ワイヤレスイヤホン市場において、2024年の「覇権」を握るかもしれないモンスターマシンがついに登場しました。
JBLのフラッグシップモデル、「JBL TOUR PRO 3」です。
前作「TOUR PRO 2」は、世界初の「スマートタッチディスプレイ搭載ケース」という斬新なギミックでガジェット界隈を震撼させました。
しかし、多くのオーディオファンやガジェット好きの心には、ある一つの疑問が残っていたのも事実です。
「画面付きケースは便利だけど、肝心の“音”はどうなんだ?」
JBLはその問いに対し、今回の「TOUR PRO 3」で完璧な回答を用意してきました。
単なるギミックの進化に留まらず、ハードウェアの根本から設計を見直してきたのです。
- JBL初となるデュアルドライバー構成による、次元の違う解像度
- トランスミッター機能による、「あらゆるデバイスのワイヤレス化」
- LDAC対応による、待望のハイレゾ再生
これらをすべて詰め込んだ本機は、もはや単なるイヤホンという枠を超えた「聴覚拡張ガジェット」と呼ぶべき完成度です。
しかし、実売価格は3万円台後半から4万円クラス。
決して安い買い物ではありません。
「本当に価格に見合う価値はあるのか?」
「TOUR PRO 2から買い替えるべきか?」
「SonyやAppleのハイエンド機と比べて、何が優れているのか?」
この記事では、オーディオガジェットに強いWEBライターである私が、JBL TOUR PRO 3を実際に使い倒し、その実力を徹底的にレビューします。
カタログスペックの羅列ではない、生活の中で感じたリアルな「体験」と「本音」の評価をご覧ください。
これが、今のワイヤレスイヤホンの到達点です。
- JBL 「TOUR PRO 3」の外観とスペック:前作からの劇的な進化点
- JBL 「TOUR PRO 3」の音質とノイズキャンセリング:フラッグシップの名に恥じない実力
- JBL 「TOUR PRO 3」のスマート充電ケースと独自機能:ただのイヤホンを超えた「ガジェット」
- JBL 「TOUR PRO 3」を使用してみた体験談・レビュー
- JBL 「TOUR PRO 3」に関するQ&A
- スポーツやランニングで使用しても大丈夫ですか?
- iPhoneでも高音質で聴けますか?(LDAC非対応ですが…)
- トランスミッター機能を使った時の遅延(ラグ)はありますか?
- ワイヤレス充電には対応していますか?
- 複数のデバイスに同時に接続できますか?(マルチポイント)
- 「TOUR PRO 2」のケース保護カバーはそのまま使えますか?
- 飛行機で使う場合、別途アダプターが必要ですか?
- 寝ホン(睡眠用)として使えますか?
- ノイズキャンセリングをONにした場合、バッテリーはどのくらい持ちますか?
- 片耳だけでも使用できますか?
- 音漏れは気になりますか?
- 空間オーディオ機能は、YouTubeやNetflixなどの普通の動画でも使えますか?
- タッチ操作の割り当て(キーアサイン)は変更できますか?
- JBL 「TOUR PRO 3」レビューのまとめ
JBL 「TOUR PRO 3」の外観とスペック:前作からの劇的な進化点

まずは外観とスペックから、その進化の度合いを細部まで確認していきます。
パッと見は前作に似ていますが、JBLがこのモデルにかけた「再設計」の労力は並大抵のものではありません。
デザインと装着感:高級感ある仕上げとフィット感の向上
ケースを手にした瞬間、ディスプレイの存在感が際立ちます。
- TOUR PRO 2:1.45インチ
- TOUR PRO 3:1.57インチ
数字にすればわずかな差に見えるかもしれませんが、実際に目にすると画面が約29%大型化されたインパクトは絶大です。
アルバムのアートワーク表示がより鮮明になり、タッチ操作のアイコン配置にも余裕が生まれました。
レスポンスも前作よりキビキビしており、スマホのロック画面を操作しているような感覚に近づいています。
ケース底面には滑り止めのラバー素材が配置されており、デスクに置いたときの安定感が増しています。ま
た、充電ポートの横には新たに「リセットボタン」が配置されました。
これはトランスミッター機能使用時などのペアリングリセットを想定した実用的な配置です。
イヤホン本体のデザインも洗練されています。
JBLらしい「ショートスティック型」を踏襲しつつ、ハウジング(耳に入る部分)の形状が微妙に見直されました。
「オーバルシェイプ」と呼ばれる楕円形のデザインは、人間の耳の複雑な凹凸に自然にフィットします。
前作よりも耳への収まりが良く、頭を激しく振ってもズレにくい安定性を確保しています。
カラーバリエーションは「ブラック」と「ラテ」の2色展開。
今回レビューしているブラックは、マットな質感のボディに、タッチセンサー部分のみ光沢のあるガンメタル仕上げが施されており、指紋が目立ちにくい実用性と高級感を兼ね備えています。
初のデュアルドライバー構成:BA×ダイナミックの衝撃
今回のモデルチェンジにおける最大のトピック、それはドライバー構成の完全刷新です。
「TOUR PRO 2」では10mmダイナミックドライバー1基でしたが、今回はハイブリッド・デュアルドライバー構成を採用しました。
| ドライバーの種類 | サイズ・仕様 | 役割と特徴 |
| ダイナミックドライバー (DD) | 10mm / TPU振動板 | 低音域〜中低音域を担当。JBL伝統のパワフルで空気を震わせるような重低音を再生。カーボン素材を使用し、歪みのないクリアな低音を実現。 |
| バランスド・アーマチュア (BA) | Knowles社製等の高級仕様 | 中高音域〜超高音域を担当。電気信号に対する応答速度が非常に速く、シンバルの余韻やボーカルの息遣いなど、微細な音を正確に描写。 |
一般的に、ダイナミックドライバーは「空気感のある低音」が得意な反面、細かい高音の分離は苦手です。
逆にBAドライバーは「繊細な高音」が得意ですが、迫力には欠けます。
この2つを組み合わせるクロスオーバー回路を搭載することで、「低音を出すと高音が埋もれる」「高音を綺麗に出すと低音の迫力が減る」という、完全ワイヤレスイヤホンが抱え続けてきたジレンマを物理的に解消しました。
スペック比較:LDAC対応と「TOUR PRO 2」からの変更点まとめ
多くのAndroidユーザーやオーディオファイルが待ち望んでいた高音質コーデック「LDAC」にもついに対応しました。
これにより、最大96kHz/24bitのハイレゾ相当のデータ量をワイヤレスで伝送可能になります。
前作との詳細なスペック比較は以下の通りです。
| 項目 | JBL TOUR PRO 3 | JBL TOUR PRO 2 | 進化・変更ポイント |
| ドライバー構成 | 2WAY (10mm DD + BA) | 1WAY (10mm DD) | 音の分離感、解像度、定位感が劇的に向上 |
| 対応コーデック | SBC, AAC, LDAC, LC3(予定) | SBC, AAC | ハイレゾワイヤレス対応。LC3も今後のアップデートで対応予定 |
| トランスミッター | 対応 (ケースが送信機化) | 非対応 | 機内エンタメやPC、古いゲーム機も高音質ワイヤレス化 |
| ケース画面 | 1.57インチ | 1.45インチ | 視認性と操作性がアップ。壁紙の画質も向上 |
| 空間サウンド | ヘッドトラッキング対応 | 固定式 | 首の動きに合わせて音の方向が移動するリアルな没入感 |
| 再生時間(単体) | 約11時間 (ANCオフ) | 約10時間 (ANCオフ) | ドライバーが増えてもバッテリー持ちは維持・微増 |
| マイク性能 | AIノイズ低減アルゴリズム | 標準アルゴリズム | 通話時のクリアさが向上し、風切り音耐性が強化 |
| Bluetooth | Ver 5.3 | Ver 5.3 | 接続安定性は引き続き良好 |
特に注目すべきは、「LC3」への対応予定です。
これは次世代のBluetoothオーディオ規格「LE Audio」の中核となるコーデックで、低消費電力かつ高音質、さらには「Auracast(複数デバイスへの同時ブロードキャスト)」を実現するための基盤となります。
TOUR PRO 3は、今の最高スペックであるだけでなく、未来の技術にも対応した「長く使える」仕様になっている点が非常に評価できます。
JBL 「TOUR PRO 3」の音質とノイズキャンセリング:フラッグシップの名に恥じない実力

スペック上の数値が良いのはフラッグシップとして当たり前です。
重要なのは「実際の体験」としてどう響くか。数多くのイヤホンをレビューしてきた私の耳で、その実力をシビアにジャッジします。
音質レビュー:深淵な低域とクリアな高域の融合
一聴して驚いたのは、音の「深さ」と「分離感」です。
- 【低域】「風圧」を感じるリアルベース
前作も低音は強力でしたが、TOUR PRO 3の低音は質が違います。
単にイコライザーで持ち上げたようなボワついた低音ではなく、バスドラムが空気を押し出すような「風圧」を感じるリアルな重低音です。
例えば、Billie Eilishの『Bad Guy』を聴くと、ベースラインの沈み込みが深く、鼓膜だけでなく頭蓋骨に響くような振動を感じます。
しかし、決して他の帯域を邪魔しません。これが進化したダイナミックドライバーの恩恵です。 - 【中高域】BAドライバーが描く「空気感」
ここがハイブリッド構成の真骨頂です。
激しいロックサウンドの中でも、ハイハットの「チッチッ」という刻みや、ボーカルのブレス(息継ぎ)が驚くほど鮮明に分離して聴こえます。
宇多田ヒカルの『First Love』のようなバラードでは、彼女のハスキーな声の倍音成分が美しく伸び、消え入る瞬間の余韻(リバーブ)まで正確に描写されました。 - 【音場】広大で立体的
音が耳のすぐ横で鳴るのではなく、頭の周囲に広がるような広いサウンドステージを持っています。
左右の定位も正確で、「右奥でギターが鳴っている」「左手前でパーカッションが鳴っている」といった配置が手に取るように分かります。
「JBL=パーティチューン向けのドンシャリ」というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、TOUR PRO 3は「超高解像度なモニターライク・ドンシャリ」とでも言うべき、分析的な聴き方にも耐えうる洗練されたサウンドです。
ノイズキャンセリング性能:リアルタイム補正と遮音性の真価
ノイズキャンセリング(ANC)機能も「ハイブリッドノイズキャンセリング 2.0」へと進化しました。
最大の特徴は「リアルタイム補正」の精度向上です。
イヤホン内外のマイクが周囲の騒音レベルと、装着状態(メガネによる隙間など)を常に監視し、毎秒数万回の計算を行って最適なノイズ低減レベルを自動生成します。
実際に東京都内の地下鉄で使用してみました。
従来のノイキャンでは消しきれなかった「ゴトンゴトン」という低い振動音はもちろん、車内アナウンスのような中音域の声も、「遠くで誰かがボソボソ話している」レベルまで低減されます。
音楽を再生すれば、周囲の音は完全に意識から消えます。
さらに、今回はフォーム(低反発)イヤーチップが1サイズ付属しています。
これを装着してANCをオンにすると、物理的な遮音性とデジタル処理が組み合わさり、「無響室」に放り込まれたような静寂が得られます。
カフェで集中したい時や、飛行機で寝たい時には、音楽を流さず「デジタル耳栓」として使うのも非常に有効です。
通話品質と外音取り込み:ビジネスシーンでの実用性評価
WEBライターという職業柄、クライアントとのZoom/Teams会議での使用も欠かせません。
通話品質については、6つのマイクとウィンドノイズ対策が効いています。
屋外で強風が吹いている状況で通話テストを行いましたが、相手には「風の音が全く聞こえない」と言われました。AIアルゴリズムが風切り音と人間の声を識別し、声だけを抽出しているようです。
また、「外音取り込み(アンビエントアウェア)」の自然さは特筆ものです。
安価なイヤホンにあるような、マイクで増幅された「サーッ」というホワイトノイズが極端に少なく、まるでイヤホンをつけていないかのように周囲の音が聞こえます。
さらに「トークスルー機能」を使えば、再生音量を極小まで下げつつ相手の声を強調してくれるため、コンビニのレジや同僚とのちょっとした会話でも、イヤホンを外す必要が一切ありません。
JBL 「TOUR PRO 3」のスマート充電ケースと独自機能:ただのイヤホンを超えた「ガジェット」

JBL TOUR PRO 3の真価は、イヤホン単体ではなく、この「スマート充電ケース」を含めたエコシステム全体にあります。
これは他社が容易に真似できない、JBLだけの独壇場です。
進化したスマート充電ケース:画面大型化で操作性が向上
「スマホを出さずに操作できる」ことの快適さは、実際に日々の生活で使ってみて初めて分かります。
- 再生コントロール:再生/停止、曲送り/戻しがワンタップ。
- 音量調整:スマホのボタンを押さなくても、ケースの画面スワイプで微調整可能。
- サウンドモード切替:ANC、アンビエント、トークスルーを瞬時に切り替え。
- イコライザー(EQ)選択:「JAZZ」「BASS」「VOCAL」などのプリセットを即座に変更。
- 「スマホを探す」機能:家の中でスマホが見当たらない時、ケースからスマホを鳴らせます。
これらがすべて手元で完結します。特に満員電車の中や、スマホをカバンに入れている移動中において、この「小さなリモコン」は絶大な威力を発揮します。
さらに、壁紙を好きな画像(愛犬の写真や推しの画像など)に変更できるため、「自分だけのガジェット」として愛着が湧くのも嬉しいポイントです。
通知機能も強化され、LINEやメールの通知をケースで確認できる(日本語表示対応)のも、スマートウォッチ的で便利です。
トランスミッター機能の活用:機内やPCで遅延のない音体験を
これが今回、私が最も興奮し、かつ実用性を感じた機能です。
スマート充電ケース自体が、Bluetoothトランスミッター(送信機)になります。
仕組みはこうです。
付属の「USB-C to 3.5mmケーブル」または「USB-C to USB-Cケーブル」で、ケースと再生機器(テレビ、PC、機内エンタメなど)を有線接続します。
すると、ケースが音声をワイヤレス信号に変換し、TOUR PRO 3イヤホンへ飛ばしてくれるのです。
活用シーン1:飛行機の機内エンタメ
海外旅行や出張の際、座席モニターで映画を見ようとすると、航空会社から配られるチープな有線ヘッドホンを使うしかありませんでした。
しかし、TOUR PRO 3なら、3.5mmプラグを座席に挿すだけで、機内映画を「TOUR PRO 3の高音質&強力ノイキャン」で楽しめます。
エンジン音をカットしながら、クリアな音質で映画に没頭できる体験は、まさにファーストクラス級の快適さです。
活用シーン2:PCゲームやFPS(低遅延接続)
USB接続モードでは、通常のBluetoothではなく「2.4GHz接続」あるいは「Auracast」による伝送が行われます。
これは通常のBluetoothよりも圧倒的に遅延(レイテンシー)が少ないのが特徴です。
実際にFPSゲーム(Apex Legends)やリズムゲームをプレイしてみましたが、銃声と着弾のズレ、ノーツとタップのズレはほとんど感じられませんでした。ガチ勢でなければ十分に実用レベルです。
空間オーディオとヘッドトラッキング:没入感はどう変わる?
流行りの「空間オーディオ」にも対応し、さらにヘッドトラッキング機能が追加されました。
従来の空間オーディオは「音が広がって聞こえる」だけでしたが、ヘッドトラッキングは「頭の向きを検知」します。
例えば、正面にiPadを置いて映画を見ているとします。
頭を右に向けると、音は左耳側(iPadがある方向)から聞こえ続けます。
まるで、画面の中にスピーカーが存在しているかのような感覚です。
音楽鑑賞では好みが分かれる機能ですが(ボーカルが動きすぎて違和感がある場合も)、映画鑑賞やライブ映像を見る際には、臨場感が段違いです。
Netflixなどで『トップガン マーヴェリック』のようなアクション映画を見ると、戦闘機の音が自分の周りを回り込むような、映画館さながらの没入感を味わえました。
JBL 「TOUR PRO 3」を使用してみた体験談・レビュー

ここからは、私が実際に数週間、JBL TOUR PRO 3を生活のあらゆるシーンで使い倒したリアルな体験談をお伝えします。
スペック表には載っていない「生活の中での気づき」を中心にまとめました。
【通勤・移動】電車と徒歩移動で感じたノイキャンと風切り音耐性
私の通勤ルートは、強風が吹くビル街の徒歩と、轟音が響く地下鉄を含みます。
地下鉄では、前述の通りノイキャンが完璧に機能し、Podcastの音声もボリュームを上げすぎずに聴き取れました。
特に感動したのが「風切り音(ウィンドノイズ)」の少なさです。
多くのノイキャンイヤホンは、風がマイクに当たると「ボボボ…」という不快な音を拾ってしまいます。
しかし、TOUR PRO 3は風を検知すると瞬時にマイク感度を調整しているようで、風切り音がスッと消えます。
これは地味ですが、毎日の徒歩移動においては非常に重要なストレスフリー要素でした。
「良いイヤホンは、音楽以外のストレスも消してくれる」と実感した瞬間です。
【作業・デスクワーク】マルチポイントと長時間装着の快適性
仕事中は、MacBookとiPhoneのマルチポイント接続が大活躍します。
MacBookでYouTubeのBGMを流しながら執筆し、iPhoneに着信があれば自動で切り替わって通話に出る。
通話が終われば、再びMacBookのBGMに戻る。
このシームレスな挙動は一度味わうと戻れません。切り替えのタイムラグも1秒未満で、非常にスムーズです。
装着感については、3〜4時間ぶっ通しで作業していても耳が痛くなりませんでした。
ただ、付属のシリコンイヤーチップだと、私の耳では少し痒くなることがあったため、付属のフォームイヤーチップ(Mサイズ)に変更しました。
フォームタイプは耳の中で体温によって柔らかくなり、耳穴の形に完璧にフィットするため、密閉感が向上し、低音の迫力も増しました。
【エンタメ体験】トランスミッター機能でゲームと映画を試した結果
ある休日、Nintendo SwitchにケースをUSB-C接続してゲームをプレイしました。
驚いたのは接続の手軽さです。Switchの設定画面を開いてBluetoothペアリングをする必要はありません。
ただケーブルを挿すだけ。これだけで、子供でも機械音痴な方でも簡単に使えます。
Bluetooth機能がないデスクトップPCや、会社の古いPCでWeb会議をする際にも、この「挿すだけワイヤレス」は最強のソリューションになります。
また、夜中にテレビで映画を見る際も、ケースをテレビのUSBポート(またはヘッドホンジャック)に繋げば、家族を起こさずに大迫力のサウンドを楽しめました。
特に「ムービーモード」の空間オーディオをオンにすると、セリフは中央から、環境音は周囲から聞こえ、「深夜のプライベート映画館」が手軽に完成します。
【操作性】アプリ『JBL Headphones』の魔改造レベルのカスタマイズ性
JBLの専用アプリ「JBL Headphones」は、業界でもトップクラスに高機能です。
正直、機能が多すぎて最初は戸惑うほどですが、使いこなせば自分だけの最強イヤホンが作れます。
特に素晴らしいのが「Personi-Fi 3.0」です。
これは聴力テストを行い、自分の耳の特性に合わせて音を最適化する機能です。
私の場合は左耳の高音が少し聞こえにくいようなのですが、このテストを行うと左の高域が自動でブーストされ、左右のバランスが完璧に整いました。
音がパッと明るくなり、ベールを一枚剥いだようなクリアさが手に入ります。
これは絶対に最初に設定すべき項目です。
また、イコライザー(EQ)も10バンドで細かく調整でき、保存も可能です。
「通勤用(低音強め)」「会議用(声重視)」「寝る前(マイルド)」など、シーンに合わせたプリセットを作って遊ぶのも一興です。
【気になった点】購入前に知っておくべきデメリット
絶賛ばかりでは公平ではないので、実際に使って気になった点、イマイチだった点も正直に挙げます。
- ケースのサイズと重さ:
画面がついた分、他社のイヤホンケース(AirPods Proなど)より一回り大きく、少し重いです。
スキニージーンズのポケットに入れると「もっこり」します。
小さなバッグで出かける女性などは、持ち運びにかさばると感じるかもしれません。 - 音声ガイダンスの音量:
接続時やモード切替時に流れる「Connected」「Noise Cancelling」などの音声アナウンスが、初期設定だと結構大きいです。
静かな部屋で不意に鳴るとビクッとします。
※対策:アプリで「音声プロンプト」の音量を調整するか、言語を「中国語」などに変更すると少し柔らかい口調になるという裏技があります。 - タッチ画面の誤動作:
稀にですが、ポケットから出すときに画面に触れてしまい、意図せず曲が再生されたりすることがありました。
画面ロック機能はあるものの、取り出し時の誤タッチは構造上避けられない部分があります。
体験談の総括
これらを踏まえても、私の生活におけるTOUR PRO 3の満足度は「極めて高い」です。
単に音楽を聴くだけでなく、仕事の集中ツールとして、移動中の耳栓として、そしてゲームや映画の没入デバイスとして、1日中私の耳と生活をサポートしてくれる相棒になりました。
特に、「今日はPCで会議、移動中はスマホで音楽、夜はタブレットで映画」といったように、複数のデバイスを渡り歩く現代のライフスタイルにおいて、この「接続性の良さ」と「多機能さ」は何物にも代えがたいメリットです。
JBL 「TOUR PRO 3」に関するQ&A

JBL 「TOUR PRO 3」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
スポーツやランニングで使用しても大丈夫ですか?
はい、問題ありません。
イヤホン本体はIP55相当の防水・防塵性能を持っています。これは「あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない」レベルですので、雨やスポーツ時の汗程度であれば故障の心配はありません。また、フィット感が向上しているためランニング中の落下リスクも低減されています。 ※ただし、充電ケース自体には防水性能がないため、濡れたイヤホンをしまう際は水気を拭き取ってから収納してください。
iPhoneでも高音質で聴けますか?(LDAC非対応ですが…)
はい、十分に高音質で楽しめます。
iPhoneはLDACコーデックに対応していませんが(AAC接続になります)、TOUR PRO 3はデュアルドライバー構成(DD+BA)というハードウェア自体の性能が非常に高いため、AAC接続でも前作以上にクリアで迫力のある音質を体験できます。 また、iPhone 15/16シリーズ(USB-C搭載機)であれば、付属ケーブルでケースとiPhoneを有線接続することで、トランスミッター機能を経由したロスレスに近い環境で聴くことも可能です。
トランスミッター機能を使った時の遅延(ラグ)はありますか?
ほとんど感じません。
通常のBluetooth接続に比べて、トランスミッター機能(USB接続モード)使用時は遅延が大幅に低減されます。 特に「ビデオモード」や「ゲームモード」を選択すれば、FPSゲームや音ゲー(リズムゲーム)でも違和感なくプレイできるレベルです。厳密な競技レベルでなければ、実用性は非常に高いです。
ワイヤレス充電には対応していますか?
はい、対応しています。
Qi規格のワイヤレス充電に対応しています。置くだけで充電できるので、デスクワークの合間などに充電パッドに置いておけば、バッテリー切れの心配はほぼありません。もちろん、USB-Cケーブルによる急速充電も可能です。
複数のデバイスに同時に接続できますか?(マルチポイント)
はい、最大2台まで同時接続可能です。
例えば、パソコンとスマホに同時接続しておけば、パソコンで動画を見ている最中にスマホに着信があっても、操作なしで自動的に通話に切り替わります。 ただし、LDAC接続(ハイレゾ設定)をオンにしている場合、マルチポイント機能が制限される場合があります(アプリでの設定依存)。
「TOUR PRO 2」のケース保護カバーはそのまま使えますか?
いいえ、使えません。
TOUR PRO 3の充電ケースは、前作TOUR PRO 2よりもディスプレイが大型化し、全体のサイズも微妙に異なります(幅が狭く、厚みが増しています)。そのため、TOUR PRO 2専用のケースカバーは流用できません。TOUR PRO 3専用のアクセサリーをお選びください。
飛行機で使う場合、別途アダプターが必要ですか?
基本的には不要ですが、機体によります。
最近の飛行機のエンタメシステムは3.5mmシングルジャック(1穴)が主流で、その場合は付属の「USB-C to 3.5mmケーブル」だけで接続可能です。 古い機体で採用されている「デュアルジャック(2穴)」の場合は、市販の航空機用変換アダプター(数百円程度)を噛ませる必要があります。
寝ホン(睡眠用)として使えますか?
使えますが、少し大きめです。
ノイズキャンセリング性能が高く、フォームイヤーチップを使えば遮音性は抜群です。ただし、イヤホン本体の厚みがそれなりにあるため、横向きに寝ると耳が圧迫されて痛くなる可能性があります。仰向けで寝る場合や、飛行機の座席で寝る場合には最適です。
ノイズキャンセリングをONにした場合、バッテリーはどのくらい持ちますか?
イヤホン単体で約8時間、ケース込みで約32時間です。
公式スペックでは最大11時間(ANCオフ時)ですが、常時ノイズキャンセリングをONにし、音量を中程度で使用した場合の実測値はおおよそ7〜8時間程度です。 これでも長距離フライト(東京-シンガポールやホノルルなど)であれば充電なしで乗り切れるスタミナを持っています。15分の充電で約4時間再生できる急速充電にも対応しているため、バッテリー切れで困ることはほぼないでしょう。
片耳だけでも使用できますか?
はい、左右どちらでも片耳使用が可能です。
ケースから片方だけ取り出せば、モノラルモードとして動作します。仕事中に周囲の音を聞きながら片耳で通話をしたり、ポッドキャストを聴いたりするのに便利です。 また、片耳使用中ももう片方はケースで充電されているため、交互に使えば実質永遠に使い続けることができます。
音漏れは気になりますか?
常識的な音量であれば、ほとんど気になりません。
カナル型(耳栓型)であり、かつフィット感が高いため、遮音性は非常に高いです。 ただし、静かな図書館などで大音量でロックなどを聴くと、多少のシャカシャカ音は漏れる可能性があります。付属のアプリで「イヤーチップ装着テスト」を行い、密閉度が確保されているか確認することをおすすめします。密閉されていれば音漏れも最小限になります。
空間オーディオ機能は、YouTubeやNetflixなどの普通の動画でも使えますか?
はい、あらゆるコンテンツで使えます。
JBLの空間オーディオ技術は、再生機器(スマホやPC)側ではなく、イヤホン本体のチップで処理を行います。そのため、Apple Musicのような空間オーディオ対応音源でなくても、YouTubeの動画、普通のステレオ音源の音楽、テレビのニュース音声など、すべての音を擬似的に3D化して楽しむことが可能です。
タッチ操作の割り当て(キーアサイン)は変更できますか?
はい、アプリでカスタマイズ可能です。
「左の1回タップで再生/停止」「右の長押しで音量アップ」など、左右それぞれのアクションに対して機能を割り当てられます。 ただし、「音量制御」「再生制御」「外音制御」といったグルーピング単位での変更となる場合が多く、完全に自由(1タップ目は音量、2タップ目は曲送り、などバラバラに設定)にはできない仕様の場合があるため、アプリの最新仕様を確認してください。
JBL 「TOUR PRO 3」レビューのまとめ

最後に、JBL TOUR PRO 3の総評と、どんな人におすすめか(あるいはおすすめしないか)を明確にします。
メリット総括:この機能性こそが最大の魅力
- 音質:デュアルドライバー化により、低音の迫力はそのままに、高音の解像度が飛躍的に向上。
- 機能性:トランスミッター機能は唯一無二。機内エンタメやPC接続の救世主。
- ノイキャン:トップクラスの遮音性と、風切り音に強い実用的な性能。
- ケース:操作性、視認性が向上し、ガジェットとしての完成度が高い。
デメリット総括:サイズ感と価格のバランス
- ケースが大きく重い(携帯性はAirPods Proに劣る)。
- 高機能ゆえの高価格(定価4万円弱は、ライトユーザーにはハードルが高い)。
ライバル比較:WF-1000XM5やAirPods Pro 2との違い
購入を迷うであろう2大巨頭と比較してみました。
| 特徴 | JBL TOUR PRO 3 | Sony WF-1000XM5 | Apple AirPods Pro 2 |
| 音質の傾向 | 元気・迫力・高解像度 (DD+BA) | 繊細・バランス型 (DD) | フラット・聴き疲れしない |
| ノイキャン | ★★★★☆ (非常に強い) | ★★★★★ (最強クラス) | ★★★★☆ (自然で強い) |
| 外音取り込み | ★★★★★ (非常に自然) | ★★★★☆ (少し機械的) | ★★★★★ (圧倒的に自然) |
| 独自機能 | 画面付きケース / トランスミッター | ヘッドジェスチャー / 小型化 | Appleエコシステム連携 |
| こんな人に | 多機能・エンタメ・ガジェット好き | 純粋な静寂と小型さを求める人 | iPhoneユーザー・Apple信者 |
Sony WF-1000XM5は、ノイズキャンセリング性能においては依然として最強クラスですが、音の「楽しさ」や機能の「ワクワク感」ではJBLが勝ります。
AirPods Pro 2は、iPhoneユーザーにとっての利便性は最強ですが、音質のカスタマイズ性や、Android/PC/機内など「Apple製品以外」との連携においてはJBL TOUR PRO 3が圧倒的に有利です。
TOUR PRO 2から買い替える価値はあるか?
私の結論は、「音質にこだわりがあるなら、間違いなくYES」です。
ドライバー構成が変わったことによる音質の変化は、マニアでなくとも分かるレベルです。特に高音のクリアさと音場の広さは別物です。
また、「飛行機によく乗る」「PCでゲームをする」という特定の用途がある人にとっても、トランスミッター機能のために買い替える価値は十分にあります。
逆に、「音はそこそこでいい」「ケースの画面はあまり使わなかった」「主にスマホでしか音楽を聴かない」というライトな用途であれば、TOUR PRO 2のままでも十分幸せになれるでしょう。
おすすめするユーザー:多機能と“JBLサウンド”を愛する人へ
以下の項目に2つ以上当てはまるなら、JBL TOUR PRO 3はあなたにとって「ベストバイ」になります。
- 低音の迫力も、高音の繊細さも、どちらも妥協したくない欲張りな人。
- 出張や旅行が多く、飛行機や新幹線での移動時間を快適にしたい人。
- PC、ゲーム機、テレビなど、スマホ以外の機器でも高音質ワイヤレスを使いたい人。
- 「人とは違う」最先端のガジェットを所有する喜びを感じたい人。
- 自分好みの音をとことん追求したいカスタマイズ好きな人。
JBL 「TOUR PRO 3」レビューの総括
JBL TOUR PRO 3は、これまでのワイヤレスイヤホンの「枠」を壊しました。
それは単なる音楽再生機器ではなく、「音のある生活」を全方位でアップグレードしてくれるマルチツールです。
価格は決して安くありません。
しかし、これ1台あれば、毎朝の通勤も、集中したい仕事時間も、休日の映画鑑賞も、長時間のフライトも、すべてが最高品質の体験に変わります。
その「体験の総量」と「使用頻度」を考えれば、この価格はむしろ投資対効果が高いと感じました。
もしあなたが、今のイヤホンに「あと少し、何かが足りない」と感じているなら。
あるいは、「全部入りの最強イヤホンで、もう悩みたくない」と思っているなら。
JBL TOUR PRO 3は、その期待を裏切らない、現時点で最も完成された選択肢です。
音質の、その先へ。
ぜひあなたも、この「全部入り」の衝撃を体感してみてください。


