Shanling 「M5 Ultra」は、2024年に登場したハイエンドポータブル音楽プレーヤーで、多くのオーディオ愛好家の注目を集めています。
このデバイスは、AKM製のDACチップAK4499EXとAK4191を採用し、優れた音質を提供することを目指しています。
また、フルメタルボディと洗練されたデザインにより、高級感を持ちながらも実用性を兼ね備えています。
このレビューでは、「M5 Ultra」のデザインと仕様、音質とパフォーマンス、ソフトウェアと機能について詳しく解説します。
また、実際に使用した感想や、他のユーザーから寄せられそうな質問にも答えていきます。
Shanling 「M5 Ultra」のデザインと仕様
外観と素材
Shanling 「M5 Ultra」は、洗練されたデザインと高品質な素材を使用しており、視覚的にも触覚的にも魅力的な製品です。
本体はフルメタルのアルミニウム筐体を採用しており、堅牢性と高級感を兼ね備えています。
さらに、前面と背面、上部と下部には強化ガラスパネルが使用されており、光沢のある美しい仕上がりになっています。
カラーオプションはブラックとシルバーの2種類があり、どちらもスタイリッシュな仕上がりです。
ボタン配置と使い勝手
Shanling 「M5 Ultra」は、使い勝手の良いシンプルなボタン配置が特徴です。
本体右側には、電源ボタン兼ボリュームホイールが配置されています。
このホイールは回転させることで音量を調整でき、押すことでデバイスの電源をオン/オフすることができます。
ホイールにはLEDライトが内蔵されており、動作状態に応じて色が変わる仕様になっています。
このライトの色は設定から変更することが可能です。
左側には、再生/一時停止ボタンとトラック送り/戻しボタンが配置されており、直感的な操作が可能です。
ボタンの配置は、片手で操作することを念頭に置いて設計されており、操作中にデバイスをしっかりとホールドできるよう工夫されています。
ディスプレイと操作性
Shanling 「M5 Ultra」は、4.7インチの720p解像度のIPSディスプレイを搭載しています。
このディスプレイは、鮮やかな色彩と広い視野角を提供し、屋外でも明瞭な視認性を確保します。
IPSパネルの特性により、視角を変えても色の変化が少なく、どの角度から見てもクリアな表示が可能です。
操作性に関しては、「M5 Ultra」はShanling独自のMTouch OSを採用しています。
これはAndroidベースのオープンプラットフォームではなく、オフライン再生に特化したシンプルで高速なインターフェースです。
MTouch OSは、スムーズな操作感と迅速なレスポンスを提供し、ユーザーはストレスなく音楽再生を楽しむことができます。
デバイスの底部には、MicroSDカードスロットとUSB-Cポートが配置されています。
MicroSDカードスロットは最大2TBまでのカードに対応しており、大容量の音楽ファイルを保存することが可能です。
USB-Cポートは充電およびデータ転送に使用され、最新の規格に対応しています。
その他の仕様
Shanling 「M5 Ultra」は、3.5mm標準ヘッドホンジャックと4.4mmバランス出力を備えており、さまざまなヘッドホンやイヤホンと互換性があります。
Shanling 「M5 Ultra」の音質とパフォーマンス
内蔵DACとアンプ
Shanling 「M5 Ultra」は、AKM製の最新DACチップであるAK4499EXとAK4191を搭載しています。
これにより、非常に高い解像度とダイナミックレンジを実現しています。
さらに、TPA6112A2アンプチップも使用しており、これが非常に効率的かつパワフルな出力を可能にしています。
「M5 Ultra」は、32オームの負荷で1.1ワットの出力を提供することができ、これは同価格帯の他のデジタルオーディオプレーヤーと比較して非常に強力です。
音質の特徴
Shanling 「M5 Ultra」の音質は、多くのオーディオファイルにとって魅力的なものです。
以下にその主な特徴を挙げます。
低音の再現力:「M5 Ultra」は低音の再現力に優れており、深くて力強いバスを提供します。ベースの存在感が非常に高く、エレクトロニカやロックなどのジャンルで特に効果を発揮します。
中音域のバランス:中音域は非常にバランスが良く、ボーカルや楽器の音がクリアに再生されます。特にボーカルの透明感が際立ち、音楽の細かなニュアンスをしっかりと表現します。
高音の滑らかさ:高音域は滑らかで、耳障りなシャープさがなく、長時間のリスニングでも疲れにくい音質です。高音のディテールがしっかりと描かれ、楽器の細部まで鮮明に聞こえます。
ダイナミクスとパンチ:「M5 Ultra」はダイナミクスが豊かで、音楽の起伏をしっかりと感じさせます。音の立ち上がりと瞬発力に優れており、迫力あるサウンドを提供します。特に打楽器の表現力が高く、リアリティのある再生が可能です。
使用できるヘッドホンの種類
Shanling 「M5 Ultra」は、さまざまなインピーダンスのヘッドホンやイヤホンと組み合わせることができます。
以下は、その対応範囲の概要です。
低インピーダンスイヤホン:インピーダンスが低いイヤホンでも、「M5 Ultra」の出力は十分で、ノイズフロアが低く、静寂時にもノイズがほとんど感じられません。特に、高感度のIEM(インイヤーモニター)でも、クリーンな音質を保ちます。
高インピーダンスヘッドホン:高インピーダンスのヘッドホンに対しても、「M5 Ultra」は十分なパワーを供給できます。例えば、300オーム以上のヘッドホンでも、豊かな音量とダイナミクスを提供します。高インピーダンスヘッドホンでも、音質の劣化がなく、しっかりとドライブすることが可能です。
バランス出力対応ヘッドホン:「M5 Ultra」は4.4mmバランス出力を備えており、これを利用することで、より高いダイナミクスとチャンネルセパレーションを実現します。バランス接続に対応したヘッドホンを使用することで、音質の向上を図ることができます。
Shanling 「M5 Ultra」のソフトウェアと機能
MTouch OSの特徴
Shanling 「M5 Ultra」は、Androidベースのオープンプラットフォームではなく、Shanling独自のMTouch OSを採用しています。
MTouch OSはシンプルで直感的なインターフェースを提供し、ユーザーがスムーズに操作できるように設計されています。
このOSは、ストリーミングサービスやサードパーティアプリのインストールをサポートしていませんが、オフライン再生に特化しており、音楽ファイルの再生に必要な機能が充実しています。
MTouch OSの主な特徴は以下の通りです。
シンプルで高速な操作性:MTouch OSは非常に軽量で、高速に動作します。タッチ操作に対するレスポンスが良く、スムーズなユーザーエクスペリエンスを提供します。
ピュアオーディオ再生:ストリーミングサービスを利用しないため、オーディオ再生に全てのリソースを集中させることができます。そのため、音質を最大限に引き出すことが可能です。
定期的なアップデート:ShanlingはMTouch OSの改良を続けており、定期的にアップデートが提供されます。これにより、新しい機能やバグ修正が行われ、常に最新の状態で使用できます。
サウンドフィルターとEQ設定
Shanling 「M5 Ultra」は、音質を自分好みにカスタマイズできる複数のサウンドフィルターとEQ設定を備えています。
これにより、ユーザーは自分の好みや聴く音楽のジャンルに合わせて音質を調整することができます。
サウンドフィルター:「M5 Ultra」には6種類のサウンドフィルターが搭載されており、それぞれ異なる音質特性を持っています。例えば、よりシャープな高音を求める場合や、より豊かな低音を求める場合など、フィルターを切り替えることで音のキャラクターを変えることができます。
EQ設定:内蔵のイコライザー(EQ)を使用することで、周波数帯域ごとに音量を調整できます。プリセットのEQ設定に加え、カスタムEQを設定することも可能です。これにより、細かい音質調整が可能となり、ユーザーの好みに合わせた最適な音響環境を構築できます。
ストリーミングサービスと接続性
Shanling M5 Ultraは主にオフライン再生を目的としていますが、一部のストリーミングサービスにも対応しています。
Tidalのサポート:「M5 Ultra」はTidalに対応しており、高音質の音楽ストリーミングを楽しむことができます。TidalのMQA(Master Quality Authenticated)デコードにも対応しており、最高品質のストリーミング体験を提供します。(現状日本でのサービスなし)
Wi-FiとBluetooth接続:M5 UltraはWi-FiおよびBluetooth接続をサポートしています。これにより、ワイヤレスでの音楽再生や、他のデバイスとの接続が可能です。Bluetoothは高音質コーデック(LDAC、aptX HDなど)に対応しており、ワイヤレスでも高品質な音楽再生が楽しめます。
USB-DAC機能:M5 UltraはUSB-DAC機能を備えており、PCやスマートフォンと接続して高品質なDACとして使用することができます。これにより、外部デバイスの音質を大幅に向上させることができます。
DLNAとAirPlayのサポート:M5 UltraはDLNAおよびAirPlayをサポートしており、ネットワーク経由で他のデバイスと音楽を共有することができます。これにより、家庭内の様々なデバイスで音楽を楽しむことが可能です。
Shanling 「M5 Ultra」を使用した私の体験談・レビュー
Shanling 「M5 Ultra」を初めて手にしたとき、その高級感あるデザインと堅牢な作りにまず圧倒されました。
アルミニウム筐体の重厚感とガラスパネルの美しさは、手に取るだけでそのクオリティを実感させてくれます。
デザインと操作性
まず、デザイン面では非常に満足しています。
シャープなエッジと洗練された外観は、他のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)にはない独特の魅力を放っています。
特に、ボリュームホイールのLEDライトは見た目だけでなく、暗い場所での操作を助けてくれる実用性も兼ね備えています。
ボタン配置も直感的で使いやすく、片手での操作が容易に行えます。
音質
音質に関しては、Shanling 「M5 Ultra」は私の期待を遥かに超えるものでした。
低音の力強さと深みは特筆すべきもので、ベースがしっかりと再現されるため、ロックやエレクトロニカの楽曲が非常に迫力を持って楽しめます。
中音域はクリアでバランスが良く、ボーカルや楽器の細かなニュアンスがしっかりと伝わってきます。
高音域も滑らかで、長時間聴いても疲れない音質です。
私は普段から様々なジャンルの音楽を聴きますが、特にクラシック音楽やジャズでは、Shanling 「M5 Ultra」の真価を感じることができました。
オーケストラの演奏では、各楽器の音が鮮明に分離され、広がりのあるサウンドステージを楽しむことができました。
ジャズのライブ録音では、現場の臨場感がリアルに再現され、まるで目の前で演奏が行われているかのような感覚に浸ることができました。
使用感
MTouch OSの操作性も非常に良好で、メニューの移動や楽曲の検索がスムーズに行えます。
ストリーミングサービスに関しては、Tidalのサポートのみという制限はあるものの、私は主にオフライン再生を利用しているため、特に不便を感じることはありませんでした。
また、Wi-FiやBluetooth接続も安定しており、家の中でワイヤレススピーカーに接続して音楽を楽しむことができました。
特に便利だと感じたのは、USB-DAC機能です。PCと接続して高品質なDACとして使用することで、PCの音質を大幅に向上させることができました。
この機能を利用することで、家でも外出先でも最高の音質を楽しむことができます。
バッテリー寿命
バッテリー寿命も満足のいくものでした。一回の充電で長時間再生できるため、通勤や旅行時にも安心して使用できます。
特に、長時間の飛行機移動でもバッテリー切れを気にすることなく、高品質な音楽を楽しむことができました。
総合的に見て、Shanling 「M5 Ultra」は、音質、デザイン、操作性のすべてにおいて非常に優れたDAPです。
音楽を楽しむための理想的なパートナーとなり、音楽体験を一段と豊かにしてくれました。
オーディオファイルはもちろん、初めて高級DAPを手にする方にも自信を持ってお勧めできる製品です。
Shanling 「M5 Ultra」に関するQ&A
Shanling 「M5 Ultra」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
バッテリー寿命はどれくらいですか?
「M5 Ultra」のバッテリー寿命は、一回の充電でシングルエンド接続で最大11時間、バランス接続で最大9時間の連続再生が可能です。これは使用条件や音量、接続方法によって変動することがあります。例えば、Bluetooth接続やWi-Fi接続を使用するとバッテリー消費が増えることがあります。
MTouch OSで利用できるストリーミングサービスは何ですか?
MTouch OSはTidalのみに対応しています。TidalのMQA(Master Quality Authenticated)デコード機能も備えており、高音質の音楽ストリーミングを楽しむことができます。ただし、Tidalは現状日本ではサービスが配信されていません。その他のストリーミングサービス(Spotify、Apple Music、Amazon Musicなど)はサポートされていません。
どのようなヘッドホンやイヤホンが「M5 Ultra」に最適ですか?
「M5 Ultra」はさまざまなインピーダンスのヘッドホンやイヤホンに対応しています。特に、バランス接続に対応した4.4mm出力を使用することで、音質がさらに向上します。低インピーダンスのIEM(インイヤーモニター)から高インピーダンスのオーバーイヤーヘッドホンまで幅広く対応可能です。
「M5 Ultra」はどのようにしてファームウェアを更新しますか?
「M5 Ultra」のファームウェア更新は、Wi-Fi接続を使用して直接デバイス上で行うことができます。設定メニューから「システムアップデート」を選択し、指示に従ってファームウェアをダウンロードおよびインストールしてください。また、公式サイトからファームウェアをダウンロードして、MicroSDカードを介して手動でアップデートすることも可能です。
「M5 Ultra」はどのようなファイルフォーマットに対応していますか?
「M5 Ultra」は、MP3、AAC、WAV、FLAC、ALAC、APE、DSDなど、さまざまなオーディオファイルフォーマットに対応しています。これにより、多様な音楽ファイルを高音質で再生することができます。
「M5 Ultra」のメモリ拡張はどのように行いますか?
「M5 Ultra」は、MicroSDカードスロットを備えており、最大2TBのカードに対応しています。MicroSDカードをスロットに挿入するだけで、簡単にメモリを拡張することができます。これにより、大量の音楽ファイルを持ち運び、再生することが可能です。
Bluetooth接続で使用できるコーデックは何ですか?
「M5 Ultra」は、SBC、AAC、LDAC、aptX HDなど、さまざまなBluetoothオーディオコーデックに対応しています。これにより、ワイヤレスでも高音質な音楽再生が可能です。
「M5 Ultra」はUSB-DACとして使用できますか?
「M5 Ultra」はUSB-DACとして使用することができます。PCやスマートフォンとUSBケーブルで接続することで、高品質なDACとして機能し、外部デバイスの音質を向上させることができます。
Shanling 「M5 Ultra」レビューのまとめ
Shanling 「M5 Ultra」は、ポータブルオーディオプレーヤーとして非常に優れた製品です。
その洗練されたデザイン、高品質な素材、そして驚異的な音質性能は、多くのオーディオファイルや音楽愛好家にとって魅力的な選択肢となります。
このセクションでは、これまでのレビューを総合的に振り返り、Shanling 「M5 Ultra」の主要な特徴とその評価をまとめます。
デザインと構造
Shanling 「M5 Ultra」は、アルミニウム筐体と強化ガラスパネルを組み合わせた高級感あふれるデザインが特徴です。
角張ったエッジと滑らかな表面仕上げは、現代的で洗練された印象を与えます。
操作性とMTouch OS
「M5 Ultra」はShanling独自のMTouch OSを搭載しており、シンプルで直感的な操作が可能です。
タッチスクリーンと物理ボタンの組み合わせにより、ユーザーは快適にデバイスを操作できます。
MTouch OSはほとんどのストリーミングサービスには対応していませんが、オフライン再生に特化した設計が、音楽体験をシンプルで快適なものにしています。
音質とパフォーマンス
「M5 Ultra」の音質は非常に優れており、特に低音域の力強さと中音域のクリアさが際立っています。
AKM製のDACチップ(AK4499EXとAK4191)とTPA6112A2アンプチップの組み合わせが、広範なダイナミクスと詳細な音質を実現しています。
バランス出力を利用することで、さらに高い音質を享受することができます。
多様な接続オプション
「M5 Ultra」は、Wi-Fi、Bluetooth、USB-DAC、DLNA、AirPlayなど、さまざまな接続オプションを提供します。
これにより、ユーザーは多様な環境で音楽を楽しむことができます。
特にBluetoothは高音質コーデック(LDAC、aptX HDなど)に対応しており、ワイヤレスでも優れた音質を提供します。
バッテリー寿命と携帯性
一回の充電で約10時間の連続再生が可能なバッテリー寿命は、長時間の外出や旅行でも安心して使用できるポイントです。
コンパクトなサイズと堅牢な構造は、持ち運びにも適しており、どこでも高品質な音楽体験を提供します。
Shanling 「M5 Ultra」レビュー総括
Shanling 「M5 Ultra」は、音質、デザイン、操作性のすべてにおいて非常に高い評価を受けるべき製品です。
特に音楽再生に特化したMTouch OSと高性能なDAC・アンプチップの組み合わせが、究極のリスニング体験を提供します。
ストリーミングサービスの制限はあるものの、オフラインでの音楽再生を主に楽しむユーザーにとっては、これ以上ない選択肢となるでしょう。
Shanling 「M5 Ultra」を使用することで、音楽の新たな一面を発見し、その深い魅力を再確認することができます。
このデバイスは、音楽愛好家にとって必携のアイテムであり、長く愛用できる一台となるでしょう。