FIIOから登場したハイエンド・オープン型ヘッドホン「FT7」は、注目度の高い製品です。
2025年7月に発売されたこのモデルは、FIIOが独自に開発した106mmの大型平面駆動ドライバーを搭載し、従来モデルFT5からさらに進化を遂げた設計となっています。
この記事では、FIIO 「FT7」の構造や素材、装着感、音質、そして前モデル「FT5」との比較を通じて、その魅力を深堀りしていきます。
特に「高価格でも納得できる音質とは何か」「長時間の使用でも快適でいられるか」といった疑問を持つユーザーにとって、有益な情報をお届けできるはずです。
また、FIIO 「FT7」は、単にスペックを詰め込んだだけの製品ではありません。
天然木材ゼブラウッドやカーボン素材といった高品質な素材を使用し、音だけでなく見た目や装着体験にもこだわった一台です。
付属品の充実度も含め、ハイエンドヘッドホンとしての完成度が非常に高いと言えるでしょう。
この記事を通じて、「FIIO FT7は果たして自分にとって理想のヘッドホンなのか?」という判断材料となる情報を、丁寧に解説していきます。

FIIO 「FT7」とはどんなヘッドホンか?

FIIO 「FT7」は、FIIOが独自開発した「106mm平面駆動ドライバー」を搭載した開放型ヘッドホンで、同社のハイエンドラインを代表するモデルの一つです。
2025年7月に発売され、その構造・素材・音質のすべてにおいて妥協のない設計が話題を呼びました。
FIIOがこれまで培ってきたアンプやIEMの技術を結集し、音の生々しさ、繊細さ、力強さのバランスを追求した製品が、この「FT7」です。
独自開発の106mm平面駆動ドライバーとは
FIIO 「FT7」最大の特徴は、自社開発による106mmの大型平面駆動(プランナー)ドライバーの搭載です。
平面駆動ドライバーの特徴
- ダイナミック型よりも膜全体が均一に振動する構造により、ひずみが少なく、精密な音の再現が可能
- 繊細なニュアンス表現や、空間の奥行き感をしっかり描き出す
- 大型(106mm)にすることで、より深みのある低域とスケール感を実現
このドライバーにはさらに以下のような高度な技術が盛り込まれています:
特徴 | 内容 |
---|---|
コイル構造 | 金と銀のメッキを施した多層コイルにより、応答性と分解能を両立 |
振動板素材 | 厚さ1mmの超薄型フィルムをベースにした特製振動板 |
冷却処理 | ケーブルには液体窒素による低温処理(極低温アニーリング)を施し、伝送ロスを最小化 |
プレミアム素材とハイエンド設計の魅力
FIIO 「FT7」は、音だけでなく外観や装着感にも強いこだわりが感じられる仕上がりです。
使用素材とデザインの特徴
- ハウジング素材:天然のゼブラウッド(縞模様が美しい高級木材)を使用し、外観に温もりと高級感を演出
- フレーム素材:カーボンファイバーで構成され、剛性と軽量化を両立
- イヤーパッド:
- 初期装着:ラムスキン(高級羊革)製。音の密度と落ち着きが得られる
- 交換用:ファブリック素材。蒸れにくく、軽快な音の広がりを体感可能
- ケーブル:
- 長さ:約3m
- 素材:6N高純度銅、低温処理済み
- 接続:デュアル3.5mmモノラル → 4.4mmバランスプラグ
- 付属:XLR4局・6.3mm標準プラグへの変換アダプター付き
これらにより、視覚的にも触覚的にも“プレミアム体験”が味わえるヘッドホンに仕上がっています。
開放型ならではのリスニング体験
FIIO 「FT7」はオープンバック(開放型)構造を採用しています。
これにより、音の広がりや空気感が極めて自然で、まるで目の前で生演奏されているかのようなリアルなサウンドを楽しめます。
開放型のメリット
- 空間の広がりと定位感が優れる
- 音のこもりがなく、明瞭なサウンド
- 長時間のリスニングでも疲れにくい
留意点
- 周囲の音が入りやすいため静かな室内での使用向き
- 音漏れが発生しやすいため、公共の場所での使用には不向き
このようにFIIO 「FT7」は、音質設計、素材選び、快適性のすべてにおいて高次元でまとめられた製品であり、静かなリスニング環境において最高のパフォーマンスを発揮する一台です。
FIIO 「FT7」の使用感と付属品の充実度

FIIO 「FT7」は、見た目の重厚感からは想像しにくいほど、装着時の快適さとバランスの良さが際立つヘッドホンです。
さらに、付属品の豊富さと実用性も特筆すべきポイント。ユーザーの使用環境に柔軟に対応できるよう設計されています。
ケーブル・変換プラグの仕様と使い勝手
FIIO 「FT7」には、高品質かつ実用性の高いケーブルと変換アダプター類が一式同梱されています。
これにより、バランス出力対応の高級アンプから、一般的なオーディオ機器まで幅広く対応できます。
項目 | 内容 |
---|---|
ケーブル長 | 約3m(ゆったり使える長さ) |
ケーブル素材 | 6N高純度銅+極低温処理済み(液体窒素冷却) |
接続端子(ヘッドホン側) | デュアル3.5mmモノラル(TS) |
接続端子(プレイヤー側) | 4.4mmバランスプラグ |
付属アダプター | ① 4.4mm → XLR(4ピン) ② 4.4mm → 6.3mm標準(アンバランス) |
使用感のポイント
- ケーブルはしっかりとした太さと剛性があり、プレミアム感を演出
- プレイヤー側のプラグは金属削り出しで、堅牢性と接触安定性が高い
- ヘッドホン側はモノラルTSの左右独立構造で、左右バランスの安定性が良好
交換用イヤパッドの特徴と装着感の違い
FIIO 「FT7」には2種類の交換用イヤパッドが付属しており、音の傾向や装着感の好みに応じて使い分けが可能です。
イヤパッド素材 | 特徴 | 音傾向 | 蒸れにくさ |
---|---|---|---|
ラムスキン(革) | 高級感・しっとりした質感 | 密度感のある落ち着いた音 | △ |
ファブリック(布) | 通気性に優れ、軽快なタッチ | 明るく抜けの良い音 | ◎ |
装着の工夫
- 左右の前後で高さが異なる立体構造:耳の形状に沿った自然なフィット感を実現
- 着脱方式は爪引っかけ型:簡単かつ安定した装着が可能(マグネット式ではない)
装着時の違いは明確で、たとえば夏場はファブリック、寒い時期はラムスキンというように季節や使用時間に応じて最適化することもできます。
長時間リスニング時の快適性
一見すると重量級に見えるFIIO 「FT7」ですが、実際の装着感は非常に軽く、長時間でも疲れにくい設計となっています。
快適性の理由
- カーボン製のヘッドバンド:高剛性かつ軽量で頭頂部への負担を軽減
- イヤーパッドの厚みと反発性:程よい反発力で耳を包み込むフィット感
- 側圧がソフト:長時間装着でもこめかみが痛くならない
これにより、3時間以上の連続リスニングでも快適に使用できるという評価が多く聞かれます。
付属品の一覧と活用度
付属品 | 用途 | 特徴 |
---|---|---|
キャリングケース | 収納・持ち運び | ファブリック+レザーの高級仕様、内部専用設計で保護性能◎ |
交換イヤパッド×2種 | 装着感と音質の調整 | ラムスキン・ファブリックの2種類が付属 |
変換アダプター×2 | 環境対応 | 4.4mm → XLR4、4.4mm → 6.3mm標準に変換可 |
専用ケーブル | 音質の要 | 液体窒素冷却処理済み、3mの高品質バランスケーブル |
総評として、FIIO 「FT7」はパッケージ内容からして「ユーザーのリスニング環境を一切妥協させない」という姿勢が徹底されています。
使用時の快適さと高級感、そして幅広い接続性は、このクラスの製品に求められる要素をすべて満たしているといえるでしょう。
FIIO 「FT7」の音質レビューとジャンル適性

FIIO 「FT7」は、高解像度・高ダイナミクス・高い空気感を実現したハイエンドオープン型ヘッドホンです。
その音の傾向は、ナチュラルさと生々しさを兼ね備えており、どんなジャンルでも高い再現性を発揮しますが、特にアコースティック楽器やライブ音源で真価を発揮します。
解像度と描写力の高さが生む臨場感
FIIO 「FT7」のサウンドは、「ディテールの描写力」に優れており、まるで楽器のタッチや奏者の息づかいまでも感じ取れるような“生音の質感”が魅力です。
解像度の高さが際立つポイント
- 弦楽器のアタックやリリースのニュアンスまで繊細に表現
- シンバルやハイハットの「鳴り始めから消えるまで」が明瞭
- ドラムマイクの空気感、距離感の描写がリアル
- 声のビブラート、吐息、口の開閉の音まで再現されるレベル
臨場感の要因
要素 | 特徴 |
---|---|
開放型構造 | 音が広がり、スピーカーに近い空間表現 |
平面駆動ドライバー | 歪みが少なく定位が明確 |
中低域の密度感 | 実在感のある音像を形成 |
サウンド傾向とおすすめジャンル
FIIO 「FT7」の音質は、ナチュラルでありながら芯が強く、広がりと深みを両立させた絶妙なチューニングが施されています。
サウンドバランスの傾向
周波数帯域 | 特徴 |
---|---|
低域 | 深みがありつつ締まりもある。過度に誇張されない自然な響き |
中域 | 音像の芯があり、ボーカルや楽器の明瞭度が高い |
高域 | きつさがなく滑らか。伸びやかで耳に優しい質感 |
音の傾向まとめ
- 解像感:★★★★★
- ナチュラルさ:★★★★★
- 力強さ・ダイナミズム:★★★★☆
- 音場の広さ:★★★★★
- 押し出し感(インパクト):★★★☆☆
相性の良いジャンル一覧
ジャンル | 相性 | 解説 |
---|---|---|
ジャズ | ◎ | 生々しいサックス、ウッドベースの空気感をしっかり表現 |
クラシック | ◎ | 弦・管楽器の分離と音場再現が優秀 |
アコースティック | ◎ | ギターやピアノのタッチまで繊細に描写 |
ライブ音源 | ◎ | 会場の空気や奥行きまで感じられるリアルな空間感 |
ロック・バンド系 | ○ | ドラムとベースの重厚感がしっかり出る |
エレクトロニカ・EDM | △〜○ | 低音の迫力はあるが、タイト系の音を求める人にはやや上品すぎる印象も |
ナチュラルさと生々しさの絶妙なバランス
FIIO 「FT7」は、“味付けの強すぎない、飽きの来ない音”を目指して設計されています。
そのため、日常的なリスニングにも、音楽に没入したい集中タイムにも適しています。
この「絶妙なバランス」が活きるシーン
- ハイレゾ音源やDSD音源をじっくり楽しみたいとき
- ミキシングやマスタリングの基準モニターとして
- ナチュラルな空気感を重視した映画・ライブ映像の鑑賞時
FIIO 「FT7」のサウンドは「脚色されすぎない自然な響き」と「高い情報量」が両立しており、長時間聴いても耳が疲れにくいという特性も持っています。
FIIO 「FT7」は、いわゆる“ハイエンドの音”という印象そのものであり、力強さよりも「緻密さ」「自然さ」「空気感」を重視したサウンド設計です。
万人受けではないかもしれませんが、音楽を本気で楽しみたい人にとっては、“音のリアリズムを味わえる贅沢な一台”になるはずです。
FIIO 「FT7」を使用した私の体験談・レビュー

◆ ファーストインプレッション:想像よりも“軽くて静か”
FIIO 「FT7」を手に取ったとき、その重厚な見た目と427gという数値から「ずっしりと重いのでは?」という先入観がありました。
しかし実際に装着すると、カーボン製ヘッドバンドとバランスの取れた重量配分のおかげで、見た目以上に軽やかな印象でした。
とくに驚いたのは、装着時の“無音感”。
まだ音を流していないのに、耳にパッドをあてた瞬間、外界のノイズがすっと引いていくような感覚があり、「このヘッドホン、本気で空間をつくるぞ」と感じたのを覚えています。
◆ シーン別のリアルな使用感
① 静かな夜、部屋での“没入リスニング”
夜、照明を落として一人でジャズのライブアルバムを聴いたときのこと。
冒頭のざわめき、楽器のチューニング音、会場に漂う空気感まで再現され、まるでステージ最前列に座っているかのような錯覚がありました。
- シンバルの“触れる寸前の揺れ”
- ダブルベースの「弦が戻る瞬間」の響き
- 観客の咳や椅子のきしみまで伝わるリアリズム
これは平面駆動型+開放型の掛け算ならでは。密閉型やIEMでは得られない、空気ごと音を鳴らす感覚が心地よく、1時間以上音に没頭していました。
② デスクワークのBGMでクラシックを流してみた
ファブリックパッドに交換し、午前中のデスクワーク中にピアノソロや弦楽四重奏をBGMとして再生。
3時間以上連続で使用しましたが、耳まわりの蒸れや違和感はゼロ。
イヤーパッドが前後非対称のため、頭の形に自然に沿うフィット感が得られました。
音楽が邪魔にならず、でも確実に空間に在る。そんな“空気の一部としての音”が「FT7」の魅力だと感じました。
◆ 音質のリアルな印象:情報量が圧倒的
音のディテールに“手触り”がある
ギターやピアノの音には「鳴った」だけでなく、「触った」「弾いた」「離した」という“動作の軌跡”が含まれていました。
単なる“音の出入り”ではなく、演奏そのものを空間に浮かび上がらせる描写力です。
特に感動したのは以下のような瞬間:
- 弦が“震え始めてから落ち着く”までの波形の変化が見えるように感じる
- シンバルの中心と外周で鳴り方が異なるような立体的響き
- ボーカルの口の動きや息継ぎが明確に伝わる
サウンド傾向の実感(聴感ベース)
項目 | 実際の印象 |
---|---|
低域 | 輪郭がくっきりしている。ドスンと沈むより“スッ”と締まる系 |
中域 | 情報量が最も多い。声や弦、ピアノに“芯”があり存在感がある |
高域 | 金属音や空気感を滑らかに表現。耳に刺さらず、残響が長く自然 |
◆ 付属品や構造に対する気づき
- 3mケーブル:取り回しが面倒だと思っていたが、結果的に座りながらの動作自由度が大きくなり快適
- 4.4mm→XLR/6.3mm変換:アンプごとに使い分けができて、買い足す必要がなかったのが好印象
- パッドの交換性:付け替えが簡単なのに安定感が高く、「シーンで音を変える」体験がしやすかった
◆ 長期使用で見えた本質
最初は「ナチュラルなヘッドホン」という認識でしたが、使い込むほどに“意図的に加工しない潔さ”のような美学を感じました。
たとえば以下のような変化を体験しました:
- 慣れてくると“音があること”より“音がないと気づく”存在感になる
- 他のヘッドホンに戻ると、“あれ、こんなに音作ってた?”と感じる
- ジャンルを問わず自然な音場で鳴るため、ヘッドホンの存在が消える瞬間がある
◆ 最終的な印象
FIIO 「FT7」は「音がいいヘッドホン」ではなく、“音楽と向き合うための空間を作るヘッドホン”だと感じました。
リスニング環境が静かな人、じっくりと音に没頭したい人にとって、これ以上ない選択肢になると思います。
このように、使えば使うほど“音楽の見え方”が変わってくるFIIO 「FT7」。
ハイエンド価格帯に見合うだけの体験価値を持った、本物志向のリスナーに応える一台だと胸を張って言えるモデルです。
FIIO 「FT7」に関するQ&A

FIIO 「FT7」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「FT7」はどんな人に向いていますか?
音楽を深くじっくり楽しみたい人、特にジャズやクラシック、ライブ音源などの“空気感”を大切にしたい人におすすめです。音の加工感が少なく、生音志向のリスナーに特に向いています。
イヤーパッドは交換して音質に違いが出ますか?
はい、明確に変わります。ラムスキン製は密度のある濃厚な音に、ファブリック製は開放感が増してやや軽快な音になります。蒸れや快適性も変わるため、季節やジャンルで使い分けるのがおすすめです。
アンプなしでも使えますか?
ポータブルアンプなしでも鳴らすことは可能ですが、性能を引き出すにはある程度出力のあるヘッドホンアンプを通すのが理想です。4.4mmバランス出力やXLR接続できる据え置きアンプがあれば、音の広がりや立体感がさらに引き出されます。
前モデルの「FT5」と迷っています。決め手は何ですか?
「FT5」はやや濃厚で押し出しの強いサウンド、「FT7」は自然で滑らかなナチュラルサウンドという印象です。繊細さや臨場感を求めるなら「FT7」、力強さやパンチを重視するなら「FT5」という棲み分けになります。
ケーブルが太くて長いと聞きました。取り回しに困りませんか?
確かにケーブルは約3mと長く、取り回しには注意が必要ですが、室内で腰を据えてリスニングする用途ではむしろ快適です。余裕を持って動けるため、リラックスした姿勢でもストレスがありません。
高価なヘッドホンですが、価格に見合う価値はありますか?
はい、非常に高い完成度と付加価値を備えています。音質のリアルさ、素材の高級感、装着時の快適性、そして豊富な付属品に至るまで、「10万円超クラス」の理由が明確に感じられる一台です。
「FT7」の音漏れはどの程度ですか?夜間の使用でも大丈夫?
音漏れは開放型ヘッドホンとしては一般的なレベルです。音量を上げると周囲にしっかり聴こえるため、夜間や家族が寝ている空間での使用は注意が必要です。静かな個室であれば問題ありません。
ゲームや映画鑑賞にも使えますか?
十分可能です。特に映画ではセリフの明瞭度、環境音のリアリティ、音場の広さなどで優れた没入感が得られます。ゲームにおいても、FPSなどで足音や位置関係を正確に捉える定位性能を発揮しますが、外音が入る点だけご注意ください。
装着時に耳が痛くなったりしませんか?
側圧は比較的ソフトで、長時間使用でもこめかみや耳が痛くなりにくい設計です。前後非対称パッドの採用や、パッド素材の選択肢があることも、快適さに貢献しています。
冬場や夏場で使い心地は変わりますか?
はい、変わります。ラムスキン製のイヤーパッドは冬場に暖かく快適ですが、夏場はやや蒸れやすい傾向があります。一方、ファブリック素材は通気性が高く夏向けの快適仕様といえます。季節でパッドを使い分けるのが理想的です。
ケーブルの交換は可能ですか?
はい、可能です。ヘッドホン側は3.5mmモノラルのデュアル端子で接続されているため、市販のケーブルとの交換も可能です。ただし、極端に重いケーブルや硬い素材だと快適性に影響する可能性があります。
「FT7」はモニター用途にも適していますか?
ナチュラルでフラット寄りのサウンド特性により、モニター用途にも十分使用可能です。ただし、音の“演出”が抑えめなので、味付けの確認よりも“素材のチェック”に向いています。特にアコースティック楽器やボーカル中心のミックス確認には好適です。
FIIO 「FT7」レビューのまとめ

FIIO 「FT7」は、同社がこれまでに培ってきたオーディオ技術を結晶化させた、真にハイエンド志向の開放型ヘッドホンです。
自社開発の106mm平面駆動ドライバーによって、圧倒的な情報量と広大な音場を実現し、音楽を“聴く”という行為を“体験”へと昇華させてくれる一台となっています。
音質の特徴と魅力
- 解像度、定位感、空気感のすべてがハイレベル
- ナチュラルでニュートラルな音傾向ながら、芯のあるサウンド
- 繊細さと力強さを兼ね備え、生々しいリアリティを伴った音再現
音質項目 | 評価・傾向 |
---|---|
低域 | 深くタイト。自然で誇張なし |
中域 | 豊かな情報量と音像の立ち上がり |
高域 | 滑らかで耳に刺さらず伸びがある |
解像度 | 非常に高く、細部まで再現可能 |
音場 | 水平・垂直ともに広く、空間が明瞭 |
装着感と使い勝手
- 大型ボディとは裏腹に、装着時の重量感は非常に軽快
- ラムスキンとファブリックの2種類のイヤーパッドで季節やジャンルに応じたチューニングが可能
- カーボンファイバーのバンドで圧迫感のないフィット感を実現
付属品・接続性の完成度
付属品 | 内容・特徴 |
---|---|
ケーブル | 6N高純度銅・液体窒素処理・3m |
変換アダプター | 4.4mm → XLR、4.4mm → 6.3mm |
交換用イヤーパッド | ラムスキン/ファブリックの2種 |
キャリングケース | ファブリック×レザー素材、専用設計 |
変換アダプターが標準付属していることで、バランス接続からアンバランス接続、据え置き機器からポータブル環境まで幅広い接続ニーズをカバーします。
向いているユーザー層
以下のような方に、FIIO 「FT7」は特におすすめです:
- 空気感や音場の広がりを大切にするリスナー
- ジャズ、クラシック、アコースティック、ライブ音源を中心に聴く方
- 一音一音の質感やニュアンスを繊細に味わいたい方
- 長時間でも疲れずに音楽を楽しみたい方
- デザインや素材感にこだわりたいオーディオ愛好家
購入の判断材料としてのまとめ
比較項目 | FIIO FT7の評価 |
---|---|
音質 | ★★★★★(自然かつ高精細) |
快適性 | ★★★★☆(軽快だがやや大きい) |
接続性 | ★★★★★(豊富な変換対応) |
デザイン | ★★★★★(ゼブラウッド+カーボン) |
汎用性 | ★★★☆☆(開放型ゆえ屋外には不向き) |
FIIO 「FT7」レビューの総括
FIIO 「FT7」は、その造り込みの精密さと音響設計の高さによって、単なる再生機器を超えた「音楽との対話の道具」と言える存在です。
106mmという大口径の平面駆動ドライバーが描き出す音は、聴き手に驚くほど自然でリアルな空間を提供し、演奏者の息遣いや楽器の質感までも細やかに伝えてくれます。
開放型ならではの広がりと空気感、カーボンとゼブラウッドによる重厚かつ軽やかなデザイン、そして快適な装着感や充実の付属品といった細部に至るまで、一切の妥協がありません。
使い込むほどにその良さが深まる、まさに本物志向のオーディオファンにこそふさわしい一台です。
静かな空間で、じっくりと音楽に没入したい──そんなあなたの傍に、FIIO 「FT7」は静かに寄り添ってくれるはずです。
