。
チタン筐体は表面がサラサラしており、イヤーパッドを付けずにそのまま装着すると、頭を動かした際にズレたり落下したりすることがあります。付属の「ドーナツ型スポンジ」や「シリコンリング」を使用することでグリップ力が増し、安定した装着感と良好な音質を両立できます。

付属のMMCXリムーバーはどう使うものですか?

ケーブルを外す際の破損防止ツールです。
MMCX端子は個体差によって非常に硬く、手で無理に外そうとすると爪を傷つけたり、端子を破損させたりする恐れがあります。付属のリムーバーをコネクタの隙間に挟み込んで押し出すことで、安全かつ簡単にケーブルを取り外すことができます。リケーブルの際は必ず使用してください。

エージング(慣らし運転)は必要ですか?

必須ではありませんが、行ったほうが本領を発揮します。
ベリリウムメッキ振動板は剛性が高く、使い始めは音が硬く感じる場合があります。50〜100時間ほど普段どおり音楽を聴き込むことで、振動板が馴染み、低音の深みが増して高音の角が取れた滑らかな音に変化します。

低価格帯で人気の「EB2S / EB2S Pro」とはどう違いますか?

解像度と音の純度が別次元です。
EB2Sシリーズは「安くて聴きやすい(カマボコ〜弱ドンシャリ)」のが魅力ですが、EBX25Tiは「音の輪郭を完全に描き切る」性能を持っています。EB2Sで曖昧に聞こえていた背景の音が、EBX25Tiではハッキリと分離して聞こえます。「EB2Sの音が好きで、そのままグレードアップしたい」という方には、正統かつ劇的な進化を感じられる上位互換として最適です。

ASMR動画の視聴には向いていますか?

空間表現を楽しむASMRには向いていますが、耳かき系には好みが分かれます。
バイノーラル録音された環境音や、囁き声の距離感の再現性は非常に高く、リアルな空間を感じられます。一方で、解像度が高すぎるため、耳かき音などの「ゾクゾクする音」が鋭くなりすぎて、人によっては刺激が強すぎると感じるかもしれません。リラックスよりもリアリティ重視のASMRに向いています。

リケーブル端子の「MMCX」は外れやすくなりませんか?

精度の高いパーツが使われていますが、頻繁な着脱は控えるべきです。
EBX25TiのMMCX端子はしっかりとしたクリック感があり、簡単には外れません。しかし、MMCXという規格自体の性質上、端子が回転することで摩耗したり、何度も着脱することで接点が緩くなったりするリスクは避けられません。基本的には「これだ」というケーブルを決めたら、付けっぱなしにしておくのが長持ちさせるコツです。

バランス接続(4.4mm)とアンバランス接続(3.5mm)どちらを買うべきですか?

再生環境があるなら、迷わず「4.4mmバランス」です。
EBX25Tiの特長である「左右の分離感」と「音場の広さ」は、バランス接続にすることで最大化されます。もしお手持ちのDAPやDACが4.4mmに対応しているなら、バランスプラグ版を選ぶことを強く推奨します。3.5mm接続でも高音質ですが、本機の真価の8割程度とお考えください。

布巻きケーブルはタッチノイズ(ガサゴソ音)が気になりませんか?

一般的なゴム被膜ケーブルよりは少し大きめです。
付属の布巻きケーブルは見た目の高級感や絡まりにくさに優れていますが、衣服のファスナーや襟と擦れると「ガサゴソ」というタッチノイズが伝わりやすい傾向があります。歩行中に使用する場合は、ケーブルスライダー(分岐部の留め具)を顎の下まで上げたり、クリップで服に固定したりすることで軽減できます。

最近流行りの「耳をふさがないワイヤレスイヤホン(OWS)」と比べて音質はどうですか?

音の密度と情報量において、EBX25Tiが圧倒的に上です。
ShokzやHuaweiなどのオープンイヤー型ワイヤレスイヤホンは便利ですが、Bluetooth接続であることや、ドライバーと鼓膜の距離が遠い構造上、どうしても音が軽く、情報量が間引かれた音になります。 対して有線接続かつ大口径ドライバーのEBX25Tiは、同じ「耳をふさがない構造」であっても、音の厚み、解像度、空気感のリアルさが桁違いです。「BGMとして聴く」ならワイヤレス、「音楽作品として聴き込む」ならEBX25Tiと使い分けるのが正解です。

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NICEHCK 「EBX25Ti」レビューのまとめ

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※画像はイメージです

最後に、NICEHCK EBX25Tiのレビューを総括します。

EBX25Tiのメリット・デメリットまとめ

メリット(Good)デメリット(Bad)
圧倒的な解像度とスピード感
ベリリウムメッキ振動板ならではの、キレと瞬発力のある音が素晴らしい。
遮音性は皆無
開放型なので、騒音下では低音が掻き消されて聴こえなくなる。
チタン合金の美しい響き
金属的でクリアな高音域の伸びは、唯一無二の魅力。
音漏れが大きい
スピーカーに近い構造のため、公共交通機関での使用は推奨できない。
広大な音場と正確な定位
音楽鑑賞はもちろん、FPSゲームでの索敵能力も非常に高い。
装着感に個人差あり
金属筐体で滑りやすいため、パッド選びや調整が必要になる場合がある。
極めて高い耐久性
劣化するゴムパーツなどを排除した設計で、長く愛用できる。
価格が高い
インナーイヤー型に約5万円(セール時でも4万円台)は勇気がいる投資。
付属品が豪華
即戦力のリケーブルや高級ケースが完備されており、追加投資が不要。
好みが分かれる硬質な音
ウォームでまったりした癒やし系の音が好きな人には不向き。

他社フラッグシップやカナル型との比較

  • vs カナル型ハイエンド機(同価格帯)
    低音の迫力、遮音性、没入感ではカナル型に分があります。
    しかし、「音の抜けの良さ」「圧迫感のなさ」「長時間使用の物理的な快適さ」ではEBX25Tiが圧勝します。
  • vs 従来のインナーイヤー名機
    FiiOのFFシリーズや、AstrotecのLyraシリーズなど、ライバルは存在しますが、EBX25Tiほど「寒色系・高解像度・ハイスピード」に振り切ったモデルは稀有です。
    昔ながらの「カマボコ型(中域寄り)」のインナーイヤーとは別物です。
    現代的なドンシャリ寄りのフラットで、ワイドレンジな特性を持っています。
    「インナーイヤーは音が古い」と思っている人こそ、聴くべき一台です。

このイヤホンがおすすめな人・おすすめできない人

【こんな人におすすめ!】

  • カナル型の閉塞感や耳への圧迫感が苦手な人。
  • 解像度が高く、クリアでスピード感のある音が好きな人。
  • 室内でじっくり音楽を楽しみたい、または蒸れずにFPSゲームを快適にプレイしたい人。
  • 「一生モノ」のビルドクオリティを持つ、所有欲を満たすガジェットが好きな人。

【こんな人にはおすすめできない…】

  • 通勤・通学電車での使用がメインの人(音漏れ・遮音性の問題で実力を発揮できません)。
  • 脳を揺らすような重低音が欲しい「低音中毒」の人。
  • 刺さりのない、柔らかく温かみのある音だけを求めている人。

EBX25Tiが最も輝く「音楽ジャンル」について

このイヤホンの特性(スピード・高音の伸び・分離感)を最大限に活かせるジャンルは以下の通りです。

  1. テクニカルなメタル・ロック:
    ツーバスの高速連打や速弾きギターの粒立ちが潰れず、疾走感が最高に気持ちいいです。
    BabyMetalやDragonForceのような楽曲は相性抜群です。
  2. ピアノ・ストリングス(クラシック/ジャズ):
    チタンの響きがピアノのアタック音や、バイオリンの弦が擦れる音を美しく彩ります。
    ホールの残響感もリアルに再現します。
  3. アニソン・女性ボーカル・打ち込み系:
    声の通りが良く、バックの演奏が激しくてもボーカルが埋もれません。
    Perfumeのような電子音多めの楽曲も、キレ良く楽しめます。

逆に、重低音の空気感を重視するヒップホップや、ローファイな音を楽しむチル系のジャンルには、少し音が「綺麗すぎて整いすぎている」と感じるかもしれません。

長く愛用するためのエージング効果とメンテナンス

  • エージング(慣らし運転)の重要性:
    ベリリウムメッキ振動板は剛性が非常に高いため、箱出し直後はサスペンションが硬く、音が少し硬質で低音が出にくい傾向があります。
    最低でも50〜100時間ほど鳴らし込むことで、振動板のエッジが馴染み、低音の深みと高音の滑らかさが出てきます。
    「最初は低音が少ない?」と思っても、焦らずじっくりと育てていく楽しみがあります。
  • メンテナンス:
    チタン筐体は皮脂汚れや腐食に強いですが、使用後はマイクロファイバークロスで拭き取ることで、その美しい輝きを永続的に保てます。
    また、音の出口(メッシュ部分)は耳垢が溜まりやすいため、付属のクリーニングロッドで定期的に清掃しましょう。

NICEHCK 「EBX25Ti」レビューの総評

NICEHCK EBX25Tiは、インナーイヤー型イヤホンの歴史において、間違いなく一つの到達点を示す記念碑的なモデルです。

「開放型の構造的メリット」と「最新素材の物理的メリット」を掛け合わせることで、カナル型では決して味わえない「突き抜けるような音の快感」を実現しています。

約5万円という価格は決して安くありません。
しかし、チタン削り出しの工芸品のような質感と、そこから奏でられる唯一無二のクリスタルサウンドを体験すれば、その価格にも納得がいきます。
むしろ、このレベルの素材と音質を他メーカーが出せば、さらに高額になっていた可能性すらあります。

もしあなたが、カナル型の閉塞感に疲れ、より純粋に、より開放的に音楽と向き合いたいと願うなら、EBX25Tiは間違いなく「終着駅」の候補になり得る一台です。

このイヤホンで聴くお気に入りの楽曲は、きっと今まで聴こえなかった新しい表情を見せてくれるはずです。

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