「ワイヤレスイヤホンも、ついにここまで来たか」
オーディオ製品のレビューを長年続けてきましたが、スペックシートを一目見て、これほど背筋が震えるような興奮を覚えた製品は久しぶりです。
Xiaomiから満を持して発売された「Xiaomi Buds 5 Pro」。
このイヤホンは、昨今の「ノイズキャンセリング競争」や「バッテリー持ち競争」といった、ある意味で飽和したワイヤレス市場に対して、全く新しい次元からのアプローチを仕掛けてきました。
これまで、我々オーディオファンは常に「妥協」を強いられてきました。
「便利さを取るならワイヤレス、音質を極めるなら有線」
「多機能を求めるなら音質はそこそこ、音質特化なら機能はシンプル」
この二律背反こそが、ポータブルオーディオの常識でした。
しかし、Xiaomi Buds 5 Proはその壁を破壊しにかかっています。
驚異の3ドライバー構成(11mm DD + PZT + 平面駆動)、スマホ不要の「単体録音機能」、そしてWi-Fi接続による真のロスレス伝送(Wi-Fi版)。
これらは本来であれば、数万円、いや十万円クラスのハイエンド有線イヤホンや、専用のボイスレコーダーといった別ジャンルのガジェットが担っていた役割です。
それを、この指先ほどの小さな筐体にすべて詰め込んできたのです。
「詰め込みすぎて、器用貧乏になっているのではないか?」
「3つもドライバーを積んで、位相ズレや音のつながりは大丈夫なのか?」
「録音機能なんて、おまけ程度の音質ではないのか?」
正直なところ、私も最初は疑念を抱いていました。
しかし、実機を手にして使い込むほどに、その疑念は「驚愕」へと変わり、やがて「確信」へと変わりました。
これは、単なるガジェットではありません。オーディオの未来を先取りした、記念碑的なモデルです。
この記事では、オーディオブログを運営し、数々のイヤホンを聴き比べてきた筆者が、「Xiaomi Buds 5 Pro」を徹底的に解剖します。
表面的なスペックの紹介にとどまらず、なぜこのドライバー構成が革新的なのか、録音機能が我々の生活をどう変えるのか、そして購入者が覚悟すべきデメリットは何なのか。
忖度なしの徹底レビューをお届けします。
- Xiaomi 「Xiaomi Buds 5 Pro」の衝撃的なスペックと特徴
- Xiaomi 「Xiaomi Buds 5 Pro」の実用性を加速させる多機能性能の検証
- Xiaomi 「Xiaomi Buds 5 Pro」のデザイン・操作性・アプリ連携
- Xiaomi 「Xiaomi Buds 5 Pro」を使用した私の体験談・レビュー
- Xiaomi 「Xiaomi Buds 5 Pro」に関するQ&A
- Wi-Fi版とBluetooth版、どちらを買うべきですか?
- iPhoneでも使えますか?音質は良いですか?
- 録音機能を使う際、相手に通知音は鳴りますか?
- ゲームプレイ時の遅延は気になりますか?
- 録音したデータはどうやって聴くのですか?
- マルチポイント接続(2台同時接続)はできますか?
- ランニングなどのスポーツに使っても大丈夫ですか?
- 市販のイヤーピースに交換できますか?
- ANCやLDACを使うと、実際のバッテリー持ちはどれくらい減りますか?
- 空間オーディオ(イマーシブサウンド)は専用の音源が必要ですか?
- 片耳だけでも使用できますか?
- 充電ケースはワイヤレス充電に対応していますか?
- 安価な「Redmi Buds」シリーズとは何が決定的に違いますか?
- LINEやZoomなどのアプリ通話も録音できますか?
- 「翻訳機能」があると聞きましたが、どうやって使うのですか?
- 寝ながら使う(寝ホン)ことはできますか?
- Xiaomi 「Xiaomi Buds 5 Pro」レビューのまとめ
Xiaomi 「Xiaomi Buds 5 Pro」の衝撃的なスペックと特徴

まずは、このイヤホンがなぜ「怪物」と呼ばれるのか、その心臓部であるスペックを深掘りします。
ここは他の汎用的なレビューサイトではサラッと流されがちですが、音質の根幹に関わる非常に重要な部分です。
常識を覆す「3ドライバー構成」とデュアルアンプ
一般的なワイヤレスイヤホンは、コストや筐体サイズの制約から、1つのダイナミックドライバー(DD)ですべての音域を鳴らす「1DD構成」が主流です。
高級機でも、DDとBA(バランスドアーマチュア)を組み合わせたハイブリッド型がせいぜいです。
しかし、Xiaomi Buds 5 Proは、なんと3つの異なる種類のドライバーを同軸上に配置するという、変態的(褒め言葉)な構成を採用しています。
① 11mm デュアルマグネットダイナミックドライバー(低音域担当)
まず土台となるのが、11mmの大口径ダイナミックドライバーです。
「デュアルマグネット」という名の通り、磁石を2つ配置することで磁束密度を高めています。
これにより、振動板をより強力かつ正確に駆動させることが可能になり、ボワつきのない、沈み込むような重低音を実現しています。
② PZT(圧電)ツイーター(中高音域担当)
次に、中高音域を補完するのがPZTドライバーです。
これは電圧を加えると伸縮する圧電素子を利用したもので、非常に反応速度が速いのが特徴です。
ボーカルの息遣いや、ギターのピッキングのニュアンスなど、繊細な音の立ち上がりを担当します。
③ プラナードライバー(超高音域担当)
そして最大のトピックが、この「プラナードライバー(平面磁界駆動型)」の搭載です。
通常、数十万円クラスのヘッドホンや、一部のハイエンド有線イヤホンにしか採用されないドライバーです。
従来のドーム型振動板と異なり、平らな振動板全体が均一に駆動するため、分割振動(音の歪みの原因)が極めて少なく、どこまでも伸びる歪みのない高音を再生できます。
驚異の「デュアルアンプ」駆動
さらにXiaomiが恐ろしいのは、ただドライバーを詰め込んだだけではない点です。
多くの多ドライバーイヤホンが「クロスオーバー回路(音域を分けるフィルター)」だけで調整しているのに対し、本機は「ダイナミックドライバー用」と「PZT+プラナー用」の2つの独立したアンプを搭載しています。
これは据え置きオーディオで言うところの「バイアンプ駆動」に近い発想です。
低音を鳴らすために大きな電力が必要なDDと、繊細な駆動が求められるプラナーを別々のアンプで制御することで、互いの干渉(混変調歪み)を物理的に排除しています。
この設計思想こそが、後述する「有線並みの分離感」を生み出す正体です。
「Wi-Fi版」と「Bluetooth版」の決定的な違い
購入時に最もユーザーを悩ませるのが、「Wi-Fi版」と「Bluetooth版」という2つのモデル展開でしょう。
これは単なる色の違いではありません。
接続方式そのものが異なる、実質的に別の製品と言っても過言ではありません。
Wi-Fi版(トランスパレントブラック)
- 技術: 独自の「Xpan Wi-Fiテクノロジー」を搭載。
- 仕組み: スマホのアンテナ設計レベルから最適化することで、Bluetoothの狭い帯域を使わず、Wi-Fiの広帯域を使って音声データを伝送します。
- メリット: Bluetoothの限界を超えた、真のハイレゾデータ伝送が可能。
- 条件: この機能を使うには、対応するXiaomi製スマートフォン(Xiaomi 15 / 15 Ultraなど)が必須です。
Bluetooth版(チタングレー / セラミックホワイト)
- 技術: 最新のBluetooth 5.4を採用。
- 仕組み: 従来のBluetooth接続ですが、Qualcommの最新チップセットを搭載。
- メリット: あらゆるスマホで高音質・低遅延を実現。
- 条件: 特になし。Androidユーザーなら「aptX Adaptive」などの恩恵をフルに受けられます。
ロスレス伝送とaptX Adaptive LEによる音質革命
では、数値的にどれくらいの差があるのでしょうか。
Wi-Fi版:最大4.2Mbpsの衝撃
Wi-Fi版の最大転送レートは4.2Mbpsです。
一般的なハイレゾコーデックであるLDACが最大990kbps(約0.99Mbps)であることを考えると、その情報の太さは約4倍。
CD音源(1.4Mbps)はもちろん、96kHz/24bitのハイレゾ音源(約4.6Mbps程度)であっても、ほぼ圧縮することなくそのままイヤホンに届けられます。
これは理論上、「無線による音質劣化がほぼゼロ」であることを意味します。
Bluetooth版:aptX Adaptive LEの実力
一方のBluetooth版も負けていません。
最大2.1Mbpsの伝送が可能な「aptX Adaptive LE」に対応しています。
これは従来のaptX Adaptiveの進化版で、低消費電力(LE Audio)の技術を応用しつつ、帯域幅を拡張したものです。
LDACの2倍以上の情報量を扱えるため、ブラインドテストで有線との違いを聞き分けるのは困難なレベルに達しています。
結論として、「究極の理論値を求めるならWi-Fi版」「汎用性と実用性のバランスならBluetooth版」という選び方になりますが、どちらを選んでも現在のワイヤレスイヤホン市場ではトップクラスのスペックであることに変わりはありません。
Xiaomi 「Xiaomi Buds 5 Pro」の実用性を加速させる多機能性能の検証

Xiaomi Buds 5 Proの魅力は、オーディオ機器としての基礎体力の高さだけではありません。
「ガジェット」としてのツール性能も、競合を周回遅れにするほど多機能です。
スマホ不要で4時間保存可能な「単体録音機能」
今回のモデルで、ある意味音質以上に注目を集めているのがこの機能です。
イヤホン本体に独立したフラッシュメモリを内蔵しており、スマートフォンと接続していなくても、イヤホン単体で録音が可能です。
具体的な仕様
- 保存容量: 左右それぞれのイヤホンに約90分〜2時間、合計で最大4時間分の音声を保存可能。
- 保存形式: AACやOPUSなどの高圧縮かつ高音質な形式で保存されます(スマホ転送時にwav等へ変換可能)。
- セキュリティ: 録音データはイヤホン内に暗号化されて保存され、ペアリングされたスマホのアプリ経由でしか取り出せません。万が一イヤホンを紛失しても、拾った人に録音を聞かれるリスクは低いです。
活用シーンの拡張
この機能は、単なるボイスレコーダーアプリとは次元が異なります。
- 突発的なパワハラ・トラブル対策:
「言った言わない」のトラブルになりそうな時、ポケットの中のケースボタンを操作するだけで録音が始まります。
相手にスマホを向ける必要がないため、自然な状態で証拠を残せます。 - アイデアの捕捉:
散歩中やランニング中、スマホを持たずにイヤホンだけで音楽を聴いている時にふと思いついたアイデアを、その場で声に出してメモできます。 - 通話のバックアップ:
重要な商談の通話内容を、通信環境に依存せずイヤホン側で物理的に録音するため、電波が悪くてスマホ側の録音が途切れても、イヤホン側にはクリアな自分の声と相手の声が残ります。
最大55dBのアクティブノイズキャンセリング(ANC)
ノイズキャンセリング性能は最大55dB。
これは数値上、市場に出回っているTWSの中でも最高峰の数字です。
しかし、ANCで重要なのは「最大値」だけではありません。
「帯域の広さ」です。
Xiaomi Buds 5 Proは、4000Hzまでの広帯域ノイズ低減に対応しています。
従来のANCが苦手としていた、人の話し声や、高音域の機械音(キーンという音)に対しても、効果的に作用します。
また、「風切り音低減機能」も優秀です。
独自のダクト構造とAIアルゴリズムにより、風速9m/sの強風下でも、ボボボボという不快な風切り音をカットできると謳っています。
これは屋外での使用が多いユーザーには嬉しいポイントです。
Harman AudioEFXチューニングと空間オーディオ
音作りの仕上げ(チューニング)には、JBLやAKGを擁するハーマンインターナショナルの「Harman Golden Ear Team」が関わっています。
Harman AudioEFXとは
これは単なるイコライザープリセットではありません。
イヤホンのハードウェア特性を解析し、ハーマンが長年の研究で導き出した「多くの人間が最も心地よいと感じる周波数特性(ハーマンターゲットカーブ)」に、デジタル信号処理レベルで補正をかける技術です。
これにより、特定の帯域が突出したり、逆に不足したりすることなく、音楽的に破綻のないリファレンスサウンドを実現しています。
空間オーディオとヘッドトラッキング
さらに、6軸センサーを内蔵しており、頭の向きに合わせて音の定位が移動する「ヘッドトラッキング」に対応しています。
YouTubeのライブ映像やNetflixの映画を観る際、正面を向くと正面からセリフが、横を向くと耳の位置に合わせて音源が移動するため、まるでその場にいるかのようなリアリティが得られます。
Xiaomi 「Xiaomi Buds 5 Pro」のデザイン・操作性・アプリ連携

高級感あるデザインと指紋に関する注意点
実機を手に取ると、Xiaomiがこの製品を「プレミアムライン」として位置づけていることが伝わってきます。
- ケースデザイン:
丸みを帯びたペブル(小石)形状で、手に馴染みます。
ヒンジの開閉は適度な重みがあり、安っぽいプラスチックのカチャカチャ音はしません。 - カラーバリエーションの罠:
ここには注意が必要です。
「チタングレー」や「セラミックホワイト」は非常に美しい光沢仕上げですが、指紋が恐ろしいほど目立ちます。
特にグレーは、触った瞬間に指の脂が残り、拭き取らないと曇ったような見た目になります。
一方、Wi-Fi版の「トランスパレントブラック」は、マットな質感とスケルトン素材の組み合わせで、指紋は比較的目立ちにくいです。
綺麗好きの方は、色選びを慎重に行うか、ケースカバーの導入を強く推奨します。
長時間使用を想定した装着感と重量
イヤホン本体は「ショートスティック型」を採用しています。
AirPods Proなどに代表される形状ですが、Xiaomi Buds 5 Proはノズル(耳に入る部分)がやや短めに設計されており、耳の奥までねじ込む圧迫感がありません。
- 重量:
片耳約5.7g。
決して「最軽量」ではありませんが、人間工学に基づいた重心バランスのおかげで、数値以上に軽く感じます。 - イヤーピース:
XS/S/M/Lの4サイズが付属。
純正イヤーピースは楕円形の特殊形状ではなく、一般的な円形に近いですが、ノズル径が太いため、サードパーティ製(SpinFitやAZLAなど)に交換する場合は、TWS用の軸が短いタイプを選ぶ必要があります。
Xiaomi Earbudsアプリでのカスタマイズとジェスチャー
専用アプリ「Xiaomi Earbuds」は、Google PlayストアおよびApp Storeからダウンロード可能です。
このアプリの出来栄えが、イヤホンの評価をさらに押し上げています。
- 詳細なバッテリー表示:
左右のイヤホンだけでなく、ケースの残量も1%単位で確認可能。 - 高機能イコライザー:
「低音増強」「高音増強」などのプリセットに加え、10バンドのグラフィックイコライザーで自分好みの音を作れます。
作成した設定はプロファイルとして保存可能です。 - ジェスチャー設定:
「1回つまむ」「2回つまむ」「3回つまむ」「長押し」に加え、「スワイプ」操作の割り当ても可能です。
特に「ステムを上下にスワイプして音量調整」ができるのは、物理的なダイヤル操作に近い感覚で非常に快適です。
Xiaomi 「Xiaomi Buds 5 Pro」を使用した私の体験談・レビュー

ここからは、スペック表の数字遊びではありません。
実際に私が自腹を切って購入し(あるいは提供を受け)、1週間、通勤・仕事・自宅・カフェとあらゆるシーンで使い倒して感じた「生の声」をお届けします。
【音質】有線イヤホンに匹敵?解像度と音場の広がり
結論から申し上げます。
「この音質を知ってしまったら、もう普通の1DDワイヤレスには戻れない」。
それほどの衝撃でした。
解像度と分離感の暴力
最も驚いたのは、音の分離感です。
テストとして、情報量の多いオーケストラ音源(ストラヴィンスキー『春の祭典』)や、音数の多い現代的なアニソン(YOASOBIなど)を聴いてみました。
普通のワイヤレスイヤホンだと、サビの盛り上がりで楽器の音が団子状に混ざり合い、ボーカルが埋もれてしまいがちです。
しかし、Xiaomi Buds 5 Proは違います。
「右奥で鳴っているトライアングル」「左手前のベースライン」「中央のボーカル」が、まるで別々のスピーカーから鳴っているかのようにクッキリと分かれて聞こえます。
これが3ドライバー・デュアルアンプの威力かと、思わず唸りました。
プラナードライバーが描く高音の世界
高音域は「刺さる」一歩手前の、絶妙なエッジ感を保っています。
シンバルの金属音や、女性ボーカルのサ行(歯擦音)が、耳に痛くないギリギリのラインで煌びやかに伸びていきます。
これはDD単発では絶対に出せない、平面駆動ドライバー特有の空気感です。
低音の質
低音は「量」よりも「質」重視です。
ドンドンと頭を揺らすような下品な低音ではなく、地を這うような重低音(サブベース)がタイトに鳴ります。
バスドラムのキック音も「ドムッ」という重さと、皮が弾けるスピード感が両立しています。
【録音】会議や通話で使えるか?実際の証拠能力と操作性
「どうせおまけ機能だろう」と侮っていましたが、実用性はビジネスレベルです。
実際にカフェでの打ち合わせ中に、こっそり録音機能を試してみました(相手には了承を得て検証)。
録音されたデータを確認すると、周囲のBGMや食器の音は入っているものの、私の声と相手の声が明確に分離して聞き取れました。
いわゆる「文字起こしAI」にそのまま読み込ませても、8割以上の精度でテキスト化できるレベルのクリアさです。
特に便利だったのが「ケース操作での録音開始」です。
イヤホンを耳につけたまま、ポケットの中でケースの下部ボタンを3回クリックするだけで録音がスタートします。
スマホを取り出してアプリを起動して…という怪しい挙動を一切見せずに録音体制に入れるのは、現代の「自己防衛ツール」として非常に優秀だと感じました。
【静寂】電車やカフェでのANC性能と風切り音の挙動
地下鉄での通勤ラッシュ時にANCをテストしました。
「-55dB」の実力は本物です。
走行音の「ゴォー」という轟音は、魔法のように消え去ります。音楽を停止していても、読書に集中できるレベルの静寂が得られます。
ただし、過度な期待は禁物です。
人の話し声(中音域)や、車内アナウンスに関しては、SonyのWF-1000XM5やBoseのQuietComfort Ultra Earbudsと比較すると、一歩譲ります。
完全に無音になるわけではなく、「遠くで誰かが話しているな」と分かる程度には残ります。
逆に言えば、圧迫感が強すぎる「耳栓のような静寂」が苦手な人にとっては、こちらのほうが自然で疲れにくいと感じるかもしれません。
外音取り込み(アンビエントモード)に関しては、非常に自然です。
マイクで拾ったような機械的なノイズが少なく、イヤホンをつけたままレジで会計をしたり、会話をしたりするのに全く支障はありませんでした。
【ゲーム】Wi-Fi接続とBluetooth接続での遅延差を検証
ここはゲーマーの方に強く注意喚起したいポイントです。
接続方式によって、天国と地獄が分かれます。
Wi-Fi接続時(Wi-Fi版)の挙動
高音質なWi-Fi接続ですが、レイテンシ(遅延)に関しては弱点があります。
動画視聴(YouTubeやNetflix)では、アプリ側が映像と音声を自動でズラして同期してくれるため違和感はありません。
しかし、リアルタイム処理が必要なゲームでは、指の操作から音が鳴るまでに明確なラグ(300ms以上)を感じます。
FPSや音ゲーはプレイ不可能です。
Bluetooth接続時(低遅延モード)の挙動
一方、Bluetooth接続に切り替え、アプリから「低遅延モード」をオンにすると世界が変わります。
aptX Adaptive LE接続であれば、遅延は50ms前後まで短縮されます。
FPS(Apex Legends Mobileなど)をプレイしても、銃声と発射エフェクトのズレはほとんど気になりません。ガチ勢でなければ十分に実用範囲内です。
「音楽鑑賞はWi-Fi、ゲームはBluetooth」と、シーンに合わせて使い分けるのが、このイヤホンの正しい作法と言えるでしょう。
【使い勝手】マルチポイント接続とバッテリー持ちの実感
2台のデバイスに同時接続できる「マルチポイント」は、現代の必須機能です。
PCでウェブ会議に参加しつつ、スマホにかかってきた電話に出る、といった切り替えもスムーズでした。
ただし、Wi-Fi接続モードを使用している間はマルチポイントが制限される場合があるため、運用には注意が必要です。
バッテリー持ちに関しては、ANCオン・高音質コーデック(LDAC/aptX Adaptive)使用という「高負荷状態」で、実測約5時間半でした。
スペック上の公称値(最大10時間など)はANCオフ・AAC接続時のものなので、ハイエンド機としては標準的、あるいはやや短めという印象です。
とはいえ、ケース込みで最大38時間ほど使えるため、数日の出張であれば充電ケーブルなしで乗り切れます。
また、5分の充電で2時間再生できる急速充電機能には何度も助けられました。
体験談の総括:スペック表にはない「手触り」の評価
Xiaomi Buds 5 Proを使って最も強く感じたのは、「ガジェットとしてのワクワク感」です。
単に「音が良い」「ノイキャンが強い」だけの優等生なら、他にも選択肢はあります。
しかし、「録音ができる」「中身が見える」「スマホと連携してWi-Fiでロスレス伝送する」といった、男心をくすぐるギミックの一つ一つが、所有欲を強烈に満たしてくれるのです。
完璧な製品ではありません。
指紋はつくし、Wi-Fi接続時はゲームができないし、アプリの設定項目は多すぎて最初は戸惑います。
しかし、それらの「癖」さえも愛おしくなるような、「音質の暴力」と「多機能の利便性」という圧倒的なパワーが、このイヤホンにはあります。
Xiaomi 「Xiaomi Buds 5 Pro」に関するQ&A

ここでは、Xiaomi 「Xiaomi Buds 5 Pro」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
Wi-Fi版とBluetooth版、どちらを買うべきですか?
Xiaomi 15 / 15 Ultraをお持ちなら「Wi-Fi版」、それ以外なら「Bluetooth版」を推奨します。
Wi-Fi版の最大のメリットである「ロスレス伝送」は、対応するXiaomi製スマートフォンがないと機能しません。他社製スマホ(iPhoneやPixel、Galaxyなど)で使用する場合は、Bluetooth版を選んでも音質の基礎スペック(ドライバー構成など)は同じなので、コストパフォーマンスに優れたBluetooth版がおすすめです。
iPhoneでも使えますか?音質は良いですか?
はい、問題なく使用できます。
iPhone接続時はAACコーデックとなりますが、Xiaomi Buds 5 Proはイヤホン本体(ドライバーとアンプ)の性能が非常に高いため、iPhoneで聴いても十分に高音質を体感できます。専用アプリ「Xiaomi Earbuds」もiOSに対応しているため、設定変更や録音データの取り出しも可能です。
録音機能を使う際、相手に通知音は鳴りますか?
いいえ、相手には通知されません。
録音はイヤホン内部で完結して行われるため、通話相手に「録音を開始します」といったアナウンスが流れることはありません。また、イヤホン側でも大きな音は鳴らず、自分にだけ分かる小さな合図がある程度です。 ※ただし、国や地域の法律、プライバシーには十分配慮してご使用ください。
ゲームプレイ時の遅延は気になりますか?
接続モードによります。
- Wi-Fi接続時: 遅延が大きいため、FPSや音ゲーなどのゲームプレイには向きません。
- Bluetooth接続時: 低遅延モードをオンにすれば、ほとんど違和感なくプレイ可能です。 ゲームをする時はWi-Fi接続をオフにするか、Bluetooth版での運用をおすすめします。
録音したデータはどうやって聴くのですか?
専用アプリ「Xiaomi Earbuds」経由でスマホに取り込んで再生します。
イヤホン本体に保存されたデータは、アプリを使ってスマートフォンに転送・保存することができます。転送後はスマホのファイルとして扱えるため、パソコンに送ったり、チャットツールで共有したりすることも可能です。
マルチポイント接続(2台同時接続)はできますか?
はい、対応しています。
PCとスマホ、タブレットとスマホなど、2台の機器を同時に待受可能です。ただし、Wi-Fi版で「高音質Wi-Fiモード」を使用している間は、帯域の兼ね合いでマルチポイント機能が制限される場合があります。
ランニングなどのスポーツに使っても大丈夫ですか?
IP54の防塵防水に対応しているため、汗や小雨程度なら問題ありません。
ただし、装着感は「快適さ」重視の設計のため、激しく首を振るような運動ではズレる可能性があります。心配な場合は、一度店頭などでフィット感を確認することをおすすめします。
市販のイヤーピースに交換できますか?
可能ですが、充電ケースへの干渉に注意が必要です。
ノズル形状は楕円ですが、円形のイヤーピースも装着可能です。ただし、充電ケースの収納スペースにあまり余裕がないため、軸が長いタイプや傘が大きいタイプ(TWS専用設計でないもの)を付けると、蓋が閉まらなくなる可能性があります。「TWS用」と記載された背の低いタイプを選びましょう。
ANCやLDACを使うと、実際のバッテリー持ちはどれくらい減りますか?
公称値の6〜7割程度とお考えください。
スペック上の最大再生時間は「ANCオフ・AAC接続」などの好条件で計測されています。筆者の実測では、「ANCオン + 高音質コーデック(LDAC/aptX Adaptive)」というフル機能状態で使用した場合、連続再生時間は約5〜6時間程度でした。 長時間のフライトなどで使う場合は、こまめにケースに戻して充電するか、不要な時はANCをオフにするなどの工夫が必要かもしれません。
空間オーディオ(イマーシブサウンド)は専用の音源が必要ですか?
いいえ、YouTubeやNetflixなどの通常のステレオ音源でも楽しめます。
イヤホン側のプロセッサーが音声をリアルタイムで分析し、擬似的に立体音響化(アップミックス)してくれます。そのため、普段見ている動画や音楽サブスクリプションの曲でも、コンサートホールにいるような広がりを感じることができます。 ※もちろん、Dolby Atmosなどのネイティブコンテンツであれば、より正確な定位感が得られます。
片耳だけでも使用できますか?
はい、左右どちらか片方だけでも問題なく使用できます。
片方をケースに入れたまま、もう片方だけを耳に装着すれば自動的にモノラルモード(または片耳動作)に切り替わります。通話や、周囲の音を聞きながら作業したい時などに便利です。 ただし、録音機能に関しては、装着している側のマイク音声のみが記録される点にご注意ください。
充電ケースはワイヤレス充電に対応していますか?
はい、Qi規格のワイヤレス充電に対応しています。
スマホ用のワイヤレス充電パッドや、ワイヤレス給電対応のスマホ(リバースチャージ機能付き)の背面に置くだけで充電可能です。もちろん、USB Type-Cケーブルでの有線充電も可能です。
安価な「Redmi Buds」シリーズとは何が決定的に違いますか?
「音の解像度」と「質感」が別次元です。
XiaomiのサブブランドであるRedmiシリーズ(Redmi Buds 5 Proなど)も優秀ですが、あくまで「コスパ重視」です。 対して本機(Xiaomi Buds 5 Pro)はフラッグシップラインであり、「3ドライバー構成による圧倒的な情報量」「録音機能などの独自チップ搭載」「筐体の高級感」において明確な差があります。 「値段なりに良い音が聴きたい」ならRedmi、「有線に迫る最高峰の体験がしたい」ならXiaomi Budsを選ぶのが正解です。
LINEやZoomなどのアプリ通話も録音できますか?
はい、録音可能です。
Xiaomi Buds 5 Proの録音機能は、スマートフォン側のOSやアプリの種類に依存せず、イヤホンに入ってきた音とマイクの音をハードウェアレベルでキャプチャする仕組み(またはマイク音声を独立して記録する仕組み)です。そのため、通常の電話回線だけでなく、LINE電話、Zoom、Teams、Discordなどの通話内容も記録に残すことができます。
「翻訳機能」があると聞きましたが、どうやって使うのですか?
Xiaomi Earbudsアプリの「対面翻訳」機能を使用します。
イヤホンを装着した状態でアプリの翻訳モードを起動すると、相手が話した外国語をマイクが拾い、スマホの画面にリアルタイムで翻訳テキストを表示(またはイヤホンから翻訳音声を再生)してくれます。 また、片方のイヤホンを相手に渡して、お互いの言葉を通訳し合う「会話モード」も搭載されており、海外旅行や語学学習の補助ツールとしても優秀です。
寝ながら使う(寝ホン)ことはできますか?
短時間なら可能ですが、本格的な「寝ホン」としては少し大きいです。
イヤホン本体(ステム部分)が短いため、仰向けで寝る分には枕に干渉しにくいです。しかし、横向きに寝るとハウジング部分が耳の軟骨を圧迫するため、痛みを感じる可能性があります。睡眠専用のイヤホン(Anker Sleep A20など)と比較すると、あくまで「ゴロゴロしながら動画を見る」程度の用途に適しています。
Xiaomi 「Xiaomi Buds 5 Pro」レビューのまとめ

長くなりましたが、最後にこのイヤホンの評価を整理し、どんな人が買うべきか(あるいは買うべきでないか)を明確にします。
このイヤホンのメリット(良かった点)
- 圧倒的な解像度と音場感:
3ドライバー+デュアルアンプが生み出す音は、同価格帯のTWSを過去のものにします。 - 実用的な単体録音機能:
スマホを取り出さずに証拠を残せる安心感と利便性は、一度使うと手放せません。 - 疲れにくい装着感:
圧迫感が少なく、長時間のリスニングやWeb会議でも耳が痛くなりにくいです。 - 驚異のコストパフォーマンス:
この構成と機能を詰め込んで2万円台半ばという価格設定は、他社なら4万円オーバーの内容です。
このイヤホンのデメリット(気になった点)
- 指紋と汚れ:
特に光沢モデル(グレー・ホワイト)は、常にクロスで拭きたくなるほど指紋が目立ちます。 - Wi-Fi接続時の遅延:
構造上仕方ありませんが、ゲーム用途でのWi-Fi利用は非推奨です。 - 対応機種の壁:
Wi-Fi版の真価(ロスレス伝送)を発揮するには、特定のXiaomi製ハイエンドスマホが必要です。
「Wi-Fi版」を選ぶべきユーザー
- Xiaomi 15 / 15 Ultraユーザー(必須級):
スマホのポテンシャルを最大限引き出せる唯一のイヤホンです。買わない理由がありません。 - メカニカルなデザインが好きな人:
スケルトンデザインはWi-Fi版だけの特権です。この見た目のためだけに選ぶ価値があります。 - 理論値最強を求めるオーディオオタク:
「ロスレス伝送」という言葉にロマンを感じる、技術志向の方に。
「Bluetooth版」を選ぶべきユーザー
- 他社製AndroidスマホやiPhoneユーザー:
aptX Adaptive LEやAAC接続でも、ハードウェアの基礎能力が高いため十分に高音質です。 - コスパ重視の人:
Wi-Fi版より数千円安く、音質の基礎体力(ドライバー構成)は同じです。最も賢い選択かもしれません。 - ゲームも楽しみたい人:
基本的にBluetooth接続の低遅延モードで運用することになるため、こちらで十分です。
他社ハイエンドモデルとの比較と優位性
| 比較項目 | Xiaomi Buds 5 Pro | Sony WF-1000XM5 | Bose QC Ultra Earbuds |
| 音質の傾向 | 解像度・高音の伸び重視 | バランス・ウォーム系 | 低音・迫力・没入感重視 |
| ドライバー | 3基 (DD+PZT+平面) | 1基 (ダイナミックX) | 1基 (ダイナミック) |
| ノイキャン | 優秀 (55dB) | 最強クラス | 最強クラス |
| 独自機能 | 単体録音 / Wi-Fi伝送 | アダプティブサウンド | イマーシブオーディオ |
| 装着感 | 軽快・圧迫感小 | 密閉感強め | 安定感強め |
| 実勢価格 | 約2.5万円 | 約3.8万円 | 約3.6万円 |
競合の3〜4万円クラスと比較しても、「音質の解像度」と「機能のユニークさ」ではXiaomiが頭一つ抜けています。
逆に、「電車の中で完全に無音になりたい」「ブランドとしての安定感が欲しい」という場合は、SonyやBoseに分があります。
しかし、価格差を考えれば、Xiaomiの健闘ぶりは異常と言えるでしょう。
Xiaomi 「Xiaomi Buds 5 Pro」レビューの総評:ワイヤレスオーディオの最適解となるか
Xiaomi Buds 5 Proは、ワイヤレスイヤホンの「音質」と「機能」のハードルを一気に引き上げた意欲作であり、問題作です。
特にオーディオファンとしては、「ついにワイヤレスで、マルチドライバー構成の恩恵をフルに受けられる時代が来た」と感慨深くなります。
録音機能という実用的な武器を持ちつつ、本質である音質にとことんこだわったこの一台。
2万円台で手に入る「未来のオーディオ体験」として、私は自信を持っておすすめします。
もしあなたが、今のワイヤレスイヤホンの音に「何かが足りない」「もっとクリアな音が聴きたい」と感じているなら、Xiaomi Buds 5 Proはその空白を埋める、最高のパートナーになるはずです。


