「完全ワイヤレスイヤホンに、これ以上の進化はあるのだろうか?」
2024年、Bowers & Wilkins(以下B&W)が満を持して送り出した最新フラッグシップモデル『Pi8』を耳にした瞬間、私の脳裏にはそんな問いが浮かびました。
昨今のイヤホン市場は、機能競争が飽和状態にあります。強力なノイズキャンセリング、マルチポイント接続、長時間バッテリー。
これらはもはや「当たり前」の標準装備となり、多くのメーカーが「便利さ」で差別化を図ろうとしています。
しかし、B&Wは違います。
イギリスの名門オーディオブランドが『Pi8』で目指したのは、小手先の機能競争ではなく、「オーディオ機器としての純粋な到達点」でした。
前作「Pi7 S2」も、その圧倒的な音質で多くのオーディオファンを唸らせましたが、『Pi8』はその延長線上にあるマイナーチェンジではありません。
筐体デザイン、内部のドライバー構成、そしてデジタル処理の心臓部に至るまで、すべてをゼロから再設計した「フルモデルチェンジ」です。
リリース時価格は約6万5千円。
一般的な感覚で言えば、間違いなく高額です。
しかし、この小さな筐体に詰め込まれた技術——特にハイエンドヘッドホン「Px8」譲りのカーボンコーン技術や、アンプとDACを分離したディスクリート構成——を知れば、その価格がむしろ「適正」あるいは「破格」であることに気づくはずです。
この記事では、SEOを意識したスペックの羅列にとどまらず、実際に『Pi8』を使い込んだ私自身の体験をもとに、その音質の真価、使い勝手、そして競合機種との決定的な違いを徹底的にレビューします。
あなたがもし、「移動中であっても、妥協のない最高の音楽体験」を求めているのなら、この記事がその答え合わせになるはずです。
- Bowers & Wilkins 「Pi8」の技術的革新とスペック
- Bowers & Wilkins 「Pi8」のの音質を徹底解剖:圧倒的な静寂と密度感
- Bowers & Wilkins 「Pi8」のノイズキャンセリング性能と独自の機能性
- Bowers & Wilkins 「Pi8」を使用した私の体験談・レビュー
- Bowers & Wilkins 「Pi8」に関するQ&A
- iPhoneユーザーですが、Pi8の性能をフルに発揮できますか?
- マルチポイント接続には対応していますか?
- スポーツや雨の日でも使えますか?(防水性能について)
- ノイズキャンセリング使用時のバッテリー持ちはどのくらいですか?
- Web会議や通話でのマイク品質はどうですか?
- ゲームや動画視聴時の「音ズレ」は気になりますか?
- 充電ケースのトランスミッター機能は、どんな機器に使えますか?
- 専用アプリのイコライザー(EQ)は細かく設定できますか?
- 片耳だけで使用することは可能ですか?
- ヘッドホンのフラッグシップ「Px8」と比べて、正直なところ音質差はありますか?
- 無音時の「サーッ」というホワイトノイズは気になりますか?
- イヤホン本体で音量調節はできますか?
- 充電ケースのバッテリー残量はどうやって確認しますか?
- Bowers & Wilkins 「Pi8」レビューのまとめ
Bowers & Wilkins 「Pi8」の技術的革新とスペック

なぜ『Pi8』の音は、他のワイヤレスイヤホンと一線を画すのか。
その秘密は、B&Wが長年培ってきたスピーカー技術の結晶とも言える内部構造にあります。
ここでは、カタログスペックをなぞるだけでは見えてこない、音質の根幹を成す「3つの技術的革新」について解説します。
Pi7 S2からの決定的な進化:12mmシングルドライバーへの回帰
『Pi8』における最大のトピックの一つが、ドライバー構成の刷新です。
前作「Pi7 S2」では、高域用のバランスド・アーマチュア(BA)型と、中低域用のダイナミック型を組み合わせた「2wayハイブリッドドライバー構成」を採用していました。
これは、各帯域を得意なドライバーに任せることで、ワイドレンジな再生を可能にする手法です。
しかし、『Pi8』ではあえて「1基のダイナミックドライバー」へと回帰しました。
| モデル | ドライバー構成 | 特徴 |
| Pi7 S2 (前作) | 2way ハイブリッド (BA + 9.2mm ダイナミック) | 帯域ごとの分離感に優れるが、クロスオーバー(音のつなぎ目)の調整が難しい。 |
| Pi8 (今作) | 12mm カーボンコーン・シングルドライバー | 音のつながりが極めて滑らか。位相のズレがなく、定位感が向上。 |
一見すると「2つから1つに減った」ことでスペックダウンしたように感じるかもしれません。
しかし、オーディオの世界において「シングルドライバー」は、音の定位や位相特性(音のタイミング)を揃えるための理想的な形式の一つです。
B&Wは、ドライバーの口径を前作の9.2mmから12mmへと大型化させました。
これにより、シングルドライバーでありながら、ハイブリッド型に匹敵する広帯域再生と、ハイブリッド型では出し得ない「音の一体感」を両立させることに成功しています。
音質の要「ディスクリート構成」がもたらす圧倒的な純度
『Pi8』が「ワイヤレスイヤホンの枠を超えた」と評される最大の理由。
それが「ディスクリート構成」の採用です。
一般的なワイヤレスイヤホンは、SoC(System on a Chip)と呼ばれる1つのチップの中で、Bluetoothの受信、デジタル信号処理(DSP)、アナログ変換(DAC)、そして音声増幅(アンプ)のすべてを行います。
これは省電力で小型化に有利ですが、音質面では妥協が必要です。
一方、『Pi8』はこれらを独立(ディスクリート)させました。
- 一般的なイヤホン: 全機能を1つのチップで処理(効率優先)
- B&W Pi8:
- DSP(デジタル信号処理): 独立した高性能チップ
- DAC(D/Aコンバーター): 独立した高精度チップ
- アンプ: 独立した高出力回路
例えるなら、一般的なイヤホンが「何でもこなす便利屋さんが一人で作った料理」だとすれば、Pi8は「下処理、焼き、盛り付けをそれぞれの専門シェフが担当したフルコース」です。
DSP、DAC、アンプがそれぞれ独立して駆動することで、ノイズの干渉を極限まで減らし、スピーカーを駆動するパワー(駆動力)が飛躍的に向上しています。
この「余裕」こそが、Pi8の音の厚みを生み出しているのです。
aptX Lossless対応が生むワイヤレス最高峰の解像度
ハードウェアの進化に合わせ、伝送方式も最新規格に対応しました。
Qualcomm社の「Snapdragon Sound」および「aptX Lossless」への対応です。
- aptX Adaptive: 最大96kHz/24bit(ハイレゾ相当)
- aptX Lossless: 44.1kHz/16bit(CDスペック)をロスレス(無劣化 で伝送
これまでのBluetooth伝送は、どうしてもデータを圧縮して間引く必要がありましたが、aptX Lossless接続時(対応Android端末が必要)には、CDクオリティの音源をビットパーフェクトで伝送可能です。
「どうせワイヤレスだから」という言い訳を許さない。
送信側から出口のドライバーまで、情報の欠落を極限まで防ぐこの姿勢こそが、B&Wのフラッグシップたる所以です。
Bowers & Wilkins 「Pi8」のの音質を徹底解剖:圧倒的な静寂と密度感

ここからは、実際に『Pi8』で様々なジャンルの楽曲を聴き込んだ音質レビューをお届けします。
一聴して感じるのは、「圧倒的な情報の密度」と、その背景にある「漆黒の静寂」です。
音が鳴っていない瞬間の「無音」さえもが美しい。そう感じさせるイヤホンは、有線・無線を問わず稀有な存在です。
高音域:刺さることなく伸びるシルキーな解像感
前作Pi7 S2は、BAドライバー特有の「煌びやかさ」や「鋭さ」が高域の特徴でした。
それはそれで魅力的でしたが、楽曲によってはシンバルやサ行がわずかに耳に刺さる感覚がありました。
しかし、『Pi8』の高音域は、驚くほど「シルキー(絹のように滑らか)」です。
- 解像度: 非常に高い。微細なリバーブ(残響)の消え際まで追いかけられる。
- 質感: 角が取れており、耳当たりが優しい。
- 特徴: バイオリンの倍音やハイハットの金属音が、鋭く刺さるのではなく、空気中にスッと溶け込んでいくような感覚。
シングルドライバー化したことで、高域だけが浮き上がって聴こえるような違和感が完全に消滅しました。
「聴こえなかった音が聴こえる」という解像度を持ちながら、何時間聴いても聴き疲れしない。
この絶妙なチューニングは、B&Wのサウンドエンジニアの手腕に脱帽するほかありません。
中低音域:ヘッドホン級の厚みと制動の効いたレスポンス
『Pi8』の真骨頂は、間違いなくこの中低音域にあります。
多くのレビューでも触れられていますが、この低音は単に「量が多い」のではありません。
「質が良い」のです。
- 密度の高さ:
ベースやバスドラムの音に、確かな「質量」を感じます。
スカスカした軽い低音ではなく、空気を震わせるような実体感のある低音です。
これは前述したディスクリート・アンプの高い駆動力が寄与しています。 - 制動(ダンピング)の良さ:
12mmの大口径ドライバーでありながら、音がボワつきません。
バスドラムが「ドーン」と鳴った直後、瞬時に「ピッ」と止まる。
このキレの良さが、リズムに強烈なグルーヴ感を生み出します。
ボーカルもまた、低音に埋もれることなく、非常に肉厚に描写されます。
特に男性ボーカルのチェストボイスの響きや、女性ボーカルの息遣いの生々しさは、まるでハイエンドヘッドホンで聴いているかのような錯覚を覚えます。
音場表現:イヤホンの枠を超えた立体的なサウンドステージ
一般的なカナル型イヤホンは、どうしても頭の中で音が鳴っているような「頭内定位」になりがちです。
しかし『Pi8』は、その閉塞感を巧みに払拭しています。
左右への広がりはもちろんですが、特筆すべきは「奥行き」と「高さ」の表現です。
- 前後感: ボーカルが一歩前に出て、楽器隊がその後ろに配置されるレイヤー感が明確。
- 立体感: オーケストラやライブ音源を聴くと、各楽器の位置関係がホログラフィックに浮かび上がります。
この立体的な音場形成能力こそ、B&Wがスピーカーメーカーとして長年追求してきた「True Sound(あるがままの音)」の哲学そのものです。
目を閉じれば、そこにはイヤホンの存在が消え、音楽だけが残る感覚を味わえます。
Bowers & Wilkins 「Pi8」のノイズキャンセリング性能と独自の機能性

音質特化型のイヤホンとはいえ、現代のフラッグシップ機として機能性も無視できません。
『Pi8』のノイズキャンセリング(ANC)や独自機能は、実用レベルでどの程度使えるのでしょうか。
「音楽を邪魔しない」自然かつ強力なANCの実力
結論から言えば、『Pi8』のANC性能は「トップクラスではないが、音楽鑑賞にはベストなバランス」です。
絶対的な静寂性(例えば、地下鉄の轟音を完全に消し去るような強力さ)においては、Boseの「QuietComfort Ultra Earbuds」やSonyの「WF-1000XM5」に軍配が上がります。
しかし、B&Wのアプローチは異なります。彼らのANCの目的は「無音室を作ること」ではなく、「音楽再生に悪影響を与えずに、騒音だけを取り除くこと」です。
- 自然な効き味: ANC特有の「耳が詰まるような圧迫感(ツーンとする感じ)」が皆無です。
- 音質変化の少なさ: ANCをONにしても、高域が曇ったり低域が痩せたりしません。
- 実用性: 電車の走行音やオフィスの空調音といった、音楽鑑賞の妨げになる低周波ノイズはしっかりとカットします。人の話し声などの中高域は多少残りますが、音楽を再生すれば全く気にならないレベルです。
「静寂」そのものを楽しむためのANCではなく、「良い音で音楽を聴くための環境を整える」ためのANC。
その設計思想は一貫しています。
唯一無二の「スマートケース」トランスミッター機能の活用法
『Pi8』(およびPiシリーズ)には、他の追随を許さないユニークな機能があります。
それが、充電ケース自体がBluetooth送信機になる「オーディオ・リトランスミッション機能」です。
これは、付属のケーブル(USB-C to 3.5mm、またはUSB-C to C)を使って、充電ケースを非Bluetooth機器に接続すると、ケースが音声を『Pi8』にワイヤレス送信してくれるというもの。
【具体的な活用シーン】
- 飛行機の機内エンターテインメント:座席モニターのイヤホンジャックにケースを接続すれば、使い慣れた『Pi8』の高音質で映画を楽しめます。機内配布の安っぽいヘッドホンを使う必要はありません。
- Nintendo Switchや古いゲーム機:遅延の少ないaptX Adaptive(低遅延モード)で接続されるため、ゲームプレイも快適です。
- 高音質DAPやPCとの接続:Bluetooth機能がない、あるいはSBCしか対応していない古いPCやDAPでも、ケースを経由することで高音質コーデック(最大96kHz/24bit)での伝送が可能になります。
この機能は「あると便利」の域を超え、出張の多いビジネスパーソンや、様々なソースで音楽を聴きたいユーザーにとっては、購入の決め手になり得る強力な武器です。
Pi7 S2や他社フラッグシップ機との比較で見える立ち位置
ここで、競合となる主要なフラッグシップモデルとの立ち位置を整理してみましょう。
| 比較項目 | B&W Pi8 | Sony WF-1000XM5 | Devialet Gemini II | Bose QC Ultra |
| 音質の傾向 | 密度・解像度・自然さの極致 | バランス型・デジタル処理の巧みさ | 低音の深み・ラグジュアリーな響き | 重低音寄り・エンタメ志向 |
| ANC性能 | ★★★★☆ (自然) | ★★★★★ (強力) | ★★★★☆ (自然) | ★★★★★+ (最強) |
| 機能性 | トランスミッター機能あり | 全部入り (最強) | シンプル | イマーシブオーディオ |
| 装着感 | 非常に良い | 良い (小型だがイヤーピース選ぶ) | 良い | 非常に良い |
| 価格帯 | 約6.5万円 | 約4万円 | 約6.5万円 | 約4万円 |
- Sonyは「機能と便利さの王者」。
- Boseは「静寂と低音の王者」。
- Devialetは「デザインと低音の質のライバル」。
- B&W Pi8は「純粋なオーディオ体験と実用性の融合」です。
機能満載のガジェットが欲しいならSonyですが、音楽の感動を最優先しつつ、日常使いのストレスも排除したいなら、Pi8が最もバランスの高い選択肢となります。
Bowers & Wilkins 「Pi8」を使用した私の体験談・レビュー

スペックや理論だけでなく、実際に私が『Pi8』を数週間、日常のパートナーとして連れ回したリアルな体験談をお伝えします。
「毎日使う道具」としての評価はどうなのか、包み隠さずレビューします。
【装着感】刷新されたシェイプによるフィット感の劇的改善
正直に告白すると、前作Pi7 S2は、私の耳には少々「ゴツい」印象でした。
長時間着けていると、耳の軟骨部分が痛くなることがあったのです。
しかし、『Pi8』の装着感は劇的に改善されています。
- 形状の変化: 筐体が薄くなり、耳の内側に収まるシェイプがより人間工学的になりました。
- 安定感: 上部に小さなフィン(突起)があり、これが耳のくぼみに絶妙に引っかかります。歩行中はもちろん、小走りで信号を渡ってもズレる気配がありません。
3〜4時間の連続使用でも耳への負担がほとんどなく、音楽に没頭できました。
「良い音も、装着感が悪ければ台無し」というオーディオの鉄則を、B&Wはしっかりとクリアしてきました。
【質感】充電ケースのデザイン変更と所有欲について
ここは賛否が分かれるポイントかもしれません。
前作Pi7シリーズのケースは、大きく重厚感がありましたが、『Pi8』のケースは一回り小さくなり、軽量化されました。
- メリット: ポケットに入れた際のもっこり感が減り、携帯性が向上しました。
- デメリット: 正直なところ、プラスチックの質感(特に蓋の開閉感)は少し「軽く」なりました。
6万円を超える高級機としては、もう少し重みや金属的な質感が欲しかったというのが本音です。
しかし、本体(イヤホン部分)のデザインは秀逸です。
光沢のあるフェイスプレートとプレミアムな仕上げは、耳元に宝石を飾っているような所有欲を満たしてくれます。
ケースは実用性重視、本体はラグジュアリー重視、という割り切りを感じました。
【操作性】タッチセンサーの感度とアプリのカスタマイズ性
タッチ操作のレスポンスは良好です。
タップ時の反応音も上品で、誤操作も少ない印象でした。
専用アプリ「Music | Bowers & Wilkins」は洗練されており、イコライザー(5バンド)の調整も直感的に行えます。
ただ、B&Wの目指す「True Sound」がデフォルト状態で完成されているため、個人的にはイコライザーをいじる必要性をほとんど感じませんでした。
それほど、出荷時のチューニングが素晴らしいのです。
【接続安定性】人混みや移動中での途切れにくさを検証
アンテナ設計の見直しもあり、接続安定性は非常に高いレベルにあります。
- 検証場所: 朝の通勤ラッシュ時の新宿駅、渋谷のスクランブル交差点。
- 結果: aptX Adaptive(高ビットレート)接続時でも、音途切れはほぼゼロでした。
前作Pi7(初代)では、極端に混雑した場所で瞬断することがありましたが、『Pi8』ではその弱点が完全に克服されています。
スマホをズボンの後ろポケットに入れていても安定しており、ストレスフリーです。
【バッテリー】日常使いで感じる持ちの良さと急速充電の恩恵
バッテリーライフについても不満はありません。
ANCオンで単体約6.5時間というスペックは、競合と比較して「普通」の数値ですが、実使用で困ることはありませんでした。
特筆すべきは急速充電です。
「出かけようとしたらバッテリーがない!」という時でも、15分ほどケースに入れておけば2時間の再生が可能です。
この安心感は、日々の運用で非常に大きいです。
体験談の総括
『Pi8』と過ごした数週間、私は何度も「ハッ」とさせられました。
聴き慣れたはずのプレイリストから、今まで気づかなかったコーラスのラインや、ドラムのゴーストノートが聴こえてくるからです。
単に「音が良い」だけでなく、装着感の向上や接続の安定性によって「使いやすさ」が担保されているため、「気合を入れて音楽を聴く時」だけでなく「毎日の通勤時間」が極上のリスニングルームに変わりました。
ケースの質感にわずかな惜しさはあるものの、耳に装着して音楽を流した瞬間、そんな些細な不満は消し飛びます。
この体験にお金を払う価値は、十分にあると断言できます。
Bowers & Wilkins 「Pi8」に関するQ&A

Bowers & Wilkins 「Pi8」に関してよく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
iPhoneユーザーですが、Pi8の性能をフルに発揮できますか?
はい、可能です。さらに「裏技」もあります。
iPhoneは「aptX Lossless」などの高音質コーデックに対応していませんが、Pi8はiPhone標準のAAC接続でも驚くほど高音質です。さらに、Pi8独自の「トランスミッター機能」を使えば、iPhone(iPhone 15以降のUSB-Cモデル)と充電ケースをケーブルで接続することで、ケースが送信機となり、より高音質なaptX Adaptive相当で伝送させることが可能です。これにより、iPhoneユーザーでもPi8のポテンシャルを最大限に引き出せます。
マルチポイント接続には対応していますか?
はい、対応しています。
同時に2台のデバイス(例:スマホとPC)に接続可能です。PCで音楽を聴いている最中にスマホに着信があっても、操作なしで自動的に切り替わり、通話を始めることができます。前作ユーザーから要望の多かった機能であり、ビジネス用途での利便性が大きく向上しています。
スポーツや雨の日でも使えますか?(防水性能について)
IP54の防塵・防滴仕様に対応しています。
多少の雨や、ランニング中の汗程度であれば問題なく使用できます。ただし、「完全防水」ではないため、水没やシャワー中の使用、ケースごとの水洗いは避けてください。
ノイズキャンセリング使用時のバッテリー持ちはどのくらいですか?
イヤホン単体で約6.5時間です。
ケース込みでは最大20時間の再生が可能です。他社のロングバッテリーモデル(8〜10時間)に比べると平均的ですが、通勤・通学や長時間のフライトでも十分実用的なレベルです。また、15分の充電で2時間再生できる「急速充電」に対応しているため、万が一の充電切れでも安心です。
Web会議や通話でのマイク品質はどうですか?
前作から大幅に向上しており、クリアです。
マイク配置の見直しとエコーキャンセリング技術の向上により、騒がしい場所でも自分の声を相手にクリアに届けることができます。ビジネスシーンでのWeb会議でも十分に通用する品質です。
ゲームや動画視聴時の「音ズレ」は気になりますか?
ほとんど気になりません。
aptX Adaptive接続時は低遅延モードが自動的に機能するため、YouTubeやNetflixなどの動画視聴、一般的なゲームプレイで遅延を感じることはほぼありません。ただし、0.1秒を争うようなシビアな音ゲーやFPS(対戦ゲーム)をプレイする場合は、有線接続またはトランスミッター機能の活用をおすすめします。
充電ケースのトランスミッター機能は、どんな機器に使えますか?
イヤホンジャックやUSB-Cポートを持つほぼ全ての機器に使えます。
- 飛行機の機内エンターテインメントシステム(3.5mmジャック)
- Nintendo SwitchやPS5(USB-Cまたは3.5mm)
- Bluetooth非対応の古いPCやDAP
- iPhone 15/16シリーズ(高音質化目的でUSB-C接続) これらの機器に付属ケーブルでケースを繋ぐだけで、Pi8の高音質ワイヤレス再生が可能になります。
専用アプリのイコライザー(EQ)は細かく設定できますか?
5バンドの調整が可能ですが、「調整不要」な完成度です。
「Music | Bowers & Wilkins」アプリには5バンドのカスタムEQが搭載されています。しかし、Pi8はデフォルトの状態(True Sound)でアーティストの意図を再現するように完璧にチューニングされています。極端に低音をブーストしたい場合などを除き、基本的にはEQオフ(フラット)で聴くのが、このイヤホンの最も美味しい聴き方です。
片耳だけで使用することは可能ですか?
はい、左右どちらでも単独使用が可能です。
左だけ、あるいは右だけケースから取り出して使用できます。片耳使用時には自動的にステレオ信号がモノラルにミックスされるため、楽曲の左右の音が欠ける心配もありません。通話時や、周囲の音を聞きながらBGMとして流したい時に便利です。
ヘッドホンのフラッグシップ「Px8」と比べて、正直なところ音質差はありますか?
物理的なスケール感は譲りますが、「音色の純度」は肉薄しています。
さすがにドライバー口径が全く違うヘッドホン(Px8)と比較すると、音場の広さや重低音の空気感ではPx8に分があります。しかし、Pi8は同じカーボンコーン素材を使っているため、音のキャラクター(音色)や解像度の高さは驚くほど似ています。「夏場はヘッドホンが暑いからPi8にする」といった使い分けをしても、音質面での格落ち感をほとんど感じさせないレベルに仕上がっています。
無音時の「サーッ」というホワイトノイズは気になりますか?
驚くほど静かです。ほぼ皆無と言っていいでしょう。
安価なANCイヤホンや、アンプ性能が低いモデルでは、無音時や静かな曲の最中に「サーッ」という底ノイズが聴こえることがありますが、Pi8はアンプ回路が独立(ディスクリート)している恩恵で、S/N比(信号対雑音比)が極めて高いです。クラシックのピアニッシモや、曲間の静寂もノイズに邪魔されず楽しめます。
イヤホン本体で音量調節はできますか?
はい、可能です。
初期設定では、イヤホンのタッチセンサー面を**タップ&ホールド(長押し)**することで音量調整ができるようになっています(例:右長押しでアップ、左長押しでダウンなど)。スマートフォンを取り出さずに微調整ができるので便利です。
充電ケースのバッテリー残量はどうやって確認しますか?
ケース正面のLEDインジケーターの色で判別します。
ケースにイヤホンを戻した際や、ケースの蓋を開けた際にLEDが点灯します。
- 緑: 十分に残量あり(40%以上)
- 黄(アンバー): 少なくなっている(20〜40%)
- 赤: 要充電(20%以下) また、詳細な%表示(例:ケース残量85%など)は、専用アプリ画面で確認することができます。
Bowers & Wilkins 「Pi8」レビューのまとめ

Bowers & Wilkins 「Pi8」は、完全ワイヤレスイヤホンの中でもトップクラスの音質と機能性を誇る製品です。
この記事を通して紹介してきた通り、Pi8は音楽愛好家やオーディオファンにとって、間違いなく満足できる製品と言えるでしょう。
ここでは、これまでのポイントを振り返りながら、「Pi8」の魅力を再確認します。
Pi8を導入して感じた確実なメリット
- 圧倒的な音響性能: ディスクリート構成と12mmカーボンコーンが生む、密度と静寂が共存するサウンド。
- ジャンルを選ばない万能さ: クラシックの繊細さからEDMの重低音まで、破綻なく鳴らしきる懐の深さ。
- 装着感の劇的進化: 長時間使用でも快適な新デザイン。
- 唯一無二のトランスミッター機能: 飛行機やゲーム機でも高音質ワイヤレスが使える。
- 接続安定性: 混雑した場所でも途切れない信頼性。
購入前に知っておくべき注意点とデメリット
- 価格の高さ: 約6.5万円は、ワイヤレスイヤホンとしては最高峰の価格帯。
- ANCの強度: 「完全なる無音」を求めるならBoseやSonyの方が上(ただし音楽用としてはPi8が優秀)。
- ケースの質感: 価格の割にプラスチッキーで、傷がつきやすそうな印象を受ける。
Pi8をおすすめできる人:音質妥協なしのユーザー
- すでに有線の高級イヤホンやヘッドホンを持っているが、ワイヤレスでも同等の感動を味わいたい人。
- 「機能」よりも「音質」に投資の比重を置きたい人。
- 普段聴いている音楽の、新たな一面を発見したい人。
- 出張や旅行が多く、機内でも自分のイヤホンを使いたい人。
Pi8をおすすめしない人:コスパや機能重視派
- とにかく強力なノイズキャンセリングで、周囲の音を完全に遮断したい人。
- 「音質はそこそこでいいから、安くて便利なものが欲しい」というコスパ重視の人。
- ケースの高級感や所有満足度(ガジェットとしての重厚感)を最優先する人。
結局、前作Pi7 S2から買い替える価値はあるのか
前作「Pi7 S2」ユーザーの方へ。 「買い替えの価値は、間違いなくあります」
ドライバー構成の変更による音のつながりの良さ、そして何より装着感の改善は、毎日の使用感に直結します。
Pi7 S2の下取り価格が高いうちに、Pi8へのステップアップを検討することを強くおすすめします。
音がさらに「洗練」されたことを、一聴して理解できるはずです。
Bowers & Wilkins 「Pi8」レビューの総評:ワイヤレスオーディオの新たな到達点として
Bowers & Wilkins Pi8は、ワイヤレスイヤホンというカテゴリーにおいて、一つの「到達点」を示しました。
それは、利便性のために音質を犠牲にする時代の終わりであり、「ワイヤレスだから」という言い訳が通用しない時代の幕開けでもあります。
6万5千円という投資は、決して安くはありません。
しかし、毎日持ち歩けるハイエンドオーディオシステムを手に入れると考えれば、その価値は計り知れません。あなたの音楽ライフを、一段高いステージへと引き上げる『Pi8』。
その感動を、ぜひあなたの耳で確かめてみてください。
きっと、「もっと早く買っておけばよかった」と思うはずです。


