「1万円以下の完全ワイヤレスイヤホン市場」は、今やオーディオ業界における最も過酷なレッドオーシャン(激戦区)です。
AmazonなどのECサイトを開けば、聞いたことのない新興ブランドから、かつての名門メーカーまで、数え切れないほどの製品が並んでいます。
かつては「安かろう悪かろう」が常識だったこの価格帯も、近年では中華オーディオブランドの台頭により状況が一変しました。
5,000円〜8,000円程度で、ノイズキャンセリングやアプリ対応が当たり前の時代になり、ユーザーの目はかつてないほど肥えています。
そんな群雄割拠の時代に、日本のオーディオブランドAVIOT(アビオット)から、一つの「答え」とも言える製品が投下されました。
それが今回ご紹介する「TE-U1-PNK」、通称『ピヤホン9』です。
ロックバンド「凛として時雨」のドラマーであり、ポータブルオーディオ界のインフルエンサーとしても絶大な信頼を集めるピエール中野氏が監修するこのシリーズ。
これまではハイエンド〜ミドルレンジ(2万円〜4万円台)でその圧倒的な実力を示してきましたが、ついに税込9,980円というアンダー1万円のエントリー価格帯で登場しました。
多くのユーザー、そして業界関係者が抱くであろう疑問。
「コスト制約の厳しい1万円以下で、本当にあの『ピヤホンサウンド』は再現できるのか?」
「安くするために、重要な機能が削ぎ落とされているのではないか?」
結論から申し上げます。
このイヤホンは、価格設定のバグを疑うレベルの完成度です。
単なる既存モデルの廉価版や、名前だけのコラボモデルではありません。
ハイレゾ相当のデータ転送を可能にする「LDAC」対応、実用十分な「ノイズキャンセリング」、ビジネスにも必須の「マルチポイント」、そして置くだけで充電できる「ワイヤレス充電」……現代のイヤホンに求められる機能を妥協なく「全部入り」にした上で、魂を揺さぶるロックサウンドを鳴らします。
本記事では、長年オーディオ機器のレビューに携わってきた筆者が、ピヤホン9の実力をスペック、音質、使い勝手の全方位から徹底解剖します。
単なるスペックの羅列ではなく、「なぜこの音がロックに合うのか」「実際の通勤・通学でどう使えるのか」という体験価値にフォーカスして解説します。
ロックやライブサウンドを愛するすべての方へ、この衝撃をお届けします。
- ピヤホン9(TE-U1-PNK)の全貌:1万円以下の「価格破壊」
- ピヤホン9の音質・機能の徹底検証
- ピヤホン9の使い勝手とデザイン
- ピヤホン9を使用した私の体験談・レビュー
- ピヤホン9に関するQ&A
- iPhoneを使っていますが、LDAC非対応でも高音質で楽しめますか?
- 専用アプリは本当に使えないのですか?
- 音ゲーやFPSゲームをプレイ時の遅延はありますか?
- 上位モデル「ピヤホン8」との一番の違いは何ですか?
- ランニングやジムでの運動に使えますか?
- 片耳だけで使用することはできますか?
- 2台同時接続(マルチポイント)中に、LDAC再生はできますか?
- 市販のイヤーピース(他社製)に交換できますか?
- 通話時のマイク品質はどうですか?Web会議で使えますか?
- 起動音やアナウンスは日本語ですか?
- プレゼントとして贈っても喜ばれますか?
- 複数のデバイスでペアリング情報を記憶できますか?
- 充電ケースのバッテリー残量はどうやって確認しますか?
- 風の強い屋外で使うと、風切り音(ボボボ…という音)は入りますか?
- 音漏れはしますか?
- ピヤホン9レビューのまとめ
ピヤホン9(TE-U1-PNK)の全貌:1万円以下の「価格破壊」

なぜこの製品が発売直後からこれほど話題になり、SNSを中心に絶賛の嵐が巻き起こっているのか。
それは「著名人の名前を貸しただけのファンアイテム」とは一線を画す、狂気的なまでの音へのこだわりと、競合他社を突き放すコストパフォーマンスにあります。
ピエール中野氏監修による「音」への執念
「ピヤホン」というブランドがこれほどまでに支持され、シリーズ累計で異例のヒットを飛ばしている理由は、その独特かつ中毒性のある「チューニング」にあります。
一般的な大手メーカーのイヤホンが、万人受けする「フラットで綺麗な音」や「長時間聴いても疲れない音」を目指すことが多い中、ピエール中野氏のチューニングは明確な意図、いわば「意志」を持っています。
それは、「音楽の熱量、特にリズム隊(ドラムとベース)の躍動感を、スタジオやライブハウスで鳴っているそのままのバランスでリスナーに届けること」です。
ピヤホン9においても、その哲学は一切ブレていません。
1万円以下というコスト制約は、開発において非常に高いハードルだったはずです。
しかし、ドライバー(スピーカー部分)の選定から、筐体内部の空気の流れ、そしてデジタル信号処理によるイコライジングの微調整まで、ベースモデルから0ベースで再構築されています。
「安いから音もそれなりでいい」という妥協は一切なく、むしろ「エントリーモデルだからこそ、多くの人に『本物の音』を知ってもらいたい」という執念すら感じさせる仕上がりです。
特にロックバンドのサウンドを聴いた時の、バスドラムの「ドッ」という空気の震えや、スネアドラムの「タン!」という抜け感は、同価格帯の他機種では味わえない、ピヤホン独自の領域に達しています。
ベースモデルからの進化とLDAC対応の衝撃
本機のベースとなっているのは、AVIOTのモデル「TE-U1」です。
TE-U1自体もコストパフォーマンスに優れたモデルですが、ピヤホン9はそこからさらに進化しています。
最大の違いであり、オーディオマニアさえも驚愕させたポイントが「LDAC(エルダック)」への対応です。
| 特徴 | ベースモデル (TE-U1) | ピヤホン9 (TE-U1-PNK) |
| 価格 | 約6,980円〜 | 9,980円 |
| 対応コーデック | SBC, AAC | SBC, AAC, LDAC |
| 音質傾向 | バランス重視の万人向け | ピエール中野氏 完全監修のロック特化 |
| 付属品 | 通常のイヤーピース等 | 専用セミハードケース付き |
【LDACとは?なぜ重要なのか】
LDACはソニーが開発した高音質音声圧縮技術です。
従来のBluetooth接続(SBCやAAC)では、データ転送量の制限から音の情報を間引いて送信していましたが、LDACは最大約3倍の情報量を伝送可能です。
これにより、ハイレゾ音源が持つ「空気感」「余韻」「微細なニュアンス」をワイヤレスでも再現できます。
通常、アンダー1万円の国内ブランド製品でLDACに対応させることは、チップセットのコストやライセンス料の関係から非常に困難です。
しかし、ピヤホン9はここに対応してきました。
「良い音を届けるためには、入り口(伝送技術)から妥協しない」という姿勢の表れです。
これにより、音の解像度、特に高音域のシンバルの減衰音や、ボーカルのブレス(息継ぎ)の生々しさが、ベースモデルとは別次元のものへと進化しています。
クラスを超えた「全部入り」スペック
音質へのこだわりだけでなく、機能面でも現代のトレンドを網羅しています。
「1万円以下だから何かが欠けている」ということがありません。
これが「コスパ最強」と呼ばれる所以です。
- ハイブリッド・アクティブノイズキャンセリング (ANC)
「フィードフォワード」と「フィードバック」という2種類のマイクを使い、外部の騒音を高精度に打ち消します。
単なるANCではなく「ハイブリッド方式」を採用している点がこの価格帯では優秀です。 - マルチポイント接続
スマホとPC、あるいはスマホとタブレットなど、2台のデバイスに同時接続可能。
音楽再生中に別の端末で着信があっても、操作なしで自動的に切り替わります。 - ワイヤレス充電 (Qi対応)
ケーブルを挿さずに、充電パッドに置くだけで充電が可能。
毎日のルーティンにおいて、ケーブルの抜き差しがないことは想像以上の快適さをもたらします。 - ロングバッテリー
イヤホン単体で最大9.5時間、ケース併用で最大41.5時間という驚異的なスタミナ。
頻繁な充電が不要で、長距離移動でも安心です。 - IPX4相当の防滴性能
急な雨や、ランニング中の汗程度なら問題なく使用できます。
これだけの機能を詰め込み、さらにピエール中野氏の魂のチューニングと豪華付属品をセットにして9,980円。
他社メーカーが頭を抱えるレベルの「価格破壊」と言えるでしょう。
ピヤホン9の音質・機能の徹底検証

スペックが良くても、実際の音が悪ければ意味がありません。
ここでは、実際に様々なジャンルの楽曲を試聴して感じた音質の詳細(周波数特性ごとの印象)と、機能の実用性を深掘りします。
魂を揺さぶるドラムとベース:音質レビュー
一聴して感じるのは、「圧倒的なロックサウンドへの適性」と「解像度の高さ」です。
今回は10mmのダイナミックドライバー1発という構成ですが、これが功を奏しています。
複数のドライバーを積む(ハイブリッド型)場合に起こりがちな音のつながりの悪さや位相のズレがなく、音がストレートに鼓膜に飛び込んでくる、ダイナミック型ならではの勢いがあります。
- 低音域(Bass / Kick):質と量の絶妙なバランス
ピヤホンの真骨頂です。単にドンドンと低音が大きいだけではありません。
バスドラムの皮がビーターで叩かれた瞬間のアタック感と、その後の胴鳴りの空気感までが再現されます。
ボワつかずにタイトに締まっているため、高速なツーバス(ダブルペダル)の連打でも音が団子にならず、一打一打が分離して聴こえます。
ベースラインも埋もれず、ゴリッとした指弾きのニュアンスまで伝わってきます。 - 中音域(Vocal / Guitar):埋もれない主張
いわゆる「ドンシャリ(低音と高音が強調された音)」傾向ではありますが、ボーカル帯域(中音域)が凹んで聴こえにくいということはありません。
ギターのディストーションサウンドの壁の中でも、ボーカルがスッと前に出てきます。
特に女性ボーカルの高音部分の伸びやかさは特筆すべきものがあり、エモーショナルな表現が際立ちます。 - 高音域(Cymbal / Hi-hat):痛くないギリギリの煌びやかさ
ドラマー監修だけあって、金物(シンバルやハイハット)の表現は秀逸です。
シャンシャンという安っぽい音ではなく、金属が振動して音が減衰していく「余韻」まで描かれます。
耳に刺さる寸前の、最も美味しく聴こえるギリギリのラインでチューニングされており、高い解像度と抜けの良さを両立しています。
同価格帯の中華イヤホンも解像度は高いですが、ピヤホン9には「音楽的な楽しさ」や「高揚感」という、数値には表れない魅力が付加されています。
分析的に聴くのではなく、音楽に乗って身体を揺らしたくなる音です。
楽曲で使い分ける3つのサウンドモード
本機には専用アプリがありませんが、本体(右側のタッチセンサー長押し)操作で切り替え可能な3つの専用サウンドモードが搭載されています。
これらは単なるイコライザープリセットではなく、ピエール中野氏が監修した実用的なモードです。
1. Music Mode(ミュージックモード)
- 特徴:
デフォルトのモード。全帯域のバランスが良く、楽器の持つ魅力を素直に引き出します。
低域から高域までワイドレンジに鳴らし、ピヤホン9の基本性能の高さを感じられます。 - おすすめ:
普段使い、J-POP、ロック全般。迷ったらこれにしておけば間違いありません。
楽曲の製作者が意図したバランスに最も近い状態で聴けるモードです。
2. Vocal Mode(ボーカルモード)
- 特徴:
ボーカル帯域(中音域)をフォーカスし、バックの楽器隊を一歩後ろに下げたようなバランスになります。
声が頭の中心で鳴るような感覚になり、歌詞の一言一句、ブレスの音まで明瞭に聴き取れます。 - おすすめ:
バラード、弾き語り、声優の楽曲。また、音楽だけでなく、ラジオ、Podcast、YouTubeのトーク動画、オーディオブックなど「人の声」を聴くシーンでも非常に聞き取りやすくなります。
3. Groove Mode(グルーヴモード)
- 特徴:
これが最も強烈なモードです。
低音の量感と深さをブーストし、ライブハウスのサブウーファーの前に立っているような、身体の芯に響く重低音を楽しめます。
しかし、単に低音を上げただけではなく、中高域がマスクされないよう絶妙な調整が施されています。 - おすすめ:
EDM、ヒップホップ、ラウドロック、ライブ音源。
また、アクション映画やゲームの爆発音などの迫力を増したい時にも最適です。
実用十分なノイキャンと外音取り込み
- ノイズキャンセリング性能
正直に申し上げると、3万円〜4万円クラスのハイエンド機(SONY WF-1000XM5やBoseなど)ほどの「完全な静寂」ではありません。人の話し声や高音域のノイズは多少残ります
しかし、1万円以下のクラスとしてはトップレベルの性能を持っています。
特に電車の走行音、エアコンのファンノイズ、街の喧騒といった「低い周波数の持続的なノイズ」は驚くほどカットされます。
音楽を再生すれば、周囲の音はほとんど気にならなくなり、自分だけの音楽空間に没入できます。
また、安価なノイキャン機にありがちな「耳が詰まるような圧迫感(ツーンとする感じ)」や「サーッというホワイトノイズ」が極めて少ないのも、長時間使用において重要な美点です。 - 外音取り込み機能(アンビエントモード)
こちらも非常に優秀です。マイクで無理やり拾ったような機械的な音(強調された高音など)ではなく、耳で直接聞いているのに近い自然な音で周囲の音を取り込みます。
自分の声の籠もり感も少なく、イヤホンを着けたままコンビニで会計をしたり、駅のアナウンスを聞いたりするには十分すぎる性能です。
ピヤホン9の使い勝手とデザイン

毎日持ち歩くガジェットとして、デザインや使い勝手も音質と同じくらい重要な要素です。
所有欲を満たすデザインと豪華付属品
パッケージを開封した瞬間、多くの人が驚くはずです。
「これが9,980円の製品?」と。
- 本体デザイン
イヤホン本体とケースは、マットブラックを基調とし、ピヤホンのアイコンであるゴールドの「PNKロゴ」があしらわれています。
このゴールドの色味が絶妙で、派手すぎずシックな高級感を演出しています。
指紋が目立ちにくいマット加工も実用的で、安っぽいプラスチック感は皆無です。 - 豪華すぎる付属品
本製品最大の特徴の一つが、「PNKロゴ入り専用セミハードケース」が標準付属していることです。
通常、イヤホンケースは傷つきやすいものですが、このセミハードケースがあれば安心です。
しっかりとした厚みがあり、ファスナー付きで、さらにカラビナまで付いています。
バッグやベルトループにぶら下げて持ち運べるため、利便性が格段に向上します。
通常なら2,000円程度で別売りされていてもおかしくないクオリティのものが付いてくるのは、ユーザーの利用シーンを第一に考えるピヤホンシリーズならではの配慮です。
快適な装着感とバッテリー性能
- 装着感
イヤホン本体は流行の「ショートスティック型」を採用。
片耳約4.4gという軽さです。耳の穴に深く押し込むタイプではなく、耳のくぼみ(耳甲介)にフィットさせる形状なので、長時間つけていても耳が痛くなりにくいのが特徴です。
頭を振っても落ちにくい安定感があり、通勤・通学はもちろん、軽いジョギング程度なら問題なく使用できます。 - バッテリー
イヤホン単体で最大9.5時間、ケース込みで最大41.5時間というロングバッテリーは、頻繁な充電の手間を減らしてくれます。
片道1時間の通勤なら、2週間以上充電なしで使える計算です。
また、万が一充電が切れても、10分の充電で約90分再生できる「急速充電」に対応しているのも、忙しい朝には心強いポイントです。
アプリ非対応はデメリットか?操作性の真実
ここで一つ、購入前に知っておくべき注意点があります。
コストカットの一環として、ピヤホン9は「AVIOT SOUND ME」などの専用スマートフォンアプリに非対応です。
これにより以下のことができません:
- タッチ操作のキー割り当て変更(カスタマイズ)
- アプリ経由でのイコライザー調整
- ファームウェアアップデート(※現時点での仕様)
- ゲームモード(低遅延モード)の手動切り替え
しかし、これを「デメリット」と捉えるかはユーザー次第です。
逆に言えば、「スマホを出さずに、イヤホン単体の操作ですべてが完結する」というシンプルさがあります。
3つのサウンドモードが非常に優秀なプリセットとして機能しているため、自分でイコライザーをいじる必要性を感じない人も多いでしょう。
「難しい設定はわからない」「買って箱から出したらすぐに最高の音で聴きたい」という層には、むしろ煩わしい設定が不要である点はメリットになり得ます。
ピヤホン9を使用した私の体験談・レビュー

ここからは、実際に私がピヤホン9を日常生活(通勤、仕事、自宅)でしばらく使用してみたリアルな感想をお届けします。
数値やスペックだけでは語れない「感覚」の部分、そして実際に使ってみて初めて分かった「気づき」をお伝えします。
開封の儀:この価格でセミハードケース付きは反則
商品が届いてまず感動したのが、やはり付属のセミハードケースの質感です。
私は普段、イヤホンケースをそのままポケットに入れて鍵などと一緒に持ち歩くため、すぐに傷だらけにしてしまうタイプなのですが、このケースのおかげで新品の美しい状態をキープできています。
カラビナでリュックの肩紐部分にぶら下げておけば、改札を通った後すぐに取り出せますし、満員電車でカバンの中をガサガサ探すストレスもなくなりました。
この「ちょっとした便利さ」が、毎日のQOL(生活の質)を地味ながら確実に上げてくれます。
試聴テスト:いつものロックバンドがライブ会場に変化
最初の試聴には、当然ながら「凛として時雨」の『Telecastic fake show』を選びました。
再生ボタンを押した瞬間、「速い!」と感じました。
テンポの話ではなく、音の立ち上がりと減衰の速さ(トランジェント特性)です。
ドラムのタム回しや高速なフィルインが団子にならず、一音一音が粒立って聞こえます。
特に「Groove Mode」に切り替えてラウドロックを聴いた時の衝撃は忘れられません。
バスドラムのキック音が鼓膜だけでなく脳を揺らすような感覚がありながら、ギターのリフもしっかり分離して聞こえる。
まるでライブハウスのPA席、あるいは最前列で音を浴びているような没入感がありました。
「1万円以下でここまでやるか……」と、思わずニヤけてしまったほどです。
通勤電車での実地テスト:ノイキャンと接続安定性
東京都内の満員電車での通勤時に使用してみました。
ノイズキャンセリングをONにすると、電車の「ガタンゴトン」という低い轟音や、空調の「ゴー」という音がスッと遠ざかります。
完全な無音ではありませんが、音楽のボリュームを上げすぎなくても十分に細部まで聞こえるレベルに静粛化されます。
耳への圧迫感も少なく、往復2時間の通勤でも「聴き疲れ」や「ノイキャン酔い」を感じませんでした。
また、Bluetooth接続に関しても、LDAC接続(音質優先設定)で使用していましたが、新宿駅や渋谷駅といった電波の混雑したターミナル駅でも、音が途切れることはほとんどありませんでした。
この接続安定性の高さも、AVIOTが日本メーカーとして日本の電波環境に合わせて調整している強みだと感じます。
テレワーク活用:マルチポイントが神機能だった
個人的に最も恩恵を感じたのが「マルチポイント機能」です。
私物のiPhoneでSpotifyを聴きながら作業をしていて、会社のノートPC(Windows)でTeamsのWeb会議が始まった際、何も操作せずにそのままPCの音声に切り替わり、会議に参加できました。
イヤホンを付け替える手間もなく、Bluetooth設定画面を開く必要もない。会議が終わればまた自動でiPhoneの音楽に戻る。
このシームレスな体験は、一度味わうと元には戻れません。音楽鑑賞用としてだけでなく、仕事道具としても極めて優秀だと断言できます。
正直ここが気になった(デメリット)
忖度なしで気になった点、改善してほしい点も正直に挙げます。
やはり「操作方法の習熟」は必要でした。
アプリがないため、画面を見ながら設定を変えることができません。
操作ガイド(QRコードからWebで閲覧)を見て、物理的なタッチ操作を覚える必要があります。
具体的には「右側を1.5秒長押しでサウンドモード変更」「左側を1.5秒長押しでノイキャン切り替え」などです。
また、ノイキャン切り替えが「ANC ON → ANC OFF → 外音取り込み」の順でループする仕様なのですが、個人的にはANCと外音取り込みだけを行き来したい場面が多く、必ず「OFF」を経由するのが少し煩わしく感じる場面がありました。
とはいえ、これらは慣れれば問題ないレベルであり、音質の良さを考えれば許容できる範囲です。
体験談の総括
細かな操作性の癖はありますが、それらを補って余りある「音の楽しさ」と「所有する喜び」がありました。
9,980円という価格で、これほど音楽を聴くことが楽しみになるガジェットは稀有です。
通勤時間が単なる移動時間から、自分だけのライブ鑑賞時間に変わりました。
このイヤホンは、「音を聴くための道具」を超えて、「音楽体験を拡張するデバイス」になっていると感じました。
ピヤホン9に関するQ&A

ピヤホン9に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
iPhoneを使っていますが、LDAC非対応でも高音質で楽しめますか?
はい、十分に楽しめます。
iPhoneは「LDAC」コーデックには対応していませんが、「AAC」接続でもピエール中野氏による専用チューニングの効果は絶大です。特にドラムのキックの迫力や、ボーカルのクリアさはiPhoneでもしっかり体感できます。Android(LDAC対応機)であればさらに解像度が上がりますが、iPhoneユーザーでも満足度は非常に高いはずです。
専用アプリは本当に使えないのですか?
はい、ピヤホン9は「AVIOT SOUND ME」アプリには非対応です。 そのため、以下の操作はできません。
- ボタン操作(タップ割り当て)の変更
- イコライザー(EQ)のカスタマイズ
- ファームウェアのアップデート
- GPSによる「イヤホンを探す」機能
しかし、初期搭載されている「3つのサウンドモード(Music/Vocal/Groove)」の完成度が高いため、EQ調整なしでも十分に音楽を楽しめる設計になっています。
音ゲーやFPSゲームをプレイ時の遅延はありますか?
シビアなタイミングを要求されるゲームには向きません。
動画視聴(YouTubeやNetflixなど)に関しては、アプリ側で遅延補正がかかるためズレは気になりませんが、音ゲーやFPSなどのゲームではわずかな遅延を感じる可能性があります。本機には手動で切り替えられる「低遅延モード(ゲーミングモード)」がないため、ゲームガチ勢の方は上位モデルのピヤホン8や、有線イヤホンの併用をおすすめします。
上位モデル「ピヤホン8」との一番の違いは何ですか?
「ドライバー構成」と「アプリ対応の有無」です。
- ピヤホン8(約2万円): ダイナミック型+BA型のハイブリッドドライバー搭載で、より繊細で広がりのある音。アプリ対応、アダプティブノイキャン搭載。
- ピヤホン9(約1万円): ダイナミック型1基。ロックに特化したストレートな迫力のある音。アプリ非対応。 予算を抑えつつ「ロックの迫力」を楽しみたいならピヤホン9、予算があり「機能性や音の繊細さ」も追求したいならピヤホン8がおすすめです。
ランニングやジムでの運動に使えますか?
はい、使用可能です。
IPX4相当の防水性能(生活防水)があるため、汗や急な小雨程度なら問題ありません。また、本体が軽量(約4.4g)で耳へのフィット感も良いため、ランニング中にズレ落ちる心配も少ないです。ただし、完全防水ではないため、シャワーを浴びながらの使用や水没にはご注意ください。
片耳だけで使用することはできますか?
はい、可能です。
左耳、右耳どちらか片方だけをケースから取り出して使用することができます。通話やラジオを聞く際などに便利です。
2台同時接続(マルチポイント)中に、LDAC再生はできますか?
はい、可能です。
安価なモデルでは「マルチポイント時はLDAC不可」となる機種もありますが、ピヤホン9はマルチポイント接続中もLDACでの高音質再生が可能です。
市販のイヤーピース(他社製)に交換できますか?
可能ですが、サイズ選びに注意が必要です。
ピヤホン9のイヤホン本体のノズル(音が出る筒の部分)は「楕円形」で、かつ充電ケースの収納スペースが浅めの設計になっています。そのため、軸が長いタイプや傘が大きいタイプのイヤーピースを付けると、ケースの蓋が閉まらなくなる可能性があります。「TWS専用(完全ワイヤレス用)」として販売されている、軸が短く設計された製品を選ぶことをおすすめします。
通話時のマイク品質はどうですか?Web会議で使えますか?
日常会話や社内ミーティングなら問題なく使用可能です。
AI技術を活用したノイズリダクション機能を搭載しているため、周囲の雑音をカットして声を届けてくれます。ただし、スタジオ品質のような極めてクリアな音質とまではいかないため、重要な商談や収録などで音質を最優先する場合は、専用のマイクや有線イヤホンの使用が無難です。あくまで「実用レベル」とお考えください。
起動音やアナウンスは日本語ですか?
はい、安心の日本語アナウンスです。
海外製の安価なイヤホンでは英語や中国語のアナウンスが流れることが多いですが、ピヤホン9は日本ブランドらしく、分かりやすい日本語で「接続しました」「バッテリーロース(残量低下)」などをアナウンスしてくれます。初めてワイヤレスイヤホンを使う方でも安心です。
プレゼントとして贈っても喜ばれますか?
非常に喜ばれると思います。
1万円以下の製品とは思えないほどパッケージ(外箱)の作りが豪華で、開封時のワクワク感があります。また、標準でロゴ入りのしっかりしたケースが付いている点も満足度が高いです。音質もロックやポップスに合う元気なサウンドなので、音楽好きなご友人やパートナーへのギフトには最適です。
複数のデバイスでペアリング情報を記憶できますか?
はい、最大8台まで登録可能です。
マルチポイント接続(同時接続)は2台までですが、ペアリング設定自体は最大8台まで記憶できます。スマホ、タブレット、PC、ゲーム機など、使う機器が多い方でも、一度設定すればBluetooth設定画面から選ぶだけでスムーズに切り替えられます。
充電ケースのバッテリー残量はどうやって確認しますか?
ケース前面のLEDインジケーターで確認できます。
ケースを開閉したり、ボタンを押したりした際にLEDが点灯・点滅します。色の変化や点滅回数でおおよその残量が分かる仕様になっています(例:緑なら十分、赤なら要充電など)。詳細はWebマニュアルで確認できます。
風の強い屋外で使うと、風切り音(ボボボ…という音)は入りますか?
比較的入りにくい構造ですが、強風時は注意が必要です。
マイク部分の設計が工夫されており、真正面からの風には比較的強い耐性があります。ただし、ノイズキャンセリングON時は、マイクが風を拾って「ボフッ」という音を打ち消そうとする処理音が発生する場合があります。気になる場合は、屋外では「風雑音抑制モード(もし搭載されていれば)」や、あえて「ANC OFF」にすることで快適になることがあります。(※本機はアプリ非対応のため、物理的な遮音性でカバーするか、ANC OFFでの運用が現実的です)
音漏れはしますか?
一般的なカナル型と同等で、常識的な音量なら問題ありません。
耳の穴を塞ぐ「カナル型」かつ、ノイズキャンセリングで周囲の音をカットできるため、そこまで大音量にしなくても音楽を楽しめます。ただし、ピヤホン特有の重低音が気持ちよくてつい音量を上げすぎてしまう傾向があるため、静かな図書館やエレベーターなどでは音量への配慮が必要です。
ピヤホン9レビューのまとめ

ピヤホン9のメリット・デメリット整理
最後に、購入を検討されている方のために、ピヤホン9の特徴を簡潔に整理します。
【メリット】
- 圧倒的な音質: 1万円以下とは思えない、ロックに特化した解像度、分離感、低音の迫力。
- 全部入りスペック: LDAC、ノイキャン、マルチポイント、ワイヤレス充電を完備し死角なし。
- 豪華付属品: カラビナ付き専用セミハードケースが標準付属し、持ち運びが快適。
- 3つのモード: 楽曲やシーンに合わせて使い分けられる、実用的なサウンドモード。
- デザイン: 高級感のあるマットブラック×ゴールドPNKロゴ。
【デメリット】
- アプリ非対応: キー割り当てやイコライザーのカスタマイズが不可。
- 操作の慣れ: タッチ操作のパターンを覚える必要がある。
- ゲームモード切替: 手動での低遅延モード切り替え操作がない(※動画視聴等は自動調整で遅延なし)。
1万円以下最強の選択肢となり得るか
間違いなく、現時点で最強の選択肢の一つです。
特に「ロック、ポップス、アニソン、ラウドロック」をメインに聴くユーザーにとって、これ以上のコストパフォーマンスを持つ製品を見つけるのは困難でしょう。
スペックの数値競争ではなく、「聴いていて楽しいか」「心が動くか」という感性価値において、頭一つ抜けています。
中華イヤホンや他モデルとの比較
Amazonなどで人気の5,000円〜8,000円前後の中華ブランド製イヤホン(AnkerやSoundPEATSなど)と比較すると、カタログスペック上の数値(ノイキャンの-〇〇dBという数値など)や、アプリの多機能さでは中華ブランドが勝る場合もあります。
しかし、「日本語のアナウンス」「日本人の耳に合わせた繊細なチューニング」「国内メーカーのサポート安心感」という点ではピヤホン9が圧倒的に有利です。
「機械としての多機能さ」よりも「音楽体験としての質」を重視するなら、迷わずこちらをおすすめします。
どんな人におすすめ?
- ロックバンド、EDM、ライブ音源が好きで、ドラムやベースの音にこだわりたい人
- 予算1万円以内で、機能も音質も妥協したくない欲張りな人
- ピエール中野氏、凛として時雨のファン(これはマストバイです)
- 初めて「付属品のイヤホン」や「千円のイヤホン」から卒業しようとしている学生や社会人
- 通勤・通学、テレワークとマルチに使い倒したい人
上位モデル「ピヤホン8」を検討すべきケース
もし予算に余裕があり(2万円前後)、以下の点を重視する場合は、上位モデルである「ピヤホン8 (TE-W1-PNK)」も検討する価値があります。
- さらに高次元の音質を求める: 2つのドライバー(ダイナミック+BAのハイブリッド構成)を搭載し、より繊細で広がりがあります。
- アプリ機能を使いたい: キー割り当てなどを自分好みにカスタムしたい場合。
- より強力なノイキャン: 環境に合わせて強度を自動調整する機能(アダプティブANC)などが欲しい場合。
「とにかく最高峰の体験を」ならピヤホン8ですが、「コスパ最強でラフにガンガン使いたい」ならピヤホン9がベストバイです。
ピヤホン9レビューの総括
「音楽を聴く」という行為は、日常を彩る大切な時間です。
ピヤホン9は、その時間をより豊かで、エモーショナルなものに変えてくれる力を持っています。
たった1万円弱の投資で、いつものプレイリストがまるで違った表情を見せてくれる感動を、ぜひあなたの耳で確かめてみてください。
このイヤホンは、単なる工業製品ではありません。
ピエール中野氏の音楽への愛と、AVIOTの技術力が融合した、熱量の塊のような「作品」です。
あなたの音楽ライフが、このイヤホンと共にさらに輝くことを願っています。

