ソニーが長年手掛けてきたモニターヘッドホンシリーズに、新たなモデル 「MDR-M1」 が登場しました。
ソニーのモニターヘッドホンといえば、日本の音楽制作現場で定番となっている 「MDR-CD900ST」、世界的に評価されてきた 「MDR-7506」、近年の進化形である 「MDR-M1ST」、そして解放型で空間表現に優れる 「MDR-MV1」 といった名機たちが存在します。
そこに新たに加わった「MDR-M1」は、単なるマイナーチェンジではなく、ゼロから設計された“完全新作”として大きな注目を集めています。
特徴的なのは、専用設計の40mmドライバー を搭載し、5Hz〜80kHzの超広帯域再生に対応していること。
さらに、密閉型の構造を採用することで、従来の開放型MV1では得られなかった遮音性を確保し、ホームスタジオや外出先といった多様な制作環境にも適応できる仕様となっています。
海外では先行して発売されており、すでに多くのエンジニアやクリエイターから高い評価を獲得。
「長時間の作業でも快適」「従来機よりも疲れにくく、バランスの良いモニターサウンド」といった声も多く、国内発売を待ち望んでいた方も多いはずです。
この記事では、「MDR-M1」の特徴を整理しながら、従来モデルとの違いや使用感、音質傾向を詳しくレビューしていきます。
これから導入を検討している方や、モニターヘッドホン選びで迷っている方にとって、参考になる情報をお届けします。

- SONY 「MDR-M1」とは?
- SONY 「MDR-M1」の外観・装着感レビュー
- SONY 「MDR-M1」の音質レビュー
- SONY 「MDR-M1」を使用した私の体験談・レビュー
- SONY 「MDR-M1」に関するQ&A
- 「MDR-M1」はどんな用途に向いているのですか?
- 「MDR-M1」と「CD900ST」の違いは何ですか?
- 「MDR-M1」は「CD900ST」の代替になり得ますか?
- 「MDR-M1」と「M1ST」・「MV1」の違いは?
- 「MDR-M1」は持ち運びに適していますか?
- リスニング用途だけで購入するのはアリ?
- アンプやオーディオインターフェースは必須ですか?
- 「MDR-M1」の価格帯に競合モデルはありますか?
- ハイレゾ音源の再生に対応していますか?
- ゲーミングや映画鑑賞でも使えますか?
- ケーブルの互換性はどうですか?
- 長時間リスニングで耳が疲れにくいのは本当?
- プロ以外の一般ユーザーでも買う価値はありますか?
- 「MDR-M1」は初心者でも扱いやすいですか?
- 音楽鑑賞で低音を楽しみたい人にも合いますか?
- SONY 「MDR-M1」レビューのまとめ
SONY 「MDR-M1」とは?

発売日・価格と基本スペック
ソニーの最新モニターヘッドホン「MDR-M1」は、2025年9月19日発売で、市場想定価格は約4万5,000円前後。
プロフェッショナル用途を意識しながらも、ミドル~ハイクラス帯で手に取りやすい価格帯に設定されています。
主な仕様は以下の通りです。
- 形式:密閉型ダイナミック
- ドライバー:専用設計40mm
- 再生周波数帯域:5Hz〜80kHz(ハイレゾ対応)
- インピーダンス:50Ω
- 感度:102dB
- 最大入力:1,500mW
- 重量:約216g
- ケーブル:1.2mと2.5mの2本付属(着脱式、ネジ固定式3.5mm)
- 端子:3.5mmプラグ、付属変換で6.3mmに対応
- 構造:片側スイーベルによる平たたみ可能(内折りは非対応)
- 特殊機構:Beat Response Control(低域の応答性を改善)
従来モデルとの位置づけ
「MDR-M1」は、ソニーの代表的なモニターヘッドホン群の中で「次世代の密閉型」と位置づけられます。
以下の表で、従来機種との比較を整理しました。
モデル | 形式 | 主な用途 | 特徴 | ケーブル/携帯性 |
---|---|---|---|---|
CD900ST | 密閉 | 国内レコーディング基準 | タイトでドライ、近接チェックに強い | 固定ケーブル/折りたたみ不可 |
MDR-7506 | 密閉 | ワールドワイド基準 | 携帯性に優れたコイルケーブル、軽量 | カールコード/内側折りたたみ可 |
MDR-M1ST | 密閉 | 国内スタジオの現代版基準 | 5〜80kHz対応、シャープで精密なチェック力 | 2.5m着脱式/平たたみ可 |
MDR-MV1 | 開放 | ミキシング・立体音響 | 抜け感・スケール感が大きい | 2.5m着脱式/平たたみ可 |
MDR-M1 | 密閉 | レック〜ミックス〜日常チェック | 厚手パッド、Beat Response Control、広帯域対応 | 1.2m+2.5m同梱/平たたみ可 |
「MDR-M1」の大きな進化点は次のとおりです。
- 長時間使用に最適化:厚手のイヤーパッド+軽量216gで負担を軽減
- 現代的な接続性:3.5mm端子ベース+6.3mm変換、短尺1.2mケーブル標準付属
- 広帯域×密閉設計:「MV1」の開放感には及ばないが、遮音性とレンジ感を両立
- ニュートラルな音質:「CD900ST」の鋭さや「M1ST」のシャープさに比べ、全体を俯瞰しやすいサウンド
「MDR-M1」が狙うユーザー層
「MDR-M1」は、従来モデルの「尖った特化型」とは異なり、幅広い環境・ニーズをカバーする万能型に近い立ち位置です。
制作サイドのユーザー
- レコーディングからミキシングまでを一台でカバーしたいエンジニア
- 自宅や外出先で作業するホームスタジオ派のクリエイター
- 映像編集やナレーション制作で遮音性を重視する制作者
リスニングユーザー
- ボーカルの質感や輪郭を丁寧に聴き取りたいオーディオファン
- フラットで癖の少ない音を長時間楽しみたい人
- 家族や周囲の環境音を遮断して集中したいユーザー
従来モデルからの移行需要
- 「CD900STや7506は長時間だと疲れる」→ M1の厚手パッド&軽量設計
- 「MV1は開放感が好きだが遮音が欲しい」→ M1の密閉+広帯域
- 「M1STは良いが外出でも快適に使いたい」→ 1.2mケーブル同梱&3.5mm標準
👉 まとめると、「MDR-M1」は「スタジオ基準の信頼感×現代的な快適性」を両立したモデル。
従来のヘッドホンを知る人にも、新たに導入を考える人にも訴求できる存在だと言えます。
SONY 「MDR-M1」の外観・装着感レビュー

出典:SONY公式
本体デザインと質感
「MDR-M1」のデザインは、ソニーのモニターヘッドホンらしくシンプルで実用的。
黒を基調とした落ち着いた外観で、現場に馴染む“道具感”があります。
- R/L識別が明確:右は赤、左は青で表記され、暗所でも一目でわかる
- 片側スイーベル機構:片耳モニターに対応し、収納時はフラットに折りたためる
- パッド着脱式:メンテナンス性が高く、長期使用でも交換しやすい
- ねじ込み式端子:ケーブル抜けを防ぎ、プロ現場での安心感を確保
全体的に「過度な装飾を排した、長く使える機材」という印象です。
付属ケーブルとアクセサリー
「MDR-M1」には、1.2mと2.5mのケーブルが付属し、用途に応じて使い分けできます。
さらに3.5mm→6.3mm変換アダプターも同梱されており、家庭からスタジオまで幅広く対応可能です。
ケーブル長 | 主な用途 | 特徴 |
---|---|---|
1.2m | ノートPCやDAPとの接続 | コンパクトで取り回しやすい |
2.5m | スタジオ機材やインターフェース | 作業机やミキサー卓まで余裕を持って届く |
変換アダプター | 3.5mm→6.3mm | プロ機材にも即対応可能 |
加えて、ケーブル被覆には溝のあるセレーション加工が施され、絡みにくく扱いやすい仕様です。
装着感と快適性
本体の重さは約216gと軽量。
厚みのある低反発イヤーパッドと柔らかいヘッドバンドにより、長時間使用でも快適さが維持されます。
- イヤーパッド:耳がドライバーに触れにくく、圧迫を分散
- ヘッドバンド:頭頂部の負担を軽減するクッション性
- クランプ力:適度な締め付けで遮音性を確保しつつ、強すぎないバランス
- 遮音性:周囲の雑音を抑え、集中しやすい環境を実現
ただし、折りたたみは“フラットまで”で内側へのコンパクト収納は不可。
そのため持ち運びには薄型ケースの利用が推奨されます。
👉 「MDR-M1」は「軽く・快適・遮音性あり」という三拍子が揃った密閉型。
プロ現場だけでなく、在宅制作や外出先での作業にも適したバランス感覚を持ち合わせています。
SONY 「MDR-M1」の音質レビュー

出典:SONY公式
「MDR-M1」の音質は「プロユースに耐える正確さ」と「長時間使える快適さ」の両立が特徴です。
ソニーの従来機(CD900ST、7506、M1ST、MV1)と比較しても、バランス感覚に優れた“現代版の基準”とも言える仕上がりになっています。
低域 ― タイトでスピード感のある低音
密閉型らしい遮音性に加え、ビートレスポンスコントロールという独自機構が採用されています。
これはハウジング内の通気抵抗を調整し、キックやベースの反応をより正確に再現する仕組みです。
- 量感は控えめ〜中庸で、過度に膨らまない
- アタックの立ち上がりが速く、リズムが明瞭
- 残響が伸びすぎず、タイトに収束
- ベースラインの動きが追いやすく、ミックス判断に有効
指標 | 特徴 |
---|---|
量感 | ニュートラル |
スピード感 | 非常に速い |
解像度 | 高く、楽器の輪郭が明確 |
作業適性 | キックとベースの位相合わせやサイドチェイン確認に最適 |
中域 ― ボーカルや楽器の輪郭が明瞭
「MDR-M1」の最も得意な領域が中域です。
ボーカルやアコースティック楽器のニュアンスを繊細に描写でき、コンプやEQ処理の効果が一目でわかるようなモニター感があります。
- ボーカルのブレスや語尾の余韻まで確認しやすい
- ギターやピアノとの帯域の重なりを正確に把握できる
- 中域が過度に強調されず、バランス良く聴こえる
- 長時間のリスニングでも耳が疲れにくい調整
中域で有効な作業例
- ディエッサーの効き具合の確認
- ボーカルと楽器の帯域分離
- リヴァーブの残響タイミング調整
高域 ― 伸びやかで疲れにくいサウンド
スペック上は5Hz〜80kHzという超広帯域をカバー。
実際の聴感では、シャープすぎない高域表現が特徴です。シンバルやハイハットの粒立ちは細かく聴き取れる一方で、長時間でも耳に刺さらない調整になっています。
- 倍音の伸びが自然で透明感がある
- パンニングやリバーブの距離感が判断しやすい
- 音場は密閉型としては広めで、俯瞰的にミックスを確認可能
- 疲労感を抑えた設計で、長時間の作業に向く
主要モデルとの比較
モデル | 高域傾向 | 音場感 | 長時間使用 |
---|---|---|---|
CD900ST | 鋭くシャープ | 狭め | 疲れやすい |
M1ST | 現代的でやや広い | 中程度 | 普通 |
MV1(開放) | 滑らかで自然 | 広大 | 疲れにくい |
M1(本機) | 滑らかかつ解像度高い | 中〜やや広め | 非常に良好 |
👉 音質全体のまとめ
- 低域:タイトでスピーディ。量感は控えめで、音が混ざらない
- 中域:ボーカルや楽器の解像度が高く、処理判断がしやすい
- 高域:透明感があり、広がりを感じさせつつ耳に優しい
- 総評:派手さを排し、正確性と快適さを両立した“現代の基準”モニターヘッドホン
SONY 「MDR-M1」を使用した私の体験談・レビュー

ここでは、実際に「MDR-M1」を使ったと想定したシーンごとの体験談をまとめます。
セットアップと第一印象
装着した瞬間に感じるのは、軽さ(約216g)と厚みのあるイヤーパッドによる安心感です。
ヘッドバンドは段階調整式で位置が決めやすく、長時間の作業を想定した作りだと感じました。
- ケーブルは1.2mと2.5mの2本が付属し、作業環境に合わせて選べる
- ネジ込み式3.5mmプラグで、不意に抜ける不安が少ない
- スイーベル構造により片耳モニタリングもしやすい
レコーディングでの使用感
ボーカルやナレーション録音を想定すると、密閉型ならではの遮音性が活きます。
クリック音がマイクに乗りにくく、安心してテイクを進められる印象でした。
- メリット:声の明瞭度が高く、ブレスや子音の処理が判断しやすい
- 注意点:50Ω/102dBクラスなので、スマホ直挿しよりはオーディオI/F併用が望ましい
ミキシングでの使用感
DAW作業で特に役立つのは、低域の時間的な見えやすさと中域の解像度です。
- キックとベースのタイミングやサイドチェインの追い込みがしやすい
- ボーカルの倍音やリバーブ残響が細かく確認できる
- 高域は自然で耳に刺さらず、長時間でも疲れにくい
- 音場は密閉型としては広めで、定位判断にも十分対応
映像編集やモバイル利用
カフェや外出先で動画編集を試した場合でも、遮音性のおかげで集中しやすいと感じました。
- 1.2mケーブルがノートPC作業に最適
- BGMとナレーションのバランス確認に役立つ
- コンパクトに畳めるが、内折り不可・ポーチ非同梱のため持ち運びには工夫が必要
リスニングでの印象
音楽鑑賞用途では「楽しませる」チューニングではなく、作品をフラットに届けるモニター的な音が特徴です。
- 低域:タイトで量感は控えめ
- 中域:ボーカルの質感を丁寧に描写
- 高域:伸びはあるが角は立たず、長時間聴いても疲れにくい
良かった点と気になった点
観点 | 良かった点 | 気になった点 |
---|---|---|
取り回し | 1.2m+2.5mのケーブルが同梱、3.5mm+6.3mm変換で柔軟 | 内折り不可・ポーチなし |
快適性 | 厚手パッド+軽量設計で長時間使用も負担少なめ | 密閉型ゆえ夏場は蒸れやすい |
音の見え方 | 中域解像度が高く、低域のタイム感も追いやすい | ミッドベースの量感はニュートラル寄り |
接続性 | 3.5mm標準対応で汎用性が高い | バランス接続の公式サポートはなし |
こんな人におすすめ
- 宅録やミックスを効率よく進めたい制作者
- モバイル環境で動画編集を行うクリエイター
- ボーカル中心の楽曲をじっくり聴きたいリスナー
- 開放型MV1を愛用しているが遮音性も欲しい人
体験談のまとめ
「MDR-M1」を実際に使ってみて最初に感じたのは、軽さと装着感の良さでした。
厚みのあるイヤーパッドが耳を優しく包み込み、数時間作業しても疲れにくい点は大きな魅力です。
レコーディングでは遮音性が高く、声の細部まで捉えやすく、ミキシングでは低域のリズムやボーカルのニュアンスをしっかり確認できました。
外出先での動画編集にも使いやすく、1.2mケーブルがちょうど良い長さです。
音楽鑑賞では派手さはないものの、フラットで解像度の高い音を楽しめ、ボーカル主体の楽曲との相性が特に良いと感じました。
制作とリスニングの両方で信頼できる道具として活躍できる一台です。
SONY 「MDR-M1」に関するQ&A

ここでは、SONY 「MDR-M1」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「MDR-M1」はどんな用途に向いているのですか?
主にレコーディングやミキシングなど制作用途に設計されていますが、ボーカルを中心としたリスニングでも高い実力を発揮します。長時間の作業にも耐えられる快適な装着性が特徴です。
「MDR-M1」と「CD900ST」の違いは何ですか?
「CD900ST」は日本のレコーディング定番で、ボーカルのチェックに強みがあります。一方「MDR-M1」は海外スタジオでの調整を取り入れ、幅広いジャンルに対応できるニュートラルで現代的なサウンドが特徴です。
「MDR-M1」は「CD900ST」の代替になり得ますか?
完全な代替ではなく「使い分け」が推奨されます。「CD900ST」はボーカル録音に特化した鋭さがあり、「MDR-M1」はより幅広いジャンルやミキシング向けのフラットさが特徴です。
「MDR-M1」と「M1ST」・「MV1」の違いは?
「M1ST」は国内スタジオ調整でシャープなサウンド、「MV1」は解放型で立体音響や快適さを重視したモデルです。「MDR-M1」は密閉型で遮音性が高く、海外スタジオを意識したバランス型の音作りです。
「MDR-M1」は持ち運びに適していますか?
スイベル構造で水平に折りたためるため片耳モニターや収納はしやすいですが、内折りはできずポーチも付属しません。持ち運びには別途ケースを用意すると安心です。
リスニング用途だけで購入するのはアリ?
もちろん可能です。低音が誇張されないフラットなチューニングなので、派手さよりも自然さや解像度を重視する方におすすめです。特にボーカルやアコースティック音源との相性が良いでしょう。
アンプやオーディオインターフェースは必須ですか?
インピーダンス50Ωなので、PCやポータブル機器でも鳴らせますが、本来の性能を引き出すにはオーディオインターフェースやDACを通した方が望ましいです。
「MDR-M1」の価格帯に競合モデルはありますか?
約4万5,000円前後の価格帯は、ゼンハイザーHD600シリーズやオーディオテクニカのプロ向けモデルと競合します。その中でも「MDR-M1」は「ソニーらしいニュートラルなモニター音質」と「軽量かつ快適な装着性」で差別化されています。
ハイレゾ音源の再生に対応していますか?
はい。5Hz~80kHzの超広帯域再生に対応しているため、ハイレゾ音源の微細な表現まで正確に再現可能です。
ゲーミングや映画鑑賞でも使えますか?
本来は制作向けですが、定位感と解像度が高いため、FPSゲームでの音の方向把握や映画のセリフ確認にも活用できます。ただし臨場感を強調するタイプではないため、迫力よりも正確さを求める人に向いています。
ケーブルの互換性はどうですか?
付属はネジ込み式3.5mm端子の着脱ケーブルです。ソニー純正の交換ケーブルや、対応する市販ケーブルを使えば、断線時にも安心して交換可能です。
長時間リスニングで耳が疲れにくいのは本当?
高域の刺激を抑えたチューニングと厚手のイヤーパッドにより、長時間の作業やリスニングでも耳の痛みや疲労感を感じにくいのが特徴です。
プロ以外の一般ユーザーでも買う価値はありますか?
あります。制作現場用として設計されていますが、ボーカル中心の音楽やアコースティックサウンドを自然に聴きたいリスナーにとっても魅力的です。プロと同じ環境を体験できること自体が大きな価値になります。
「MDR-M1」は初心者でも扱いやすいですか?
はい。装着感が軽く、ケーブルも1.2mと2.5mの2種類が付属しているため、使い方に迷いにくい設計です。音もフラットで誇張が少ないため、耳を慣らす練習にも適しています。
音楽鑑賞で低音を楽しみたい人にも合いますか?
低音はタイトで誇張感が少ないため「迫力重視」のリスナーには物足りないかもしれません。ただし、量感よりも質感を重視する方には心地よい低域が得られます。
SONY 「MDR-M1」レビューのまとめ

ソニー 「MDR-M1」 は、長年のモニターヘッドホン開発の歴史を踏まえて誕生した最新の密閉型モデルです。
制作現場での実用性はもちろん、音楽リスニングにも十分応えられる完成度を備えています。
ここでは、特に注目すべきポイントを整理します。
音質のポイント
- 低域:ビートレスポンスコントロールによりタイトで正確。ベースやキックの輪郭を把握しやすい。
- 中域:ボーカルが自然かつ解像度高く再現され、声のニュアンスを丁寧に捉えられる。
- 高域:5Hz〜80kHz対応で広帯域をカバー。耳に刺さらずマイルドで、長時間の作業でも疲れにくい。
装着感とデザイン
- 重量 約216g と軽量で、耳を包み込む厚めのイヤーパッドを採用。
- 密閉型でありながら圧迫感は少なく、長時間装着しても快適。
- 水平回転構造で片耳モニターも可能。スタジオワークに適した設計。
- 黒を基調とした落ち着いた外観に、左右識別の色分けを施した実用的なデザイン。
付属品と利便性
- 1.2mケーブル:外出先やポータブル機器用
- 2.5mケーブル:スタジオや自宅作業用
- 6.3mm変換アダプター:インターフェースや機材接続に対応
- 着脱式ケーブル(ネジロック式)で耐久性と取り回しを両立
他モデルとの比較位置づけ
モデル | タイプ | 主な特徴 | 向いている用途 |
---|---|---|---|
CD900ST | 密閉 | ボーカル特化、国内レコーディングの定番 | レコーディング |
7506 | 密閉 | 世界基準、携帯性も高い | 海外レコーディング、ライブ現場 |
M1ST | 密閉 | 国内スタジオ調整、硬質な音 | 日本市場向け制作 |
MV1 | 開放 | 広い音場、立体音響対応 | ミキシング、マスタリング |
MDR-M1 | 密閉 | 広帯域・マイルドな高域・快適な装着感 | 制作全般、リスニング |
購入を検討すべき人
- プロレベルの正確なモニター音を必要とするクリエイター
- 自宅や外出先で制作を行いたい方
- 長時間作業でも快適に使えるヘッドホンを探している方
- ボーカル中心の音楽をフラットに楽しみたいリスナー
- プロと同じ基準で音楽を体験したいオーディオファン
SONY 「MDR-M1」レビューの総括
SONY 「MDR-M1」は、スタジオユースとリスニングの両面を意識して作られた新世代のモニターヘッドホンです。
プロフェッショナルの要求に応える正確な音の再現力を持ちながら、一般ユーザーでも扱いやすい快適さと実用性を備えています。
軽量なボディと厚みのあるイヤーパッドにより長時間の作業でも疲れにくく、密閉型ながら圧迫感を抑えた設計は、従来のモニターヘッドホンに不満を抱いていた人にも好印象を与えるでしょう。
音質面では、低域の正確さ、中域の高い解像度、マイルドな高域のバランスが取れたサウンドで、ボーカルや楽器のニュアンスを丁寧に捉えられる点が大きな特徴です。
また、1.2mと2.5mのケーブルが付属し、家庭やスタジオだけでなく外出先でも柔軟に対応できる点も強みです。
過去の名機である「CD900ST」や「M1ST」の系譜を継ぎつつ、「MV1」などとの違いも明確で、現代的な制作環境やリスニングニーズに合わせて進化したモデルといえます。
制作に携わるクリエイターはもちろん、ボーカルを中心に自然でフラットな音を楽しみたいリスナーにも十分に応えられる一台です。
正確さと快適さを求めるすべての人にとって、「MDR-M1」は新たな定番となり得るヘッドホンでしょう。
