「完全ワイヤレスイヤホンは、充電ケースと一緒に持ち歩くのが当たり前」
そんなこれまでの常識を、オーディオテクニカが根底から覆してきました。
2024年10月に登場した「ATH-CKS50TW2」は、単なるイヤホンの新モデルではありません。
これは、私たちの音楽ライフスタイルそのものを変える可能性を秘めたプロダクトです。
オーディオテクニカが誇る重低音シリーズ「SOLID BASS」の最新作として、腹に響くような迫力のサウンドはもちろんのこと、特筆すべきは「マグネティックスイッチ」という革新的な機構。
なんと、イヤホン単体で電源のON/OFFが可能になり、ケースを持ち歩かずにイヤホンだけで一日中過ごすという「ケースレス運用」を実現しました。
さらに、イヤホン単体での連続再生時間は、業界の常識を遥かに超える最大25時間。
もはや「充電」という行為すら、日々のルーティンから忘れ去られるレベルです。
- 重低音は好きだが、音のこもりは嫌い
- イヤホンのケースがかさばって邪魔だと感じたことがある
- 充電の手間を極限まで減らしたい
もしあなたがこれらに当てはまるなら、ATH-CKS50TW2は間違いなく「買い」の最有力候補となるでしょう。
この記事では、この画期的なイヤホンを実際に使い込み、その音質から装着感、そして注目の「マグネティックスイッチ」の使い勝手まで、忖度なしで徹底的にレビューしていきます。
- audio-technica 「ATH-CKS50TW2」の製品概要と進化点
- audio-technica 「ATH-CKS50TW2」の常識を覆す「マグネティックスイッチ」とバッテリー性能
- audio-technica 「ATH-CKS50TW2」の圧巻の重低音サウンドとノイズキャンセリング性能
- audio-technica 「ATH-CKS50TW2」を使用した私の体験談・レビュー
- audio-technica 「ATH-CKS50TW2」に関するQ&A
- 「マグネティックスイッチ」でケースを持ち歩かない場合、勝手に電源が入ってしまうことはありませんか?
- 重低音モデルとのことですが、ボーカルの声が埋もれてしまいませんか?
- ノイズキャンセリングの効き目はどのくらいですか?
- ハイレゾ音源(LDACやaptX Adaptive)には対応していますか?
- ランニングやジムでの運動中に使っても落ちませんか?
- 動画やゲームをする際の音ズレ(遅延)は気になりますか?
- マルチポイント接続には対応していますか?
- 前モデル(ATH-CKS50TW)から買い替える価値はありますか?
- 片耳だけで使用することはできますか?
- Web会議やテレワークでの通話品質はどうですか?
- アプリにある「サウンドスケープ機能」とは何ですか?
- イコライザーの設定はイヤホン本体に保存されますか?
- 操作ボタンは「タッチセンサー」ですか?それとも「物理ボタン」ですか?
- ボタンの操作内容(音量調整や曲送りなど)は変更できますか?
- audio-technica 「ATH-CKS50TW2」レビューのまとめ
audio-technica 「ATH-CKS50TW2」の製品概要と進化点

まずは、ATH-CKS50TW2の基本的なスペックと、前作からの進化の全体像、そして開封した瞬間に感じる質感について詳しく解説します。
重低音特化モデルとしての系譜を受け継ぎつつ、機能面でどのような飛躍を遂げたのでしょうか。
製品スペックと価格・発売日
ATH-CKS50TW2は、ミドルレンジの価格帯ながら、フラッグシップモデルにも匹敵するバッテリー性能と多機能性を備えています。
競合ひしめく2万円台において、スペックシート上の数値だけでも頭一つ抜けた存在感を放っています。
| 項目 | スペック詳細 | 備考 |
| 製品名 | audio-technica ATH-CKS50TW2 | 2024年10月11日発売 |
| 実勢価格 | 約23,980円(税込)前後 | コストパフォーマンスは非常に高い |
| ドライバー | φ9mm ソリッドベースHD TWSドライバー | 重低音専用設計 |
| 通信方式 | Bluetooth標準規格 Ver.5.3 | 接続安定性が向上 |
| 対応コーデック | SBC, AAC, LC3 | LC3対応は将来性が高い |
| 再生周波数帯域 | 5~20,000Hz | 可聴域をフルカバー |
| 連続再生時間 | イヤホン単体:最大25時間 (ANC OFF) ケース併用:最大65時間 | 業界トップクラスのスタミナ |
| 充電時間 | イヤホン:約3時間 / 充電ケース:約3時間 | 急速充電対応(5分で90分再生) |
| 防水・防塵性能 | IP55相当 (イヤホン本体のみ) | 雨や汗、砂埃にも強い |
| マイク | MEMS型(全指向性) | クリアな通話品質を実現 |
| 重量 | イヤホン:約8.0g(片耳) / ケース:約60g | バッテリー重視のため若干重め |
| カラー | ブラック、ベージュ、グリーン | ファッションに合わせやすい3色展開 |
【スペックから読み解く強み】
特筆すべきはやはり「イヤホン単体25時間」という驚異的な数値です。
一般的な完全ワイヤレスイヤホンが単体で7〜8時間程度、長くても12時間程度であることを考えると、約2倍〜3倍以上のスタミナを持っています。
また、次世代Bluetoothオーディオ規格「LE Audio」で採用されるコーデック「LC3」に対応している点も見逃せません。
対応スマートフォンと組み合わせることで、従来のSBCよりも高音質かつ低遅延、低消費電力での接続が可能になります。
現時点だけでなく、将来的なスマホの進化にも対応できる設計となっています。
重低音特化「SOLID BASS」シリーズの系譜
オーディオテクニカの「SOLID BASS(ソリッドベース)」シリーズは、2009年の立ち上げ以来、一貫して「圧倒的な低域の量感」を追求してきた、日本のオーディオシーンにおける「重低音イヤホン」の代名詞的存在です。
しかし、かつての「重低音イヤホン」には、「低音は凄いが、中高音が埋もれて聴こえにくい」「音が全体的にボワつく」という課題もありました。
SOLID BASSシリーズは世代を重ねるごとにこの課題を克服し、「キレのある重低音」と「クリアなボーカル」の両立、いわゆる「曇りのない重低音」を目指してきました。
今回のATH-CKS50TW2は、その最新到達点です。
単にドンドンと鳴るだけでなく、空気の振動までも伝えるような深みのある低音と、それに負けない解像度の高い中高域を実現するために、専用設計のドライバーと音響構造(アコースティックダクト)が採用されています。
これは、長年アナログオーディオで培ってきたオーディオテクニカならではのノウハウが凝縮された結果と言えるでしょう。
洗練されたデザインと装着感の向上、同梱物について
開封と同梱物チェック
パッケージを開封すると、プラスチックの使用を減らした環境配慮型の梱包の中に、本体と付属品が整然と収められています。
- 同梱物一覧:
- イヤホン本体(L/R)
- 充電ケース
- 充電用USBケーブル(30cm、USB Type-A to USB Type-C)
- イヤーピース(XS, S, M, L の4サイズ)
特筆すべきはイヤーピースです。
SOLID BASSシリーズにおいて、イヤーピースのフィッティングは「命」です。
耳とイヤホンの間に隙間があると、せっかくの重低音が逃げてしまい、スカスカの音になってしまいます。
本機には4サイズが同梱されているため、必ず全てのサイズを試して、最も密閉感の高いものを選ぶことを強く推奨します。
デザインの刷新と質感
前モデルである「ATH-CKS50TW」は、バッテリー容量を確保するために筐体がやや大きく、角張ったメカニカルで男性的なデザインでした。
対して今回のATH-CKS50TW2は、その印象を大きく変えています。
- 全体的なフォルム:
角が取れ、コロンとした丸みを帯びたラウンドフォルムを採用。
耳への当たりが優しくなり、見た目もよりモダンでジェンダーレスな雰囲気に仕上がっています。 - ケースのデザイン:
充電ケースの蓋部分には、スモークがかった半透明のクリア素材が採用されており、内部のインジケーターLEDがぼんやりと透けて見える演出は非常に高級感があります。
表面はマットな質感で仕上げられており、指紋や皮脂汚れが目立ちにくいのも実用的なポイントです。 - 装着感の劇的改善:
前作で一部ユーザーから指摘されていた「耳からの飛び出し感」や「装着時の圧迫感」が大幅に見直されました。
筐体の耳に当たる部分(コンチャフィット形状)がより人体工学に基づいたカーブを描いており、重量は約8gと決して軽量級ではないものの、重さを分散させる設計により長時間着けていても耳が痛くなりにくくなっています。
audio-technica 「ATH-CKS50TW2」の常識を覆す「マグネティックスイッチ」とバッテリー性能

本機の最大のウリである、私たちの生活スタイルを変えるかもしれない新機能と、それを支える怪物級のバッテリー技術について深掘りします。
ケースなしで持ち歩ける新機能「マグネティックスイッチ」の仕組み
これまでの完全ワイヤレスイヤホンには、「電源を切る=ケースに戻す」という絶対的なルールがありました。
しかし、ATH-CKS50TW2はこのルールを打破しました。
【マグネティックスイッチの仕組みと挙動】
左右のイヤホン本体の特定部分に内蔵された強力なマグネットとホールセンサーが鍵となります。
- 電源OFFアクション:
左右のイヤホンを近づけて「カチッ」とくっつける。
→ 即座に電源が切れ、Bluetooth接続も解除されます。 - 電源ONアクション:
くっついた左右のイヤホンを離す。
→ 自動的に電源が入り、ペアリング済みのスマホへ再接続されます。
このシンプルな動作により、充電ケースを持ち歩く必要が完全になくなりました。
例えば、ちょっとした外出やジム、コンビニへの買い物など、「数時間しか出かけない」というシチュエーションでは、イヤホンだけをポケットに入れて持ち出せます。
【ここが革命的:スリープ管理の自動化】
従来機でも「ケースなし運用」は物理的には可能でしたが、「スマホの設定画面からBluetoothを切断し、イヤホンのボタンを長押しして電源を切る」という面倒な手順が必要でした。
また、カバンの中で誤ってボタンが押され、勝手に接続されてしまうトラブルも多発しました。
ATH-CKS50TW2は物理的に結合させることでシステムを遮断するため、誤作動のリスクが極めて低く、バッテリーの自然放電も最小限に抑えられます。
業界最高クラス!イヤホン単体25時間再生の実力
「ケースを持ち歩かない」という運用を現実のものにしているのが、他社を圧倒するモンスター級のバッテリー性能です。
- ノイズキャンセリング OFF時:最大25時間
- ノイズキャンセリング ON時:最大15時間
市場に出回っている多くのハイエンドイヤホン(3〜4万円台)ですら、ANC ON時の単体再生時間は6〜8時間程度が平均的です。
ATH-CKS50TW2は、ANCをONにしてもその倍近く稼働します。
これだけのスタミナがあれば、往復の通勤(2時間)+勤務中の集中タイム(4時間)+ジムでの運動(1時間)+帰宅後の動画鑑賞(2時間)をこなしても、まだバッテリーは半分近く残っています。
長時間のWeb会議が続くリモートワークの日や、10時間を超える国際線のフライトでさえ、一度もケースに戻して充電することなく使い切ることが可能です。
「充電残量を気にする」というバックグラウンドのストレスから解放されることは、スペック上の数字以上に、精神的な自由をもたらしてくれます。
ワイヤレス充電対応ケースと急速充電の使い勝手
もちろん、充電ケース自体の性能も抜かりありません。
- 最大再生時間(ケース込み):
驚異の65時間です。
毎日3時間音楽を聴いたとしても、約3週間はコンセントに繋ぐ必要がありません。
旅行や出張の際、充電ケーブルを持っていく必要すらなくなるかもしれません。 - ワイヤレス充電(Qi)対応:
ケース底面はQi規格のワイヤレス充電に対応しています。
帰宅したら充電パッドの上にポンと置くだけ。
ケーブルを抜き差しする手間がなく、デスク周りもスッキリします。 - 急速充電機能:
もしバッテリーが切れてしまった場合でも、わずか5分の充電で約90分の再生が可能です。
出かける直前にバッテリー切れに気づいても、身支度をしている間に十分な電力を確保できます。
また、専用アプリではバッテリーの劣化を防ぐための「充電上限設定」などは今のところ見当たりませんが、これだけの容量があれば充放電のサイクル自体が長くなるため、結果的にバッテリー寿命も長く保てる可能性があります。
audio-technica 「ATH-CKS50TW2」の圧巻の重低音サウンドとノイズキャンセリング性能

機能面だけでなく、オーディオ機器としての本質である「音」と「静寂」、そしてそれをコントロールするアプリについて詳しく見ていきましょう。
ソリッドベースHDTWSドライバーが描く音質特性
ATH-CKS50TW2の心臓部には、φ9mmの「ソリッドベースHD TWSドライバー」が搭載されています。
このドライバーが生み出すサウンドは、まさに「SOLID(硬質で密度のある)」な低音です。
- アコースティックダクトの効果:
ドライバーの背面には、空気の流れ(エアフロー)を精密にコントロールするための「アコースティックダクト」が設けられています。
これにより、低域の量感を損なうことなく、音の立ち上がりと立ち下がり(トランジェント)を改善しています。
結果として、ボワボワと膨らむだけの低音ではなく、「芯のある、締まった重低音」を実現しています。 - 音質バランス:
低音域が支配的であることは間違いありませんが、中高音域がマスクされて籠もってしまう現象(マスキング)が見事に回避されています。
ボーカルは低音の壁の手前にしっかりと定位し、シンバルやハイハットの金属音もクリアに響きます。
ドンシャリ傾向ではありますが、決して「下品なドンシャリ」ではなく、音楽のダイナミズムを引き出すための意図的なチューニングだと感じられます。
ハイブリッドノイズキャンセリングと外音取り込みの効果
前モデルのフィードフォワード式(マイク1つ)から進化し、本機では「ハイブリッドデジタルノイズキャンセリング」を採用しています。
- ノイズキャンセリングの質:
ハウジングの外側(フィードフォワード)と内側(フィードバック)に配置された2つのマイクでノイズを検知・相殺します。
重低音モデルらしく、特に「電車の走行音(ゴゴーッ)」や「飛行機のエンジン音」、「空調のファンノイズ」といった低周波ノイズのカット性能が非常に高いのが特徴です。
音楽のビートを阻害する「雑味」となる騒音を静寂に変え、小音量でも重低音のディテールを感じ取れるようになります。
一方で、人の話し声や高音域の突発的な音に対するカット率は、SONYやBOSEの最上位機種には一歩譲りますが、音楽を再生してしまえば完全に気にならないレベルです。 - ヒアスルー(外音取り込み)の進化:
マイク性能の向上により、非常に自然に周囲の音を取り込めます。
ホワイトノイズ(サーッという音)も低減されており、イヤホンを着けたままでのレジ会計や、駅のアナウンスを聞き取る際も違和感が少なくなっています。
自分の声の聞こえ方も自然なので、「自分が大声を出してしまっていないか」という不安も軽減されます。
専用アプリ「Connect」でのEQ調整と低遅延モード
専用アプリ「audio-technica Connect」を使用することで、ATH-CKS50TW2のポテンシャルを120%引き出せます。
このアプリはUIが洗練されており、非常に使いやすいのが特徴です。
- イコライザー(EQ):
「Bass Boost – Deep」や「Bass Boost – Beat」といったプリセットに加え、5バンドのグラフィックイコライザーで自分好みに調整可能。
面白いのは、低音をさらにブーストして「クラブの最前列」のような音圧にするだけでなく、逆に低音を少し抑えて「Podcastやラジオ」を聞きやすくするような調整も可能な点です。
ドライバーの素性が良いため、EQでの変化に音が破綻することなく追従してくれます。 - 低遅延モード(Low Latency Mode):
動画視聴やゲームプレイ時の音ズレを最小限に抑えます。特にFPSゲームや音ゲーをプレイするユーザーにとっては必須の機能。
ONにすると通信安定性とのトレードオフになりますが、実用上、近距離での使用なら途切れは気になりません。 - サウンドスケープ機能:
アプリ内には、集中したい時やリラックスしたい時に使える「自然音再生機能」も搭載されています。
「波の音」や「焚き火の音」などをイヤホン単体で再生でき、作業用BGMとして意外と重宝します。
audio-technica 「ATH-CKS50TW2」を使用した私の体験談・レビュー

ここからは、私が実際にATH-CKS50TW2を日常生活のあらゆるシーンで使い倒してみた、リアルな体験談をお届けします。
スペック表だけでは分からない「手触り」や「実際の挙動」を中心にお伝えします。
【音質】EDM・ロックでの没入感と中高域のバランス
まず試聴したのは、重低音のテストに最適なEDMトラックと、激しいドラムが特徴のラウドロックです。
一聴して驚いたのは、「低音のスピード感」です。
ドズン!と深く沈み込むような低音が出ているにも関わらず、音がすぐに収束するため、次の音が団子にならずに聞こえてきます。
バスドラムの連打も粒立ちよく再生され、特にBPMの速いダンスミュージックでは、この「キレ」がグルーヴ感を増幅させてくれます。
また、意外だったのがJ-POPとの相性の良さです。
最近のJ-POP(YOASOBIやAdoなど)は打ち込みの重低音を多用する楽曲が多いですが、ATH-CKS50TW2で聴くと、ベースラインがしっかりと楽曲のボトムを支えつつ、ボーカルが前面に出てくるため、普段聴き慣れた曲が「よりリッチで迫力のある音」に生まれ変わったように感じました。
「サ行」の刺さりも気にならず、長時間聴いていても聴き疲れしにくいチューニングだと感じました。
【携帯性】「ケースレス運用」を1日試して感じた身軽さ
今回の目玉である「ケースレス運用」をテストするため、朝、意図的に充電ケースを家に置いて出勤してみました。
- 朝の通勤:
駅までの徒歩移動中、ポケットからサッと取り出して左右を離すだけで即接続。
この「ケースを開けて、蓋を開いて、取り出す」という3ステップが「取り出して離す」という1ステップになるだけで、ここまでスムーズか、と感動しました。 - オフィスにて:
仕事中、同僚に話しかけられた際、イヤホンを外してパチっと左右をくっつけ、胸ポケットへ。
ケースを探して収納する手間がなく、まるでネックレスや眼鏡のような感覚で扱えます。 - 帰宅時:
一日中使い倒しましたが、バッテリー残量はまだ70%以上残っていました。
実際に体験して分かったのは、「荷物が減る」以上の心理的な開放感です。
ズボンのポケットがケースで膨らむこともなく、スマホと財布とイヤホン(本体のみ)だけで外出できる軽快さは、一度味わうと元に戻れない中毒性があります。
ただし、イヤホン本体にはストラップホールなどがないため、カバンの広いポケットに放り込むと、中で左右が外れて電源が入ってしまう可能性がゼロではありません。
シャツの胸ポケットや、ズボンのコインポケットなど、「定位置」を決めておくと運用がスムーズです。
【操作性】物理ボタンのクリック感と誤操作防止の恩恵
最近はタッチセンサー式のイヤホンが多い中、ATH-CKS50TW2はあえて物理ボタン(タクトスイッチ)を採用しています。
個人的に、これは大正解だと感じました。
タッチ式の場合、髪の毛をかき上げた時や、イヤホンの位置を直そうとした時に誤って触れてしまい、音楽が止まったり音量が変わったりする「誤操作」が頻発します。
しかし、本機は「カチッ」という明確なクリック感がある物理ボタンなので、意図しない操作がほぼ皆無です。
特に冬場、手袋をしている状態でも確実に操作できる点は、実用面で非常に大きなメリットです。
ボタンの位置も、イヤホンを摘んだ時に自然と指がかかる場所に配置されており、押し心地も硬すぎず柔らかすぎず、絶妙なクリック感でした。
アプリでボタン割り当て(1回押し、2回押しなど)を左右自由にカスタマイズできる点も高評価です。
【機能性】マルチポイント接続と通話品質、接続安定性
マルチポイントの利便性
iPhone(音楽用)とMacBook(仕事用)に同時接続してみました。
切り替えは非常にスムーズで、MacBookでWeb会議が始まると自動的にiPhoneの音楽が止まり、会議の音声に切り替わります。
いちいちBluetooth設定を開く必要がなく、シームレスに仕事とプライベートを行き来できます。
通話品質とマイク性能
通話テストも実施しましたが、こちらの声はクリアに相手に届いていました。
ビームフォーミング技術により口元の音声を重点的に拾ってくれるため、多少騒がしいカフェでも会話が成立します。
特に「サイドトーン機能(通話中に自分の声を聞く機能)」が自然で、カナル型イヤホン特有の「耳が詰まって自分の声が頭蓋骨に響いて話しにくい感覚」が大幅に軽減されており、1時間を超える長時間の会議でもストレスを感じませんでした。
混雑した場所での接続安定性
「新宿駅」の朝のラッシュ時、最も電波干渉が激しい環境でテストを行いました。
数回、瞬断(プツッという音飛び)がありましたが、すぐに復帰しました。
ミドルクラスの製品としては十分な接続安定性を持っています。
アプリで「接続重視モード」に切り替えることもできるため、どうしても途切れる場合は設定変更で対応可能です。
使用して気になった点・購入前に知っておくべき注意点
絶賛ばかりでは公平なレビューになりませんので、気になった点も正直に挙げます。
- ハイレゾコーデック(LDAC/aptX Adaptive)非対応:
音質は非常に良いですが、スペック上「ハイレゾワイヤレス」ではありません。
音のデータ量にこだわるオーディオマニアの方には、ここが唯一のウィークポイントになるかもしれません。
ただし、iPhoneユーザー(AAC接続)であれば全くデメリットにはなりませんし、AndroidでもLC3対応機種であれば高音質伝送が可能です。 - イヤホン本体のサイズ感:
バッテリー持ちが良い分、極小サイズのイヤホン(例:ATH-CKS30TW+など)と比べると、本体はやや大きめです。
耳の小さな方や、寝ながら使いたい(寝ホン)用途には向かない可能性があります。 - マグネットの外れやすさへの懸念:
マグネットの吸着力は十分に強いですが、カバンの中に無造作に放り込むと、他の荷物と干渉して外れ、勝手に電源が入ってしまう可能性があります。
「ケースレス」とはいえ、持ち運び用の小さなポーチなどがあるとより安心かもしれません。
体験談の総括:ただの重低音モデルではない「生活密着型」イヤホン
実際に使ってみて感じたのは、ATH-CKS50TW2は「特定のジャンルを聴くための趣味の道具」という枠を超え、「生活を便利にするガジェット」としての完成度が非常に高いということです。
音質の満足度はもちろんですが、それ以上に「充電を気にしない」「ケースを持ち歩かない」という体験が、日々のストレスを驚くほど軽減してくれます。
これはスペック表を眺めているだけでは分からない、使った人だけが分かる最大の価値だと確信しました。
audio-technica 「ATH-CKS50TW2」に関するQ&A

audio-technica 「ATH-CKS50TW2」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「マグネティックスイッチ」でケースを持ち歩かない場合、勝手に電源が入ってしまうことはありませんか?
基本的には大丈夫ですが、カバンに放り込む際は注意が必要です。
マグネットの吸着力は強力なので、ポケットに入れている分には外れることはほぼありません。ただし、荷物がたくさん入ったカバンの中に無造作に放り込むと、他の荷物と干渉して左右が離れ、電源が入ってしまう(スマホと接続されてしまう)可能性があります。カバンに入れる際は、小さなポーチに入れたり、バッグのポケットを活用したりすることをおすすめします。
重低音モデルとのことですが、ボーカルの声が埋もれてしまいませんか?
いいえ、ボーカルは非常にクリアに聞こえます。
以前の重低音イヤホンに見られた「低音が強すぎて音がこもる」という現象は、本機では解消されています。ソリッドベースHDTWSドライバーとアコースティックダクトの恩恵により、低音は「下の方」で力強く鳴り、ボーカルなどの(中高域)は「手前」で明瞭に鳴るよう分離されています。J-POPやアニソンでも快適に楽しめます。
ノイズキャンセリングの効き目はどのくらいですか?
電車の走行音や空調音はかなり静かになります。
前モデルから進化し「ハイブリッドデジタルノイズキャンセリング」になったことで、特に「ゴーッ」という低音域の騒音カット性能が高まっています。SONYやBOSEの最上位モデル(3〜4万円台)と比較すると、人の話し声などのカット率はやや劣りますが、音楽を再生してしまえば周囲の音はほぼ気にならないレベルです。
ハイレゾ音源(LDACやaptX Adaptive)には対応していますか?
残念ながら、LDACやaptX Adaptiveには非対応です。
対応コーデックはSBC、AAC、LC3です。しかし、ドライバー自体の性能が高いため、iPhone(AAC接続)などで聴いても十分に高音質だと感じられます。また、次世代規格の「LC3」に対応しているため、対応するAndroidスマホであれば、低遅延かつ高音質な接続が可能です。
ランニングやジムでの運動中に使っても落ちませんか?
装着安定性は高く、IP55の防水性能もあるためスポーツに最適です。
耳のくぼみにフィットする形状(コンチャフィット)により、多少激しく動いてもズレにくい設計です。また、IP55相当(防塵・防滴)の性能を持っているため、汗や突然の雨程度であれば問題なく使用できます。ただし、本体が少し大きめなので、耳が極端に小さい方は一度店頭で試着することをおすすめします。
動画やゲームをする際の音ズレ(遅延)は気になりますか?
「低遅延モード」をONにすれば、ほぼ気になりません。
専用アプリで「低遅延モード(Low Latency Mode)」をONにすることで、音の遅れを最小限に抑えられます。FPSゲームや音ゲー、YouTubeでの動画視聴などもストレスなく楽しめます。
マルチポイント接続には対応していますか?
はい、対応しています。
同時に2台の機器(例:iPhoneとPC、スマホとタブレットなど)に接続し、待受することができます。例えば、PCで動画を見ている最中にスマホに着信があれば、自動的に切り替わって通話に応答することが可能です。
前モデル(ATH-CKS50TW)から買い替える価値はありますか?
「ケースを持ち歩きたくない」「より静寂な環境が欲しい」なら買い替え推奨です。
音質の傾向は似ていますが、解像度は確実に向上しています。何より「マグネティックスイッチによるケースレス運用」と「ハイブリッドノイズキャンセリングへの進化」は、使い勝手を劇的に変えます。バッテリー持ちもさらに伸びているため、利便性を追求するなら間違いなくアップグレードする価値があります。
片耳だけで使用することはできますか?
はい、左右どちらか片方だけでも使用可能です。
片方をケース(またはポケット)にしまったまま、もう片方だけで音楽再生や通話をすることができます。家事や仕事中など、周囲の音を完全に遮断したくない場合に便利です。また、片耳使用中にもう片方の電源を入れると、自動的に両耳再生に切り替わります(ステレオ再生になります)。
Web会議やテレワークでの通話品質はどうですか?
非常に快適で、長時間の会議にも向いています。
自分の話し声をマイクで取り込んでイヤホンから流す「サイドトーン機能」が優秀で、耳栓をしているような閉塞感が少なく、自然に喋ることができます。また、バッテリー持ちが非常に良いため、午前中いっぱい続くような長い会議でもバッテリー切れの心配がありません。ミュート機能もイヤホン側で操作可能です(要アプリ設定)。
アプリにある「サウンドスケープ機能」とは何ですか?
集中やリラックスに使える「自然音」を再生する機能です。
「波の音」「焚き火」「雨音」などのヒーリングサウンドがプリセットされており、音楽プレーヤーアプリを立ち上げなくても、イヤホン単体でこれらの音を再生できます。仕事に集中したい時や、寝る前のリラックスタイム、または耳鳴りが気になる時のマスキング音としても活用できます。
イコライザーの設定はイヤホン本体に保存されますか?
はい、保存されます。
一度アプリでイコライザー設定を変更すれば、その設定はイヤホン本体に記憶されます。そのため、アプリを入れていないPCや別のスマホ、ゲーム機に接続し直しても、自分好みに調整した音質(Bass Boostなど)のまま楽しむことができます。
操作ボタンは「タッチセンサー」ですか?それとも「物理ボタン」ですか?
誤操作の少ない「物理ボタン」を採用しています。
イヤホンの側面にカチッと押し込むタイプのボタンがあります。 タッチセンサー式だと、髪をかき上げた時やパーカーのフードが当たった時に誤って反応してしまうことがありますが、本機はその心配がありません。また、手袋をしたままでも確実に操作できるため、冬場の使用でもストレスフリーです。
ボタンの操作内容(音量調整や曲送りなど)は変更できますか?
はい、専用アプリで自由にカスタマイズ可能です。
「右耳のボタンを2回押したら音量を上げる」「左耳を長押ししたら低遅延モードにする」といったように、自分の使いやすい配置に変更(キーアサイン)ができます。初期設定でも使いやすいですが、慣れてきたら自分好みにカスタムするのがおすすめです。
audio-technica 「ATH-CKS50TW2」レビューのまとめ

最後に、ATH-CKS50TW2のレビューをまとめ、競合製品との比較を行い、どのようなユーザーに最適かを結論づけます。
ATH-CKS50TW2のメリットまとめ
- マグネティックスイッチにより、ケース不要で持ち運べる圧倒的な利便性。
- イヤホン単体25時間、ケース込み65時間の怪物級バッテリーライフ。
- 物理ボタン採用による確実な操作性と誤操作ゼロの安心感。
- SOLID BASSの名に恥じない、深みとキレのある上質な重低音。
- 低音が中高域を邪魔しない、クリアでバランスの取れたサウンドチューニング。
- 実用十分なハイブリッドノイズキャンセリングと、自然な外音取り込み機能。
- マルチポイント、低遅延モード、IP55防塵防水など機能全部入り。
- 将来性のあるLC3コーデックへの対応。
ATH-CKS50TW2のデメリット・注意点
- LDACやaptX Adaptiveなどの既存ハイレゾコーデックには非対応。
- イヤホン本体がやや大きめ(バッテリー容量とのトレードオフ)。
- ケースレス運用時は、紛失やマグネット外れに多少の注意が必要。
- 高音域の繊細さや音場の広さは、同価格帯の「モニター系イヤホン」には及ばない。
前モデル(ATH-CKS50TW)からの具体的な進化点
| 比較項目 | 前モデル (ATH-CKS50TW) | 新モデル (ATH-CKS50TW2) | 進化のポイント |
| 電源操作 | ボタン長押し | マグネティックスイッチ | 利便性が次元上昇 |
| 単体再生時間 | 最大20時間 | 最大25時間 | 更なるスタミナ強化 |
| ANC方式 | フィードフォワード式 | ハイブリッドデジタル式 | 遮音性能が大幅向上 |
| 外音取り込み | 標準的 | より自然でクリアに | 常時装着が可能に |
| デザイン | 角張った形状 | 丸みを帯びた形状 | 装着感と見た目の改善 |
| ワイヤレス充電 | 非対応 | Qi規格対応 | 置くだけ充電が可能に |
こうして比較すると、マイナーチェンジではなく、完全に別物と言えるレベルで進化していることが分かります。
特にノイズキャンセリングの方式変更(ハイブリッド化)は、静寂性の向上に直結しています。
ライバル機との違い・比較
購入を迷うであろう競合機種との比較をまとめました。
- 対 SONY WF-C700N / LinkBuds S:
SONY製品はノイズキャンセリングの強度や小型軽量さ、LDAC対応(LinkBuds S)で勝ります。
しかし、バッテリー持ちと重低音の迫力ではATH-CKS50TW2が圧倒しています。
「繊細で綺麗な音」を求めるならSONYですが、「楽しくてノレる音」「充電の手間なし」を求めるならオーディオテクニカです。 - 対 JBL TOUR PRO 3 / LIVE BEAM 3:
JBLもパワフルなサウンド(JBLサウンド)が特徴で、アプリ機能も豊富ですが、タッチ操作式が主流です。
ATH-CKS50TW2は物理ボタンの確実な操作感と、やはり「ケースレス」という独自の武器で差別化できます。 - 対 audio-technica ATH-CKS30TW+:
同じSOLID BASSシリーズの下位モデルです。
CKS30TW+は非常に小型で軽量、価格も安いですが、バッテリー持ちやノイズキャンセリング性能はCKS50TW2が圧倒的に上です。
「手軽さ重視」なら30TW+、「性能とバッテリー重視」なら50TW2という選び分けになります。
どのようなユーザーにおすすめか
【超おすすめな人】
- ロック、EDM、ヒップホップ、アイドルソングなどをよく聴き、低音の迫力を最優先する人。
- ズボラな性格で、充電の手間が大嫌い。バッテリー持ち最強のイヤホンを探している人。
- 手ぶらで出かけたい、ミニマリスト志向でケースを持ち歩きたくない人。
- タッチ操作の誤反応にイライラした経験があり、クリック感のある物理ボタンを好む人。
- 一日中イヤホンを着けっぱなしにするヘビーユーザー。
【あまりおすすめしない人】
- クラシックやアコースティック音源を中心に聴き、フラットで原音忠実なサウンドを求める人。
- 寝ホンとして使えるような、耳の中にすっぽり収まる極小サイズのイヤホンを求めている人。
- 絶対的なノイズキャンセリング性能(無音)を求め、BOSEやSONYの最上位機種と比較している人。
audio-technica 「ATH-CKS50TW2」レビューの総評:重低音×ケースレスがもたらす新しい音楽生活
audio-technica ATH-CKS50TW2は、単に「音が良いイヤホン」ではありません。
「重低音」というエンターテインメント性と、「ケースレス&超寿命バッテリー」という実用性を極めて高い次元で融合させた傑作です。
音楽を聴くまでのハードル(充電、ケースの出し入れ、ペアリングの手間)を極限まで下げ、「聴きたい」と思った瞬間に最高の重低音を浴びることができる。
そんな体験を約2万円台前半で手に入れられるなら、そのコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。
もしあなたが、日々の生活に音楽という「エネルギー」を手軽に、かつ濃厚に取り入れたいと願うなら、ATH-CKS50TW2は最良のパートナーになってくれるはずです。
ケースを家に置いて、音楽だけを持って街へ出かけましょう。
そこには新しい自由が待っています。


