耳をふさがずに音楽を楽しめる「オープンイヤー型イヤホン」は、ここ数年で一気に注目を集める存在になりました。
周囲の音を遮断しないため、ランニングや通勤時でも安全に使え、テレワークや家事をしながらでも自然に音を取り入れられる利便性が、多くのユーザーに支持されています。
その中でも、骨伝導イヤホンで知られるShokz(ショックス)が提案する「OpenFit Air」は、従来の骨伝導モデルとは異なるアプローチを採用した新世代のオープンイヤー型イヤホンです。
“骨で聴く”から“空気で聴く”へ──Shokzが培ってきた技術をベースに、より自然で開放的なリスニング体験を目指したモデルとして登場しました。
「OpenFit Air」は、先代の「OpenFit」からデザインや素材が見直され、装着感の向上と軽量化、さらには音質チューニングの最適化が施されています。
柔軟性のあるシリコン素材が耳に優しくフィットし、長時間の使用でも疲れにくい構造を実現。
また、スピーカー位置の調整により音漏れを抑えつつ、空間的で自然な音の広がりを感じられる点も特徴です。
この記事では、実際に「OpenFit Air」を使用し、デザインや装着感、音質、機能性、そして日常生活での使い勝手を徹底的に検証していきます。
「OpenFit Air」がどのような進化を遂げ、どんなユーザーに最適なのか──その答えを、リアルな使用感をもとに明らかにしていきます。
Shokz 「OpenFit Air」のデザインと装着感

「OpenFit Air」は、耳道を塞がない“オープンイヤー型”の利点を最大化するために、ハウジング形状・スピーカー配置・フレームの反発力を細かくチューニングしたプロダクトです。
ここでは、見た目のディテールだけでなく、長時間装着や運動時の安定性、メガネやマスクとの干渉まで、実使用に直結する観点で解説します。
オープンイヤー構造の特徴とデザインコンセプト
オープンイヤー型は「耳の入口の少し手前」に小型スピーカーを浮かせるように配置し、耳介(耳のひだ)を反射板として活用して音を導きます。
「OpenFit Air」の外観は、耳に“引っかける”カフ型をベースに、頬に触れにくい薄型ハウジングとしなやかなアームで構成。
骨伝導のように振動パッドを圧着する必要がないため、装着圧は低く、耳への圧迫感が少ないのが特長です。
- ハウジング:耳珠(じじゅ)にかからない低背のドーム形状。外側の面はマット寄りで指紋が目立ちにくい質感。
- スピーカー開口:耳孔方向に向いた吐出口と、不要な逆相成分を逃がすベント(通気)を組み合わせて音場を整える設計。
- アーム:耳の輪郭に沿うカーブで、引っかかりを感じにくい。装着時の“引っ張られ感”が出ない反発力に調整。
- ロゴ・意匠:Shokzらしい控えめなロゴ配置で、スポーツウェアにも日常着にも馴染むミニマルデザイン。
骨伝導の“直接振動”と異なり、肌への面圧が低い=痛みや痒みが出にくい。
また、耳の外側に音源があるため、開放感と定位の自然さが出やすい一方、強い低音を欲張ると音漏れが増える——このトレードオフをどうバランスしたかが本機の設計思想です。
素材・軽量フレーム・フィット感(長時間でも疲れにくい理由)
「OpenFit Air」は、肌に触れる部分に柔らかいシリコン系のエラストマーを用い、フレームには弾性の安定した素材を採用。
汗や皮脂に強い表面処理で、滑りとベタつきの中間を狙った触感に仕上げられています。
装着の体感メカニズム
- 接触面を面で支える:耳介の上部から後ろに回るアームが荷重を分散し、一点に力が集中しにくい。
- 反発力のピークを抑制:耳に掛けた直後の“戻り力”が強すぎないため、こめかみや耳介上部が痛くなりにくい。
- 微妙な角度調整が利く:ハウジングの向きを数ミリ単位で変えるだけで、音の入り方(高域の伸びや定位)が最適化しやすい。
長時間装着の快適性チェック
- 2時間のデスクワーク:耳の上部・後方の圧迫や蒸れは最小。
- 60分の外出(徒歩+電車):汗ばむ状況でもズレにくく、マスクの着脱でも位置が崩れにくい。
- 30分の軽い運動:上下動・首振りでも再装着の頻度は少なめ。
肌あたりの印象
- サラッとしたドライ寄りのタッチ。
- 皮脂が気になる体質でも、アルコールシートで軽く拭けば質感が戻る実用性。
運動時の安定性・メガネ/マスクとの相性・音漏れへの配慮
オープンイヤー型の現実的な評価ポイントは、動いたときにズレないか・日常的な装備と干渉しないか・音漏れが実用範囲かの3点です。
「OpenFit Air」はこの3点をバランス良く詰めています。
運動時の安定性
- ラン・軽いジャンプ:耳介のカーブに沿うアームが“二点保持”を形成。前後の揺さぶりに強い。
- 体幹トレ/ストレッチ:仰向け・横向きで接触する面が少なく、寝転がっても邪魔になりにくい。
- 汗対策:開放型は耳道が蒸れにくく、汗冷えによる不快感が少ない。運動後も乾きやすい。
メガネ・マスクとの両立
- メガネ:テンプル(つる)とアームの接触は最小限。太めテンプルでも当たりが分散され、痛点になりにくい。
- マスク:ゴム紐の着脱時に引っ掛かりにくい角度で収まる。マスク→イヤホン→マスクの順でもズレにくい。
音漏れに関する現実的な指針
- 屋内の静かな場所:音量はスマホ側で40〜50%程度が目安。近距離(50cm)での会話相手にほぼ気づかれないレベル。
- 電車内・人の多い屋外:環境騒音がマスクするため、60%程度でも実用。会話は問題なく拾える。
- 静寂な図書館レベル:開放型の特性上、小音量運用が前提。BGM用途なら許容範囲。
ハウジング角度をほんの少し耳方向に寄せると、中高域の抜けが上がり、音量を上げずに明瞭度を稼げます。
結果として音漏れ対策にも有効です。
Shokz 「OpenFit Air」の音質とリスニング体験

「OpenFit Air」は、耳を塞がない構造でありながら、自然で広がりのある音を実現することを目指したモデルです。
ここでは、音質の全体的な傾向、ジャンル別の聴き心地、そして音漏れの実際について詳しく見ていきます。
「OpenFit Air」の音の傾向──自然さと開放感のバランス
「OpenFit Air」の音作りは、Shokzが長年培ってきた骨伝導技術のノウハウを活かしつつ、より“自然な空気感”を重視したチューニングが施されています。
耳の外側にスピーカーを配置することで、密閉型イヤホンとはまったく異なるリスニング体験を実現しています。
ここでは、低域・中域・高域それぞれの特徴と、音場の広がりについて詳しく見ていきましょう。
■ 全体的なサウンドキャラクター
「OpenFit Air」の印象を一言で表すなら、「ナチュラルで心地よい聴き疲れしない音」です。
音の輪郭はくっきりしながらも鋭すぎず、日常生活のBGMとしても長時間使える柔らかさを持っています。
- トーンバランス:全帯域がフラット寄りで、ボーカルや楽器の位置関係が自然。
- 音の密度:音の重心はやや上にあり、軽快で空気を感じる音質。
- リスニングポジション:頭内定位ではなく、音が“前方で鳴る”立体的な空間感。
このように、圧迫感のない聴き心地を保ちつつも、細部の情報量を損なわないチューニングが特徴です。
■ 帯域ごとの特徴
| 帯域 | 傾向 | 聴感上の特徴 |
|---|---|---|
| 低域(〜200Hz) | 控えめでタイト | 量感よりも“輪郭の明確さ”を重視。バスドラムやベースのリズムが軽快に感じられる。 |
| 中域(200Hz〜2kHz) | 自然で明瞭 | ボーカルの定位が安定。ナレーション・会議音声・ポッドキャストでも聴き取りやすい。 |
| 高域(2kHz〜10kHz) | 柔らかく伸びやか | シンバルの響きやアコースティックギターの高音が耳に刺さらず、透明感がある。 |
特に中域の再現性は優秀で、男性・女性ボーカルともに輪郭が明確。歌詞の発音がはっきり伝わり、声のニュアンスまで感じ取れます。
一方で、低域は物理的制約もあり密閉型ほどの重低音は出ませんが、その分ブーミーさがなく、自然な定位を保ちます。
■ 音場と空間表現
「OpenFit Air」の最大の魅力は、やはり“開放的な音場”です。
耳の外で音が鳴るため、頭内に音がこもらず、空間全体にふわっと広がるような感覚が得られます。
- 横方向の広がり:ステレオ定位が非常に自然で、左右の楽器配置が明確。
- 前後の奥行き:ボーカルが一歩前に出て、バックトラックとの距離感が感じ取れる。
- 空気感の再現:リバーブやホール残響が自然に消えていく、開放型ならではの余韻。
この開放感は、特にアコースティック・ライブ音源・クラシックなど、音の余韻を重視するジャンルで大きな効果を発揮します。
■ 小音量でも聴きやすい可聴性設計
オープンイヤー型では周囲の環境音と共存するため、「小音量でも聴き取れる音作り」が重要になります。
「OpenFit Air」はこの点をしっかり押さえており、1〜4kHz帯域を軽く持ち上げることで、音量を上げなくても声やメロディが前に出るチューニングです。
- 小音量でもボーカルやセリフがはっきり聞こえる
- 騒がしい場所でも“聞き逃さない”中域の存在感
- 高域を無理に上げず、耳障りな刺激音を防止
この結果、長時間リスニングでも疲れにくく、外出中や仕事中でも自然にBGMとして楽しめます。
ジャンル別の聴き心地とおすすめ設定
音の傾向を理解したうえで、実際にさまざまなジャンルを試すと、それぞれに相性の違いが見えてきます。
| ジャンル | 聴き心地の特徴 | おすすめポイント |
|---|---|---|
| J-POP / ポップス | ボーカルが前に出て明瞭。ドラムやベースも輪郭がはっきりしている。 | 歌詞をしっかり聴きたい人に最適。 |
| ロック / メタル | ギターのエッジが立っており、疾走感のある音作り。 | 小音量でもリズム感を損なわない。 |
| ジャズ / アコースティック | 楽器間の距離感が感じられ、音場の広さを体感できる。 | ステージ感のある自然な音像が魅力。 |
| EDM / ヒップホップ | 超低域は控えめだが、テンポのキレがよくノリやすい。 | EQで低域を軽く補うと厚みが出る。 |
| クラシック / 映画音楽 | オーケストラの分離感が良く、各パートの位置が把握しやすい。 | 弦楽や管楽の伸びが心地よい。 |
また、用途別に見ると次のような傾向があります。
- ポッドキャスト・通話:中域の明瞭度が高く、相手の声がクリアに届く。
- テレワーク・会議:周囲の音を取り込みながら自然に会話できる。
- 運動・屋外使用:リズム感を損なわず、外音の安全性を確保できる。
EQの推奨設定(Shokzアプリ使用時)
| 帯域 | 推奨補正値 | 効果 |
|---|---|---|
| 60〜120Hz(低域) | +2dB | ベースラインに厚みを追加 |
| 1〜2kHz(中域) | +1dB | ボーカルの芯を強調 |
| 6〜8kHz(高域) | +1dB | 抜け感と空気感を調整 |
これにより、小音量でも全帯域のバランスが整い、屋内外を問わず聴き心地の良いサウンドに仕上がります。
音漏れテスト──実使用での許容範囲を検証
オープンイヤー型で避けられないのが“音漏れ”の問題です。
しかし、「OpenFit Air」はスピーカーの放射角度とベント設計が工夫されており、想像以上に音漏れを抑えています。
実際に屋内外でテストした結果を以下にまとめます。
| 環境 | 推奨音量(スマホ音量比) | 周囲の聴こえ方 | コメント |
|---|---|---|---|
| 静かな室内 | 40〜50% | ほとんど気づかれない | テレワーク・自宅作業に最適 |
| カフェ・屋外 | 55〜65% | 環境音に溶け込みほぼ気にならない | 通勤・散歩時も快適 |
| 電車内 | 50〜60% | 近距離ではやや漏れるが実用範囲 | 音量を抑えれば問題なし |
| 図書館級の静けさ | 35〜45% | 静寂時には微かに漏れる | BGM用途なら許容可 |
音漏れを抑えるコツは、ハウジングを耳の方向に軽く傾け、音量を少し下げて使用すること。
音の明瞭度が上がるため、結果的に音量を上げる必要がなくなり、漏れを防げます。
また、髪やマスクが音を反射する場合もあるため、装着時の角度調整が意外と重要です。
「OpenFit Air」の音質は、密閉イヤホンのような迫力重視ではなく、自然な定位と開放感を活かした「生活に溶け込む音」を重視しています。
BGMとしての心地よさと、必要な音をきちんと届ける可聴性の両立は、Shokzが長年積み上げてきた技術の賜物といえるでしょう。
特に中域の再現力と音場の広さは、同価格帯のオープンイヤー型の中でもトップクラス。
“音に包まれる”のではなく、“音が共にある”という体験を求めるユーザーには、理想的な選択肢となります。
Shokz 「OpenFit Air」の機能性と使い勝手

「OpenFit Air」は「ながら聴き」に最適化された操作性・通話品質・運用のしやすさが肝です。
ここでは、日常で使ううえでの“快適さ”につながるポイントを、実用視点で整理します。
タッチ操作とアプリ連携の使いやすさ
本機はハウジング外側のタッチ操作で音量・曲操作・通話制御が可能。
ダブルタップ/長押しなどのジェスチャーはアプリから割り当て変更できます。
誤タッチを減らすには“触れる位置”と“抑える時間”を一定にするのがコツです。
よく使う割り当て例
| 操作 | 左 | 右 | ねらい |
|---|---|---|---|
| ダブルタップ | 再生/一時停止 | 次の曲 | 片手で直感操作 |
| 長押し(短め) | 音量ダウン | 音量アップ | 物理ボタン不要の音量調整 |
| 着信時ダブルタップ | 受話/終話 | 受話/終話 | どちら側でも確実に取れる |
操作精度を上げる小ワザ
- “面で触る”より“点で軽く叩く”イメージで反応↑
- 耳に掛け直した直後は1拍置く(センサーの安定待ち)
- 冬場の手袋:薄手なら反応するが、厚手は誤反応の元。スマホ側操作と併用が安全
アプリ連携で便利な設定
- ジェスチャーの再割当:自分の使用頻度に合わせて最短導線に。
- EQプリセット/カスタムEQ:小音量でも明瞭度を確保(低域+1〜2dB/中域+1dBが目安)。
- 自動電源管理:一定時間未使用でスリープ→ケース戻し忘れ対策。
- ファームウェア更新:タッチ精度や接続安定性が改善されることがあるため、更新は早めに適用。
マイク性能・通話品質(ノイズ下の聞き取りやすさ)
オープンイヤー型は周囲の音が常時入るため、マイクのビームフォーミングやノイズ抑制の出来が通話体験を左右します。
本機は声の芯を拾いつつ、風切りや路面ノイズを抑える方向の調整が効いています。
シーン別の実用感
- 静かな室内(会議・ポッドキャスト収録)
声の輪郭がクリアで、子音の明瞭度が高い。小声でも通る。 - カフェ/駅構内
背景ノイズはうっすら残るが、主音声は前に出る。相手側から「聞き取りにくい」と言われづらい。 - 屋外の風(自転車・強風)
風が直接当たると低域の乱れが出ることがある。風上に向けない・斜めに構えると改善。
通話を安定させる運用ポイント
- マイク孔を指で塞がない:装着調整はハウジング外周をつまむ。
- 発話姿勢:顎を引きすぎると反射音が増える。自然に前を向く。
- 音量は相手の声が割れない範囲に:こちら側のマイク処理に余裕が生まれる。
オンライン会議のチェックリスト
- テスト通話で音量・EQ・マイクレベルを確認
- ノイズ源(扇風機・窓際)から半歩離れる
- 必要ならプッシュトゥトーク(ミュート切替)をジェスチャーに割当
バッテリー持ち・充電・防滴性能(運用のコツ)
具体的な時間は使用音量や環境で変動しますが、開放型は密閉型より小音量で運用しやすいため、実働時間は伸ばしやすい傾向です。
ケースの出し入れで自動的にON/OFFされるため、“使わないときに減り続ける”ストレスは少なめです。
バッテリー運用の実践ノウハウ
- 音量を抑えて明瞭度を確保(角度最適化+軽いEQ)→消費を低減
- 片側のみの片耳運用:会議待機やナビ用途で有効(もう一方を温存)
- 短時間チャージの活用:朝支度の10〜15分の追い充電で実働が安定
- ケースはバッグの“取り出しやすい場所”に:移動中もすぐ格納→誤作動防止
充電まわりの注意
- 異物混入/端子の汚れ:綿棒+アルコールで定期清掃
- モバイルバッテリー併用:外回りが多い日は安心材料
- 満充電放置を避ける:長期未使用時は50〜70%保管が理想
防滴・汗対応の考え方
- 日常の小雨・発汗には配慮された設計(※完全防水ではない)。
- 運動後は軽く拭き取り→陰干し:汗残りは素材劣化と臭いの原因。
- シャワー・水没は厳禁:防滴は“生活防水”の範囲と理解して運用。
Shokz 「OpenFit Air」を使用した私の体験談・レビュー

ここからは、「OpenFit Air」を日常/通勤/ワークアウト/在宅作業の4つの文脈で集中的に使い込んだ体験をまとめます。
結論から言うと、「耳をふさがない快適さ」に“可聴性”と“運用の楽さ”がきちんと伴っており、つけっぱなし運用が現実的に成立しました。
一方で、静かな室内での音漏れ配慮と、重低音の物理量については、運用のコツが必要だと感じています。
朝の通勤:人の気配を取りこぼさない安心感
家を出てバス停までの徒歩、駅構内、ホームでの待ち時間、車内という流れでテスト。
音量はスマホ表示で50〜60%を基準にしました。
ホームや改札ではアナウンスが自然に耳へ入ってくるので、音量を上げなくてもメロディが埋もれないのが印象的。
車内では座席の密度に応じて55% → 50%に下げ、ハウジング角度を1〜2mmだけ耳側に寄せると、ボーカルが前に出るのでさらに音量を落とせました。
結果、音漏れへの心理的負担が軽いです。
よかった点
- 乗り換え時の周囲把握が途切れない(呼びかけに反応しやすい)。
- マスク着脱でズレにくく、位置の再調整が一瞬で済む。
気になった点
非常に静かな車両だと、ボーカルの無音間に“存在”が近距離でわずかに伝わる。音量を45–50%へ。
コツ:角度最適化+小音量が最強。低域を上げすぎない。
在宅作業:BGMが“空気の層”として寄り添う
デスクに座って2〜3時間の連続装着を何度か試しました。
耳介の一点が痛くなることはなく、圧迫感ゼロに近いつけ心地。タイピング音や宅配の呼鈴が自然に耳へ入り、BGMが生活音と共存します。
ポッドキャストや会議音声は小音量でも子音の輪郭が崩れないため、集中を妨げない音の“薄さ”と“芯”のバランスが好感触でした。
よかった点
- 長時間でも耳が蒸れない/物理的疲労が少ない。
- 来客・家族からの呼びかけにすぐ反応でき、外す動作が激減。
気になった点
とても静かな時間帯(早朝など)は、音量40–45%が上限。
コツ:EQは中域+1dB/低域+1〜2dB程度で、小音量の芯だけ補うと快適。
ワークアウト(有酸素+バスケのウォーミングアップ)
軽いラン&フットワークドリルで汗をかく状況でも、二点保持のアームが前後ブレに強いため、再装着の手間が少ない。
バスケのステップやスライドなどの動きでも、耳の上部・後方に力が分散されるので、グラつく気配が少ないのが実感です
BGM用途ならリズムのキレは十分。重低音の“どっしり”は出にくいものの、テンポが体に入りやすいタイプの低域です。
よかった点
- 汗で滑らない素材感/軽さが効いて“存在を忘れる”瞬間が多い。
- 周囲の声かけやコーチの指示を拾いながら動ける安全性。
気になった点
屋外強風だと通話の風切りが厳しい場面あり(角度を斜めに)。
コツ:運動前にタッチ操作の割り当てを「音量上下/一時停止」へ寄せると、スマホに触らず完結しやすい。
カフェ/外回り:会話とBGMの線引きがしやすい
外で記事の下書きをするとき、周りの話し声とBGMを意識的に“背景”へ置けるのが開放型の美点。
店員さんから声をかけられても一拍で反応でき、会話→BGMへ戻る切り替えが自然です。
オンライン会議も数回実施しましたが、声の芯が相手に届く感触で、カフェノイズは薄く残る程度。「聞き取りにくい」指摘は出ませんでした。
よかった点
- 通話の受け/終話がタッチで素早い。
- 片耳運用で、もう片側をバッテリー温存できる。
気になった点
金属製テーブルやガラス面で反射が増えると、音が少し明るく聞こえる。
コツ:耳孔寄せのポジショニングで音量を下げ、可聴性>音量の運用に。
シーン別・実体験サマリー
| シーン | 基本音量目安 | 快適度 | 使って良かった点 | 注意点/コツ |
|---|---|---|---|---|
| 通勤(徒歩〜電車) | 50–60% → 静かな車内で50%以下 | ◎ | アナウンスを聞き逃さない/角度調整で小音量OK | 低域を欲張らない。無音間の音漏れに配慮 |
| 在宅作業 | 40–50% | ◎ | 耳が蒸れない/BGMと生活音が共存 | 早朝の静けさではさらに下げる |
| ワークアウト | 55–65% | ○ | 前後ブレに強く、つけっぱなしでOK | 風の直撃は避ける(斜め向き) |
| カフェ・外回り | 50–60% | ○ | 受話・終話が速い/片耳運用が有効 | 反射の強い机では角度最適化 |
数日つけっぱなし運用で分かったこと(所感まとめ)
- “イヤホンを外す”場面が激減:呼びかけ・宅配・店員さんへの反応が自然で快適。
- 小音量で情報が拾えるため、疲労感と電池消費が両方軽い。
- 音楽の“圧”より“余白”を楽しむ方向に意識が変わる。BGMが生活のノイズに“溶ける”。
- 静寂環境では音量の上限を自制する運用が前提。ここさえ守れば、公共空間での相性は良好。
こんな人に刺さる/刺さりにくい
刺さる人
- 通勤・家事・在宅ワークで“つけっぱなし”を目指したい。
- 声/メロディの明瞭度を小音量で確保したい。
- 周囲把握を維持したい(安全性・会話のしやすさ)。
刺さりにくい人
- 重低音の物理的な圧を最優先するリスナー。
- 完全無音空間での使用が中心(音漏れ配慮が常に必要)。
体験談のまとめ
「OpenFit Air」は、イヤホンを「音を浴びる道具」から「生活に音を添える道具」へと発想転換させてくれました。
可聴性と快適さが両立しているため、外さないことが正解になる瞬間が多い。
一方で、静かな場所での音量管理と、重低音への期待値コントロールは必要です。
その運用のコツさえ掴めば、“ながら聴き”の完成度は現行オープンイヤーの中でも上位だと感じます。
Shokz 「OpenFit Air」に関するQ&A

Shokz 「OpenFit Air」に関してよく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「OpenFit Air」と「OpenFit」の違いは何ですか?
「OpenFit Air」は、前モデル「OpenFit」をベースに軽量化・装着感・音質チューニングを改良した後継モデルです。骨伝導ではなく空気伝導タイプで、より自然な音の広がりを実現しています。
| 比較項目 | OpenFit Air | OpenFit |
|---|---|---|
| 重量 | 約8.7g(片耳)で軽量化 | 約9.1g |
| 装着感 | 柔らかいシリコン素材+低反発アーム | やや硬めのフレーム |
| 音質 | 中高域の明瞭度と空間表現を最適化 | ややウォーム寄り |
| マイク性能 | 通話ノイズリダクション向上 | 標準的 |
| 防滴性能 | IP54(汗・小雨対応) | 同等レベル |
音漏れはどのくらいありますか?
オープンイヤー型のため完全にゼロにはできませんが、音量50%前後であれば静かな室内でもほぼ気づかれません。環境音に溶け込むチューニングが施されており、公共空間でも小音量運用+装着角度の最適化で実用範囲に収まります。
- 屋内(静かなオフィス):40〜50%音量で問題なし
- カフェ・街中:55〜60%でも気づかれにくい
- 電車内:静かな車両では45〜50%が理想的
音漏れを抑えるには、ハウジングを耳孔方向に1〜2mm寄せると明瞭度が上がり、音量を下げても聞き取りやすくなります。
バッテリー持ちはどのくらいですか?
公式値で最大7時間再生/ケース込み28時間。実際の使用では音量50%前後・EQ標準設定で6〜6.5時間程度が現実的です。また、15分の充電で約2時間再生できる急速充電にも対応しています。
通話品質はどうですか?
「OpenFit Air」は、デュアルマイク+ノイズ抑制アルゴリズムを搭載しており、屋外でも自分の声が前に出やすい設計です。カフェや通勤路でも相手に「声がこもる」「環境音がうるさい」と言われにくいのが特徴です。
- 静かな場所:会議や録音用途にも使えるクリアな音質
- 騒がしい場所:バックノイズは軽減されるが、風が強いと影響あり
- 対策:風の強い日は斜め下向きに装着すると風切り音を軽減可能
防水や汗対策はされていますか?
はい。IP54防滴性能を備えており、汗や小雨程度であれば問題なく使用できます。ただし、シャワーや水没は非対応です。運動後は軽く拭き取り、陰干しすることで長持ちします。
メガネやマスクをつけたままでも使えますか?
問題ありません。柔らかいシリコンアームがメガネのツルやマスク紐と干渉しにくい構造になっています。実際にマスクを外したり掛けたりしても、位置がズレにくく、長時間でも違和感がありません。
音質はどんな傾向ですか?
「OpenFit Air」は、低域を無理に増やさず中高域の明瞭度とナチュラルな音場を重視した設計です。声やアコースティック楽器が自然に聞こえるタイプで、BGMやポッドキャスト、ボーカル中心の楽曲と相性が良いです。
| 音域 | 特徴 |
|---|---|
| 低域 | タイトで軽快、沈み込みは控えめ |
| 中域 | ボーカルが前に出て明瞭、声の輪郭が自然 |
| 高域 | 柔らかく伸び、刺さりが少ない |
運動時にズレたり落ちたりしませんか?
耳の形状に沿う2点支持アーム構造により、前後の揺れに強く、ランニングや軽いジャンプでも安定します。特に首や頭を振っても外れにくく、装着感の“軽さと安定性”を両立しています。
ペアリングの安定性はどうですか?マルチポイント接続は可能ですか?
「OpenFit Air」はBluetooth 5.2に対応しており、接続の安定性は非常に高いです。屋外での音途切れや遅延も少なく、動画視聴時の映像と音声のズレもほとんど感じません。また、マルチポイント接続(2台同時接続)にも対応しているため、スマートフォンとPCを同時にペアリングしておくと、
- スマホで音楽を再生 → 着信時は自動で通話へ切り替え
- 会議中のPC接続からスマホ再生へ即座に戻れる
といった使い分けが可能です。
Shokzアプリでできることは何ですか?
「Shokz App」を使うと、OpenFit Airの設定やアップデートが容易に行えます。主な機能は以下の通りです。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| タッチ操作のカスタマイズ | ダブルタップ/長押しに好みの機能を割り当て可能(再生・曲送り・音量調整など) |
| EQ調整 | プリセット(スタンダード/ボーカル/低音強調)+カスタムEQ保存 |
| バッテリー残量表示 | 左右イヤホン・ケースの残量を個別に表示 |
| ファームウェア更新 | タッチ感度・接続安定性などの改善が配信される |
| デバイス管理 | 接続履歴の確認・マルチポイント切替など |
小さなアップデートでも音量バランスや通話品質が改善されることが多く、定期的な更新確認を推奨します。
動画やゲームでの遅延はありますか?
「OpenFit Air」は標準コーデック(SBC/AAC)対応で、動画視聴では人の口の動きと音声がほぼ一致するレベル。ただし、ゲーム用途では一瞬のタイミングがシビアなFPSなどにはやや遅延を感じることがあります。映画やYouTube、音楽ゲーム以外の用途であれば問題ありません。
左右のイヤホンを片方だけ使うことはできますか?
はい。左右どちらも単体での片耳使用に対応しています。ケースから片方だけ取り出すと自動的に片耳モードとなり、もう片方は充電・待機します。音楽再生だけでなく、通話・オンライン会議でも片耳運用可能です。
長時間使って耳が疲れない理由は?
「OpenFit Air」は約8.7gの軽量設計と柔軟なシリコンアーム構造により、耳の上部・後方で荷重を分散しています。さらに、接触面が“点”ではなく“面”で支えるため、長時間使用でも痛点や圧迫感が出にくい構造です。このため、在宅作業や長距離通勤でも“つけっぱなし”が現実的です。
「OpenFit Air」はランニングに向いていますか?
非常に向いています。IP54防滴仕様で汗や雨に強く、走ってもズレにくい二点支持構造を採用。また、外音がしっかり入るため、車や自転車の接近音を聞き逃しません。
| 状況 | 使用感 |
|---|---|
| ジョギング | 耳のズレほぼなし。呼吸音とBGMが自然に共存 |
| インドアバイク | 頭を上下しても安定。汗による滑りなし |
| 筋トレ | うつ伏せ・仰向け姿勢でも干渉が少ない |
Shokz 「OpenFit Air」レビューのまとめ

「OpenFit Air」は、“耳をふさがない快適さ”と“必要十分な可聴性”を両立させたオープンイヤー型の良作です。
密閉型のような重低音の圧は求めにくいものの、ボーカルの聞き取りやすさ/自然な定位/長時間装着のラクさという、日常使いで最重要の価値を高い次元で満たします。
通勤・在宅・軽運動の「つけっぱなし」運用に強く、音量を上げずに聞こえるチューニングが、音漏れ配慮とバッテリーの実効時間にも好影響を与えます。
「OpenFit Air」の要点
強み
- 耳をふさがないのにボーカルが埋もれにくい明瞭な中域
- 装着圧が低く、長時間でも痛点が出にくいフィット
- 開放型らしい自然な音場と“前方定位”の聴きやすさ
- 小音量でも情報が拾えるため、音漏れ・疲労・電池消費を同時に抑制
- メガネ/マスクとの干渉が少なく、日常の動作に溶け込む
注意点
- 重低音の“物理的な圧”は得にくい(EQと角度で補う発想が前提)
- 静寂環境では音量管理がマナー(45%前後を上限目安)
- 風が正面から当たる通話は、マイク角度の配慮が必要
こう使うと満足度が上がる(実用チューニング)
- 装着角度:ハウジングを1–2mm耳孔寄りに微調整 → 明瞭度↑=音量↓で運用でき、音漏れ・電池消費を同時に低減
- EQの目安:低域+1〜2dB/中域+1dB/高域+0〜1dB → 小音量でも“芯”が立つ
- 操作割り当て:ダブルタップ=再生/停止、長押し=音量上下 → スマホに触れず完結
- 片耳運用:待機やオンライン会議で交互に使って温存 → 実働時間を底上げ
向いている人・向いていない人
| タイプ | 相性 |
|---|---|
| 通勤・在宅の“つけっぱなし”派 | ◎:周囲把握を保ちつつ小音量で明瞭に聴ける |
| 家事・育児・接客など声掛け多め | ◎:呼ばれてもすぐ反応でき、外す手間が激減 |
| 軽い運動・ワークアウト用 | ○:前後ブレに強く、汗でもズレにくい |
| 重低音の量感を最優先 | △:密閉や骨伝導の“振動感”が好みなら他選択も |
シーン別の最適運用(実践ガイド)
| シーン | 推奨音量(目安) | コツ |
|---|---|---|
| 静かな室内・在宅 | 40–50% | 角度最適化+軽いEQで小音量維持 |
| カフェ・屋外 | 55–65% | 環境騒音がマスク。低域の上げすぎ回避 |
| 電車内 | 50–60% | 無音間の漏れ配慮。座席周りでは気持ち控えめ |
| 図書館級の静寂 | 35–45% | BGM用途に徹し、音量自制が前提 |
位置づけ(ざっくり比較の視点)
- OpenFit Air:開放型としての自然さと日常適応力に振った万能選手。
- 密閉TWS:重低音・静寂集中に強い反面、外音の取り回しは苦手。
- 骨伝導型:耳前で鳴る“存在の明確さ”が利点。ただし音の自然さ・歌モノ適性は空気伝導の本機に軍配。
Shokz 「OpenFit Air」レビューの総括
「OpenFit Air」は、Shokzが長年築いてきた“耳をふさがないリスニング体験”を、さらに自然で洗練された形へと昇華させたモデルだと感じました。
軽量なシリコンフレームと優れたフィット感は、長時間の装着でもストレスを感じさせず、通勤・在宅・スポーツといったあらゆるシーンに自然に溶け込みます。
音質は派手さこそないものの、中高域の透明感と定位の安定感に優れており、音楽・通話・作業用BGMのいずれにもバランスよく対応。
開放型ならではの“耳の外で鳴る”音の広がりが、空気のように生活に寄り添います。
また、タッチ操作やアプリによるカスタマイズ性も高く、ジェスチャー設定やEQ調整によって、自分好みの使い心地を細かく追い込める点も魅力です。
防滴性能やマルチポイント接続など、日常使用に必要な機能を過不足なく備えており、技術的な完成度の高さが際立っています。
一方で、重低音の量感や完全な静寂下での使用には限界があるものの、そもそもこのイヤホンが目指しているのは“音に包まれる”体験ではなく、“音が自然に寄り添う”時間です。
耳を塞がずに音楽と共に過ごす心地よさ、周囲とつながりながら自分の時間を保つ自由――「OpenFit Air」は、そんな新しい音との距離感を提案してくれる製品です。
日々のリズムを壊さず、静かに寄り添うパートナーとして、生活の中に心地よい余白をもたらしてくれる一台だといえるでしょう。


