ULTRASONE(ウルトラゾーン)はドイツを拠点とするヘッドホンブランドで、独自の音響技術と空間表現力によって世界中の音楽ファンやプロフェッショナルから高く評価されています。
そのラインナップの中でもSignatureシリーズは特に人気が高く、スタジオ用途から日常のリスニングまで幅広く対応できる完成度の高さで知られています。
今回取り上げる「Signature PURE」は、そのSignatureシリーズの中でも手に取りやすい価格帯を実現したエントリーモデルに位置付けられています。
上位機種と同じ設計思想を継承しつつ、シンプルで扱いやすい仕様にまとめられている点が特徴であり、ULTRASONEサウンドをより多くのユーザーに体験してもらうための意欲的なモデルといえるでしょう。
高解像度かつ立体的な音場表現を備えながらも、日常のリスニング環境に自然と溶け込むデザインや快適な装着感が魅力です。
この記事では、そのデザインや装着感、音質の詳細なレビューに加え、シリーズ内での位置づけや実際に使用して感じた印象を丁寧に解説していきます。
「Signature PURE」がオーディオファンだけでなく一般リスナーにとってもどのような価値を持つのかを、徹底的に掘り下げていきます。

ULTRASONE 「Signature PURE」のデザインと装着感

外観デザインと質感の印象
「Signature PURE」のデザインは、シンプルさとプロユースらしい堅牢さを両立しています。
全体的に落ち着いたトーンでまとめられており、余計な装飾は排除されています。
そのため、派手さはないものの「日常で使いやすい洗練さ」と「プロ機材としての信頼感」を同時に感じさせます。ハウジング表面は手にしたときに滑りにくく、指先に程よい質感を伝えてくれる仕上がりです。
- シンプルで飽きのこないデザイン
- 指触りがよく、実用性を考えた仕上げ
- スライダーはクリック感があり、左右の調整がしやすい
装着感と長時間リスニングの快適性
装着感に関しては、頭部への圧力分散を意識した設計が採用されています。
ヘッドバンドのクッションは柔らかく、頭頂部への一点圧を避ける構造。
クランプ力(側圧)は中庸で、最初はややしっかりめですが、装着時間が長くなるほどパッドが体温に馴染み圧が分散していきます。
イヤーパッドは十分な深さがあり、耳を包み込むように収まります。
耳たぶが内壁に触れにくいので、長時間の使用でもストレスを感じにくいのが特徴です。
さらに、メガネとの併用でも圧迫を調整しやすい設計となっており、スライダーの段階的な微調整やハウジング角度の工夫で快適性を高めることができます。
項目 | 評価 | 調整のコツ |
---|---|---|
クランプ力 | 中庸〜やや強め | スライダー調整で圧力を分散 |
長時間使用 | 快適 | 耳たぶが接触しにくい構造 |
メガネ併用 | △〜◯ | テンプル位置を少し上げると改善 |
遮音性 | 高い | 通勤・作業環境でも使いやすい |
蒸れやすさ | 季節依存 | 夏はパッドの拭き取りで対策 |
ポータブル利用と耐久性のバランス
「Signature PURE」は自宅だけでなく外出先での使用も想定されており、ポータブルユースに十分対応できる作りです。
ハウジングやスライダー部分の可動は頑丈で、日々の開閉や装着の繰り返しに耐える設計。
屋外利用では密閉型ならではの遮音性が効力を発揮し、騒がしい環境でも音量を上げすぎずに快適に音楽を楽しめます。
ただし、イヤーパッドは汗や皮脂を吸収しやすいため、使用後は乾拭きや陰干しを習慣化することで快適性を長く保てます。
- 両手で均等に広げることで可動部の負担を軽減
- ケーブルは胸元でループを作るとタッチノイズが減少
- 使用後はパッドの拭き取りと陰干しで清潔に維持
「Signature PURE」は「派手さよりも実用性」を重視した設計で、シンプルな見た目と扱いやすい質感が日常使用に適しています。
装着感は安定感と快適性のバランスがよく、長時間リスニングやメガネ併用でも大きなストレスを感じにくい構造です。
さらに耐久性も高く、通勤や外出先でも安心して使える信頼感があります。
ULTRASONE 「Signature PURE」の音質レビュー

低域の量感と表現力
「Signature PURE」の低域は、普段使いで音量を上げすぎなくても輪郭が見える“扱いやすいベース”が軸です。
サブベースは必要十分に沈み、ミッドベースはタイトに抑えられているため、輪郭がぼやけにくいのが特徴。
キックの立ち上がりは速すぎず遅すぎず、ジャンルを選ばない躾け方です。
ベースラインの推進力は確保しつつ、中域へ濁りが流れ込みにくいので、ボーカル帯の明瞭さと両立します。
- サブベース:量感は過不足なく、沈み込みは自然
- ミッドベース:タイト寄りで膨らみすぎない→他帯域を邪魔しない
- ダイナミクス:小音量でも鼓動感が出る“乗りの良さ”を確保
相性の良いトラック傾向
- EDM/ポップ:キックが前に出すぎず、ボーカルの見通しが良い
- ロック:タムやフロアの“皮”の張りが分かりやすい
- ジャズ:ウッドベースの胴鳴りと弦の擦過が分離して聴き取れる
低域は“量より質”。
沈むところは沈み、止めるところは止めるコントラストで、全帯域の土台として機能します。
中域の解像度とボーカル再現性
中域はこのモデルの聴きどころ。声の芯がブレず、口元の距離感が掴みやすい再現です。
下支えとなる下中域は薄くなりすぎず、上中域(2–4kHz付近に感じる存在感)は過度に“刺す”方向ではなく、抜けの良さを演出するバランス。
結果として、男女ボーカルとも発音の母音・子音の分離が自然で、ハモりのレイヤーも追いやすくなっています。
アコギやピアノの倍音も滑らかに伸び、録音が良い楽曲ほど“混線しない密度”が味わえます。
- ボーカル:距離は近すぎず遠すぎず、顔の向きが分かる定位
- 楽器:中域の厚みを残しつつ、アタックと余韻の両立
- サ行の刺さり:録音依存の範囲に収まり、耳当たりは穏当
ボーカルの聴こえ方
要素 | 傾向 | 体感の指標 |
---|---|---|
厚み | 中庸〜やや厚め | 男声に“胸郭”の膨らみが乗る |
近さ | 中庸 | 視線が合う距離感で前後に余白 |
解像 | 高め | コーラスの人数感が数えやすい |
情報量は多いのに圧が強すぎない。
録音の良さを素直に引き出す“整理された中域”です。
高域の伸びと全体の音場表現
高域はエッジを立てて“ギラつかせる”方向ではなく、滑らかに伸びるタイプ。シンバルの減衰がザラつかず、ヴァイオリンの倍音も刺さらない範囲で空気感を足します。
10kHz以上の“エアー帯域”は控えめ〜中庸で、長時間でも疲れにくい聴き味です。
空間表現は、頭内から一歩前にステージが展開する“前方定位寄り”。
横幅だけでなく前後(奥行き)の描写が得意で、センターのボーカルを軸に左右の楽器が階層的に並ぶため、ライブ音源やオーケストラで配置がイメージしやすくなります。
分離はクッキリしすぎず自然、定位はスッと収まるタイプで、聴き疲れの少なさに寄与しています。
- 高域の伸び:滑らかで粒立ちは細かい
- 空気感:過度に明るくせず“必要分だけ”乗せる
- 音場:横幅より奥行きの見通しが立ちやすい前方定位
技術的な体感
指標 | スコア | コメント |
---|---|---|
解像度 | 4.2 | 情報量は多いが誇張感は控えめ |
分離 | 4.0 | レイヤーを自然に剥がすタイプ |
音場(幅) | 3.8 | 密閉型としては広め |
音場(奥行) | 4.3 | 前方定位と距離表現が得意 |
トランジェント | 4.0 | 速すぎず遅すぎず“音楽的” |
高域は滑らか志向。前方に開く音場と組み合わさり、定位の見通しが良いのに耳当たりがやさしい仕上がりです。
ULTRASONE 「Signature PURE」の機能性と利便性

ケーブル・接続性と拡張性
「Signature PURE」 は 2.5mm 3極バヨネットロック式端子を採用した片出し構造で、付属の 2mカールケーブル(3.5mmねじ式→6.3mm変換可) によって家庭用からスタジオ用まで幅広く対応します。
ケーブルは着脱式で交換が容易なうえ、ねじ式プラグのため緩みにくく、長期間の使用でも安心です。
バランス接続には対応していませんが、インピーダンス 32Ω/感度 105dB と駆動しやすい設計のため、スマホや小型DACでも十分な音量と解像度が得られます。
項目 | 内容 |
---|---|
接続端子 | 2.5mm 3極 バヨネットロック(片出し) |
付属ケーブル | 2m カールタイプ/3.5mmねじ式→6.3mm変換可 |
インピーダンス | 32Ω |
感度 | 105dB |
折りたたみ機構 | 対応(携帯バッグ付属) |
質量 | 約296g(ケーブル除く) |
- カールケーブルは引っ掛け時の衝撃を吸収しやすく、スタジオやデスク作業にも最適。
- 胸元でケーブルを緩くS字にすることで、タッチノイズや引っ張りを軽減できる。
- 据え置きアンプを使うと奥行き感がさらに広がり、音の階層がより明確に。
ノイズ遮断性能とリスニング環境
「Signature PURE」 は密閉型ならではの遮音性を備え、外部ノイズを大きくカットしながらも、パッドのクッション性と通気性を両立しています。
スエード調のヘッドバンドと肉厚なイヤーパッドが、長時間使用時の蒸れを軽減し、快適な装着感を維持します。アクティブノイズキャンセリング(ANC)は非搭載ですが、物理的な遮音力が高く、通勤やオフィス環境でも十分に実用的です。
使用シーン | 遮音レベル | コメント |
---|---|---|
自宅・オフィス | 高 | 小音量でも細部まで聴き取れる |
カフェ | 中〜高 | 人の話し声をしっかり抑制 |
電車通勤 | 中 | 振動音は残るが音楽は明瞭 |
飛行機内 | 中− | 定常ノイズは一部通るが快適に聴取可能 |
快適に使うコツ
- ハウジングをわずかに前傾させると、パッドの密閉が整い遮音性が向上。
- 長時間使用後はイヤーパッドを軽く拭き、風通しの良い場所で陰干し。
- 両手でハウジングを開閉し、可動部への負担を均等化することで耐久性を確保。
テクノロジーとシリーズ内の位置づけ
「Signature PURE」 は、ULTRASONE 独自の S-Logic 3 技術を搭載。ドライバーを耳の正面ではなくわずかにオフセット配置することで、耳介の反射を利用して自然な立体音場を実現します。
さらに DDF(Double Deflector Fin)構造により、音の反射を精密に制御し、定位の安定と空間の奥行きを両立。
上位モデルと共通の技術を採用しつつ、より扱いやすい駆動感と価格帯に調整されています。
シリーズ内の比較ポイント
モデル | 音質傾向 | 特徴 |
---|---|---|
Signature PURE | バランス重視・ナチュラル | 鳴らしやすく日常使いにも適した万能型 |
Signature FUSION | 明るく広がりのある音場 | 開放感を重視、空間表現が得意 |
Signature MASTER MkII | 高解像・高精度 | プロ仕様のモニター向け、情報量が多い |
「Signature PURE」 はシリーズの中で「最も扱いやすく、ULTRASONEサウンドを気軽に体験できるモデル」として設計されており、リスニングとモニタリングの両立を目指したバランスが光ります。
「Signature PURE」 は、日常使いと制作用途の中間に位置する“万能リファレンス”として設計されています。
折りたたみ対応やカールケーブルなど携帯性に優れ、遮音性・快適性・耐久性のバランスも良好。
さらに S-Logic 3 による自然な定位と前方音場は、上位機に迫る立体感を生み出します。
結果として、持ち歩ける本格モニターとしても、自宅でじっくり聴くリスニング機としても頼れる存在です。
ULTRASONE 「Signature PURE」を使用した私の体験談・レビュー

「Signature PURE」を実際に使ってみると、最初に感じたのは“安心感”でした。
装着した瞬間はややしっかりした側圧を覚えましたが、30分ほど経つとパッドが体温で馴染み、ホールドが均一に変化していきます。
この“変化のグラデーション”は長時間使用時の快適性に直結しており、作業をしながら音楽を聴く日常シーンで非常に助かりました。
音質面では、中域の整理が特に印象的でした。
ボーカルがセンターに安定して定位し、距離感も自然。低域は膨らまずタイトに収まり、リズムを支える役割を果たしながら他の帯域を邪魔しません。
高域は滑らかで、ライブ音源のシンバルや弦楽器の倍音が耳に刺さらず、安心して長時間聴き続けられました。
良かった点
- ボーカルの距離感が安定しており、聞き疲れしにくい
- 低域は量感を抑えつつも土台感を確保しており、小音量でもリズムがしっかり伝わる
- 前方定位寄りの音場表現で、ライブ音源や映画のセリフが聞き取りやすい
- 密閉構造により、通勤や作業環境でも音量を上げすぎずに済む
改善点・気になった点
- 夏場はパッドが熱を持ちやすい(休憩や拭き取りで対応可能)
- 一部の録音では上中域がやや強めに感じられることがある(EQで調整すれば解決できる範囲)
シーン別の使い心地
シーン | よかったところ | 注意点 |
---|---|---|
自宅作業 | 小音量でも細部が明瞭で、長時間快適 | ヘッドバンド位置を頭頂中央に寄せると一点圧が軽減 |
通勤 | 遮音性が高く、音量を上げずに音楽を楽しめる | 周囲の安全確認には外す習慣が必要 |
カフェ | 人の声をある程度遮断し、集中力が持続 | シール感を整えるためハウジングを軽く前傾 |
映画鑑賞 | セリフの立ち上がりが鮮明で、効果音の奥行きも良好 | 音量は環境音に合わせて控えめに調整 |
再生環境ごとの違い
- スマホ直挿し:十分に鳴るが、立体感は控えめ。手軽さ重視なら十分。
- スマホ+ドングルDAC:奥行きや分離が一気に向上し、音のレイヤーが明確に。
- 据え置きDAC/AMP:低域の沈み込みやホール感の再現力が伸び、音場の階層表現が豊かに。
- DAP利用:外出時でもノイズが少なく、スタジオ的なクリアさを持ち歩ける。
音楽ジャンルとの相性
- J-Pop/シティポップ:ボーカルとコーラスのレイヤーが聴き取りやすい
- ロック:タムの張りやギターの歪みが整理され、混線しにくい
- ジャズ:ベースの胴鳴りと弦の擦過が分離し、臨場感が高い
- クラシック:前方定位によるステージ感でオーケストラの配置がわかりやすい
- EDM:タイトなキックでビート感は十分、低域を少しEQで補強すると迫力が増す
体験談のまとめ
「Signature PURE」は「毎日気兼ねなく使えるモニター」として非常にバランスが取れています。
派手さや強烈な個性を前に出すのではなく、整理された中域、タイトな低域、そして滑らかな高域が、どんなシーンでも安心して使える音楽環境を支えてくれます。
作業用からリラックスしたリスニング、さらには映画やオンライン会議まで幅広く活躍し、長時間でも疲れにくいのが最大の魅力でした。
ULTRASONE 「Signature PURE」に関するQ&A

ULTRASONE 「Signature PURE」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「Signature PURE」はどんな人におすすめですか?
ボーカルを中心に聴く方や、長時間作業しながらBGMとして音楽を楽しみたい方に特におすすめです。中域が整理されていて聴き疲れしにくく、密閉型のため通勤やカフェなど外出先でも快適に使えます。
上位モデルとの違いは何ですか?
上位機種は解像度や素材の質感がさらに高く、プロの制作現場を強く意識した設計です。一方で「Signature PURE」は、より手軽に扱える駆動条件と価格帯で、ULTRASONEらしい音場表現を気軽に体験できる“入り口”モデルです。
密閉型としての遮音性能は十分ですか?
アクティブノイズキャンセリング(ANC)は搭載していませんが、パッドの密閉性が高く、電車やカフェ程度の環境音であれば音量を上げすぎずに楽しめます。長時間の利用でも耳が疲れにくいのが特徴です。
低音の迫力は期待できますか?
低域は量感を強調するタイプではなく、タイトで輪郭のはっきりした制御型です。迫力重視のリスニングには物足りないかもしれませんが、ジャンルを問わずバランスよく楽しめる傾向です。EDMなどでは軽いEQで補うと迫力が増します。
長時間使用しても快適ですか?
はい。装着直後はホールドがややしっかりめに感じられますが、パッドが体温に馴染むことで圧が分散し、快適に使えます。耳全体を覆う深めのパッド設計なので、耳たぶが痛くなりにくい点もメリットです。
メガネをかけていても使えますか?
問題なく使用できます。テンプルの太さによって圧迫を感じる場合は、スライダーを一段緩めるか、ハウジングを少し前傾させることで快適性を保ちやすくなります。
携帯性はどうですか?
折りたたみに対応しており、キャリングバッグも付属するため持ち運びやすいです。自宅だけでなく外出先でも使いたい方にとって実用性の高いポイントです。
「Signature PURE」はスマホ直挿しでも十分に鳴らせますか?
はい。インピーダンス32Ω/感度105dBと鳴らしやすいため、スマホ直挿しでも十分な音量とバランスを確保できます。ただし、ドングルDACや小型アンプを挟むと音場の奥行きや微細な表現がより鮮明になるため、アップグレードを検討する価値はあります。
他社の同価格帯ヘッドホンと比べて強みは何ですか?
「Signature PURE」の強みは、ULTRASONE独自の「S-Logic 3」による前方定位の音場表現です。同価格帯のヘッドホンが横の広がりを重視することが多いのに対し、「Signature PURE」は奥行きの見通しと定位の安定感が際立っています。特にライブ音源やクラシックで違いを感じやすいです。
「Signature PURE」はゲームや映画視聴にも向いていますか?
向いています。前方定位寄りの音場表現により、映画のセリフやゲーム中の環境音・足音が明確に分かるため、映像コンテンツとの相性は良好です。低域がタイトなので迫力演出は控えめですが、情報の見通しと定位感を重視する人には魅力的です。
「Signature PURE」はプロのモニタリング用途にも使えますか?
可能です。タイトな低域と整理された中域、そして前方定位寄りの音場は、宅録やミックスチェックに十分対応できる精度を持っています。ただし、細部の解像感や素材感の見極めでは上位モデルの方が適しています。
イヤーパッドは交換できますか?
はい、交換可能です。パッドは消耗品のため、汗や皮脂で劣化が進むと装着感や音質に影響します。定期的な交換を行えば快適性と音の安定感を維持できます。
「Signature PURE」はクラシック音楽に合いますか?
合います。前方定位による奥行き表現と、弦や管楽器の分離の良さが活きるため、オーケストラの配置感を把握しやすいのが特徴です。高域も滑らかなので、長時間聴いても耳が疲れにくい点もクラシックに適しています。
ULTRASONE 「Signature PURE」レビューのまとめ

「Signature PURE」は「強烈な個性で押すタイプ」ではなく、整理された中域、タイトで扱いやすい低域、そして滑らかな高域によって、長時間でも疲れにくく幅広いジャンルに適応できる密閉型ヘッドホンでした。
日常的な作業用から集中リスニング、映画視聴まで柔軟に使え、シリーズの“入口”としても適した存在です。
特徴まとめ
- 音質:量感控えめで質の高い低域/情報の見通しが良い中域/耳当たりの良い高域
- 装着感:馴染むほどに快適さが増すクランプ力、メガネ併用も調整次第で対応可能
- 利便性:折りたたみ対応・キャリングバッグ付属で持ち運びやすく、遮音性も十分
- 立ち位置:上位機の思想を継承しつつ手に取りやすい価格で、ULTRASONE入門にも最適
長所と短所
長所
- ボーカルが安定して聴きやすい
- 小音量でも低域が支えとなり、作業用にも適する
- 前方定位寄りで映画やライブ音源に強み
- 密閉型の遮音性で外出先でも使いやすい
短所
- 夏場はパッドが熱を持ちやすい
- 録音によっては上中域が強調される場面もある
向いている人・向いていない人
向いている人 | 向いていない人 |
---|---|
ボーカル中心の音楽を好む | 低音の迫力を最優先する |
作業用に疲れにくい音が欲しい | 開放型の広がりを常に求める |
通勤やカフェで使いたい | 高域のきらめきを強調したい |
初めてULTRASONEを試したい | 強烈な個性を求める |
総合評価
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
音質バランス | 4.3 | 自然で整理されたチューニング |
解像感 | 4.2 | 情報量は十分、誇張感なし |
装着快適性 | 4.1 | 馴染めば長時間でも快適 |
遮音・実用性 | 4.2 | 通勤・作業でも使いやすい |
携行性 | 4.0 | 折りたたみ+バッグで利便性高い |
コスパ | 4.2 | 価格を超えた“安心感”がある |
ULTRASONE 「Signature PURE」レビューの総括
「Signature PURE」は、ULTRASONEが誇る独自の音場表現をより多くの人に届けるために生まれたモデルであり、バランスの取れた音質と扱いやすさが魅力です。
低域はタイトに締まり、中域は整理されて明瞭さを保ち、高域は滑らかで聴き疲れを感じさせません。
装着感は安定感と快適性を両立し、密閉型ならではの遮音性や携行性の高さは、日常使いから外出先まで幅広いシーンで活躍します。
シリーズのエントリーモデルでありながら価格以上の完成度を誇り、初めてULTRASONEに触れる人にとっても安心して選べる一台です。
派手さではなく実直さを重視するその音とデザインは、長く付き合える相棒を求める人にこそふさわしい存在といえるでしょう。
日常の中で音楽を自然に楽しませてくれる一台として、「Signature PURE」は確かな価値を持っています。
