近年、スマートフォンのイヤホンジャック廃止や完全ワイヤレスイヤホン(TWS)の台頭により、ポータブルオーディオの環境は劇的に変化しました。
TWSの利便性は素晴らしいものですが、一方で「お気に入りの有線イヤホンをいい音で聴きたい」「TWSの音質では満足できない」というオーディオファンの声も根強く存在します。
そんな中、イギリスの名門オーディオブランド「iFi Audio(アイファイ・オーディオ)」は、独自の技術と哲学でポータブルオーディオ市場を牽引してきました。
同社の製品は、デスクトップオーディオに匹敵する高音質を、手のひらサイズのデバイスに凝縮することで世界中から高い評価を得ています。
今回レビューするのは、同社の大ヒットBluetooth DACアンプ「GO blu」の系譜を継ぐ最新モデル、「GO blu Air」です。
製品名に冠された「Air」が示す通り、このモデルは「空気のように軽い」「よりカジュアルに」をコンセプトに開発されました。
既存のGO bluが持つ圧倒的なサウンドクオリティを維持しつつ、素材の見直しや機能の取捨選択を行うことで、価格を約3万円から約2万2000円へと大幅にプライスダウンすることに成功しています。
しかし、単なる「廉価版」と侮ってはいけません。
最新のBluetoothチップセットの搭載や、ユーザーからの要望が多かったマグネットクリップの標準装備など、実用面では上位機種を凌駕する部分さえあります。
この記事では、実機を使用し、既存モデルとの比較、詳細なスペック検証、そして実際の生活での使用感を徹底的にレビューします。
初めてBluetooth DACを導入する方から、サブ機を探しているマニアの方まで、購入の参考となる情報をお届けします。
iFi Audio GO blu Airの基本スペックと進化点

手軽さを極めた「Air」のコンセプト
GO blu Airの最大の魅力は、そのパッケージングにあります。「高音質を持ち運ぶ」という行為に対する心理的・物理的なハードルを極限まで下げた設計思想が随所に見られます。
まず、特筆すべきはそのサイズと重量です。
- サイズ:消しゴムや使い捨てライターと同等
- 重量:30g以下(単3電池1本とほぼ同じ)
この極小ボディの中に、iFi Audioが誇るアナログ技術と最新のデジタル技術が詰め込まれています。
ポケットに入れても、シャツの胸ポケットに留めても、その存在を忘れてしまうほどの軽快さです。
これは、毎日持ち歩くデバイスとして非常に重要な要素です。
また、外装素材を従来の金属からポリカーボネートや合皮調素材に変更したことで、カジュアルなファッションにも馴染むデザインとなりました。
高級オーディオ機器特有の「重厚感」をあえて捨て、「親しみやすさ」と「実用性」を重視したのがGO blu Airのコンセプトと言えるでしょう。
最新チップ「QCC514x」搭載による恩恵
GO blu Airの心臓部には、Qualcomm製の最新Bluetoothチップセット「QCC514x」シリーズが採用されています。
これは、前作GO bluに搭載されていた「QCC5100」シリーズからの明確な進化点です。
このチップ変更により、以下のようなメリットが生まれています。
- 接続安定性の向上:人混みや電波干渉の多い場所でも音が途切れにくくなりました。
- 省電力化:バッテリー効率が向上し、公称値で約10時間の連続再生を実現しています。
- 対応コーデックの最適化:LDACやaptX Adaptiveなどの高音質コーデックを安定して処理します。
【対応コーデック一覧】
| コーデック | 特徴 | 最大ビットレート |
|---|---|---|
| LDAC | ソニーが開発したハイレゾ相当の転送が可能なコーデック。Androidユーザーに最適で、情報量の多さが圧倒的。 | 990kbps |
| aptX Adaptive | 接続状況に応じてビットレートを自動調整し、音途切れを防ぐ。低遅延かつ高音質でバランスが良い。 | 変動(~420kbps等) |
| aptX / aptX HD | 従来のAndroid端末で標準的に採用される高音質コーデック。安定感がある。 | 384kbps / 576kbps |
| AAC | iPhone(iOS)デバイスでの最高音質コーデック。Apple製品ユーザーは自動的にこれが選択される。 | 256kbps |
| SBC | 全てのBluetooth機器が対応する標準的なコーデック。汎用性は高いが音質は最低限。 | 328kbps |
特にaptX Adaptiveへの対応は重要で、移動中などの電波状況が変化しやすい環境下でも、音途切れを最小限に抑えつつ高音質を維持してくれます。
上位機種GO bluとの決定的な違い
購入を検討する際、最も悩ましいのが「無印GO blu」と「GO blu Air」のどちらを選ぶかという点でしょう。
両者の違いを明確にするため、比較表を作成しました。
【GO blu vs GO blu Air スペック比較】
| 項目 | GO blu (無印) | GO blu Air |
|---|---|---|
| 実売価格 | 約29,700円 | 約22,000円 |
| USB-DAC機能 | 対応(有線接続可) | 非対応(充電のみ) |
| 筐体素材 | 金属(マット仕上げ) | ポリカーボネート+合皮調 |
| 重量 | 27g | 24g(本体のみ) |
| Bluetoothチップ | QCC5100シリーズ | QCC514xシリーズ |
| 搭載マイク | CMOS-MEMS | CMOS-MEMS |
| 出力端子 | 4.4mm / 3.5mm | 4.4mm / 3.5mm |
| マグネットクリップ | 別売り(ケース) | 標準付属 |
最大の違いは、USB-DAC機能(有線接続)の有無です。
- GO blu:スマホやPCとUSBケーブルで接続し、有線DACアンプとしても使用可能。
- GO blu Air:Bluetooth受信専用。USB端子は充電専用。
GO blu Airは、「ワイヤレスで聴くこと」に機能を絞り込むことで、回路の最適化とコストダウンを実現しています。
この「割り切り」が自分の用途に合っているかが、選択の分かれ目となります。
iFi Audio GO blu Airの音質検証:サイズを超えた駆動力

iFi Audioらしいアナログライクな響き
実際に音を鳴らしてみると、そのサウンドクオリティの高さに驚かされます。
2万円台のBluetoothレシーバーとは思えないほど、「音楽的な響き」に満ちています。
昨今のデジタルオーディオ機器は、解像度やS/N比(信号対雑音比)といった数値を追求するあまり、音が冷たく、聴き疲れしやすい傾向があります。
しかし、iFi Audioのサウンドチューニングは一貫して「アナログライク」です。
- 中低域の厚み:ベースやドラムのキックに芯があり、グルーヴ感を損ないません。
- ボーカルの艶:人の声が生々しく、息遣いまで感じられるような温かみがあります。
- 高域の滑らかさ:刺さるような鋭さはなく、どこまでも伸びやかに広がります。
DACチップにはシーラス・ロジック社の「CS43131」を採用していますが、iFi Audio独自の回路設計により、チップ特有の音というよりも「iFiサウンド」として完成されています。
スマホ直挿しで聴く平坦な音とは一線を画す、立体的でエモーショナルな体験が得られます。
4.4mmバランス接続の実力とヘッドホン駆動
GO blu Airは、一般的な3.5mmステレオミニ端子に加え、オーディオマニア御用達の4.4mmバランス接続端子を搭載しています。
この極小ボディからは想像できないほどのドライブ力(駆動力)を持っており、バランス接続時の出力は非常にパワフルです。
【試聴環境とインプレッション】
- 高感度IEM(インイヤーモニター):
ボリュームを少し上げるだけで十分な音量が取れます。音が痩せることなく、イヤホンのポテンシャルをフルに引き出してくれます。 - モニターヘッドホン:
バランス接続を使用することで、据え置きアンプで鳴らした時と遜色ないレベルで駆動できました。低域の制動もしっかり効いており、ボワつくことなくタイトなリズムを刻みます。 - 高インピーダンス機(SENNHEISER HD660S2など):
さすがにフルパワーで鳴らし切るのは厳しい場面もありますが、ポータブル用途としてBGM的に聴く分には十分な音量が確保できます。このサイズでHD660S2を「聴ける音」で鳴らせること自体が驚異的です。
魔法のスパイス「XBass」と「XSpace」
iFi Audio製品の代名詞とも言える音質補正機能も健在です。
これらはDSP(デジタル信号処理)ではなく、高品質なディスクリート部品を使用したアナログ回路で行われるため、音質の劣化が極めて少ないのが特徴です。
本体側面のボタンを押すことで、以下のモードが順に切り替わります。
- 通常モード(消灯):
原音に忠実なフラットなサウンド。
まずはこの状態で聴くのがおすすめです。 - XBass(黄色LED):
低域の量感不足を補うモード。
単に低音をブーストするのではなく、「失われた低域成分を復元する」ような自然な効き方です。オープンイヤー型のイヤホンや、低域が控えめなBA(バランスド・アーマチュア)型イヤホンと相性抜群です。 - XSpace(青色LED):
音場感を拡張するモード。
頭の中で音が鳴っているような閉塞感(頭内定位)を緩和し、スピーカーで聴いているような広がりを持たせます。ライブ音源やオーケストラ、ジャズなどの空気感を味わいたい時に最適です。 - XBass + XSpace(白色LED):
両方の効果を同時に適用します。
迫力と広がりが同時に得られるため、映画鑑賞やゲーム音楽、EDMなどを聴く際に非常に楽しいモードです。
個人的には、外出時の騒音下では低音が聴こえにくくなるため、「XBass」を常時ONにしておくスタイルが非常に快適でした。
iFi Audio GO blu Airのデザインと操作性の評価

ポリカーボネート採用による軽量化と質感
前述の通り、筐体素材にはポリカーボネートと合皮調素材が採用されています。
実機を手に取ると、金属筐体のGO bluにあった「ひんやりとした重厚感」や「塊感」はありません。
しかし、決してチープな印象は受けません。
背面の一部がスケルトン仕様になっており、内部の基盤やチップが透けて見えるデザインは、メカ好き・ガジェット好きの心をくすぐります。
また、表面の合皮調仕上げは手触りが良く、滑り止めの効果も果たしています。
冬場に触っても冷たくない点も、地味ながら嬉しいポイントです。
標準付属マグネットクリップの利便性
GO blu Airの最大の功績とも言えるのが、マグネットクリップの標準付属です。
従来のGO bluでは、本体を服やカバンに固定するためには、別売りの専用ケース(約6,600円)を購入する必要がありました。
しかし、GO blu Airでは開封した瞬間からクリップスタイルでの運用が可能です。
【マグネットクリップの構造】
- 本体背面のマグネットポイントに、クリップパーツを磁力で吸着させます。
- 磁力は非常に強力で、歩行や軽いランニング程度では外れる心配はありません。
- クリップの向きを変えることで、ポケットの縁、シャツの前立て、バッグのストラップなど、あらゆる場所に固定可能です。
このクリップがあるおかげで、ケーブルがぶらぶらする煩わしさから解放されます。
直感的なボリュームノブと操作感
操作系の中核を担うのが、側面にある「クロノ・ダイヤル(マルチファンクションノブ)」です。
高級腕時計の竜頭(りゅうず)を模したこのノブは、デザインのアクセントであると同時に、極めて優れたインターフェースです。
- 回転:ボリューム調整
GO blu Airでは、クリック感のある「コリコリ」とした感触にチューニングされています。
ポケットの中で手探りでも、1ステップずつ確実に音量を調整できます。
スマホのボリュームボタンよりも微細な調整が可能なため、「あと少し大きくしたい」という絶妙な音量設定が可能です。 - 押し込み:再生コントロール
- 1回押し:再生 / 一時停止
- 2回押し:曲送り
- 3回押し:曲戻し
- 長押し:音声アシスタント起動
物理ボタンとダイヤルによる操作は、タッチパネル全盛の現代において、逆に新鮮で確実な操作感を提供してくれます。
画面を見ずに全ての操作が完結する快適さは、一度味わうと病みつきになります。
iFi Audio GO blu Airのを使用した私の体験談・レビュー

通勤・移動時のストレスフリーな視聴環境
私は普段、片道1時間の電車通勤をしています。
これまではDAP(デジタルオーディオプレーヤー)を使用していましたが、満員電車での取り回しにストレスを感じていました。
GO blu Airを導入してから、このストレスが嘘のように消え去りました。
スマホはポケットに入れたまま、GO blu Airを胸ポケットにクリップで留め、イヤホンを接続。
これだけで、いつもの有線イヤホンが高音質のままワイヤレス化されます。
スマホでニュースをチェックしながら、BGMとして高音質な音楽が流れる。通知が来ればそのまま通話も可能(マイク内蔵)。
「スマホの利便性」と「オーディオの音質」が見事に融合した体験です。
クリップ活用で変わるケーブルの取り回し
特に気に入っているのが、ショートケーブル(短めのリケーブル)との組み合わせです。
通常の1.2mケーブルだと、GO blu Airを胸ポケットに入れた際にケーブルが余って邪魔になります。
しかし、50cm〜80cm程度の短いケーブルに交換し、GO blu Airを襟元や胸ポケットに固定すると、まるでネックレスのような一体感が生まれます。
ケーブルが何かに引っかかるリスクが激減し、タッチノイズ(ケーブルが擦れる音)も軽減されました。
マルチファンクションノブの操作感と快適さ
混雑した電車内や、買い物のレジでの支払い時など、「とっさに音楽を止めたい」「音量を下げたい」というシーンは頻繁にあります。
そんな時、スマホを取り出して画面を点灯させ、アプリを開いて操作する…という手順はあまりにも面倒です。
GO blu Airなら、手元のノブを「カチッ」と押し込むだけ。
もしくはノブを少し回すだけ。
この物理操作のレスポンスの良さが、日常使いの道具として非常に優れていると感じました。
高感度イヤホン使用時のホワイトノイズ検証
あえてネガティブな点にも触れておきます。
私の手持ちのイヤホンの中で、特に感度が高い(インピーダンスが低く、音が鳴りやすい)カスタムIEMを使用した際、無音時や曲間の静寂なパートで「サーッ」というホワイトノイズが聴こえることがありました。
- ポップスやロック再生中:全く気になりません。
- 静かなクラシックやジャズのソロパート:微かに聴こえる場合があります。
- XSpaceオン時:ノイズレベルがわずかに上がります。
一般的なダイナミック型イヤホンやヘッドホンでは感知できないレベルですが、超高感度なマルチBA型イヤホンなどを使用している方は、この特性を理解しておく必要があります。
ただし、これは多くのアンプ内蔵Bluetoothレシーバーに共通する課題でもあります。
有線接続非対応がもたらす使用シーンの限界
週末にカフェでPC作業をする際、GO blu Airを使おうとして「あ、そうか」と気付かされることがありました。
PCで動画編集をしたり、音ゲーをしたりする場合、Bluetooth接続ではどうしても微細な遅延が発生します。
これまで使用していたGO blu(無印)であれば、USBケーブルでPCと繋いで「遅延ゼロ・高音質」な環境が作れましたが、GO blu Airではそれができません。
「PC作業用のアンプとしても使いたい」と考えている場合、この仕様は明確なデメリットとなります。
逆に言えば、「音楽鑑賞専用」と割り切れるなら問題ありません。
体験談の総括
実際に数週間生活に取り入れてみて、GO blu Airは「音楽を聴くハードルを劇的に下げてくれるデバイス」だと確信しました。
これまでは「いい音で聴くぞ」と意気込んでDAPやポータブルアンプを準備していましたが、GO blu Airなら「とりあえず持っていくか」という感覚で持ち出せます。
結果として、音楽を聴く時間が以前よりも増えました。 細かな不満点はありますが、それを補って余りある「手軽さ」と「楽しさ」があり、今では毎日持ち歩く必須アイテムの筆頭となっています。
iFi Audio GO blu Airに関するよくある質問(Q&A)

iFi Audio GO blu Airに関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
iPhoneでも高音質で聴けますか?
はい、可能です。 iPhoneとはAACコーデックで接続されます。AACはLDACやaptX Adaptiveに比べるとデータ転送量は劣りますが、GO blu Air内部の高性能なDAC(デジタル・アナログ・コンバータ)とアンプ回路を通すことで、iPhoneに変換アダプタを直挿しするよりも遥かにパワフルで立体的な音質を楽しむことができます。
PCとUSBケーブルで繋いで、有線DACとして使えますか?
いいえ、できません。 GO blu AirのUSB-C端子は「充電専用」となっています。上位機種のGO blu(無印)とは異なり、PCやスマホからの音声データをUSBケーブル経由で受信する機能(USB-DAC機能)は搭載されていません。PCで使用する場合もBluetooth接続が必要となります。
ハンズフリー通話はできますか?
はい、可能です。 本体に高性能な「CMOS-MEMSマイク」が内蔵されています。スマホに着信があった場合、GO blu Air本体のボタンを押すことで電話に出ることができ、そのまま通話が可能です。PCでのWeb会議(ZoomやTeamsなど)でも、Bluetoothヘッドセットとして使用できます。
充電しながら音楽を聴くことはできますか?
はい、可能です。 充電中でもBluetooth接続は維持され、音楽再生が可能です。ただし、バッテリーの劣化を防ぐため、満充電になったらケーブルを抜くことを推奨します。また、充電中は本体が多少熱を持つ場合があります。
ゲームや動画鑑賞時の遅延は気になりますか?
コンテンツや接続コーデックによります。 YouTubeやNetflixなどの動画アプリでは、アプリ側で遅延補正が入ることが多いため、口の動きと声のズレはほとんど気になりません。 ゲームに関しては、「aptX Adaptive」などの低遅延コーデックで接続できるAndroid端末であれば、RPGやパズルゲームは快適に遊べます。しかし、FPS(射撃ゲーム)や音ゲー(リズムゲーム)など、コンマ数秒を争うシビアなジャンルでは、Bluetooth特有の遅延を感じる可能性があります。遅延を完全に無くしたい場合は、有線接続できる上位機種のGO bluをおすすめします。
防水・防塵機能はありますか?
公式には防水・防塵性能は謳われていません。 ポケットに入れたまま洗濯してしまったり、雨の中で長時間濡らしたりしないようご注意ください。汗程度であれば問題ありませんが、使用後は乾いた布で拭き取ることをおすすめします。
専用アプリは必須ですか?
必須ではありませんが、あると便利です。 基本的な操作や音楽再生はアプリなしで完結します。「iFi-GAIA」というアプリを使用すると、接続コーデックの確認や切り替え、デジタルフィルターの設定、ファームウェアのアップデートなどが可能になります。細かい設定をこだわりたい方はインストールをおすすめします。
Nintendo SwitchやPS5で使えますか?
条件付きで使用可能です。 Nintendo SwitchやPS5はBluetoothオーディオ送信に対応していますが、対応コーデックがSBCに限られる場合があり、遅延が発生しやすいです。また、マイク機能がゲーム機側で認識されないこともあります。基本的にはスマートフォンやDAP(音楽プレイヤー)での使用に最適化された製品とお考えください。
音量調整はスマホと連動しますか?
スマホの音量とは独立して調整可能です(接続機器によります)。 基本的には「スマホ側の音量」×「GO blu Air側の音量」で最終的な音量が決まります。GO blu Air側のボリュームノブは非常に細かいステップで調整できるため、スマホ側を大きめにしておき、GO blu Air側で微調整すると好みの音量に合わせやすいです。
音質調整モード(XBass/XSpace)の現在の設定はどうやって確認しますか?
本体上部のLEDの色で確認できます。 サウンドエフェクトボタンを押すたびにモードが切り替わり、LEDの色が変化します。
- 消灯:エフェクトなし
- 黄色:XBass(低音増強)
- 青色:XSpace(音場拡張)
- 白色:XBass + XSpace(両方オン)
持ち運び用のポーチは付属しますか?
はい、付属します。 本体を保護するための小さなソフトポーチがパッケージに同梱されています。カバンの中に入れる際など、傷防止に役立ちます。
iFi Audio GO blu Airのレビューのまとめ

GO blu Airのメリット:圧倒的な携帯性
- サイズ:消しゴムサイズで30g以下。ポケットに入れても存在感ゼロ。
- クリップ:標準付属のマグネットクリップにより、服やバッグに自由に固定可能。
- デザイン:カジュアルで気兼ねなく使えるポリカーボネートボディ。
GO blu Airのメリット:価格以上の音質
- サウンド:iFi Audio特有のアナログライクで濃厚な音質。
- 出力:4.4mmバランス接続対応で、ヘッドホンも駆動するハイパワー。
- 機能:XBassとXSpaceによる、自然で効果的な音質補正。
GO blu Airのデメリット:機能の取捨選択
- 拡張性:USB-DAC機能(有線接続)が非対応。
- ノイズ:高感度イヤホン使用時にホワイトノイズを感じる場合がある。
- 遅延:Bluetooth接続のみのため、シビアなゲームや動画編集には不向き。
GO blu(無印)を選んだ方が良いケース
以下のようなニーズがある場合は、迷わず上位モデルの「GO blu(無印)」を選ぶべきです。
- PCやスマホと有線接続したい:動画視聴やゲームでの遅延を無くしたい場合。
- 高級感を重視したい:金属ボディの質感や堅牢性を求める場合。
- 万能な一台が欲しい:家でも外でも、あらゆるシチュエーションで活用したい場合。
GO blu Airがおすすめなユーザー層
逆に、以下のような方にはGO blu Airがベストバイとなります。
- スマホユーザー全般:iPhoneやAndroidで音楽・動画配信サービスを楽しんでいる方。
- 有線イヤホン資産がある方:昔使っていた高級イヤホンを、最新のスマホで手軽に使いたい方。
- サブ機を探しているマニア:重いDAPを持ち歩きたくない日のための「お散歩用高音質セット」が欲しい方。
- コストパフォーマンス重視の方:2万円強で、数万円クラスのDAPに匹敵する音質を手に入れたい方。
iFi Audio GO blu Airのレビューの総評:ワイヤレスオーディオの新たな最適解
iFi Audio GO blu Airは、機能を大胆に削ぎ落とすことで、ポータビリティとコストパフォーマンスを極限まで高めた戦略的なモデルです。
「有線接続」という機能を捨てる決断は勇気が必要だったはずですが、その結果として「手軽さ」と「音質」の黄金比を実現しました。
これは、ワイヤレス全盛の現代において、有線イヤホンの可能性を再定義するプロダクトと言えます。
「ワイヤレスでも音質には妥協したくない、でも荷物は増やしたくない」 そんな多くのオーディオファンが抱える矛盾した願いを、GO blu Airは最もスマートな形で叶えてくれるでしょう。
あなたのポケットに、この小さな「高音質の魔法」を忍ばせてみてはいかがでしょうか。


