「一日中つけっぱなしでも快適」という、イヤホンの新しい常識を提案し続けているソニーのLinkBudsシリーズ。
その最新作として2024年11月に満を持して登場したのが「LinkBuds Fit (WF-LS910N)」です。
昨今の完全ワイヤレスイヤホン市場は、「静寂(強力なノイズキャンセリング)」を追求するフラッグシップモデルと、「開放感(ながら聴き)」を追求するオープンイヤーモデルに二極化していました。
ユーザーである私たちも、集中したい時はカナル型、リラックスしたい時はオープン型と、複数のイヤホンを使い分ける必要に迫られていたのが実情です。
しかし、このLinkBuds Fitは、その両方の「いいとこ取り」を目指した、ソニーの野心的な回答です。
- 物理的な開放感に迫る、中空構造サポーターによる圧倒的に軽い装着感
- フラッグシップ機「WF-1000XM5」譲りの高音質プロセッサー
- 環境に合わせて最適化される、必要十分なノイズキャンセリング
これらを、耳に収まる小さなマカロンのようなボディに凝縮した本機。
前モデル「LinkBuds S」が記録的なヒットとなっただけに、その後継機にかかる期待は非常に大きなものでした。
果たしてLinkBuds Fitは、私たちの生活の「音」をどのように変えてくれるのでしょうか?
前モデル「LinkBuds S」や、絶対王者である最上位モデル「WF-1000XM5」、そして同時発売された兄弟機「LinkBuds Open」との詳細な比較を交えながら、その実力を徹底的にレビューしていきます。
結論から申し上げれば、LinkBuds Fitは「生活のBGMとして音楽を楽しみたいけれど、音質の妥協も、周囲との断絶もしたくない」という、現代のマルチタスクなライフスタイルに最もフィットする最適解と言える一台でした。
- SONY 「LinkBuds Fit」の特徴とスペック解説
- SONY 「LinkBuds Fit」の音質・ノイズキャンセリング・外音取り込みの徹底検証
- SONY 「LinkBuds Fit」の独自機能と操作性の使い勝手チェック
- SONY 「LinkBuds Fit」を使用した私の体験談・レビュー
- SONY 「LinkBuds Fit」に関するQ&A
- 先代モデル「LinkBuds S」と比べて、一番の進化点は何ですか?
- ランニングやジムなどのスポーツに使っても落ちませんか?
- 「寝ホン」(寝ながら聴くイヤホン)として使えますか?
- 音ゲーや動画視聴の際、遅延は気になりますか?
- 片耳だけで使用することはできますか?
- ノイズキャンセリングはWF-1000XM5と比べてどれくらい違いますか?
- マルチポイント接続(2台同時接続)はLDAC(ハイレゾ)と併用できますか?
- iPhoneを使っていますが、性能をフルに発揮できますか?
- 音漏れは気になりますか?(図書館や静かなオフィスなど)
- 市販の他社製イヤーピースに交換できますか?
- ワイドエリアタップ(頬を叩く操作)が誤動作することはありますか?オフにできますか?
- Appleの「AirPods 4 (ノイキャン搭載モデル)」と迷っています。どちらがおすすめですか?
- SONY 「LinkBuds Fit」レビューのまとめ
SONY 「LinkBuds Fit」の特徴とスペック解説

まずは、LinkBuds Fitがどのような技術的背景を持って生まれた製品なのか、カタログスペックの数値だけでなく、その裏にある設計思想から紐解いていきましょう。
製品コンセプトとLinkBudsシリーズにおける立ち位置
LinkBudsシリーズは現在、ユーザーの視聴スタイルに合わせて大きく2つのラインに分岐しています。
- Open系(穴あき型):
振動板の中央に穴を開け、物理的に耳をふさがないことで究極の開放感を実現するライン。
(例:初代LinkBuds, LinkBuds Open) - Fit/S系(カナル型):
一般的な耳栓型でありながら、外音取り込み機能と小型軽量化により「仮想的な開放感」を作り出すライン。
(例:LinkBuds S, LinkBuds Fit)
今回の「LinkBuds Fit」は、大ヒットモデル「LinkBuds S」の正統後継機という位置付けです。
名称が「S」から「Fit」へと変更されたことからも、「装着感(Fitting)」への並々ならぬこだわりが感じ取れます。
単なる機能向上版ではありません。
「カナル型は耳が詰まるから苦手」という層を取り込むべく、「薄型化・軽量化」を徹底。
さらに新開発のイヤーピースと中空サポーターを組み合わせることで、カナル型でありながら、オープンイヤー型のような軽快さを実現するという、矛盾への挑戦がなされています。
基本スペック比較:LinkBuds S・WF-1000XM5との違い
購入検討時に最も悩ましいのが、価格差のある他モデルとの比較です。
ここでは主要3機種のスペックを詳細に比較し、進化のポイントを洗い出します。
| 項目 | LinkBuds Fit (WF-LS910N) | LinkBuds S (WF-LS900N) | WF-1000XM5 (フラッグシップ) |
| 発売時期 | 2024年11月 | 2022年6月 | 2023年9月 |
| 形状 | カナル型(ショートノズル) | カナル型 | カナル型 |
| プロセッサー | 統合プロセッサーV2 | 統合プロセッサーV1 | 統合プロセッサーV2 + QN2e |
| ドライバー | 8.4mm ダイナミックX | 5mm | 8.4mm ダイナミックX |
| 対応コーデック | SBC, AAC, LDAC, LC3 | SBC, AAC, LDAC, LC3 | SBC, AAC, LDAC, LC3 |
| 重さ(片耳) | 約4.9g | 約4.8g | 約5.9g |
| 連続再生(NC ON) | 約5.5時間 (ケース込21時間) | 約6時間 (ケース込20時間) | 約8時間 (ケース込24時間) |
| 充電機能 | USB-C (ワイヤレス充電非対応) | USB-C (ワイヤレス充電非対応) | USB-C / ワイヤレス充電対応 |
| 防水性能 | IPX4相当 | IPX4相当 | IPX4相当 |
| Bluetooth | Ver 5.3 | Ver 5.2 | Ver 5.3 |
| 独自機能 | ワイドエリアタップ Auto Switch | クイックアクセス | ヘッドジェスチャー 高精度ボイスピックアップ |
| 実勢価格 | 約29,000円前後 | 約20,000円前後 | 約38,000円前後 |
【詳細な分析ポイント】
- プロセッサーの進化:
LinkBuds Fitには、最上位機種WF-1000XM5と同じ「統合プロセッサーV2」が搭載されています。こ
れは前作LinkBuds Sの「V1」と比較して演算処理速度が向上しており、ノイズキャンセリングのリアルタイム処理や、音質補正機能(DSEE Extreme)の精度が格段に上がっています。 - ドライバーユニットの大型化:
ドライバーサイズは5mmから8.4mmへと大幅に拡大。
これもWF-1000XM5と同じ「ダイナミックドライバーX」技術を応用したものが採用されています。
振動板のドーム部とエッジ部で異なる素材を組み合わせることで、低音の深みと高音の伸びを両立させています。 - バッテリーと充電のトレードオフ:
本体の小型化と耳への収まりを優先した結果、バッテリー容量は物理的な限界を迎えています。
連続再生5.5時間は、現代の基準では「やや短い」部類に入ります。
また、コストとサイズの兼ね合いか、ワイヤレス充電(Qi)が省略された点は、デスク環境を無線化しているユーザーには痛手かもしれません。
デザインとカスタマイズ性の魅力
LinkBuds Fitは、ガジェットとしての性能だけでなく、「ファッションアイテム」としての側面も強く打ち出されています。
耳からの飛び出しを抑えた薄型設計により、正面から見た時にイヤホンが目立ちすぎず、アクセサリーや髪型と干渉しにくいデザインになっています。
【カスタマイズの楽しさ】
最大の特徴は、「フィッティングサポーター」と「ケースカバー」が別売りで交換可能な点です。
「本体はホワイトだけど、サポーターとケースカバーはピンクにする」といったバイカラーの組み合わせを楽しむことができます。
ケース自体も、上部が艶のあるマーブル調、下部がマット仕上げという凝った作りになっており、プラスチック特有の安っぽさを感じさせません。
所有欲を満たすビルドクオリティは、さすがソニーといったところです。
SONY 「LinkBuds Fit」の音質・ノイズキャンセリング・外音取り込みの徹底検証

スペック上の数値が良いのは当然として、実際の「音」と「静寂」のクオリティはどうなのか?
100時間以上試聴した結果を深掘りします。
音質評価:V2プロセッサーと8.4mmドライバーの実力
一聴して感じるのは、前作LinkBuds Sからの「圧倒的なスケール感の向上」です。
- 低音域の深みとキレ:
LinkBuds Sでは、どうしてもドライバー口径(5mm)なりの「頑張って鳴らしている感」がありましたが、LinkBuds Fitの8.4mmドライバーは余裕があります。
ベースラインの重厚さやバスドラムの空気の振動感が、歪みなく豊かに響きます。 - 中高音域の解像度:
統合プロセッサーV2とDSEE Extremeの恩恵により、圧縮音源(SpotifyやYouTubeなど)でもハイレゾ級の音質にアップスケーリングされます。
ボーカルの息遣い(ブレス)や、アコースティックギターの弦の擦れる音が、粒立ちよく再現されます。 - ジャンル別適合度:
- POPS/Vocal: ◎(ボーカルが近く、歌詞が聞き取りやすい)
- JAZZ/Classic: 〇(音場はそこまで広くないが、楽器の分離感は良好)
- EDM/Rock: ◎(低音のアタック感が心地よく、ノリ良く聴ける)
- 音質の傾向:
WF-1000XM5が「原音忠実なモニターサウンド」だとすれば、LinkBuds Fitは「音楽を楽しく聴かせるリスニングサウンド」です。
高音が刺さるような鋭さが抑えられており、長時間BGMとして流していても聴き疲れしません。
また、アプリ「Sound Connect」内の「ファインド・ユア・イコライザー」機能が優秀です。
好みの音を直感的に選んでいくだけで、自分専用のイコライザー設定を作成できます。
これにより、オーディオ知識がなくても理想の音質に近づけることが可能です。
ノイズキャンセリング性能:静寂性と圧迫感のバランス
ノイズキャンセリング性能については、「日常使いに特化したマイルドなチューニング」と評価できます。
- 低周波ノイズ(電車・バス・飛行機):
「ゴーッ」という走行音は、強力にカットされます。
音楽を再生していれば、ほぼ気にならないレベルまで低減されます。 - 中高周波ノイズ(人の話し声・空調):
ここに関しては、WF-1000XM5に軍配が上がります。
LinkBuds Fitは、人の声を完全に消し去るほどの遮音性はありません。
しかし、これは「意図された設計」とも取れます。 - 「Auto NC Optimizer」の効果:
装着状態や気圧の変化に応じて、ノイキャン特性を自動で最適化してくれます。
例えば、メガネをかけていて少し隙間ができている場合でも、それを検知して可能な限りノイズを打ち消そうと働きます。
特筆すべきは、「ノイキャン特有の圧迫感(鼓膜が吸われるような感覚)」が皆無に近いことです。
強力すぎるノイキャンで気分が悪くなる人にとっては、このLinkBuds Fitの自然な静寂は、むしろ理想的と言えるでしょう。
外音取り込み機能:「着けたまま会話」はどこまで自然か
LinkBuds Fit最大の武器は、この「アンビエントサウンド(外音取り込み)モード」の完成度です。
競合他社のハイエンド機を含めても、トップクラスの自然さを誇ります。
- マイク音声感の排除:
安いイヤホンの外音取り込みにありがちな「サーッ」というホワイトノイズや、高音が強調された機械的な音が全くありません。
まるで耳に何もつけていないかのような、非常にクリアな環境音が聞こえます。 - 自分の声の響き(オクルージョン効果)の軽減:
カナル型イヤホンをして喋ると、自分の声が頭蓋骨に響いて話しにくい現象が起きます。
LinkBuds Fitは、浅い装着設計と通気孔の配置により、この不快感を大幅に軽減しています。
これにより、「イヤホンをつけたまま、違和感なく長時間の会話が可能」です。
コンビニやカフェでの注文はもちろん、オフィスでのとっさの打ち合わせでも、イヤホンを外す必要性を感じさせません。
SONY 「LinkBuds Fit」の独自機能と操作性の使い勝手チェック

ソニー製品ならではの多機能さも魅力の一つ。ここでは、カタログだけでは伝わりにくい「実際の使い勝手」を検証します。
ワイドエリアタップ:耳元を叩く操作の精度と利便性
LinkBudsシリーズの代名詞とも言える操作機能が「ワイドエリアタップ」です。
イヤホン本体ではなく、「耳の周辺(頬骨やもみあげ付近)」を指でトントンと叩くことで操作を行います。
- 実用上のメリット:
- イヤホンの小さなタッチセンサーを探す必要がないため、ノールックで確実に操作できる。
- 操作するたびにイヤホンが耳の奥に押し込まれる不快感がない。
- 手袋をしていても反応するため、冬場の屋外やランニング中に重宝する。
- 感度と誤動作:
アプリで感度調整が可能です。初期設定では感度が良すぎて、食事中の咀嚼(あごの動き)で誤反応することが稀にありますが、感度を調整すれば解決します。
慣れると、他のイヤホンのタッチ操作が面倒に感じるほど快適なインターフェースです。
Auto Switch機能:LinkBuds Speakerとのシームレス連携
ソニーのエコシステムを強化する新機能が「Auto Switch」です。
別売りのワイヤレススピーカー「LinkBuds Speaker」と連携させることで、魔法のような音楽体験が可能になります。
- 外出先ではLinkBuds Fitで音楽を聴く。
- 帰宅し、LinkBuds Speakerの近くでイヤホンをケースにしまう。
- スマホを操作することなく、自動的に続きの曲がスピーカーから再生される。
逆に、外出時にイヤホンを取り出せば、スピーカーの音が止まり、イヤホンから再生が始まります。
実際に体験すると、この「接続操作からの解放」は想像以上にストレスフリーです。
生活の中に音楽が途切れる瞬間を作らない、まさに「シームレス」な体験です。
接続性と通話品質:マルチポイント接続とAIノイズ低減
- マルチポイント接続:
PCとスマートフォンなど、2台の機器に同時接続し、音の出る方に自動で切り替わります。
切り替え速度は非常に高速です。
また、「次世代Bluetoothオーディオ LE Audio」に対応しており、対応スマホ(Xperia 1 Vなど)と接続すれば、ゲーム時の遅延をさらに低減することも可能です。 - 通話品質とAIノイズ除去:
5億サンプル以上の機械学習データを用いたAIノイズリダクション技術を搭載しています。
実際に強風の吹く屋外で通話テストを行いましたが、風切り音(ボボボという音)が綺麗にカットされ、こちらの声だけが相手に届いていました。
ビジネス用途のヘッドセットとしても、十分に信頼できるクオリティです。
SONY 「LinkBuds Fit」を使用した私の体験談・レビュー

ここからは、スペックや機能解説だけでなく、実際に私がLinkBuds Fitを数週間、肌身離さず使用してみた「リアルな生活ログ」をお届けします。
装着感のリアル:エアフィッティングサポーターは痛くない?
開封時、最も気になったのは特徴的な「エアフィッティングサポーター」です。
シリコン製のツノのようなパーツが飛び出ています。
「これが耳に当たって痛くなるのでは?」と懸念していましたが、杞憂でした。
このサポーターは中が空洞(エアクッション構造)になっており、指で押すとフニフニと潰れます。
この柔らかさが絶妙で、耳のくぼみ(耳甲介)に「突っ張る」のではなく「優しく添えられる」感覚でフィットします。
また、イヤーピース自体も背が低い設計になっており、耳穴の奥までねじ込む必要がありません。
結果として、「カナル型なのに、圧迫感が限りなくゼロに近い」という不思議な装着感が生まれています。
頭を激しく振っても落ちる気配がなく、3時間以上の連続使用でも耳が痛くなることはありませんでした。
デスクワーク活用:長時間Web会議での疲れにくさとマイク性能
テレワーク環境で、Web会議用デバイスとして集中的に使用しました。
- 疲れにくさ:
従来のカナル型イヤホンでは、自分の声がこもって聞こえるため、1時間の会議でヘトヘトになっていました。
しかしLinkBuds Fitの外音取り込みをONにすると、まるでスピーカーフォンで話しているかのように自然に自分の声が聞こえます。
この「自声の抜けの良さ」は、ビジネスパーソンにとって強力な武器になります。 - BGMエフェクト:
アプリに搭載された「BGMエフェクト」機能も優秀です。
音源のボーカルを少し遠ざけ、音の広がりを持たせることで、部屋のスピーカーで鳴らしているような聞こえ方に変化させます。
集中したい作業中に、音楽が主張しすぎないよう調整してくれる、心憎い機能です。
通勤・移動中の使用感:人混みでの遮音性と接続安定性
毎朝の満員電車での通勤ラッシュでも検証しました。
- 遮音性のバランス:
電車の走行音やアナウンスは完全には消えません。
しかし、音楽を流していれば「騒音」としては気にならないレベルに落ち着きます。
むしろ、駅のホームのアナウンスがうっすら聞こえることで、乗り過ごしや緊急時の安心感につながりました。 - 接続安定性:
新宿駅の南口やスクランブル交差点など、電波が混線するエリアも歩きましたが、音がプツプツ途切れることは一度もありませんでした。
左右独立伝送方式の安定性は非常に高いレベルにあると実感しました。
バッテリー持ちの実際:ノイキャンON・LDAC接続での持続時間
唯一、運用で工夫が必要だと感じたのがバッテリーです。
私は音質優先のため「LDAC接続」かつ「DSEE Extreme:ON」「ノイキャン:ON」という、最もバッテリーを消費する設定で使用しました。
この設定だと、実働で約3.5時間〜4時間ほどで「バッテリーが少なくなりました」のアナウンスが流れます。
公称値の5.5時間は、あくまでAAC接続などの標準的な設定の場合でしょう。
午前中の作業(9:00〜12:00)で一度バッテリーが切れるため、お昼休憩には必ずケースに戻して充電するルーティンが必要でした。
ただ、5分充電で60分再生できる急速充電のおかげで、トイレ休憩などでこまめにケースに入れれば、一日を通して困ることはありませんでした。
ワイヤレス充電非対応とケースの使い勝手についての本音
競合のAirPods Pro 2やWF-1000XM5がワイヤレス充電に対応している中、LinkBuds FitがUSB-Cケーブル充電のみである点は、やはり惜しいと感じます。
帰宅してケースを充電パッドに置くだけ、という手軽さに慣れていると、ケーブルを探して挿す行為が少々億劫に感じることがありました。
しかし、ケースのデザイン性は抜群です。コロンとした正方形に近い形状で、ポケットへの収まりも良い。
蓋を開ける時の「パカッ」というヒンジの感触も心地よく、所有する喜びを感じさせてくれるプロダクトです。
体験談の総括:日常に溶け込む「ながら聴き」の完成度
2週間使い続けて気づいたのは、「イヤホンを外す頻度が劇的に減った」ということです。
音楽を聴く、動画を見る、電話に出る、コンビニで買い物をする。
これらのアクションの間に「イヤホンをつけたり外したりする」という動作が挟まらないだけで、生活がこれほどスムーズになるのかと驚きました。
LinkBuds Fitは、音楽を聴くためのオーディオ機器という枠を超え、「聴覚を拡張し、生活をアシストするウェアラブルデバイス」へと進化しています。
音質へのこだわりと、生活への親和性。
このバランス感覚において、現在右に出るものはいないと感じました。
SONY 「LinkBuds Fit」に関するQ&A

SONY 「LinkBuds Fit」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
先代モデル「LinkBuds S」と比べて、一番の進化点は何ですか?
「装着感の軽さ」と「音質の解像度」です。
LinkBuds Sも非常に優秀な機種ですが、LinkBuds Fitは新型の「エアフィッティングサポーター」と浅い装着設計により、耳への圧迫感が劇的に減りました。また、フラッグシップ機と同じ「統合プロセッサーV2」を搭載したことで、音の分離感や低音の質感が大きく向上しています。ただし、バッテリー持ちはLinkBuds Sの方がわずかに長いです。
ランニングやジムなどのスポーツに使っても落ちませんか?
はい、スポーツ用途にも非常に適しています。
独自の「フィッティングサポーター」が耳のくぼみに柔らかく、かつしっかりと引っかかるため、ランニング程度の激しい上下動でも外れる心配はほぼありません。IPX4相当の防滴性能を備えているため、汗や突然の雨でも問題なく使用できます。
「寝ホン」(寝ながら聴くイヤホン)として使えますか?
比較的向いていますが、推奨はされません。
本体が薄型で耳からの飛び出しが少ないため、枕に横になっても耳が痛くなりにくい形状ではあります。しかし、公式に睡眠用として設計された製品ではないため、寝返りによる故障や耳への負担のリスクを理解した上で自己責任で使用する必要があります。
音ゲーや動画視聴の際、遅延は気になりますか?
通常の動画視聴では気になりませんが、シビアな音ゲーには注意が必要です。
YouTubeやNetflixなどの動画アプリでは、自動でズレが補正されるため違和感はありません。タイミングが重要なリズムゲーム(音ゲー)では、標準のSBC/AAC/LDAC接続だと若干の遅延を感じる場合があります。ただし、Xperia 1 Vなど「LE Audio」に対応したスマートフォンと接続すれば、遅延を大幅に抑えることが可能です。
片耳だけで使用することはできますか?
はい、左右どちらでも片耳のみで使用可能です。
片方をケースに入れたまま、もう片方だけで音楽再生や通話ができます。また、「サービスリンク」機能を設定している場合、片耳を外すと自動で一時停止する機能もありますが、アプリ設定でオフにすれば片耳聴きがよりスムーズになります。
ノイズキャンセリングはWF-1000XM5と比べてどれくらい違いますか?
「静寂」のレベルには明確な差があります。
WF-1000XM5は「周囲の音がフッと消える」レベルの強力な遮音性ですが、LinkBuds Fitは「騒音の角を取り、BGMが聴きやすくなる」レベルのマイルドな調整です。飛行機のエンジン音や地下鉄の轟音を完全に消したい場合はWF-1000XM5をおすすめしますが、日常のカフェやオフィスレベルの騒音ならLinkBuds Fitでも十分快適です。
マルチポイント接続(2台同時接続)はLDAC(ハイレゾ)と併用できますか?
はい、併用可能です。
以前の機種では「マルチポイント」と「LDAC」の併用ができない場合がありましたが、LinkBuds Fitではこれらを同時に有効にすることができます。ただし、接続安定性を重視する場合は、通信環境によってビットレートが制限されることがあります。
iPhoneを使っていますが、性能をフルに発揮できますか?
基本的な機能は問題ありませんが、ハイレゾ伝送(LDAC)は非対応です。
専用アプリ「Sony | Sound Connect」はiOSにも対応しており、ノイズキャンセリングやワイドエリアタップの設定、360 Reality AudioなどはAndroid同様に使えます。ただし、iPhoneはBluetoothコーデックが「AAC」までとなるため、ソニー独自の高音質コーデック「LDAC」での接続はできません。とはいえ、DSEE Extreme(アップスケーリング技術)が機能するため、iPhoneでも十分に高音質で楽しめます。
音漏れは気になりますか?(図書館や静かなオフィスなど)
常識的な音量であれば、ほぼ気にする必要はありません。
兄弟機の「LinkBuds Open」は穴あき構造のため盛大に音漏れしますが、こちらの「LinkBuds Fit」はカナル型(密閉型)構造です。浅い装着感とはいえ、イヤーピースで耳穴を塞ぐため、遮音性は保たれています。ただし、一般的なカナル型より密閉度は低いため、満員電車で最大音量でロックを聴くといった極端な使い方の場合は、わずかに漏れる可能性があります。
市販の他社製イヤーピースに交換できますか?
ノズルが短く、ケースも浅いため、かなり制限されます。
LinkBuds Fitの本体ノズルは非常に短く設計されています。また、充電ケースの収納スペースもタイトです。一般的な完全ワイヤレス用イヤーピースをつけると、「ケースの蓋が閉まらない」「充電端子が接触しない」といったトラブルが起きやすいです。基本的には純正イヤーピースの使用を強くおすすめしますが、交換する場合は「TWS用ショートタイプ」など、背の低いものを選ぶ必要があります。
ワイドエリアタップ(頬を叩く操作)が誤動作することはありますか?オフにできますか?
食事中などに誤動作することがありますが、感度調整やオフ設定が可能です。
もぐもぐと咀嚼する動きや、激しい咳払いの振動をタップと誤検知してしまうことが稀にあります。その場合はアプリから「感度を『低』にする」か、機能自体を「オフ」にすることができます。オフにした場合でも、イヤホン本体を直接タップする操作は有効のままにできます。
Appleの「AirPods 4 (ノイキャン搭載モデル)」と迷っています。どちらがおすすめですか?
「安定した装着感」と「カスタマイズ性」ならLinkBuds Fit、「Apple連携」と「開放感」ならAirPods 4です。
どちらも「耳への負担が少ないノイキャン機」というコンセプトは似ています。
- LinkBuds Fit:
浅いカナル型+サポーターがあるため、AirPods 4よりも耳から落ちにくく、物理的な遮音性が若干高いです。AndroidでもiPhoneでもアプリで細かく設定でき、色を変えられる楽しさがあります。 - AirPods 4:
完全なオープンイヤー型なので、耳に異物を入れる感覚は最も少ないですが、人によってはポロリと落ちやすい形状です。iPhoneとの連携(「探す」機能や空間オーディオ)は最強です。 「絶対に落としたくない」「Androidも使う」ならLinkBuds Fitが安全な選択です。
SONY 「LinkBuds Fit」レビューのまとめ

「LinkBuds Fit」は、ソニーが提供する新世代の完全ワイヤレスイヤホンとして、装着感、音質、操作性、そして外音取り込みやノイズキャンセリングの性能において非常に高いレベルを実現した製品です。
LinkBudsシリーズならではの、日常生活に自然に溶け込むデザインと、細部まで行き届いた機能性が特徴で、外出先や自宅、ビジネスシーンでも幅広く使える万能なイヤホンです。
LinkBuds Fitを買うべきメリット
- 唯一無二の装着感: カナル型特有の圧迫感がなく、中空サポーターで長時間つけても痛くない。
- 妥協なき音質: フラッグシップ級のV2プロセッサーと8.4mmドライバーによる、厚みのある高音質。
- 超自然な外音取り込み: 自分の声がこもらず、装着したまま会話が成立する透明感。
- 高いカスタマイズ性: サポーターやケースを着せ替えて、自分だけのデザインを楽しめる。
- 独自の利便性: ワイドエリアタップやAuto Switchなど、ソニーならではの機能が満載。
購入前に知っておくべきデメリット
- バッテリー持ち: ハイレゾ設定(LDAC)で使うと実働4時間弱と短め。長距離フライトなどには不向き。
- ワイヤレス充電非対応: ケーブル充電の手間が発生する。
- 絶対的な静寂ではない: WF-1000XM5ほどの強力な遮音性はないため、騒音環境下での完全没入には向かない。
LinkBuds Open・LinkBuds S・WF-1000XM5 どれを選ぶべき?
| あなたの重視するポイント | おすすめモデル | 選ぶ理由 |
| 「没入」と「ながら」のバランス重視 | LinkBuds Fit | 軽い装着感、十分なノイキャン、高音質。最も汎用性が高く、現代の生活様式に合う。 |
| 物理的に耳をふさぎたくない | LinkBuds Open | 究極の開放感だが、音漏れのリスクと低音の弱さは許容する必要がある。 |
| コスパ重視 | LinkBuds S | 型落ちで価格がこなれている。性能バランスは依然優秀だが、音質はFitに劣る。 |
| 最強のノイキャンと音質重視 | WF-1000XM5 | 静寂性、バッテリー、ワイヤレス充電など基本性能は最強。ただし装着感は人を選ぶ。 |
LinkBuds Fit がおすすめな人
- 仕事中や家事中など、一日中イヤホンをつけっぱなしにして過ごしたい人。
- カナル型イヤホンの「耳が詰まる感じ」や「自分の声がこもる感じ」が苦手な人。
- ファッションに合わせてイヤホンの見た目もコーディネートしたい人。
- 高音質で音楽を聴きたいが、家族の声や来客チャイムなど、周囲の音も逃したくない人。
- LinkBuds Speakerとの連携など、新しい音楽体験に興味があるガジェット好き。
LinkBuds Fit がおすすめできない人
- 飛行機のエンジン音や工事現場の音など、騒音を「完全に」消し去りたい人。(WF-1000XM5推奨)
- 充電なしで8時間以上連続再生したいヘビーユーザー。
- デスク周りを完全無線化しており、ワイヤレス充電が必須条件の人。
SONY 「LinkBuds Fit」レビューの総評:没入と周囲のつながりを両立する最適解
SONY LinkBuds Fitは、イヤホンの進化が単なる「スペック競争」から「ライフスタイルへの適合」へとシフトしたことを象徴する名機です。
確かにバッテリーやワイヤレス充電など、スペック表だけで見れば競合に劣る部分もあります。
しかし、実際に耳につけて生活してみると、それを補って余りある「圧倒的な快適さ」と「聴き疲れしない高音質」の虜になります。
オンとオフの境界線が曖昧な現代において、常に耳元に置いておけるパートナーとして、これほど信頼できるイヤホンは他にありません。
「音楽には深く浸りたいけれど、世界とのつながりも断ちたくない」。
そんなあなたのワガママな願いを、LinkBuds Fitは軽やかに、そしてスタイリッシュに叶えてくれるでしょう。
気になっている方は、ぜひ一度店頭で試着してみてください。
その「耳から消えるような装着感」に、きっと驚くはずです。


