Shanling 「M1 Plus」は、エントリー向けのハイレゾ対応ポータブルオーディオプレイヤー(DAP)として、2024年に登場しました。
高音質のオーディオ再生と多機能性を兼ね備え、手頃な価格帯で優れた音楽体験を提供する製品です。
DACチップにはES9069Qを搭載し、3.5mmと4.4mm両対応のヘッドフォン端子や、AirPlay対応のストリーミング再生、Bluetoothレシーバー機能など、上位モデルに匹敵する機能を有しています。
さらに、最大12.5時間の再生が可能なロングバッテリーを搭載しており、外出先でも安心して音楽を楽しむことができます。
また、Shanling独自のOSを採用していることで、Android搭載機種にありがちな動作の重さや起動時間の長さを改善し、操作感や起動のスピード感も秀逸です。
しかし、独自OSであるがゆえにSpotifyやApple Musicといった一部のストリーミングサービスには対応しておらず、ストリーミング再生をメインで利用するユーザーにとっては若干の不便さがあることも事実です。
とはいえ、AirPlayに対応していることで、Wi-Fi経由でストリーミングサービスを使える環境が整っているため、iPhoneユーザーにとっては非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
この記事では、Shanling 「M1 Plus」の特徴や機能を解説し、実際の使用感や他モデルとの比較を交えながら、その実力を徹底レビューしていきます。
初めてハイレゾプレイヤーを手に取る方にも分かりやすく、購入を検討する際の参考になる内容をお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。
Shanling 「M1 Plus」の概要
Shanling 「M1 Plus」は、エントリー向けながら豊富な機能を搭載したポータブルオーディオプレイヤー(DAP)で、特にオーディオファンやポータブルオーディオ初心者に向けて設計されています。
以下では、その特徴やスペック、デザイン、価格について詳しく解説していきます。
「M1 Plus」の特徴とスペック
「M1 Plus」の最大の特徴は、エントリーモデルながら上位機種に匹敵する高音質を実現している点です。
DACチップには、ESS社製のES9069Qを採用しており、ハイレゾ音源再生に必要な細部の音表現をクリアに再現します。
また、3.5mmのシングルエンド端子と4.4mmのバランス接続端子を搭載し、ヘッドホンやイヤホンを選ばずに多様なリスニング体験を提供できるのも魅力です。
「M1 Plus」は最大768kHz/32bitのPCM再生およびDSD512のネイティブ再生に対応しており、ハイレゾ音源の持つ豊かな音場感と解像度を存分に楽しむことができます。
さらに、Bluetoothレシーバー機能を搭載しており、aptX HDやLDACといった高音質コーデックに対応しているため、スマートフォンやパソコンと接続してワイヤレスで音楽を楽しむことも可能です。
バッテリーに関しても優れており、3.5mm接続時は最大12.5時間、4.4mmバランス接続時は最大10時間、Bluetooth使用時は最大24時間の再生が可能となっており、長時間のリスニングでも安心です。
また、Shanling独自のOSを搭載しており、Android機のようにシステムの立ち上げや操作が重くなることがなく、スムーズに動作します。
外観・デザインと付属品
「M1 Plus」は、エレガントでシンプルなデザインを採用しており、手のひらサイズのコンパクトな筐体が特徴です。
本体の重さは約116gと軽量で、持ち運びがしやすいのもポイントです。
カラーバリエーションはブラックとシルバーの2色が用意されており、ユーザーの好みに応じて選べます。
右側面には、電源ボタンとボリューム調整用のノブが備わっており、操作時のクリック感や硬さも調整されているため、細かいボリュームコントロールが可能です。
さらに、左側面には再生・停止ボタンや曲送り・曲戻しボタンが配置されており、直感的に操作できるレイアウトが施されています。
前面には、約3.2インチのカラーディスプレイがあり、各種設定や再生中の楽曲情報を確認しやすいのも便利です。
ディスプレイの解像度は十分に高く、アルバムアートやメニュー画面が鮮やかに表示されます。
背面は滑らかな質感を持っており、高級感のある仕上がりになっています。
付属品には、USB Type-Cケーブル、保護フィルム、ユーザーマニュアルが含まれており、別売りの純正ケースを購入することで本体の保護性をさらに高めることができます。
価格とコストパフォーマンス
「M1 Plus」は、エントリーモデルとしては比較的手頃な価格設定になっています。
日本国内では33,000円前後で販売されており、この価格帯としては非常に高いコストパフォーマンスを発揮します。
同価格帯の他のDAPと比べて、「M1 Plus」はDACチップやバランス接続対応など、上位機種に引けを取らない機能を備えていることから、初心者から中級者まで幅広い層におすすめできるモデルです。
特に、Shanlingの上位機種である「M3 Ultra」(約65,000円)と比べても、約半額でありながら基本性能をしっかり抑えている点が評価されます。
しかし、独自OSを採用しているため、SpotifyやApple Musicといったストリーミングサービスの直接利用ができず、AirPlay経由での使用を求められることは注意が必要です。
ストリーミング再生を重視するユーザーには制約があるものの、iPhoneユーザーやDLNA対応の家庭内音源管理を行うユーザーにとっては最適な選択肢となります。
Shanling 「M1 Plus」の音質レビュー
Shanling 「M1 Plus」は、DACチップにESS社製の「ES9069Q」を採用し、音質のバランスや解像度、臨場感を追求したモデルです。
特に、エントリーモデルとしては優れた音質性能を誇り、全音域でクリアな再生を実現しています。
以下では、高音域・中音域・低音域の各特性を詳しく解説し、「M0 Pro」や「M3 Ultra」といった他のShanling製品との音質の違いについても触れていきます。
高音域と中音域の評価
「M1 Plus」の高音域は、粒立ちが良く、繊細さと伸びやかさを持ち合わせています。
ESS DACチップ特有の透明感があり、刺さるような強調感を感じさせない柔らかな印象です。
ボーカルの表現においても、S/N比(Signal-to-Noise Ratio)が高いため、ノイズレスでクリアな声の質感を楽しめます。
特に女性ボーカルやアコースティック楽器の再生において、楽器の細やかなニュアンスや息遣いまでしっかりと描き出してくれるため、リアルなライブ感を味わうことができます。
中音域は、非常にナチュラルでフラットな傾向があり、各楽器の分離感も優れています。
ギターやピアノなどの楽器の音色が個々に際立ちつつも、全体としては調和が取れており、音の重なり合いが心地よく感じられます。
「M1 Plus」は、ボーカルと楽器のバランスが絶妙で、ボーカルが前に出過ぎず、楽器のバックサウンドに埋もれることもない、適度な距離感を持ったサウンドデザインが特徴です。
他のShanling製品と比較すると、「M0 Pro」と比べて高音域の繊細さがさらに向上しており、解像度も高めです。
また、「M3 Ultra」のような厚みのあるサウンドとは異なり、よりニュートラルな音質傾向を持っているため、音源そのものの音を楽しみたいユーザーに適しています。
低音域の評価
「M1 Plus」の低音域は、全体として引き締まった質感があり、重くなりすぎず、バランスの取れたチューニングが施されています。
量感は控えめですが、しっかりとしたアタック感があり、輪郭が明瞭に表現されるため、音場の広がりをしっかりと感じることができます。
低音域が過度に主張しないため、どのジャンルの音楽にも適しており、ボーカルや高音域とのバランスを損なわずに楽曲全体の臨場感を引き立てています。
特にバランス接続(4.4mm)での再生時には、さらに奥行きのある低音表現が可能で、ベースラインやドラムの迫力を感じることができます。
例えば、150Ωクラスの高インピーダンスのヘッドホンでもしっかりと駆動できるため、低音の表現力や解像度の高さを十分に引き出すことができるのも、「M1 Plus」の強みと言えます。
「M0 Pro」と比較すると、「M1 Plus」の低音域は深みが増し、解像度や輪郭の表現も向上しています。
一方で、「M3 Ultra」と比べると、低音の厚みやパワフルさでは若干劣るものの、ニュートラルで聞き疲れしないチューニングが施されているため、長時間のリスニングにおいても快適な音楽体験を提供してくれます。
他モデル(M0 Pro / M3 Ultra)との音質比較
Shanlingの他のDAPモデルと比較して、「M1 Plus」は独自のサウンド特性を持っています。
まず、「M0 Pro」と比べると、全体的に解像度が向上しており、音場の広がりもより立体的になっています。
「M0 Pro」はサイズ感がコンパクトで携帯性に優れる反面、音質面では若干の解像度不足や音の密度が薄く感じることがあります。
これに対し、「M1 Plus」はサイズを少し大きくすることで、より安定した駆動力とバランスの取れたサウンドを実現しています。
一方、「M3 Ultra」と比較すると、「M3 Ultra」の方が音の厚みや奥行き感で勝るため、より迫力のあるサウンドを楽しみたい方には「M3 Ultra」がおすすめです。
しかし、「M1 Plus」は価格が半額程度であるにもかかわらず、ほとんどの部分で遜色ない音質を提供しており、特に中音域の表現力やニュートラルなサウンドを求めるユーザーには、非常にコストパフォーマンスの高い選択肢です。
また、「M1 Plus」はESS製DACチップの特性を最大限に引き出し、クリアで透明感のある音を実現しています。
特に、AirPlayやBluetooth接続時でも音質の劣化が少なく、ワイヤレスリスニングでも有線接続時と同等の高音質を楽しむことができます。
AirPlay経由の再生では若干のダウンコンバート(48kHz/24bit)こそ発生しますが、それでもBluetooth接続と比べると圧倒的に高音質な再生が可能で、ストリーミングサービスを利用する際にも快適なリスニング体験を提供します。
以上のように、Shanling 「M1 Plus」はエントリー向けDAPとして非常に優れた音質性能を備えており、特にバランスの取れたナチュラルなサウンドを楽しみたいユーザーにとって、価格以上の価値を提供するモデルです。
Shanling 「M1 Plus」のストリーミング機能とAirPlayの使用感
Shanling 「M1 Plus」は、エントリーモデルのDAP(デジタルオーディオプレイヤー)としては珍しく、AirPlayを通じたストリーミング再生やBluetoothレシーバー機能を有しています。
独自OSを搭載しているため、一般的なAndroid搭載DAPとは異なる使い方が求められる点も特徴です。
以下では、「M1 Plus」のストリーミング機能の対応状況や、AirPlayおよびBluetoothを利用した実際の使用感について詳しく解説します。
ストリーミング機能の対応状況
「M1 Plus」は、Shanlingの独自OS「Mtouch 2.0」を搭載しているため、Android搭載のDAPとは異なり、SpotifyやApple Musicなどのアプリを直接インストールすることはできません。
そのため、他のDAPと比べてストリーミング機能の使用に若干の制約があります。
しかし、「M1 Plus」はAirPlayに対応しており、iPhoneやiPadなどApple製品からのストリーミング再生を可能にしています。
この機能を活用することで、iPhone上で再生している音楽をWi-Fi経由で「M1 Plus」に転送し、DAP本体のDACやアンプを通してハイレゾ音源並みの高音質で音楽を楽しむことができます。
AirPlay再生時は、Bluetooth接続とは異なり、音質の劣化が少なく、クリアでダイナミックなサウンドを実現できます。
一方、AndroidユーザーにとってはAirPlayが使用できないため、主にBluetoothレシーバー機能を活用して音楽を楽しむことになります。
Bluetoothのバージョンは5.2で、aptX HDやLDACといった高音質コーデックにも対応しているため、一般的なBluetooth接続よりも高品質な音楽再生を体験できます。
ただし、Bluetooth接続中はWi-Fiとの同時使用ができないため、設定の切り替えが必要になる点は不便です。
また、DLNA(Digital Living Network Alliance)にも対応しており、家庭内ネットワーク上のサーバーから音楽を「M1 Plus」に転送して再生することも可能です。
NASやPCに保存されたハイレゾ音源をDAPの内部ストレージを使わずに再生できるため、大量の音源管理が求められるユーザーにも適しています。
AirPlayとBluetoothの使い分け
AirPlayは、iPhoneやiPadなどApple製品との接続で利用されるプロトコルで、Wi-Fiを介して高音質な音楽再生が可能です。
「M1 Plus」がAirPlayに対応していることで、Apple MusicやYouTubeといったストリーミングサービスをiPhone経由でDAP本体に出力できます。
この機能は、音源をスマホ内にダウンロードして再生するのではなく、Wi-Fi経由で音楽データをほぼ無劣化で転送できる点が大きなメリットです。
AirPlayを利用する際は、iPhone側で再生中の音楽を「M1 Plus」に切り替えるだけで簡単に接続できます。
特に、屋内の安定したWi-Fi環境で使用する場合、Bluetoothに比べて圧倒的に高音質な再生が可能で、例えばクラシック音楽やジャズのような繊細な音楽の再生には最適です。
一方、Bluetooth接続はワイヤレス接続の利便性を活かし、iPhoneやAndroid端末、PCなどのデバイスと簡単に接続できます。
「M1 Plus」は、Bluetoothレシーバーとして機能するため、スマートフォンの音源を「M1 Plus」のDACを通して出力し、ワイヤレスながらも高音質な再生を楽しむことができます。
特にaptX HDやLDAC対応のスマートフォンと接続することで、AirPlayと同等の音質をワイヤレスで実現できるため、屋外や移動中での使用に適しています。
ただし、AirPlayとBluetoothは同時に使用することができず、Bluetoothをオンにした場合はWi-Fiがオフになり、AirPlayをオンにした場合はBluetoothがオフになる仕様になっています。
この点に関しては、AirPlayとBluetoothの切り替えを都度行わなければならず、若干の手間を感じるかもしれません。
ストリーミング再生時の音質評価
ストリーミング再生時の音質については、接続方法によって評価が異なります。
AirPlayを使用した場合、音楽データは48kHz/24bitにダウンコンバートされるものの、Bluetoothよりも解像度が高く、よりクリアで広がりのあるサウンドを実現しています。
AirPlayの遅延もほとんど感じられず、ほぼリアルタイムに再生ができる点は優れています。
また、AirPlay再生時に「M1 Plus」をUSB-DACとしてPCやスマートフォンに接続することで、据え置き型DACのような音質向上も期待できます。
例えば、外出先でAirPlayを利用してiPhoneの音源を再生しつつ、家に帰ったら「M1 Plus」をUSB-DACとしてデスクトップオーディオ環境の中核として活用することも可能です。
このように、「M1 Plus」はAirPlayの活用次第で、様々なオーディオ環境に対応できる柔軟性を持っている点が評価されます。
Bluetooth接続時は、aptX HDやLDACに対応していることから、Bluetooth接続特有の音質劣化が最小限に抑えられ、特にLDACを利用した際の解像度は高く、サウンドステージの広がりや楽器の分離感も非常に優れています。
Bluetooth接続時の音質は、一般的なスマートフォンの出力よりも遥かに高く、「M1 Plus」本体のアンプ性能を活かしてヘッドホンやイヤホンのポテンシャルを最大限引き出してくれるため、外出時でも高音質なリスニングが可能です。
また、AirPlayを利用してiPhoneと「M1 Plus」を接続した上で、「M1 Plus」を外部のUSB-DAC(例: DC Elite)やポータブルアンプに繋ぐこともできるため、さらに音質を向上させることができます。
例えば、AirPlay経由で「M1 Plus」に音源を送り、そこからUSB出力で高品質なDACへ接続することで、据え置き型DACを用いたリスニング環境と同等の体験を提供してくれます。
これらの機能を組み合わせることで、「M1 Plus」はストリーミング再生時にも多様な使い方ができ、音質や利便性を妥協せずに楽しむことができます。
AirPlayやBluetooth接続時の制約を理解した上で、用途に応じた接続方法を選択することで、最適な音楽体験を提供してくれるでしょう。
Shanling 「M1 Plus」を使用した私の体験談・レビュー
Shanling 「M1 Plus」を実際に使用してみて、エントリーモデルながらも音質や機能面でのパフォーマンスが非常に高いと感じました。
特に、持ち運びのしやすさや操作性の良さが光り、様々なシチュエーションで活躍できる万能型DAP(デジタルオーディオプレイヤー)です。
ここでは、外出時や家庭での使用感、他のデバイスとの組み合わせによる音質体験などを交えて、「M1 Plus」の利便性や機能面での印象について詳しくお話しします。
外出時の使用感:軽量でコンパクトな設計
まず外出時に使用してみた際に感じたのは、「M1 Plus」の優れた携帯性です。
116gという軽さと、手のひらに収まるほどの小型設計は、日常的な外出や通勤時の持ち運びにとても便利で、カバンの中やポケットに入れてもかさばることはありませんでした。
また、表面が滑らかで高級感のあるデザインが施されており、見た目の質感も良く、手に持ったときのフィット感も抜群です。
右側面に配置された電源ボタンとボリュームノブは、感触がしっかりしており、カバンやポケットの中に入れたままでも直感的に操作できます。
特にボリュームノブはクリック感が絶妙で、音量調整時に手応えがしっかりと伝わり、微調整がしやすいです。
外出先で音楽を聴いている際に、スマートフォンを取り出さずにボリュームを変えたいことが多々ありますが、「M1 Plus」ではその煩わしさが全くなく、音楽体験に集中できました。
バッテリーの持続時間も、外出時の安心感を高めるポイントです。
3.5mmシングルエンド接続時は最大12.5時間、4.4mmバランス接続時は最大10時間、Bluetooth接続時は最大24時間と、長時間のリスニングでもバッテリー切れを心配することはほとんどありませんでした。
実際に、「M1 Plus」を持って1日中出歩いても、バッテリー残量は十分に余っており、エネルギー効率の良さを実感しました。
家庭での使用感:AirPlayやDLNA機能を活用した高音質再生
家庭内では、主にWi-Fiを使ったAirPlay機能を活用して、リビングに設置したオーディオシステムに接続し、高音質で音楽を楽しみました。
「M1 Plus」は、AppleのAirPlayに対応しているため、iPhoneやiPadと簡単に接続でき、これらのデバイスからの音源をWi-Fi経由で転送することができます。
AirPlay再生時には、Bluetooth接続と比べて圧縮による音質の劣化が少なく、ダイナミックで透明感のあるサウンドを楽しむことができました。
特に、Apple Musicのハイレゾロスレス音源をAirPlay経由で再生すると、「M1 Plus」のDACチップ「ES9069Q」の持つ繊細な音の表現力と、広がりのあるサウンドステージを最大限に引き出せます。
音の分離感や解像度が高く、クラシック音楽のオーケストラ演奏やジャズのライブ録音など、楽器の細かなニュアンスが豊かに表現されるため、臨場感溢れる音楽体験ができました。
Bluetooth接続時の使用感と課題
Bluetooth接続についても試してみました。
私は主にLDAC対応のワイヤレスイヤホンやヘッドホンを使用して、通勤やカフェでの作業中に音楽を楽しみました。
LDACは高ビットレート(最大990kbps)で音楽データを転送できるため、Bluetooth接続でも非常に高い解像度とクリアなサウンドを実現できます。
「M1 Plus」は、aptX HDやLDACといったハイレゾ相当のコーデックに対応しているので、一般的なBluetoothイヤホンと接続したときのような音質劣化を感じることはありませんでした。
LDACを使用した際には、特に高音域の解像度と音の広がりが向上し、楽器の分離感や音の定位も非常に良好でした。
「M1 Plus」のアンプ性能も相まって、ワイヤレス接続時でも有線接続に劣らない高音質を楽しむことができ、外出時でも音質を妥協せずにリスニングできるのは大きな魅力です。
ただし、Bluetooth接続時にはいくつかの制約も感じました。
まず、Bluetoothをオンにしていると、Wi-Fi接続(AirPlayやDLNA)が自動的にオフになるため、ストリーミング機能とBluetoothを同時に使うことができません。
これにより、例えばBluetoothイヤホンを使いながらAirPlayで音楽を再生するといったことができず、設定のたびにBluetoothとWi-Fiを切り替える必要があります。この点は操作性の面で若干不便に感じました。
AirPlayとUSB-DACを併用した使用感
AirPlay使用時に、さらに「M1 Plus」を外部のUSB-DACと接続して使用することで、音質を一段と向上させることができます。
「M1 Plus」を経由して音源をDACに送り、そこからヘッドホンやスピーカーに接続することで、据え置き型DACを用いたオーディオ環境と同等の体験を楽しむことができます。
実際に試してみたところ、「M1 Plus」は据え置き型DACにも引けを取らない高い出力を持ち、クリアで繊細な音の表現を維持しつつ、さらに力強い低音と広がりのある音場を実現できました。
特に、オーディオルームやリビングといった安定した環境でじっくりと音楽を聴きたいときには、この組み合わせが最適です。
Shanling 「M1 Plus」に関するQ&A
Shanling 「M1 Plus」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「M1 Plus」はどのようなユーザーに向いていますか?
「M1 Plus」は、初めてハイレゾ対応のDAPを購入する初心者ユーザーや、iPhoneユーザーでAirPlayを活用してストリーミング再生を楽しみたいユーザーに最適です。持ち運びしやすいコンパクトなサイズと、優れた音質バランスを兼ね備えており、価格以上のパフォーマンスを発揮する製品です。また、Bluetooth接続やUSB-DAC機能もあるため、オーディオファンやポータブルオーディオ愛好家にもおすすめできます。
どのストリーミングサービスに対応していますか?
「M1 Plus」自体にはSpotifyやApple Musicなどのストリーミングアプリをインストールすることはできませんが、AirPlayに対応しているため、iPhoneやiPadなどのApple製デバイスを経由して、これらのストリーミングサービスをWi-Fi経由で再生することが可能です。また、DLNAにも対応しているので、家庭内ネットワークを活用してNASやPCに保存された音源を再生することもできます。
AirPlay再生時の音質はどの程度ですか?
AirPlay再生時には音源が48kHz/24bitにダウンコンバートされるため、ハイレゾロスレス音源をそのまま再生することはできません。ただし、Bluetooth接続よりも音質劣化が少なく、非常にクリアで広がりのあるサウンドを楽しむことができます。ハイレゾ再生にこだわらない場合は、AirPlay経由の再生でも十分に高音質な音楽体験を提供してくれます。
Bluetoothでどのコーデックに対応していますか?
「M1 Plus」はBluetoothバージョン5.2を搭載しており、SBC、AAC、aptX、aptX HD、LDACといった高音質コーデックに対応しています。特にLDACは最大990kbpsのビットレートでデータ転送が可能なため、Bluetooth接続でもハイレゾ相当の高音質再生を楽しむことができます。これにより、ワイヤレス接続時でも高い解像度とクリアな音質を維持することが可能です。
「M1 Plus」には内蔵ストレージがありますか?
「M1 Plus」には内蔵ストレージが搭載されていないため、音楽を保存するにはmicroSDカードを使用する必要があります。最大2TBのmicroSDカードに対応しているため、大量のハイレゾ音源を保存して持ち運ぶことができます。なお、内蔵ストレージを搭載していない点は、音楽ファイルの転送や管理を外部ストレージ経由で行う必要があるため、内蔵ストレージを求めるユーザーには不便に感じられるかもしれません。
「M1 Plus」をUSB-DACとして使用できますか?
「M1 Plus」はUSB-DACとして使用できます。PCやスマートフォンとUSBケーブルで接続することで、外部DACとしての機能を活用し、より高音質な音楽再生が可能です。例えば、デスクトップ環境では「M1 Plus」をPCに接続し、USB-DACとしてハイレゾ音源を楽しむこともでき、外出時にはポータブルDAPとして持ち運ぶといった使い分けも可能です。
「M1 Plus」と他のShanling製品(M0 ProやM3 Ultra)との違いは何ですか?
「M1 Plus」は、「M0 Pro」よりも全体的に解像度が向上し、音質がクリアになっています。サイズは少し大きいものの、バッテリー持ちや機能面で「M0 Pro」を上回ります。一方、「M3 Ultra」は「M1 Plus」の上位モデルであり、さらに高い音質と出力を実現していますが、その分価格も倍近く高く、サイズも大きくなります。「M1 Plus」は、コストパフォーマンスの高さと機能性のバランスに優れたモデルであり、エントリーから中級クラスのユーザーに最適です。
「M1 Plus」はイヤホンやヘッドホンの駆動力は十分ですか?
「M1 Plus」は3.5mmシングルエンド接続と4.4mmバランス接続に対応しており、それぞれ195mW(3.5mm)および660mW(4.4mm)の出力を持っています。これにより、通常のイヤホンから高インピーダンスのヘッドホンまで、しっかりと駆動できる十分なパワーを備えています。特にバランス接続時には、低音の安定感や音の奥行きが向上し、より力強く深みのある音楽体験を提供します。
バッテリー持ちはどのくらいですか?
「M1 Plus」のバッテリー持ちは、3.5mmシングルエンド接続時で最大12.5時間、4.4mmバランス接続時で最大10時間、Bluetooth接続時で最大24時間の連続再生が可能です。バッテリー容量は2,100mAhと十分に大きく、日常的な使用ではバッテリー切れを気にすることなく長時間のリスニングが楽しめます。
Shanling 「M1 Plus」レビューのまとめ
Shanling 「M1 Plus」は、エントリーモデルのポータブルオーディオプレイヤーとして、価格と機能のバランスが非常に優れている製品です。
DACチップにESS社製の「ES9069Q」を採用し、3.5mmシングルエンド端子と4.4mmバランス端子を搭載することで、初心者から中級者まで幅広い層に対応する高音質なリスニング体験を提供します。
この記事を通じて、「M1 Plus」の特徴や実際の使用感を詳しくレビューしましたが、最後にまとめとして、そのメリットとデメリット、そしてどのようなユーザーに最適かについて解説します。
Shanling 「M1 Plus」のメリット
- コンパクトで高い携帯性
「M1 Plus」は116gと軽量かつコンパクトな筐体を持ち、ポケットや小型のカバンにも収まりやすく、持ち運びのしやすさは抜群です。普段から音楽を外で楽しみたいユーザーにとって、邪魔にならないサイズ感と軽さは大きな利点です。 - 豊富な接続オプション
3.5mmシングルエンド接続、4.4mmバランス接続、Bluetooth接続、さらにAirPlayやDLNAによるストリーミング再生など、豊富な接続オプションを備えており、様々なリスニング環境に柔軟に対応します。iPhoneユーザーにとっては、AirPlayを活用して高音質なストリーミング再生ができる点も魅力です。 - 優れた音質とバランスの取れたサウンド
DACチップ「ES9069Q」によるクリアで透明感のあるサウンドが特徴で、高音域から低音域までバランスの取れた音質を提供します。特に、ボーカルや楽器の分離感が良く、細部の表現力も優れているため、ジャズやクラシックなど繊細な音源を楽しむ際にもその実力を発揮します。 - バッテリーの持ちが良く長時間のリスニングが可能
3.5mm接続時で最大12.5時間、4.4mmバランス接続時で最大10時間、Bluetooth接続時で最大24時間の連続再生が可能で、長時間のリスニングに対応しています。外出先でもバッテリー切れを心配せずに音楽を楽しめる点は、旅行や出張などでも非常に役立ちます。 - AirPlayやUSB-DAC機能の併用でさらなる音質向上が可能
AirPlayでストリーミング再生しながら、「M1 Plus」を外部のUSB-DACやアンプに接続することで、さらなる音質向上が期待できます。この柔軟な組み合わせができる点は、オーディオファンにとって大きな魅力です。 - 素早い起動と軽快な操作感
独自OS「Mtouch 2.0」の採用により、起動時間が非常に短く、操作レスポンスも優れています。システムのもたつきがないため、Android搭載DAPにありがちなストレスを感じることなく、すぐに音楽を楽しめるのも利点の一つです。
Shanling 「M1 Plus」のデメリット
- 独自OSによるストリーミングアプリの制約
「M1 Plus」はShanling独自のOSを採用しているため、SpotifyやApple Musicなどのストリーミングアプリを直接インストールして使用することはできません。これにより、ストリーミング再生を重視するユーザーには若干の制約が生じます。 - BluetoothとWi-Fiの同時使用が不可
「M1 Plus」はBluetoothとWi-Fiを同時に使用できない仕様となっているため、例えばAirPlayを使用しながらBluetoothイヤホンを接続することができません。このため、設定の切り替えが必要になる場面があり、利便性の面で若干不便を感じることがあります。 - 内蔵ストレージが非搭載で、外部ストレージが必須
「M1 Plus」には内蔵ストレージが搭載されておらず、音源を保存するにはmicroSDカードを別途購入して使用する必要があります。これにより、音源の転送や管理が若干面倒に感じることがあるため、内蔵ストレージを求めるユーザーにはデメリットとなります。 - 操作時のスクロール感度が若干高い
「M1 Plus」のスクロール操作は感度が高く、画面を上下にスクロールする際に思った以上に速く動くことがあります。このため、細かいメニュー操作や楽曲選択時に若干の操作性の悪さを感じることがあります。
どのようなユーザーに最適か
Shanling 「M1 Plus」は、エントリーモデルでありながら高音質と豊富な機能を兼ね備えており、以下のようなユーザーに最適です。
- 初めてハイレゾ対応DAPを試してみたい初心者ユーザー
「M1 Plus」は、操作性が簡単で、持ち運びもしやすいデザインが特徴のため、ハイレゾ音源に興味がある初心者ユーザーにとって理想的なエントリーモデルです。特に、スマートフォンからのステップアップとして、より高音質な音楽体験を求める方におすすめです。 - iPhoneユーザーでAirPlayを活用したいユーザー
「M1 Plus」sはAirPlayに対応しており、iPhoneやiPadとの親和性が非常に高いため、Apple製品を使っているユーザーにとって最適です。特に、AirPlayを利用したストリーミング再生を中心に楽しみたいユーザーにとっては、優れた選択肢です。 - 様々な接続方法を試してみたいオーディオファン
3.5mmシングルエンド、4.4mmバランス接続、Bluetoothレシーバー機能、USB-DAC機能など、「M1 Plus」は多彩な接続オプションを提供しており、様々な環境で音質を試してみたいオーディオファンには最適です。 - 外出先でも音質を妥協したくないユーザー
軽量かつコンパクトなデザインと長時間バッテリーを兼ね備えた「M1 Plus」は、外出先でも高音質で音楽を楽しみたいユーザーにとって理想的なモデルです。Bluetooth接続時のLDAC対応もあり、ワイヤレスでもハイレゾ相当の音質を維持できるため、移動中や旅行中でも快適にリスニングできます。
Shanling 「M1 Plus」レビューの総括
Shanling 「M1 Plus」は全体として、価格以上の価値を提供する高コストパフォーマンスのDAPであり、初心者から中級者まで幅広いユーザーにおすすめできる製品です。
音質、携帯性、機能性のいずれも高いレベルでまとまっており、特にiPhoneユーザーや外出先での使用を考える方には最適な選択肢となるでしょう。