ゼンハイザーの「HD490 PRO」は、同社のモニターヘッドホンの系譜に新たな選択肢を加える存在として登場しました。
これまで「HD560S」や「HD660S2」といった定番モデルが多くのユーザーから支持されてきましたが、「HD490 PRO」はその延長線上にありながらも、より現代的なニーズに応えるべく進化したモデルです。
特に音楽制作やミキシングといったプロフェッショナルな用途を強く意識して設計されており、同時に高品位なリスニングを楽しみたい一般ユーザーからも注目を集めています。
発売当初から話題を呼んだのは、その広大な音場表現と解像度の高さにあります。
従来モデルと比べても空間の広がりや定位感が一段と洗練されており、長時間使用を前提とした軽量設計や改良されたイヤーパッドも相まって、制作環境における実用性を大きく高めています。
価格もハイエンド帯と比べて手が届きやすく、コストパフォーマンスに優れている点も支持される理由の一つです。
この記事では、単なるスペックの羅列に留まらず、実際のリスニング体験や制作環境での使い心地を交えて「HD490 PRO」の魅力を掘り下げていきます。
他のゼンハイザーモデルとの違いや競合機との比較も交えながら、購入を検討している方が「自分に合うヘッドホンかどうか」を判断できるようなレビューを目指します。

Sennheiser 「HD490 PRO」のデザインと装着感

外観の特徴と質感
「HD490 PRO」は、スタジオモニターとしての実用性を徹底的に重視したデザインが特徴です。
オープンメッシュのグリルを採用したハウジングは、通気性を確保しながら自然な音の広がりを実現しています。
素材には樹脂と金属を組み合わせ、軽量さと堅牢性の両立を追求。
実測重量は約260gと軽く、長時間のモニター作業でも取り回しやすい仕様です。
さらにケーブルは着脱式のミニXLRを採用し、左右どちらのイヤーカップにも接続可能。
作業環境に合わせて取り回しを変えられるのは、制作現場で大きな利点です。
また、アクセシビリティへの配慮として、L側ヨークには点字ガイドが施され、暗いスタジオでも瞬時に左右を判別できます。
イヤーパッドにはメガネユーザーのための溝が設けられており、細部まで実用性にこだわった仕上がりといえるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
構造 | 開放型/オーバーイヤー |
重量 | 約260g(ケーブル除く) |
ケーブル | 着脱式ミニXLR(左右どちらにも接続可能)、3.5mmプラグ+6.3mm変換 |
付属品 | 交換用イヤーパッド2種類(Producing/Mixing) |
特徴 | L側点字ガイド、メガネ用溝付きパッド、バランスケーブル対応 |
装着感・イヤーパッドの快適性
「HD490 PRO」の装着感は、エルゴノミクス設計による側圧の最適化が大きなポイントです。
耳全体を包み込みながらも、圧迫感を最小限に抑えた設計で、しっかりホールドしつつ快適さを維持しています。
付属する2種類のイヤーパッドは、使用シーンに応じて使い分けることが可能です。
ベロア素材の「Producingパッド」は柔らかい肌触りで長時間でも蒸れにくく、快適性を重視する作業に向いています。
一方でファブリック素材の「Mixingパッド」は通気性がさらに良く、ミックスやモニタリングで音の見通しを高めたい時に適しています。
快適性の工夫
- 圧迫点を排したエルゴノミクスデザイン
- イヤーカップ内の大きなL/R刻印で直感的に装着可能
- メガネユーザーを考慮したパッド構造
- 2種類のパッドをシーンや季節で付け替え可能
長時間使用時の疲れやすさ
長時間の作業における疲労感の少なさは、「HD490 PRO」の大きな魅力のひとつです。
260gという軽量設計に加え、開放型ならではの通気性が熱のこもりを防ぎ、耳や頭部のストレスを軽減します。
さらに、メガネ用の溝付きパッドが側頭部の圧迫を逃がすことで、数時間の使用後でも痛みが出にくい構造となっています。
特に夏場はMixingパッド、冬場はProducingパッドといった使い分けをすることで、季節による快適性の変化にも柔軟に対応できます。
結果として、ミキシングや編集など長時間に及ぶ作業でも疲労が蓄積しにくく、集中力を保ったまま使用できるヘッドホンに仕上がっています。
Sennheiser 「HD490 PRO」の音質レビュー

低音域の表現力
「HD490 PRO」の低域は、派手に膨らませるのではなく「タイトさ」と「輪郭」を重視した設計です。
サブベースの伸びは十分に感じられる一方で、中低域の膨らみを抑えているため、キックとベースが重なる場面でも混濁せず、各楽器の存在感を正確に掴めます。
- サブベース(30〜60Hz):沈み込みは自然で、過不足ない量感
- ミッドベース(80〜150Hz):タイトで締まりがあり、キックのアタックをしっかり描写
- 低音量感:リスニングで“迫力”を求めるよりも、音程や輪郭を判別する用途に最適
パッドの違いによる傾向
- Producingパッド(ベロア):わずかに低域がふくらみ、リスニングに心地よさをプラス
- Mixingパッド(ファブリック):低域がドライでタイトになり、音の分離がさらに明確
中高音域の解像度とバランス
中域はニュートラルで癖が少なく、特にボーカル帯(1〜3kHz)の再現性が高いのが印象的です。
声の厚みや息づかい、楽器のアタック感が丁寧に描写され、定位の芯が安定しています。
高域はシンバルやストリングスの倍音が自然に伸び、刺さりにくいチューニングで長時間のリスニングや作業でも耳に負担をかけません。
- ボーカルの子音やブレスの細部がクリアに聞き取れる
- ピアノやアコースティックギターのアタック感が自然に再生される
- シンバルの減衰やホールリバーブの尾を追いやすい
パッドの違いによる傾向
- Producingパッド(ベロア):中域がやや厚みを帯び、ボーカルや弦楽器の質感が豊かに
- Mixingパッド(ファブリック):高域の粒立ちが明瞭になり、ディテール確認に有利
音場の広がりと定位感
「HD490 PRO」の最大の魅力のひとつは、オープン型ならではの広大な音場表現です。
横方向の広がりが豊かでありながら、前後の奥行きも丁寧に描き出すため、楽器や声の配置が立体的に把握できます。
センター定位が安定しているため、パンニングやリバーブの掛かり具合を確認する際にも信頼できるモニターです。
- 横の広がり:ステレオパンが左右に展開しても破綻せず、音が頭外に広がる感覚
- 奥行き感:ドライ音とウェット音の距離感を掴みやすい
- 定位精度:センターの芯がブレず、複数トラックが重なっても像が溶けにくい
体感評価
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
低域の量感 | 3.0 | 必要十分、タイトで制御された響き |
低域の解像度 | 4.5 | ベースやキックの輪郭が鮮明 |
中域の厚み | 3.5 | ニュートラル寄り、自然な表現 |
高域の伸び | 4.0 | 空気感を伴いながら刺さらない |
音場の横幅 | 4.5 | 開放感が強く、頭外定位が明瞭 |
音場の奥行 | 4.0 | 空間処理の効果を把握しやすい |
定位の正確さ | 4.5 | センターが安定し、左右も明確 |
「HD490 PRO」の音質は、低域のタイトさ、中高域の解像度、高域の自然な伸び、そして広大な音場表現が絶妙にバランスされた仕上がりです。
リスニングでの快適さだけでなく、制作やミキシングの現場で信頼できるモニターとしても十分な性能を持っています。
Sennheiser 「HD490 PRO」の制作環境での実用性

モニターヘッドホンとしての精度
「HD490 PRO」は、制作作業に必要な精度をしっかり備えています。
低域はタイトで、キックとベースの分離が明確。
中域はニュートラルで、ボーカルや楽器の芯がブレずに定位します。
高域は伸びやかですが耳に刺さりにくく、長時間作業でも疲労を抑えられるバランスです。
チェックに役立つポイント
- キックとベースの干渉が判断しやすい
- EQの±1〜2dBの変化が聴き分けやすい
- ディエッサーやコンプレッサーの効き具合が自然に確認できる
- リバーブのプリディレイやテールの長さを把握しやすい
制作現場では「判断の再現性」が何より大切ですが、「HD490 PRO」はその基準機として十分に信頼できる性能を持っています。
音楽制作・ミキシングでの使用感
エディットやミキシング作業での使い勝手も良好です。微細なノイズやブレス、クロスフェードの段差まで拾いやすく、細部の調整がスムーズに進みます。
開放型ならではの空間表現により、パンニングやリバーブ処理の変化も把握しやすい点が大きな強みです。
ただし、開放型の性質上、録音(特にボーカル収録)ではマイクに音が回り込みやすいため、トラッキングには密閉型を使うのが安心です。
制作ワークフローでの活用例
- ラフミックス:Mixingパッドを装着し、定位やEQの大枠を決定
- ディテール調整:コンプレッサーのアタックやリリースを詰める
- リバーブ設計:前後の距離感を意識しながら空間処理を確認
- 最終確認:Producingパッドに付け替え、リスニング的な心地よさや疲労感をチェック
機材相性のポイント
- 出力電圧に余裕のあるオーディオIFやDACと組み合わせると、低域の安定感が向上
- 出力インピーダンスは低め(理想は2Ω未満)が望ましく、特性変動を抑えやすい
- クロスフィードやルームシミュレーションを軽く使うと、スピーカー翻訳精度がさらに高まる
他モデル(HD560S/HD660S2)との比較
「HD490 PRO」の位置づけをより明確にするために、同じゼンハイザーの定番モデルと比較してみましょう。
項目 | HD490 PRO | HD560S | HD660S2 |
---|---|---|---|
キャラクター | 制作向けに調整されたバランス。分離と定位に優れる | クリアで分析的。コスパに優れた基準機 | 中域が豊かで、音楽性や厚みを重視 |
低域 | タイトで輪郭明瞭。制作時に有利 | すっきりと軽快 | 量感があり、リスニングで迫力 |
中域 | ニュートラルで芯が明確 | ドライで分析的 | 肉厚で豊か、聴き心地寄り |
高域 | 伸びるが刺さらない。長時間作業向き | シャープで細部まで見える | 滑らかで耳に優しい |
音場・定位 | 横幅と奥行きの両立。センター安定 | 横の広がりはあるが軽快 | 奥行きが豊かで密度感が強い |
適性 | 編集・ミックスの基準として最適 | 初心者〜中級者の基準作りに | 音楽鑑賞や最終チェックに有効 |
- HD490 PRO:制作に最も適したオールラウンダー。パッド交換で「作業寄り」と「鑑賞寄り」を切り替え可能
- HD560S:コストを抑えつつ基準作りを始めたいユーザーに好適
- HD660S2:リスニング寄り。制作というより音楽を楽しむための味付けが欲しい場合におすすめ
「HD490 PRO」は「開放型の気持ちよさ」と「制作基準としての精度」を両立した稀有な存在です。
パッドを付け替えることで、制作とリスニングの両方に適応できる柔軟性も魅力。
結果として、判断の迷いを減らし、効率的に作業を進められるヘッドホンといえます。
Sennheiser 「HD490 PRO」を使用した私の体験談・レビュー

在宅での仕事が中心の私は、原稿執筆や資料整理の合間に音楽制作やラフミックスを行います。
「HD490 PRO」を導入してから、日常的なBGM用途と制作作業の両方で活躍するシーンが大きく広がりました。
特に感じたのは、小音量でも情報量が崩れないことと、長時間装着しても疲れにくいことです。
この2点が私の生活リズムにぴったり合い、作業効率の向上にもつながりました。
日常での使用感
執筆中に音楽を流しても、ボーカルや楽器の位置関係が自然に再現されるため、集中を妨げられません。
ジャズやクラシックはもちろん、EDMやロックでも低域が膨らみすぎないので“気持ちよく流れるBGM”として機能しました。
- 小音量でも音の輪郭が崩れない
- 開放型らしい通気性で、長時間の装着も快適
- メガネをかけたままでも側頭部の圧迫が少ない
制作作業での印象
DTMでラフミックスを行うときは、低域の分離感とリバーブの前後感の把握がしやすく、判断に迷う時間が減りました。
特にキックとベースの干渉ポイントを明確に聴き取れるため、EQ処理がスムーズです。
- エディット:ノイズやクロスフェードの段差を早く発見
- ミキシング:パンの幅やリバーブの深さを細かく調整できる
- マスタリング前チェック:高域の刺さりや低域の不足を客観的に確認
パッドの使い分け
付属する2種類のイヤーパッドは、使い分けることで「作業」と「リスニング」の両方に対応できました。
パッド | 主な用途 | 体感した特徴 |
---|---|---|
Mixingパッド(ファブリック) | ミキシング・細部チェック | 音がタイトで分離が明瞭、EQや定位の確認に有効 |
Producingパッド(ベロア) | 長時間のリスニング・作業BGM | 中域に厚みが出て心地よい。疲れにくく執筆時に最適 |
この切り替えが非常に便利で、午前はMixingパッドで“基準づくり”、夕方以降はProducingパッドで“快適な聴き心地”を確認する、という運用が定着しました。
長時間使用での快適性
一日6〜8時間装着しても、耳や頭部に強い疲労感はありませんでした。
軽量設計とエルゴノミクスデザインに加え、メガネ用の溝付きパッドが圧迫を軽減してくれるのが実感として大きいです。
- 約260gの軽量ボディ
- 開放型のため熱がこもりにくい
- 圧迫点を排した設計
- メガネユーザーに配慮したパッド構造
気になった点と工夫
もちろん、改善の余地もあります。
低域はタイトですが、迫力重視のジャンルでは物足りなく感じることがありました。
その場合はEQで60Hz付近を軽く補正すると解決しました。
また、開放型なので録音時はマイクに音が回り込みやすく、収録には密閉型を使う必要があります。
体験談のまとめ
「HD490 PRO」は、日常のBGMから本格的な制作作業まで幅広く活躍してくれました。
小音量でも安定した情報量を保ち、長時間使用でも快適。
さらに付属パッドの使い分けで「作業モード」と「リスニングモード」を切り替えられる柔軟性は、私のワークフローに大きな効果をもたらしました。
単なるリスニング用ではなく、“仕事と趣味を支える相棒”として信頼できる一台だと感じています。
Sennheiser 「HD490 PRO」についてのQ&A

Sennheiser 「HD490 PRO」についてよく聞かれそうな質問をまとめてみました。
「HD490 PRO」はどんな用途に向いていますか?
音楽制作やミキシングなどの基準モニターとして非常に適しています。低域はタイトで、中域はニュートラル、高域は自然に伸びるため、EQやコンプの判断がしやすいです。リスニング用途でも快適ですが、低音の迫力を重視する人には少し控えめに感じるかもしれません。
長時間使用しても疲れませんか?
約260gと軽量で、開放型ならではの通気性を備えているため、数時間の使用でも蒸れや圧迫が少なく快適です。さらに、イヤーパッドには眼鏡ユーザー向けの溝があり、側頭部の痛みが出にくい設計になっています。
付属パッドの違いは何ですか?
2種類のパッドが同梱されており、使い分けによって音の印象が変わります。
- Mixingパッド(ファブリック):音がタイトで分離が明瞭、細部チェックや制作向き
- Producingパッド(ベロア):中域が少し厚みを増し、リスニングに心地よい
「HD560S」や「HD660S2」と比べてどうですか?
「HD560S」はクリアでコスパが高い入門モニター、「HD660S2」は厚みや音楽性を重視したリスニング寄りの機種です。「HD490 PRO」はその中間に位置し、制作の精度と快適性を両立させたモデルといえます。
アンプやオーディオIFは必要ですか?
スマホやPC直挿しでも音は出ますが、真価を発揮するには出力に余裕のあるオーディオインターフェースやDAC/AMPが望ましいです。特に低域の安定感とダイナミクスが向上します。
録音にも使えますか?
開放型のため、マイクに音が回り込みやすく、録音用途には不向きです。トラッキングは密閉型、編集やミックスは「HD490 PRO」と役割を分けるのがおすすめです。
リスニング用途だけで買うのはアリですか?
もちろんアリです。低域の迫力を求める人には少し控えめに感じられるかもしれませんが、自然で聴き疲れしにくい音質は長時間リスニングに向いています。特にクラシック、ジャズ、アコースティック系のジャンルと相性が良いです。
コストパフォーマンスはどうですか?
ハイエンド級の解像度や空間表現を備えつつ、価格は10万円を切る水準(市場相場による)なので、制作機材としての投資対効果は高いといえます。
開放型なので音漏れは大きいですか?
はい、開放型の特性上、音漏れはあります。静かな環境や公共の場での使用には不向きですが、家庭でのリスニングや制作環境であれば問題になりません。
ゲーム用途にも使えますか?
可能です。広い音場と正確な定位感があるため、FPSなどのゲームでも足音や環境音の方向を把握しやすいです。ただしマイクは搭載していないため、ボイスチャットには別途マイクが必要です。
パッドは洗えますか?
付属のパッドは取り外し可能で、メンテナンス性が高いです。直接水洗いは推奨されませんが、交換パッドが別売りされているので、長期間清潔に使えます。
密閉型と比べたときの一番の違いは?
密閉型は遮音性と低音の迫力に強みがありますが、「HD490 PRO」のような開放型は自然な音場の広がりと通気性に優れています。制作時に「空間処理」や「楽器の分離感」を重視する人には開放型が有利です。
音楽ジャンルの得意・不得意はありますか?
「HD490 PRO」はジャンルを選ばないニュートラルな特性です。ただし「低音の迫力を重視するEDM・ヒップホップ」よりも、「クラシック・ジャズ・アコースティック」など音場や細部描写を重視する音楽により適しています。
初めてのオープン型ヘッドホンに選んでも大丈夫ですか?
問題ありません。開放型特有の音の広がりを実感できるうえ、ニュートラルな特性なので「基準作り」にも適しています。ただし、外出での使用や重低音重視のニーズには合わないことを理解しておくと失敗しません。
Sennheiser 「HD490 PRO」レビューのまとめ

Sennheiser 「HD490 PRO」は、ゼンハイザーの新世代モニターヘッドホンとして、制作精度と快適性を両立した一台でした。
低域はタイトで輪郭が明瞭、中域はニュートラルで芯が強く、高域は伸びやかでありながら耳に刺さらない。
さらに開放型らしい音場の広がりと定位の正確さを備えているため、DTMやミキシングの基準機として十分に信頼できる性能を持っています。
総合評価
項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
デザイン/質感 | ★★★★☆ | 軽量・堅牢で現場向きの実用設計 |
装着感 | ★★★★☆ | 約260gの軽さと通気性で長時間も快適 |
低域 | ★★★★☆ | タイトで解像度重視、量感は控えめ |
中域 | ★★★★☆½ | ニュートラルでEQの微調整に強い |
高域 | ★★★★☆ | 空気感が豊かで刺さりにくい |
音場・定位 | ★★★★☆½ | 横幅と奥行きを両立、センター安定 |
制作での実用性 | ★★★★☆½ | 編集・ミックスの判断に好適 |
汎用性(パッド切替) | ★★★★☆½ | 作業⇄鑑賞を即座に切替可能 |
強みと注意点
強み
- 制作現場で頼れるニュートラルな音質
- 開放型+軽量設計で長時間でも疲れにくい
- 付属パッド2種類で用途や季節に合わせて切り替え可能
- ケーブル両側接続やL側点字ガイドなど、運用性への配慮
注意点
- 重低音の迫力を最優先する人にはやや物足りない
- 開放型ゆえに録音ブースではマイクに音が回り込みやすい
- 真価を発揮するには、出力に余裕のあるオーディオIFやDACが望ましい
こんな人におすすめ
- DTMやミックスで正確な判断基準が欲しい人
- 小音量でも情報量を保てるヘッドホンを探している人
- 眼鏡をかけていても快適に使いたい人
- 1台で仕事用とリスニング用を兼ねたい人
購入前に確認したいポイント
- 迫力重視ではなく、タイトな低域と分離重視を好むか
- 主用途は編集・ミックスか、それともリスニングか
- 使用環境に合わせて、密閉型との併用を検討する必要があるか
- オーディオIFやDACの出力性能が十分かどうか
Sennheiser 「HD490 PRO」レビューの総括
Sennheiser 「HD490 PRO」は、ゼンハイザーの伝統的なモニター路線を継承しながらも、現代的な制作環境に合わせて進化したモデルでした。
低域は量感を抑えてタイトさと解像度を重視し、中域はニュートラルで芯のある音を届け、高域は伸びやかでありながら刺さりにくいバランスを実現しています。
広い音場と安定した定位は、音楽制作やミキシングにおいて確かな判断材料となり、同時にリスニング用途でも自然で聴き疲れの少ないサウンドを楽しませてくれます。
さらに、260gという軽さとエルゴノミクス設計に加え、2種類のパッドを使い分けられる柔軟性は、日常使いから長時間の作業に至るまで高い快適性を保証してくれました。
コストパフォーマンスの観点でも優秀で、制作の基準機としても、生活に溶け込む相棒としても、幅広いユーザーに応える完成度を持っています。
「HD490 PRO」は、制作とリスニングの境界を自然につなぎ、日常とクリエイティブの両面を支える一台です。
迷っている方はぜひ試してみてください。きっとその実力と快適さに納得できるはずです。
