完全ワイヤレスイヤホンが普及しきった現代。「どれを選べばいいか分からない」「高機能なモデルは価格が高すぎる」「安価なモデルは品質が不安」…そんな悩みを抱える方は少なくないでしょう。
数千円から数万円まで、市場には無数の選択肢が溢れています。
そんな混沌としたエントリーモデル市場に、一つの「答え」を提示するかのような製品が登場しました。
それが、今回徹底レビューするAnker 「Soundcore P31i」です。
Ankerといえば、モバイルバッテリーや充電器で絶大な信頼を誇るブランドですが、「Soundcore」ブランドで展開するオーディオ製品もまた、その驚異的なコストパフォーマンスで市場を席巻してきました。
特に、数年前に発売された「Soundcore Life P2 mini」は、その価格からは信じられない音質で「エントリーモデルの王様」とも呼ばれる大ヒットを記録しました。
今回ご紹介する「P31i」は、その伝説的な「P2 mini」の正統後継機として、満を持して登場したモデルです。
価格は5,000円台(発売時)とエントリークラスの範疇にありながら、前モデルにはなかった「アクティブノイズキャンセリング(ANC)」、「専用アプリ対応」、「マルチポイント接続」といった、これまで1万円以上のモデルに搭載されるのが常識だった機能を惜しげもなく詰め込んできました。
しかし、スペックシートが豪華なだけでは意味がありません。
「本当に音質は良いのか?」「ノイキャン性能は実用的なのか?」「使い勝手はどうか?」
この記事では、Ankerが放つ新たなエントリーモデルの「答え」を、音質、機能、使い勝手などあらゆる側面から、ガジェットレビューの専門家としての視点と、一人のユーザーとしてのリアルな体験に基づき、徹底的に解剖していきます。
初めてのワイヤレスイヤホン選びで迷っている方、「P2 mini」からの買い替えを検討している方、あるいは「安くて良い」サブ機を探している方は、ぜひ最後までお付き合いください。
Anker 「Soundcore P31i」の概要と進化点

まずは、本製品がいかにして「価格破壊」と呼ばれるようになったのか、その背景にある前モデルからの進化と、製品自体のデザイン、スペックを見ていきましょう。
ベストセラー「P2 mini」からの劇的な進化
前モデル「Soundcore Life P2 mini」は、そのシンプルさと価格を超えた音質で「高コスパイヤホンの入門機」としての地位を確立しました。
しかし、ユーザーからは「ノイキャンが欲しい」「音質を調整したい」といった、さらなる機能性を求める声も上がっていました。
「P31i」は、まさにその声に応える形で、全方位的に「劇的進化」を遂げています。
▼ P2 miniからP31iへの主な進化点
- アクティブノイズキャンセリング (ANC) 搭載: 周囲の騒音を打ち消し、音楽への没入感を高める機能を新たに追加。交通機関やカフェでの利用価値が飛躍的に向上しました。
- 専用アプリ「Soundcore」対応: 最大の進化点の一つ。イコライザー(EQ)での詳細な音質カスタマイズ、操作方法の変更、HearIDによる聴覚プロファイルの作成など、パーソナライズ機能が解禁されました。
- マルチポイント接続対応: スマートフォンとPC、2台のデバイスに同時に接続可能に。テレワークや動画視聴中にスマホの着信に応答するといったシームレスな切り替えが実現しました。
- 再生時間の大幅な延長: イヤホン単体で最大8時間から最大10時間へ、ケース込みで最大32時間から最大50時間へと、スタミナが大幅に向上しました。
- 防塵性能の追加: 防水のみのIPX5から、IP55の防塵防水規格に対応。砂埃や汗に対する耐性が高まり、スポーツやアウトドアシーンでもより安心して使えるようになりました。
これらの進化は、単なるマイナーアップデートではありません。
「P31i」は、「P2 mini」とは全く別の、新しいカテゴリーの製品として生まれ変わったと言えます。
開封レビュー:デザインと充実の同梱物
パッケージはAnkerらしい白と青を基調としたクリーンなデザイン。
日本語にもしっかり対応しており、国内正規品としての安心感があります。
▼ 同梱物一覧
- Soundcore P31i イヤホン本体
- 充電ケース
- イヤーチップ(XS / S / M / L の4サイズ ※Mサイズは本体装着済み)
- USB Type-A to Type-C 充電ケーブル
- クイックスタートガイド、安全マニュアル等の書類
エントリーモデルでありながら、イヤーチップが4サイズ(XS〜L)も付属するのは非常に評価できるポイントです。
適切なフィット感は音質、特に低音の量感やノイキャン性能に直結するため、ここで妥協しない姿勢はさすがAnkerと言えます。
<充電ケース>
ケースは指紋が目立ちにくい、サラサラとしたマットな質感。
前モデル(P2 mini)と比較すると、バッテリー容量の増加やイヤホン本体の形状変更に伴い、やや厚みと大きさが増しています。
ポケットに入れると少し膨らみが気になるかもしれませんが、丸みを帯びた形状で手に馴染みやすく、安っぽさはありません。
背面には充電用のUSB Type-Cポートと、新たにストラップホールが設けられました。
<イヤホン本体>
イヤホン本体は、ショートスティック型のデザイン。
スティック部分の「Soundcore」のロゴ(”d”マーク)部分がタッチセンサーになっています。
ノズル(耳に入る部分)の角度が「P2 mini」から見直され、より深く、耳の形状に沿ってフィットするように設計されています。
価格破壊級の「全部入り」スペック詳細
「P31i」のスペックがいかに「価格破壊」であるか、その概要を表にまとめます。
この表を見るだけでも、本機が同価格帯のライバルといかに一線を画しているかがお分かりいただけるでしょう。
| 項目 | Anker Soundcore P31i | (参考)前モデル P2 mini | (参考)一般的な同価格帯モデル |
|---|---|---|---|
| 価格帯 | 5,000円台 | 3,000円〜4,000円台 | 4,000円〜6,000円台 |
| ドライバー | 11mm ダイナミック | 10mm ダイナミック | 6mm〜10mmが多い |
| ANC機能 | 搭載 | 非搭載 | 非搭載、または簡易的なもの |
| アプリ対応 | 対応 (Soundcore) | 非搭載 | 非搭載、または機能限定的 |
| マルチポイント | 対応 | 非搭載 | ほぼ非搭載 |
| 再生時間 (単体) | 最大10時間 (ANCオフ) | 最大8時間 | 6〜8時間程度 |
| 再生時間 (ケース込) | 最大50時間 (ANCオフ) | 最大32時間 | 25〜35時間程度 |
| 防水防塵 | IP55 | IPX5 | IPX4〜5(防塵なしが多い) |
| Bluetooth | 5.4 (または5.3) | 5.2 | 5.2〜5.3 |
| 対応コーデック | SBC, AAC | SBC, AAC | SBC, AAC (稀にaptX) |
この表を見れば一目瞭然です。
「P31i」は、再生時間、アプリ対応、マルチポイント、防塵防水性能など、多くの点で1万円クラスの機能を有しています。
この「全部入り」感こそが、本機が注目される最大の理由です。
実力の徹底解剖:Anker 「Soundcore P31i」の音質と基本性能

スペックが優秀でも、肝心の「音」と「使い心地」が悪ければ意味がありません。
ここでは、イヤホンの核となる音質、装着感、そしてスタミナについて深く掘り下げます。
11mmドライバーとBassUpが織りなす迫力サウンド
「P31i」は、エントリーモデルとしては異例の11mm大口径ダイナミックドライバーを搭載しています。
ドライバーの口径は、一般的に大きいほど豊かで深みのある低音を再生しやすくなります。
デフォルト(初期設定)のサウンドは、Anker製品に共通する「迫力のあるドンシャリ」傾向です。
【ドンシャリとは?】
- ドン: 低音域(ベースやドラムのキック音)が強調されている
- シャリ: 高音域(シンバルやボーカルの息遣い)が強調されている
ポップスやロック、EDMなどを聴いた際に、迫力やノリの良さを感じやすいため、多くの人に好まれる音質チューニングです。
「P31i」のサウンドは、まさにこのドンシャリの「お手本」のような音作りですが、そのバランスが秀逸です。
- 低音域: Anker独自の「BassUp技術」の効果も相まって、非常にパワフル。ズンと腹に響くような重低音から、タイトでアタック感のあるベースラインまで、量感たっぷりに鳴らしてくれます。
- 中音域 (ボーカル): ドンシャリ傾向の場合、中音域が低音に埋もれがちですが、P31iはその点が巧みです。ボーカルは一歩前に出てクリアに聞こえ、息遣いや艶っぽさも感じられます。
- 高音域: 過去のモデルで一部指摘されていた、高音域の「刺さる」ような刺激もかなり抑えられ、全体として非常にマイルドで聞き疲れしにくいチューニングに進化しています。
このデフォルトサウンドは、J-Pop、ロック、EDMなどを楽しく聴きたい多くのライトユーザーにとって、まさに「最適解」の一つと言えるでしょう。
快適な装着感とIP55の防塵防水性能
イヤホンは、毎日長時間耳につけるもの。
装着感は音質以上に重要な要素かもしれません。P31iは、この点においても非常に優れています。
<吸い付くようなフィット感>
「P31i」は、前述の通りイヤホン本体の形状が見直され、耳の奥深くまでスッと収まるデザインになっています。
実際に装着してみると、耳のくぼみに吸い付くようにフィットし、安定感は抜群です。
- 付属の4サイズのイヤーチップ(XS/S/M/L)により、ほとんどの人の耳に合わせることが可能。
- 専用アプリには「装着テスト」機能があり、自分に最適なイヤーチップサイズと装着状態かをチェックできます。
- 重心バランスが良く、スティック型でありながら頭を振ったり走ったりしても外れる気配はありません。
<IP55の安心感>
本機はIP55の防塵防水規格に対応しています。
【IP55とは?】
- IP5X (防塵等級5): 「粉塵からの保護」。機器の動作に影響を及ぼすほどの粉塵の侵入を防ぎます。
- IPX5 (防水等級5): 「噴流水からの保護」。あらゆる方向からの水の直接噴流に耐えられます。
これにより、ジムでのトレーニングやランニング時の汗、外出中の突然の雨、アウトドアでの砂埃など、日常のあらゆるシーンで安心して使用できます。
驚異の50時間バッテリーと接続安定性
「P31i」のもう一つの驚異的なスペックがバッテリー性能です。
- イヤホン単体: 最大10時間(ANCオフ時) / 最大8時間(ANCオン時)
- 充電ケース併用: 最大50時間(ANCオフ時) / 最大40時間(ANCオン時)
イヤホン単体で10時間持てば、丸一日の外出でも充電切れの心配はほぼありません。
さらにケース込みで50時間ということは、1日2〜3時間の使用であれば、2〜3週間に一度の充電で済む計算になります。
このスタミナは、日常の充電の煩わしさから解放してくれる大きなメリットです。
また、10分の充電で約3.5時間再生可能な急速充電にも対応しており、万が一のバッテリー切れにもすぐ対応できます。
接続性についても、Bluetooth 5.4(または5.3)と最新世代のチップを搭載しており、通勤ラッシュ時の駅構内など電波が混線する場所でも、音が途切れることはほとんどなく、非常に安定していました。
価格以上の「体験」を生むAnker 「Soundcore P31i」高度な機能

「P31i」の真価は、音質や装着感といった基本性能の高さに加え、上位モデル譲りの「体験価値」を提供する機能群にあります。
実用レベルのノイズキャンセリングと外音取り込み
5,000円台で搭載されたANC(アクティブノイズキャンセリング)。
その実力は、正直に言って「価格以上」です。
もちろん、2〜3万円クラスのハイエンドモデルが実現する「完全な無音」には及びません。
しかし、日常の騒音をカットするには十分すぎる性能を持っています。
<ANCが得意な騒音と苦手な騒音>
- 得意な騒音(効果大):
- 電車の「ゴーーー」という走行音
- エアコンや換気扇の「ブォーー」という動作音
- カフェのBGMや周囲のざわめき(ある程度)
- 苦手な騒音(効果小):
- 人の話し声(特に近くの人の声)
- キーボードの打鍵音
- 電車の車内アナウンス
「P31i」を実際に通勤電車で使ってみると、音楽を流せば走行音はほぼ気にならなくなるレベルまで低減されます。
<外音取り込み機能>
ANCと表裏一体の「外音取り込み(アンビデントモード)」も優秀です。
イヤホンを装着したまま、マイクで周囲の音を自然に近い形で拾い、耳に届けてくれます。
- 活用シーン:
- コンビニやレジでの会計時
- 家族や同僚から話しかけられた時
- 電車や空港でアナウンスを聞きたい時
- 屋外でのランニング中(車や自転車の音を聞き、安全を確保するため)
専用アプリ「Soundcore」で広がる無限の可能性
「P31i」を「ただの安いイヤホン」から「自分だけのイヤホン」へと昇華させるのが、専用アプリ「Soundcore」の存在です。
この価格帯でこれほど多機能なアプリが使えることは、驚異的としか言いようがありません。
▼ アプリの主な機能
| カテゴリ | 主な機能 |
|---|---|
| モード設定 | ・ノイズキャンセリング (自動/手動/シーン別) ・標準 ・外音取り込み (全ての外音/音声フォーカス) |
| サウンドエフェクト | ・HearID サウンド (聴覚テストに基づく自動EQ) ・カスタムEQ (8バンドの自由調整) ・プリセットEQ (22種類から選択) ・ゲームモード (低遅延モード) |
| 操作設定 | ・タッチ操作のカスタマイズ (左右別, 1回/2回/3回タップ/長押し) |
| その他 | ・装着テスト (最適なイヤーチップの確認) ・マルチポイント接続の管理 |
特に「HearID」は、ユーザーの聴力をテストし、その結果に基づいて最適なEQプロファイルを自動で作成してくれる機能です。
これにより、文字通り「自分専用」のサウンドを手に入れることができます。
もちろん、8バンドのカスタムEQで自分好みの音質を細かく作り込むことも可能です。
快適な通話と接続:AIマイクとマルチポイント
「P31i」は、音楽以外の実用性も高いモデルです。
- AIノイズリダクションマイク: AIが騒音を識別し、カフェや駅などの騒がしい場所でも自分の声をクリアに相手へ届けます。「何を言っているか分からない」という事態を防ぐ実用的な通話品質です。
- マルチポイント接続: PCとスマートフォンなど、2台のデバイスに同時に接続可能。PCで会議中にスマホの着信に応答するといった、シームレスなデバイス切り替えを実現します。
この2つの機能が5,000円台で搭載されている点は、本機の大きな強みです。
私の体験談:Anker 「Soundcore P31i」が私の日常をどう変えたか

スペックや機能がいかに優れていても、実際の日常で使いにくければ意味がありません。
そこで、私が1週間、「P31i」をメインイヤホンとして様々なシーンで使い倒したリアルな体験を、6つの側面に分けてご紹介します。
通勤・通学:騒音を遮断するノイキャンの実力
私が「P31i」の真価を最初に実感したのは、毎朝の通勤電車(地下鉄)でした。
低価格モデルのANC非搭載のイヤホン(P2 miniなど)を使うときは、走行音に負けないよう、かなりの大音量でポッドキャストを聞いていました。
「P31i」で初めてANCをオンにした瞬間、世界が変わりました。
「ゴーッ」という車両の重低音がスッと遠のき、周囲の雑音が薄い膜一枚隔てた向こう側の出来事のように感じられます。
▼ ANCによる通勤体験の変化
- 騒音の軽減: 不快な走行音がほぼ気にならなくなり、音楽や音声コンテンツに集中できる「動く書斎」が生まれました。
- 音量の最適化: 以前の7割程度の音量で、パーソナリティの声がクリアに耳に飛び込んできます。耳への負担が減ったことを実感しました。
- 没入感の向上: これまでは聞き取れなかったBGMの微細な音や息遣いまで感じられるようになりました。
駅のアナウンスはANCオンでも聞き取れますが、私はアプリで「右イヤホン3回タップ」に外音取り込みモードへの切り替えを割り当てました。
これにより、レジでの会計時なども含め、イヤホンを外す動作がほぼ不要になったのは大きな変化です。
テレワーク:マルチポイント接続の圧倒的利便性
テレワークが日常となった今、「マルチポイント接続」は私にとって必須機能でした。
「P31i」は、この価格帯で完璧に応えてくれました。
私の環境では、会社のノートPCと個人のスマートフォンに常時接続しています。
ある日、PCでWeb会議に参加している最中、個人のスマホに緊急の電話が。
その時の比較が以下です。
▼ 会議中の着信:マルチポイント「なし」vs「あり」
| 状況 | マルチポイント非対応(従来のイヤホン) | マルチポイント対応(P31i) |
|---|---|---|
| PCで会議中 | PCから音声が流れている | PCから会議の音声が流れている |
| スマホに着信 | 1. 慌ててPCをミュート2. イヤホンを耳から外す3. スマホを手に取り電話に出る | 1. PCの会議音声が自動停止2. イヤホンのタッチ操作で電話に出る(スマホはカバンの中) |
| 通話終了後 | 1. イヤホンを再装着2. PCのミュートを解除 | 1. 通話終了2. イヤホンのタッチ操作で会議の音声に復帰 |
このシームレスな切り替えは、一度体験すると元に戻れないほどの快適さです。
イヤホンを付け外しする慌ただしさがなくなり、仕事の効率が明らかに向上しました。
アプリ連携:「HearID」とEQで音を育てる楽しみ
私は音楽を聴くのが趣味ですが、デフォルトのドンシャリ音は「少し元気が良すぎる」と感じることもありました。
そこで活躍したのがSoundcoreアプリです。
まず試したのが「HearID」。
静かな部屋で聴力検査のようなテストを行うと、私専用のEQプロファイルが作成されました。
適用してみると、驚きました。
デフォルトでは少し埋もれがちだった中高音域(ボーカルやギターの倍音)がぐっと前に出て、全体の解像感が一段上がったように感じられたのです。
さらに、そこから「カスタムEQ」で微調整する楽しさに目覚めました。
▼ 私のカスタムEQ設定例
- J-Pop(女性ボーカル): HearIDをベースに、1.6kHzと3.2kHz(ボーカルの艶が出る帯域)を少しだけ持ち上げる。
- ロック(洋楽): 低音の迫力は活かしつつ、400Hz(音がこもる帯域)を少し下げて、ドラムのアタック感とベースラインを明瞭にする。
- ポッドキャスト: プリセットの「Podcast」モードで、人の声を聴きやすくする。
このように、音源や気分に合わせてEQを切り替えることで、5,000円台のイヤホンとは思えない「自分好みの音」を追求できました。
フィットネス:IP55と装着感がもたらす安心感
週3回のジム通いでも「P31i」をテストしました。
以前は「運動中に落としたらどうしよう」「汗で壊れないか」と不安がありましたが、「P31i」はその両方を解消してくれました。
▼ P31iがジムで活躍する理由
- 抜群の装着感: 人間工学に基づいた形状と4サイズのイヤーチップ(私はSサイズが最適でした)のおかげで、ランニングマシンで1時間走ってもズレる気配がありません。
- IP55の防塵防水性能: 大量の汗をかいても全く気にせずトレーニングに集中できます。砂埃が舞う屋外でのランニングにも最適だと感じました。
- ANCの集中効果: ジム内のBGMや他の利用者の器具の音を適度に遮断し、自分の世界に入り込んでトレーニングに集中できます。
動画・ゲーム:低遅延モードはどこまで使えるか?
寝る前のリラックスタイムは、スマートフォンで動画視聴やゲームをするのが日課です。
この「音の遅延」に関しても「P31i」は優秀でした。
▼ コンテンツ別:遅延体感テスト
| コンテンツ | モード | 遅延の体感 |
|---|---|---|
| 動画 (YouTube, Netflix) | 標準モード | **全く問題なし。**演者の口の動きとセリフが完璧に一致。 |
| カジュアルゲーム (パズル等) | 標準モード | ほぼ遅延は感じず、快適にプレイ可能。 |
| リズムゲーム (音ゲー) | ゲームモードON | 遅延はかなり少ない。 シビアな判定では有線に劣るが、カジュアルに楽しむ分には十分。 |
特に動画視聴でのストレスが皆無なのは素晴らしい点です。
アプリで「ゲームモード」をオンにすれば、ほとんどのゲームも違和感なく楽しめました。
体験談の総括:生活の「質」を上げた万能機
この1週間の体験を一言でまとめるなら、「P31i」は「生活の質を確実にワンランク上げてくれるイヤホン」です。
高価格帯のメイン機も日ごろから使用していますが、日常のあらゆるシーンで気兼ねなく使える「万能機」として、「P31i」が私の生活に欠かせない存在となりました。
▼ P31iが私の生活にもたらした変化
- 通勤: ANCにより、騒音が「読書や学習の時間」に変わった。
- 仕事: マルチポイントにより、PCとスマホ間の行き来がシームレスになり、効率が上がった。
- 趣味: アプリのEQ機能で、持っている音楽ライブラリを「聴き直す」楽しみが増えた。
- 運動: IP55とフィット感のおかげで、汗や故障を気にせずトレーニングに集中できるようになった。
これら全てが5,000円台で手に入るというのは、まさに「価格破壊」です。
Anker 「Soundcore P31i」 に関する Q&A

本記事のまとめの前に、購入を検討されている方からよく寄せられる質問について、Q&A形式でお答えします。
「Soundcore Life P2 mini」と「P31i」は、結局どっちがいいですか?
2つのモデルは価格帯が異なりますが、機能面では「P31i」が「P2 mini」を圧倒しています。 以下の機能が必要な場合は、「P31i」を選ぶことを強くおすすめします。
- ノイズキャンセリング(ANC)が欲しい
- PCとスマホで同時接続できるマルチポイントを使いたい
- 専用アプリで音質(EQ)や操作方法をカスタマイズしたい
- 50時間の長時間バッテリーが必要
「P2 mini」は「とにかく安く、良い音で音楽を聴ければ良い」という方に向いていますが、「P31i」は「エントリー価格で、現代のイヤホンに求められる利便性や機能をすべて手に入れたい」という方に最適なモデルです。
aptXやLDACなどの高音質コーデックに対応していますか?
対応していません。 「P31i」の対応コーデックは「SBC」と「AAC」の2種類です。 AACに対応しているため、iPhoneユーザーであれば最適な音質で接続されます。Androidユーザーやストリーミングサービス(Spotify, YouTube Musicなど)がメインの方であれば、SBC/AAC接続でも音質の差を体感することはほとんどありません。 11mmの大口径ドライバーと、アプリによるイコライザー調整機能のほうが、音質への影響は大きいと言えます。
音の遅延はありますか?動画視聴やゲームに使えますか?
動画視聴は全く問題ありません。 YouTubeやNetflixなど、一般的な動画ストリーミングサービスでは、演者の口の動きと音声のズレはほとんど感じられず、ストレスフリーで視聴できます。
ゲームについては、専用の「ゲームモード」を搭載しています。 アプリでこのモードをオンにすることで遅延がかなり少なくなるため、パズルゲームやRPGなど、タイミングがシビアでないゲームであれば快適にプレイ可能です。ただし、リズムゲームやプロレベルのFPS(シューティングゲーム)では、わずかな遅延が気になる可能性があります。
イヤホン本体で音量調整はできますか?
はい、可能です。 デフォルト設定では音量調整が割り当てられていませんが、専用の「Soundcore」アプリでタッチ操作をカスタマイズすることにより、音量調整を割り当てることができます。
片耳だけでも使えますか?
はい、使えます。「 P31i」は、左右どちらか片方のイヤホンだけをケースから取り出して、単体(モノラル)で使用することが可能です。
ランニングやジムで使えますか?防水性能は?
スポーツ用途に非常に適しています。 理由は以下の2点です。
- 優れた装着感: 人間工学に基づいた形状と4サイズのイヤーチップにより、走ってもズレにくく、安定したフィット感が得られます。
- IP55の防塵防水性能: 防水だけでなく防塵にも対応しているため、運動中の大量の汗や、屋外での砂埃などを気にする必要がありません。
ワイヤレス充電(Qi)に対応していますか?
対応していません。 充電ケースの充電は、付属のUSB Type-Cケーブルを使った有線充電のみとなります。
ノイズキャンセリング性能は、AirPods Proなどの高級機と比べてどうですか?
価格以上の性能ですが、高級機には及びません。 AirPods Proなどの2〜3万円クラスのハイエンドモデルが実現する「ほぼ無音」の強力な静寂性と比較すると、「P31i」のANCはややマイルドです。
ただし、電車の走行音(ゴーッ)やエアコンの動作音(ブォー)といった、日常の「中低域の騒音」をカットするには十分すぎる実力を持っています。人の話し声や高音域のノイズは残りやすい傾向がありますが、5,000円台でこの性能が手に入ることは驚異的であり、音楽への没入感を高める効果は確実に体感できます。
通話品質(マイク性能)は実用的ですか?
はい、価格を考えれば非常に実用的です。 AIノイズリダクションを搭載しており、周囲の騒音(車の音、風の音、カフェの雑音など)をかなり抑えて、自分の声を相手に届けてくれます。 自分の「声の音質」自体が非常にリッチになるわけではありませんが、「騒音下でも相手に声が届く」ことを重視した設計になっており、Web会議や騒がしい場所での急な電話にも十分対応できます。
音漏れはしますか?
カナル型(耳栓型)のため、音漏れは非常に少ないです。 よほどの大音量で、静かな図書館などで聴かない限り、周囲に音が漏れる心配はほとんどありません。電車やカフェなど、一般的な環境での使用であれば全く問題ないレベルです。
アプリにある「3Dオーディオ」とは何ですか?
Anker独自のサウンドエフェクト(音響効果)の一つです。 Appleの「空間オーディオ」のように、頭の動きに音が追従する(ダイナミックヘッドトラッキング)機能はありません。
アプリで「3Dオーディオ」をオンにすると、音場(音の広がり)を人工的に広げ、特に「ムービーモード」では映画館のような臨場感を高める効果があります。 「ミュージックモード」でオンにすると、ボーカルが少し遠のき、ライブ会場のような響き方になるため、これは好みが分かれるかもしれません。
まとめ:Anker 「Soundcore P31i」 徹底レビューの総括

Anker 「Soundcore P31i」は、単なる「P2 miniの進化版」に留まらない、エントリーモデルの新たなスタンダードであり、「高コスパ」の定義を書き換えるほどの衝撃的な製品です。
総評:エントリーモデルの「新たな基準」
結論から言えば、「P31i」は「エントリーモデルの新たな基準」となる傑作です。
5,000円台という価格で、実用的なノイズキャンセリング、アプリによる無限の拡張性、そしてマルチポイント接続という、これまで1万円以上のモデルに求められていた体験を提供しています。
「P31i」の最大の強み:価格破壊の「全部入り」体験
本機の最大の強みは、その圧倒的な「全部入り」感にあります。
- 実用的なANCと外音取り込み
- Soundcoreアプリによる「HearID」やカスタムEQ
- PCとスマホのシームレスな切り替えを実現する「マルチポイント」
- 最大50時間の驚異的なバッテリー
- IP55の防塵防水性能
これら全てがこの価格に収まっていること自体が、最大の価値です。
購入前に知っておきたい注意点(デメリット)
完璧に見える「P31i」にも、いくつか注意点があります。
- ケースの厚み: P2 miniと比較すると、バッテリー容量が増えた分、ケースは厚くなっています。タイトなパンツのポケットに入れると膨らみが気になるかもしれません。
- 非対応の高音質コーデック: 対応コーデックはSBCとAACのみです。aptXやLDACには対応していません。ただし、iPhoneユーザー(AAC接続)や、Androidでもストリーミングサービスがメインであれば、音質的な不利を実感することはほぼないでしょう。
比較:「P2 mini」からの買い替えは「買い」か?
答えは「絶大な買い替え価値あり」です。
「 P2 mini」に「ノイキャンが欲しい」「音質を調整したい」「PCとスマホで同時に使いたい」のいずれか一つでも不満を感じていたなら、買い替えで得られる体験価値は非常に大きいです。
「P31i」は「P2 mini」の上位互換ではなく、全く別の多機能モデルです。
「Soundcore P31i」はこんな人におすすめ!
「P31i」は、以下のような方に強くおすすめできます。
- 初めて完全ワイヤレスイヤホンを買う人で、絶対に失敗したくない人
- P2 miniユーザーで、ノイキャンやアプリ機能が欲しくなった人
- 予算1万円以下で、「全部入り」の高機能イヤホンを探している人
- テレワークとプライベートを両立させるサブ機を探している人
- ジムやランニングで気兼ねなく使えるイヤホンが欲しい人
Anker 「Soundcore P31i」レビューの結論:迷ったら「買い」で間違いない一台
Ankerは「Soundcore P31i」によって、エントリーモデルイヤホンの「常識」を再び塗り替えました。
5,000円台という価格帯に、これまで1万円クラスのモデルでしか実現できなかった実用的なノイズキャンセリング、PCとスマホをシームレスに繋ぐマルチポイント接続、そしてHearIDやカスタムEQといった無限の可能性を秘めた専用アプリ対応という「体験価値」を詰め込んでいます。
もちろん、ケースの厚みや高音質コーデック非対応といった価格なりの制約は存在します。
しかし、それを遥かに凌駕する機能性、迫力ある11mmドライバーのサウンド、50時間に及ぶ驚異的なバッテリー性能、IP55の防塵防水という安心感は、まさに「全部入り」と呼ぶにふさわしい内容です。
「P2 mini」からの正統進化でありながら、その実態は全く別次元の「高機能モデル」と言えます。
初めてのワイヤレスイヤホン選びで失敗したくない方から、「P2 mini」の機能に物足りなさを感じていた方、あるいはテレワークやスポーツまでこなせる万能なサブ機を探していた方まで、あらゆるニーズを高水準で満たしてくれます。
予算1万円以下で「失敗したくない」と考えるすべての人にとって、Anker 「Soundcore P31i」は、現在考えうる最も賢明で満足度の高い「答え」となるはずです。

